説明

フェナントロリン含有鉄コンプレックスを含むオレフィン重合用の触媒系

(a)少なくとも1種類のフェナントロリン含有鉄コンプレックス、(b)有機又は無機担体、(c)場合によっては1種類以上の活性化剤、(d)場合によっては1種類以上の周期律表第1、2、又は13族の金属化合物、及び(e)場合によってはオレフィン重合用に好適な更なる触媒を含むオレフィン重合用の触媒系、並びにオレフィンの重合におけるそれらの使用

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類のフェナントロリン含有鉄コンプレックス、及び少なくとも1種類の有機又は無機担体を含むオレフィン重合用の触媒系、並びにオレフィンの重合におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和化合物の重合においてメタロセン触媒を用いることは、新しいタイプのポリオレフィン材料又は改良された特性を有する材料への道を開くので、ポリオレフィンの製造に大きな影響を与える。したがって、ポリオレフィン又は更なる新規生成物の特性のより良好な制御を得るために、不飽和化合物の重合のための新しい種類の触媒を開発することに大きな関心がある。
【0003】
後期遷移金属を含む遷移金属触媒を用いることは、ヘテロ原子官能基を許容するそれらの能力のために特に興味深い。不飽和化合物の重合のために好適な後期遷移金属を含む遷移金属触媒は、従来技術から公知である。ここで特に有用であることが見出された触媒は、例えばWO 98/27124及びWO 99/12981に記載されている2,6−ビス(イミノ)ピリジル鉄コンプレックスである。
【0004】
WO 00/58320及びWO 00/68280においては、2,2’−ビスピリジンイミン鉄コンプレックスが開示されている。このコンプレックスは、低分子量のオレフィンを形成するためのエテンのオリゴマー化を触媒する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 98/27124
【特許文献2】WO 99/12981
【特許文献3】WO 00/58320
【特許文献4】WO 00/68280
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、向上した活性を有するコンプレックスを見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって本発明者らは、
(a)式I:
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、変数は以下の意味を有する:
Aは
【0010】
【化2】

【0011】
であり;
〜Rは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR14、OR14、ハロゲン、又はSiR15であり、ここで、有機基R〜Rはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの隣接する基R〜Rはまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R14は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR15であり、ここで、有機基R14はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R14はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R15は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、或いはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2つの基R15はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
、Rは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR15であり、ここで、有機基R、Rはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R、Rはまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
、Rは、それぞれ、互いに独立して、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR15であり、ここで、有機基R、Rはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R、Rはまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
〜Eは、それぞれ、互いに独立して、炭素又は窒素であり;
uは、E〜Eが窒素の場合には0であり、E〜Eが炭素の場合には1であり;
基Xは、それぞれ、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C20アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR16、OR16、SR16、SO16、OC(O)R16、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PF、又は嵩高の非配位アニオンであり、ここでXは互いに結合していてもよく;
基R16は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR17であり、ここで、有機基R16はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R16はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R17は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここで、有機基R17はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R17はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
sは、1、2、3、又は4であり;
、Dは、それぞれ無電荷のドナーであり;
t、yは、それぞれ0〜4であり;
Gは、単正電荷のカチオンであり;
xは、0又は1である)
の少なくとも1種類の鉄コンプレックス;
(b)少なくとも1種類の有機又は無機担体、(c)場合によっては1種類以上の活性化剤;(d)場合によっては1種類以上の周期律表の第1、2、又は13族の金属化合物;及び(e)場合によってはオレフィン重合のために好適な更なる触媒;を含む、オレフィン重合用の触媒系を見出した。
【0012】
更に、本発明者らは本発明の触媒系を用いるオレフィンの重合法を見出した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
7つの原子E〜Eは同一であっても異なっていてもよい。E〜Eは、それぞれ窒素又は炭素であり、特に好ましくは炭素である。
基R〜Rの数uは、E〜Eが窒素であるか又は炭素であるかによって定まる。原子E〜Eが窒素である場合には、関係する置換基R〜Rに関してuは0である。原子E〜Eが炭素である場合には、関係する置換基R〜Rに関してuは1である。
【0014】
置換基R〜Rは広範囲に変化してよい。可能な炭素有機置換基R〜Rは、例えば以下のものである:線状又は分岐であってよいC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、又はシクロドデカン;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても末端であってもよいC〜C22アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル。更なる可能な基R〜Rは、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、又は臭素;並びにアミノ:NR14、例えばジメチルアミノ、N−ピロリジニル、又はピコリニル;或いはアルコキシ又はアリールオキシ:OR14、例えばメトキシ、エトキシ、又はイソプロポキシ;或いは有機ケイ素置換基:SiR15、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、又はジメチルフェニルシリルである。可能な置換基R14は、R〜Rに関して上記により詳細に記載したものと同じ炭素有機又は有機ケイ素基であり、2つの基R14はまた、結合して5又は6員環を形成してもよく、及び/又はハロゲンによって置換されていてもよい。可能な置換基R15は、R〜Rに関して上記により詳細に記載したものと同じ炭素有機基であり、2つの基R15はまた、結合して5又は6員環を形成してもよい。
【0015】
適当な場合には、2つの基R〜Rはまた、結合して、N及びOからなる群からの少なくとも1つの原子を含む複素環であってもよい5又は6員環を形成してもよい。有機基R〜Rはまた、フッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されていてもよい。
【0016】
基Rは、好ましくは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ベンジル、又はフェニル、特に水素である。基R〜Rがそれぞれ水素であることが好ましい。
【0017】
Aは、
【0018】
【化3】

