説明

フィラメントワインディング装置

【課題】繊維束の経路を屈曲させることなく繊維束に付与された張力を検知し、設置が容易で、省スペース化が可能な張力センサを備えたフィラメントワインディング装置を提供する。
【解決手段】走行する繊維束3の張力を検知する張力センサ5を備えたフィラメントワインディング装置1であって、張力センサ5は、走行する繊維束3に張力を付与するとともに、繊維束3の走行方向に移動自在である張力調整部20と、張力調節部20の移動を制止する支持部22と、支持部22が張力調節部20から受ける力を繊維束3に付与される張力の値として検知部23と、を具備するフィラメントワインディング装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
繊維束の張力を検知する張力センサを備えたフィラメントワインディング装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーボン繊維等の十分な強度を有する繊維束に液状の樹脂を含浸等させ、製品の形状を形作るライナー等に巻き付け、樹脂を加熱硬化させるフィラメントワインディング装置が知られている。
【0003】
このようなフィラメントワインディング装置において、繊維束は、フィラメントワインディング成形の際に所定の張力を付与された状態でライナー等に巻き付けられる。この時、繊維束に付与される張力が十分でないと、ライナー等へ繊維束が緊密に巻き付けられず、フィラメントワインディング成形した製品の強度が不十分なものとなる。そのため、フィラメントワインディング成形の際に繊維束に付与される張力は、ライナー等に巻き付けるために充分な張力で一定に保持される必要がある。そこで、フィラメントワインディング装置においては、繊維束に付与される張力を検知する張力センサが設けられている。
【0004】
従来、フィラメントワインディング装置における張力センサとしては、一対の固定ローラと、当該一対の固定ローラの間であって、当該一対の固定ローラより下方に設けられたガイドローラと、を具備するダンサーローラ式のものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0005】
ダンサーローラ式の張力センサは、固定ローラにより案内された繊維束を下方に設けられたガイドローラに案内し、ガイドローラに働く力を測定することで、繊維束にかかる張力を測定している。
【特許文献1】特開2004−209923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダンサーローラ式の張力センサにおいては、繊維束を固定ローラにより下方に設けたガイドローラまで案内することで繊維束の張力を検知する。そのため、ダンサーローラ式の張力センサにおいては、繊維束の経路が固定ローラにより屈曲された状態となることから、繊維束に大きな張力が付与される場合、繊維束の屈曲された部分に必要以上の力がかかり、繊維束に損傷を与えてしまうという問題点があった。
【0007】
また、ダンサーローラ式の張力センサにおいては、繊維束を固定ローラ、及びガイドローラに案内させて張力を検知するため、固定ローラ、及びガイドローラに繊維束を掛ける等の作業が必要となり煩雑であるという問題点もあった。
【0008】
さらに、ダンサーローラ式の張力センサにおいては、繊維束に付与される張力を固定ローラの下方に設けられたガイドローラによって検知する構成であることから、張力センサを設けるに際して上下方向に十分なスペースが必要となるため、装置の小型化が困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであり、繊維束の経路を屈曲させることなく繊維束に付与された張力を検知し、設置が容易で、省スペース化が可能な張力センサを備えたフィラメントワインディング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
第1の発明に係るフィラメントワインディング装置は、
走行する繊維束の張力を検知する張力センサを備えたフィラメントワインディング装置であって、
前記張力センサは、
前記走行する繊維束に張力を付与するとともに、前記繊維束の走行方向に移動自在である張力調整部と、
前記張力調節部の移動を阻止する支持部と、
前記支持部が前記張力調節部から受ける力を前記繊維束に付与される張力の値として検知する検知部と、
を具備するものである。
【0012】
第2の発明に係るフィラメントワインディング装置は、第1の発明に係るフィラメントワインディング装置において、
前記張力調整部は、前記走行する繊維束をニップすることにより前記繊維束に張力を付与するとともに、
前記検知部の検知結果に基づき、前記張力が所定の値となるように前記張力調整部のニップ力が調整されるものである。
【0013】
第3の発明に係るフィラメントワインディング装置は、第1又は第2の発明に係るフィラメントワインディング装置において、
前記検知部は、前記張力調整部と前記支持部との間に介設されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
