説明

フィルタ装置のコア部材

【課題】コア部材を周方向に分割して成形することにより、コア部材全体を一体的に成形する従来の製造法では得ることのできない開口形態を有するフィルタ装置のコア部材を提供する。
【解決手段】周方向に分割された複数の分割体をそれぞれ射出成形した後、該複数の分割体を周方向に連結することにより、フィルタ装置の円筒状のコア部材を形成する。コア部材のコア壁を貫通する液体通路を、通路断面が半径方向内側へと拡大するか、及び/又は、液体が水平面内半径方向から外れる方向に通るように形成する。前記液体通路は、例えば、通路断面が半径方向内側へと軸方向に拡大するように形成され得、あるいは、液体を水平面内半径方向から軸方向に外れる方向に通すように形成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置のコア部材に関し、更に詳しくは、高純度薬品、フォトケミカル、ファインケミカル、CMP(Chemical Mechanical Polishing)スラリー等のろ過・精製、純水・超純水等の製造等に使用されるフィルタ装置におけるコア部材(コアスリーブ、内筒等とも称される)に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタ装置は、例えば、半導体ウエハや液晶ガラス基板の製造時におけるプロセス薬液の精密ろ過等に一般的に使用されており、フィルタ装置の一般的な構成は特開2002−85945号公報等に開示されている。すなわち、フィルタ装置は、処理対象液の導入口、ろ過液の吐出口、ベント等が組み込まれたハウジングと、ハウジング内に収容される円筒状もしくは円柱状のフィルタ組立体(フィルタカートリッジ)とを備え、フィルタ組立体は、一般に、それぞれ多数の開口を有する円筒状の外側スリーブ及びコア部材と、これら外側スリーブ・コア部材間に収納されるフィルタ要素と、外側スリーブ、フィルタ要素及びコア部材の軸方向上下端部に固着される上下のエンドキャップとから構成される。フィルタ要素としては、液体との接触面積を増やすため、膜素材を半径方向外側及び内側で順次折り返しながら周方向に連続させたものが多用されている。
【0003】
処理対象の液体は、導入口からハウジング内に導入され、外側スリーブの開口から外側スリーブ内に入り、フィルタ要素を通過してろ過され、次いで、コア部材の開口からコア部材の内部に至った後、吐出口からハウジング外に排出され、下流側に送られる。なお、導入口及び吐出口の両方がハウジングの軸方向一端側に設けられる場合と、導入口がハウジングの軸方向一端側に、吐出口が他端側に設けられる場合がある。
【0004】
従来から、コア部材は、円筒形状のコア部材全体を一体的に射出成形して形成されている。すなわち、半径方向内側の中心部に配置される円柱又は円筒状の内側金型と、半径方向外側に配置され、開口を出す複数の外側金型との間に合成樹脂材を射出して冷却等した後、内外金型を取り去ることにより、多数の開口を有する円筒形状のコア部材が製造される。しかしながら、コア部材の全体成形では、開口形態が外側金型の型抜きが可能となるものに限定されるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−85945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような点に着目してなされたもので、その目的は、コア部材を周方向に分割して成形することにより、全体成形では得ることのできない開口形態を有するフィルタ装置のコア部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によれば、周方向に分割された複数の分割体をそれぞれ射出成形した後、該複数の分割体を周方向に連結して成る、フィルタ装置における円筒状のコア部材であって、液体をコア部材の半径方向外側のコア外部と半径方向内側のコア内部との間に通すための多数の液体通路をコア壁に有し、前記液体通路は、通路断面が半径方向内側へと拡大するフィルタ装置のコア部材が提供される。
【0008】
本発明において、液体通路の通路断面とは、液体通路の半径方向に垂直な断面(コア部材の外周面(又は内周面)に平行な断面)をいう。
【0009】
