説明

フォトインタラプタ

【課題】より薄型化を図ることが可能であり、かつ高い検出精度を有するフォトインタラプタを提供する。
【解決手段】発光モジュール1と、受光モジュール2と、第1の方向xに対して直角である第2の方向yにおいて検出用空間31を迂回する連結部32を有する外側モールド体3と、を備えており、受光モジュール2が、受光素子21とワイヤ24と、これらを覆う内側モールド体25と、を具備しているフォトインタラプタA1であって、外側モールド体3は、内側モールド体25の入射面25aに繋がる部分を覆うように形成された遮光部33を有しており、遮光部33は、第1の方向x視においてワイヤ24と重なるように形成されており、かつ、内側モールド体25と接する面が、第2の方向yにおいて連結部33に近い部分ほど、第1の方向xにおける第2のリード23との間隔が小さくなる部分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光モジュールおよび受光モジュールを備え、これらの間における物体の有無を検出するフォトインタラプタに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトインタラプタは、内蔵された発光モジュールから受光モジュールまでの光路を遮る物体の有無を検出するセンサとして、多くの電子機器などに用いられている。図4は、従来のフォトインタラプタの一例を断面図で示している(たとえば特許文献1参照)。同図4に示されたフォトインタラプタXは、発光モジュール91、受光モジュール92、および外側モールド体93を備えている。発光モジュール91は、検出光を出射する発光素子911と、発光素子911を搭載するリード912と、リード912に対して離間するリード913と、金属製のワイヤ914と、これらを覆う内側モールド体915とを備えている。受光モジュール92は、受光素子921を搭載するリード922と、リード922に対して離間するリード923と、金属製のワイヤ924と、これらを覆う透明な内側モールド体925とを備えている。外側モールド体93は、検出用空間931を挟んで対向するように発光モジュール91および受光モジュール92を保持している。さらに、外側モールド体93は、検出用空間931を避けるように形成された連結部932を備えている。このようなフォトインタラプタXは、検出用空間931に物体Sを挿し込むと、発光モジュール91から受光モジュール92に向かう光が物体Sによって遮断されるため、物体Sの存在を検出することが可能である。さらに、フォトインタラプタXでは、検出精度を高めるために、受光モジュール92の一部を覆う遮光部933が形成されている。
【0003】
近年、電子機器の小型化の要請に伴って、フォトインタラプタXに対しても小型化の要請がある。しかしながら、フォトインタラプタXでは、上記検出光の進行方向において遮光部933が受光モジュール92と重なるように形成されており、上記検出光の進行方向における薄型化を図ることが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−111099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より薄型化を図ることが可能であり、かつ高い検出精度を有するフォトインタラプタを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供されるフォトインタラプタは、第1の方向において検出用空間を挟んで互いに離間する発光モジュールおよび受光モジュールと、上記発光モジュールから出射される検出光が上記受光モジュールに到達するように上記発光モジュールおよび上記受光モジュールを覆い保持し、上記第1の方向に対して直角である第2の方向において上記検出用空間を迂回する連結部を有し、不透明樹脂からなる外側モールド体と、を備えており、上記受光モジュールが、上記第2の方向において互いに離間する第1と第2のリードと、上記第1のリードに搭載されており、表面に電極パッドを有する受光素子と、上記電極パッドと上記第2のリードとを導通させるワイヤと、上記受光素子と上記ワイヤとを覆い、上記外側モールド体から露出する入射面を有する透明な内側モールド体と、を具備しているフォトインタラプタであって、上記外側モールド体は、上記内側モールド体の上記入射面に繋がる部分を覆うように形成された遮光部を有しており、上記遮光部は、上記第1の方向視において上記ワイヤと重なるように形成されており、かつ、上記内側モールド体と接する面が、上記第2の方向において上記連結部に近い部分ほど、上記第1の方向における上記第2のリードとの間隔が小さくなる部分を有することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、上記遮光部により上記受光モジュールに入射する光を制限することが可能であり、検出精度を高めることが可能である。さらに、上記内側モールド体の上記第1の方向における厚みは、上記入射面が形成されている部分において最も厚く、上記入射面に繋がる部分においては上記連結部に近づくほど薄くなっている。このため、上記遮光部の一部は上記内側モールド体に食い込むように形成されており、上記遮光部を設けることによって上記外側モールド体の上記第1の方向における厚みが大きくなる問題を解消することが可能である。