説明

フィルターマットの形成方法

本発明は、マットウェブ9の少なくとも1つのウェブ区分39を含み、流体を濾過するのに適したフィルターマット1を形成するための方法において、マットウェブ9の少なくとも1つのウェブ区分39の層を互いに封止する少なくとも1本の溶接線13,15,41が形成される方法に関する。本発明は、続いて少なくとも1つのウェブ区分39がカットされて少なくとも1つの封止された縁部領域43を形成するような形で、少なくとも1本の溶接線13,15,41に沿って少なくとも1回のカット19,37が行なわれることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を濾過するのに適しマットウェブの少なくとも1つのウェブ区分を含むフィルターマットを形成するための方法において、マットウェブの少なくとも1つのウェブ区分の層を合わせて封止する少なくとも1本の溶接線が形成される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフィルターマット及びフィルターマットの備わったフィルターエレメントは、例えば作動油又はあらゆる種類の溶液の形、例えば真の懸濁液、分散、エマルジョン又はコロイド溶液の形の液体を濾過するために使用される。フィルターエレメント及びフィルターマットは、その構造がコンパクトであること及びそのフィルター表面積が大きいことを理由として普遍的に有用である。商業経路を通して容易に入手可能である公知のフィルターエレメントは、異なるフィルター材料の多数の層で構成されたジグザグ折畳みフィルターマット又は襞付きフィルターマットを有する。フィルターマットは中空の支持管のまわりに置かれ、この管はフィルターエレメントの内部に取付けられ、通路が備わっている。このようなフィルターマットの多層構造は、例えば一方の側から他方の側へ向かって以下の積層構造を有していてよい。
1.網状構造を有する金属線メッシュ又はプラスチック織物又はプラスチックスクリーン、
2.ポリエステル不織布、
3.ガラス繊維マット又はメルトブローン不織布、
4.ガラス繊維マット又はメルトブローン不織布、紙不織布、又はポリエステル不織布、
5.鋼とポリエステルの混合織物、
6.金属線メッシュ又はプラスチック織物又は網状構造を有するプラスチックスクリーン。
【0003】
効率の高い生産シーケンスの間、このような多層マットウェブはウェブの長手方向でカットユニット内を通過させられる。このカットユニットにおいて、マットウェブはその縁部でサイズに合わせてカットされてから、折畳み機へと移行させられ、そこでジグザグ形状又は襞が形成される。その後、生産シーケンスの次の段階で、カットウェブはウェブ区分へと切断され、次にそこからフィルターマットが管状体の形で作製される。
【0004】
このようなフィルターエレメントを使用して、多くの場合に高い品質を示すシステムが確実に高い信頼性で作動するようにするためには、上述のプロセスステップの最終製品として製造される管状フィルターマットが絶対的に清浄な構成要素であることが極めて重要である。さらに簡潔に言うと、最終製品が、粉塵粒子、繊維粒子などの不純物を全く含んでないように保証しなければならない。ガラス繊維織物、不織布又はスクリーン構造で製造された多層マットウェブの構造に関しては、これらの要件を生産プロセス中に満たすためにさらなる努力が求められる。したがって、作業ステップ間のマットウェブの取扱い及び一時保管は、結果として繊維の移動及び繊維の放出をもたらし、これは特にマットウェブの長手方向カット、折畳み及びその縁部での横断方向カットの生産プロセス中でも同様である。この状況は、構成要素の清浄性に関する問題を提起するばかりでなく、マットウェブの取扱いひいては生産プロセスの自動化をさらに困難なものにする。自動化は、マットウェブ内の支持層が最終的に外に出る傾向をもつことに起因してさらに困難になっている。
【0005】
特許文献1は、フィルター、詳細には端部が閉じられた折り目を有するジグザグ折畳みされ溶融可能なウェブ材料で作られた、ガスフィルター内での使用を意図したフィルターを開示している。ガスフィルターは、下流側クリーンルームの分離のためにリムが封止されるような形でハウジング内に挿入され得る。その目的は、折畳まれた端縁部におけるリムの封止を可能にすることならびに閉鎖されたフレーム要素を可能なかぎり単純かつ安価に形成できるようにすることにある。この最終目標を達成するため、公知の解決法では、折り目の端縁部を溶融させ圧縮して、拡大された接触表面を形成し、こうして個別の接触表面の合成物として共通の閉鎖フレーム要素を形成することが規定されている。このとき、封止ストリップを、単純な形で端縁部表面部域の共通合成物上に接着剤で接合させるか又は溶接することができる。こうして、特許文献1に係る解決法は、ウェブ材料がその長手方向側で溶接されることを規定している。