本発明では、円筒形状のコア部材を周方向に分割して射出成形を行うことにより、外側金型のみならず内側金型によってもコア壁を貫通する液体通路(開口)の形態を形成することができるため、液体通路の通路断面を半径方向内側へと軸方向及び/又は周方向に拡大させることができる。これにより、液体通路を通る液体の流速、流れ方向等に変化を与えて、コア内部への流入を円滑にしたり、コア内部から吐出口へ向かう流れを促進することができる。なお、従来のコア部材全体成形では、液体通路の通路断面を半径方向内側へと拡大させることは、外側金型の型抜きができなくなるため、困難であった。また、コア部材の周方向での分割数は二つが好ましいが、これに限らず、三つ以上であってもよい。
【0010】
コア部材の材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等の合成樹脂等を好ましく挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記液体通路は、通路断面が半径方向内側へと軸方向に拡大する。この場合、液体通路を規定するコア壁境界面に付着して残留することがある気泡をフィルタ装置の稼働の初期段階において下流へと排出し易くなる。なお、このような気泡が後に下流に排出されると、製造中の半導体ウエハ、液晶ガラス基板等に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記各液体通路は、コア壁における半径方向外側部分に設けた複数の小開口と、これら複数の小開口に連通する、コア壁における半径方向内側部分に設けた一つの大開口とから成る。従来のコア部材として、コア壁に大開口(本発明の当該実施形態における大開口に相当する開口)のみを有するものが知られており、フィルタ要素が使用時に大開口の縁に繰り返し接触することにより、フィルタ要素が損傷等して寿命が短くなる場合があった。そのため、従来は、コア部材の外周面を保護シートで覆うと共に、該保護シートにおける大開口に対応する部分に複数の小開口を形成して、フィルタ要素の損傷等を防いでいた。本実施形態では、そのような保護シートを別途設けることなく、コア部材自体でフィルタ要素に対する損傷等を防ぐ開口形態を実現することができる。
【0013】
本発明によればまた、周方向に分割された複数の分割体をそれぞれ射出成形した後、該複数の分割体を周方向に連結して成る、フィルタ装置における円筒状のコア部材であって、液体をコア部材の半径方向外側のコア外部と半径方向内側のコア内部との間に通すための多数の液体通路をコア壁に有し、前記液体通路は、液体を水平面内半径方向から外れる方向に通すフィルタ装置のコア部材が提供される。
【0014】
本発明において、水平面内半径方向とは、コア部材の軸線に垂直な同一水平面内におけるコア部材の外周面に対する接線に垂直な半径方向をいう。
【0015】
本発明では、円筒形状のコア部材を周方向に分割して射出成形を行うことにより、外側金型のみならず内側金型によってもコア壁を貫通する液体通路(開口)の形態を形成することができるため、液体通路を通る液体の方向を水平面内半径方向から軸方向及び/又は周方向に外すことができる。これにより、液体通路を通る液体の流速、流れ方向等に変化を与えて、コア内部への流入を円滑にしたり、コア内部から吐出口へ向かう流れを促進することができる。なお、従来のコア部材全体成形では、液体が水平面内半径方向から外れる方向に流れるように流体通路を形成することは、外側金型の型抜きができなくなるため、困難であった。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記液体通路は、液体を水平面内半径方向から軸方向に外れる方向に通る。これにより、コア内部から吐出口に向かう流れを促進することができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記液体通路は、半径方向内側へと軸方向に分岐する。この場合、液体の流れを軸方向に分散させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、コア部材を周方向に分割して射出成形したため、従来のコア部材全体の一体的に射出成形では得ることができなかった開口形態を得ることができ、例えば、液体通路の通路断面を半径方向内側へと拡大させたり、液体通路における液体の流れる方向を同一平面内半径方向から外すことができる。これにより、液体通路を通る液体の流速、流れ方向等に変化を与えて、コア内部への流入を円滑にしたり、コア内部から吐出口へ向かう流れを促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るコア部材を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のコア部材を半径方向内側から見た部分斜視説明図である。
