説明

フィルムグレインシミュレーションにおけるラスタ順序によるフィルムグレインパターンを読み込む方法及び装置

本発明は、フィルムグレインシミュレーションにおいてラスタ順序によりフィルムグレインパターンを読み込む方法及び装置であって、スタートリードオフセットポジションを確定するステップと、フィルムグレインブロックのグループの各表示ラインについて前記スタートリードオフセットポジションを繰り返すステップと、フィルムグレインブロックの次のグループの各表示ラインについて異なるスタートリードオフセットポジションを利用するステップとを有する方法及び装置を提供する。本発明の各実施例では、異なる擬似ランダムスタートポジションが、前記擬似ランダムスタートポジションを決定するよう実現される擬似乱数生成装置の少なくとも1つのシード値をリセットすることによって、トリガーされる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照することによりそのすべてがここに含まれる、2004年10月18日に出願された米国仮特許出願第60/619,632号の優先権を主張する。
[発明の技術分野]
本発明は、一般にフィルムグレインシミュレーションに関し、より詳細には、フィルムグレインシミュレーションにおけるラスタ順序によるフィルムグレインパターンを読み込むための方法及び装置に関する。
[発明の背景]
フィルムグレインは、現像処理中の動画画像に形成される。フィルムグレインは、HD画像では明らかに目立つものであり、画像処理及び配信チェーン全体を通じて保存することがより望ましくなりつつある特殊な映画になっている。にもかかわらず、フィルムグレイン保存は、時間予測に関する圧縮グレインが利用可能でないため、現在のエンコーダにとって困難なものである、グレインのランダム性のため、視覚的に可逆的な符号化は大変高いビットレートでのみ達成される。可逆的エンコーダは、ノイズ及びファインテクスチャに典型的に関連する高い周波数をフィルタリングするとき、フィルムグレインを抑制する傾向がある。
【0002】
最近制作されたH.264 I MPEG−4 AVCビデオ圧縮規格、特にそれのFidelity Range Extensions(FRExt) Amendment 1(JVT−K051,ITU−T Recommendation H.264 I ISO/IEC 14496−10 International Standard with Amendment 1,Redmond,USA,June 2004)において、フィルムグレインSEI(Supplemental Enhancement Information)メッセージが規定されている。このようなメッセージは、サイズや強さなどの属性に関するフィルムグレイン特性を記述子、ビデオエンコーダがフィルムグレインを復号化された画像にシミュレートすることを可能にする。H.264 I MPEG−4 AVC規格は、何れのパラメータがフィルムグレインSEIメッセージに存在するか、それの解釈方法及びSEIメッセージをバイナリフォーマットに符号化するのに使用されるべきシンタックスを規定する。しかしながら、当該規格は、フィルムグレインSEIメッセージの受付により、フィルムグレインをシミュレートするための正確な手順を規定するものではない。
【0003】
フィルムグレインシミュレーションは、古いフィルムストックの復元中だけでなく、コンピュータにより生成される題材にフィルムグレインをシミュレートするのに制作後に用いられる比較的新しい技術である。このタイプのアプリケーションについては、Eastman Kodak Co,Rochester,NYからのCineon(登録商標)やVisula InfinityからのGrain SurgeryTMなどの市販のソフトウェアが市場に存在する。これらのツールは、ユーザとのやりとりを必要とし、実現することが複雑であり、リアルタイム映像符号化アプリケーションについて不適当なものである。さらに、これらのツールの何れも、H.264/AVC映像符号化規格などによって規定されるように、フィルムグレインSEIメッセージを解釈する機能を有しない。
[発明の概要]
本発明は、効果的には、フィルムグレインシミュレーションにおいてラスタ順序によりフィルムグレインパターンを読み込む方法及び装置を提供する。
【0004】
本発明の一実施例では、フィルムグレインシミュレーションにおいてラスタ順序によりフィルムグレインパターンを読み込む方法は、スタートリードオフセットポジションを確定するステップと、フィルムグレインブロックのグループの各表示ラインについて前記スタートリードオフセットポジションを繰り返すステップと、フィルムグレインブロックの次のグループの各表示ラインについて異なるスタートリードオフセットポジションを利用するステップとを有する。本発明の各実施例では、異なる擬似ランダムスタートポジションが、前記擬似ランダムスタートポジションを決定するよう実現される擬似乱数生成装置の少なくとも1つのシード値をリセットすることによって、トリガーされる。
