説明

フォトレジスト付着防止テープ

【課題】プリント配線基板製造における両面にフォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する工程において、フォトレジストを塗工した基板を静置する支持板の表面に貼付することにより、フォトレジストが前記支持板の表面に付着するのを防止するためのフォトレジスト付着防止テープを提供する。
【解決手段】プリント配線基板製造における両面にフォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する工程において、前記フォトレジストを塗工した基板を静置する支持板の表面に貼付することにより、フォトレジストが前記支持板の表面に付着するのを防止するためのフォトレジスト付着防止テープであって、樹脂からなる基材層と、前記基材層の一方の表面に形成された離型層と、前記基材層の他方の表面に形成された架橋アクリル粘着剤からなる粘着剤層とを有し、前記基材層の厚さが100〜250μm、前記粘着剤層の厚さが20〜50μmであり、かつ、JIS Z 0237に準ずる方法により測定される試験板に対する180度引きはがし粘着力が0.1〜0.5N/25mmであるフォトレジスト付着防止テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板製造における両面にフォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する工程において、フォトレジストを塗工した基板を静置する支持板の表面に貼付することにより、フォトレジストが前記支持板の表面に付着するのを防止するためのフォトレジスト付着防止テープに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のプリント配線基板の製造方法では、基板の表面に液状ソルダーレジスト等のフォトレジストを塗工した後、フォトマスクを介して該フォトレジストに紫外線等の高エネルギー線を露光する工程が行われる。露光の際、フォトマスクをフォトレジストに密着して用いることから、汚れや損傷等から保護する目的で、フォトマスクの表面にフォトマスク保護用粘着テープを貼付することが行われている。しかし、液状ソルダーレジストは機能性発現のために粘着性を有するタイプが多いことから、フォトマスク保護用粘着テープの表面にフォトレジストが付着して、露光後にレジストからフォトマスクを剥離しにくくなるという問題点があった。
【0003】
これに対して特許文献1には、プラスチックフィルムの一方の面に電離放射線硬化型樹脂組成物及びイソシアネートプレポリマーから形成されてなる表面保護膜を有し、もう一方の面に粘着層を有する表面保護フィルムが記載されている。特許文献1に記載された表面保護フィルムは、フォトレジストに対する高い離型性が持続するとされている。
【0004】
一方、近年のプリント配線基板の高精度化と作業効率性の向上の観点から、基板の両面にフォトレジストを塗工したうえで、片面ずつ露光を行う工程を有するプリント配線基板の製造方法が提案されている。この工程では、通常、フォトレジストを塗工した基板を適当な支持板上に静置して露光を行う。このような支持板は、通常、SUS等の金属からなる。このとき、露光する側では、フォトマスクの表面にフォトマスク保護用粘着テープを貼付することにより汚染を防止できるとしても、支持板側ではフォトレジストを塗工した基板が直接支持板に触れてしまう。このため、支持板にフォトレジストが付着したり、付着することにより必要なフォトレジストが剥れてしまったりするという問題があった。
【0005】
これに対して、支持板上にテフロン(登録商標)加工を施す等の対策が採られている。しかしながら、テフロン(登録商標)加工は、加工直後にはフォトレジストの付着防止に有効であるものの、繰り返し使用によりテフロン(登録商標)加工が剥がれてしまい、付着防止効果が低下してしまうことがある。また、テフロン(登録商標)加工は非常に高価であり、再加工にも時間がかかるという問題もある。従って、簡単に施工でき、かつ、フォトレジスト付着防止効果が長続きする方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−181564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑み、プリント配線基板製造における両面にフォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する工程において、フォトレジストを塗工した基板を静置する支持板の表面に貼付することにより、フォトレジストが前記支持板の表面に付着するのを防止するためのフォトレジスト付着防止テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、プリント配線基板製造における両面にフォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する工程において、前記フォトレジストを塗工した基板を静置する支持板の表面に貼付することにより、フォトレジストが前記支持板の表面に付着するのを防止するためのフォトレジスト付着防止テープであって、樹脂からなる基材層と、前記基材層の一方の表面に形成された離型層と、前記基材層の他方の表面に形成された架橋アクリル粘着剤からなる粘着剤層とを有し、前記基材層の厚さが100〜250μm、前記粘着剤層の厚さが20〜50μmであり、かつ、JIS Z 0237に準ずる方法により測定される試験板に対する180度引きはがし粘着力が0.1〜0.5N/25mmであるフォトレジスト付着防止テープである。