説明

フィルタの製造方法

【課題】ナノサイズの孔径を有するフィルタを形成できるようにする。
【解決手段】基板10の上に、複数のカーボンナノチューブ15を選択的に形成する。続いて、基板10の上に、SOGからなる母材11を形成し、形成した母材11により複数のカーボンナノチューブ15を保持する。続いて、複数のカーボンナノチューブ15を酸化して消失することにより、母材11に複数のカーボンナノチューブ15による複数の空孔11aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清浄なガス若しくは薬品を使用する半導体製造工程又は化学分析に用いるフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、径が数十nmから100nm程度の異物の存在が、ウエハの歩留まりに大きく影響する。現在、微細な孔径を有するフィルタとして多孔質材料を用いたフィルタが存在するものの、ガス又は薬液等が通過する空孔の径をナノサイズで制御することは困難である。従って、径が数十nmから100nm程度の異物が通過してしまう可能性があり、製造対象の歩留まりの向上は望めない。
【0003】
また、化学分析の分野においては、より高い精度が要求される。この要求に対し、より清浄な試薬を供給する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−285821号公報
【特許文献2】特開2004−315358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、現在、一般に用いられる微細な孔径を有するフィルタは、多孔質材料を用いる場合が多い。この多孔質材料は、孔径をナノサイズで制御することが困難であり、ナノサイズの孔径を有するフィルタを形成することができない。
【0006】
本発明は、前記の問題を解決し、ナノサイズの孔径を有するフィルタを形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明は、フィルタの製造方法を、ナノサイズの大きさを有するカーボンナノチューブをフィルタの金型として用いる構成とする。
【0008】
具体的に、本発明に係るフィルタの製造方法は、基板の上に、複数のカーボンナノチューブを選択的に形成する工程(a)と、基板の上に母材を形成し、形成した母材により複数のカーボンナノチューブを保持する工程(b)と、工程(b)よりも後に、複数のカーボンナノチューブを消失することにより、母材に複数のカーボンナノチューブによる複数の空孔を形成する工程(c)とを備えている。
【0009】
本発明のフィルタの製造方法によると、形成した母材により複数のカーボンナノチューブを保持し、その後、複数のカーボンナノチューブを消失することにより、母材に複数のカーボンナノチューブによる複数の空孔を形成する。すなわち、複数のカーボンナノチューブをフィルタの金型として用いることにより、ナノサイズの孔径を有するフィルタを作製することが可能となる。
【0010】
本発明のフィルタの製造方法において、母材は液状ガラスであり、工程(b)は、複数のカーボンナノチューブを保持した液状ガラスを焼き固める工程を含むことが好ましい。
【0011】
このようにすると、複数のカーボンナノチューブを固めたガラス中に数nmの孔径を持つ空孔を有するフィルタを得ることができる。
【0012】
また、本発明のフィルタの製造方法において、母材は窒化シリコンであり、工程(b)において、窒化シリコンをプラズマCVD法により形成することが好ましい。
【0013】
このようにすると、ナノサイズの孔径を有するフィルタを得ることができると共に、基板と母材との間のエッチングレート差を大きくすることができるため、母材から基板を容易に除去することができる。
【0014】
本発明のフィルタの製造方法は、工程(c)において、酸素プラズマ又はオゾンプラズマを用いた酸化処理を行うことにより、複数のカーボンナノチューブを消失してもよい。
【0015】
本発明のフィルタの製造方法は、工程(a)よりも前に、基板の上に、金属からなる触媒層を形成する工程(d)をさらに備えていてもよい。
【0016】
本発明のフィルタの製造方法は、工程(a)において、各カーボンナノチューブが基板の主面に対して垂直な方向に配向することが好ましい。
【0017】
本発明のフィルタの製造方法は、工程(a)において、各カーボンナノチューブの大きさが調整されていることが好ましい。
【0018】
本発明のフィルタの製造方法は、工程(a)において、複数のカーボンナノチューブの密度が10本/cm以上且つ1011本/cm以下であり、その長さは1μm以上且つ100μm以下であってもよい。
【0019】
本発明のフィルタの製造方法は、工程(c)よりも後に、化学的エッチングにより、基板の少なくとも一部を除去する工程(e)をさらに備えていてもよい。
【0020】
この場合に、工程(e)において、基板の周縁部を残すようにエッチングしてもよい。
【0021】