さらに、特許文献2は、端部側面が溶接されている多層ウェブを用いてフィルターマットを構築するための上述のタイプの方法を開示している。フィルター最終製品を製造する上での構成要素の高い清浄度という要件に関しては、公知の解決法には所望されることが多く残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第4202769号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0522692号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この問題に関して、本発明の目的は、実施が容易でかつ、高い構成要素清浄度を示す最終製品の製造を保証する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に完全に規定されている特徴を有する方法を用いてこの目的を達成する。
【0009】
本発明の1つの重要な特徴は、少なくとも1つのウェブ区分がカットされて少なくとも1つの封止された縁部領域を形成するような形で、少なくとも1本の溶接線に沿って少なくとも1回のカットが続いて行なわれるという事実にある。こうして、カットの後にマットウェブの1つ又は複数の側縁部に残る溶接線の部分は、縁部シールを形成し、これが層の合成プラスチック材料を溶融させる溶接プロセスを用いて全ての層の端部を封止する。この特徴は、縁部におけるほつれ又は繊維の移動を抑制する。その結果、最終製品がガラス繊維粒子を含まないために必須の構成要素清浄度が達成されるのみならず、取扱い中及びさらなる加工中の層の分離などの製造上の問題も、高い確実性で回避される。
【0010】
本発明に係る方法の好ましい変形形態において、少なくとも1つのカットは、その2つの側縁部から一定の距離のところでそれぞれの溶接線の内側に延在する。同時に、マットウェブ又はより具体的には少なくとも1つのウェブ区分がカットされた時点で、両方の側縁部上に封止縁部領域が形成される。
【0011】
さらに、少なくとも1本の溶接線がマットウェブの長手方向に対し平行に延在することが有利である。さらに、少なくとも1本の溶接線を、少なくとも1つのウェブ区分側縁部に沿って形成することができる。対応する幅をもつマットウェブを仮定すると、長手方向縁部に沿ったカットに加えて、特に有利にはマットウェブの内側に、マットウェブを部分ウェブに分割する少なくとも1つの追加の長手方向カットを実施することが可能である。追加の長手方向カットがそれに沿って実施される前に、マットウェブの層を合わせて封止する追加の溶接線が形成される。この溶接線の内側のこの追加の長手方向カットは、その側縁部から一定の距離のところで実施される。このようにして、1つのマットウェブから、封止された長手方向縁部を伴う複数の部分ウェブが同時に形成され、高い生産速度で特に効率の高い生産を達成することができる。
【0012】
本発明に係る方法の別の好ましい変形形態においては、マットウェブは、長手方向に対して横方向に、少なくとも2つのウェブ区分に切断される。さらに、少なくとも1本の溶接線がマットウェブの長手方向に対し横方向に延在していることが有利である。特に好ましいのは、ウェブ区分の横方向縁部に沿った少なくとも1本の溶接線である。さらに、本発明の有利な配置によると、カット領域に沿ってマットウェブ又は部分ウェブをウェブ区分に切断するのに先立ち、それぞれのマットウェブ又は部分ウェブの層を合わせて封止しかつ長手方向縁部に対し横方向に延在している追加の溶接線が形成され、切断は、2つの側縁部から一定の距離のところでこの追加の溶接線の内側に延在する切断カット部を用いて実施されることになる。
【0013】
この特徴は、長手方向縁部が繊維移動しない又はほつれないようにするばかりでなく、ウェブ区分の外縁部の全てが縁部シールを有し、こうしてあらゆる繊維移動に対する包括的な保護が存在するようにする。本発明に係る方法の好ましい変形形態において、少なくとも1つのウェブ区分は矩形の形で設計され、かつ/又は側縁部の全て、詳細には長手方向縁部及び横方向縁部は、封止縁部領域を有する。
【0014】
少なくとも1つのウェブ区分は、有利な形でフィルターマットに形成される。その際、少なくとも1つのウェブ区分の端部は合わせてボンディングされ得、前記端部はマットウェブの長手方向に又は長手方向に対して横方向に延在する。典型的には、フィルターマットは管の形に設計される。
【0015】