第1発明においては、張力調整部は、繊維束の走行方向に移動するように付勢力を受ける。支持部は当該付勢力に抗して張力調節部の移動を阻止している。張力調節部の移動を阻止するために必要な力が、繊維束に付与される張力となる。検知部は、支持部が張力調整部から受ける力を繊維束に付与される張力の値として検知することで、走行する繊維束に付与される張力を検知することができる。このため、繊維束の経路を屈曲させることなく、繊維束の張力を検知する張力センサを設けることができ、張力センサを設けるためのスペースを小さくすることができる。また、繊維束の経路を屈曲させていないため、高張力の場合も繊維束にダメージを与えることがない。
【0016】
第2発明においては、張力調整部は、走行する繊維束をニップすることにより繊維束に張力を付与するとともに、検知部の検知結果に基づき、張力が所定の値となるように張力調整部のニップ力が調整されるため、張力を検知しつつ、張力を所定の値に調整することができる。
【0017】
第3発明においては、検知部を張力調整部と支持部との間に介設したため、検知部を繊維束の走行方向に沿って設置することができる。このため、検知部を設けるためのスペースを小さくすることができ、張力センサを小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るフィラメントワインディング装置1(以下、FW装置1と称す)の第1実施例について図面に基づいて説明する。図1は第1実施例に係るFW装置1の斜視図である。
【0019】
FW装置1は、ボビン2からのカーボン繊維束3(以下、繊維束3とする)の解舒を担う解舒装置4と、繊維束3に付与される張力を検知する張力センサ5と、繊維束3に対して樹脂を噴射して含浸させる樹脂含浸装置7と、繊維束3をトラバースさせるトラバース装置8と、を具備する。
【0020】
図1に示すように、繊維束3は上下にフラット面を有するテープ状を呈しており、樹脂含浸装置7より繊維束3に樹脂が含浸される。FW装置1は、樹脂含浸装置7により樹脂が含浸された繊維束3をトラバース装置8によりトラバースしながら、ライナー9に巻き付ける。
【0021】
FW装置1は、樹脂含浸装置7により繊維束3の上面に樹脂が含浸される前に、張力センサ5により、繊維束3に付与される張力が検知され、また、付与される張力が所定の値となるように調整される。張力センサ5により張力が検知され、また調整されることで、繊維束3をライナー9へ緊密に巻き付けることができる。
【0022】
次に、張力センサ5について説明する。図1に示すように、張力センサ5は、樹脂含浸装置7の上流側に設けられている。尚、張力センサ5の設置位置は、樹脂含浸装置7の上流側に限定されるものではなく、繊維束3に含浸された樹脂に影響のない程度の張力を繊維束3に付与する場合には、樹脂含浸装置7の下流側のライナー9近傍に設けても構わない。
【0023】
図2は、第1実施例に係るFW装置1の張力センサ5の側面図である。図2に示すように、張力センサ5は、張力調整部20と、支持部22と、検知部23と、から構成されている。
【0024】
張力調整部20は、繊維束3をニップするとともに、繊維束3の走行方向(矢印80)に移動自在である。張力調整部20は、本体部21と、当接部24と、台座部25と、駆動部26と、から構成されている。張力調整部20は、当接部24の第1端部24aと台座部25とが、走行する繊維束3をニップ可能な位置に、繊維束3に対して設置される。
【0025】
本体部21は、当接部24と、台座部25と、駆動部26とを、載置する。本体部21は、下部に走行手段としての車輪28・28が設けられ、繊維束3の走行方向(矢印80)に移動自在となっている。尚、本体部21の走行手段は車輪28・28に限定されるものではなく、本体部21が繊維束3の走行方向に移動自在な走行手段であれば、本体部21の下部にレールを設け、当該レールを本体部21が滑るような構成としても構わない。
【0026】
当接部24は、台座部25とともに繊維束3をニップする部分である。図2に示すように、当接部24は、板バネ状の部材であり、当接部24の一端部である第1端部24aが台座部25の一端部と繊維束3をニップ可能に設けられ、当接部24の他端部である第2端部24bが駆動部26の駆動軸27の周面に固定されている。台座部25は、当接部24とともに繊維束3をニップする部分であり、本体部21に固設されている。
【0027】
駆動部26は、駆動軸27を有する。駆動部26は、駆動軸27が図示時計回り(図2)に所定角度だけ回動することで、当接部24の第1端部24aと台座部25とが繊維束3をニップする位置へ移動する。一方、駆動部26は、駆動軸27が図示反時計回りに所定角度だけ回動することで、当接部24の第1端部24aが繊維束3から離間する方向へ移動する。
【0028】
支持部22は、張力調整部20の移動を阻止するものである。支持部22は、FW装置1の機台フレーム29に設けられている。支持部22は、張力調整部20の移動方向(矢印81)に対して前側に設けられており、張力調整部20が押圧する力を検知部23を介して受け止める。