【図3】図3は、図1のコア部材のコア壁の縦断面の一部を拡大して示す説明図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係るコア部材を概略的に示す斜視図である。
【図5】図5は、図4のコア部材を半径方向内側から見た部分斜視説明図である。
【図6】図6は、図4のコア部材のコア壁の縦断面の一部を拡大して示す説明図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態に係るコア部材を概略的に示す斜視図である。
【図8】図8は、図7のコア部材を半径方向内側から見た部分斜視説明図である。
【図9】図9は、図7のコア部材のコア壁の縦断面の一部を拡大して示す説明図である。
【図10】図10は、本発明の第4実施形態に係るコア部材を概略的に示す斜視図である。
【図11】図11は、図10のコア部材を半径方向内側から見た部分斜視説明図である。
【図12】図12は、図10のコア部材のコア壁の縦断面の一部を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る(フィルタ装置の)コア部材10を概略的に示す斜視図であり、図2はコア部材10を半径方向内側から見た部分斜視説明図である。コア部材10は、円筒状のコア壁10’から成る合成樹脂成形品であり、コア壁10’を半径方向に貫通する、周方向に沿って細長い形状の開口11(流体通路12)を多数有する。開口11は、図1において一例として周方向に六つ、軸方向に十一にて配列されるが、これは単なる例示であって、開口11の数や配列パターンは任意に設定することができる。コア部材10は、円筒形状を周方向180度ずつにて軸方向に沿って縦に分割した二つの半円筒形状の分割体10a、10bから構成される。各分割体10a、10bは、周方向両端側部それぞれに軸方向全域に延びる凸部及び溝を含む略L字状の連結部13を有する。そして、分割体10aの両連結部13の凸部及び溝を、分割体10bの両連結部13の溝及び凸部に軸方向からそれぞれ合致的に噛み合わせることにより、両分割体10a、10bは互いに連結される。
【0021】
分割体10a、10bはそれぞれ別々に射出成形された後、組み合わされる。そのため、コア部材10は、以下に詳述するように、円筒形状のコア部材全体を一体的に射出成形する従来の製造法では得ることができない開口形態を有する。図3はコア壁10’の縦断面の一部を拡大して示す説明図であり、該図の右側が半径方向内側であり、矢印Aは液体が半径方向外側(コア外部)から半径方向内側(コア内部)に流れることを示す。一つの開口11は、コア壁10’の外周面10’aに沿う開口入口端11aと、コア壁10’の内周面10’bに沿う開口出口端11bとの間に一つの流体通路12を規定する。流体通路12は、コア壁(の非開口部分)10’との境界である通路上面12aと、通路下面12bと、通路周方向両側面12c(図2参照)とによって規定される。なお、通路周方向両側面12cは半径方向に沿う。通路上面12aは、半径方向内側へと上方(軸方向)に傾斜し、通路下面12bは半径方向内側へと下方に傾斜する。そのため、液体通路12は、開口入口端11aから開口出口端11bへと軸方向長さ(高さ)が長くなるため、通路断面が半径方向内側へと次第に拡大する。そのため、開口入口端11aから液体通路12内に入った液体は、拡散しつつ流速を増して開口出口端11aを出る。これにより、通路上下面12a、12bもしくは通路周方向両側面12cに付着して残留することがある気泡がフィルタ装置の稼働の初期段階において下流へと排出され易くなるといった利点が得られる。
【0022】
図4は、本発明の第2実施形態に係る(フィルタ装置の)コア部材20を略示する斜視図であり、図5はコア部材20を半径方向内側から見た斜視断面部分説明図である。コア部材20は、円筒状のコア壁20’から成る合成樹脂成形品であり、コア壁20’を半径方向に貫通する矩形状の開口21(流体通路22)を多数有する。開口21は、図4において一例として周方向に四つ、軸方向に七つにて配列されるが、これは単なる例示であって、開口21の数や配列パターンは任意に設定することができる。コア部材20は、円筒形状を周方向180度ずつにて軸方向に沿って縦に分割した二つの半円筒形状の分割体20a、20bから構成される。各分割体20a、20bは、周方向両端側部それぞれに軸方向全域に延びる凸部及び溝を含む略L字状の連結部23を有する。そして、分割体20aの両連結部23の凸部及び溝を、分割体20bの両連結部23の溝及び凸部に軸方向からそれぞれ合致的に噛み合わせることにより、両分割体20a、20bは互いに連結される。
