説明

フィルタを製造するための方法及び装置

【課題】フィルタペーパーウエブ2を二重層3に連続的に折り畳む折り畳み段階Aと、前記二重層3を部分的に接合して、少なくとも1つのエンボス継ぎ目4によって繋がっている複数のフィルタペーパー挿入体1を形成するする接合段階Bと、前記フィルタペーパーウエブ2から前記繋がった複数のフィルタペーパー挿入体1を分離するための分離段階Dとを有している、フィルタペーパー挿入体1を製造するための方法を改良して、フィルタペーパーウエブの損傷を確実に阻止することができるような、特にコーヒー抽出又はティー抽出のためのフィルタペーパー挿入体を製造するための方を提供する。
【解決手段】前記折り畳み段階A後に、前記フィルタペーパー挿入体1にマーク5を設けるマーキング段階Cを実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタペーパー挿入体、特にコーヒー抽出又はティー抽出のためのフィルタペーパー挿入体を製造するための方法及び装置に関する。この方法は、フィルタペーパーウエブを二重層に連続的に折り畳む折り畳み段階と、前記二重層を部分的に接合して、少なくとも1つのエンボス継ぎ目によって繋がっている複数のフィルタペーパー挿入体を形成する接合段階と、前記フィルタペーパー挿入体から前記繋がった複数のフィルタペーパー挿入体を分離するための分離段階とを有している。また、この方法を実施するための装置は、前記フィルタペーパーウエブを二重層に折り畳む折り畳み段階を実施するための折り畳み装置と、前記二重層を部分的に接合するための第1の圧刻装置と、前記フィルタペーパー挿入体にマークを設けるマーキング段階を実施するための第2の圧刻装置と、前記二重層から前記フィルタペーパー挿入体を分離する分離段階を実施するための切断装置とを有している。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、フィルタペーパー挿入体、特にコーヒーフィルタ及びティーフィルタを製造するための多くの方法及び装置が公知である。この場合、方法の連続は、フィルタペーパーウエブをまず二重層に折り畳み、次いでこの二重層に部分的にエンボス継ぎ目を設け、この際に、エンボス継ぎ目が少なくとも部分的にフィルタペーパー挿入体の外側輪郭形状を規定するようにする。次いで、圧刻されたフィルタペーパー挿入体をフィルタペーパーウエブから分離し、さらに加工する。フィルタペーパー挿入体に記号又は例えば充填レベルマークを設ける場合、記号又は充填レベルマークは、フィルタペーパーウエブを折り畳む前に単層のフィルタペーパーウエブに圧刻される。このような方法技術的な構成、つまり折り畳み段階の前にマークに圧刻を設ける構成は、圧刻装置を配置するための大きいスペースを必要とする、という欠点がある。しかも、このような構成においては、圧刻されたマークはフィルタペーパー挿入体の一方側だけでしか認識できないので、マークは読み取るために常に正しい位置に存在しなければならい。さらに、このような構成では、圧刻によって材料の局所的に弱い箇所を生ぜしめることになり、それによって、材料は例えばさらに加工される際に局所的に損傷され、従って製造プロセスが停止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明の課題は、従来技術により公知の問題点(少なくとも一部)を避けることができ、フィルタペーパーウエブの損傷を確実に阻止することができるような、フィルタペーパー挿入体を製造するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決した本発明の方法の手段によれば、折り畳み段階後に、フィルタペーパー挿入体にマークを設けるマーキング段階を実施するようにした。折り畳み後に、フィルタペーパー挿入体にマーク、例えば記号又は充填レベルマークを設けることによって、マークをフィルタペーパー挿入体の両側に無条件で設けることができる、という利点が得られる。何故ならば、フィルタペーパーウエブは折り畳み後には既に二重層で提供され、従って1回の方法段階でフィルタペーパー挿入体の両側を処理、つまり両側にマークを設けることができるからである。フィルタペーパーウエブは二重層で提供されるので、搬送装置による負荷も少なくて済み、ひいては損傷を受けにくい。さらに、このような構成によって、必要な構造スペースが減少される。何故ならば、二重層に折り畳まれたフィルタペーパーウエブを処理及び加工するためのすべての装置は、互いにコンパクトに設けることができるからである。