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明者は、鋭意検討の結果、基材層、離型層及び粘着剤層を有する粘着テープにおいて、基材層の厚さを特定の範囲に調整するとともに、粘着剤層の粘着力を特定の範囲に調整することにより、支持板への貼着や貼り直しが極めて容易であり、かつ、フォトレジストが支持板の表面に付着するのを有効に防止できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明のフォトレジスト付着防止テープは、樹脂からなる基材層と、上記基材層の一方の表面に形成された離型層と、上記基材層の他方の表面に形成された架橋アクリル粘着剤からなる粘着剤層とを有する。
【0011】
上記基材層を構成する樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリイミド、アクリル等が挙げられる。なかでも、機械的強度、寸法安定性に優れていることから、二軸延伸されたPETフィルムが好適である。
【0012】
上記基材層は、上記離型層及び上記粘着剤層との密着性を向上させる目的で、表面処理が施されてもよい。
上記表面処理は、例えば、コロナ処理、プラズマ処理等の放電処理や、アルカリによるケン化処理や、プライマー層の塗布等が挙げられる。
【0013】
上記基材層は、着色されていてもよい。上記基材層が着色されることにより、フォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する際に、基板からはみ出したフォトレジスト付着防止テープに高エネルギー線が照射されてしまっても、その反射光がフォトマスクでマスキングした部分に当たってしまうのを防止することができる。
上記着色の色は特に限定されないが、例えば黒色等の400nm以下の光を吸収できる色が好ましい。
上記基材層を着色する方法は特に限定されず、例えば、上記基材層を作製する顔料を混錬する方法や、上記基材層の表面に塗料を印刷する方法等が挙げられる。
【0014】
上記基材層の厚さの下限は100μm、上限は250μmである。上記基材層の厚さが100μm未満であると、本発明のフォトレジスト付着防止テープの強度が低くなり取扱いにくくなり、支持板へ貼付する際にシワができやすくなる。また、250μmを超えると、柔軟性が低くなり取り扱いにくくなる。上記基材層の厚さの好ましい下限は125μm、好ましい上限は188μmである。
【0015】
上記離型層は、本発明のフォトレジスト付着防止テープに、フォトレジストが付着するのを防止する機能を付与する役割を有する。
上記離型層は、フッ素系、シリコーン系等の離型効果のある化合物からなるものであれば特に限定されないが、コスト等の観点からシリコーン系化合物からなることが好ましい。
上記シリコーン系化合物からなる離型層は、例えば、付加反応型、縮合重合型のシリコーン系化合物からなる離型層が挙げられる。なかでも、イソシアネートシランと末端に水酸基を持つシロキサンとを含有する混合物を硬化させた硬化物からなる離型層が好適である。
【0016】
上記イソシアネートシランと末端に水酸基を持つシロキサンとを含有する混合物を硬化させた硬化物からなる離型層は、上記基材層との密着性に優れ、フォトレジストが付着しにくく、付着した場合にでも容易に剥離することができる。また、このフォトレジストに対する離型性は、繰り返し使用した場合にでも長期間維持することができる。更に、上記離型層にフォトレジストが付着してしまった場合にでも、アルコール等の溶剤で容易に拭き取ることができる。
【0017】
上記イソシアネートシランは特に限定されないが、例えば、メチルトリイソシアネートシラン、テトライソシアネートシラン等の3官能又は4官能のイソシアナネートシランが反応性の観点から好適である。これらのイソシアネートシランは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記末端に水酸基をもつシロキサンは、例えば、シラノール変性されたジメチルポリシロキサン、カルビノール変性されたジメチルポリシロキサン等が挙げられる。なかでも、イソシアネートとの架橋反応性に優れることから、水酸基を2個有するジオールタイプのシロキサンが好適である。
【0018】
上記離型層は、表面にエンボス加工が施されていてもよい。上記離型層の表面にエンボス加工が施されることにより、真空引きしてフォトレジストを塗工した基板を支持板に密着させる際に、空気の抜け道が確保され、短時間で規定の真空度に到達することができる。
上記エンボスの形状は特に限定されない。
上記エンボスの高さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は10μmである。上記エンボスの高さが0.05μm未満であると、充分な空気の抜け道を確保できないことがあり、10μmを超えると、エンボスの形状が未硬化のフォトレジストに転写されてしまうことがある。上記エンボスの高さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は5μmである。
【0019】