従って、上記フォトインタラプタは、上記第1の方向においてより薄型化を図ることが可能である。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記遮光部の上記発光モジュールと対向する面が、上記第2の方向において上記連結部に近い部分ほど、上記第1の方向における上記第2のリードとの間隔が、大きくなるように形成されている。このような構成によれば、上記遮光部の強度が増し、上記遮光部が破損するのを防ぐことができる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ワイヤは、キャピラリに挿通された上記ワイヤの一端を接合するファーストボンディングを上記第2のリードに対して行い、上記電極パッドに対してセカンドボンディングを行うことにより形成されている。このような構成によれば、上記ワイヤと上記電極パッドとの接合部が上記第1の方向において薄く形成される。従って、上記フォトインタラプタは、上記第1の方向における薄型化をより図りやすくなっている。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るフォトインタラプタの第1の実施形態を断面図で示している。図1に示すフォトインタラプタA1は、発光モジュール1、受光モジュール2、および、外側モールド体3を備えている。さらに、図2には、受光モジュール2の内部を平面図で示している。また、図1では、発光モジュール1から受光モジュール2へ進行する検出光の進行方向である第1の方向(x方向)と、上記第1の方向に対して直角である第2の方向(y方向)とを示している。
【0013】
外側モールド体3は、y方向において物体Sを挿通可能な検出用空間31を挟んで発光モジュール1と受光モジュール2とが対向するように、発光モジュール1および受光モジュール2を保持している。さらに、外側モールド体3は、y方向において検出用空間31を迂回する連結部32と、後述する遮光部33とを備えている。検出用空間31に物体Sを挿し込むと、発光モジュール1から受光モジュール2に進行する光が遮断される。このことにより、フォトインタラプタA1は、物体Sの存在を感知することができる。
【0014】
発光モジュール1は、図1に示すように、検出光を出射する発光素子11と、発光素子11を搭載するリード12と、y方向においてリード12に対して離間するリード13と、金属製のワイヤ14と、これらを覆う内側モールド体15とを備えている。リード12,13は、たとえばCu合金からなり、一部が内側モールド体15の外に露出するように形成されている。発光素子11とリード13とはワイヤ14を介して導通接続されている。内側モールド体15は、発光素子11から出射される光を透過可能なエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂によって形成されている。
【0015】
受光モジュール2は、図1および図2に示すように、検出光を受光する受光素子21と受光素子21を搭載する第1のリード22と、y方向において第1のリード22と離間する第2のリード23と、金属性のワイヤ24と、これらを覆う内側モールド体25とを備えている。受光素子21は、たとえばピンフォトダイオードであり、y方向における第2のリード23に近い側の端部の表面に電極パッド21aを備えている。第1および第2のリード22,23は、たとえばCu合金からなり、一部が内側モールド体25の外に露出するように形成されている。
【0016】
ワイヤ24は、たとえばキャピラリを用いたボンディング工程によって形成される。このボンディング工程では、まず、キャピラリに挿通されたワイヤ24の一方の端部を第2のリード23に接合するファーストボンディング工程を行う。次に、キャピラリに挿通されたワイヤ24の他方の端部を電極パッド21aに接合するセカンドボンディング工程を行うことにより、第2のリード23と電極パッド21aとを導通させるワイヤ24が形成される。
【0017】
内側モールド体25は、発光素子11から出射される光を透過可能なエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂によって形成されている。この内側モールド体25は、x方向に対して直角な入射面25a、および、入射面25aのy方向における連結部32に近い側の端部と繋がる階段部25bを有している。階段部25bは、その上面が、y方向において連結部に近づくにつれて段階的にx方向において第1および第2のリード22,23に近づくように形成されている。また、この階段部25bは、x方向視においてワイヤ24と重なる位置に設けられており、ワイヤ24を好ましく保護している。
【0018】
遮光部33は、連結部32からy方向において検出用空間31側に突出し、入射面25のy方向における連結部32に近い側の端部に接するように形成されている。この遮光部33は、階段部25bを覆っており、階段部25bから受光素子21に光が入るのを防いでいる。また、遮光部33の発光モジュール1と対向する面はテーパ面33aとなっている。テーパ面33aは、y方向において連結部32に近い部分ほど、x方向における第1および第2のリード22,23との間隔が、大きくなるように形成されている。