【発明の効果】
【0005】
フィルタペーパーウエブは折り畳み段階で既に半分に幅に折り畳まれており、従って幅が半分(層が二重)であるフィルタペーパーウエブを処理するだけでよいので、処理及び加工装置のための構造スペースはさらに減少される。特に、マークを設けるための装置において、幅が半分であるフィルタペーパーウエブを処理するだけでよいので、これによって、マークを設けるための装置の構造寸法は小さくて済む。
【0006】
本発明による方法の有利な実施態様によれば、フィルタペーパー挿入体をフィルペーパーウエブから分離するのと同時に、フィルタペーパー挿入体にマークを設けるようにした。これによって、2つの作業段階は統合され、それによってプロセスは簡略化される、という利点が得られる。選択的に、フィルタペーパー挿入体を分離する前に、マークを設けてもよい。いずれの実施態様においても、各フィルタペーパー挿入体を処理若しくは加工時に良好にガイドすることができる。何故ならば、フィルタペーパー挿入体は、フィルタペーパーウエブによって互いに接合されているからである。フィルタペーパー挿入体にマーク、例えば記号又は充填レベルマークを設ける作業を、フィルタペーパーウエブからフィルタペーパー挿入体を分離した後で行い、それによって各フィルタペーパー挿入体に、例えば不連続的な作業段階で個別にマークを設けるようにしてもよい。
【0007】
有利な実施態様によれば、マークとして例えば記号又は充填レベルマークがフィルタペーパー挿入体の材料に直接圧刻される。マークの圧刻をフィルタペーパー挿入体の材料に直接設けることによって、添加物例えば着色剤は使用していないので、マークに関する衛生基準をあまり考慮してなくても済む。この場合、マークは、有利な形式で文字及び/又は記号例えばメーカーロゴより成っている。特に有利には、充填レベルマークとしてのマークをフィルタペーパー挿入体に設ければ、特に有利である。これによって、フィルタペーパー挿入体の使用者による充填作業を導くことができる。また、圧刻されたマークによれば、本発明による方法(折り畳み後にマークを設ける)のさらなる利点が得られる。つまり、圧刻されたマークは、折り畳み作業によって損傷を受けることがないか、又はその輪郭が弱められることはない。何故ならば折り畳み作業は既に終わっているからである。
【0008】
本発明の方法の別の有利な実施態様によれば、マークは二重層の両方の層に圧刻されるようになっており、従ってマークはフィルタペーパー挿入体の両側から識別できるようになっている。この場合、特に有利には、圧刻されたマーク例えばメーカーロゴは少なくとも部分的に正の向き(正向きseitenrichtig)でも、また鏡面反転でも圧刻される。これによって、メーカーロゴはフィルタペーパー挿入体若しくはフィルタ壁の各側に正の向きで配置され、読み取られるか若しくは識別される。
【0009】
本発明による方法の特に有利な実施態様によれば、フィルタペーパーウエブをまず連続的に二重層に折り畳む。この場合、折り目をフィルタペーパーウエブの横幅のほぼ中に設け、それによって折り重ねる際に2つのフィルタペーパーウエブ半部が正確に重なり合うようにした。次いで、このようにして形成された二重層が、フィルタペーパー挿入体毎に圧刻によって少なくとも1つのエンボス継ぎ目を設けることによって、繋がった複数のフィルタペーパー挿入体を形成する。この場合、フィルタペーパーウエブより成る二重層の個別の層を、部分的に形状接続(形状による束縛)式に、かつ互いに堅固に接合し、それによって、フィルタペーパー挿入体の輪郭形状をほぼ規定する。次いで各フィルタペーパー挿入体(まだフィルタペーパーウエブに接合されている)に圧刻によってマークを設ける。この圧刻によるマークは、フィルタペーパー挿入体の両側に設けられているが、二重層を接合するものではない。従って、マーク、例えば充填レベルを示すためのラインは、フィルタペーパー挿入体の両側から識別することができる。次いで、前記繋がったフィルタペーパーウエブから複数のフィルタペーパー挿入体を分離して、例えば互いに重ね合わせて、包装する。フィルタペーパーウエブからの切り離しは、切断、打ち抜き又はその他の分離工程によって行われる。
【0010】