このようにすると、フィルタの強度を増すことができる。
【0022】
また、本発明のフィルタの製造方法は、工程(c)よりも後に、化学機械研磨法により、基板を除去する工程(e)をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るフィルタの製造方法によると、ナノサイズの孔径を有するフィルタを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1(a)及び図1(b)は本発明の第1の実施形態に係るフィルタを示し、図1(a)は平面図であり、図1(b)は断面図である。
【図2】図2(a)〜図2(d)は本発明の第1の実施形態に係るフィルタの製造方法を示す工程順の断面図である。
【図3】図3(a)〜図3(d)は本発明の第1の実施形態に係るフィルタの製造方法を示す工程順の断面図である。
【図4】図4は本発明の各実施形態に係るフィルタの製造に用いるカーボンナノチューブ成長装置の模式的な断面図である。
【図5】図5は本発明の各実施形態に係るフィルタの製造に用いる酸化処理装置の模式的な断面図である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は本発明の第1の実施形態の第1変形例に係るフィルタを示し、図6(a)は平面図であり、図6(b)は断面図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は本発明の第1の実施形態の第3変形例に係るフィルタを示し、図7(a)は平面図であり、図7(b)は断面図である。
【図8】図8(a)及び図8(b)は本発明の第2の実施形態に係るフィルタを示し、図8(a)は平面図であり、図8(b)は断面図である。
【図9】図9(a)〜図9(d)は本発明の第2の実施形態に係るフィルタの製造方法を示す工程順の断面図である。
【図10】図10(a)〜図10(c)は本発明の第2の実施形態に係るフィルタの製造方法を示す工程順の断面図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は本発明の第2の実施形態の第1変形例に係るフィルタを示し、図11(a)は平面図であり、図11(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1を参照しながら説明する。
【0026】
図1(a)及び(b)に示すように、第1の実施形態に係るフィルタ1は、例えば液状ガラスを焼き固めてなる母材11に形成された複数の空孔11aを有している。各空孔11aは母材11の表裏方向に貫通しており、複数のカーボンナノチューブを消失して形成されている。従って、各空孔11aはその径がナノサイズに調整されている。
【0027】
以下、前記のように構成されたフィルタ1の製造方法について図2及び図3を参照しながら説明する。
【0028】
まず、図2(a)に示すように、例えば、シリコン(Si)からなる基板10の主面上に、化学的気相堆積(CVD)法により、膜厚が20nm〜100nm程度の窒化シリコンからなる下地膜12を成膜する。
【0029】
次に、図2(b)に示すように、スパッタ法等により、下地膜12の上に、膜厚が1nm〜15nm程度のチタン(Ti)からなる金属薄膜13を成膜する。ここで、金属薄膜13には、Tiに代えて、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)又はタングステン(W)を用いることができる。
【0030】
次に、図2(c)に示すように、スパッタ法により、金属薄膜13の上に、膜厚が1nm〜5nm程度のコバルト(Co)からなる触媒層14を形成する。なお、触媒層14には、Coに代えて、ニッケル(Ni)若しくは鉄(Fe)、又はCoを含めこれらのうちの2つ以上の合金を用いることができる。その後、形成された触媒層14を300℃〜400℃程度に加熱することによりコバルトを凝集させて、複数の粒子状の触媒層14とする。なお、このコバルトの凝集は、次工程のカーボンナノチューブ成長装置内で行ってもよい。
【0031】
次に、図2(d)に示すように、基板10を、図4に示すカーボンナノチューブ成長装置に投入し、炭素源である、例えばアセチレン(C)と不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)とを基板10の上に導入する。このとき、基板10を350℃〜900℃程度に加熱しており、各粒子状の触媒層14から、それぞれ、径が5nm〜50nmで、長さが1μm〜100μm程度のカーボンナノチューブ15が、基板10の主面に対してほぼ垂直な方向に成長する。ここで、カーボンナノチューブ15の成長密度は、10本/cm〜1011本/cm程度となるように設定している。なお、炭素源には、アセチレンに限られず、例えばメタン(CH)を用いることができる。
【0032】