【0005】
本発明の他の実施例では、フィルムグレインシミュレーションにおけるラスタ順序によりフィルムグレインパターンの読み込みを可能にする装置は、フィルムグレインブロックのグループの各ラインについて擬似ランダムスタートポジションを確定し、フィルムグレインブロックの次のグループの各表示ラインについて異なる擬似ランダムスタートポジションを確定する擬似乱数生成装置を有する。本発明の一実施例では、擬似ランダムスタートポジションはそれぞれ、水平オフセットと垂直オフセットとを有し、これらのオフセットは、擬似乱数生成装置の最上位ビット(MSB)と最下位ビット(LSB)とを取得することによって決定される。
[発明の詳細な説明]
本発明は、効果的には、フィルムグレインシミュレーションにおいてラスタ順序によりフィルムグレインパターンを読み込む方法を提供する。本発明は消費者向けHD DVDプレーヤーのためのIC設計などにおけるアプリケーションについてビデオデコーダサブシステムの範囲内で主として説明されるが、本発明の特定の実施例は本発明の範囲を限定するものと扱われるべきでない。本発明のコンセプトが、メディアプレーヤー/レシーバ装置、デコーダ、セットトップボックス、テレビ装置などの任意のフィルムグレインシミュレーションプロセスに効果的に適用可能であるということは、当業者により理解され、本発明の教示により伝えられる。
【0006】
図1は、本発明の一実施例によるフィルムグレインシミュレーション機能を有するビデオデコーダサブシステムのハイレベルブロック図を示す。図1のビデオデコーダサブシステム100は、例示的には、ビデオデコーダ106(例示的にはH.264デコーダ)、ビデオディスプレイグラフィックスエンジン108、ホストインタフェース110、及びリモートフィルムグレインデータベース104にフィルムグレインパターンの小さなサブセットを格納するためのフィルムグレインキャッシュとして実現されるインタフェースコントローラ114(例示的にはローカルRAMメモリ)を有する。図1はさらに、ホストCPU102と、リモートフィルムグレインデータベース104を構成するリモート永続的ストレージプログラムメモリを示す。図1のビデオデコーダサブシステム100において、ホストCPU102とリモートフィルムグレインデータベース104は異なるコンポーネントとして示されているが、本発明の他の実施例では、リモートフィルムグレインデータベース104は、CPU102の永続的メモリに配備することも可能である。さらに、図1のビデオデコーダサブシステム100において、ビデオデコーダ106、ビデオディスプレイグラフィックスエンジン108、ホストインタフェース100及びインタフェースコントローラ112は、異なるコンポーネントとして示されているが、本発明の他の実施例では、ビデオデコーダ106、ビデオディスプレイグラフィックスエンジン108、ホストインタフェース100及びインタフェースコントローラ112は、1つのコンポーネントから構成可能であり、1つの一体化されたSoC(System−on−Chip)設計により一体化することができる。
【0007】
さらに、図1のビデオデコーダサブシステムでは、フィルムグレインパターンを格納する手段は、ローカルメモリ114(キャッシュ)及びリモートフィルムグレインデータベース104として示されるが、本発明の他の実施例では、実質的に任意のアクセス可能なストレージ手段が、フィルムグレインパターンのサブセット及びフィルムグレインパターンの合計数を維持するのに実現されてもよい。このような手段は、ストレージディスク、磁気ストレージ媒体、光ストレージ媒体、又は実質的に任意のストレージ手段を含むかもしれない。さらに、1以上のストレージ手段が、各ストレージ装置について実現されてもよい。さらに、図1のフィルムグレインデータベースはメモリ114から遠隔的に配置されているように示されているが、本発明の他の実施例では、フィルムグレインパターンストレージ手段は、互いに近接又は大きく離間して配置されてもよい。
【0008】
図2は、図1のビデオデコーダサブシステム100に使用するのに適したインタフェースコントローラの実施例のハイレベルブロック図を示す。図2のインタフェースコントローラ112は、コントロールプログラムやアルゴリズムなどを格納するメモリ220と共にプロセッサ210を有する。プロセッサ210は、電源、クロック回路、キャッシュメモリなどの従来のサポート回路230と共に、メモリ220に格納されているソフトウェアルーチンを実行するのに役立つ回路と協調する。また、ソフトウェアプロセスとしてここで説明されるプロセスの一部は、各ステップを実行するためプロセッサ210と協調する回路などのハードウェア内で実現されてもよいということが考えられる。インタフェースコントローラ112はまた、インタフェースコントローラ112と通信する各種機能要素間のインタフェースを構成する入出力回路240を有する。
【0009】