【0019】
である。
Aは、アミド(A1)、イミン(A2)、エナミド(A3)、アミン(A4)、又はエナミン(A5)である。したがって、A1及びA3における窒素は遊離リガンド上に負電荷を有する。他方、A2、A4、及びA5における窒素は無電荷である。
【0020】
置換基R、R、R、及びRも広範囲に変化してよい。可能な炭素有機置換基R、R、R、及びRは、例えば以下のものである:線状又は分岐であってよいC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、又はシクロドデカン;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても末端であってもよいC〜C22アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル。ここで、また、2つの基R及びRが互いに結合するか或いは2つの基R及びRが互いに結合して5又は6員環を形成してもよく、及び/又は有機基R、R、R、及びRはまた、フッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されていてもよい。有機ケイ素置換基SiR15における可能な基R15は、R〜Rに関して上記により詳細に記載したものと同じ炭素有機基であり、2つの基R15はまた結合して5又は6員環を形成してもよく、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、又はジメチルフェニルシリルである。
【0021】
好ましい基R及びRは、水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ベンジル、又はフェニル、特に水素である。
【0022】
A4及びA5における好ましい基R及びRは、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、又はn−オクチルである。好ましくは、A1、A2、又はA3におけるRは、好ましくはオルト位の一方又は両方においてC〜Cアルキル基又はハロゲン、特にフッ素、塩素、又は臭素によって置換されているC〜C22アリール基である。
【0023】
Aは、好ましくはA2又はA3、特にA2である。これらの化合物は非常に容易に且つ大きな多様性で製造することができるからである。
リガンドXは、例えば、鉄コンプレックスの合成のために用いる対応する鉄出発化合物の選択によって定まるが、その後に変化させることもできる。可能なリガンドXは、特に、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素のようなハロゲンであり、これらの中で特に塩素及び臭素である。また、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、アリル、フェニル、又はベンジルのような基も、リガンドXとして用いることができる。更なるリガンドXとしては、純粋に例として且つ全く排他的でなく、トリフルオロアセテート、BF、PF、及び、弱配位又は非配位アニオン(例えば、S. Strauss, Chem. Rev., 1993, 93, 927-942を参照)、例えばB(Cを言及することができる。また、アミド、アルコキシド、スルホネート、カルボキシレート、及びβ−ジケトネート、特にR17−CO−C(R17)−CO−R17も、特に有用なリガンドXである。これらの置換リガンドXの幾つかは、安価で容易に入手できる出発物質から得ることができるので、特に好ましく用いられる。したがって、特に好ましい態様は、Xが、ジメチルアミド、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、フェノキシド、ナフトキシド、トリフレート、p−トルエンスルホネート、アセテート、又はアセチルアセトネートである場合に得られる。
【0024】
基R16を変化させることによって、例えば溶解度のような物理特性を精細に調節することができる。可能な炭素有機置換基R16は、例えば以下のものである:線状又は分岐であってよいC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、又はシクロドデカン;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても末端であってもよいC〜C22アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基及び/又はN−若しくはO−含有基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−N,N−ジメチルアミノフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル。ここで、二つの基R16はまた、結合して5又は6員環を形成してもよく、及び、有機基R16はまた、フッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されていてもよい。有機ケイ素置換基SiR17における可能な基R17は、R16に関して上記により詳細に記載したものと同じ基であり、2つの基R17はまた、結合して5又は6員環を形成してもよく、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、又はジメチルフェニルシリルである。基R16として、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルのようなC〜C10アルキル、並びに、ビニル、アリル、ベンジル、及びフェニルを用いることが好ましい。
【0025】
リガンドXの数は、鉄の酸化状態によって定まる。したがって、数値sは総括的な言葉で明記することができない。触媒活性コンプレックス中の鉄の酸化状態は、当業者に通常に知られている。しかしながら、その酸化状態が活性触媒のものに一致しないコンプレックスを用いることも可能である。かかるコンプレックスは、次に、好適な活性化剤を用いて適当に還元又は酸化することができる。+3又は+2の酸化状態の鉄コンプレックスを用いることが好ましい。sは好ましくは2又は3である。
【0026】
及びDは、無電荷のドナー、特に無電荷のルイス塩基又はルイス酸、例えば、水、アミン、アルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、スルフィド、又はホスフィンであり、これは、鉄中心に結合してもよく、或いは鉄コンプレックスの製造からの残留溶媒として残存する。Dは好ましくはテトラヒドロフランである。Dは好ましくはイソプロピルアルコールである。
【0027】
リガンドDの数t及びリガンドDの数yはそれぞれ、互いに独立して0〜4の数であってよく、しばしば、その中で鉄コンプレックスを製造する溶媒、及び得られたコンプレックスを乾燥する時間によって定まり、したがって、0.5又は1.5のような非整数であってもよい。特に、tは0、又は0〜2である。
【0028】
は、単正電荷のカチオン、例えばリチウム、ナトリウム、又はカリウム、特にリチウムである。
単正電荷カチオンGの数xは0又は1であってよく、第1に鉄の酸化状態、及び置換基Aのタイプによって定まる。xは、AがA2、A4又はA5である場合には(鉄の酸化状態に関係なく)、好ましくは0である。xは、AがA1又はA3であり、鉄が+2の酸化状態である場合には、好ましくは1である。xは、AがA1又はA3であり、鉄が+3の酸化状態である場合には、好ましくは0である。
【0029】
式Ia:
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、変数は以下の意味を有する:
〜R13は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR14、OR14、ハロゲン、又はSiR15であり、ここで、有機基R〜R13はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの隣接する基R〜R13はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R14は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR15であり、ここで、有機基R14はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R14はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R15は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、或いはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2つの基R15はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
〜Eは、それぞれ、互いに独立して、炭素又は窒素であり;
uは、E〜Eが窒素の場合には0であり、E〜Eが炭素の場合には1であり;
基Xは、それぞれ、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C20アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR16、OR16、SR16、SO16、OC(O)R16、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PF、又は嵩高の非配位アニオンであり、ここで基Xは互いに結合していてもよく;
基R16は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR17であり、ここで、有機基R16はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R16はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R17は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここで、有機基R17はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R17はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
は、無電荷のドナーであり;
sは、2又は3であり;
tは、0〜4である)
の鉄コンプレックスが特に好ましい。
【0032】
変数R〜R、R14、R15、E〜E、u、X、R16、R17、D、s、及びtの定義、並びにそれらの好ましい態様は、式Iの鉄コンプレックスに関して上記で更に説明したものと同じである。
【0033】
置換基R〜R13は広範囲に変化してよい。可能な炭素有機置換基R〜R13は、例えば以下のものである:線状又は分岐であってよいC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、又はシクロドデカン;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても末端であってもよいC〜C22アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル、;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル。可能な更なる基R〜R13は、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、又は臭素;並びにアミノ:NR14、例えばジメチルアミノ、N−ピロリジニル、又はピコリニル;或いはアルコキシ又はアリールオキシ:OR14、例えばメトキシ、エトキシ、又はイソプロポキシ;或いは有機ケイ素置換基:SiR15、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、又はジメチルフェニルシリルである。可能な置換基R14は、R〜Rに関して上記により詳細に記載したものと同じ炭素有機又は有機ケイ素基であり、2つの基R14はまた、結合して5又は6員環を形成してもよく、及び/又はハロゲンによって置換されていてもよい。好適な置換基R15は、R〜Rに関して上記により詳細に記載したものと同じ炭素有機基であり、2つの基R15はまた、結合して5又は6員環を形成してもよい。
【0034】
適当な場合には、2つの基R〜R13、特にR〜R13はまた、結合して、N及びOからなる群からの少なくとも1つの原子を含む複素環であってもよい5又は6員環を形成してもよい。有機基R〜R13はまた、フッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されていてもよい。
【0035】
基Rは、好ましくは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ベンジル、又はフェニル、特にメチルである。
【0036】
基R10及びR12が、それぞれ水素であることが好ましい。
基R、R11、及びR13が、それぞれ水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、フッ素、塩素、臭素、ベンジル、又はフェニル、特にメチル、塩素、又は臭素であることが好ましい。
【0037】
好ましい式Iの鉄コンプレックスは、(2,6−ジイソプロピルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2,4,6−トリメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2,4−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2−メチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−メチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−メチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−4,6−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、(2,4−ジブロモ−6−メチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリド、或いは対応するジブロミド又はトリブロミドである。
【0038】