本発明による方法のその他の実施態様によれば、フィルタペーパーウエブをまず連続的に二重層に折り畳み、次いでこのようにして形成された二重層に圧刻によって、「接合されていない」マークを設ける。「接合されていない」とは、圧刻が二重層の両側に設けられているが、2つのフィルタペーパー層は接合されていない、ということである。マークを設けた後で、二重層は、少なくとも1つの接合されたエンボス継ぎ目によって部分的に接合され、それによって互いにつながった複数のフィルタペーパー挿入体が形成される。次いで、これらのフィルタペーパー挿入体は、カットロールによってフィルタペーパーウエブ若しくは二重層から切り離され、さらに処理される。本発明による前記方法の実施態様との相違点は、「接合されていない」マークの圧刻が、二重層を部分的に接合するエンボス継ぎ目の圧刻の前に行われる。
【0011】
本発明による方法の別の実施態様によれば、エンボス継ぎ目の圧刻も、マークの圧刻も、それぞれ例えば可動な又は定置の支持体上に押し付けられる圧刻ロールによって行われる。この場合、支持体は、マークのための接合されていない圧刻と、エンボス継ぎ目のための接合された圧刻とが実施されるように構成されている。エンボス継ぎ目の圧刻のためにも、またマークの圧刻のためにも、それぞれ1つの圧刻ロール対が設けられていれば、有利である。何故ならば、2つのロールを連続的に運動させることによって、圧刻工程をフィルタペーパーウエブ全体に亘って実施することができる。
【0012】
必要な構造スペースをさらに減少させるために、及び本発明による方法を全体的に簡略化するために、エンボス継ぎ目の圧刻、つまり2つのフィルタ層の接合と、マークの圧刻とを、1回の作業段階で行うようにすれば、特に有利である。この作業段階のためには、単に1つの圧刻ロール及び、これに対応する対抗プレートを設けるだけでよい。この場合、エンボス継ぎ目は、2つのフィルタ層間の形状結合式の接合として圧刻され、また、フィルタ層をマーキングによって接合することなしに、マーキングも行われる。2つの方法段階を1つの方法段階にまとめることによって、作業コストを著しく低減することができる。この方法のために、エンボス継ぎ目による2つのフィルタ層を接合する圧刻も、またマーキングによる2つのフィルタ層を接合しない圧刻も、1回の方法段階で行う、唯一の圧刻ロール対だけを設ければ有利であることが分かった。
【0013】
本発明による方法の特に有利な実施態様によれば、フィルタペーパーウエブからのフィルタペーパー挿入体の分離を、1つのカットロール対を有するカットロールによって実施し、このカットルールが、個別のフィルタペーパー挿入体をフィルタペーパーウエブから連続的に切り離すようにした。発生した切り落とし屑は、このプロセスから取り除かれる。非常に有利な実施例によれば、分離過程のために切断ロール対が設けられており、この場合特に、第1の第1の切断ロール対に例えば溝が設けられており、この溝内に、第2のカットロールの切断カッタが係合し、この際にフィルタペーパー挿入体を切り離すようにした。さらに、有利な形式で選択的に、異形成形されていない第1のカットロールが設けられている。
【0014】
フィルタペーパーウエブからフィルタペーパー挿入体を製造する作業は、連続的なプロセスで行われるので、フィルタペーパーウエブを2重層に折り畳む作業も、連続的なプロセスとして構成されるべきである。このために、折り畳みプロセスを、フィルタペーパーウエブを折り畳み三角部を介してガイドすることによって実施すれば、有利であることが分かった。これによって、フィルタペーパーウエブを一様に、かつ連続的にほぼその長手方向に延在する中心線に沿って折り畳むことが可能である。この場合、折り畳み三角形若しくは折り畳み領域は、相応に長く構成されており、折り畳み工程によるフィルタペーパーウエブの損傷は確実に避けられる。フィルタペーパーウエブの両側は、折り畳み工程時にそれぞれ90゜回転せしめられる。このフィルタペーパーを回転させる際に、フィルタペーパーウエブが引き裂かれないようにするために、相応の長さ区分に亘って角度変化をゆっくりと実施する必要がある。
【0015】
折り畳み後に、フィルタペーパーウエブは、二重層が形成されるように折り畳まれる。この二重層は、折り畳み工程後に有利な形式で少なくとも1つの絞りローラによって、フィルタペーパーウエブにおける折り畳み襞の形成が阻止されるように、ガイドされる。絞りローラの代わりに、二重層を同様にガイドすることができる絞りロッドを設けてもよい。特に有利には、絞りローラ若しくは絞りロッドが1対で設けられており、それによってフィルタペーパーウエブは2つの絞りローラ若しくは絞りロッド間を通ってガイドされ、一様な負荷が保証される。有利な形式で、二重層は、絞りローラ若しくは絞りロッドを通ってガイドされた後、変向ローラによってほぼ90゜変向せしめられ、それによってフィルタペーパーウエブを特に水平位置でさらに加工することができる。
