説明

フィルタユニット

【課題】濾材の交換や廃棄を簡便に行うことができ、空気調和機等に使用される気密性の優れたフィルタユニットを提供すること。
【解決手段】本発明のフィルタユニットは、直方体状の枠体の対向する一組の横面の一方を空気流入口、他方を空気流出口とし、もう一組の横面と横面の間に複数の軸部材を上下方向に一つの軸部材が空気流入口側に位置すればその上下の軸部材は空気流出口側に位置するといったような配置で互い違いに橋渡し、シート状濾材を上記のように橋渡した軸部材に引っ掛けることでジグザグ状に張設して濾過部を形成し、張設したシート状濾材の一端を巻取装置で巻き取ることができるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾材の交換や廃棄を簡便に行うことができ、空気調和機等に使用される気密性の優れたフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機等に使用されているフィルタユニットとしては、四角枠体内にジグザグ状に成形された濾材を収容したものがある。例えば特許文献1には、図6に示したように、下枠40とそれが挿入嵌合される上枠41のそれぞれに櫛歯状パッキン42,43を設け、櫛歯状パッキン42,43でジグザグ状に成形された濾材44の両縁部を挟持し、濾材と枠体との気密性を櫛歯状パッキンで確保して構成されたものが記載されている。しかし、このフィルタユニットで使用される濾材は、定期的に交換する必要があるので、交換時には、下枠と上枠を分離して、使用済みの濾材を取り外し、新しい濾材を組み込まなければならなかった。また、このフィルタユニットには、作業時に濾材に付着していた塵埃が飛散して周囲を汚染するという問題があった。このように塵埃が飛散する状態の中で、交換作業者は不快な作業を強いられていた。さらに、ジグザグ状に成形された濾材には、その形態を保持するために、例えば有機物樹脂等からなる間隔保持材が設けられており、廃棄時に濾材の容積を小さくすることが難しいという問題があった。
【0003】
フィルタユニットの濾材の交換は、その回数を少なくして可能な限り簡便に行えることが望ましく、交換された使用済みの濾材はできるだけ容積を小さくして廃棄できることが望ましい。このような要求に応えるための態様の一つとして、特許文献2には、濾材の交換を簡便に行うことができる、濾材の巻き取りと巻き出しを可能にしたカートリッジ方式のロール状フィルタを備えたものが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平3−267634号公報
【特許文献2】実開平7−25265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に記載されている態様では、濾材の交換を簡便に行うことができるものの、濾材と枠体との気密性を確保することは難しいという問題があった。このためこのようなロール状フィルタは、通常、プレフィルタ用のフィルタユニットに用いられており、プレフィルタよりも気密性が要求される捕集効率の高い中性能フィルタ等には用いることができなかった。
そこで、本発明は、濾材の交換や廃棄を簡便に行うことができ、空気調和機等に使用される気密性の優れたフィルタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィルタユニットは、請求項1記載の通り、直方体状の枠体の対向する一組の横面の一方を空気流入口、他方を空気流出口とし、もう一組の横面と横面の間に複数の軸部材を上下方向に一つの軸部材が空気流入口側に位置すればその上下の軸部材は空気流出口側に位置するといったような配置で互い違いに橋渡し、シート状濾材を上記のように橋渡した軸部材に引っ掛けることでジグザグ状に張設して濾過部を形成し、張設したシート状濾材の一端を巻取装置で巻き取ることができるようにしたことを特徴とする。
また、請求項2記載のフィルタユニットは、請求項1記載のフィルタユニットにおいて、シート状濾材がロールフィルタ状カートリッジから供給されるようにしたことを特徴とする。
また、請求項3記載のフィルタユニットは、請求項1または2記載のフィルタユニットにおいて、ジグザグ状に張設したシート状濾材の両縁部を挟持するための互いにかみ合う一対の櫛歯状パッキンを、軸部材を橋渡した一組の横面のそれぞれに設けたことを特徴とする。
また、請求項4記載のフィルタユニットは、請求項3記載のフィルタユニットにおいて、一対の櫛歯状パッキンの少なくとも一方を可動なものとしてシート状濾材に対する挟持と開放を自由に行えるようにしたことを特徴とする。
