説明

フィルタ用濾材の製造方法

【課題】 濾材本体どうしの密着を防止可能な凸条部と凹条部とを濾材本体に形成できるようにするとともに、その凸条部と凹条部とを形成する際に濾材本体が損傷しないようにすることを目的とする。
【解決手段】 本発明に係るフィルタ用濾材の製造方法は、濾材本体20の長手方向に延びる凸条部原形と凹条部原形を幅方向において複数本形成する予備成形工程と、予備成形工程の後、濾材本体20の幅を狭める幅調整工程と、幅調整工程の後、凸条部原形と凹条部原形のサイズを増大させて、隣り合う凸条部と凹条部とが互いにほぼ接するように、凸条部24と凹条部25とを成形する主成形工程と、主成形工程後、あるいは主成形工程と同時に、濾材本体20に対して複数の折り筋22を形成する折り筋加工工程とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状に形成された濾材本体を、その濾材本体の幅方向に延びる複数の折り筋に沿ってジグザグに折り曲げることでジャバラ状に形成されるフィルタ用濾材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これに関連する従来のフィルタ用濾材が特許文献1に記載されている。
前記フィルタ用濾材90は、図11に示すように、帯状に形成された濾材本体91を、その濾材本体91の幅方向に延びる複数の折り筋Mに沿ってジグザグに折り曲げることでジャバラ状に形成されている。濾材本体91の表側と裏側には、折り筋Mに対して直角に延びる突条部93がその濾材本体91の幅方向に二ヶ所設けられている。突条部93は、エンボス加工によって形成されており、濾材本体91の折り曲げ部の外側から隣り合う折り曲げ部の内側に近づくにつれて徐々に低くなるように構成されている。
前記突条部93により、フィルタ用濾材90が気体を濾過する際に、互いに対向している濾材本体91どうしの密着を抑制できるようになる。
【0003】
【特許文献1】特許2935432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したフィルタ用濾材90では、濾材本体91が一対のエンボス加工用ローラ間に通されることで、突条部93が形成される。即ち、濾材本体91をエンボス加工ローラの表面に形成された凹凸によって部分的に引き延ばすことで、突条部93が形成される。このため、濾材本体91の破れを考慮すると突条部93をそれほど高く形成することはできない。さらに、濾材本体91の幅方向における突条部93の成形本数も制限される。したがって、フィルタ用濾材90が気体を濾過する際に、互いに対向している濾材本体91どうしの密着を有効に防止するのは難しい。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、対向する濾材本体どうしの密着を防止できるように凸条部及び/又は凹条部を濾材本体に形成するとともに、その凸条部及び/又は凹条部を形成する際に濾材本体が損傷しないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、帯状に形成された濾材本体を、その濾材本体の幅方向に延びる複数の折り筋に沿ってジグザグに折り曲げることでジャバラ状に形成されるフィルタ用濾材の製造方法であって、前記濾材本体の長手方向に延びる凸条部の原形及び/又は凹条部の原形を幅方向において複数本形成する予備成形工程と、前記予備成形工程の後、前記濾材本体の幅を狭める幅調整工程と、前記幅調整工程の後、前記凸条部の原形及び/又は凹条部の原形のサイズを増大させて、隣り合う前記凸条部及び/又は凹条部が互いにほぼ接するように、前記凸条部及び/又は凹条部を成形する主成形工程と、前記主成形工程後、あるいは主成形工程と同時に、前記濾材本体に対して複数の折り筋を形成する折り筋加工工程とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明によると、濾材本体には長手方向に延びる凸条部及び/又は凹条部が幅方向において複数本形成されており、隣り合う凸条部及び/又は凹条部が互いにほぼ接している。即ち、従来のように、濾材本体の凸条部及び/又は凹条部の相互間に間隔が設けられていないため、互いに対向している濾材本体は確実に凸条部等を介して接触するようになる。