【0019】
次に、フォトインタラプタA1の作用について説明する。
【0020】
本実施形態によれば、遮光部33により受光モジュール2に入射する光を制限することが可能であり、検出精度を高めることが可能である。さらに、遮光部33は、階段部25bと重なるように形成されているため、外側モールド体3の受光モジュール2を覆う部分のx方向における厚みtに遮光部33の厚みは影響しない。このため、フォトインタラプタA1では、厚みtを小さくすることが可能となっており、全体としてもx方向における薄型化を図ることが可能となっている。
【0021】
さらに、本実施形態によれば、遮光部33は、テーパ面33aにより全体として厚く形成されており、損傷しにくくなっている。このためフォトインタラプタA1は故障が生じにくくなっている。
【0022】
さらに、本実施形態によれば、ワイヤ24の電極パッド21aとの接合部が、x方向において薄くなるように形成されており、厚みtをより小さくすることが可能となっている。このため、フォトインタラプタA1をより薄型化することが可能となっている。
【0023】
図3は、本発明に係るフォトインタラプタの第2の実施形態を断面図で示している。このフォトインタラプタA2では、階段部25bの代わりに傾斜面25cが形成されており、その他の構成はフォトインタラプタA1と同様の構成になっている。
【0024】
このようなフォトインタラプタA2においても、厚みtに遮光部33が影響を与えないため、薄型化を図ることが可能となっている。
【0025】
本発明にかかるフォトインタラプタは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明にかかるフォトインタラプタの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。たとえば、ワイヤ14をワイヤ24と同様にリード13側にファーストボンディング工程を行って形成しても構わない。この場合、外側モールド体3の発光モジュール1を覆う部分のx方向における厚さが薄くなることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかるフォトインタラプタの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示すフォトインタラプタの一部平面図である。
【図3】本発明にかかるフォトインタラプタの第2の実施形態を示す断面図である。
【図4】従来のフォトインタラプタの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
A1,A2 フォトインタラプタ
S 物体
x (第1の)方向
y (第2の)方向
1 発光モジュール
2 受光モジュール
3 外側モールド体
11 発光素子
12,13 リード
14 ワイヤ
15 内側モールド体
21 受光素子
22 第1のリード
23 第2のリード
24 ワイヤ
25 内側モールド体
25a 入射面
25b 階段部
25c 傾斜面
31 検出用空間
32 連結部
33 遮光部
33a テーパ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向において検出用空間を挟んで互いに離間する発光モジュールおよび受光モジュールと、
上記発光モジュールから出射される検出光が上記受光モジュールに到達するように上記発光モジュールおよび上記受光モジュールを覆い保持し、上記第1の方向に対して直角である第2の方向において上記検出用空間を迂回する連結部を有し、不透明樹脂からなる外側モールド体と、
を備えており、
上記受光モジュールが、上記第2の方向において互いに離間する第1と第2のリードと、上記第1のリードに搭載されており、表面に電極パッドを有する受光素子と、上記電極パッドと上記第2のリードとを導通させるワイヤと、上記受光素子と上記ワイヤとを覆い、上記外側モールド体から露出する入射面を有する透明な内側モールド体と、を具備しているフォトインタラプタであって、
上記外側モールド体は、上記内側モールド体の上記入射面に繋がる部分を覆うように形成された遮光部を有しており、
上記遮光部は、上記第1の方向視において上記ワイヤと重なるように形成されており、かつ、上記内側モールド体と接する面が、上記第2の方向において上記連結部に近い部分ほど、上記第1の方向における上記第2のリードとの間隔が小さくなる部分を有することを特徴とする、フォトインタラプタ。
【請求項2】
上記遮光部の上記発光モジュールと対向する面が、上記第2の方向において上記連結部に近い部分ほど、上記第1の方向における上記第2のリードとの間隔が、大きくなるように形成されている、請求項1に記載のフォトインタラプタ。
【請求項3】
上記ワイヤは、キャピラリに挿通された上記ワイヤの一端を接合するファーストボンディングを上記第2のリードに対して行い、上記電極パッドに対してセカンドボンディングを行うことにより形成されている、請求項1または2に記載のフォトインタラプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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