説明

フィルタ補間によってエンコーダを更新する方法

本発明は、予め定められた初期サイズより大きなサイズを有する変調変換を使用するために、エンコーダまたはデコーダの処理能力を更新するための方法に関する。さらに具体的には、本発明は、初期サイズの係数からなる順序付けられた係数セットによって規定される初期プロトタイプフィルタを記憶するためのエンコーダまたはデコーダに関する。また、本発明は、少なくとも1つの係数を、上記初期プロトタイプフィルタの2つの連続する係数の間に挿入することによって、上記より大きなサイズを有する変調変換を実行するために、上記初期サイズより大きなサイズのプロトタイプフィルタを構築するステップに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理、特に一連のサンプルの形態の、オーディオ信号(例えば音声信号)および/またはビデオ信号の処理に関する。本発明は、特に変換を利用した信号処理に関し、変調変換の分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
変調変換は、デジタル信号(したがって、サンプリング期間内の時間的に一連のサンプル)の分析および伝送において適用されてきた。変調変換は信号合成においても適用されてきた。例えば、信号の符号化には、分析フィルタバンク、数量化、および合成フィルタバンクを利用することができる。
【0003】
変調変換の場合、通常、異なる周波数値に合わせて変調されるプロトタイプフィルタが規定される。こうすることによって、異なる「周波数」の位置において信号を表わす、1組のチャネルが提供される。
【0004】
変調は、h(n)=h(n)・W(k,n)のような演算によって可能である。ただし式中、
nは、サンプリング期間の倍数に対応する時間インデックスであり、
kは、周波数チャネルを表わすインデックスであり、
Lは、フィルタ(および変調)の長さである。
【0005】
さらに、上記式中、
h(n)(ただし0≦n<L)は、複素数値を有する可能性のあるプロトタイプフィルタを規定し、
W(k,n)(ただし0≦n<L)は、同様に複素数値を有する可能性のある、チャネルkのための変調関数を規定し、
(n)(ただし0≦n<L)は、チャネルkのための変調フィルタを規定する。
【0006】
符号化を行うために信号分析を実行するには、例えば、分析対象の信号x(n)が、次式のスカラー積の演算によって変調フィルタに射影される。
【0007】
【数1】

【0008】
分析された信号は、例えば、y=<x,h>+λ<x,h’>の形態の、複数回の射影の結果であってもよい。ただし本式中、λ、h’、およびjは、それぞれ、利得、変調、および周波数インデックスであって、後者2つの値はhおよびkとは異なる値であってもよい。
【0009】
これらの分析演算は、時間的に連続する演算であって、時間的に変化する一群の信号yが結果として生成されてもよい。
【0010】
こうすることによって、次式が成立する。
【0011】
【数2】

【0012】
上記式中、mは、連続するサンプル(”フレーム”)のブロックのインデックスを示し、Tはフレームの時間的な長さを(サンプルの個数として)規定する。
【0013】
変調変換を信号合成に適用してもよい。このタイプの適用の場合、コンテンツが複数の周波数チャンルにおいて生成され、これらのチャンルが、デジタル信号を再構築するために統合される。
【0014】
したがって、信号
【0015】
【数3】

【0016】
が、変換済みの信号yをM個の合成ベクトルに射影することによって合成される。まず、式
【0017】
【数4】

【0018】
が以下のように規定される
【0019】
【数5】

【0020】
信号yは時間的に変化し、その結果、合成によって、任意の長さの信号を生成することが可能になる。
【0021】
【数6】

【0022】
0≦n<Lについて式
【0023】
【数7】

【0024】
によって規定されるベクトルは、M個のサンプルによってシフトされ、次にすべて加算されて、合成信号
【0025】
【数8】

【0026】
を生成する。これは、オーバーラップ・アッド(overlap add)と呼ばれる。
【0027】
変調変換は、好適には信号の符号化に適用される。
【0028】
周波数の符号化システムでは、分析変換が、変調分析フィルタhを利用して実行される。なお、
【0029】
【数9】

【0030】
である。
【0031】
そして、有用な情報(有用性は、例えば知覚歪み基準(perceptive distortion criterion)を用いて判断可能である)を搬送する信号yk,mが近似され、符号化された形態で送信される。
【0032】
デコーダ側では、受信された近似済み成分yk,mが逆変換によって合成され、もとのサンプルを近似したものが復元される。
【0033】
この合成は、次式の1組の変調合成フィルタfを利用して行われる。
【0034】
【数10】

【0035】
次に、オーバーラップ・アッド演算が実行され、再構築されかつ復号化された信号
【0036】
【数11】

【0037】
が得られる。
【0038】
好ましい種類の変調変換が、完全な再構築変換によって規定される。
【0039】
変換済み成分yが遅延Rを除けば修正されないとき、つまり
【0040】
【数12】

【0041】
であるとき、初期信号にほぼ対応するまたは完全な再構築を行う場合には完全に対応する復号化された信号が、上記の復号化から上記の変換によって得られる。
【0042】
再構築信号xと
【0043】
【数13】