このため、フィルタ用濾材で気体を濾過する際、凸条部及び/又は凹条部の働きで、互いに対向している濾材本体どうしの密着を防止できるようになる。
また、本発明によると、予備成形工程で濾材本体に対してサイズの小さい凸条部の原形及び/又は凹条部の原形を形成し、さらに、幅調整工程で濾材本体の幅を狭めて余裕を持たせた後、前記凸条部の原形及び/又は凹条部の原形のサイズを増大させて、前記凸条部及び/又は凹条部を成形する。このように、予備成形工程と幅調整工程との後、凸条部及び/又は凹条部の主成形を行う方法のため、必要なサイズの凸条部及び/又は凹条部を成形する際に、濾材本体が破損し難くなる。
【0008】
請求項2の発明によると、予備成形工程では、濾材本体の長手方向に延びる凸条部の原形と凹条部の原形とを幅方向において交互に形成し、主成形工程では、凸条部の原形と凹条部の原形とのサイズを増大させて、前記濾材本体を断面略波形に成形することを特徴とする。
このように、凸条部と凹条部とから濾材本体を断面略波形に成形するため、凹凸をより深く形成できるようになり、気体を濾過する際に、対向している濾材本体どうしがさらに密着し難くなる。
【0009】
請求項3の発明によると、幅調整工程では、対向する一対の側壁の間隔が徐々に狭まるように構成されたガイド部に濾材本体をほぼ水平に通すとともに、円盤状のローラで前記濾材本体の凸条部の原形を高さ方向に押圧し、その濾材本体の凹条部の原形を深さ方向に押圧することを特徴とする。
このため、濾材本体の幅を容易に一定の幅まで狭めることができるようになる。さらに、幅を狭めた状態における濾材本体の横断面形状が常に等しい形状になるため、濾材本体を主成形し易くなる。
【0010】
請求項4の発明によると、折り筋加工工程では、濾材本体の幅方向に延びる折り筋の他に、その折り筋に対して平面上対称に配置されており、前記濾材本体の凸条部の頂きを頂点とする三角形状の一組の折り筋を形成することを特徴とする。
このため、長手方向に延びる凸条部及び/又は凹条部を備える濾材本体を比較的容易にジグザグに折り曲げることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、フィルタ用濾材で気体を濾過する際、凸条部及び/又は凹条部の働きで、互いに対向している濾材本体どうしの密着を確実に防止できるようになる。
また、凸条部及び/又は凹条部を形成する際に濾材本体が損傷することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1〜図10に基づいて、本発明の実施形態1に係るフィルタ用濾材及びその製造方法について説明する。本実施形態に係るフィルタ用濾材は、エアフィルタに使用される濾材であり、図1にフィルタ用濾材の部分斜視図等、図2にフィルタ用濾材の素材である濾材本体の部分斜視図が示されている。図3、図4はフィルタ用濾材の成形装置の平面図、側面図であり、図5〜図9はフィルタ用濾材の成形装置における各部位の詳細図を表している。また、図10は濾材本体の折り筋を表す平面図等である。
【0013】
本実施形態に係るフィルタ用濾材10は、図1(A)、図2に示すように、帯状に形成された濾紙製の濾材本体20を、その濾材本体20の幅方向に延びる複数の折り筋22に沿ってジグザグに折り曲げることでジャバラ状に形成されている。
濾材本体20には、長手方向に延びる凸条部24と凹条部25とが幅方向において交互に形成されており、それぞれの凸条部24と凹条部25とが互いに接している。これによって、濾材本体20の横断面形状は、図2に示すように、略波形になる。
このように、濾材本体20の横断面形状が略波形に形成されるため、フィルタ用濾材10において互いに対向している濾材本体20は、図1(B)に示すように、凸条部24等を介して接触するようになる。このため、フィルタ用濾材10で気体を濾過する際、凸条部24及び凹条部25の働きで、互いに対向している濾材本体20どうしの密着を確実に防止できるようになる。なお、図1(B)は、図1(A)のB−B矢視断面図である。
【0014】
次に、濾材本体20に凸条部24、凹条部25及び折り筋22を形成する濾材加工装置30の説明を行う。濾材加工装置30は、図3、図4に示すように、帯状の濾材本体20を予備成形する癖付け用ロール32と、予備成形後の濾材本体20の幅を狭めるガイド部34と、幅が狭められた濾材本体20を主成形する加工用ロール36とから構成されている。