図2のインタフェースコントローラ112は、本発明による各種制御機能を実行するようプログラムされる汎用コンピュータとして示されるが、本発明は、特定用途向け集積回路(ASIC)などのハードウェアにより実現可能である。また、ここで説明される各ステップは、ソフトウェア、ハードウェア又はその組み合わせにより等しく実行されるものとして広く解釈されるべきである。
【0010】
図1のサブシステム100を参照するに、リモートフィルムグレインデータベース104は、典型的には、相対的に大きなものである。本発明の一実施例では、H.264ビデオデコーダ106、ビデオディスプレイグラフィックスエンジン108、ホストインタフェース110、インタフェースコントローラ112及びローカルメモリ114は、HD DVDプレーヤーのコンポーネントを有する。リモートフィルムグレインデータベース104からのフィルムグレインパターンは、HD DVDプレーヤーなどのサンプルレートによりアクセスされる必要がある。従って、大きなフィルムグレインデータベース104への高速アクセスが必要となる。本発明による図1のサブシステム100では、リモートフィルムグレインデータベース104の一部のみが、SEI(Supplemental Enhancement Information)フィルムグレイン期間中に使用され、複雑さを低減するためのキャッシュ処理技術を開発するのに利用される。
【0011】
より詳細には、図1のフィルムグレインシミュレーションプロセスは、参照することによりそのすべてがここに含まれる、Amendment 1(Fidelity Range Extensions)により指定されるようなInternational Standard ITU−T Rec.H.264 I ISO/IEC 14496−10ビットストリームにより伝送されるフィルムグレインSEIメッセージの復号化を必要とする。本発明の一実施例では、フィルムグレインSEIメッセージは、I(イントラ符号化)画像に先行して送信され、1つのフィルムグレインSEIメッセージのみがあるI画像に先行する。
【0012】
本発明の一実施例によると、フィルムグレインパターンのリモートフィルムグレインデータベース104は、各々が64×64フィルムグレイン画像を表す4,096フィルムグレインサンプルの169パターンから構成される。フィルムグレインデータベース104では、各フィルムグレインパターンは、規格の仕様の周波数フィルタリングモデルに従って、異なるカット周波数ペアを用いて同期化される。SEIメッセージより送信されるカット周波数は、フィルムグレインシミュレーションプロセス中にフィルムグレインパターンのリモートフィルムグレインデータベース104にアクセスするのに使用される。フィルムグレインデータベース104は、図1のビデオデコーダサブシステム100のフィルムグレインデータベース104などのROM、フラッシュ又は他の永続的なストレージ装置に格納され、典型的には変更されない。フィルムグレインデータベース104は、広範なフィルムグレイン形状とサイズによるランダムなフィルムグレインパターンを有する。しかしながら、特定のビデオコンテンツシーケンスについては、当該データベースの一部のみがフィルムグレインを効果的にシミュレートするのに実際に必要とされる。仕様は、フィルムグレインパターンの個数を何れかのSEIメッセージ期間についてのサブセットに限定している。従って、本発明は、SEIメッセージの受信により更新されるローカルメモリ114などの小さなフィルムグレインキャッシュを実現する。
【0013】
典型的には、リモートフィルムグレインデータベース104は、ホストCPU102の永続的ストレージ又はホストCPU102のサイトに格納される。しかしながら、フィルムグレインデータベース104への高速アクセスを必要とするのは、ビデオデコーダ106とビデオディスプレイグラフィックスエンジン108である。また、本発明によると、ローカルメモリ114が、フィルムグレインパターンの少なくとも一部への高速アクセスのため設けられる。すなわち、既存のSEIメッセージ期間によって最も実現され、又は必要とされるフィルムグレインパターンの少なくとも一部が、転送され、ローカルメモリ114に格納される。
【0014】
本発明の一実施例では、ローカルメモリ114は、フィルムグレインデータベース104全体を格納するだけの十分な大きさを有する。このような実施例では、ビデオデコーダ106とビデオディスプレイグラフィックスエンジン108は、リモートフィルムグレインデータベース104に当初から格納されている利用可能なフィルムグレインパターンのすべてへのインタフェースコントローラ112を介した直接的かつ高速アクセスを有する。さらに、本発明のこのような実施例は、ローカルメモリ114のフィルムグレインキャッシュがSEIメッセージの受信により更新される必要がないという効果を有する。しかしながら、このような実施例は、より大きなメモリ(RAMなど)を必要とするという欠点を有する。しかしながら、いくつかの実現形態では、このような大きなメモリスペースはすでに利用可能である。