【0029】
検知部23は、張力調整部20から受ける力(張力調整部20が支持部22を押圧する力)を繊維束3に付与される張力の値として検知するものである。検知部23は検知手段としてロードセル23aを具備し、張力調整部20から受ける力を検知する。尚、検知部23の検知手段はロードセル23aに限定されるものではなく、張力調整部20から受ける力を検知することが可能な構成であればよい。ロードセル23aは、一端部が張力調整部20の移動方向前側に接続され、張力調整部20と支持部22との間に介設されている。尚、ロードセル23aは、一端部を支持部22に接続しても構わない。
【0030】
ロードセル23aで検知された張力調整部20から受ける力は、検知信号として後述する制御部85へ送られる。制御部85は、当該検知信号に基づいて、張力調整部20から受ける力を繊維束3に付与される張力の値に変換する。このように、検知部23は、ロードセル23aで検知した張力調整部20から受ける力を制御部85で繊維束3に付与される張力の値に変換することで、繊維束3に付与される張力の値を検知する。
【0031】
次に、張力センサ5のメカニズムについて説明する。図2に示すように、繊維束3は、図示右方向(矢印80)に走行する。また、張力調整部20は、繊維束3が走行可能な程度に、当接部24の第1端部24aと台座部25とにより繊維束3をニップする。これにより、張力調整部20は、繊維束3に引っ張られる状態で付勢力を受け、図示右方向(矢印81)に移動する。
【0032】
張力調整部20が図示右方向へ移動すると、張力調整部20が検知部23のロードセル23aを介して支持部22を押圧する。一方、支持部22はロードセル23aを介して張力調整部20の移動を阻止する。張力調整部20の移動が支持部22により阻止されると、繊維束3のみが図示右方向に走行する。この時、繊維束3は、支持部22により移動を阻止された張力調整部20の当接部24及び台座部25によりニップされているため、張力調整部20により引っ張られる状態となり、一定の張力が付与される。また、当接部24及び台座部25による繊維束3のニップが解除されると、繊維束3は、張力調整部20により引っ張られることがないため、張力の付与がされなくなる。
【0033】
次に、張力センサ5のシステムについて説明する。図3は、第1実施例に係るFW装置1の張力センサ5のシステム図、図4は、第1実施例に係るFW装置1の張力センサ5が繊維束3に付与する張力を調整する際のフローチャートである。図3に示すように、張力調整部20の駆動部26、及び検知部23のロードセル23aは、制御部85に接続されており、駆動部26、及びロードセル23aは、制御部85により制御されている。ロードセル23aは、張力調整部20が移動して支持部22を押圧する際に、張力調整部20から押圧される力を検知信号として制御部85へ送信する。制御部85は、当該検知信号を受信すると、予め設定されたプログラムに基づいて、繊維束3に付与される張力を検知する。ここで予め設定されたプログラムとは、検知部23のロードセル23aが押圧される力から繊維束3に付与される張力を算出するプログラムである。尚、繊維束3に付与される張力は、検知部23のロードセル23aが張力調整部20により押圧される力と対応しており、ロードセル23aが張力調整部20により押圧される力が大きくなるほど繊維束3に付与される張力は大きくなる。
【0034】
図4に示すように、制御部85が、駆動部26に対して駆動軸27を図示時計周り(図2)に(当接部24の第2端部24bの巻きを強める方向に)所定角度だけ回動する旨の制御信号を送信することにより、駆動部26は駆動軸27を図示時計周り(図2)に(当接部24の第2端部24bの巻きを強める方向に)所定角度だけ回動するように駆動する(S1)。駆動部26が駆動軸27を駆動することにより、ロードセル23aは張力調整部20から押圧される力を検知し(S2)、検知信号を制御部85へ送信する。制御部85は、当該検知信号を受信すると、上記プログラムに基づいて、繊維束3に付与される張力を検知する(S3)。
【0035】
制御部85は、繊維束3に付与される張力を検知すると、当該張力が所定の張力であるか否かを判断する(S4)。制御部85は当該張力が所定の張力であると判断すると(S4−Yes)、張力センサ5の制御を保持しつつ(S5)、ロードセル23aから送信される検知信号に基づいて、繊維束3に付与される張力の検知を繰り返す(S2からS4)。
【0036】
制御部85は当該張力が所定の張力ではないと判断すると(S4−No)、当該張力が所定の張力より大きいか否かを判断する(S6)。制御部85は当該張力が所定の張力より大きいと判断すると(S6−Yes)、駆動部26に対して駆動軸27を図示反時計周り(図2)に(当接部24の第2端部24bの巻きを緩める方向に)所定角度だけ回動する旨の制御信号を送信する。駆動部26は当該制御信号を受信すると駆動軸27を図示反時計周りに(当接部24の第2端部24bの巻きを緩める方向に)所定角度だけ回動するように駆動する(S7)。駆動部26が駆動軸27を駆動することにより、ロードセル23aは張力調整部20から押圧される力を検知し(S2)、検知信号を制御部85へ送信する。制御部85は、当該検知信号を受信すると、上記プログラムに基づいて、繊維束3に付与される張力を再度検知する(S3)。
