説明

フットケア練習装置及びフットケア練習方法

【課題】現実の人体を使用しないで、フットケア技術の向上に資するフットケア練習装置及びフットケア練習方法を提供すること。
【解決手段】足背面10と、足底面20と、踵面30とで形成された足本体模型40と複数の足趾模型50等とを備えた足模型に、病変部を有する着脱可能な部分を備えた構造とし、当該着脱可能な部分70等を交換しながら繰り返しフットケア練習を行うことができるようにする。病変部は、病変爪、ウオノメ、タコ又は白癬等である。さらに、足本体模型40の角度や方向を自由に設定して、実際に近い状態で練習しフットケア技術を効率よく習得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フットケアの練習に用いるフットケア練習装置及びフットケア練習方法に関する。さらに詳しくは、現実の人体を使用しないで、フットケア技術の向上に資するフットケア練習装置及びフットケア練習方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
最近は、糖尿病の患者が増加している。糖尿病患者は、糖尿病性神経障害などの合併症になりやすく、通常人が感じる「痛い」「かゆい」「熱い」などの異常を察知できない。異常を察知できないため、例えば巻き爪、陥入爪でも気付かず歩き続け、炎症や化膿をひどくしてしまう場合がある。
【0003】
そこで、このような爪を切る必要がある。しかし、巻き爪は自分で切るのが難しく、放っておくと化膿したり、靴に当たったりして痛みが出たりする。巻き爪の治療方法としては、爪の両側をきれいにした後、爪に合わせて加工したワイヤーを爪溝から掛け、別のワイヤーで引っ張る「VHOシュパンゲ法(ドイツの技術)」、爪の表面に、まっすぐになる形状を記憶した合金のプレートを貼る「形状記憶合金のプレート法」、伸ばした爪の先に穴をあけ弾力のあるワイヤーを掛ける「超弾性ワイヤー法」などがある。
【0004】
また、深爪をすると爪の角が当たって痛いので、その痛みから逃れようと、さらに爪を深く切りすぎて、深爪を進めてしまうことがある。自分では上手に深く爪を切ったつもりでも、多くの場合、爪のヘリが切り残されて、この部分が伸びるにつれて槍の先のようになって、皮膚に突き刺さり、傷を作ってしまうことがある。これが繰り返されると、糖尿病の患者では、その傷から細菌感染を起して、壊疽にまで悪化して足を切断することもある(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、糖尿病の患者は、白癬、ウオノメ(鶏眼)、タコ(胼胝、胼胝腫)にも注意が必要である。ここで、白癬とは「皮膚糸状菌」という真菌(かびの一種)の感染により起こるものである。ウオノメとは、同じ部位に圧迫や摩擦が繰り返し加わっていると点状角化ができ、次第に角質肥厚が豆粒大に増大したものである。角質の肥厚は境界明瞭な硬い角栓を形成し、真皮内へ円錐状に成長・突出する。そのため、圧迫されると強い痛みを感じる。角栓内には血管はないが、境界外にある血管が損傷されて角質層の下に出血することがあり、この状態で不潔なまま放置しておくと細菌感染が起きやすくなる(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
また、タコは、足の場合は足底の踵部・外縁部・中足骨骨頭部が、靴などで圧迫や摩擦を受けて起こった角質肥厚である。タコの場合は、圧迫による痛みは比較的軽く、角板には血管はないが、角質層の下に出血を起すことがある。治療には看護師がコーンカッターまたはメスで表面から慎重に削り取るが、危険を伴うので練習が必要である。
【0007】
そこで、足の爪や皮膚を手入するための方法であるフットケアの専門医院等で治療することが望ましい。しかし、上記のように細心の注意を要するので、練習により習熟する必要がある。つまり、ケア技術を習得した者により行なわれることが望ましい。
【0008】
従来の技術としては、フットケア装置において、人の手を煩わせることなく足の裏を効果的に洗浄できる提案(例えば、特許文献1参照)、使用者の足から皮膚を除去するための装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、フットケア練習装置及びフットケア練習方法に関するものは見当たらない。