【0016】
本発明による方法の有利な実施態様によれば、マークの圧刻を、母型と父型との協働作業による圧刻工程によって行うようにした。マークを圧刻によって形成しても、2つのフィルタペーパー層が互いに接合されることがないように、マークの圧刻を父型と弾性的な対抗プレートとから形成すれば、有利であることが分かった。マークのための、このような圧刻装置を形成することによって、二重層が一緒に圧刻されること、つまり2つのフィルタペーパー層が接合されることは確実に阻止される。何故ならば、弾性的な対抗プレートは、接合を行う圧刻のために不十分な対抗部材を形成するからである。この場合、有利には、弾性的な対抗プレートは、シリコーンゴム、天然ゴム又は例えば木より成っている。
【0017】
本発明による方法の特に有利な実施態様によれば、母型及び父型をロールの形状に構成するようにした。これによって、マークの圧刻も1つの連続的なプロセスで行うことができる。この場合特に、前記母型の表面領域が弾性的な材料より成っており、この弾性的な材料として、特にシリコーンゴム又は天然ゴム、有利には木が設けられている。マークを圧刻成形する際に、父型の表面構造若しくは父型ダイを、弾性的な表面を備えた母型ロールに押し付け、この際に、マークが圧刻されるが、2つのフィルタペーパー層が接合されることのない圧刻が形成される。
【0018】
特に有利には、母型ロールの弾性的な領域は、母型ロールの表面の所定の部分領域に亘ってのみ延在しており、それによって、残りの領域を、接合を生ぜしめる圧刻のために提供することができる。このような構成によって、特に接合を行う圧刻も、また接合しない圧刻つまりマークを付けるだけの圧刻も、圧刻ロール対を有する1つの作業段階で行うことができる。有利な実施態様によれば、母型だけ又は父型だけをロールとして構成し、それぞれ、面状に構成された可動な対抗領域に押し付けるか、若しくはこの対抗領域をロールに押し付け、この際に、ロールの表面が弾性的に構成されていて、対抗プレートが父型ダイを有しているか又はその逆である。
【0019】
本発明による方法を実施するための特別な手段によれば、フィルタペーパーウエブからフィルタペーパー挿入体を製造するための装置であって、前記フィルタペーパーウエブを二重層に折り畳む折り畳み段階を実施するための折り畳み装置と、前記二重層を部分的に接合するための第1の圧刻装置と、前記フィルタペーパー挿入体にマークを設けるマーキング段階を実施するための第2の圧刻装置と、前記二重層から前記フィルタペーパー挿入体を分離する分離段階を実施するための切断装置とを有している。この装置は、フィルタペーパーウエブを処理する第1の装置として折り畳み装置が設けられていて、この折り畳み装置によってフィルタペーパーウエブはその幅の半分が二重層に折り畳み可能であるように構成されている。折り畳み装置の後ろに第1の圧刻装置(第1の圧刻ロール対)が配置されていて、この第1の圧刻装置は、これによって二重層の2つの層が堅固なエンボス継ぎ目によって互いに接合可能なように、構成されている。エンボス継ぎ目は、製造しようとするフィルタペーパー挿入体の外側輪郭形状をほぼ規定する。接合を実施するための圧刻ロール対の後ろに、第2の圧刻装置(第2の圧刻ロール対)が配置されており、この第2の圧刻装置によって、フィルタペーパー挿入体は圧刻によってマーキングされる。この場合、第2の圧刻ロール対の圧刻ロールは、マークの圧刻によって、二重層の2つの層が接合されないように、構成されている。本発明による装置の最後の構成手段として切断装置(切断ロール対)が配置されており、この切断装置によって、本発明の装置によって接合され、マーキングされたフィルタペーパー挿入体が、二重層若しくはフィルタペーパー挿入体から取り出されるようになっている。
【0020】
本発明による方法を実施するための若しくはフィルタペーパー挿入体を製造するための、本発明の別の装置によれば、唯一の圧刻ロール対と1つの切断ロール対とを有する折り畳み装置が設けられており、この場合、圧刻ロール対は、圧刻ロール対によって、1回の方法段階で、接合されたエンボス継ぎ目と、接合されないマークとを圧刻することができるように、構成されている。このような本発明の装置によれば、フィルタ挿入体を接合し、マーキングするために1つのロール対を必要とするだけである、という利点が得られる。