【0044】
との差異が無視し得ると考えられる場合、上記再構築は「ほぼ完全な」再構築であってもよい。例えば、音声の符号化では、誤差の大きさが処理済み信号xの大きさより50dB小さい差異は、無視し得ると考えてよい。
【0045】
もっともよく用いられる変換はELT(Extended Lapped Transforms;拡張ラップ変換)である。ELT変換は、完全な再構築を提供し、長さがL=2・K・Mのフィルタを使用する。MLT(Modulated Lapped Transforms;変調ラップ変換)であるMDCT変換(Modified Discrete Cosine Transforms;修正離散コサイン変換)は、K=1となる特殊な場合である。
【0046】
直交ミラーフィルタ(Quadrature Mirror Filters;QMF)または擬似直交ミラーフィルタ(Pseudo Quadrature Mirror Filters; PQMF)は、異なる変調項を用いる、ほぼ完全な再構築ソリューションである。
【0047】
これらの各種変換は、実数係数をともなう変換であっても、複素数係数をともなう変換であってもよく、また、対称プロトタイプフィルタを使用しても、使用しなくてもよい。
【0048】
完全またはほぼ完全な再構築の条件を満たすためには、処理済み信号の任意の形態について、変調分析フィルタおよび変調合成フィルタが、互いにリンクされていなければならない。こうすることによって、関係が、分析および合成において使用される変調項およびプロトタイプフィルタをリンクする。例えば、コサイン変調システム(MDCT、ELT、PQMFなどのシステム)では、分析および合成における変調項は、例えばW(k,n)=W’(k,n+φ)という形態でリンクされている。ただし、WおよびW’は、それぞれ分析および合成において使用される変調を示し、φは位相シフトの項を示す。
【0049】
よく用いられる特殊な場合が、φ=0によって規定される。この場合、変調は、分析および合成において同一である。
【0050】
分析および合成のためのプロトタイプフィルタも互いにリンクされてもよく、こうすることによって、h(L−1−n)=f(n)と表わされる頻繁に使用されるタイプの制約はあるものの、(ほぼ)完全な再構築が保証できる。なお、この式中、hおよびfは、分析および合成において使用されるプロトタイプフィルタである。
【0051】
変調Wは、完全な再構築を保証するために、制約を受ける。例えば、ELT変換を実行するには、
【0052】
【数14】

【0053】
(ただし0≦n<L、0≦k<M、L=2・K・M)
が一般に選択可能である。
【0054】
同様に、プロトタイプフィルタは、完全な再構築を保証するために、例えば
【0055】
【数15】

【0056】
と表わされる種類の制約を受ける。
【0057】
特に、プロトタイプフィルタは、以下に列挙するプロトタイプフィルタの中から選択可能である。すなわち、
・等式の形態で分析的に規定されるプロトタイプフィルタ。また、このクラスでは、MDCT変換(K=1)によく用いられるフィルタは、
【0058】
【数16】

【0059】
(ただし0≦n<L、L=2・M)
と表わされる。
・分析関数の推定を許可しない基準にしたがって、デジタル最適化から生成されるフィルタ。一例としては、完全な再構築の制約下にある量を最小化することによって得られるフィルタがあげられる(この量は、カットオフ周波数からのストップバンド減衰であってもよく、符号化利得であってもよく、あるいはもっと一般的に、符号化の品質に関連すると判断されるその他の任意の量であってもよい)。
【0060】
上述のように、プロトタイプフィルタは対称であっても、対称でなくてもよい。対称関係は以下のように書かれる。
h(L−1−n)=h(n)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0061】
上述の変調変換の実行のモデル化について、具体的な例示を提供する目的で記載する。これらの変換を実際に実行する際には、記載した計算すべてがこの形態で実行されるわけではない。演算効率、時間、および演算リソースの使用などの理由のために、「高速」な実施形態が使用される。これらの実施形態では、具体的には上述の計算法を適用しないが、これらの計算は有効である。
【0062】
下記の変調変換は、演算リソースを使って効率的に実行するために、高速アルゴリズムによって規定される。これらのアルゴリズムは、高速フーリエ変換に基づいているか、あるいは、例えば高速コサイン変換または高速サイン変換(例えばタイプIVのDCT変換)などの、高速フーリエ変換から導出されるものである。
【0063】
高速アルゴリズムの変換の次数は、周波数成分の個数M以下であれば、これらの変換を実行するには十分である。これらの変換は効率的である。なぜならば、その複雑さが成分の個数Mのlog(M)に比例するからである。
【0064】
サンプルの個数(L個)を成分の個数(M個)以下にまで削減する演算は、高速変換に先立って適用される。
【0065】
変換から分析までの完全なアルゴリズムは、
・サイズLのサンプルにプロトタイプフィルタを乗じ、
・この積算の結果を結合、つまり、加算および係数の積算に基づく線形結合を生成して、L個の加重値からM個以下の成分を推定し、
・M以下の次数の高速変換を実行することを含む。
【0066】
合成変換を実行するためには、これらの演算を逆の順序で実行する。
【0067】
図1は、上述の分析および合成を示す。信号xは、プロトタイプフィルタφを備えたエンコーダCODに与えられる。そして、モジュールMULT1において、サイズLの1組の信号のサンプルに、プロトタイプフィルタが乗じられる。次に、L個のサンプルからM個の成分に変更するために、モジュールCL1において、プロトタイプフィルタが乗じられたサンプルの線形結合が実行される。そして、高速変換TR1が実行され、その後、サンプルがデコーダDECODに送信される。
【0068】
サンプルを受信すると、デコーダは高速変換TR2を適用する。そして、エンコーダにおいてなされた演算とは逆に、線形結合CL2が実行されて、初期のサンプルの個数L個に戻る。次に、これらのサンプルにデコーダDECODのプロトタイプフィルタが乗じられて、信号
【0069】
【数17】