好ましい鉄コンプレックスは、(2,6−ジメチルフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−イソプロピル−6−メチルフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−メチルフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−メチルフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−イソプロピルフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−イソプロピルフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジイソプロピルフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジブロモフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−クロロフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジクロロフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−ブロモフェニル)[1−(9−メチル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジメチルフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−イソプロピル−6−メチルフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−メチルフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−メチルフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−イソプロピルフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−イソプロピルフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジイソプロピルフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジブロモフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−クロロフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジクロロフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−ブロモフェニル)[1−(9−イソプロピル[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジメチルフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−イソプロピル−6−メチルフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−メチルフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−メチルフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−イソプロピルフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−イソプロピルフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジイソプロピルフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−クロロフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジクロロフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−ブロモフェニル)[1−(9−ブロモ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジメチルフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−イソプロピル−6−メチルフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−メチルフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−メチルフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−イソプロピルフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−イソプロピルフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジイソプロピルフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジブロモフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−ブロモ−6−クロロフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2,6−ジクロロフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、(2−クロロ−6−ブロモフェニル)[1−(9−クロロ[1,10]フェナントロリン−2−イル)ビニル]アミン鉄(II)クロリド、或いは対応するジブロミド又はトリブロミドである。
【0039】
鉄コンプレックスの製造は、J. Am. Chem. Soc., 120, p.4049以下(1998)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1998, 849、及びWO 98/27124に記載されているものと同様の方法によって行うことができる。イミン化合物に代えてアミンを所望の場合には、イミン化合物を例えばアルキルリチウムによって還元することができる。更なる可能性はEP−A−1117670に記載されている。エナミドは、J. Am. Chem. Soc. 127, 13019-13929に記載されているものと同様の方法によって製造することができる。
【0040】
担持されたコンプレックスIは非担持のコンプレックスIよりも非常に高い生産性を示す。したがって、鉄コンプレックスIは有機又は無機担体上に固定化して、担持形態で重合において用いる。これにより、例えば、反応器内の堆積物を回避し、ポリマーのモルホロジーを制御することができる。担体材料としては、シリカゲル、塩化マグネシウム、酸化アルミニウム、メソ多孔質材料、アルミノシリケート、ハイドロタルサイト、並びに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、或いはエテンとアクリル酸エステル、アクロレイン、又は酢酸ビニルとのコポリマーのような極性官能化ポリマーのような有機ポリマーを用いることが好ましい。
【0041】
担体成分は、好ましくは、任意の有機又は無機の固体であってよい微粉砕担体である。特に、担体成分は、タルク;モンモリロナイト、マイカのような層状ケイ酸塩;無機酸化物;或いは微粉砕ポリマー粉末(例えばポリオレフィン、又は極性官能基を有するポリマー);のような多孔質担体であってよい。
【0042】
用いる担体材料は、好ましくは、10〜1000m/gの範囲の比表面積、0.1〜5mL/gの範囲の孔容積、及び1〜500μmの平均粒径を有する。50〜700m/gの範囲の比表面積、0.4〜3.5mL/gの範囲の孔容積、及び5〜350μmの範囲の平均粒径を有する担体が好ましい。200〜550m/gの範囲の比表面積、0.5〜3.0mL/gの範囲の孔容積、及び10〜150μmの平均粒径を有する担体が特に好ましい。
【0043】
鉄コンプレックスIは、好ましくは、最終触媒系中の鉄コンプレックスIからの鉄の濃度が、最終触媒系1gあたり1〜200マイクロモル、好ましくは5〜100マイクロモル、特に好ましくは10〜70マイクロモルとなるような量で施す。
【0044】
無機担体は、例えば吸着水を除去するために熱処理にかけることができる。かかる乾燥処理は、一般に、50〜1000℃、好ましくは100〜600℃の範囲の温度において行い、100〜200℃における乾燥は、好ましくは減圧下及び/又は不活性ガス(例えば窒素)の雰囲気下で行い、或いは、無機担体は、固体の所望の構造を形成し及び/又は表面上に所望のOH濃度を与えるために200〜1000℃においてカ焼することができる。また、担体は、金属アルキル、好ましくはアルミニウムアルキル、クロロシラン、又はSiClのような通常の乾燥剤、或いはメチルアルミノキサンを用いて化学的に処理することもできる。適当な処理法は、例えばWO 00/31090に記載されている。
【0045】
また、無機担体材料は、化学的に変性することもできる。例えば、シリカゲルをNHSiF又は他のフッ素化剤で処理するとシリカゲル表面がフッ素化され、或いは、シリカゲルを、窒素、フッ素、又はイオウ含有基を有するシランで処理すると、相応して変性されたシリカゲル表面が得られる。
【0046】
また、微粉砕ポリオレフィン粉末(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリスチレン)のような有機担体材料を用いることもでき、好ましくは、同様に、使用前に適当な精製及び乾燥操作によって、吸着湿分、残留溶媒、又は他の不純物を除去する。また、官能化ポリマー担体、例えば、その官能基、例えばアンモニウム又はヒドロキシル基を介して少なくとも一つの触媒成分を固定化することができるポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブチレンをベースとするものを用いることもできる。ポリマーブレンドを用いることもできる。
【0047】
担体成分として好適な無機酸化物は、元素周期律表の第2、3、4、5、13、14、15、及び16族の元素の酸化物の中から見出すことができる。担体として好ましい酸化物の例は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、又はチタン元素の混合酸化物、並びに対応する酸化物混合物を含む。単独か又は上記記載の好ましい酸化物担体と組み合わせて用いることができる他の無機酸化物は、例えば、MgO、CaO、AlPO、ZrO、TiO、B、又はこれらの混合物である。
【0048】
更なる好ましい無機担体材料は、MgClのような無機ハロゲン化物、或いはNaCO、KCO、CaCO、MgCOのような炭酸塩、NaSO、Al(SO、BaSOのような硫酸塩、KNO、Mg(NO、又はAl(NOのような硝酸塩である。
【0049】
オレフィン重合用の触媒のための固体担体材料としては、シリカゲルを用いることが好ましい。これは、この材料から、その寸法及び構造によってそれらがオレフィン重合のための担体として好適である粒子を製造することができるからである。より小さい顆粒状粒子、則ち一次粒子の球状凝集体を含む噴霧乾燥シリカゲルが、特に有用であることが分かった。シリカゲルは、使用前に乾燥及び/又はカ焼することができる。
【0050】
更なる好ましい担体は、ハイドロタルサイト及びカ焼ハイドロタルサイトである。鉱物学的には、ハイドロタルサイトは、理想式:
MgAl(OH)16CO・4H
を有し、その構造が水滑石:Mg(OH)のものから誘導される天然鉱物である。水滑石は、最密のヒドロキシルイオンの二つの層の間の8面体孔中に金属イオンを有し、8面体孔の各第2層のみが占有されている層状構造で結晶化する。ハイドロタルサイトにおいては、層の群が正の電荷を獲得する結果として、一部のマグネシウムイオンがアルミニウムイオンによって置き換えられる。これは、結晶水と一緒にその間の層中に配置されているアニオンによって平衡化される。
【0051】
かかる層状構造は、マグネシウム−アルミニウム水酸化物においてのみならず、式:
M(II)2x2+M(III)3+(OH)4x+4・A2/nn−・zH
(式中、M(II)は、Mg、Zn、Cu、Ni、Co、Mn、Ca、及び/又はFeのような二価の金属であり、M(III)は、Al、Fe、Co、Mn、La、Ce、及び/又はCrのような三価の金属であり、xは0.5刻みで0.5〜10であり、Aは格子間アニオンであり、nは格子間アニオンの電荷であり、1〜8、通常は1〜4であることができ、zは1〜6、特に2〜4の整数である)
の層状構造を有する混合金属水酸化物においても一般的に見られる。可能な格子間アニオンは、アルコキシドアニオン、アルキルエーテルサルフェート、アリールエーテルサルフェート、又はグリコールエーテルサルフェートのような有機アニオン;特に炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、又はB(OH)のような無機アニオン;或いはMo246−又はV10286−のようなポリオキソ金属アニオン;である。しかしながら、複数のかかるアニオンの混合物を存在させることもできる。
【0052】
したがって、層状構造を有するかかる混合金属水酸化物は全て、本発明の目的のためのハイドロタルサイトとみなすべきである。
カ焼ハイドロタルサイトは、カ焼、例えばそれを用いてとりわけ所望のヒドロキシル基含量を設定することができる加熱によってハイドロタルサイトから製造することができる。更に、結晶構造も変化する。本発明にしたがって用いるカ焼ハイドロタルサイトの製造は、通常は180℃より高い温度において行う。250℃〜1000℃、特に400℃〜700℃の温度で3〜24時間カ焼を行うことが好ましい。同時に、空気又は不活性ガスを固体の上に通したり、或いは真空を施すことができる。
【0053】
加熱によって、天然又は合成ハイドロタルサイトは、まず水を放出し、即ち、乾燥が起こる。更に加熱すると、実際のカ焼が起こり、ヒドロキシル基及び格子間アニオンが脱離することによって金属水酸化物が金属酸化物に転化する。OH基或いは炭酸塩のような格子間アニオンがカ焼ハイドロタルサイト中に含まれる可能性もある。この尺度は、燃焼による損失である。これは、まず乾燥オーブン内において200℃で30分間、次にマッフル炉内において950℃で1時間の2段階で加熱した試料が受ける重量損失である。
【0054】
而して、担体成分として用いるカ焼ハイドロタルサイトは、M(III)に対するM(II)のモル比が、一般に0.5〜10、好ましくは0.75〜8、特に1〜4の範囲である二価及び三価の金属M(II)及びM(III)の混合酸化物である。更に、通常量の不純物、例えばSi、Fe、Na、Ca、又はTi、並びに塩化物及び硫酸塩が含まれていてもよい。
【0055】
好ましいカ焼ハイドロタルサイトは、M(II)がマグネシウムであり、M(III)がアルミニウムである混合酸化物である。かかるアルミニウム−マグネシウム混合酸化物は、Condea Chemie GmbH(現在はSasol Chemie), HamburgからPuralox Mgの商品名で得ることができる。
【0056】
構造変形が完全であるか又は実質的に完全であるカ焼ハイドロタルサイトもまた好ましい。カ焼、即ち構造の変形は、例えばX線回折パターンを用いて確認することができる。
用いるハイドロタルサイト、カ焼ハイドロタルサイト、又はシリカゲルは、一般に、5〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは15〜100μm、特に20〜70μmの平均粒径D50を有する微粉砕粉末として用いられ、通常は、0.1〜10cm/g、好ましくは0.2〜5cm/gの孔容積、及び30〜1000m/g、好ましくは50〜800m/g、特に100〜600m/gの比表面積を有する。鉄コンプレックスIは、好ましくは、最終触媒系中の鉄コンプレックスIからの鉄の濃度が、最終触媒系1gあたり1〜100マイクロモル、好ましくは5〜80マイクロモル、特に好ましくは10〜60マイクロモルとなるような量で施す。
【0057】
固定化は、一般に不活性溶媒中で行い、これは固定化の後に濾去又は蒸発させることができる。個々のプロセス工程の後、固体触媒系を、脂肪族又は芳香族炭化水素のような好適な不活性溶媒で洗浄し、乾燥することができる。しかしながら、担持触媒系を未だ湿潤状態にある時に用いることも可能である。
【0058】
鉄コンプレックスIは、時にはそれ自体については僅かな重合活性しか有さず、その後に良好な重合活性を示すことができるように1種類以上の活性化剤と接触させることができる。更に、触媒系はしたがって、場合によっては1種類以上の活性化化合物、好ましくは1種類又は2種類の活性化化合物を含む。
【0059】
少なくとも1種類の鉄コンプレックスI、少なくとも1種類の活性化剤、及び少なくとも1種類の担体成分を含む触媒系が特に好ましい。
本発明の触媒系を製造するためには、好ましくは、鉄コンプレックスI及び/又は活性化剤を、物理吸着によるか、又は化学反応によって、即ち成分を担体表面上の反応性基と共有結合させることによって担体上に固定化する。
【0060】
担体成分、鉄コンプレックスI、及び活性化剤を化合させる順番は、原則として重要ではない。個々のプロセス工程の後に、種々の中間体を脂肪族又は芳香族炭化水素のような好適な不活性溶媒で洗浄することができる。
【0061】
鉄コンプレックスI及び活性化剤は、互いに独立して、例えば逐次的か、又は同時に固定化することができる。而して、担体成分をまず1種類又は複数の活性化剤と接触させることができ、或いはまず鉄コンプレックスVと接触させることができる。担体と混合する前に、1種類以上の活性化剤を用いて鉄コンプレックスIを予備活性化することもできる。一つの可能な態様においては、鉄コンプレックスIを担体材料の存在下で製造することもできる。更なる固定化方法は、担体に予め施すか又は施さずに触媒系を予備重合することである。
【0062】
担持触媒系を製造する好ましい方法においては、少なくとも1種類の鉄コンプレックスIを少なくとも1種類の活性化剤と接触させ、その後脱水又は不動態化した担体材料と混合する。得られる担持触媒系を次に乾燥して、担体材料の孔から溶媒の全部又は殆どが確実に除去されるようにする。担持触媒は、好ましくは自由流動粉末として得られる。上記のプロセスの工業的な実施の例は、WO 96/00243、WO 98/40419、又はWO 00/05277に記載されている。更なる好ましい態様においては、活性化剤をまず担体成分上で生成させるか又は担体成分上に施し、この担持化合物を次に鉄コンプレックスIと接触させる。
【0063】
1種類又は複数の活性化剤は、それぞれの場合において鉄コンプレックスIに対して任意の量で用いることができ、これらは好ましくは過剰量又は化学量論量で用いる。用いる1種類又は複数の活性化化合物の量は、活性化剤のタイプによって定まる。鉄コンプレックスIと活性化化合物とのモル比は、通常は1:0.1〜1:10000、好ましくは1:1〜1:2000の範囲である。
【0064】
好適な活性化剤は、例えば、アルミノキサン、無電荷の強ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、又はカチオンとしてブレンステッド酸を有するイオン性化合物のような化合物である。
【0065】
アルミノキサンとして、例えばWO 00/31090に記載の化合物を用いることができる。特に有用なアルミノキサンは、一般式(X)又は(XI)
【0066】
【化5】