【0021】
本発明の付加的な装置によれば、折り畳み装置と、圧刻ロール対と切断ロール対とが設けられており、切断ロール対が、分離工程と同時に、フィルタペーパー挿入体の接合しない圧刻を実施することができる。このために、切断ロールに、例えば切断カッタだけではなく、マークを圧刻するための付加的な複数の凸部が設けられていて、対抗ロールに対応する凹部が設けられている。
【0022】
以上のような方法及び装置に加えて、本発明は付加的に1つの母型ロールを有しており、この母型ロールは、マークを圧刻するための弾性的な表面領域と、エンボス継ぎ目を圧刻するための硬い表面領域を有している。マークを圧刻するための弾性的な表面領域は、圧刻しようとする父型が弾性的な表面領域と協働し、それによって、父型と弾性的な表面領域との間に供給されたフィルタペーパーウエブは、マークが圧刻されるが、接合されることはない。エンボス継ぎ目を圧刻するための、相応の複数の凸部及び/又は凹部を備えた、母型ロールの堅固な表面領域は、この母型ロールの堅固な表面領域に設けられた凸部及び/又は凹部と、父型の凸部及び/又は凹部とが協働して、堅固なエンボス継ぎ目が形成され、二重層の2つの層を少なくとも部分的に互いに接合するために、設けられている。父型ダイと弾性的な対抗領域とが協働することによって、接合されない圧刻が形成され、これに対して、複数の凸部及び/又は凹部を有する、ほぼ非弾性的な2つの表面領域が協働することによって、接合された圧刻が形成されるようになっている。
【0023】
本発明による方法及び装置の多くの変化実施例が可能である。本発明の可能な実施例は、独立請求項に従属する従属請求項に記載されており、また以下の図面に示した実施例に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による方法を実施するための装置を背面図である。
【図2】本発明による方法を実施するための、図1に示した装置の主要部分を示す概略図である。
【図3】本発明による方法を実施するための、図1及び図2に示した装置の概略的な側面図である。
【図4】本発明による方法の有利な実施態様を実施するための、母型ロールの部分的な展開図である。
【図5】本発明による方法の有利な実施態様を実施するための、父型ロールの部分的な展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による方法を実施することができる装置を示す。フィルタペーパー挿入体を製造するための本発明による方法は、次のような方法段階を有している。フィルタペーパーウエブ2を二重層3に連続的に折り畳む折り畳み段階Aと、少なくとも1つのエンボス継ぎ目4によって、複数の繋がったフィルタペーパー挿入体1に部分的に接合する接合段階Bと、フィルタペーパー挿入体1にマーク5を付けるマーキング段階Cと、フィルタペーパーウエブ2からフィルタペーパー挿入体1を分離するか若しくは二重層3からフィルタペーパー挿入体1を分離する分離段階Dとを有している。図1に示した装置は、二重層3をエンボス継ぎ目4に接合する接合段階Bを実施する第1の圧刻ロール6と、マーキング段階Cによってマーク5を付けるための第2の圧刻ロール7と、カットロール8と、変向ローラ10と、絞りローラ11とを有している。エンボス継ぎ目4のための第1の圧刻ロール6と、マーク5のための第2の圧刻ロール7と、カットロール8と、絞りローラ11とは、それぞれ一対で設けられているので、それぞれ1つの第1の圧刻ロール対6aと、第2の圧刻ロール対7aと、カットロール対8aと、集合ロール対11aとが得られる。エンボス継ぎ目8のための第1の圧刻ロール6と、マーク5のための第2の圧刻ロール7と、カットロール8とは、図1では、相応のロールの中心線として示されているだけである。
【0026】
この方法を実施するための、図1に示した有利な装置において、フィルタペーパーウエブ2が下方から上方へ向かって折り畳み三角部9を介してガイドされ、それによってフィルタペーパーウエブ2から、折り畳み段階Aを介して二重層3が形成される。この場合、フィルタペーパーウエブ2は、その幅の半分に折り畳まれるので、二重層3はフィルタペーパーウエブ2の幅の約半分の幅を有している。折り畳み三角形9による折り畳み段階Aの後、形成された二重層3は、折り畳み三角形9の上側で、2つの絞りローラ11より成る絞りローラ対11aによってガイドされる。絞りローラ対11aでガイドすることによって、フィルタペーパーウエブ1若しくは二重層3の損傷は阻止される。