【0070】
が再構築され、この再構築された信号から、信号
【0071】
【数18】

【0072】
が、オーバーラップ・アッド演算によって得られる。
【0073】
エンコーダまたはデコーダのプロトタイプフィルタの係数は、分析変換または合成変換を実行するために、メモリ中に記憶されていなければならない。明らかに、サイズが異なる変調変換を用いる特定のシステムでは、使用される各サイズに対応するプロトタイプフィルタが、メモリに記憶されていなければならない。
【0074】
フィルタが対称である好ましい場合には、記憶する必要があるのは、L/2個の係数だけであり、その他のL/2個の係数は、これらの記憶されている係数から、一切の算術演算を実行しないで決定される。したがって、MDCT(K=1)については、サイズがMおよび2.Mの変換が必要なのであれば、プロトタイプが対称である場合、(M+2M)=3M個の係数が記憶されていなければならず、そうでなければ(2M+4M)=6M個の係数が記憶されていなければならない。音声の符号化の代表的な例をあげると、M=320またはM=1024である。したがって、非対称な場合には、これらの例では、それぞれ、1920個の係数および6144個の係数を記憶する必要がある。
【0075】
係数表現の所望の精度に応じて、各係数について、16ビットまたは24ビットが必要である。このことは、低コストのプロセッサの場合、相当大きなメモリが必要となることを暗示している。
【0076】
サイズがUMの変換のプロトタイプフィルタがあるとすれば、サイズがMの変換のための係数を、デシメーションによって得ることができる。従来、これは、この特定の例であれば、Uからフィルタ係数を取ることからなる。
【0077】
ただし、サイズがMの変換のためのフィルタしかないのであれば、このフィルタを拡張してMU係数とともに使用するというほど単純なことではない。多項式補間による直接的な方法を用いても、再構築の精度を、サイズがMであってベース変換のレベルと同じレベルで維持することができない。したがって、この種類の方法は最適ではない。
【0078】
コア符号化システムがエンコーダに実装される場合、例えば符号化システムの標準版を更新する際に、これを拡張すれば有用なことがある。例えば、標準化されたITU G.718およびITU G.729.1のエンコーダは、それぞれ、M=320およびM=160のサイズのMDCT変調変換にのみ依存する。これらの標準規格を、上記エンコーダをより高いサンプリング周波数で動作させるために拡張(スーパーワイドバンド拡張と称される)する際には、より大きなサイズのMDCTが必要である。この拡張では、サイズがM’=640のMDCTを適用しなければならない。
【0079】
先行技術に係る拡張であれば、新しいプロトタイプフィルタの係数を表現するためには、記憶スペースの大きさを拡張しなければならない。さらに、係数を記憶するためは、エンコーダにおいて介在することが必要になる。
【0080】
本発明は、係数を記憶するためのROMおよび/または変換計算を実行するためのRAMにおいてメモリを削減する手段を提供することによって、上記の状況を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0081】
この目的を達成するために、予め定められたサイズより大きなサイズを有する変調変換を使用するために、エンコーダまたはデコーダの処理能力を更新する方法であって、該エンコーダまたはデコーダは、初期サイズの係数からなる順序付けられた係数セットによって規定される初期プロトタイプフィルタを記憶することができる、方法が提供される。少なくとも1つの係数を、上記初期プロトタイプフィルタの2つの連続する係数の間に挿入することによって、上記予め定められたサイズより大きなサイズの変調変換を実行するために、上記初期サイズより大きなサイズのプロトタイプフィルタを構築するステップが提供される。
【0082】
こうすることによって、変換用に追加の係数を記憶する代わりに、エンコーダ内にすでに存在する係数が使用される。
【0083】
このように、サイズがMの変換用に設計された1つのプロトタイプフィルタを記憶するだけで、サイズUMの変換を規定することが可能である。
【0084】
当然、上記追加の係数は、分析または合成において、または一連の処理演算の最初と最後の両方で使用され得る。
【0085】
本発明は、システムのコストの大きな部分をメモリの価格が占める、組み込みシステムにおいて適用されることが好適である。例えば、移動型電話技術においては、実装されるエンコーダ/デコーダの消費電力、小型化、および価格が最適化されなければならない。メモリ削減要件が本発明によって満たされることによって、このような最適化が可能になる。
【0086】
「更新」とは、作動しているエンコーダ/デコーダが、初期状態から初期状態とは異なる次の状態に遷移することを意味すると理解されるべきである。ただし、本発明は、符号化/復号化の実行に使用されたことのないエンコーダ/デコーダの初期化にも関する。
【0087】
好適には、上記挿入される係数は、初期フィルタの係数から計算される。
【0088】
例えば、上記2つの連続する係数の間に挿入される係数は、少なくとも上記2つの連続する係数に対して重み付けをすることによって計算される。
【0089】
さらに、初期プロトタイプフィルタが、予め定められた再構築関係、例えば完全な再構築関係を満たす方法が提供され得る。この場合、上記重み付けは、この再構築関係から計算される少なくとも1つの重み関数を利用して実行される。
【0090】
上記係数を追加しても、エンコーダは確実に正しく機能しなければならない。したがって、上記追加の係数は、初期のプロトタイプの係数に対する重み付けに基づいて決定され、完全またはほぼ完全な再構築をともなう変換を可能にするものでなければならない。
【0091】
いくつかの実施形態では、上記重み関数が、上記2つの連続する係数の間に挿入される係数の各位置について計算される。
【0092】
上記方法の一実施形態では、上記構築されるフィルタh’のサイズは、初期フィルタhのサイズMのU倍であり、UおよびMは必ず1を超える自然数である。この場合、0≦S<Uを満たす自然数であるシフト値Sが規定され、上記構築される初期フィルタは、0≦n<Mを満たす任意の自然数nについて、関係h’(U×n+S)=h(n)を満たす。
【0093】