【0023】
分割体20a、20bはそれぞれ別々に射出成形された後、組み合わされる。そのため、コア部材20は、以下に詳述するように、円筒形状のコア部材全体を一体的に射出成形する従来の製造法では得ることができない開口形態を有する。図6はコア壁20’の縦断面の一部を拡大して示す説明図であり、該図の右側が半径方向内側である。一つの開口21は、コア壁20’の外周面20’aに沿う開口入口端21aと、コア壁20’の内周面20’bに沿う開口出口端21bとの間に一つの流体通路22を規定する。流体通路22は、コア壁(の非開口部分)20’との境界である通路上面22aと、通路下面22bと、通路周方向両側面とによって規定される。図示はしないが、各流体通路22は半径方向内側へと周方向に次第に拡大する。また、通路上下面22a、22bは、半径方向内側へと上方(軸方向)に互いに平行に傾斜する。そのため、液体通路22は、開口入口端21aから開口出口端21bへと上方に傾斜し、液体を水平面内半径方向から軸方向上方に逸れる矢印B方向に通す。これにより、開口入口端21aから液体通路22内に入った液体は、軸方向上方に方向付けられて開口出口端21bからコア内部に出るため、コア部材20の軸方向上方にあるろ過液の吐出口(図示せず)に向かってコア内部を上方に進む液体の流れを助長する。なお、吐出口がコア部材20の下方にある場合は、コア部材20の上下を逆にして液体通路22を半径方向内側へと下方に傾斜させて、液体の流れを下方に向けることができる。
【0024】
図7は、本発明の第3実施形態に係る(フィルタ装置の)コア部材30を略示する斜視図であり、図8はコア部材30を半径方向内側から見た斜視断面部分説明図である。更に、図9はコア部材30の壁構造の縦断面を拡大して示す部分説明図であり、該図の右側が半径方向内側(コア内部)である。コア部材30は、半径方向に薄い板状の第1環状部材31aと、第1環状部材31aに比べ半径方向に厚い縦断面矩形状の第2環状部材31bとが軸方向交互に多数並ぶと共に、一直径方向に対向する二つの縦フレーム31cが第1及び第2環状部材31a、31bを連結しながらコア部材30の軸方向全域に延びて成る円筒状の合成樹脂成形品である。コア部材30は、円筒形状を周方向180度ずつにて軸方向に沿って縦に分割した二つの半円筒形状の分割体30a、30bから構成される。各分割体30a、30bは、周方向両端側部それぞれに軸方向全域に延びる凸部及び溝を含む略L字状の連結部33を有する。そして、分割体30aの両連結部33の凸部及び溝を、分割体30bの両連結部33の溝及び凸部に軸方向からそれぞれ合致的に噛み合わせることにより、両分割体30a、30bは互いに連結される。分割体30a、30bはそれぞれ別々に射出成形された後、組み合わされる。そのため、コア部材30は、以下に詳述するように、円筒形状のコア部材全体を一体的に射出成形する従来の製造法では得ることができない開口形態を有する。
【0025】
コア部材30は、周方向に沿って細長い形状の開口32を多数有し、各開口32は、軸方向に隣り合う第1環状部材31a間でかつ周方向の縦フレーム31c間に規定され、コア部材30の外周面30’に現れる。開口32は、図7において一例として周方向に二つ、軸方向に九つにて配列されるが、これは単なる例示であって、開口32の数や配列パターンは任意に設定することができる。図9を参照して、第2環状部材31bは、第1環状部材31aの内径よりも若干小さい外径を有し、軸方向に隣り合う第1環状部材31a間において半径方向内側に若干引っ込んで位置付けられる。そのため、開口32から流入した液体は、矢印Cに示すように、第2環状部材31bの外周面にぶつかり、軸方向上下に分岐される。このような開口形態では、コア部材30の半径方向外側に配置される図示しないフィルタ要素が開口32から半径方向内側へともぐり込むことを第2環状部材31bによって防止することができる。
【0026】