多くの利用分野で比較的多い合計数の個別層で構築されたフィルターマットを有するフィルターエレメントを使用する必要があり、6層が存在する場合が多い。詳細には、ウェブ区分の端縁部を合わせてボンディングすることによって閉鎖フィルターマットを形成するために、多数の層、例えば12層を1回の作業ステップで封止的に合わせてボンディングしなければならない場合、感応性ある濾材が溶接上の問題をひき起こす。本発明は、ウェブ区分上の封止縁部に起因するこのような問題の除去を容易にする。規定の合計数の層を有するフィルターマットを形成するために、より少数の層を有するウェブ区分が、重複する封止縁部領域を伴って互いに重ねて置かれ、封止縁部領域において合わせてボンディングされる。すでに封止された領域において溶接作業を実施することにより、例えば各々6層を有する事前に仕上げ済の(すなわち縁部で封止された)2つのウェブ区分などで、12の濾材層を有するフィルターマットを構築することができる。このアプローチにより、感応性のある濾材でさえその熱劣化を懸念する必要なく、安全かつ効率の良い溶接作業を用いて高い信頼性で緊密なボンドを達成することが可能となる。
【0016】
溶接作業が封止縁部領域の外縁部でかつ封止縁部領域の内縁部から一定距離のところで行なわれ、こうして感応性ある濾材が極めて有効な形で熱劣化から保護されることになるような特別に有利な要領でボンディングを実施することが可能になる。
【0017】
特に好ましい例示的実施形態においては、ボンドは、溶接充填材、例えば封止縁部領域の間に挿入され合成プラスチック材料で作成されているフィルムを用いた溶接によって形成される。この場合、PBTフィルムなどのホットメルト接着剤を形成する溶接充填材を使用することができる。
【0018】
溶接作業がレーザー溶接によって実施される場合には、レーザー光に対する障壁層を形成する溶接充填材を使用することが可能である。
【0019】
少なくとも1つの軸方向端部で合成プラスチック材料製のエンドキャップの周囲リムにボンディングされている管状フィルターマットを用いたフィルターエレメントを製造するために、本発明の特に有利な配置では、フィルターマットの封止縁部領域を周囲リムに溶接することによってボンディングを実施することが規定されている。フィルターマットの開放した未封止端縁部がそれぞれのエンドキャップ内に接合されそのため漏出の危険性及び構造強度の欠落が見られる従来の手順とは異なり、エンドキャップに対しフィルターマットの封止縁部領域を溶接することで、高い費用効率で生成できる最適でかつ信頼性の高いボンドを生み出すことが可能である。
【0020】
本発明によると、エンドキャップに溶接する場合に、フィルターマットの封止縁部領域に存在する溶接充填材がボンディング助剤としてのホットメルト接着剤の要領で使用されるきわめて有利な形の配置を構成することができる。
【0021】
以下では、添付図面を用いて、本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の方法にしたがって製造されるフィルターマットを用いたフィルターエレメントの内部部分の、一部は端部側面図そして一部は断面図である。
【図2】フィルターマットの製造のための襞付き下位区分を生産するための製造シーケンスのきわめて簡略化された概略図である。
【図3】6層マットウェブの縁部を封止するために用いられ超音波溶接機又はより具体的にレーザー溶接機を使用して実施される溶接作業を説明するための、原寸に比例して描かれていない概略見取り図である。
【図4】6層マットウェブの縁部を封止するために用いられ超音波溶接機又はより具体的にレーザー溶接機を使用して実施される溶接作業を説明するための、原寸に比例して描かれていない概略見取り図である。
【図5】先行技術より公知の12層フィルターマット上に従来の溶接部を生成するための超音波溶接機の概略図(原寸に比例して描かれていない)である。
【図6】本発明に係る方法を実施するための超音波溶接機を用いた封止溶接部の生成を描く、類似の概略図である。
【図7】本発明の方法にしたがって製造され、図6にしたがって製造される2つの6層マットウェブで構成されている、12層マットウェブ上に封止溶接部を生成するための超音波溶接機の類似の概略図である。
【図8】先行技術に係るフィルターエレメントエンドキャップの周囲リムとフィルターマットの間のボンディング領域の概略図(原寸に比例して描かれていない)である。
【図9】本発明の方法にしたがって製造されるべきフィルターエレメントの同じボンディング領域を描く、図8に対応する図である。
【図10】本発明の方法にしたがって製造されるべきフィルターエレメントの同じボンディング領域を描く、図8に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、製造すべきフィルターエレメントの管状フィルターマット1を示す。この管状フィルターマットは、ジグザグ様に折畳まれるか、襞が付いている。フィルターマット1を支持するため、フィルターエレメントの内部には金属支持管3があり、これには流体通路が具備されている。フィルターマット1は、多数の層から成り、これらは図1には描かれていないが、図4中の一部の場所において、参照番号で明確にマーキングされている。さらに、フィルターは、例えば外部から内部へ向かって、以下の積層構造を有していてよい。