また、請求項5記載のフィルタユニットは、請求項1乃至4のいずれかに記載のフィルタユニットにおいて、ロールフィルタ状カートリッジおよび/または巻取装置を枠体内に収容するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルタユニットは、枠体内でジグザグ状に張設したシート状濾材を巻取装置で巻き取るようにしたので、使用済みの濾材を容積を小さくして廃棄することができる。使用済みの濾材は、巻き取られた状態で廃棄用袋等の廃棄用包装体に収納して廃棄すればよく、塵埃が周囲に飛散しにくいという利点を有する。
また、シート状濾材をロールフィルタ状カートリッジから供給されるようにした場合は、使用済みの濾材を巻き取ると同時に、このカートリッジから新しい濾材を引き出すことで、濾材の交換を簡便に行うことができる。
また、フィルタユニットに一対の櫛歯状パッキンを設けた場合は、ジグザグ状に張設したシート状濾材と枠体との気密性を櫛歯状パッキンで確保することができる。従って、本発明のフィルタユニットは、プレフィルタよりも高い捕集効率が望まれる中性能フィルタ用のフィルタユニットとしても用いることができる。
また、一対の櫛歯状パッキンの少なくとも一方を可動なものとしてシート状濾材に対する挟持と開放を自由に行えるようにした場合は、スムーズに濾材の交換ができる。
また、枠体内にロールフィルタ状カートリッジや巻取装置を収容するようにした場合は、これらもフィルタユニットとして一体的に取り扱うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のフィルタユニットの実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本発明を説明するに当たって使用している「上下」「横」「左右」といった規定は、本発明の理解を容易ならしめるためだけに便宜上使用しているに過ぎず、本発明のフィルタユニットの3次元上の取り付け方向等はこの規定によって制限を受けるものではない。
【0009】
図1は本発明のフィルタユニット1の概略構成を示す説明図である。本発明のフィルタユニット1は、フィルタユニット1のケーシングとなる直方体状の枠体1’の対向する一組の横面の一方(図の左手)を空気流入口、他方(図の右手)を空気流出口とし、もう一組の横面5(図の手前)と横面(図の奥)の間に複数の棒状の軸部材4a,4bを、軸部材4aが空気流入口側に位置し、その上下の軸部材4bは空気流出口側に位置するという配置で、軸部材4a同士と軸部材4b同士がそれぞれ上下方向に一列となるように互い違いに橋渡し、シート状濾材7をこのように橋渡した軸部材4a,4bに引っ掛けることでジグザグ状に張設して濾過部を形成し、張設したシート状濾材7の一端を巻取装置8で巻き取ることができるようにしたものである。
また、軸部材4cと軸部材4dは、枠体1’の空気流入口側と空気流出口側の中間位置に橋渡され、シート状濾材7を供給するためのロールフィルタ状カートリッジ6を枠体1’の内部に収容するためのスペースを確保している。同様に、軸部材4eと軸部材4fは、枠体1’の空気流入口側と空気流出口側の中間位置に橋渡され、巻取装置8を枠体1’の内部に収容するためのスペースを確保している。
【0010】
本実施の形態において、ロールフィルタ状カートリッジ6は、枠体1’の上面2の近くの空気流入口側に設置され、巻取装置8は、下面3の近くの空気流入口側に設置されている。ロールフィルタ状カートリッジ6から引き出されたシート状濾材7を、上面2と軸部材4cの間を通過させた後、順次、軸部材4b,4d,4b,4a,・・・・4b,4e,4bに引っ掛けてジグザグ状に張設し、最後に、下面3と軸部材4fの間を通過させて、巻取装置8の巻取用ロールに保持した紙の筒9にテープ等で連結する。シート状濾材7は、上面2と軸部材4c、下面3と軸部材4fにより挟持されることで、上面2と下面3との気密性が確保される。
【0011】
巻取装置8は、例えば巻取用ロールを回転させるためのハンドルを備えており、このハンドルを動かして巻取用ロールを回転させることで、使用済みのシート状濾材7を紙の筒9に巻き付けることができる。また、使用済みの濾材が巻取装置8で巻き取られると同時に、ロールフィルタ状カートリッジ6から新しい濾材が引き出され、順次、軸部材4c,4b,4d,4b,4a,・・・・4b,4fに引っ掛けられてジグザグ状に張設される。巻取装置8で巻き取られた使用済みの濾材は、使用済み濾材が巻き付いた紙の管9ごと巻取用ロールから取り外して、容積が小さい状態で簡便に廃棄することができる。なお、使用済み濾材は、塵埃等が付着しているので、廃棄用袋等の廃棄用包装体に収納してから廃棄することが好ましい。
【0012】