次に、図3(a)に示すように、基板10の上に複数のカーボンナノチューブ15を埋め込むように、液状ガラス、例えばSOG(spin-on-glass)を塗布する。その後、塗布されたSOGを350℃〜500℃程度の温度で60分〜120分間程度焼き固めることにより、SOGからなり、内部に複数のカーボンナノチューブ15を保持する母材11を形成する。このとき、母材11の厚さは、カーボンナノチューブ15の高さを越えないようにする必要がある。
【0033】
次に、図3(b)に示すように、母材11が形成された基板10を、図5に示す酸化処理装置の真空容器61に投入して、酸素(O)プラズマ又はオゾン(O)プラズマにより、カーボンナノチューブ15を酸化し、二酸化炭素(CO)にして消失させる。これにより、図3(c)に示すように、母材11には、各カーボンナノチューブ15が消失してなる複数の空孔11aが形成される。このように、各空孔11aの孔径は、カーボンナノチューブ15の径に依存する。
【0034】
次に、図3(d)に示すように、シリコンからなる基板10を、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)溶液又は水酸化カリウム(KOH)溶液によりエッチングして除去する。その後、露出した窒化シリコンからなる下地膜12を、例えば燐酸浴エッチングにより除去する。続いて、露出したチタンからなる金属薄膜13を、例えば塩酸で除去する。
【0035】
以上により、図1に示す、ナノサイズの複数の空孔11aを有するフィルタ1を作製することができる。
【0036】
以下に、図4を参照しながら、第1の実施形態に用いるカーボンナノチューブ成長装置を説明する。
【0037】
図4に示すように、第1の実施形態に用いるカーボンナノチューブ成長装置は、真空容器51と、該真空容器51の下部に配置され、上面に基板10を保持するステージ52と、該ステージ52の下側に配置され、ステージ52を加熱する加熱ユニット53とから構成される。真空容器51の一方の上部には、原料ガス及び不活性ガスの導入口54が設けられ、他方の上部には、ガスの排気口55が設けられている。
【0038】
次に、図5を参照しながら、第1の実施形態に用いる酸化処理装置を説明する。
【0039】
図5に示すように、第1の実施形態に用いる酸化処理装置は、真空容器61と、該真空容器61の下部に配置され、上面に基板10を保持するステージ62と、該ステージ62の下側に配置され、ステージ62を加熱する加熱ユニット63と、真空容器の上部に配置され、出力が100W以上で、発振周波数が13.56MHzの高周波を発生する高周波発生ユニット64とから構成される。真空容器61の一方の上部には、酸素ガス又はオゾンガスの導入口65が設けられ、他方の上部には、ガスの排気口66が設けられている。
【0040】
導入口65から真空容器61に導入された酸素又はオゾンは、高周波発生ユニット64からの高周波によってプラズマ化される。
【0041】
(第1の実施形態の第1変形例)
以下、第1の実施形態の第1変形例について図6を参照しながら説明する。
【0042】
図6(a)及び(b)に示すように、第1変形例に係るフィルタ1は、下面の基板10、下地膜12及び金属薄膜13の周縁部を残している。これにより、フィルタ1自体の強度を向上することができる。
【0043】
第1変形例に係るフィルタ1の製造方法は、以下の通りである。すなわち、図3(d)に示す基板除去工程において、リソグラフィ法により、基板10の裏面に該基板10の周縁部をマスクするレジストパターンを形成する。続いて、形成されたレジストパターンをマスクとして、基板10に対してウエットエッチングを行う。続いて、露出した下地膜12を燐酸浴エッチングにより除去し、さらに、露出した金属薄膜13を塩酸で除去する。
【0044】
(第1の実施形態の第2変形例)
以下、第1の実施形態の第2変形例について説明する。
【0045】
第2変形例は、図3(d)に示す基板除去工程において、基板10をウエットエッチングで除去する方法に代えて、化学機械研磨(CMP)法を用いる。その後は、露出した下地膜12を燐酸浴エッチングにより除去し、さらに、露出した金属薄膜13を塩酸で除去する。
【0046】
このようにしても、図1に示すフィルタ1を得ることができる。
【0047】
なお、基板10の除去にウエットエッチング法を用いると、基板に用いたSiの結晶方位を反映した凹凸が存在する加工が可能であり、また、CMP法を用いると、基板に用いるSiの結晶方位によらず一様な加工面を得ることが可能である。
【0048】
(第1の実施形態の第3変形例)
以下、第1の実施形態の第3変形例について図7を参照しながら説明する。
【0049】
図7(a)及び(b)に示すように、第3変形例に係るフィルタ1は、空孔11aの径を、例えば30nm〜80nm程度と、第1の実施形態、その第1変形例及び第2変形例よりも大きくしている。
【0050】
第3変形例に係るフィルタ1の製造方法は、以下の通りである。すなわち、図2(c)に示す工程において、コバルト(Co)の膜厚を例えば10nm〜15nm程度とするか、又は加熱温度を例えば450℃〜600℃程度として、触媒層14であるコバルト(Co)の凝集量を増やすことにより、コバルト粒子の径を30nm〜80nm程度とする。その後は、第1の実施形態と同様である。