次いで、二重層3は変向ローラ10によってその垂直位置から水平位置に約90゜変向せしめられる。次いで、二重層3は、圧刻ロール対6a間に侵入し、ここで二重層3がエンボス継ぎ目4によって部分的に接合される。エンボス継ぎ目4は、二重層3の2つの層を堅固に結合し、かつフィルタペーパー挿入体1の外側縁部を規定する。次いで、二重層3はエンボス継ぎ目4と共に、圧刻ロール対7a間にガイドされ、ここで圧刻されたマーク5によってマーキング段階Cが実施される。マーク5は、二重層3の両方の層に圧刻されるが、この場合、2つの層が結合されることはない。次いで、フィルタペーパー挿入体11がフィルタペーパーウエブ2からカットロール対8aによって分離段階Dで分離される。フィルタペーパー挿入体1がフィルタペーパーウエブ2から分離されると、複数の単独のフィルタペーパー挿入体1が得られ、同じ数の切り落とし屑12が発生する。切り落とし屑12は、この工程から取り除かれ、場合によっては再利用される。
【0027】
図2は、本発明による方法を実施するための、図1に示した装置の背面図を示す。フィルタペーパーウエブ2は、下方から上方に向かって折り畳み三角部9を介してガイドされ、これによって、フィルタペーパーウエブ2から二重層3が折り畳まれる折り畳み段階Aが実施される。折り畳み三角形9の上部領域において、二重層3は絞りローラ対11aによって受容され、次いで変向ローラ10によって約90゜だけ変向せしめられ、二重層3が水平方向でさらに処理される。次いで、第1の圧刻ロール対6aによるエンボス継ぎ目4を形成する接合段階B、第2の圧刻ロール対7aによる圧刻されたマーク5を形成するマーキング段階C、カットロール対8aによりフィルタペーパー挿入体を二重層3から分離する分離段階Dが実施される。
【0028】
図3は、本発明による方法を実施するための、図1及び図2に示した装置の側面図を示す。水平にガイドされたフィルタペーパー挿入体2は、この構成において、まず第2の変向ローラ13によって水平な走行方向に変向され、それによって下方から上方に向かって、折り畳み三角部9を介してガイドされて、フィルタペーパーウエブ2が二重層3に折り畳まれる。次いで、二重層3は絞りローラ対11aによってガイドされ、変向ローラ10によって変向され、水平方向でさらに処理される。
【0029】
図4には、父型ロール14の展開図の一部が示されており、この父型ロール14は、圧刻ロールとして(圧刻ロール対6a,7aの一部として)、フィルタペーパー挿入体を圧刻する。図示の父型ロール14の表面は、エンボス継ぎ目4を形成する第1の圧刻ロール6の機能性と、マーク5を圧刻する第2の圧刻ロール7の機能性とを組み合わせたものであって、エンボス継ぎ目4及びマーク5が、1回の作業段階で唯一の圧刻ロール対によって若しくは唯一の圧刻ロールによって圧刻されるようになっている。このために、図4に示した圧刻ロール14の表面は、エンボス継ぎ目4を形成するための複数の凸部4aも、またマーク5を形成するための複数の凸部5aも有している。
【0030】
図5には、母型ロール15の展開図の一部が示されており、この母型ロール15は、図4に示した父型ロール14と共に1つの圧刻ロール対を形成している。この場合、母型ロール15の表面は、複数の凹凸部4bを有しており、これらの凹凸部4bは、父型ロール14の複数の凸部4aに対応しているので、堅固なエンボス継ぎ目を有する接合された圧刻部が得られる。さらにまた、母型ロール15の表面は表面領域16を有しており、この表面領域16内の表面は例えばシリコーン又は天然ゴムより成っている。このような弾性的な表面領域16によって、父型ロール14の凹部5aが、フィルタペーパー挿入体にマークを圧刻することができ、この際に、表面領域16の弾性は、フィルタペーパー挿入体の二重層が、圧刻されたマークによって互いに接合されるのを阻止する。
【符号の説明】
【0031】