癖付け用ロール32は、濾材本体20に凸条部24と凹条部25とを加工(コルゲート加工)する際の予備成形用ロールであり、濾材本体20を上下から挟む上側ロール32uと下側ロール32dとから構成されている。上下のロール32u,32dは、各々の軸心J11,J12が搬送中心線Cに対して直角になるように配置されている。
上側ロール32uの外周面には、図5に示すように、円周方向(図5の紙面垂直方向)に延びる断面半円形の突条32tと断面半円形の溝32mとが幅方向に一定間隔をおいて交互に形成されている。ここで、図3では、突条32tを実線で表しており、溝32mを点線で表している。
下側ロール32dの外周面には、上側ロール32uの突条32tに対応する位置に断面半円形の溝32xが形成されており、上側ロール32uの溝32mに対応する位置に断面半円形の突条32yが形成されている。
【0015】
上記構成により、上側ロール32uの突条32tと下側ロール32dの溝32xとの間で濾材本体20の凹条部25となる凹条部原形25sが形成(転写)されるようになる(図6参照)。また、上側ロール32uの溝32mと下側ロール32dの突条32yとの間で濾材本体20の凸条部24となる凸条部原形24sが形成(転写)されるようになる。
即ち、上側ロール32uと下側ロール32dとの間(以下、癖付け用ロール32という)に濾材本体20が搬送中心線Cに沿って水平に通されることで、濾材本体20にはその濾材本体20の長手方向に延びる凸条部原形24sと凹条部原形25sとが一定間隔をおいて交互に形成される。なお、図5は、図3におけるV−V矢視図を表している。
【0016】
濾材加工装置30のガイド部34は、図3に示すように、濾材本体20を幅方向両側からガイドする過程で徐々に押圧する一対のガイド壁34kと、濾材本体20の凸条部原形24sを高さ方向(上方向)に押圧する下側ガイド円盤34p,35pと、その濾材本体20の凹条部原形25sを深さ方向(下方向)に押圧する上側ガイド円盤34e,35eとから構成されている。
ガイド壁34kは、図3に示すように、癖付け用ロール32を通過した濾材本体20を導く入側壁面134aと、濾材本体20を幅方向外側から徐々に押圧する押圧面134pと、幅が狭められた濾材本体20を加工用ロール36まで導く出側壁面134fとから構成されている。
【0017】
入側壁面134aは搬送中心線Cに対して平行に形成されており、一方の入側壁面134aと他方の入側壁面134aとの距離(間隔)が癖付け用ロール32を通過した濾材本体20の幅寸法とほぼ等しい値に設定されている。
押圧面134pは搬送中心線Cに対して傾斜するように形成された平面であり、一方の押圧面134pと他方の押圧面134pとがその搬送中心線Cに対して対称に形成されている。即ち、一方の押圧面134pと他方の押圧面134pとの間隔は入側壁面134aの位置から出側壁面134fに近づくにつれて徐々に狭くなるように構成されている。
出側壁面134fは搬送中心線Cに対して平行に形成されており、一方の出側壁面134fと他方の出側壁面134fとの距離(間隔)が両押圧面134pを通過した濾材本体20の幅寸法とほぼ等しい値に設定されている。
【0018】
一方のガイド壁34kの入側壁面134aと他方のガイド壁34kの入側壁面134aとの間には、図6に示すように、濾材本体20の各々の凸条部原形24sに対応する位置に下側ガイド円盤34pが設置されている。また、濾材本体20の各々の凹条部原形25sに対応する位置に上側ガイド円盤34eが設置されている。ここで、下側ガイド円盤34p及び上側ガイド円盤34eの外周面の曲率は、濾材本体20の凸条部原形24s及び凹条部原形25sの曲率に合わせて設定されている。
さらに、一方のガイド壁34kの出側壁面134fと他方のガイド壁34kの出側壁面134fとの間には、図7に示すように、幅が狭められた濾材本体20の各凸条部原形24sに対応する位置に下側ガイド円盤35pが設置されている。また、幅が狭められた濾材本体20の各凹条部原形25sに対応する位置に上側ガイド円盤35eが設置されている。
このため、濾材加工装置30のガイド部34を通過する濾材本体20は一対のガイド壁34kによって幅を狭められながら、凸条部原形24sが下側ガイド円盤34p,35pによって高さ方向に押圧されるとともに、凹条部原形25sが上側ガイド円盤34e,35eによって深さ方向に押圧される。