上記離型層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.005μm、好ましい上限は0.5μmである。上記離型層の厚さが0.005μm未満であると、充分な離型性が確保できなかったり、繰り返し耐久性が低下することがあり、0.5μmを超えると、離型層が脱落し易くなり、繰り返し露光において耐久性が下がったり、シリコーンの脱落により露光機を汚染したりする不具合が発生する。上記離型層の厚さのより好ましい下限は0.01μm、より好ましい上限は0.1μmである。
【0020】
上記粘着剤層は、架橋アクリル粘着剤からなる。架橋アクリル粘着剤を用いることにより、支持板に対する高い粘着性を発揮できる。また、架橋構造を有することにより粘着剤の凝集力が高められ、支持板からフォトレジスト付着防止テープを剥離する際にも糊残りが生じにくくなる。
上記架橋アクリル粘着剤は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと官能基含有モノマーとの共重合体からなるアクリル系ポリマーを主成分とし、架橋剤を含有する粘着剤が挙げられる。
【0021】
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ガラス転移温度が低く粘弾性の高い粘着剤が得られることから、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルが好ましく、アクリル酸−2−エチルヘキシルがより好ましい。
上記官能基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらの官能基含有モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤は、例えば、エポキシ架橋剤、脂肪族イソシアネート系架橋剤、芳香族イソシアネート系架橋剤等が挙げられる。
【0022】
上記粘着剤層は、粘着力を向上させる目的で、粘着付与樹脂を含有してもよい。
上記粘着付与樹脂は、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂に代表される天然樹脂系や、脂肪族系、芳香族系、共重合系の石油樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂系が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
上記粘着付与樹脂の配合量は特に限定されないが、粘着剤成分100重量部に対して、好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記粘着付与樹脂の配合量が5重量部未満であると、必要な粘着力が得られないことがあり、80重量部を超えると、支持板からフォトレジスト付着防止テープを剥離する際に剥がしにくかったり、糊残りが生じたりすることがある。
【0024】
上記架橋アクリル粘着剤は、ガラス転移点温度が−30℃以下であることが好ましい。上記架橋アクリル粘着剤のガラス転移点温度が−30℃を超えると、粘着剤層が硬すぎて、支持板への貼り合せ作業が困難となることがある。上記架橋アクリル粘着剤のガラス転移点温度は、−40℃以下であることがより好ましい。
【0025】
上記粘着剤層の厚さの下限は20μm、上限は50μmである。上記粘着剤層の厚さが20μm未満であると、支持基板の表面粗さに追従できず支持基板と粘着剤層の間に気泡が残る。上記粘着剤層の厚さが50μmを超えると、フォトレジスト付着防止テープが柔らかくなり過ぎて支持基板に載せ置かれた位置やフォトマスクと接する位置に対してプリント基板が位置ズレを起こすことがある。また、接着強度が強すぎて支持板から剥離できない。上記粘着剤層の厚さの好ましい下限は23μm、好ましい上限は35μmである。
【0026】
上記粘着剤層は、JIS Z 0237に準ずる方法により測定される試験板に対する180度引きはがし粘着力が0.1〜0.5N/25mmである。上記粘着剤層の180度引きはがし粘着力が0.1N/25mm未満であると、粘着力が低すぎてプリント基板が支持基板に密着させるときや開放させるときにフォトマスクと接する位置に合わせて支持基板に載せ置かれた位置からずれることがあり、0.5N/25mmを超えると、支持基板から剥がしにくくなる。特に基板サイズが大きいと非常に剥がしにくくなる。上記粘着剤層の180度引きはがし粘着力の好ましい下限は0.15N/25mm、好ましい上限は0.35N/25mmである。
プリント基板が、支持基板に密着させるときや開放させるときにフォトマスクと接する位置に合わせて支持基板に載せ置かれた位置からずれたとしても、ずれた距離がわずかであれば許容できる。ただし当然、位置ズレを起こさない方が望ましい。
【0027】
本発明のフォトレジスト付着防止テープは、上記基材層と上記離型層との間に、更に帯電防止層を有してもよい。上記帯電防止層は、フォトレジスト付着防止テープが帯電して空気中のゴミ等を引き寄せることを防止する役割を有する。
【0028】
上記帯電防止層としては、上記離型層との密着性を損なわない範囲で選択すればよいが、例えば、第4級アンモニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性帯電防止剤や、スルホン酸塩基、硝酸エステル塩基、リン酸エステル塩基等のアニオン性帯電防止剤や、アミノ酸系の両性帯電防止剤や、グリセリン系、ポリエチレングリコール系のノニオン性帯電防止剤等を含有する樹脂からなる帯電防止層等が挙げられる。