さらに、2つの重み関数PδおよびQδが、0<δ<Uを満たす任意の自然数δについて規定されてもよい。したがって、上記挿入される係数は、n<Mを満たす整数nについて関係h’(U×n+S+δ)=Pδ(n)×h(n)+Qδ(n)×h(n+1)によって規定される。
【0094】
この2つの重み関数は、同一の関数であってもよい。さらに、初期プロトタイプフィルタは、対称的に、反対称的に、または係数ゼロを追加することによって、拡張可能である。これらの手法は、プロトタイプフィルタを構築するために、初期フィルタ中に存在しない係数を規定するために有用であり得る。
【0095】
本発明が提案するプロトタイプフィルタの構築によって、初期プロトタイプフィルタがゼロを含む場合、係数の個数をさらに削減することができるようになることがわかる。こうすることによって、補間済みウインドウはインパルス応答中にゼロを含み、また、等しい係数を含んだ範囲を有する。したがって、メモリ要件は、さらに削減される。
【0096】
使用される重み付け補間方式に応じて、上述のプロセスは、帯域幅中で好ましい周波数応答を示すプロトタイプフィルタの取得を可能にする。
【0097】
本発明は、プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムであって、上述の方法を実行するため命令を含むコンピュータプログラムにも関する。本発明は、さらに、このようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータで読み取り可能な媒体に関連する。
【0098】
本発明は、上述の方法を実行するように構成されたエンコーダおよびデコーダにも関する。
【0099】
本発明の実施形態に係るエンコーダ/デコーダは、任意のサイズの初期プロトタイプフィルタを規定する係数からなる第1の係数セットを記憶するための第1のメモリ領域と、第1の係数セットの係数から決定される係数からなる第2の係数セットを配信するための命令を含むコンピュータプログラムを記憶するための第2のメモリ領域との、少なくとも2つのメモリ領域を備えている。第2の係数セットの係数を、第1の係数セットの2つの連続する係数の間に挿入することによって形成される係数セットが、初期プロトタイプフィルタのサイズより大きなサイズのプロトタイプフィルタを規定する。
【0100】
さらに、このエンコーダ/デコーダは、初期プロトタイプフィルタのサイズより大きなサイズのプロトタイプフィルタを構築するために、上述の更新方法を実行するための手段を備えている。
【0101】
さらに、エンコーダ/デコーダによって実行される、変調変換によって符号化/復号化する方法であって、
上記符号化/復号化のために使用される変調変換のサイズを取得するステップと、
上記変換のサイズが、エンコーダ/デコーダの初期プロトタイプフィルタのサイズより大きいとき、上述の更新方法にしたがって、該エンコーダ/デコーダの処理能力を更新するステップと、
上記変調変換を利用して信号を符号化/復号化し、上記更新の間に構築されたプロトタイプフィルタを利用するステップとを含んだ方法が提供され得る。
【0102】
好適には、上記符号化/復号化方法は、上述のように、エンコーダ/デコーダによって実行される。
【0103】
変調変換による符号化/復号化は、このような変換を利用する符号化/復号化である。
【0104】
「変調変換のサイズを取得する」ステップは、例えば、このサイズを示す情報を含んだ信号を受信すること対応していてもよい。この信号は、例えば、符号化モードを示していてもよい。この場合、サイズが小さく、したがって、小さなサイズの変換を必要とするデータフレームには、低解像度モードが提供される。また、サイズが大きく、したがって、大きなサイズの変換を必要とするデータフレームには、高解像度モードが提供される。ただし、この情報はコンピュータファイルから読み取ってもかまわない。この決定は、エンコーダ/デコーダの入力に対応してもかまわない。
【0105】
当然、エンコーダ/デコーダの更新とは、エンコーダ/デコーダを初期化することを意味すると理解してもかまわない。
【0106】
変調変換のサイズの選択は、サンプルの個数に基づいて、例えば、エンコーダ/デコーダによって処理されるフレームまたはサブフレームのサイズに応じてなされてもよい。1フレーム当たりまたは1サブフレーム当たりのサンプルの個数が多くなると、変換のサイズが大きくならなければならない。
【0107】
こうすることによって、さまざまなサイズの変換が、必要に応じてさまざまな時に使用可能になり、プロトタイプフィルタは、初期のプロトタイプに基づいてさまざまな時に更新される。
【0108】
本発明の、その他の特徴および効果は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照取することによって、自ずから理解できるはずである。添付の図面には、図1に加えて、以下の図2〜図8が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、分析および合成を示す。
【図2】図2は、プロトタイプフィルタを構築するために、初期フィルタの2つの連続する係数の間に、係数を挿入する様子を示している。
【図3】図3は、初期フィルタ、および初期フィルタから構築されたフィルタを示している。
【図4】図4は、本発明の異なる実施形態にしたがって構築されたフィルタを示している。
【図5】図5は、本発明の異なる実施形態にしたがって構築されたフィルタを示している。
【図6】図6は、一定の係数を含む、フィルタのサブセットを示している。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係るエンコーダを示している。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る符号化/復号化プロセスのステップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0110】
比較的小さなサイズの変換に対応するプロトタイプウインドウから、プロトタイプウインドウを構築することを可能にする、本発明の一実施形態の説明を以下に記載する。これは、ELT変調変換の一般的な文脈の中で起こることであり、対称ウインドウがともなっていても、ともなっていなくてもかまわない。ELTの文脈の中では、プロトタイプフィルタの長さLは2KMに等しく、ある個数(M個)のゼロを端部に含んでいてもよい。なお、Mは、変換される係数の個数を規定する。
【0111】
分析変換は以下のように書かれる。
【0112】
【数19】