なお、図6は、図3のVI−VI矢視図を表しており、図7は図3のVII−VII矢視図を表している。
【0019】
濾材加工装置30の加工用ロール36は、濾材本体20に形成された凸条部原形24sと凹条部原形25sとのサイズをそれぞれ増大させて凸条部24と凹条部25とに加工(コルゲート加工)するとともに、その濾材本体20に折り筋22を形成するためのロールである。加工用ロール36は、濾材本体20を上下から挟む上側ロール36uと下側ロール36dとから構成されており、それらのロール36u,36dの各軸心J21,J22が搬送中心線Cに対して直角になるように配置されている。
上側ロール36uの外周面には、図8に示すように、円周方向(図8の紙面垂直方向)に延びる断面略半円形の突条36tと断面略半円形の溝36mとが幅方向にほぼ連続した状態で交互に(波状に)形成されている。ここで、図3では、突条36tを実線で表しており、溝36mを点線で表している。
下側ロール36dの外周面には、上側ロール36uの突条36tに対応する位置に断面略半円形の溝36xが形成されており、上側ロール36uの溝36mに対応する位置に断面略半円形の突条36yが形成されている。
なお、図8は、図3のVIII−VIII矢視図を表している。
また、上側ロール36uの外周面と下側ロール36dの外周面には、濾材本体20の折り筋22を形成するための、折り筋形成部37が形成されている。
【0020】
上記構成により、上側ロール36uの突条36tと下側ロール36dの溝36xとの間で濾材本体20の凹条部25が形成(転写)されるようになる(図3参照)。また、上側ロール36uの溝36mと下側ロール36dの突条36yとの間で濾材本体20の凸条部24が形成(転写)されるようになる(図3参照)。なお、図3では、濾材本体20の凹条部25を点線で表しており、凸条部24を実線で表している。
即ち、上側ロール36uと下側ロール36dとの間(以下、加工用ロール36という)に濾材本体20が搬送中心線Cに沿って水平に通されることで、濾材本体20にはその濾材本体20の長手方向に延びる凸条部24と凹条部25とが幅方向にほぼ連続した状態で交互に(波形に)形成される。さらに、濾材本体20には、上側ロール36uと下側ロール36dとの折り筋形成部37によって、濾材本体20の幅方向に延びる折り筋22が長さ方向に一定間隔で形成される。
折り筋22は、図10に示すように、濾材本体20の幅方向に延びる折り筋22hの他に、その折り筋22hに対して平面上対称に配置されており、凸条部24の頂きを頂点とする三角形状の一組の折り筋22wを形成するのが好ましい。これによって、長手方向に延びる凸条部24と凹条部25とを備える濾材本体20をジグザグに折り曲げ易くなる。
【0021】
次に、濾材加工装置30を使用してロール状に巻かれた帯状の濾材本体20からフィルタ用濾材10を成形する手順を簡単に説明する。
先ず、準備段階として、濾材加工装置30の癖付け用ロール32と加工用ロール36、及び上下のガイド円盤34p,35p,34e,35eが所定温度(50℃〜200℃)まで加熱される。
加熱後、定速で回転している癖付け用ロール32に対して帯状の濾材本体20が搬送中心線Cに沿って水平に通される。これによって、濾材本体20には、その濾材本体20の長手方向に延びる凸条部原形24sと凹条部原形25sとが幅方向に一定間隔をおいて交互に形成される(図5、図6参照)。前述のように、癖付け用ロール32は所定温度まで加熱されているため、濾材本体20の加工性が向上する。
即ち、濾材本体20を癖付け用ロール32に通して凸条部原形24sと凹条部原形25sとを形成する工程が本発明の予備成形工程に相当する。
癖付け用ロール32を通過した濾材本体20はガイド部34の入側壁面134aの間で、凸条部原形24sが下側ガイド円盤34pによって上方に押圧され、凹条部原形25sが上側ガイド円盤34eによって下方に押圧される。
【0022】
下側ガイド円盤34p及び上側ガイド円盤34eの位置を通過した濾材本体20は、ガイド部34の押圧面134pの間を通過する過程で徐々に幅を狭められる。このとき、濾材本体20には長手方向に延びる凸条部原形24sと凹条部原形25sとが交互に形成されているため、濾材本体20の幅を狭めるのが容易になる。
即ち、濾材本体20をガイド部34の押圧面134pの間を通過させて、その濾材本体20の幅を狭める工程が本発明の幅調整工程に相当する。