1.網状構造を有する金属線メッシュ又はプラスチック織物又はプラスチックスクリーン(図4中の参照番号2)、
2.ポリエステル不織布(図4中の参照番号4)、
3.ガラス繊維マット又はメルトブローン不織布(図4中の参照番号6)、
4.紙不織布、又はポリエステル不織布(図4中の参照番号8)、
5.鋼とポリエステルの不織布(図4中の参照番号4)、
6.金属線メッシュ又はプラスチック織物又は網状構造を有するプラスチックスクリーン(図4中の参照番号2)。
【0024】
多層構造のために、上述の6層の内部には追加の支持層が含まれ得る。
【0025】
互いに面するフィルターマット1の2つの端部5は、フィルターマット1が管の形で支持管3のまわりに置かれた場合に鋭角で収束し、熱溶接作業により生成される溶接7を用いて恒久的に合わせてボンディングされる。溶接7は、フィルターマット1の多層積層構造が例えばポリアミド又はポリエステル材料などの優れた熱溶接特性を示す材料を含むため、溶接充填材無しで超音波溶接又はレーザー溶接を用いて実施可能である。しかしながら、本発明に係る方法には同様に、図6及び7ならびに図9及び10を参照して以下で詳細に説明される通り、溶接充填材を用いた溶接により行なわれるボンドの形成も含まれる。
【0026】
図2は、管状フィルターマット1のためのウェブ区分の生産プロセスを説明している。この場合、襞無しマットウェブ9が、図2の左側から右側へ走行する作業方向又は補給方向で、レーザー又は超音波溶接ユニット11に補給される。これらのレーザー又は超音波溶接ユニットのうち、外側又は縁部側にある溶接ユニット11は、マットウェブ9の長手方向縁部に沿って走行する溶接線13を形成する。この溶接線は、マットウェブ9の層(例えば6層)が積層構造全体を通して合わせて封止されるような形で形成される。マットウェブ9の中央にある溶接ユニット11は、同様の溶接線15を生成する。結果として得られた溶接線13、15と共に、マットウェブ9は長手方向カッター17まで前進させられ、このカッターは各々の溶接線13、15内に1回のカット19を行なう。図1からの図中、このカットは溶接線13、15の内側中央に存在し、こうしてカットの後、マットウェブは、封止された長手方向縁部23を有する部分ウェブ21へと分割される。その後、これらの部分ウェブ21は、概略的な形で図示されている折畳み機25へと移行する。その後この折畳み機を退出する襞付き部分ウェブ21は一時保管部(storage)27まで移行し、これが補給速度変動のための補償装置としての変動ウェブループ29を形成する。保管部27から、部分ウェブ21は次に、計数器−処理機構31まで移行し、割当てられた数の襞付き折り目が通過した後、一体型溶接・カット装置35内で行なわれる後続の溶接・カット作業の準備段階としての伸長部(stretching station)33を形成する。この溶接・カット装置が、補給方向に対して直交して延在し部分ウェブ21を割当てられたウェブ区分39へと切断する切断カット37を実行する前に、横方向の溶接線41が、詳細には溶接線13及び15と同じ要領で形成され、こうして今度は溶接線41の内側中央に切断カット37が形成されることになる。
【0027】
こうして、長手方向縁部23においてのみならず横方向縁部においても封止された溶接脚部(leg)43を有するウェブ区分39は、図2由来の製造装置から退出する。換言すると、ウェブ区分39は、未封止自由縁部を一切有しておらず、こうして、形成されたフィルターマットの層は、糸又は繊維材料がマット構造から外に移動できないような形で周囲全体が取り囲まれることになる。同時に、横方向に延在する溶接線41を含む溶接脚部43は、形成された管状フィルターマット1の互いに対面して置かれた端部5において連結用マット7を形成するのに役立つ(図1)。
【0028】
図3及び4は、作業方向すなわち長手方向に延在する溶接線13及び15を形成するための溶接ユニット11を設計するための2つの可能性の、きわめて簡略化された図面(原寸に比例して描かれていない)である。図3は、ラム形音極45とアンビル47を伴う超音波溶接ユニットを示す。この場合、アンビル47は、シャフト上にしっかりと取付けられたローラーにより形成され、一方、音極45は、両矢印47によって表わされているように溶接作業のために可動である。示された実施例中、封止用溶接作業は、6層からなるマットウェブ9において行なわれる。
【0029】
図4は、レーザー溶接機の形をした溶接ユニットを用いた封止用溶接作業を、対応する要領で説明している。この点に関して、レーザー光のための障壁層(詳細には示さず)と併さって定置式レーザー51が、従来の形で溶接作業のための熱エネルギーを送出する。優れたボンドを得るために、レーザー51を両側すなわちウェブの上又は下に取付けることもできる。