【0015】
本発明の他の実施例では、ローカルメモリ114は、フィルムグレインデータベース104の一部を格納するのに十分な程度の大きさしか有しない。このような実施例では、SEIメッセージの各受信により、コントローラ112は、ローカルメモリ114にすでにあるフィルムグレインパターンのサブセットの何れかが、新たなSEIメッセージにおいて選択されるリモートフィルムグレインデータベース104の異なるフィルムグレインパターンと置換される必要があるか判断するため、ローカルメモリ114のキャッシュの調査を開始する。当該技術の効果は、より小さなローカルメモリ114の割当である。問題点は、ローカルメモリ114のキャッシュがコントローラ112により管理される必要があり、ワーストケースでは、フルキャッシュサイズが、コントローラ112などを介し各Iフレームについてリモートフィルムグレインデータベース104からローカルメモリ114に転送される必要があるということである。さらに、本発明のこのような実施例では、装置のブートアップ(又はリセット)に応答して、ローカルメモリ114(すなわち、フィルムグレインキャッシュ)が、リモートフィルムグレインデータベース104に格納されている最も一般的なフィルムグレインパターンによりコントローラ112によって予め開始することが可能である。すなわち、ローカルメモリ114に格納すべきフィルムグレインパターンの選択は、フィルムグレインデータベース104の何れのフィルムグレインパターンが広範なフィルムコンテンツの選択を介し最も頻繁に使用されたかに基づく経験的データに依存する。
【0016】
何れの場合でも、本発明の上述した実施例では、本発明によるローカルメモリ114は、コントローラ112と共に、ビデオデコーダ106とビデオディスプレイグラフィックスエンジン108によるリモートフィルムグレインデータベース104にのみ以前に含まれたフィルムグレインパターンへのより迅速なアクセスを可能にする。
【0017】
図1のビデオデコーダサブシステム100に関して上述されたように、本発明の一実施例では、フィルムグレインパターンのフィルムグレインデータベース104は、連続するフィルムグレインの169の64×64のサンプル画像(パターン)から構成される。169個の画像のそれぞれは、異なるフィルムグレインパターンを表す。フィルムグレインパターンは、参照することによりその全体がここに含まれる、2004年10月18日のC.Gomila、J.Llach及びJ.Cooperによる“Film Grain Simulation for HD DVD Systems”に記載されるような周波数フィルタリングモデルによって生成される特定のサイズ及び形状を有する。
【0018】
フィルムグレインシミュレーションプロセス中、フィルムグレインの各ブロックがランダムな順序によりアクセスされる。すなわち、擬似乱数生成装置が、フィルムグレインパターンのサンプルを選択するためのスタートリードポジションを決定するため、フィルムグレインパターン(又は複数のフィルムグレインパターンを有するフィルムグレインパターンデータベース)への水平及び垂直方向のオフセットを生成するのに利用される。例えば、図3は、図1のフィルムグレインデータベースの典型的な構成のハイレベルブロック図を示す。図3は、x軸へのi_offset(水平オフセット)とy軸へのj_offset(垂直オフセット)を有する64×64サンプルフィルムグレインパターンを示す。図3はさらに、各種タイプの169個のフィルムグレインパターンを示す。本発明の一実施例では、図3を参照するに、フィルムグレインパターンが、フィルムグレインサンプルの8×8ブロックに分割される64×64サンプルから構成される。本発明のこのような実施例では、フル16×16ブロックがフィルムグレインパターンデータベースのエッジにおいて利用可能であることを保証するため、オフセットは任意的に範囲[0,48]に制限されてもよい。上述したように、擬似乱数生成装置は、64×64のフィルムグレインパターンへの水平及び垂直方向へのオフセットを生成するのに利用される。本発明の一実施例では、水平オフセット解像度は4サンプル毎に制限され、垂直オフセット解像度は8サンプル毎に制限される。しかしながら、本発明の他の実施例では、他の水平オフセット及び垂直オフセット解像度が選択されてもよいということに留意すべきである。さらに、本発明の実施例では、これらのオフセットは、任意的には、フル16×16ブロックがフィルムグレインパターンデータベースのエッジにおいて利用可能であることを保証するため、範囲[0,48]に制限されてもよい。
【0019】