【0067】
(式中、R1D〜R4Dは、それぞれ、互いに独立して、C〜Cアルキル基、好ましくはメチル、エチル、ブチル、又はイソブチル基であり、lは、1〜40、好ましくは4〜25の整数である)
の開鎖又は環式アルミノキサン化合物である。
【0068】
極めて特に好適なアルミノキサン化合物はメチルアルミノキサンである。
これらのオリゴマーアルミノキサン化合物は、通常は、トリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウムの溶液と水との制御された反応によって製造する。一般に、このようにして得られるオリゴマーアルミノキサン化合物は、種々の長さの線状及び環式鎖分子の両方の混合物の形態であり、したがってlは平均値とみなすべきである。また、アルミノキサン化合物は、他の金属アルキル、通常はアルミニウムアルキルと混合して存在させることもできる。活性化剤として好適なアルミノキサン製剤は商業的に入手できる。
【0069】
更に、炭化水素基の一部が水素原子、又はアルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、若しくはアミド基によって置換されている変性アルミノキサンを、活性化剤として、一般式(X)又は(XI)のアルミノキサン化合物に代えて用いることもできる。
【0070】
鉄コンプレックスI及びアルミノキサン化合物を、未だ含まれる全てのアルミニウムアルキルを含むアルミノキサン化合物からのアルミニウムと鉄コンプレックスIからの鉄との原子比が、通常は1:1〜2000:1、好ましくは10:1〜500:1の範囲、特に20:1〜400:1の範囲となるような量で用いることが有利であることが見出された。
【0071】
好適な活性化剤の更なるタイプはヒドロキシアルミノキサンである。これらは、例えば、アルキルアルミニウム化合物、特にトリイソブチルアルミニウムのアルミニウム1当量あたり0.5〜1.2当量の水、好ましくは0.8〜1.2当量の水を、低温、通常は0℃より低い温度で加えることによって製造することができる。かかる化合物及びオレフィン重合におけるそれらの使用は、例えばWO 00/24787に記載されている。ヒドロキシアルミノキサン化合物からのアルミニウムと鉄コンプレックスVからの鉄との原子比は、通常は1:1〜100:1、好ましくは10:1〜50:1の範囲、特に20:1〜40:1の範囲である。
【0072】
無電荷の強ルイス酸としては、一般式(XII):
2D1D2D3D (XII)
(式中、
2Dは、元素周期律表の第13族の元素、特にB、Al、又はGa、好ましくはBであり;
1D、X2D、及びX3Dは、それぞれ、水素、C〜C10アルキル、C〜C15アリール、それぞれアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有する、アルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル、又はハロアリール、或いは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素、特にハロアリール、好ましくはペンタフルオロフェニルである)
の化合物が好ましい。
【0073】
無電荷の強ルイス酸の更なる例は、WO 00/31090において与えられている。
特に有用な活性化剤は、ボラン類及びボロキシン類、例えばトリアルキルボラン、トリアリールボラン、又はトリメチルボロキシンである。少なくとも2つのペルフッ素化アリール基を有するボラン類を用いることが特に好ましい。X1D、X2D、及びX3Dが同一である一般式(XII)の化合物、例えばトリフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(トリル)ボラン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、又はトリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボランが特に好ましい。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用いることが好ましい。
【0074】
好適な活性化剤は、好ましくは、式(XII)のアルミニウム又はホウ素化合物を、水、アルコール、フェノール誘導体、チオフェノール誘導体、又はアニリン誘導体と反応させることによって製造され、ハロゲン化、特にペルフッ素化アルコール類及びフェノール類が特に重要である。特に有用な化合物の例は、ペンタフルオロフェノール、1,1−ビス(ペンタフルオロフェニル)メタノール、及び4−ヒドロキシ−2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’−ノナフルオロビフェニルである。式(XII)の化合物とブレンステッド酸との組み合わせの例は、特に、トリメチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、トリメチルアルミニウム/1−ビス(ペンタフルオロフェニル)メタノール、トリメチルアルミニウム/4−ヒドロキシ−2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’−ノナフルオロビフェニル、トリエチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、又はトリイソブチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、並びにトリエチルアルミニウム/4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニルハイドレートである。
【0075】
式(XII)の更なる好適なアルミニウム及びホウ素化合物においては、R1Dは、例えばボロン酸類及びボリン酸類におけるようにOH基である。ペルフッ素化アリール基を有するボリン酸類、例えば(CBOHを特に言及することができる。
【0076】
また、活性化剤として好適な無電荷の強ルイス酸としては、ボロン酸と2当量のアルミニウムトリアルキルとの反応生成物、或いはアルミニウムトリアルキルと2当量の酸性でフッ素化、特にペルフッ素化されている炭素化合物、例えばペンタフルオロフェノール又はビス(ペンタフルオロフェニル)ボリン酸との反応生成物も挙げられる。
【0077】
好適なルイス酸カチオンを有するイオン性化合物としては、一般式(XIII):
[((M3Da+)Q・・・Qd+ (XIII)
(式中、M3Dは、元素周期律表の第1〜16族の元素であり;
〜Qは、マイナス1価の電荷を有する基、例えば、C〜C28アルキル、C〜C15アリール、それぞれアリール基中に6〜20個の炭素原子及びアルキル基中に1〜28個の炭素原子を有する、アルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ハロアリール、置換基としてC〜C10アルキル基を有していてもよいC〜C10シクロアルキル、ハロゲン、C〜C28アルコキシ、C〜C15アリールオキシ、シリル、又はメルカプチル基であり;
aは、1〜6の整数であり;
zは、0〜5の整数であり;
dは、a−zの差に相当するが、dは1以上である)
のカチオンの塩様化合物が挙げられる。
【0078】
特に有用なカチオンは、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、及びスルホニウムカチオン、並びにカチオン性遷移金属コンプレックスである。トリフェニルメチルカチオン、銀カチオン、及び1,1’−ジメチルフェロセニルカチオンを特に言及することができる。これらは、好ましくは、非配位対イオン、特にWO 91/09882においても言及されているホウ素化合物、好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを有する。
【0079】
非配位アニオンを有する塩は、また、ホウ素又はアルミニウム化合物、例えばアルミニウムアルキルを、反応して2以上のホウ素又はアルミニウム原子を結合することができる第2の化合物、例えば水、並びにホウ素又はアルミニウム化合物と共にイオン化イオン性化合物を形成する第3の化合物、例えばトリフェニルクロロメタン、或いは場合によっては塩基、好ましくは有機窒素含有塩基、例えばアミン、アニリン誘導体、又は窒素複素環化合物と化合することによって製造することもできる。更に、同様にホウ素又はアルミニウム化合物と反応する第4の化合物、例えばペンタフルオロフェノールを加えることができる。
【0080】
カチオンとしてブレンステッド酸を有するイオン性化合物は、好ましくは同様に非配位対イオンを有する。ブレンステッド酸としては、プロトン化アミン又はアニリン誘導体が特に好ましい。好ましいカチオンは、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウム、及びN,N−ジメチルベンジルアンモニウム、並びに後者二つの誘導体である。
【0081】
WO 9736937に記載されているようなアニオン性ホウ素複素環を含む化合物、特にジメチルアニリニウムボラタベンゼン又はトリチルボラタベンゼンもまた、活性化剤として好適である。
【0082】
好ましいイオン性活性化剤は、少なくとも2つのペルフッ素化アリール基を有するボレート類を含む。N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及び特にN,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又はトリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが特に好ましい。
【0083】
また、ジアニオン[(CB−C−B(C2−におけるように2以上のボレートアニオンが互いに結合してもよく、或いはボレートアニオンが橋架によって担体表面上の好適な官能基に結合してもよい。
【0084】
更に好適な活性化剤はWO 00/31090に列記されている。
無電荷の強ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、或いはカチオンとしてブレンステッド酸を有するイオン性化合物の量は、鉄コンプレックスIを基準として、好ましくは0.1〜20当量、好ましくは1〜10当量、特に好ましくは1〜2当量である。
【0085】
好適な活性化剤としては、また、ジ[ビス(ペンタフルオロフェニル)ボロキシ]メチルアランのようなホウ素−アルミニウム化合物も挙げられる。かかるホウ素−アルミニウム化合物の例は、WO 99/06414に開示されているものである。
【0086】
また、上記記載の全ての活性化化合物の混合物を用いることもできる。好ましい混合物は、アルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、及びイオン性化合物、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンを含むもの、及び/又は無電荷の強ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン又はボロキシンを含む。
【0087】
鉄コンプレックスI及び1種類又は複数の活性化剤は両方とも、好ましくは溶媒、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、特にキシレン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、又はこれらの混合物中で用いる。
【0088】
更に、同時に担体として用いることができる活性化剤を用いることができる。かかる系は、例えば、無機酸化物をジルコニウムアルコキシドで処理し、次に例えば四塩化炭素を用いて塩素化することによって得られる。かかる系の製造は、例えばWO 01/41920に記載されている。
【0089】
好ましい態様の活性化剤と好ましい態様の鉄コンプレックスIとの組み合わせが特に好ましい。
鉄コンプレックスIのための活性化剤としてアルミノキサンを用いることが好ましい。鉄コンプレックスIのための活性化剤として、一般式(XIII)のカチオンの塩様化合物、特にN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又はトリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボレートの組み合わせを、特にアルミノキサンと組み合わせて用いることが好ましい。
【0090】
触媒系には更に、更なる成分として、周期律表第1、2、又は13族の1種類以上の金属化合物、特に一般式(XX):
(R1GrG(R2GsG(R3GtG (XX)
(式中、
は、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、亜鉛、特にLi、Na、K、Mg、ホウ素、アルミニウム、又はZnであり;
