説明

フィルターエレメント

【課題】フィルターエレメントの円筒状プリーツフィルターのみを取り外して廃棄可能にする。
【解決手段】断面が略星形をなした円筒状プリーツフィルター21と、該プリーツフィルターの上端部および下端部に取り付けられる円筒状の柔軟接合材22,24と、該円筒状の柔軟接合材と前記した円筒状プリーツフィルターとの間に介在される柔軟連結材23とからなるものであるために、バグフィルター等の種々の取り付け部分の規格構造や寸法に多少の相違があっても取付が可能となり、また従来プリーツフィルターの上端部や下端部に取り付けられていた成型用樹脂材が不要となり、製作コストと製作期間の大幅な減縮が可能となる。またリテーナー27を分解して再使用可能であるために廃棄処分量を大幅に軽減でき、処分コストの削減をはかり、また環境対策の面においても貢献する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体集塵バグフィルター等に用いられるフィルターエレメントの構造に関し、汎用性とコストの低減をはかることを目的とする。
【背景技術】
【0002】
広範囲の産業界において粉体を扱う各種の工程においては、製品の捕集や集塵の用途として多くのバグフィルターが使用されているが、設置スペース上の制約からフィルターのコンパクト化の要請が強まっている。その結果最近では断面を略星形とし、表面をプリーツ状に形成することで濾過面積を増大させたプリーツ型フィルターの需要が高まっている。
【0003】
これまでに知られているプリーツ型フィルターの構造については、標準的には図8にあらわしたものが知られている。これは円筒状に形成したプリーツフィルター1において、上端にはその上方外周面に取り付け板3を嵌め込むことができるようにした樹脂製の取付部2を取り付けるとともに、下端には樹脂製の底板4が、それぞれ一体に取り付けられている。
【0004】
さらに上記した上方の取付部2と底板4との間にはプリーツフィルター1に沿わせて樹脂製のリテーナー5が一体に取り付けられているとともに、プリーツフィルター1の外周面には補強テープ6が施されている。しかし上記した一般的なプリーツ型フィルターは、耐久温度が80℃程度であるために、より高温の環境下において使用される耐熱仕様のプリーツ型フィルターとして図9にあらわしたものが知られている。
【0005】
これは、円筒状に形成したプリーツフィルター1において、上端縁には耐熱樹脂8を介在させて金属製の環状取付部7が、また下端縁には同じく耐熱性樹脂9を介在させて金属製の底板10が、それぞれ一体に取り付けられている。上記した環状取付部7の外周側下方には下側に向けて耐熱性ガスケット11を保持させた取り付けリング部12が形成されている。
【0006】
プリーツフィルター1の取り付けリング部12を耐熱性ガスケット11を介して水平な取り付け板3に保持させるとともに、一端を金属製の取付部7上に保持させたL字状の固定金具13の他端部を取り付け板3上に保持させた状態にて、水平な取り付け板3上に植立させたボルト14の上方部をL字状の固定金具13を貫通させてナット15により締め付け固定させることによって水平な取り付け板3に固定するようになっている。
【0007】
なお同図において16は金属製のリテーナー、17は補強テープをあらわしている。また一般的なバグフィルターの全体構造についてはたとえばダストを回収するホッパー上にバグフィルターを立設した複数のバグフィルターと、上記ホッパーを介して各バグフィルター室内へ含塵ガスを導入する含塵ガス供給配管と、バグフィルターを通過した清浄ガスを吸引する清浄ガス配管と、前記バグフィルターに逆圧をかける逆洗用気体の導入配管とを備えたもの(特開2003−38922号公報参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−38922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した従来品のフィルターエレメントにあっては、成型加工に時間がかかり、しかもコスト高となるのが避けられない。特に耐熱用のフィルターにあっては高価な樹脂材料と金属製の部品を用いることによる製作コストの上昇が避けられず、そのために必然的に用途も限られて広汎な普及を阻害する原因となっている。
【0010】
またフィルターの寿命による交換時においては、フィルターエレメントの全体が一体成型されているために、そのすべてを廃棄せざるを得ないところからフィルター交換時のフィルター価格が嵩むばかりでなく、廃棄処分に要する運搬や作業コスト、廃棄処分費用等の高額コスト上昇が避けられない。また環境汚染問題としても解決すべき課題として残されている。
【0011】
さらに上記した従来品のフィルターエレメントは、各メーカーがそれぞれ独自の規格にもとづいて製作してあるために、ユーザー側としてはフィルター寿命により交換する際には、最初に設置されたフィルターエレメントと同一のもの、つまり同一メーカーの同種製品を購入せざるを得ないために、安価な、あるいは集塵効率のよい他社製品を使用できない、といった不合理性があり、特に耐熱性のプリーツフィルターの場合にあってはコスト高を理由に普及拡大を阻害しているのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明においては在来の一体型プリーツフィルターエレメントについて、これを一体成型・製作の構造を変えて、プリーツフルタ−の部分を分離可能とし、しかもプリーツフィルター以外のリテーナー等の部品を再使用することができれば前記した課題の多くは解決することができることに着目した。