これらの帯電防止剤は、上記基材層中に配合してもよい。
また、導電性微粒子を分散させた樹脂からなる帯電防止層も用いることができる。この場合、導電性微粒子の粒子径を調節して基材層から突起させることにより、エンボス加工と同様な効果を得ることもできる。
【0029】
本発明のフォトレジスト付着防止テープは、上記粘着剤層の外側に、上記粘着剤層を保護し、取扱いやすくするために、保護層を有していてもよい。上記保護層は、本発明のフォトレジスト付着防止テープを支持板に貼付する前に剥離する。
上記保護層は特に限定されず、例えば、シリコーン系離型層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
【0030】
本発明のフォトレジスト付着防止テープは、全面にわたって厚さ方向に貫通する通気穴が形成されていることが好ましい。
露光装置の支持板には、真空密着時に確実にプリント基板を支持板に固定できるように、貫通する通気穴が設けられている。本発明のフォトレジスト付着防止テープが貫通する通気穴を有することにより、真空密着時に確実にプリント基板を支持板に固定することができる。
なお、上記通気穴は、本発明のフォトレジスト付着防止テープを支持板に貼付した後に、離型層側から設けることが好ましい。このようにすることにより、通気穴形成時にバリが発生するのを防止することができる。
【0031】
本発明のフォトレジスト付着防止テープを製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記基材の一方の面に粘着剤層を形成した後、他方の面に上記離型層を形成する方法が挙げられる。
上記粘着剤層を形成する方法は特に限定されず、例えば、グラビア等のロールコーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて上記基材層の一方の面に直接粘着剤を塗工し乾燥する方法や、一旦離型紙上に同様の方法で粘着剤層を設けた後、上記基材層上に転写する方法等が挙げられる。
上記離型層を形成する方法は特に限定されず、例えば、上記イソシアネートシランと末端に水酸基を持つシロキサンとを含有する混合物を適当な溶剤で希釈した塗工液を、グラビア等のロールコーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて上記基材層の他方の面に直接塗工し、乾燥、硬化させる方法等が挙げられる。
【0032】
本発明のフォトレジスト付着防止テープは、プリント配線基板製造における両面にフォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する工程において、支持板の表面に貼付するものである。本発明のフォトレジスト付着防止テープを支持板に貼付することにより、フォトレジストが支持板の表面に付着し、基板からフォトレジストが脱落してしまうのを防止することができる。また、本発明のフォトレジスト付着防止テープは、繰り返し使用しても、フォトレジストに対する剥離性が低下しにくい。更に、本発明のフォトレジスト付着防止テープは、支持板に対する貼付が容易であり、糊残り等を発生することなく貼り直しを行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、プリント配線基板製造における両面にフォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する工程において、フォトレジストを塗工した基板を静置する支持板の表面に貼付することにより、フォトレジストが前記支持板の表面に付着するのを防止するためのフォトレジスト付着防止テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0035】
(粘着剤Aの調製)
2−エチルヘキシルアクリレート90.1重量部、ブチルアクリレート9重量部、アクリル酸0.2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を酢酸エチル300重量部に溶解し、窒素雰囲気下、80℃にて加熱して共重合を行い、カルボン酸基と水酸基とを有する分子量40万のアクリル共重合体を得た。得られたアクリル共重合体100重量部に対して架橋剤(綜研化学社製、L−45)を5重量部加えた後、固形分濃度が25重量%となるようにトルエンで希釈して、粘着剤Aの溶液を得た。
【0036】
(粘着剤Bの調製)
ブチルアクリレート60重量部、エチルアクリレート39.1重量部、アクリル酸0.2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を酢酸エチル300重量部に溶解し、窒素雰囲気下、80℃にて加熱して共重合を行い、カルボン酸基と水酸基とを有する分子量40万のアクリル共重合体を得た。得られたアクリル共重合体100重量部に対して架橋剤(綜研化学社製、L−45)を5重量部加えた後、固形分濃度が25重量%となるようにトルエンで希釈して、粘着剤Bの溶液を得た。
【0037】
(粘着剤Cの調製)
2−エチルヘキシルアクリレート99.1重量部、アクリル酸0.2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を酢酸エチル300重量部に溶解し、窒素雰囲気下、80℃にて加熱して共重合を行い、カルボン酸基と水酸基とを有する分子量40万のアクリル共重合体を得た。得られたアクリル共重合体100重量部に対して架橋剤(綜研化学社製、L−45)を5重量部加えた後、固形分濃度が25重量%となるようにトルエンで希釈して、粘着剤Cの溶液を得た。