1 フィルタペーパー挿入体、 2 フィルタペーパーウエブ、 3 二重層、 4 エンボス継ぎ目、 4a エンボス継ぎ目を形成するための凸部、 4b エンボス継ぎ目を形成するための凹凸部、 5 マーク、 5a マークを形成するための凸部、 6 エンボス継ぎ目のための圧刻ロール、 6a エンボス継ぎ目のための圧刻ロール対、 7 マークのための圧刻ロール、 7a マークのための圧刻ロール対、 8 カットロール、 8a カットロール対、 9 折り畳み三角部、 10 変向ローラ、 11 絞りローラ、 11a 絞りローラ対、 12 切り落とし屑、 13 第2の変向ローラ、 14 父型ロール、 15 母型ロール、 16 表面領域、 A 折り畳み段階、 B 接合段階、 C マーキング段階、 D 分離段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタペーパーウエブ(2)を二重層(3)に連続的に折り畳む折り畳み段階(A)と、前記二重層(3)を部分的に接合して、少なくとも1つのエンボス継ぎ目(4)によって繋がっている複数のフィルタペーパー挿入体(1)を形成する接合段階(B)と、前記フィルタペーパーウエブ(2)から前記繋がった複数のフィルタペーパー挿入体(1)を分離するための分離段階(D)とを有している、フィルタペーパー挿入体(1)を製造するための方法において、
前記折り畳み段階(A)後に、前記フィルタペーパー挿入体(1)にマーク(5)を設けるマーキング段階(C)を実施することを特徴とする、フィルタペーパー挿入体(1)を製造するための方法。
【請求項2】
前記マーク(5)を、フィルタペーパーウエブ(2)からフィルタペーパー挿入体(1)を分離する前記分離段階(D)と同時に設けるか、又は選択的に、フィルタペーパーウエブ(2)からフィルタペーパー挿入体(1)を分離する前記分離段階(D)の前に、前記マーキング段階(C)を実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
殊に文字及び/又は記号より成り、有利には充填レベルマークより成る前記マーク(5)をフィルタペーパー挿入体(1)に圧刻する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記マーク(5)を前記二重層(3)の両方の層に圧刻し、圧刻された前記マーク(5)が、少なくとも部分的に正の向きでも、また正の向きに対して鏡面反転した向きでも圧刻され、それによってマーク(5)の一部が、単数又は複数のフィルタ壁の各側に正の向きで配置されるようにする、請求項1又は3記載の方法。
【請求項5】
前記フィルタペーパーウエブ(2)をまず連続的に二重層(3)に折り畳み、前記二重層(3)を圧刻によって少なくとも1つのエンボス継ぎ目(4)を設けて部分的に接合し、それによって繋がった複数のフィルタペーパー挿入体(1)を形成し、次いで前記フィルタペーパー挿入体(1)に圧刻によってマーク(5)を設け、次いで前記繋がった前記複数のフィルタペーパー挿入体(1)を分離する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記フィルタペーパーウエブ(2)をまず連続的に二重層(3)に折り畳み、前記フィルタペーパー挿入体(1)に圧刻によってマーク(5)を設け、次いで前記二重層(3)に圧刻によって少なくとも1つのエンボス継ぎ目(4)を設けて、部分的に接合され繋がった前記複数のフィルタペーパー挿入体(1)を形成し、次いでフィルタペーパー挿入体(1)を二重層(3)から分離する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記エンボス継ぎ目(4)及び/又は前記マーク(5)の圧刻を、有利にはそれぞれ1つの圧刻ロール対(6a,7a)を備えたそれぞれ1つの圧刻ロール(6,7)によって実施する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
2つのフィルタ層のエンボス継ぎ目(4)の圧刻と、前記マーク(5)の圧刻とを、殊に唯一の圧刻ロールによって、有利には唯一の圧刻ロール対によって1回の作業段階で実施する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
フィルタペーパーウエブ(2)からのフィルタペーパー挿入体(1)の分離を、有利には1つのカットロール対(8a)を有するカットロール(8)によって実施する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