【0037】
制御部85は当該張力が所定の張力より小さいと判断すると(S6−No)、駆動部26に対して駆動軸27を図示時計周り(図2)に(当接部24の第2端部24bの巻きを強める方向に)所定角度だけ回動する旨の制御信号を送信する。駆動部26は当該制御信号を受信すると駆動軸27を図示時計周り(図2)に(当接部24の第2端部24bの巻きを強める方向に)所定角度だけ回動するように駆動する(S1)。駆動部26が駆動軸27を駆動することにより、ロードセル23aは張力調整部20から押圧される力を検知し(S2)、検知信号を制御部85へ送信する。制御部85は、当該検知信号を受信すると、上記プログラムに基づいて、繊維束3に付与される張力を再度検知する(S3)。
【0038】
このように制御部85は、ロードセル23aが張力調整部20によって押圧される力に基づいて繊維束3に付与される張力を検知し、検知した張力に基づいて張力調整部20を制御することで、張力調整部20のニップ力を調整し、繊維束3に付与される張力を調整する。
【0039】
次に、本発明に係るFW装置1の第2実施例について説明する。尚、第2実施例に係るFW装置1の張力センサ5以外の構成については、第1実施例に係るFW装置1の当該構成と同様であるため説明を省略する。
【0040】
図5は、第2実施例に係るFW装置1の張力センサ5の側面図である。図5に示すように、張力センサ5は、張力調整部20と、支持部22と、検知部23と、から構成されている。ここで、張力調整部20の構成は、第1実施例に係るFW装置1の当該構成と同様であるため説明を省略する。
【0041】
支持部22は、張力調整部20の移動を阻止するものである。支持部22は、FW装置1の機台フレーム29に設けられている。支持部22は、張力調節部20の移動方向(矢印81)に対して後側に設けられており、張力調節部20が検知部23のロードセル23aを介して引っ張る力を保持する。
【0042】
検知部23は、張力調整部20から受ける力(張力調整部20が支持部22を引っ張る力)を繊維束3に付与される張力の値として検知するものである。検知部23は検知手段としてロードセル23aを具備し、張力調整部20から受ける力を検知する。尚、検知部23の検知手段はロードセル23aに限定されるものではなく、張力調整部20から受ける力を検知することが可能な構成であればよい。ロードセル23aは、一端部が本体部21の搬送方向後側に接続され、他端部が支持部22に接続されることで、張力調整部20と支持部22との間に介設されている。
【0043】
次に、第2実施例に係るFW装置1の張力センサ5のメカニズムについて説明する。図5に示すように、繊維束3は、図示右方向(矢印80)に走行する。また、張力センサ5は、繊維束3が走行可能な程度に、当接部24の第1端部24aと台座部25とにより繊維束3をニップする。これにより、張力調整部20は、繊維束3に引っ張られる状態で付勢力を受け、図示右方向(矢印81)に移動する。
【0044】
張力調整部20が図示右方向へ移動すると、張力調整部20が検知部23のロードセル23aを介して支持部22を引っ張る。この時、ロードセル23aは引き延ばされる。一方、支持部22はロードセル23aを介して張力調整部20の移動を阻止する。張力調整部20の移動が支持部22により阻止されると、繊維束3のみが図示右方向に走行する。この時、繊維束3は、支持部22により移動を阻止された張力調整部20の当接部24及び台座部25によりニップされているため、張力調整部20により引っ張られる状態となり、一定の張力が付与される。また、当接部24及び台座部25による繊維束3のニップが解除されると、繊維束3は、張力調整部20により引っ張られることがないため、張力の付与がされなくなる。
【0045】
繊維束3に付与される張力は、ロードセル23aが張力調整部20により引っ張られる力と対応しており、ロードセル23aが張力調整部20により引っ張られる力が大きくなるほど繊維束3に付与される張力は大きくなる。第2実施例に係るFW装置1の張力センサ5は、第1実施例に係るFW装置1の張力センサ5の場合と同様に、ロードセル23aが張力調整部20により引っ張られる力に基づいて繊維束3に付与される張力を検知する。
【0046】
次に、本発明に係るFW装置1の第3実施例について説明する。尚、第3実施例に係るFW装置1の張力センサ5以外の構成については、第1実施例に係るFW装置1の当該構成と同様であるため説明を省略する。
【0047】
図6は、第3実施例に係るFW装置1の張力センサ5の側面図である。図6に示すように、張力センサ5は、張力調整部20と、支持部22と、検知部23と、から構成されている。ここで、支持部22、及び検知部23の構成は、第1実施例に係るFW装置1の当該構成と同様であるため説明を省略する。
【0048】