【非特許文献1】杉田和枝共著「ナースがおこなう糖尿病フットケア」南江堂 2006年3月 4p ジャムセア共済株式会社発行
【特許文献1】特開2000−93343号公報
【特許文献2】特開2007−21169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のフットケア技術の習得は、フットケアを行なっている施設での実際のフットケアの見学や、練習生同士がお互いの足を用いて交互にフットケアを体験する練習により行なわれてきた。そのため、上記の巻き爪、陥入爪、深爪等でフットケア技術を習得する機会が殆どなく、正常モデルに対するフットケア技術は向上しても、本当にフットケアが求められる巻き爪、陥入爪、深爪等に対するフットケア技術の向上は困難である。また、白癬、ウオノメ、タコについても練習が必要である。さらに、被験者モデルの足の状態が異なるので、同じ水準での指導も困難であり、繰り返し練習ができない等の課題があった。さらに、被験者モデルの足を実際に使用する練習のため、専用の寝台・椅子を配置するスペースが必要である。一方で、実際の人体では標本が不足である、という問題があった。
【0010】
本発明は、これらの問題を解決し、現実の人体を使用しないで、フットケア技術の向上に資するフットケア練習装置及びフットケア練習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記記載の課題を解決するため、人工のヒト足モデルを作製し、該足モデルを用いて、フットケア技術の練習・習得を容易にするための構造に関し鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
【0012】
(1)少なくとも一つの足趾模型と、前記足趾模型が着脱可能である擬似足本体模型と、前記擬似足本体模型又は前記足趾模型に、着脱可能な皮膚の病変模型部分を有することを特徴とするフットケア練習装置。
【0013】
(1)に記載のフットケア練習装置は、少なくとも一つの足趾模型が、擬似足本体模型に着脱可能であることを特徴とするものであり、擬似足本体模型は足の形状を模した模型に限定されるものではなく、例えば、単純な直方体形状のものであってもよい。病変爪のフットケア練習では、病変爪模型が取り付けられている足趾模型が固定されていれば良く、必ずしも足形状を模した本体模型である必要はないからである。
【0014】
皮膚の病変模型部分についても同様に考えることができ、病変模型部分の取り付けが、足の形状を模した模型に限定されるものではなく、擬似的な足本体の模型であっても良い。
【0015】
(2) 足背面と、足底面と、踵面とで形成された足本体模型と、複数の足趾模型とを備え、少なくとも一つの前記足趾模型は、前記足本体模型に着脱可能であることを特徴とするフットケア練習装置。
【0016】
(2)に記載のフットケア練習装置によれば、足背面と、足底面と、踵面とで形成された足本体模型と複数の足趾模型とを備え、少なくとも一つの足趾模型は着脱可能な構造となっているので、足趾に関連する病変の練習をする際、同じ病変の足趾模型を交換しながら繰り返し練習できる。足背面と、足底面と、踵面は曲面であることがフットケアの練習をする者の印象の点で望ましいが、これに限られるものではない。このようなフットケア練習装置によれば、実際の人体の病変した足趾を使用しなくとも、フットケアの練習を行うことができる。また、多数の人に同一水準の教育を行うことができる効果がある。
【0017】
足本体模型及び足趾模型は、金型に樹脂を流し込んで作成し、材料としては、軟質塩化ビニル樹脂が望ましい。足本体模型及び足趾模型の作成は、金型に樹脂を流し込む方法が一般的であるが、これに限定されるものではない。また、使用する材料も、シリコンゴム、ウレタン樹脂等であってもよく、軟質塩化ビニル樹脂に限られるものではない。
【0018】
(3) 前記足趾模型には、さらに着脱可能な病変爪模型を備えたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のフットケア練習装置。