【0113】
(ただし0≦k<M)
式中、nは、サンプリング期間の倍数に対応する時間インデックスであり、kは、関係のある周波数チャネルを表わすインデックスであり、h(n)(ただし0≦n<L)は、分析プロトタイプフィルタを規定し、W(k,n)(ただし0≦n<L)は、周波数kについての変調関数を規定する。
【0114】
合成変換は以下のように書かれる。
【0115】
【数20】

【0116】
(ただし0≦n<L)
式中、f(n)(0≦n<L)は、合成プロトタイプフィルタを規定し、
【0117】
【数21】

【0118】
は、スプリアス期間(spurious terms)を含有する長さLの信号であって、このスプリアス期間をオーバーラップ・アッド演算によって削除すれば、時間的な長さがx(n)に等価な信号
【0119】
【数22】

【0120】
が得られる。
【0121】
ELTの場合、変調W(k,n)は、
【0122】
【数23】

【0123】
によって規定される。
【0124】
これらの変換は、完全な再構築を保証する。つまり、
【0125】
【数24】

【0126】
は、x(n)と同一である(ただし遅延は許される)。
【0127】
完全な再構築を保証するために、フィルタfおよびhは、次式で表わされる制約を満たさなければならない。
【0128】
【数25】

【0129】
なお、関数δは
【0130】
【数26】

【0131】
と規定される。
【0132】
一実施形態はMDCTに関する、つまり、ELTのサブセットは長さL=2Mのフィルタを有し、K=1である。このとき、完全な再構築の条件は、f(n)h(n)+f(n+M)h(n+M)=1(ただし0≦n<M)と書ける。
【0133】
1つの解は、f(n)=h(2M−1−n)(ただし0≦n<2M)を取ることからなる。
【0134】
こうすることによって、同じプロトタイプフィルタ係数を用いて分析および合成を行うことが可能になる。項2M−1−nに対応する時間反転だけを、合成アルゴリズムにおいて考慮すればよい。
【0135】
この場合、完全な再構築関係は次式のように書かれる。
【0136】
d(n)=h(n)h(2M−1−n)+h(n+M)h(M−1−n)=1(ただし0≦n<M)
サイズがMのこの変換に基づいて、比較的大きなサイズの変換が、M’=U・Mについて構築される。したがって、ある個数の係数はフィルタhから来るフィルタh’が規定される。
【0137】
こうすることによって、図2に示すように、フィルタh’が次式のように構築される。
【0138】
h’(U・n+S)=h(n)(ただし0≦n<L)
式中、Sはシフト値であり、0≦S<Uを満たす。
【0139】
完全な再構築を保証するために、長さL’=2・M’=2・U・Mのプロトタイプフィルタは、上述の再構築関係と同様の再構築関係
【0140】
【数27】