1Gは、水素、C〜C10アルキル、C〜C15アリール、それぞれアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール又はアリールアルキルであり;
2G及びR3Gは、それぞれ、水素、ハロゲン、C〜C10アルキル、C〜C15アリール、それぞれアルキル基中に1〜20個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有する、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアルコキシ、或いはC〜C10アルキル又はC〜C15アリールを有するアルコキシであり;
は、1〜3の整数であり;
及びtは、0〜2の整数であり、r+s+tの合計はMの価数に相当する)
の金属化合物を含ませることができ、ここで式(XX)の金属化合物は、通常は、活性化剤と同一ではない。また、式(XX)の種々の金属化合物の混合物を用いることもできる。
【0091】
一般式(XX)の金属化合物の中で、
が、リチウム、マグネシウム、ホウ素、又はアルミニウムであり、
1Gが、C〜C20アルキルである、
ものが好ましい。
【0092】
式(XX)の特に好ましい金属化合物は、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、n−ブチル−n−オクチルマグネシウム、n−ブチル−n−ヘプチルマグネシウム、特にn−ブチル−n−オクチルマグネシウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、メチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、及びトリメチルアルミニウム、並びにこれらの混合物である。アルミニウムアルキルとアルコールとの部分加水分解生成物を用いることもできる。
【0093】
金属化合物(XX)を用いる場合には、好ましくは、式(XX)からのMと鉄コンプレックスIからの鉄とのモル比が、3000:1〜0.1:1、好ましくは800:1〜0.2:1、特に好ましくは100:1〜1:1となるような量で触媒系中に含ませる。
【0094】
一般に、一般式(XX)の金属化合物は、オレフィンの重合又は共重合のための触媒系の構成成分として用いる。ここでは、金属化合物(XX)は、例えば、担体を含む触媒固体を製造するために用いることができ、及び/又は、重合中又は重合の直前に加えることができる。用いる複数の金属化合物(XX)は、同一であっても異なっていてもよい。また、特に触媒固体が活性化成分を含まない場合には、触媒系に、触媒固体に加えて1種類以上の活性化剤を含ませることもでき、これらの活性化剤は、触媒固体中に含まれる任意の化合物(XX)と同一であるか又は異なる。
【0095】
金属化合物(XX)は、同様に、任意の順番で、鉄コンプレックスI、及び場合によっては活性化剤、並びに担体と反応させることができる。例えば、鉄コンプレックスIを、重合するオレフィンと接触させる前か又は後のいずれかにおいて、1種類又は複数の活性化剤及び/又は担体と接触させることができる。また、オレフィンと混合する前に1種類以上の活性化剤を用いて予備活性化し、更に、混合物をオレフィンと接触させた後に、同じか又は他の活性化剤及び/又は担体を加えることもできる。予備活性化は、一般に、10〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度で行う。
【0096】
他の好ましい態様においては、触媒固体を、上記に記載のようにして、鉄コンプレックスI、活性化剤、及び担体から製造し、これを、重合中、重合の開始時、又は重合の直前に金属化合物(XX)と接触させる。金属化合物(XX)を、まず重合するα−オレフィンと接触させ、次に、上記記載の鉄コンプレックスI、活性化剤、及び担体を含む触媒固体を加えることが好ましい。
【0097】
更に好ましい態様においては、担体を、まず金属化合物(XX)と接触させ、次に上記記載の鉄コンプレックス及び任意の更なる活性化剤と接触させる。
触媒系には、場合によっては、オレフィン重合のために好適な更なる触媒を含ませることができる。ここで可能な触媒は、特に、チタンをベースとする伝統的なチーグラー・ナッタ触媒、クロム化合物、特に酸化クロムをベースとする伝統的なフィリップス触媒、メタロセン、ニッケル−及びパラジウム−ビスイミン系(これらの製造に関しては、WO A−98/03559を参照)、並びにコバルト−ピリジンビスイミン化合物(これらの製造に関しては、WO−A−98/27124を参照)である。
【0098】
チーグラー触媒成分(例えば、Falbe, J.,; Regitz, M.(編者); Rompp Chemie Lexikon; 第9版; Thieme; 1992; New York; vol.6, p.5128-5129に記載)、及び/又はメタロセン触媒成分が好ましい。メタロセン触媒成分が特に好ましい。
【0099】
チーグラー触媒成分は、好ましくは、元素周期律表の第IVa族(例えば、チタン、ジルコニウム、又はハフニウム)、Va族(例えば、バナジウム又はニオブ)、或いはVIa族(例えば、クロム又はモリブデン)の金属の化合物である。ハロゲン化物、酸化物、オキシハロゲン化物、水酸化物、又はアルコキシドが好ましい。チーグラー触媒成分の非限定的な例は、四塩化チタン、四塩化ジルコニウム、四塩化ハフニウム、三塩化チタン、三塩化バナジウム、オキシ塩化バナジウム、三塩化クロム、又は酸化クロムである。
【0100】
本特許出願の目的のためには、メタロセン触媒成分は、2つ又は3つのシクロペンタジエニルリガンドを含むシクロペンタジエニルコンプレックスである。本特許出願の目的のためには、シクロペンタジエニルリガンドは、6個のπ電子を有する環式の5員環系を含む任意の系、例えばインデニル又はフルオレニル系である。元素周期律表の第III族及びランタニド族(例えばランタン又はイットリウム)の金属、並びに第IV族(例えば、チタン、ジルコニウム、又はハフニウム)、V族(例えばバナジウム又はニオブ)、或いはVI族(例えばクロム又はモリブデン)の金属のメタロセンコンプレックスが好ましく、チタン、ジルコニウム、又はハフニウムのシクロペンタジエニルコンプレックスが特に好ましい。シクロペンタジエニルコンプレックスは、例えば、EP 129368、EP 561479,EP 545304、及びEP 576970に記載されているような橋架又は非橋架ビスシクロペンタジエニルコンプレックス、或いは、例えばEP 416815に記載されている橋架アミドシクロペンタジエニルコンプレックスのようなモノシクロペンタジエニルコンプレックスであってよい。
【0101】
鉄コンプレックスIとオレフィン重合触媒とのモル比は、通常は1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:5〜5:1の範囲である。
また、触媒系をまず、α−オレフィン、好ましくは線状のC〜C10−1−アルケン、特にエチレン又はプロピレンによって予備重合し、次に得られた予備重合触媒固体を実際の重合において用いることもできる。予備重合において用いる触媒固体と、その上に重合するモノマーとの質量比は、通常は1:0.1〜1:1000、好ましくは1:1〜1:200の範囲である。
【0102】
更に、変性成分として少量のオレフィン、好ましくはα−オレフィン、例えばビニルシクロヘキサン、スチレン、又はフェニルジメチルビニルシラン、静電防止化合物又は好適に不活性な化合物、例えばワックス又はオイルを、触媒系の製造中又は製造後に添加剤として加えることができる。この場合には、添加剤と鉄コンプレックスIとのモル比は、通常は1:1000〜1000:1、好ましくは1:5〜20:1の範囲である。
【0103】
本発明の触媒組成物又は触媒系は、有利な使用特性及び加工特性を有する本発明によるポリエチレンの製造のために好適である。
本発明にしたがってポリエチレンを製造するためには、上記に記載のように、エチレンを、3〜12個の炭素原子を有するα−オレフィンと共に重合する。
【0104】
本発明の重合方法においては、エチレンを、3〜12個の炭素原子を有するα−オレフィンと共に重合する。好ましいα−オレフィンは、線状又は分岐のC〜C12−1−アルケン、特に線状のC〜C10−1−アルケン、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、或いは分岐のC〜C10−1−アルケン、例えば4−メチル−1−ペンテンである。特に好ましいα−オレフィンは、C〜C12−1−アルケン、特に線状のC〜C10−1−アルケンである。また、種々のα−オレフィンの混合物を重合することもできる。エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、及び1−デセンからなる群から選択される少なくとも1種類のα−オレフィンを重合することが好ましい。少なくとも50モル%のエテンを含むモノマー混合物を用いることが好ましい。
【0105】
エチレンとα−オレフィンとを重合するための本発明方法は、工業的に公知の全ての重合法を用いて、−60〜350℃、好ましくは0〜200℃、特に好ましくは25〜150℃の範囲の温度、及び0.5〜4000bar、好ましくは1〜100bar、特に好ましくは3〜40barの圧力下で行うことができる。重合は、公知の方法で、バルク中、懸濁液中、気相中、或いは超臨界媒体中で、オレフィンの重合のために用いられる通常の反応器内において行うことができる。これは、バッチ式か、又は好ましくは1以上の段階で連続的に行うことができる。管状反応器又はオートクレーブ内での高圧重合法、溶液法、懸濁法、撹拌気相法、又は気相流動床法が全て可能である。
【0106】
重合は、通常は、−60〜350℃の範囲、好ましくは20〜300℃の範囲の温度、及び0.5〜4000barの圧力下で行う。平均滞留時間は、通常は0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。重合を行うために有利な圧力及び温度範囲は、通常は重合法によって決まる。通常は1000〜4000bar、特に2000〜3500barの範囲の圧力で行う高圧重合法の場合には、一般に高い重合温度も設定する。これらの高圧重合法のために有利な温度範囲は、200〜320℃、特に220〜290℃である。低圧重合法の場合には、一般にポリマーの軟化温度よりも少なくとも数度低い温度を設定する。特に、これらの重合法においては、50〜180℃、好ましくは70〜120℃の範囲の温度を設定する。懸濁重合の場合には、重合は、通常は、懸濁媒体中、好ましくはイソブタンのような不活性炭化水素又は複数の炭化水素の混合物中、或いはモノマーそれ自体の中で行う。重合温度は一般に−20〜115℃の範囲であり、圧力は一般に1〜100barの範囲である。懸濁液の固形分含量は、一般に10〜80%の範囲である。重合は、例えば撹拌オートクレーブ内でバッチ式か、或いは例えば管状反応器、好ましくはループ反応器内で連続的に行うことができる。US−A−3242150及びUS−A−3248179に記載されているようなフィリップスPF法を用いることが特に好ましい。気相重合は、一般に30〜125℃の範囲で1〜50barの圧力において行う。
【0107】
言及した重合法の中で、特に気相流動床反応器内での気相重合、特にループ反応器及び撹拌タンク反応器内での溶液重合及び懸濁重合が特に好ましい。気相重合は、また、循環気体の一部を露点より低く冷却し、二相混合物として反応器に再循環する凝縮又は超凝縮モードで行うこともできる。また、2つの重合区域が互いに接続されており、ポリマーがこれらの2つの区域を複数回交互に通過する多区域反応器を用いることもできる。2つの区域は異なる重合条件を有することもできる。かかる反応器は、例えば、WO 97/04015に記載されている。また所望の場合には、異なるか又は同一の重合プロセスを直列に接続して、例えばHostalen(登録商標)プロセスにおけるような重合カスケードを形成することもできる。また、2以上の同一か又は異なるプロセスを用いる平行の反応器配列も可能である。更に、モル質量調整剤、例えば水素、或いは静電防止剤のような通常の添加剤を、重合において用いることもできる。重合は、好ましくはビニル基の高い割合を得るために水素の不存在下で行う。
【0108】
重合は、好ましくは、単一の反応器内、特に気相反応器内で行う。
本発明の非対称コンプレックスは、エチレンの重合において非常に活性である。これらを用いて達成される活性は、対応する2,2’−ビピリジンイミン鉄コンプレックス及び対応する2,6−ピリジンビスイミンコンプレックスを用いて達成される活性よりも高い。更に、このようにして得られるエチレンポリマーは、2,2’−ビピリジンイミン鉄コンプレックスによる触媒反応によって得られるエチレンポリマーよりも狭いモル質量分布及び高い平均モル質量を有する。
【実施例】
【0109】
以下の実施例によって本発明の範囲を限定することなく本発明を示す。
実施例1:(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリドの製造:
(1.1.)1−メチル−1H[1,10]フェナントロリン−2−オンの製造:
【0110】
【化6】