【0013】
さらに断面が略星形をなした円筒状プリーツフィルターの端部に円筒状の柔軟接合材を取り付けるために、さらに工夫をした結果、星形状に変形させた柔軟連結材を介在させることで、この点についての課題が解決できた。
【0014】
これによりプリーツフィルター部分のみ分離し、交換可能とするとともに、プリーツフィルター内のリテーナーをそのまま再使用可能とし、しかもフィルターエレメント全体について、これを他のメーカー製フィルターエレメントの取り付けサイズに容易に対応することができるようにすることにより多くのバグフィルター装置に取り付け使用することを可能にしたものである。
【0015】
具体的には、本発明は断面が略星形をなした円筒状プリーツフィルターと、該プリーツフィルターの上端部および下端部に取り付けられる円筒状の柔軟接合材と、該円筒状の柔軟接合材と前記した円筒状プリーツフィルターとの間に介在される柔軟連結材とからなるフィルターエレメントに関する。また上記した断面が略星形をなした円筒状プリーツフィルターの内周面には、多孔質円筒状のリテーナーが着脱自在に装入されているフィルターエレメントにも関する。
【0016】
さらに上記した断面が略星型をなした円筒状プリーツフィルターの内周面には、メッシュ円筒状のリテーナーが着脱自在に装入されているフィルターエレメントにも関する。さらに上記した断面が略星形をなした円筒状プリーツフィルターの外周面には、リング状の補強材が着脱自在に装入されているフィルターエレメントにも関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上記したように、フィルターエレメントの構造について、断面が略星形をなした円筒状プリーツフィルターと、該プリーツフィルターの上端部および下端部に取り付けられた円筒状の柔軟接合材および該円筒状の柔軟接合材と前記した円筒状プリーツフィルターとの間に介在される柔軟連結材とからなるものであるために、従来プリーツフィルターの上端部や下端部に取り付けられていた成型用樹脂材が不要となり、製作コストと製作期間の大幅な減縮が可能となった。
【0018】
また断面が略星形をなした円筒状プリーツフィルターの内周面には、多孔質円筒状のリテーナーが着脱自在に装入されているために、使用済みのプリーツフィルターの廃棄処分時に内周側のリテーナーを取り外してプリーツフィルターと、その端部に取り付けられた円筒状の柔軟接合材のみを廃棄処分し、それ以外のリテーナーを再使用することができるために、廃棄処分量を大幅に軽減でき、処分コストの削減をはかり、また環境対策の面においても貢献することができる。
【0019】
さらにプリーツフィルターの上端部および下端部に取り付けられた円筒状の柔軟接合材については、たとえば布地や腐食布その他の柔軟なシート材等を用いて縫製や接着あるいは加熱融着などにより取付加工することも可能であるために、規格の相違するフィルターエレメントであっても自在に使用することができ、その結果コストを大幅に低減でき、またこれによる需要の拡大が見込める。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る一実施例であるフィルターエレメントの一部を省略してあらわした半裁縦断面図。
【図2】図1におけるA−A線部分の断面図。
【図3】図1におけるB−B線部分の断面図。
【図4】図1におけるC−C線部分の断面図。
【図5】本発明に係るフィルターエレメントの取り付け状態の一例をあらわした半裁縦断面図。
【図6】本発明に係るフィルターエレメントの他の1つの取り付け方法をあらわした半裁縦断面図。
【図7】図5および図6のA−A線部分の断面図。
【図8】従来品のフィルターエレメントの標準的な構造をあらわした半裁縦断面図。
【図9】従来品の耐熱仕様構造フィルターエレメントの構造をあらわした半裁縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において本発明の実施の形態について詳細に説明をする。図1〜7において、21はプリーツフィルター、22および24は柔軟接合材、26は底面板、27はリテーナー、28はリング状の補強材をあらわしている。プリーツフィルター21は、不織布や布地などきめの細かい多孔質の材料、なかでもスパンボンド製あるいは硬化フェルト製のものが好ましく、これらの素材を一定の幅毎に順次交互に折り返して蛇腹状に形成されるとともに、幅方向両端部を接合させて無端円筒状となし、図3に断面であらわしたように断面が略星形となるように構成されている。
【0022】
柔軟接合材22および24は、円筒状をなしたプリーツフィルター21の上端部および下端部の開口縁の径に近い径の円筒状をなし、好ましくは布地、さらに場合により耐熱性の布地等の柔軟材により構成され、柔軟接合材22の片側(下側)の開口縁を柔軟連結材23を介して前記したプリーツフィルター21の上端開口縁に沿って縫製や接着あるいは加熱融着などにより気密に取り付けられている。
【0023】
また柔軟接合材24の片側(上側)の開口縁を柔軟連結材25を介してプリーツフィルター21の下端開口縁に沿って縫製や接着あるいは加熱融着などにより気密に取り付けられる。なお図において26は上記した柔軟接合材24の他側(下側)開口縁に周方向に沿って縫製や接着や加熱融着などにより気密に取り付けられた底面板をあらわしており、該底面板26は好ましくは柔軟接合材24と同材質の柔軟材を用いるものとする。