図4は、本発明による擬似乱数生成装置の実施例のハイレベルブロック図を示す。図4の擬似乱数生成装置は、ポリノミアル・モジュロー2オペレータ(polynomial modulo 2 operator)であるx31+x+1を用いて、フィルムグレインデータベースのフィルムグレインパターンからサンプルのフィルムグレインブロックをランダムに選択するのに利用される。図4の実施例では、ポリノミアル・モジュロー2オペレータは、32ビットシフトレジスタにより実現される。各ステージにおいて、MSB及びLSBを取得することによって、2つの乱数がレジスタから抽出される。具体的には、図4の擬似乱数生成装置400において、2つは垂直であり、2つは水平である8×8のサンプルの4つのブロックにグループ化されるフィルムグレインデータベースに64かける64サンプルのフィルムグレインパターンを有する実施例について、16MSB及び16LSBを取得することによって、2つの乱数がレジスタから抽出される。本発明の一実施例によると、フィルムグレインSEIメッセージを受信すると、第1カラーコンポーネントにフィルムグレインをシミュレートするのに用いられるシードeが1に設定され、第2カラーコンポーネントにフィルムグレインをシミュレートするのに用いられるシードeが557,794,999に設定され、第3カラーコンポーネントにフィルムグレインをシミュレートするのに用いられるシードeが974,440,221に設定される。しかしながら、上述したシードe、e及びeの各値は、本発明の単なる一実施例であり、本発明の他の実施例では、他のシード値が利用可能であるということに留意すべきである。
【0020】
図4の擬似乱数生成装置400の特徴は、フィルムグレインサンプルのブロックが一緒になってパターンにグループ化されるということである。本発明によると、各ブロックグループに対してシード値をリセットすることによって、当該パターンが実現される。すなわち、シード値は、ブロックグループのすべてのラインについて、各表示ラインの先頭について同一である。この特徴は、より大きなフィルムグレインパターンクオリティを維持するのに実現される。
【0021】
例えば、本発明の一実施例では、フィルムグレインサンプルは、一緒になって8×8サンプルのブロックにグループ化され、水平方向に2つと垂直方向に2つの4つのブロックのグループに構成される、このパターンは、本発明によると、16ラインと16カラム毎のみの各ブロックグループについてシード値をリセットすることによって実現される。すなわち、シード値は、ブロックグループのすべてのラインについて(すなわち、すべての16ラインについて)、各表示ラインの先頭について同一となる。
【0022】
上述した本発明の実施例では、発明者は8×8サンプルの2×2ブロックのグループを実現する本発明を説明したが(16ライン及び16カラム毎にシード値を更新する)、決定されたパターン全体で常に実質的に何れか所望のライン及びカラム数の後にシードが更新されるように、非整数のブロック数による他の設定も利用可能である。本発明の重要な特徴は、決定可能な繰り返し可能な擬似乱数パターンを有することである。
【0023】
本発明によると、フィルムグレインパターンは、ディスプレイのニーズに適合するため、ラスタ順序によりメモリから読み出し可能である。これは、上述したような擬似乱数生成装置の繰り返し可能な特性によって、本発明により可能である。繰り返すため、フィルムグレインSEIメッセージを受信すると、擬似乱数x(k,ec)は新たなシードによってスタートされる。また、上述した具体例を参照して、擬似乱数シーケンスの新たな乱数が表示ライン全体で16水平サンプル毎に生成される。本発明によると、表示ラインのエンドにおいて、擬似乱数生成装置は前のラインの先頭からの値(x(k,ec))によりリセットされる。擬似ランダムプロセスが繰り返し可能であるため、第2表示ライン中に16サンプル毎に同一のブロックが選択される。このプロセスは、各表示ラインから16番目の表示ラインまで繰り返される。16番目の表示の後、擬似乱数x(k,ec)は、擬似乱数シーケンスの次の値に更新され、次の16表示ラインについてスタートのx(k,ec)としての利用のため保存される(すなわち、レジスタに)。
【0024】
例えば、図5は、1つのフィルムグレインパターンがフィルムグレインブロックの選択のため利用される8×8ブロックを有する複数の64×64フィルムグレインパターンのハイレベルブロック図を示す。すなわち、図5では、復号化された画像セグメントのブロック平均のすべてが、同一のフィルムグレインパターンである図5のフィルムグレインパターン1に指定される。従って、図5は、1つのフィルムグレインパターンにおける本発明の一実施例による8×8ブロックの16×16ブロックへのグループ化を示す。
【0025】
図6は、2つのフィルムグレインパターンがフィルムグレインブロックの選択に利用される8×8ブロックを有する複数の64×64フィルムグレインパターンのハイレベルブロック図を示す。すなわち、図6の実施例では、復号化された画像セグメントのブロック平均は、フィルムグレインパターン1及び2に指示される。この場合、依然として16×16パターンを観察可能であるが、それらはフィルムグレインパターン1とパターン2との間で前後にクロスする。同一の擬似ランダム状態が、すべてのフィルムグレインパターンタイプについて用いられる。