【0141】
を満たさなければならない。なお、位置SにあってUの倍数であるインデックスを有するサンプルは、h(n)から取られたことを忘れてはならない。
【0142】
次に、h’の欠けている値を決定するための実施形態について記載する。
【0143】
〔一般的な実施形態〕
図3は、構築されるフィルタを決定する原理を示している。この決定は、サイズがMのフィルタφから始まる。次に、このフィルタφの係数が、サイズが2Mの比較的大きな距離にわたって再分配される。最後に、最終的なフィルタφを完全なものにするために、中間的な係数が計算される。この中間的なサンプルは、図2に示すように、一般的な実施形態を規定する、次の等式を用いて構築される。
【0144】
【数28】

【0145】
δ(n)およびQδ(n)(ただしn<M、およびδは0<δ<Uを満たす整数)は、重み関数である。
【0146】
S=0であれば、初期のδ=0、また、初期のn(つまりn0)=0である。
【0147】
S!=0であれば、初期のδ=U−S、また、初期のn(つまりn0)=−1である。
【0148】
こうすることによって、Pδ(−1)およびQδ(−1)が規定され、Sがゼロではない場合に必要な、h’(0)=h’(U・(−1)+S+δ)の計算が可能になる。δの第1の値は、δ=U−Sである。
【0149】
なお、h’の式は、規定されていない点を利用してもよい。例えば、式h’(U・(2M−1)+S+δ)は、規定されていないh(2M)を利用している。
【0150】
欠けている係数を規定するために、フィルタhは、複数の式からなる組において、以下の式のうちの1つによって拡張可能である。
・h(2M+n)≡−h(2M−1−n)...反対称性より
・h(2M+n)≡+h(2M−1−n)(ただしn≧0)...対称性より
・h(2M+n)≡0...ゼロ係数を追加する
同様に、hは負のインデックスに対して拡張可能である。例えば、h’(0)を規定するためには、h(−1)を規定なければならない。したがって、この係数が、以下の式のうちの1つによって、負のインデックスに向かってhを拡張することによって、決められる。
・h(−1−n)≡−h(n)...反対称性より
・h(−1−n)≡+h(n)(ただしn≧0)...対称性より
・h(−1−n)≡0...ゼロ係数を追加することにより
その他の場合には、負のサンプルおよびLより大きなサンプルに向かう拡張は、サポート(support)0...L−1の重複(multiple duplication)によって、モジュロ(modulo)の意味で実行される。
【0151】
h’(n)の完全な再構築を保証するために、d’(n)は、1つの特定の点において次式のように書き直される。
【0152】
【数29】

【0153】
よって、次式が成り立つ。
【0154】
【数30】

【0155】
以上の記載をまとめると、Qの選択肢が1つ与えられると、完全な再構築を実現する重みPが確立できることになる。
【0156】
〔1回の重み付けをともなう実施形態〕
1つの特定の実施形態は、制限P=Qをともなう。この場合、重み関数を式として直接表現可能である。
【0157】
【数31】

【0158】
【数32】

【0159】
d’は、別の点で書かれ得る。
【0160】
【数33】

【0161】
【数34】

【0162】
次に、ある任意のPU−2S−2(M−1−n)に基づいて、完全な再構築を可能にする重み級数P(n)を構築することを可能にする関係が得られる。
【0163】
重み関数の規定は、この式に基づいて一般化可能である。重み関数は組をなしており、次式(δ≠0)に基づく。
【0164】
【数35】

【0165】
この式は、規定された基準の下で、補間済みフィルタを構築する重みを生成することを可能にする。
【0166】
例えば、h’の周波数応答には優先度が与えられ、その一方で、ある任意の周波数からのストップバンドエネルギーは最小化される。また、特定の信号全体について継続性または符号化利得は最大化される。
【0167】
〔2次の補間の場合〕
〔特定の実施形態U=2、S=0〕
フィルタは、次式によって補間される。
【0168】
【数36】

【0169】
図4は、正弦タイプのフィルタであり、320のMDCTのための、サイズが640のプロトタイプフィルタS1、および特定の本実施形態にしたがってS1から得られる、640のMDCTのための、サイズが1280のプロトタイプフィルタS2を示している(S1は、S1とS2とを比較するために、意図的に640を中心として示してある)。
【0170】
〔端部にゼロをともなう2次補間の場合〕
h(n)が端部にゼロを含む特定の実施形態では(つまり、n=0またはn=L−1で始まる連続するインデックスにおいて)、普遍性を失うことなく、2M−mZ≦n<2Mについて、h(n)=0が得られる。提案された補間によって、h’は、対応するサポートにおいてゼロになる。提案された補間の具体的な特性の1つは、以下のようになる。
【0171】
【数37】