【0024】
柔軟連結材23および25は、柔軟接合材22および24と略同径の略円筒状をなし、それぞれの片側開口端を柔軟接合材22や24の端部に縫製や接着や加熱融着により取り付けるとともに、他側開口部にかけてプリーツフィルター21の端部星型形状に合致させるべく一定の幅毎に順次交互に折り返し、該折り返しにより蛇腹状に形成される各溝部分の突出幅をV字状に次第に高くして端面が略星型をなすようにしてあり、その突出幅の大きい部分(端部)をプリーツフィルター21の端部星型形状に合致させて縫製や接着あるいは加熱融着により取り付けられるように構成されている。
【0025】
またリテーナー27はプリーツフィルター21の内周側の保形材で、表面に多数の比較的大きな穴を形成して全体が有低籠状に構成され、しかもプリーツフィルター21内に着脱自在に装入されている。さらにリング状の補強材28は、プリーツフィルター21の外周側の保形材であり、プリーツフィルター21の外径に略等しい帯状の環状体から構成されている。
【0026】
プリーツフィルター21の交換に際して、プリーツフィルター21の内部に装入されているリテーナー27をプリーツフィルター21の筒体内周面に沿って上方開口方向に引き抜くことによりプリーツフィルター21が若干内方に撓み、その結果リング状の補強材28をプリーツフィルター21の外周面に沿って円筒体開口方向に容易に引き抜くことによって着脱自在に構成されている。
【0027】
上記した構成において、円筒状をしたプリーツフィルター21の片側(下側)開口縁に縫製25a・25bにより前記した柔軟連結材25を介して円筒状の柔軟接合材24を取り付けるとともに、該柔軟接合材24の下端に底面板26を取り付ける。
【0028】
一方円筒状をしたプリーツフィルター21の他方側(上側)開口縁にも上記した円筒状の柔軟接合材22との間に縫製23a・23bにより柔軟連結材23を介在させて同じく円筒状の柔軟接合材22を取り付ける。さらに上記した円筒状の柔軟接合材22の上方開口部よりリテーナー27をプリーツフィルター21の内周側に沿って先端部が底面板26上に略接する位置まで装入してフィルターエレメントを完成させる。
【0029】
完成したフィルターエレメントは、これをその上端に有する円筒状の柔軟接合材22によりバグフィルター等のフィルター取り付け箇所に取り付ける。この場合に柔軟接合材22は在来品の樹脂製の取付部や金属製の環状取付部に比して著しく柔軟性があるために、取り付け箇所の形状や寸法に合わせて加工することが可能であり、柔軟連結材23の上に縫製や接着あるいは加熱融着等により任意に取り付けることが可能である。
【0030】
具体的な取り付け方法については、たとえば図5にあらわしたように、取付板Pの円筒取付部Dの外径が幾分小さく、円筒状の柔軟接合材22の上方部を内側に折り返してシール性を確保した状態で円筒取付部Dの外周縁に嵌め込み、ネジ付きの締め付けバンドEにより締め付け固定させることができる。
【0031】
さらに図6にあらわしたように、円筒状の柔軟接合材22の上端にあらかじめシール材の板バネ29を取り付けておき、取付板Pに開設された円形の取り付け穴との間に上記シール材の板バネ29を取り付け、取付板Pに開設された円形の取り付け穴との間に上記シール材の板バネ29を嵌め込んで気密に保持されせるとともに、リテーナー27を取付板Pの上方よりプリーツフィルター21の内径側に装入する。
【符号の説明】
【0032】
21 プリーツフィルター
22 円筒状の柔軟接合材
23 柔軟連結材
23a 縫製・接着又は過熱融着による取付部
23b 縫製・接着又は過熱融着による取付部
24 円筒状の柔軟接合材
25 柔軟連結材
25a 縫製・接着又は過熱融着による取付部
25b 縫製・接着又は過熱融着による取付部
26 底面板
27 リテーナー
28 リング状の補強材
29 シール材の板バネ
















【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が略星形をなした円筒状のスパンボンド製プリーツフィルターと、該プリーツフィルターの上端部および下端部に取り付けられる円筒状の柔軟接合材と、該円筒状の柔軟接合材と前記した円筒状プリーツフィルターとの間に介在される柔軟連結材からなるフィルターエレメント。
【請求項2】
断面が略星形をなした円筒状の硬化フェルト製プリーツフィルターと、該プリーツフィルターの上端部および下端部に取り付けられる円筒状の柔軟接合材と、該円筒状の柔軟接合材と前記した円筒状プリーツフィルターとの間に介在される柔軟連結材からなるフィルターエレメント。
【請求項3】
断面が略星形をなした円筒状プリーツフィルターの内周面には、多孔質円筒状のリテーナーが着脱自在に装入されているところの請求項1又は請求項2に記載のフィルターエレメント。
【請求項4】
断面が略星形をなした円筒状プリーツフィルターの内周面には、メッシュ円筒状のリテーナーが着脱自在に装入されているところの請求項1又は請求項2に記載のフィルターエレメント。























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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