【0019】
(3)に記載のフットケア練習装置によれば、前記足趾模型にはさらに着脱可能な練習用の病変爪模型を備えるので、フットケア技術の中核を占める病変爪を切る練習を、爪模型部を取り替えることにより繰り返し練習することができる。
【0020】
病変爪模型には、さじ状爪、鉤彎爪、内反爪、角笛爪、陥入爪、爪棘障害、及び白癬で肥厚・硬化した爪等の模型があるが、これらの病変爪模型を備えた足趾模型を取り替えることにより、各種の病変に対応した爪切りの方法を練習することができる。
【0021】
病変爪模型の材料としては、爪切り作業をともなうことから、現実の爪に近い硬度等の物性が得られるポリエステルが望ましい。その他、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ポリエチレンテフタレート等でもよく、ポリエステルに限られるものではない。
【0022】
(4) 足背面と、足底面と、踵面とで形成された足本体模型と、複数の足趾模型とを備え、前記足本体模型又は複数の足趾模型に、着脱可能な皮膚の病変模型部分を有することを特徴とするフットケア練習装置。
【0023】
(4)に記載のフットケア練習装置によれば、足本体模型又は複数の足趾模型の一部分に、着脱可能な皮膚の病変模型部分を有するので、病変模型部分を取り替えることにより繰り返し練習することができる。練習用の皮膚の病変模型部分は、皮膚の角質肥厚化により生じるウオノメ、タコであることが望ましいが、他の病変部分であっても良い。ウオノメやタコの好発部位は足底であるが、足趾の先端部や足趾間、足の外縁部にもでき、これら対応した部位に病変模型部分を有する構造とすることで、いずれの場合にも適したフットケア練習装置とすることができる。
【0024】
(5) 前記病変模型部分が、切除可能なことを特徴とする(1)又は(4)に記載のフットケア練習装置。
【0025】
(5)記載の角質肥厚した部分のウオノメまたはタコは、フットケア練習においては、コーンカッターやメスで切除する練習をすることになる。従って、単に病変模型部分が備えられているだけでなく、切除して練習することが必要であり、切除する練習が可能な構造とすることで、実際に即したフットケアの練習ができる。
【0026】
コーンカッターやメスで切除する練習をする角質肥厚した病変模型部分は、実際に近い硬さとするため、材料としては、硬質塩化ビニル樹脂が望ましい。その他、ABS樹脂、シリコンゴム等を用いて作成してもよい。
【0027】
(6) 前記病変模型部分は、病変模型部分を囲む正常な部分を有する範囲での着脱を可能としたことを特徴とした(4)又は(5)記載のフットケア練習装置。
【0028】
(6)に記載のフットケア練習装置によれば、着脱可能な交換部分には、病変模型部分を囲む正常な部分を含んでいるので、ウオノメ又はタコの病変模型部分を切除する練習をする際、正常模型部分まで切除してしまったとしても、着脱可能な交換部分の範囲内であれば、足本体模型を傷つけることがない。従って、初心者でも安心して練習することができる。
【0029】
(7) 足背面と、足底面と、踵面とで形成された足本体模型と、複数の足趾模型とを備え、前記足本体模型及び足趾模型部に、着脱可能な趾間病変模型部分を有することを特徴とするフットケア練習装置。
【0030】
(7)に記載のフットケア練習装置によれば、足本体模型から足趾模型部に渡って着脱可能な皮膚の練習用の趾間病変模型部分を有するので、病変模型部分を取り替えることにより、繰り返し練習することができる。皮膚の趾間病変は、趾間型白癬であることが望ましいが、他の趾間病変であっても良い。
【0031】
(8) 前記擬似足本体模型又は前記足本体模型が、練習台に対し任意の角度及び方向で取り付け可能な連結部を、さらに備えたことを特徴とする(1)から(7)記載のフットケア練習装置。
【0032】
(8)に記載のフットケア練習装置によれば、足本体模型の角度及び方向を自由に設定できるので、各病変に応じて実際にフットケアする足の角度及び方向でフットケアの練習ができる。
【0033】
具体的な連結手段としては、自在アームに足本体模型を連結して練習台に固定する。その他、自在継手を介して連結してもよい。さらには、足本体模型に取り付け用の軸を備える構造として、サンドクリップで自由な位置に固定する手段でもよい。