【0111】
18.50g(0.103モル)の[1,10]フェナントロリン及び50mLのジメチルサルフェートの混合物を、120℃において1時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を撹拌しながら300mLの無水ジエチルエーテルに加えた。白色の沈殿物(23.39g)を更なる精製なしに用いた。
【0112】
300mLの水中の80g(2.000モル)の水酸化ナトリウムの溶液、及び300mLの水中の上記で得られた白色の固体を、0℃において、150mLの水中の53.00g(0.161モル)のカリウムヘキサシアノフェレート(III)の溶液に交互に少量ずつ加えた。得られた沈殿に150mLのトルエンを添加し、30分間還流した。減圧下で溶媒を蒸留することによって、15.01g(0.071モル)の1−メチル−1H[1,10]フェナントロリン−2−オンが69%の収率で得られた。
【0113】
(1.2.)2−ブロモ[1,10]フェナントロリンの製造:
【0114】
【化7】

【0115】
これは、文献(S. Owagaら, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1; 1974; 976-978)にしたがって1−メチル−1H−[1,10]フェナントロリン−2−オンから製造するか、或いは以下の合成経路によって製造した。
【0116】
ヘキサン中のブチルリチウムの1.6M溶液10.0mL(0.016モル)を0℃に冷却し、10mLのヘキサン中の0.72g(0.008モル)のN,N−ジメチルアミノエタノールの溶液を15分間かけて滴加した。反応混合物を−78℃に冷却し、次に5mLのヘキサン中の0.72g(0.004モル)の[1,10]フェナントロリンの溶液を滴加した。1時間後、25mLのTHF中の3.32g(0.010モル)のCBrの溶液を加えた。−78℃において1時間後、反応混合物に濃度10%のHCl水溶液20mLを添加した。水相を20mLのジエチルエーテルで2回抽出した。有機相を合わせてMgSO上で乾燥し、濾過し、減圧において溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン)によって、0.78g(0.003モル)の生成物が75%の収率で得られた。
【0117】
(1.3.)1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエタノンの製造:
【0118】
【化8】