【0026】
本発明のコンセプトを利用して、デコーダのディスプレイエンジンは、ラスタ順序によりフィルムグレインデータを読み込むことが可能であり、フルブロック(例示的には、8×8ブロック)の読み込みは不要となる。本発明の上述したコンセプトの他の効果は、8×8ブロックについてフィルムグレインシミュレーション中のフィルムグレインデブロッキングに用いられる8×8ブロックRAMが、2つのサンプルに低減可能となるということである。現在の表示ライン上の前のフィルムグレインブロックの右エッジ上の2つのサンプルのみが(例えば、previous_fg_block[i+6][j]とprevious_fg_block[i+7][j]など)必要とされる。すなわち、フィルムグレインパターンを構成するための隣接ブロック間の垂直エッジのデブロッキングでは、フィルムグレインパターンのシームレスな形成を保証するため、デブロッキングフィルタは、隣接するフィルムグレインブロックの間の垂直エッジのみに適用される。フィルムグレインブロックは、本発明によると上述したようにラスタスキャン順序によりシミュレートされるため、現在の表示ライン上の前のフィルムグレインブロックの右エッジの2つのサンプルのみが、デブロッキングに必要とされる。
【0027】
フィルムグレインシミュレーション中にラスタ順序によりフィルムグレインパターンを読み込むための方法及び装置の各実施例を説明したが(例示的であって限定することを意図していない)、上記教示に基づき改良及び変形が当業者により可能であるということに留意すべきである。従って、添付した請求項により画定される本発明の範囲及び趣旨の範囲内における変更が、開示された本発明の実施例において可能であるということが理解されるべきである。上記説明は本発明の各実施例に関するものであるが、本発明の他の及びさらなる実施例が、その基本的範囲から逸脱することなく創出されるかもしれない。また、本発明の適切な範囲は、以下の請求項に従って決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の一実施例によるフィルムグレインシミュレーション機能を有するビデオデコーダサブシステムのハイレベルブロック図を示す。
【図2】図2は、図1のビデオデコーダサブシステムに利用するのに適したインタフェースコントローラの実施例のハイレベルブロック図を示す。
【図3】図3は、図1のフィルムグレインデータベースの典型的な構成とそれのオフセットのハイレベルブロック図を示す。
【図4】図4は、ランダムにフィルムグレインブロックを選択するための一様擬似乱数生成装置の実施例のハイレベルブロック図を示す。
【図5】図5は、1つのフィルムグレインパターンしかフィルムグレインブロックの選択に使用されない場合の8×8ブロックを有する複数の64×64フィルムグレインパターンのハイレベルブロック図を示す。
【図6】図6は、2つのフィルムグレインパターンがフィルムグレインブロックの選択に使用される場合の8×8ブロックを有する複数の64×64フィルムグレインパターンのハイレベルブロック図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムグレインシミュレーションにおいてラスタ順序によりフィルムグレインパターンを読み込む方法であって、
スタートリードオフセットポジションを確定するステップと、
フィルムグレインブロックのグループの各表示ラインについて前記スタートリードオフセットポジションを繰り返すステップと、
フィルムグレインブロックの次のグループの各表示ラインについて異なるスタートリードオフセットポジションを利用するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記スタートリードオフセットポジションは、擬似ランダムに決定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記スタートリードオフセットポジションは、擬似乱数生成装置を利用して決定される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記スタートリードオフセットポジションはそれぞれ、垂直オフセットと水平オフセットとを有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記水平オフセットは、4フィルムグレインサンプル毎に限定される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記垂直オフセットは、8フィルムグレインサンプル毎に限定される、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記フィルムグレインブロックのグループと前記フィルムグレインブロックの次のグループはそれぞれ、2つの垂直グループと2つの水平グループとして構成される8×8フィルムグレインサンプルの4つのグループを有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記異なるスタートリードオフセットポジションは、前記スタートリードオフセットポジションを決定するため実現される擬似乱数生成装置の少なくとも1つのシード値をリセットすることによってトリガーされる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