ガイド部34の押圧面134pの間を通過した濾材本体20は、出側壁面134fの間で、凸条部原形24sが下側ガイド円盤35pによって上方に押圧され、凹条部原形25sが上側ガイド円盤35eによって下方に押圧される。これによって、濾材本体20の凸条部原形24sが上方に延ばされ、凹条部原形25sが下方に延ばされるようになる。
【0023】
ガイド部34の下側ガイド円盤35p及び上側ガイド円盤35eを通過した濾材本体20はガイド部34の出側壁面134fによって加工用ロール36まで導かれる。そして、濾材本体20は定速で回転している加工用ロール36に対して搬送中心線Cに沿って水平に通される。これによって、濾材本体20の凸条部原形24sの部分と凹条部原形25sの部分とが加工用ロール36によってそれぞれ凸条部24と凹条部25とに加工される。この結果、濾材本体20には、その濾材本体20の長手方向に延びる凸条部24と凹条部25とが幅方向にほぼ連続した状態で交互に(波形に)形成される。さらに、濾材本体20には、上側ロール36uと下側ロール36dとの折り筋形成部37によって、濾材本体20の幅方向に延びる折り筋22が長さ方向に一定間隔で形成される。
即ち、濾材本体20を加工用ロール36に通して凸条部24と凹条部25とを形成する工程、及び折り筋22を形成する工程が本発明の主成形工程及び折り筋加工工程に相当する。なお、濾材本体20の折り筋22は、その濾材本体20が加工用ロール36を通過した後、形成することも可能である。
次に、後工程で濾材本体20が折り筋22の位置でジグザグに折り曲げられることで、フィルタ用濾材10が形成される。
【0024】
このように、本実施形態に係るフィルタ用濾材10の製造方法によると、予備成形工程で濾材本体20に対してサイズの小さい凸条部原形24sと凹条部原形25sとを形成し、さらに、幅調整工程で濾材本体20の幅を狭めて余裕を持たせた後、凸条部原形24sと凹条部原形25sとのサイズを増大させて、凸条部24と凹条部25を成形する。このように、予備成形工程と幅調整工程との後、凸条部24と凹条部25の主成形を行う方法のため、必要なサイズの凸条部24と凹条部25を成形する際に、濾材本体20が破損し難くなる。
さらに、凸条部24と凹条部25とから濾材本体20を断面略波形に成形するため、凹凸をより深く形成できるようになり、気体を濾過する際に、対向している濾材本体20どうしが密着し難くなる。
また、折り筋加工工程では、濾材本体20の幅方向に延びる折り筋22hの他に、その折り筋22hに対して平面上対称に配置されており、濾材本体20の凸条部24の頂きを頂点とする三角形状の一組の折り筋22wを形成するため、濾材本体20を容易にジグザグに折り曲げられるようになる。
【0025】
なお、本実施形態に係るフィルタ用濾材10の製造方法では、断面半円形の凸条部24と凹条部25とを形成する例を示したが、凸条部24と凹条部25との断面形状は適宜変更可能である。例えば、断面半円形の代わりに断面三角形状あるいは台形状に形成することも可能である。
また、濾材加工装置30におけるガイド部34の入側壁面134aの間、及び出側壁面134aの間に、上側ガイド円盤34e,35eと下側ガイド円盤34p,35pとを設ける例を示した。しかし、図9に示すように、上側ガイド円盤38eと下側ガイド円盤38pとを幅方向及び搬送方向に移動可能に構成すれば、上下のガイド円盤を二箇所に設ける必要がなくなる。
また、本実施形態では、濾材本体20に凸条部24と凹条部25とを幅方向に交互に形成する例を示したが、凸条部24のみを幅方向に複数本形成することも可能であるし、凹条部25のみを幅方向に複数本形成することも可能である。
また、本実施形態では、濾紙製の濾材本体20を例示したが、不織布で濾材本体20を形成することも可能である。
また、本実施形態では、濾材加工装置30におけるガイド部34の押圧面134pを傾斜した平面状に形成する例を示したが、両押圧面134pの間隔が徐々に狭まるように曲面状に形成することも可能である。さらに、両押圧面134pの間隔が段階的に狭まるように傾きを変えることも可能である。
【0026】
なお、発明を実施するための最良の形態に記載されている発明で、特許請求の範囲には記載されていない発明を以下に列記する。
(a)帯状の濾材本体を幅方向に延びる複数の折り筋に沿ってジグザグに折り曲げることでジャバラ状に形成されているフィルタ用濾材であって、