【0038】
(実施例1)
(1)粘着剤層の形成
ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン離型剤層を設けた厚さ25μmの離型フィルム(リンテック社製)上に、粘着剤Aの溶液を、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗工した後、120℃で180秒間乾燥して粘着剤層を形成した。
【0039】
一方、基材層として、一方の面に和光純薬工業社製「ぬれ張力試験用混合液No48.0」のはじきがない程度にコロナ処理が施された、厚さ100μmの2軸延伸した透明PETフィルム(三菱樹脂社製T100G)を準備した。
上記基材層のコロナ処理が施されていない方の面に、上記粘着剤層が形成された離型フィルムを、粘着剤層が基材層側になるようにして積層した。
【0040】
(2)離型層の形成
メチルトリイソシアネート(松本製薬社製、SI−310)80重量部とジオールシロキサン(信越化学社製、KF−9701)20重量部の混合物を、固形分濃度が2重量%となるように酢酸エチルで希釈して、離型層用塗工液を調製した。
【0041】
粘着剤層が積層された基材層のコロナ処理が施された側の面に、離型層用塗工液を、乾燥後の厚さが0.1μmとなるように塗工した後、110℃で120秒間乾燥、硬化して、離型層を形成した。
【0042】
得られたフォトレジスト付着防止テープをSUSからなる支持板にローラーを用いて貼り付けた後、支持板上に形成された貫通穴と同じ位置に、離型層側からフォトレジスト付着防止テープに厚さ方向に貫通する通気穴を設けた。
【0043】
(実施例2〜9、比較例1〜8)
粘着剤層の種類や厚さ、基材層の厚さを表1に示したようにした以外は実施例1と同様にして、フォトレジスト付着防止テープを得た。
ただし、実施例7についてのみ、貫通する通気穴を設けなかった。
【0044】
(評価)
実施例及び比較例で得られたフォトレジスト付着防止テープについて以下の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0045】
(1)180度引きはがし粘着力の測定
JIS Z 0237に準ずる方法により、試験板をSUSプレート、剥離速度を300mm/Nに設定して、180度引きはがし粘着力を測定した。
【0046】
(2)貼付作業のしやすさ
フォトレジスト付着防止テープを50cm×50cmの大きさに切断し、ローラーを用いて30cm角のSUSプレートに貼付した。このとき、目視にて気泡の巻き込みや、シワの発生を観察した。気泡巻き込みがなく、シワも発生することなく貼付できたものを「○」、気泡巻き込みやシワが発生してしまったものを「×」と評価した。
【0047】
(3)剥離作業のしやすさ
上記貼付作業性の評価においてSUSプレートにフォトレジスト付着防止テープを貼付した24時間後に、フォトレジスト付着防止テープを剥離した。糊残りなく剥がせたものを「○」、糊残りが発生したものを「×」と評価した。
【0048】
(4)位置ズレの有無
SUSからなる支持板に貼り合わせたフォトレジスト付着防止テープ上の基板を真空密着にて固定する際に、支持基板に吸い寄せられた基板が位置ズレを起こした場合を「×」、位置ズレを起こさなかった場合を「○」と評価した。
【0049】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、プリント配線基板製造における両面にフォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する工程において、フォトレジストを塗工した基板を静置する支持板の表面に貼付することにより、フォトレジストが前記支持板の表面に付着するのを防止するためのフォトレジスト付着防止テープを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線基板製造における両面にフォトレジストを塗工した基板に高エネルギー線を露光する工程において、前記フォトレジストを塗工した基板を静置する支持板の表面に貼付することにより、フォトレジストが前記支持板の表面に付着するのを防止するためのフォトレジスト付着防止テープであって、
樹脂からなる基材層と、前記基材層の一方の表面に形成された離型層と、前記基材層の他方の表面に形成された架橋アクリル粘着剤からなる粘着剤層とを有し、
前記基材層の厚さが100〜250μm、前記粘着剤層の厚さが20〜50μmであり、かつ、JIS Z 0237に準ずる方法により測定される試験板に対する180度引きはがし粘着力が0.1〜0.5N/25mmである
ことを特徴とするフォトレジスト付着防止テープ。
【請求項2】
全面にわたって厚さ方向に貫通する通気穴が形成されていることを特徴とする請求項1記載のフォトレジスト付着防止テープ。

【公開番号】特開2011−153226(P2011−153226A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15703(P2010−15703)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】