【0051】
このように、フィルタ1の孔径11aは、触媒層14の凝集量、すなわち粒子径を調整することにより制御することができる。
【0052】
なお、第3変形例においても、第1変形例又は第2変形例を適用することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図8を参照しながら説明する。
【0054】
図8(a)及び(b)に示すように、第2の実施形態に係るフィルタ1は、例えば窒化シリコン(SiN)からなる母材21に形成された複数の空孔21aを有している。各空孔21aは母材21の表裏方向に貫通しており、複数のカーボンナノチューブを消失して形成されている。従って、各空孔21aはその径がナノサイズに調整されている。
【0055】
以下、前記のように構成されたフィルタ1の製造方法について図9及び図10を参照しながら説明する。
【0056】
まず、図9(a)に示すように、例えば、シリコン(Si)からなる基板10の主面上に、スパッタ法等により、膜厚が1nm〜15nm程度のチタン(Ti)からなる金属薄膜13を成膜する。ここで、金属薄膜13には、Tiに代えて、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)又はタングステン(W)を用いることができる。
【0057】
次に、図9(b)に示すように、スパッタ法により、金属薄膜13の上に、膜厚が1nm〜5nm程度のコバルト(Co)からなる触媒層14を形成する。なお、触媒層14には、Coに代えて、ニッケル(Ni)若しくは鉄(Fe)、又はCoを含めこれらのうちの2つ以上の合金を用いることができる。その後、形成された触媒層14を300℃〜400℃程度に加熱することによりコバルトを凝集させて、複数の粒子状の触媒層14とする。なお、このコバルトの凝集は、次工程のカーボンナノチューブ成長装置内で行ってもよい。
【0058】
次に、図9(c)に示すように、基板10を、図4に示すカーボンナノチューブ成長装置に投入し、炭素源である、例えばアセチレン(C)と不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)とを基板10の上に導入する。このとき、基板10を350℃〜900℃程度に加熱しており、各粒子状の触媒層14から、それぞれ、径が5nm〜50nmで、長さが1μm〜100μm程度のカーボンナノチューブ15が、基板10の主面に対してほぼ垂直な方向に成長する。ここで、カーボンナノチューブ15の成長密度は、10本/cm〜1011本/cm程度となるように設定している。なお、炭素源には、アセチレンに限られず、例えばメタン(CH)を用いることができる。
【0059】
次に、図9(d)に示すように、プラズマCVD法により、基板10の上に複数のカーボンナノチューブ15を埋め込むように、窒化シリコンからなる母材21を成膜する。このとき、母材21の厚さは、カーボンナノチューブ15の高さを越えないようにする必要がある。
【0060】
次に、図10(a)に示すように、母材21が形成された基板10を、図5に示す酸化処理装置の真空容器61に投入して、酸素(O)プラズマ又はオゾン(O)プラズマにより、カーボンナノチューブ15を酸化し、二酸化炭素(CO)にして消失させる。これにより、図10(b)に示すように、母材21には、各カーボンナノチューブ15が消失してなる複数の空孔21aが形成される。このように、各空孔21aの孔径は、カーボンナノチューブ15の径に依存する。
【0061】
次に、図10(c)に示すように、シリコンからなる基板10を、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)溶液又は水酸化カリウム(KOH)溶液によりエッチングして除去する。その後、露出したチタンからなる金属薄膜13を、例えば塩酸で除去する。
【0062】
以上により、図8に示す、ナノサイズの複数の空孔21aを有するフィルタ1を作製することができる。
【0063】
第2の実施形態においては、基板10にシリコン(Si)を用いているため、基板10を除去する際に、窒化シリコンからなる母材21とのエッチングレート差が大きくなるため、母材21から基板10を容易に除去することができる。
【0064】
(第2の実施形態の第1変形例)
以下、第2の実施形態の第1変形例について図11を参照しながら説明する。
【0065】
図11(a)及び(b)に示すように、第1変形例に係るフィルタ1は、下面の基板10及び金属薄膜13の周縁部を残している。これにより、フィルタ1自体の強度を向上することができる。
【0066】
第1変形例に係るフィルタ1の製造方法は、以下の通りである。すなわち、図10(c)に示す基板除去工程において、リソグラフィ法により、基板10の裏面に該基板10の周縁部をマスクするレジストパターンを形成する。続いて、形成されたレジストパターンをマスクとして、基板10に対してウエットエッチングを行う。続いて、露出した金属薄膜13を塩酸で除去する。