【0172】
【数38】

【0173】
補間のこの特定の選択によって、フィルタhをゼロに設定したときに一定の係数の範囲が得られる。本例では、これらの範囲は長さが2である。さらに一般的に、次数Uの補間の場合、インデックスn=UMを中心とするゾーン内では、この範囲は長さがUであることが示される。
【0174】
図5は、サイズが320のMDCTの場合の、サイズが640のプロトタイプフィルタA1、つまり「ald」タイプのプロトタイプフィルタと、この場合にA1から構築される、サイズが640のMDCTの場合の、サイズが1280のプロトタイプフィルタA2とを示す。図4に示すように、A1は中心に配置されている。フィルタA1は、端部Zに80個のゼロを有する。したがって、A2は、A1が端部にゼロを有するということによって、サイズ2の一定のサンプルの範囲を有する。
【0175】
図6は、一定のサンプルCを有するA2の領域の拡大図である。
【0176】
〔実施態様〕
上述の方法にしたがって構築されるプロトタイプフィルタによって、高速な実行が可能になる。
【0177】
先行技術では、分析の第1のステップは、高速変換を行う前に、考察中の変換のウインドウによってサンプルを重み付けすることからなる。
【0178】
ここでは、上記補間によって、プロトタイプフィルタの係数は、より低次の変換次数から得られる係数を補充するように構成され得る。
【0179】
例えば、Sをシフトさせて次数Uの補間をする場合、次式が成り立つ。
【0180】
【数39】

【0181】
【数40】

【0182】
したがって、プロトタイプフィルタのためのエンコーダ/デコーダのメモリは、好適には、組織化されて、第1の重みx(Un+S+mT)・h(n)に基づく、初期プロトタイプフィルタの係数を含む第1の部分と、補間された係数を含む第2の部分との、2つの部分を構成する。こうすることによって、高速アルゴリズムを保持しながら、要求されるメモリの重複が避けられる。この特性は、逆変換中にサブバンドを合成する場合には保持される。
【0183】
端部にゼロを有する初期フィルタに基づく補間の場合、比較的大きなサイズのフィルタによって重み付け演算を行うことによって、演算が簡素化できる。実際には、n=UM付近の中央の領域では、得られるプロトタイプフィルタの係数は、一定のサンプルである。したがって、次式の形態の因数分解ができる。
【0184】
【数41】