また、図1における符号10は、ロールフィルタ状カートリッジ6の予期しない回転を防止するためのストッパーである。このストッパー10の作用により、ロールフィルタ状カートリッジ6から余分なシート状濾材7が引き出されてジグザグ状の張設状態が弛むことがないようにしている。
【0013】
ロールフィルタ状カートリッジ6は、枠体1’の内部に濾過部を2回分以上形成できるに足る長さのシート状濾材7をロールに巻いたものを用いることが好ましい。ロールフィルタ状カートリッジ6は、一般的な大きさのフィルタユニット(縦610mm×横610mm×高さ290mm)に収容することができるように、厚さ約0.4mmの濾材を巻回した直径195〜215mmのものを用いることが好ましい。
【0014】
また、本発明のフィルタユニットには、図2に示すように、互いにかみ合う一対の櫛歯状パッキン11a,11bを、軸部材4a,4b,4c,4d,4e,4fを橋渡した一組の横面のそれぞれに設け、軸部材に引っ掛けてジグザグ状に張設したシート状濾材7の両縁部を軸部材とともに挟持してクリンプ式にシールするようにしてもよい。一対の櫛歯状パッキン11a,11bでシート状濾材7の両縁部を軸部材とともに挟持することで、枠体1’の内部における濾過部の気密性の確保がより確実に行える。なお、櫛歯状パッキン11a,11bは、例えば軸部材を橋渡した横面にポリプロピレン樹脂を所定形状に塗付し固化させることで形成すればよい。また、この一対の櫛歯状パッキンの少なくとも一方を、図3に示すように、例えばスライド式に可動なものとしてシート状濾材に対する挟持と開放を自由に行えるようにすれば、開放時にシート状濾材7を自在に移動させることができるので、巻取装置8で使用済みのシート状濾材7をスムーズに巻き取ることができる。
【0015】
図4は、本発明のフィルタユニットの他の実施の形態を示している。このフィルタユニット12において、ロールフィルタ状カートリッジ6は、枠体12’の上面2の近くの空気流出口側に設置され、巻取装置8は、下面3の近くの空気流出口側に設置されている。このように巻取装置8をフィルタユニット12の空気流出口側に収容する場合は、その周囲に遮蔽板13を設けることで空気流出口と区画し、巻取装置8で巻き取られた使用済み濾材から付着している塵埃が清浄化された空気中に飛散しないようにしている。本実施の形態においては、巻取装置8の周囲を区画した遮蔽板13の一部に開閉自在な扉13aを設け、この扉13aを開閉して、巻き取った使用済みの濾材の取り出しや、新たな紙の筒9の交換を行うようにしている。
【0016】
図5は、本発明のフィルタユニットの他の実施の形態を示し、このフィルタユニット20は、ロールフィルタ状カートリッジ27と巻取装置29を、枠体20’の内部に収容せず、その外部に設置している。なお、図5は、2つの開口部32を有するフィルタ取付枠31に、2台のフィルタユニット20を並列に取り付けた状態を示している。本実施の形態において、フィルタユニット20は、その両側がスタットボルト24,26でフィルタ取付枠31に固定され、このスタットボルト24,26で、フィルタユニット20の空気流入側にロールフィルタ状カートリッジ27を収容した収納台23と巻取装置29を収容した収納台25が固定されている。枠体20’の内部における軸部材22a,22bとシート状濾材28の構成は前述の通りである。
本実施の形態のように、ロールフィルタ状カートリッジ27と巻取装置29を枠体20’の外部に設置した場合は、枠体20’の内部のスペース全体を使って、シート状濾材28を張設して濾過部とすることができるので、清浄化する空気を通過させる濾材の面積を拡大することができるという利点がある。
【実施例】
【0017】
次に、本発明の実施例、比較例および従来例のフィルタユニットについて説明する。
【0018】
(実施例)
本実施例において、フィルタユニットは、その外形寸法が縦610mm×横610mm×高さ290mmで、図1と図3に示した構成を有するものとした。棒状の軸部材はステンレス製とし、合計20本用いた。ロールフィルタ状カートリッジは、縦幅585mm、長さ72m、目付68g/m2、厚さ0.4mmの中性能フィルタ用濾材であるガラス繊維不織布製濾材を芯部材にロール状に巻回した直径210mmのものを用いた。枠体の内部にジグザグ状に張設したシート状濾材の大きさは、約3m2であった。なお、ロールフィルタ状カートリッジにロール状に巻回したシート状濾材の長さ(72m)は、フィルタユニットに濾材を2回、ジグザグ状に張設できる長さに相当する。ロールフィルタ状カートリッジの予期しない回転を防止するためのストッパーはステンレス製とした。櫛歯状パッキンは、ポリプロピレン樹脂製とし、櫛歯本数10本、櫛歯間のピッチ17mmで形成した。
【0019】