フィルムグレインシミュレーションにおいてラスタ順序によりフィルムグレインパターンを読み込む方法であって、
擬似ランダムスタートポジションを確定するステップと、
フィルムグレインブロックのグループの各ラインについて前記擬似ランダムスタートポジションを繰り返すステップと、
フィルムグレインブロックの次のグループの各表示ラインについて異なる擬似ランダムスタートポジションを利用するステップと、
を有する方法。
【請求項10】
前記擬似ランダムスタートポジションは、擬似乱数生成装置を利用して決定される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
フィルムグレインブロックの各グループの各ラインにおけるフィルムグレインサンプルの個数は、前記擬似乱数生成装置のシード値を設定することによって決定される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
フィルムグレインブロックの各グループのライン数は、前記擬似乱数生成装置によって決定される、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記擬似ランダムスタートポジションはそれぞれ、少なくとも1つのフィルムグレインパターンの垂直オフセットと水平オフセットとを有する、請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記水平オフセットは、前記少なくとも1つのフィルムグレインパターンの4フィルムグレインサンプル毎に限定される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記垂直オフセットは、前記少なくとも1つのフィルムグレインパターンの8フィルムグレインサンプル毎に限定される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記フィルムグレインパターンは、フィルムグレインデータベースに配置される、請求項9記載の方法。
【請求項17】
前記フィルムグレインブロックのグループと前記フィルムグレインブロックの次のグループはそれぞれ、2つの垂直グループと2つの水平グループとして構成される8×8フィルムグレインサンプルの4つのグループを有する、請求項9記載の方法。
【請求項18】
フィルムグレインシミュレーションにおけるラスタ順序によりフィルムグレインパターンの読み込みを可能にする装置であって、
フィルムグレインブロックのグループの各ラインについて擬似ランダムスタートポジションを確定し、フィルムグレインブロックの次のグループの各表示ラインについて異なる擬似ランダムスタートポジションを確定する擬似乱数生成装置を有する装置。
【請求項19】
前記擬似乱数生成装置のシード値は、フィルムグレインブロックのグループの各ラインの先頭について同一である、請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記擬似乱数生成装置のシード値は、前記フィルムグレインブロックのグループと前記フィルムグレインブロックの次のグループとの間で異なる、請求項18記載の装置。
【請求項21】
前記擬似乱数生成装置は、前記フィルムグレインパターンからフィルムグレインブロックのグループをランダムに選択するよう実現される、請求項18記載の装置。
【請求項22】
前記擬似ランダムスタートポジションはそれぞれ、水平オフセットと垂直オフセットとを有する、請求項18記載の装置。
【請求項23】
前記オフセットは、[0,48]の範囲に限定される、請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記オフセットは、最上位ビットと最下位ビットとを取得することによって、前記擬似乱数生成装置によって決定される、請求項22記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−517538(P2008−517538A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536948(P2007−536948)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/037054
【国際公開番号】WO2006/044684
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】