図10は、本発明の第4実施形態に係る(フィルタ装置の)コア部材40を略示する斜視図であり、図11はコア部材40を半径方向内側から見た部分斜視説明図である。コア部材40は、円筒状のコア壁40’から成る合成樹脂成形品であり、円筒形状を周方向180度ずつにて軸方向に沿って縦に分割した二つの半円筒形状の分割体40a、40bから構成される。各分割体40a、40bは、周方向両端側部それぞれに軸方向全域に延びる凸部及び溝を含む略L字状の連結部43を有する。そして、分割体40aの両連結部43の凸部及び溝を、分割体40bの両連結部43の溝及びに軸方向からそれぞれ合致的に噛み合わせることにより、両分割体40a、40bは互いに連結される。分割体40a、40bはそれぞれ別々に射出成形された後、組み合わされる。そのため、コア部材40は、以下に詳述するように、円筒形状のコア部材全体を一体的に射出成形する従来の製造法では得ることができない開口形態を有する。
【0027】
図12はコア壁40’の縦断面の一部を拡大して示す説明図である。コア壁40’は、半径方向外側の比較的薄肉な外側壁部40’aと、半径方向内側の、外側壁部40’aよりも厚肉な内側壁部40’bとから成る。外側壁部40’aには、外側壁部40’aを半径方向に貫通する複数(図10において一例として十六)の円形状の小開口41aの群から成る小開口アレイ41が周方向に一例として六つ、軸方向に六つ形成される。各小開口アレイ41において、小開口41aの群は相互に近接し、一例として5(又は6)列3行にて縦横に互い違いに配列される。これらは単なる例示であって、小開口アレイ41や小開口アレイ41における小開口41aの数や配列パターンは任意に設定することができる。内側壁部40’bには、各小開口アレイ41に対応する箇所に、内側壁部40’bを半径方向に貫通する大開口41bがそれぞれ形成される。各大開口41bは対応する小開口アレイ41の全小開口41aと連通する。従って、コア壁40’における流体通路は、通路断面が小開口41aから大開口41bへと半径方向内側に拡大する。従来のコア部材として、コア壁に大開口(大開口41bに相当する開口)のみを有するものが知られており、フィルタ要素が使用時に大開口の縁に繰り返し接触することにより、フィルタ要素が損傷等して寿命が短くなる場合があった。そのため、従来は、コア部材の外周面を保護シートで覆うと共に、該保護シートにおける大開口に対応する部分に複数の小開口を形成して、フィルタ要素の損傷等を防いでいた。上記第4実施形態では、そのような保護シートを別途設けることなく、コア部材40自体に外側壁部40’aを形成してフィルタ要素に対する損傷等を防ぐ開口形態を実現することができる。
【符号の説明】
【0028】
10、20、30、40 コア部材
10’、20’、40’ コア壁
10a、10b、20a、20b、30a、30b、40a、40b 分割体
11、21、32 開口
12、22 流体通路
31a 第1環状部材
31b 第2環状部材
41 小開口アレイ
41a 小開口
41b 大開口
40’a 外側壁部
40’b 内側壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に分割された複数の分割体をそれぞれ射出成形した後、該複数の分割体を周方向に連結して成る、フィルタ装置における円筒状のコア部材であって、
液体をコア部材の半径方向外側のコア外部と半径方向内側のコア内部との間に通すための多数の液体通路をコア壁に有し、
前記液体通路は、通路断面が半径方向内側へと拡大するフィルタ装置のコア部材。
【請求項2】
前記液体通路は、通路断面が半径方向内側へと軸方向に拡大する請求項1のフィルタ装置のコア部材。
【請求項3】
前記各液体通路は、コア壁における半径方向外側部分に設けた複数の小開口と、これら複数の小開口に連通する、コア壁における半径方向内側部分に設けた一つの大開口とから成る請求項1のフィルタ装置のコア部材。
【請求項4】
周方向に分割された複数の分割体をそれぞれ射出成形した後、該複数の分割体を周方向に連結して成る、フィルタ装置における円筒状のコア部材であって、
液体をコア部材の半径方向外側のコア外部と半径方向内側のコア内部との間に通すための多数の液体通路をコア壁に有し、
前記液体通路は、液体を水平面内半径方向から外れる方向に通すフィルタ装置のコア部材。
【請求項5】
前記液体通路は、液体を水平面内半径方向から軸方向に外れる方向に通す請求項4のフィルタ装置のコア部材。
【請求項6】
前記液体通路は、半径方向内側へと軸方向に分岐する請求項4のフィルタ装置のコア部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−161380(P2011−161380A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27767(P2010−27767)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】