フィルタペーパーウエブ(2)を二重層(3)に折り畳む前記折り畳み段階(A)を、折り畳み三角部(9)を介してフィルタペーパーウエブ(2)をガイドすることによって行う、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記折り畳み段階(A)後にフィルタペーパーウエブ(2)を少なくとも1つの絞りローラ(11)又は少なくとも1つの絞りロッドによってガイドし、殊に変向ローラ(10)によって変向させ、有利には一対の絞りローラ(11)又は絞りロッドを設ける、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記マーク(5)の圧刻を母型/父型を用いた圧刻によって行い、有利には前記母型/父型を、殊に父型と、シリコーンゴム、天然ゴム又は木より成る弾性的な対抗プレートとから形成する、請求項1から7又は9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記母型及び/又は父型をロールとして構成し、ロールとして構成された前記母型の表面領域を弾性的な材料、殊にシリコーンゴム又は天然ゴム、有利には木より形成し、殊に有利には前記弾性的な材料より成る領域を、前記母型(15)の表面領域だけに亘って延在させるようにする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
フィルタペーパーウエブ(2)からフィルタペーパー挿入体(1)を製造するための装置であって、前記フィルタペーパーウエブ(2)を二重層(3)に折り畳む折り畳み段階(A)を実施するための折り畳み装置と、前記二重層(3)を部分的に接合するための第1の圧刻装置と、前記フィルタペーパー挿入体(1)にマークを設けるマーキング段階(C)を実施するための第2の圧刻装置と、前記二重層(3)から前記フィルタペーパー挿入体(1)を分離する分離段階(D)を実施するための切断装置とを有している形式のものにおいて、
前記フィルタペーパーウエブ(2)が前記折り畳み装置によって二重層(3)に折り畳まれ、前記フィルタペーパーウエブ(2)が前記折り畳み装置の後ろに配置された第1の折り畳み装置によってエンボス継ぎ目(4)で接合され、前記フィルタペーパーウエブ(2)が接合段階(B)を実施するための第1の圧刻装置に後続する第2の圧刻装置によって圧刻によりマークを設けることができ、前記フィルタペーパーウエブ(2)が前記マークを設けるマーキング段階(C)を実施するための前記第2の圧刻装置に後続する切断装置によって分離され、前記第1の圧刻装置が殊に第1の圧刻ロール対(6a)として構成されていて、前記第2の圧刻装置が殊に第2の圧刻ロール対(7a)として構成されていて、前記切断装置が殊に切断ロール対(8a)として構成されていることを特徴とする、フィルタペーパーウエブ(2)からフィルタペーパー挿入体(1)を製造するための装置。
【請求項15】
フィルタペーパー挿入体(1)を製造するための装置であって、折り畳み装置と、圧刻ロール対と切断ロール対(8a)とを有している形式のものにおいて、
前記圧刻ロール対によって、接合されたエンボス継ぎ目及び接合されていないマークを圧刻することができることを特徴とする、フィルタペーパー挿入体(1)を製造するための装置。
【請求項16】
前記圧刻ロール対が、接合されたエンボス継ぎ目(4)のための母型/父型組合せと、マーキング(C)のための父型/弾性的な対抗プレート組合せとを有している、請求項15記載の装置。
【請求項17】
フィルタペーパー挿入体(1)を製造するための装置であって、折り畳み装置と、接合のための圧刻ロール対(7a)と、切断ロール対(8a)とを有している形式のものにおいて、
切断ロール対によって、接合されないマークを圧刻することができることを特徴とする、フィルタペーパー挿入体(1)を製造するための装置。
【請求項18】
母型ロール(15)において、前記マーク(5)を圧刻するための弾性的な表面領域(16)と、エンボス継ぎ目(4)を圧刻するための凸部及び/又は凹部(4b)を備えた硬い表面領域を有していることを特徴とする、母型ロール(15)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−194321(P2010−194321A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39511(P2010−39511)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(510052539)ゲーエフエム マシーネンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】GFM Maschinenbau GmbH
【住所又は居所原語表記】Karlstrasse 1, D−45739 Oer−Erkenschwick, Germany
【Fターム(参考)】