【0119】
54.67g(0.211モル)の2−ブロモ[1,10]フェナントロリンを650mLのジエチルエーテル中に溶解し、−70℃に冷却した。ヘキサン中のブチルリチウムの1.6M溶液145.1mL(0.232モル)を15分間かけて滴加した。温度を−40℃に昇温し、混合物を更に15分間撹拌した。混合物を−60℃に冷却し、27.58g(0.317モル)のN,N−ジメチルアセトアミドを滴加し、その後混合物を室温において更に1時間撹拌した。反応混合物を300mLの塩化アンモニウム飽和溶液と共に撹拌した。水相を20mLのジエチルエーテルで2回抽出した。有機相を合わせてNaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で溶媒を留去した。これによって、44.55g(0.201モル)の[1,10]フェナントロリン−2−イルエタノンが95%の収率で得られた。
【0120】
(1.4.)(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミンの製造:
【0121】
【化9】

【0122】
44.55g(0.201モル)の1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエタノン、53.18g(0.342モル)の2,4−ジメチル−6−クロロアニリン、及び40gのSicapentを、1000mLのテトラヒドロフラン中で7.5時間還流した。冷却した後、不溶の固体を濾過し、テトラヒドロフランで洗浄した。このようにして得られた濾液から溶媒を留去し、残渣に400mLのメタノールを添加し、次に55℃において1時間撹拌した。このようにして形成された懸濁液を濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄し、溶媒を除去した。このようにして得られた生成物を濾過し、メタノールで洗浄した。生成物を600mLのメタノール中に取り、1時間撹拌し、濾過し、エーテルで洗浄した。これにより、39.78g(0.111モル)の(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミンが55%の収率で得られた。
【0123】
(1.5.)(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリドの製造:
【0124】
【化10】

【0125】
3.98g(0.011モル)の(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミンを100mLのTHF中に溶解し、撹拌しながら室温において2.19gのFeCl・4HO(0.011モル)を添加した。沈殿物が形成された。1時間後、これを濾過によって単離した。これを5mLのTHFで2回洗浄し、減圧下において生成物から残留溶媒を除去した。これによって、5.12g(0.010モル)の(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリドが95%の収率で得られた。
【0126】
実施例2:(2,6−ジイソプロピルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリドの製造:
(2.1.)(2,6−ジイソプロピルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミンの製造:
【0127】
【化11】

【0128】
0.40g(0.0018モル)の1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエタノン(実施例1.3.を参照)、0.33g(0.0018モル)の2,6−ジイソプロピルアニリン、および3gのSicapentを、20mLのテトラヒドロフラン中で15時間還流した。冷却後、不溶の固体を濾過し、テトラヒドロフランで洗浄した。このようにして得られた濾液から溶媒を留去し、残渣に7mLのメタノールを添加した。このようにして形成された懸濁液を濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄し、溶媒を除去した。このようにして得られた生成物を濾過し、メタノールで洗浄した。これによって、0.34g(0.009モル)の(2,6−ジイソプロピルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミンが50%の収率で得られた。
【0129】
(2.2)(2,6−ジイソプロピルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリドの製造:
【0130】
【化12】

【0131】
0.34g(0.0009モル)の(2,6−ジイソプロピルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミンを10mLのTHF中に溶解し、室温において撹拌しながら0.18gのFeCl・4HO(0.0009モル)を添加した。沈殿物が形成された。1時間後、これを濾過によって単離した。これを各回1mLのTHFで2回洗浄し、減圧下において生成物から残留溶媒を除去した。これによって、0.41g(0.0008モル)の(2,6−ジイソプロピルフェニル)(1−[1,10]フェナントロリン−2−イルエチリデン)アミン鉄(II)クロリドが89%の収率で得られた。
【0132】
比較例C1:
Lutzら, C.R. Chimie 5 (2002), pp.43-48に記載のようにして2,6−ビス[1−(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドを調製した。
【0133】
【化13】