【0067】
(第2の実施形態の第2変形例)
以下、第2の実施形態の第2変形例について説明する。
【0068】
第2変形例は、図3(d)に示す基板除去工程において、基板10をウエットエッチングで除去する方法に代えて、化学機械研磨(CMP)法を用いる。その後は、露出した金属薄膜13を塩酸で除去する。
【0069】
このようにしても、図8に示すフィルタ1を得ることができる。
【0070】
また、第2の実施形態においても、図9(d)に示す工程において、コバルトからなる触媒層14が凝集した各粒子の径を大きくすることにより、図7に示す第1の実施形態の第3変形例と同等のフィルタ1を作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係るフィルタの製造方法は、ナノサイズの孔径を有するフィルタを作製することができ、清浄なガス若しくは薬品を使用する半導体製造工程又は化学分析に用いるフィルタ等に有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 フィルタ
10 基板
11 母材(SOG)
11a 空孔
12 下地膜
13 金属薄膜
14 触媒層
15 カーボンナノチューブ
21 母材(SiN)
21a 空孔
51 真空容器
52 ステージ
53 加熱ユニット
54 導入口
55 排気口
61 真空容器
62 ステージ
63 加熱ユニット
64 高周波ユニット
65 導入口
66 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に、複数のカーボンナノチューブを選択的に形成する工程(a)と、
前記基板の上に母材を形成し、形成した前記母材により前記複数のカーボンナノチューブを保持する工程(b)と、
前記工程(b)よりも後に、前記複数のカーボンナノチューブを消失することにより、前記母材に前記複数のカーボンナノチューブによる複数の空孔を形成する工程(c)とを備えていることを特徴とするフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記母材は、液状ガラスであり、
前記工程(b)は、前記複数のカーボンナノチューブを保持した前記液状ガラスを焼き固める工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記母材は、窒化シリコンであり、
前記工程(b)において、前記窒化シリコンをプラズマCVD法により形成することを特徴とする請求項1に記載のフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記工程(c)において、酸素プラズマ又はオゾンプラズマを用いた酸化処理を行うことにより、前記複数のカーボンナノチューブを消失することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記工程(a)よりも前に、
前記基板の上に、金属からなる触媒層を形成する工程(d)をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記工程(a)において、前記各カーボンナノチューブは、前記基板の主面に対して垂直な方向に配向することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルタ製造方法。
【請求項7】
前記工程(a)において、前記各カーボンナノチューブの大きさは、調整されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルタ製造方法。
【請求項8】
前記工程(a)において、前記複数のカーボンナノチューブの密度は、10本/cm以上且つ1011本/cm以下であり、その長さは1μm以上且つ100μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルタ製造方法。
【請求項9】
前記工程(c)よりも後に、
化学的エッチングにより、前記基板の少なくとも一部を除去する工程(e)をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法。
【請求項10】
前記工程(e)において、前記基板の周縁部を残すようにエッチングすることを特徴とする請求項9に記載のフィルタの製造方法。
【請求項11】
前記工程(c)よりも後に、
化学機械研磨法により、前記基板を除去する工程(e)をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−240278(P2011−240278A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115518(P2010−115518)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】