【0030】
上述の通り、厳しい要件でも満たすフィルターエレメントが、比較的多数の層で構築されたフィルターマット1を用いて提供される。フィルターマット1を製造するために必要とされる溶接作業が多数の層について行なわれる場合には、先行技術に係る方法は、信頼性の高いボンドを生成する目的で集中的な溶接作業を実施することができるステップを取る(このプロセスは、マットウェブの感応性ある層に対してより高い熱負荷を結果としてもたらす)か、あるいは、国際公開第01/05483A1号(WO01/05483A1)中で開示されているような特殊かつ複雑なやり方で溶接作業を実施することが可能となるようなステップをとる。この場合、互いに面する襞付きフィルターマットの端部は、端部上に少なくとも一部が延在する連結用ストリップを用いて締結されており、熱変形可能な合成プラスチック材料で構成される連結用ストリップは、フィルターマットの端部に溶接される。それと同時に、溶接点に痕跡が残る。図5は、音極45とアンビル47の間の超音波溶接により実施される集中的溶接作業を用いる先行技術に係る12層マットウェブ53上の溶接部の形成を示す。上述の通り、この手順は多くの場合、結果としてウェブ53の感応性層上に高い熱負荷をもたらす。
【0031】
一方、図6及び7は、本発明の手順を説明している。この場合、ウェブ区分39が6層を有し、その縁部には、封止された溶接脚部43を形成するシールが具備されることが仮定されている。各々6層で構成された2つのウェブ区分39が互いに対面して置かれた後、仕上った12層のフィルターマット1を形成するための溶接ボンドがここで自由端縁部にではなく、むしろすでに封止された溶接脚部43において作製される。図7は、信頼性の高いボンドを生成する溶接プロセスを、外縁部54に沿って(すなわち溶接脚部43の自由領域により分離されて)、ウェブ区分39の内部層から安全距離をおいたところで行なうことができ、こうしてフィルターマット1の層は外縁部54で実施された集中的な溶接作業の間でさえ影響を受けずにとどまる、ということを示している。
【0032】
本発明の方法によって生成されるフィルターマット1は同様に、それぞれのフィルターマット1の軸方向端部とフィルターエレメントのプラスチックエンドキャップ59の周囲リム57との間の特に効率及び信頼性の高いボンドを可能にする。図8は、先行技術では、フィルターマット1の未封止縁部がエンドキャップ59に接合され、周縁部57が接着剤層61を用いて接合されていることを示している。先行技術に係るこの手順は、漏出の危険を冒す。その上、フィルターマット1の折り目の高さ誤差のために、エンドキャップ59は、フィルターマット1のプレストレスがつねに恒常となるように保証できなくなる。
【0033】
封止溶接脚部43が存在するために、本発明は、上述の問題を是正する。図9は、封止溶接脚部43が周囲リム57に直接溶接され得、こうして接着剤層の必要性はなくなることを示している。合成プラスチック材料で作られた周囲リム57及び封止溶接脚部43はそれ自体、熱溶接プロセスのために必要とされる材料を提供しており、こうして、溶接充填剤無しで溶接作業を行なうことができ、その結果ボンドは緊密で堅牢なものとなる。一方、図10は、封止溶接脚部43が溶接充填材63を有する一変形形態を説明している。この場合、それは、ポリブチレンテレフタレートでできたフィルムであり得る。「Vestodur」という登録商標で販売されているこのようなPBTフィルムは、溶接作業中に一種のホットメルト接着剤を形成することができる。さらに、このような充填材は、溶接作業がレーザー溶接により実施される場合、レーザーに対し不透明なレーザー障壁層として役立つことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を濾過するのに適しマットウェブ(9)の少なくとも1つのウェブ区分(39)を含むフィルターマット(1)を形成するための方法であって、マットウェブ(9)の少なくとも1つのウェブ区分(39)の層を合わせて封止する少なくとも1本の溶接線(13,15,41)が形成される方法において、
少なくとも1つのウェブ区分(39)がカットされて少なくとも1つの封止された縁部領域(43)を形成するような形で、少なくとも1本の溶接線(13,15,41)に沿って少なくとも1回のカット(19,37)が行なわれることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つのカット(19,37)が、その2つの側縁部から一定の距離のところでそれぞれの溶接線(13,15,41)の内側に延在することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1本の溶接線(13,15)がマットウェブ(9)の長手方向に対し平行に延在することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1本の溶接線(13)が少なくとも1つのウェブ区分(39)の長手方向縁部(23)に沿って形成されていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