【0185】
こうすることによって、初期プロトタイプフィルタと同じ補間されたサンプルを記憶する必要がなくなり、その結果、上記因数分解を行うので、重み付け演算が削減できる。関連するサンプルの範囲、つまり、UMを中心とする領域では、加重サンプル当たり(U−1)回の積算が削減される。
【0186】
以下の記載では、図7を参照しながら、上述の方法を実行するように構成されたエンコーダについて説明する。デコーダも同一の構造を有していればよい。エンコーダCODは、すでに説明したように、信号分析または信号合成を実行するように構成された処理ユニットPROCを備えている。これらの演算を実行するために、エンコーダCODはプロトタイプフィルタを利用する。上記エンコーダは、初期プロトタイプフィルタφを記憶するための第1のメモリMEM1を備えている。例えば、この初期フィルタによって、最大サイズがMの変調変換が可能になる。
【0187】
比較的大きなサイズの変調変換を実行するために、上記エンコーダは、φより大きなサイズのプロトタイプフィルタφを構築するための命令を備えたコンピュータプログラムを記憶するためのメモリMOD_EXTを備えている。こうするために、追加の係数が上述のように計算される。そして、これらの追加の係数はメモリMEM2に記憶される。
【0188】
図8は、使用されるプロトタイプフィルタを、変調変換の所望のサイズに適合させる、符号化/復号化方法を示している。
【0189】
ステップS80は、符号化または復号化される信号の分析または合成に使用される変換のサイズを取得することによって始まる。試験T82の間に、変調変換のサイズが、変調変換を実行するためにメモリに記憶されているプロトタイプフィルタφのサイズより大きいかどうかが、判断される。
【0190】
変調変換のサイズがプロトタイプフィルタのサイズより大きい場合、ステップS84に進み、上述のように、より大きなサイズのプロトタイプフィルタφを構築する。そして、ステップS86において、信号の符号化または復号化を実行する。
【0191】
変換のサイズがフィルタのサイズに等しい場合、構築ステップS82をとばして、直接ステップS86に進んでもよい。
【0192】
好適には、変換がフィルタより小さなサイズのものであれば、フィルタサイズを削減するステップが、ステップS86を実行する前に、例えばデシメーションによって実行される。
【0193】
当然、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態にも拡張されるものである。例えば、2つの連続する係数を重み付けをすることによって行う追加の係数の計算について記載したが、さらに多くの係数に対して加重する、別の実施形態も可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められたサイズより大きなサイズを有する変調変換を使用するために、エンコーダまたはデコーダの処理能力を更新する更新方法であって、
該エンコーダまたはデコーダが、初期サイズの係数からなる順序付けられた係数セットによって規定される初期プロトタイプフィルタを記憶するように構成され、
少なくとも1つの係数を、該初期プロトタイプフィルタの2つの連続する係数の間に挿入することによって、該予め定められたサイズより大きなサイズの変換を実行するために該初期サイズより大きなサイズのプロトタイプフィルタを構築するためのステップを含んでいることを特徴とする更新方法。
【請求項2】
上記挿入される係数が、初期フィルタの係数から計算されることを特徴とする請求項1に記載の更新方法。
【請求項3】
上記2つの連続する係数の間に挿入される上記係数が、少なくとも上記2つの連続する係数に対して重み付けをすることによって計算されることを特徴とする請求項1に記載の更新方法。
【請求項4】
上記初期プロトタイプフィルタが、予め定められた再構築関係を満たし、
該再構築関係では、上記重み付けが、該再構築関係から計算される少なくとも1つの重み関数を利用して実行されることを特徴とする請求項3に記載の更新方法。
【請求項5】
上記重み関数が、上記2つの連続する係数の間に挿入される係数の各位置について計算されることを特徴とする請求項4に記載の更新方法。
【請求項6】
上記構築されるフィルタh’のサイズが、初期フィルタhのサイズMのU倍であり、UおよびMは必ず1を超える自然数であり、
0≦S<Uを満たす自然数であるシフト値Sが規定され、
上記構築される初期フィルタが、0≦n<Mを満たす任意の自然数nについて関係h’(U×n+S)=h(n)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の更新方法。
【請求項7】
上記構築されるフィルタh’のサイズが、ベースフィルタhのサイズMのU倍であり、UおよびMは必ず1を超える自然数であり、
0≦S<Uを満たすシフト値Sが規定され、
2つの重み関数PδおよびQδが、0<δ<Uを満たす任意の自然数δについて規定され、
上記挿入される係数が、n<Mを満たす任意の自然数nについて、関係h’(U×n+S+δ)=Pδ(n)×h(n)+Qδ(n)×h(n+1)によって規定されることを特徴とする請求項3に記載の更新方法。
【請求項8】
プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムであって、
請求項1に記載の方法を実行するため命令を含んでいるコンピュータプログラム。
【請求項9】
任意のサイズの初期プロトタイプフィルタ(φ)を規定する係数からなる第1の係数セットを記憶するための第1のメモリ領域(MEM1)と、上記第1の係数セットの係数から決定される係数からなる第2の係数セットを配信するための命令を含むコンピュータプログラムを記憶するための第2のメモリ領域(MOD_EXT)との、少なくとも2つのメモリ領域(MEM1、MOD_EXT)を備え、
上記第2の係数セットの係数を、上記第1の係数セットの2つの連続する係数の間に挿入することによって形成される係数セットが、上記初期プロトタイプフィルタのサイズより大きなサイズのプロトタイプフィルタ(φ)を規定することを特徴とするデジタル信号のエンコーダ(COD)。
【請求項10】
上記初期プロトタイプフィルタのサイズより大きなサイズのプロトタイプフィルタを構築するために、請求項3に記載の方法を実行するための手段を備えていることを特徴とする請求項9に記載のエンコーダ。
【請求項11】
エンコーダによって実行される、変調変換によって符号化する符号化方法であって、
上記符号化のために使用される変調変換のサイズを取得するステップ(S80)と、
上記変換のサイズが、エンコーダに記憶されている初期プロトタイプフィルタのサイズより大きいとき(T82)、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法にしたがって、該エンコーダの処理能力を更新するステップ(S84)と、
上記変調変換を利用して信号を符号化し、上記更新の間に構築されたプロトタイプフィルタを利用するステップ(S86)とを含んでいることを特徴とする符号化方法。
【請求項12】
任意のサイズの初期プロトタイプフィルタ(φ)を規定する係数からなる第1の係数セットを記憶するための第1のメモリ領域(MEM1)と、上記第1の係数セットの係数から決定される係数からなる第2の係数セットを配信するための命令を含むコンピュータプログラムを記憶するための第2のメモリ領域(MOD_EXT)との、少なくとも2つのメモリ領域(MEM1、MOD_EXT)を備え、
上記第2の係数セットの係数を、上記第1の係数セットの2つの連続する係数の間に挿入することによって形成される係数セットが、上記初期プロトタイプフィルタのサイズより大きなサイズのプロトタイプフィルタ(φ)を規定することを特徴とするデジタル信号のデコーダ(DECOD)。
【請求項13】
上記初期プロトタイプフィルタのサイズより大きなサイズのプロトタイプフィルタを構築するために、請求項3に記載の方法を実行するための手段を備えていることを特徴とする請求項12に記載のデコーダ。
【請求項14】
デコーダによって実行される、変調変換によって復号化する復号化方法であって、
上記復号化のために実行される変調変換のサイズを取得するステップ(S80)と、
上記変換のサイズが、デコーダに記憶されている初期プロトタイプフィルタのサイズより大きいとき(T82)、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法にしたがって、該デコーダの処理能力を更新するステップ(S84)と、
上記変調変換を利用して信号を復号化し、上記更新の間に構築されたプロトタイプフィルタを利用するステップ(S86)とを含んでいることを特徴とする復号化方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−529578(P2011−529578A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520559(P2011−520559)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051302
【国際公開番号】WO2010/012925
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(591034154)フランス・テレコム (290)
【Fターム(参考)】