張力調整部20は、繊維束3をニップするとともに、繊維束3の走行方向(矢印80)に移動自在である。張力調整部20は、本体部21と、当接部31と、台座部25と、駆動部33と、から構成されている。尚、本体部21、及び台座部25の構成は、第1実施例に係るFW装置1の当該構成と同様であるため説明を省略する。
【0049】
図6に示すように、当接部31は略板状の部材であり、当接部31の当接面31a全体と台座部25とが、走行する繊維束3をニップ可能に設けられている。駆動部33は、エアシリンダであり、圧縮された空気の出し入れによりロッド34を上下に駆動させる。尚、駆動部33は、エアシリンダに限定されるものではなく、ロッド34を上下に駆動可能な機構であれば構わない。ロッド34は、当接部31に接続されている。ロッド34が下方向に移動することで、当接部31の当接面31aと台座部25とが繊維束3をニップ可能な位置へ移動する。一方、ロッド34が上方向に移動することで、当接部31の当接面31aが繊維束3から離間する方向へ移動する。
【0050】
尚、第3実施例に係るFW装置1における張力センサ5は、支持部22、及び検知部23が張力調整部20の前側に設けられた場合(第1実施例に係るFW装置1)に限定して設けられる構成ではなく、支持部22、及び検知部23が張力調整部20の後側に設けられた場合(第2実施例に係るFW装置1)に設けても構わない。
【0051】
以上のように、本発明に係るFW装置1は、張力調整部20が、繊維束3の走行方向(矢印80)に移動するように付勢力を受ける。支持部22は当該付勢力に抗して張力調節部20の移動を阻止している。張力調節部20の移動を阻止するのに必要な力が、繊維束3に付与される張力となる。検知部23は、支持部22が張力調整部20から受ける力を繊維束3に付与される張力の値として検知することで、走行する繊維束3に付与される張力を検知することができる。このため、繊維束3の経路を屈曲させることなく、繊維束3の張力を検知する張力センサ5を設けることができ、張力センサ5を設けるためのスペースを小さくすることができる。また、繊維束3の経路を屈曲させていないため、高張力の場合も繊維束3にダメージを与えることがない。
【0052】
また、本発明に係るFW装置1は、張力調整部20が、走行する繊維束3をニップすることにより繊維束3に張力を付与するとともに、検知部23の検知結果に基づき、張力が所定の値となるように張力調整部20のニップ力が調整されるため、張力を検知しつつ、張力を所定の値に調整することができる。
【0053】
さらに、本発明に係るFW装置1は、検知部23のロードセル23aを張力調整部20と支持部22との間に介設したため、検知部23を繊維束3の走行方向(矢印80)に沿って設置することができる。このため、検知部23を設けるためのスペースを小さくすることができ、張力センサ5を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施例に係るFW装置1の斜視図。
【図2】第1実施例に係るFW装置1の張力センサ5の側面図。
【図3】第1実施例に係るFW装置1の張力センサ5のシステム図。
【図4】第1実施例に係るFW装置1の張力センサ5が繊維束3に付与する張力を調整する際のフローチャート。
【図5】第2実施例に係るFW装置1の張力センサ5の側面図。
【図6】第3実施例に係るFW装置1の張力センサ5の側面図。
【符号の説明】
【0055】
1 FW装置
3 繊維束
5 張力センサ
20 張力調整部
22 支持部
23 検知部
23a ロードセル(検知部)
85 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する繊維束の張力を検知する張力センサを備えたフィラメントワインディング装置であって、
前記張力センサは、
前記走行する繊維束に張力を付与するとともに、前記繊維束の走行方向に移動自在である張力調整部と、
前記張力調節部の移動を阻止する支持部と、
前記支持部が前記張力調節部から受ける力を前記繊維束に付与される張力の値として検知する検知部と、
を具備することを特徴とするフィラメントワインディング装置。
【請求項2】
前記張力調整部は、前記走行する繊維束をニップすることにより前記繊維束に張力を付与するとともに、
前記検知部の検知結果に基づき、前記張力が所定の値となるように前記張力調整部のニップ力が調整されることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントワインディング装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記張力調整部と前記支持部との間に介設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィラメントワインディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−6025(P2010−6025A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171453(P2008−171453)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】