(比較例)
本比較例のフィルタユニットは、ロールフィルタ状カートリッジと巻取装置を設置していないこと以外は、実施例のフィルタユニットと同様の構成とした。シート状濾材は、その長さが36mであること以外は、実施例のシート状濾材と同様のものを用いた。
【0020】
(従来例)
本従来例のフィルタユニットは、ロールフィルタ状カートリッジと巻取装置を設置しておらず、さらに櫛歯状パッキンを形成するかわりにシート状濾材の両端部をそれぞれ枠体の上面と下面にウレタン樹脂シール剤で接着し、このシール剤を硬化させることによってシート状濾材を枠体に固定したこと以外は、実施例のフィルタユニットと同様の構成とした。シート状濾材は、その長さが36mであること以外は、実施例のシート状濾材と同様のものを用いた。このフィルタユニットは、シート状濾材が枠体に固定されているので、使用済み濾材をフィルタユニットから取り外して交換することはできないため、フィルタユニット自体を交換するようにした。
【0021】
次に実施例、比較例、従来例のフィルタユニットの基本性能(捕集効率、圧力損失、気密性、粉塵保持容量)を次の方法で測定した。
【0022】
(捕集効率)
捕集効率は、JIS B9908形式2(比色法)に準拠した方法によって測定した。
【0023】
(圧力損失)
圧力損失は、JIS B9908形式1(係数法)に準拠した方法によって測定した。
【0024】
(気密性)
気密性は、フィルタユニットの空気が通過する面に非通気性フィルムを貼って、フィルタユニットから空気の漏洩がないようにし、このフィルタユニットをJIS B9908に準拠したフィルタ性能試験機に装着し、30L/分で運転したときのフィルタユニットからの空気の漏洩具合をJIS B9908に準拠した圧力損失の測定方法によって測定し、下記(1)式により漏洩率を計算し(必要であれば、特開2004−89982号公報を参照)、下記(2)式により算出した。
漏洩率(%)=(出口風量/入口風量)×100・・・(1)
気密性(%)=100−漏洩率(%) ・・・(2)
【0025】
(粉塵保持容量)
粉塵保持容量は、JIS B9908形式3(重量法、試験ダスト:JIS8種)に準拠して、フィルタユニットに面風速2.5m/sで通風し、圧力損失が初期の圧力損失の2倍になった時点の粉塵保持容量を測定した。
【0026】
また、実施例、比較例、従来例のフィルタユニットを、中性能フィルタ用のフィルタユニットとして、空気調和機のプレフィルタの下流側に図5に示すように並列に配置して、濾材またはフィルタユニットの交換時の状態と廃棄物の状態を次のように評価した。
【0027】
(交換回数)
濾材またはフィルタユニットは所定の性能が得られなくなれば交換するようにし、濾材やロールフィルタ状カートリッジをフィルタユニットから取り外した場合や、フィルタユニット自体を空気調和機から取り外した場合を交換回数1として計数した。交換回数が6ヶ月に1回未満の場合は○とし、交換回数が6ヶ月に1回以上の場合は×とした。また、空気調和機に設けたプレフィルタは、2ヶ月に1回交換するようにした。
【0028】
(作業性)
交換時に、塵埃の飛散がない場合は○とし、ある場合は×とした。
【0029】
(廃棄物の重量)
廃棄物の重量が従来例よりも軽い場合は○とし、重い場合は×とした。
【0030】
(廃棄物の容積)
廃棄物の容積が従来例よりも小さい場合は○とし、大きい場合は×とした。
【0031】
また、総合評価として、交換回数、作業性、廃棄物の重量および廃棄物の容積が全て○の場合は○とし、これらの評価のうち一つでも×がある場合は×とした。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1に示すとおり、実施例のフィルタユニットは、中性能フィルタ用のフィルタユニットとして、捕集効率、圧力損失、気密性、粉塵保持容量で表される4つの基本性能を全て十分満たしていた。なお、実施例のフィルタユニットの圧力損失は、比較例や従来例のフィルタユニットよりもやや高くなるものの、粉塵保持容量は比較例や従来例のフィルタユニットよりも優れていた。
実施例のフィルタユニットは、ロールフィルタ状カートリッジから新たな濾材を引き出すことでシート状濾材の交換を行うことができたので、ロールフィルタ状カートリッジを1年間フィルタユニットから取り外すことなく使用を続けることができた。また、使用済みの濾材を巻取装置で巻き取って廃棄することができるので、交換時に濾材に付着した塵埃が周囲に飛散することがなく、交換時の作業性は良好であった。また廃棄物の重量も2.9kgと軽かった。なお、実施例のフィルタユニットは、その重量が15kgであるので、フィルタユニット自体を廃棄する場合よりも廃棄物の重量を1/4以下に削減できた。また、廃棄物の容積も0.02m3(0.02m3は、巻き取られた使用済み濾材の半径105mm2×濾材の縦幅585mm×πの式から導き出される数値)と小さくすることができた。このように巻き取られて容積が小さくなった使用済み濾材は、廃棄物用袋等の廃棄物用包装体に収納して簡単に廃棄することができた。