マットウェブ(9)が、長手方向に対して横方向に、少なくとも2つのウェブ区分に切断されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1本の溶接線(41)がマットウェブ(9)の長手方向に対し横方向に延在していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1本の溶接線(41)が少なくとも1つのウェブ区分(39)の横方向縁部に沿って形成されていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのウェブ区分(39)が矩形の形に設計されており、かつ/又は側縁部の全て、特に長手方向縁部(23)及び横方向縁部に、封止された縁部領域(43)が具備されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのウェブ区分(39)がフィルターマット(1)へと形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのウェブ区分(39)の端部(5)が合わせてボンディングされ、前記端部が、マットウェブ(9)の長手方向に又は長手方向に対し横方向に延在することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
フィルターマット(1)が管の形に設計されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
規定の合計数の層を有するフィルターマット(1)を形成するために、より少ない数の層を有するウェブ区分(39)が、重複する封止縁部領域(43)を伴って互いに重ねて置かれ、封止縁部領域(43)において合わせてボンディングされることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
溶接作業が封止縁部領域(43)の外縁部(54)で、封止縁部領域(43)の内縁部から一定距離のところで実施されるような形で、ボンディングが実施されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ボンドが、溶接充填材、例えば封止縁部領域の間に挿入され合成プラスチック材料で製造されているフィルム(63)を用いた溶接によって形成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
例えばPBTフィルム(63)などのホットメルト接着剤を形成する溶接充填材が使用されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
溶接作業がレーザー溶接(51)によって実施されること及びレーザー光に対する障壁層を形成する溶接充填材(63)が使用されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
管状フィルターマット(1)の少なくとも1つの軸方向端部が、合成プラスチック材料製のエンドキャップ(59)の周囲リム(57)にボンディングされること、及びボンディングが、フィルターマット(1)の封止縁部領域(43)を周囲リム(57)に溶接することによって実施されることを特徴とする請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
エンドキャップ(59)に溶接する場合、フィルターマット(1)の封止縁部領域(43)に存在する溶接充填剤(63)が、ボンディング助剤としてホットメルト接着剤の要領で使用されることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−511376(P2013−511376A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539232(P2012−539232)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007040
【国際公開番号】WO2011/060949
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(511004689)ハイダック フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】