濾材本体は、長手方向に延びる凸条部と凹条部とが幅方向において交互に形成されることで、横断面形状が略波形に成形されていることを特徴とするフィルタ用濾材。
このため、請求項1の発明と同様に、フィルタ用濾材で気体を濾過する際、凸条部と凹条部との働きで、互いに対向している濾材本体どうしの密着を確実に防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態1に係るフィルタ用濾材の部分斜視図(A図)、及びA図のB−B矢視断面図(B図)である。
【図2】フィルタ用濾材の素材である濾材本体の部分斜視図である。
【図3】フィルタ用濾材の成形装置の平面図である。
【図4】フィルタ用濾材の成形装置の側面図である。
【図5】図3のV−V矢視図である。
【図6】図3のVI−VI矢視図である。
【図7】図3のVII−VII矢視図である。
【図8】図3のVIII−VIII矢視図である。
【図9】上側ガイド円盤と下側ガイド円盤との変更例を表す模式図である。
【図10】濾材本体の折り筋を表す平面図(A図)及びA図のB−B矢視図(B図)である。
【図11】従来のフィルタ用濾材の部分斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
20 濾材本体
22 折り筋
24 凸条部
24s 凸条部原形
25 凹条部
25s 凹条部原形
32 癖付けロール
34 ガイド部
34k ガイド壁
34e 上側ガイド円盤(円盤状のローラ)
34p 下側ガイド円盤(円盤状のローラ)
35e 上側ガイド円盤(円盤状のローラ)
35p 下側ガイド円盤(円盤状のローラ)
36 加工用ロール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に形成された濾材本体を、その濾材本体の幅方向に延びる複数の折り筋に沿ってジグザグに折り曲げることでジャバラ状に形成されるフィルタ用濾材の製造方法であって、
前記濾材本体の長手方向に延びる凸条部の原形及び/又は凹条部の原形を幅方向において複数本形成する予備成形工程と、
前記予備成形工程の後、前記濾材本体の幅を狭める幅調整工程と、
前記幅調整工程の後、前記凸条部の原形及び/又は凹条部の原形のサイズを増大させて、隣り合う前記凸条部及び/又は凹条部が互いにほぼ接するように、前記凸条部及び/又は凹条部を成形する主成形工程と、
前記主成形工程後、あるいは主成形工程と同時に、前記濾材本体に対して複数の折り筋を形成する折り筋加工工程と、
を有することを特徴とするフィルタ用濾材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたフィルタ用濾材の製造方法であって、
予備成形工程では、濾材本体の長手方向に延びる凸条部の原形と凹条部の原形とを幅方向において交互に形成し、
主成形工程では、凸条部の原形と凹条部の原形とのサイズを増大させて、前記濾材本体を断面略波形に成形することを特徴とするフィルタ用濾材の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載されたフィルタ用濾材の製造方法であって、
幅調整工程では、対向する一対の側壁の間隔が徐々に狭まるように構成されたガイド部に濾材本体をほぼ水平に通すとともに、円盤状のローラで前記濾材本体の凸条部の原形を高さ方向に押圧し、その濾材本体の凹条部の原形を深さ方向に押圧することを特徴とするフィルタ用濾材の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載されたフィルタ用濾材の製造方法であって、
折り筋加工工程では、濾材本体の幅方向に延びる折り筋の他に、その折り筋に対して平面上対称に配置されており、前記濾材本体の凸条部の頂きを頂点とする三角形状の一組の折り筋を形成することを特徴とするフィルタ用濾材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−159157(P2006−159157A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358450(P2004−358450)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】