【0134】
比較例C2:
WO 9912981の実施例1に記載のようにして2,6−ビス[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドを調製した。
【0135】
【化14】

【0136】
重合:
接触温度計、テフロンブレードスターラー、ガス導入管、凝縮器、及び加熱マントルを備えた1Lの4つ口フラスコ内で重合実験を行った。このフラスコ内に250mLのトルエンを配置し、40℃、アルゴン下において、適当量のコンプレックス(表1参照)を加えた。次に、溶液を75℃において10分間加熱した。次に冷却して40℃に戻し、表1に示す量のCromptonからのトルエン中の30%メチルアルミノキサン溶液(MAO)を加えた。次に、20〜40L/時のエチレンを溶液に通した。
【0137】
重合を終了させるために、エチレンの導入を停止し、アルゴンを溶液に通した。次に、15mLの濃塩酸及び50mLのメタノールの混合物を加え、15分間撹拌した後、更に250mLのメタノールを加え、形成されたポリマーを完全に沈殿させた。ガラスフリットフィルターによってポリマーを濾過し、メタノールで3回洗浄し、減圧下70℃において乾燥した。表1に重合及び生成物のデータを要約する。
【0138】
【表1】

【0139】
モル質量分布、及び平均M、M、並びにそれらから誘導されるM/Mの測定は、DIN 55672−1:1995−02、1995年2月版に基づく方法を用いる高温ゲル透過クロマトグラフィーを用いて行った。引用したDIN標準規格からの違いは次の通りであった。溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)、装置及び溶液の温度:135℃、濃度検出器:PolymerChar(Valencia, Paterna 46980, スペイン)IR−4赤外検出器をTCBと共に用いた。直列に接続した以下のカラム:3×SHODEX UT 806M、1×SHODEX UT 807を有するWATERS Alliance 2000を用いた。溶媒は窒素下で希釈し、0.025重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールで安定化した。流量は1mL/分であり、注入体積は500μLであり、ポリマー濃度は0.01重量%〜0.05重量%の範囲であった。580g/モル〜11600000g/モルの範囲のPolymer Laboratories(現在はVarian, Inc., Essex Road, Church Stretton, Shropshire, SY6 6AX, 英国)からの単分散ポリスチレン(PS)標準試料、並びにヘキサデカンを用いて分子量の較正を行った。次に、汎用較正法(Benoit H., Rempp P.及びGrubisic Z., J. Polymer Sci., Phys. Ed., 5, 753 (1967))を用いて較正曲線をポリエチレン(PE)に適合させた。用いたMark-Houwingパラメーターは、TCB中135℃において、PSに関しては、kPS=0.000121dL/g、αPS=0.706であり、PEに関しては、kPE=0.000406dL/g、αPE=0.725であった。NTGPC対照V6.02.03及びNTGPC−V6.4.24(hs GmbH, Hauptstrasse 36, D-55437 Ober-Hilbersheim)を用いてデータの記録及び計算を行った。
【0140】
Staudinger指数(η)[dL/g]は、130℃において、溶媒としてデカリンを用い、自動Ubbelohde粘度計(Lauda PVS1)を用いて測定した(ISO−1628、130℃、デカリン1mLあたり0.001g)。
【0141】
実施例3からの本発明のコンプレックスは、C3の対応する2,6−ピリジンビスイミンコンプレックスよりも高い活性及びモル質量を与える。同時に、モル質量分布はより狭い。
【0142】
比較例C6:
比較例C2からのコンプレックス、則ち2,6−ビス[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリド14.1マイクロモルを、コンプレックスからのFeとMAOからのAlとのモル比1:500を用いて、エチレンを重合するために上記に記載のように用いた。20分後に重合を停止した。コンプレックスの活性は976g−PE/(ミリモル−コンプレックス・時)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式I:
【化1】

(式中、変数は以下の意味を有する:
Aは
【化2】

であり;
〜Rは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR14、OR14、ハロゲン、又はSiR15であり、ここで、有機基R〜Rはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの隣接する基R〜Rはまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R14は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR15であり、ここで、有機基R14はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R14はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R15は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、或いはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2つの基R15はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
、Rは、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR15であり、ここで、有機基R、Rはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R、Rはまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
、Rは、それぞれ、互いに独立して、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR15であり、ここで、有機基R、Rはまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R、Rはまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
〜Eは、それぞれ、互いに独立して、炭素又は窒素であり;
uは、E〜Eが窒素の場合には0であり、E〜Eが炭素の場合には1であり;
基Xは、それぞれ、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C20アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR16、OR16、SR16、SO16、OC(O)R16、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PF、又は嵩高の非配位アニオンであり、ここでXは互いに結合していてもよく;
基R16は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR17であり、ここで、有機基R16はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R16はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R17は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここで、有機基R17はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R17はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
sは、1、2、3、又は4であり;
、Dは、それぞれ無電荷のドナーであり;
t、yは、それぞれ0〜4であり;
Gは、単正電荷のカチオンであり;
xは、0又は1である)
の少なくとも1種類の鉄コンプレックス;
(b)少なくとも1種類の有機又は無機担体、(c)場合によっては1種類以上の活性化剤、場合によってはオレフィン重合のために好適な更なる触媒;及び(d)場合によっては1種類以上の周期律表の第1、2、又は13族の金属化合物;を含む、オレフィン重合用の触媒系。
【請求項2】
鉄コンプレックスが式Ia:
【化3】

(式中、変数は以下の意味を有する:
〜R13は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR14、OR14、ハロゲン、又はSiR15であり、ここで、有機基R〜R13はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの隣接する基R〜R13はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R14は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR15であり、ここで、有機基R14はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R14はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R15は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、或いはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2つの基R15はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
〜Eは、それぞれ、互いに独立して、炭素又は窒素であり;
uは、E〜Eが窒素の場合には0であり、E〜Eが炭素の場合には1であり;
基Xは、それぞれ、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C20アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR16、OR16、SR16、SO16、OC(O)R16、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PF、又は嵩高の非配位アニオンであり、ここで基Xは互いに結合していてもよく;
基R16は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiR17であり、ここで、有機基R16はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R16はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
基R17は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここで、有機基R17はまたハロゲンによって置換されていてもよく、及び2つの基R17はまた結合して5又は6員環を形成してもよく;
は、無電荷のドナーであり;
sは、2又は3であり;
tは、0〜4である)
を有する、請求項1に記載のオレフィン重合用の触媒系。
【請求項3】
式I又はIaの鉄コンプレックスにおけるE〜Eがそれぞれ炭素である、請求項1又は2に記載のオレフィン重合用の触媒系。
【請求項4】
式Iaの鉄コンプレックスにおけるR及びR13が、それぞれ、互い独立して、C〜C20アルキル、CF、塩素、又は臭素である、請求項2又は3に記載のオレフィン重合用の触媒系。
【請求項5】
式Iaの鉄コンプレックスにおけるR10及びR12がそれぞれ水素である、請求項2〜4のいずれかに記載のオレフィン重合用の触媒系。
【請求項6】
少なくとも1種類の活性化剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン重合用の触媒系。
【請求項7】
請求項6に記載の触媒系及びその上に重合した1種類以上の線状C〜C10−1−アルケンを、触媒系を基準として1:0.1〜1:1000の質量比で含む、予備重合触媒系。
【請求項8】
オレフィンを重合又は共重合するための、請求項6又は7に記載の触媒系の使用。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の触媒系の存在下でオレフィンを重合又は共重合することによるポリオレフィンの製造方法。

【公表番号】特表2011−508798(P2011−508798A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538430(P2010−538430)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010669
【国際公開番号】WO2009/080237
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(500289758)バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー (118)
【Fターム(参考)】