これに対して、比較例のフィルタユニットは、6ヶ月ごとに濾材をフィルタユニットから取り外して濾材を交換しなければならず、交換作業が煩雑であり、濾材をフィルタユニットから取り外す際に、使用済みの濾材から塵埃が飛散して、周囲を汚染した。また、比較例のフィルタユニットから取り外した使用済み濾材の重量は0.2kgと軽いものの、使用済みの濾材が拡がったままの状態なので容積が大きく、この濾材を廃棄物用袋に詰め込んで廃棄する場合であっても濾材から塵埃が飛散してしまい、取り扱いは困難であった。
また、従来例のフィルタユニットは、6ヶ月ごとにフィルタユニット自体を交換しなければならかった。また、廃棄物の重量がフィルタユニット1台分の重量である15kgと重く、フィルタユニット自体の大きさ0.1m3(0.1m3は、縦610mm×横610mm×高さ290mmの式から導き出される数値)のままで廃棄しなければならなかった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、濾材の交換や廃棄を簡便に行うことができ、空気調和機等に使用される気密性の優れたフィルタユニットを提供することができる点において、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のフィルタユニットの一実施の形態の概略図。
【図2】本発明のフィルタユニットの部分拡大図。
【図3】本発明のフィルタユニットの部分拡大図。
【図4】本発明のフィルタユニットの他の実施の形態の概略図。
【図5】本発明のフィルタユニットの他の実施の形態の概略図。
【図6】従来のフィルタユニットの分解斜視図。
【符号の説明】
【0036】
1 フィルタユニット
1’ 枠体
2 上面
3 下面
4a,4b,4c,4d,4e,4f 軸部材
5 横面
6 ロールフィルタ状カートリッジ
7 シート状濾材
8 巻取装置
9 紙の筒
10 ストッパー
11a,11b 櫛歯状パッキン
12 フィルタユニット
12’ 枠体
13 遮蔽板
13a 扉
20 フィルタユニット
20’ 枠体
22a,22b 軸部材
23 収納台
24 スタッドボルト
25 収納台
26 スタッドボルト
27 ロールフィルタ状カートリッジ
28 シート状濾材
29 巻取装置
30 紙の筒
31 フィルタ取付枠
32 開口部
40 下枠(四角枠体)
41 上枠(四角枠体)
42 櫛歯状パッキン
43 櫛歯状パッキン
44 濾材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状の枠体の対向する一組の横面の一方を空気流入口、他方を空気流出口とし、もう一組の横面と横面の間に複数の軸部材を上下方向に一つの軸部材が空気流入口側に位置すればその上下の軸部材は空気流出口側に位置するといったような配置で互い違いに橋渡し、シート状濾材を上記のように橋渡した軸部材に引っ掛けることでジグザグ状に張設して濾過部を形成し、張設したシート状濾材の一端を巻取装置で巻き取ることができるようにしたことを特徴とするフィルタユニット。
【請求項2】
シート状濾材がロールフィルタ状カートリッジから供給されるようにしたことを特徴とする請求項1記載のフィルタユニット。
【請求項3】
ジグザグ状に張設したシート状濾材の両縁部を挟持するための互いにかみ合う一対の櫛歯状パッキンを、軸部材を橋渡した一組の横面のそれぞれに設けたことを特徴とする請求項1または2記載のフィルタユニット。
【請求項4】
一対の櫛歯状パッキンの少なくとも一方を可動なものとしてシート状濾材に対する挟持と開放を自由に行えるようにしたことを特徴とする請求項3記載のフィルタユニット。
【請求項5】
ロールフィルタ状カートリッジおよび/または巻取装置を枠体内に収容するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のフィルタユニット。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−185591(P2007−185591A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4918(P2006−4918)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】