【0034】
(9) (1)から(8)のいずれかに記載のフットケア練習装置を用いたフットケア練習方法。
【0035】
(9)に記載の発明は、上記で説明したフットケア練習装置を用いたフットケア練習を行う方法であり、病変模型部分を交換しながら繰り返し練習できるので、習熟が必要なフットケア技術を短期に習得することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、各種病変模型に対応した着脱可能な交換部分を有するフットケア練習装置により、病変模型部分を交換しながら繰り返しフットケアの練習をすることができる効果を有する。従って、限られたスペースで、多数の人が、必要とする練習をすることができるので、フットケア技術を効率よく習得することができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
<第1の実施例>
【0038】
図1は本発明によるフットケア練習装置の実施例の概観図であり、第1足趾模型が着脱可能である状態を説明している。図2は、各種の着脱可能な病変爪模型の例である。図3及び図4は、第1足趾模型での病変爪模型の脱着形態を表した図である。図5は、皮膚の病変部分を説明する図である。
【0039】
本発明に係るフットケア練習装置1を、図1(a)に示す。足本体模型40は、足背面10と、足底面20と、踵面30とで形成された足本体模型40と、着脱可能とした第1足趾模型50と、複数の足趾模型52、54、56、58と、さらに、皮膚の病変模型部分71、73、75を有する着脱可能な交換部分70、72、74とを備えている。そして、足本体模型40の角度および方向を変えて練習台100に取り付けることができるように、固定具60と自在アーム62に連結している。
【0040】
図1(a)に示したフットケア練習装置1では、図1(b)に示すように、第1足趾模型50が着脱可能で、さらに第1足趾模型50から爪模型80が着脱可能な構造となっている。このようなフットケア練習装置1では、フットケア練習として、病変爪の爪を切る練習をすることができる。足本体模型40には、目的とする病変爪模型を第1足趾模型50に取り付ける。そして、フットケア技術を身につけるため、爪きり、爪用ヤスリ、ニッパー、ゾンデ、コーンカッターおよび爪ブラシ等の道具を使用して、フットケアの練習をする。練習用の病変爪模型は、着脱可能であり、爪切りの練習終了ごとに新しい練習用の病変爪模型に交換できるため、フットケア技術を効率的に習得することができる。
【0041】
各種病変爪模型に対応した第1足趾模型50の例を図2に示す。図2において(a)はさじ状爪模型81、(b)は鉤彎爪模型82、(c)は角笛爪模型83、(d)は内反爪模型84、(e)は陥入爪模型85、(f)は爪棘障害模型86、(g)は白癬した爪模型88である。なお(f)の爪棘障害模型の図には、皮膚内部に食い込んだ部分を含めた爪模型の全体図を付している。また、(g)の白癬した爪模型の下には鱗屑を模した粉状の材料を入れてもよい。
【0042】
各種病変爪模型は、爪模型の大きさを変えて、第2足趾模型52から第5足趾模型58に取り付けることが可能である。病変が同じでも様々に変形したバリエーションの病変爪があり得るので、図2に示した具体的模型形状に限定されるものではない。
【0043】
足趾模型と爪模型を固定する構造例を、図3に示す。図3(a)は、鉤彎爪模型82の足趾模型への取り付け構造も含めた爪模型構造であり、第1足趾模型50への支持部92と位置を決める取り付け軸91が設けられている。第1足趾模型50には、鉤彎爪模型82の支持部92を嵌め込むための取り付け部43が設けられている。第1足趾模型50と鉤彎爪模型82とはほぼ平面的に接して固定する。図3(b)は、鉤彎爪模型82が第1足趾模型50に取り付けられた状態を示す断面図である。
【0044】
図4は、角笛爪模型83の第1足趾模型50への取り付け構造を示している。爪が極端な弧を描いた形状であり、位置決めの取り付け軸を設けるのは難しい。このような形状の爪模型の場合は、爪模型の形状に合わせて足趾模型表面の形状を作成し、角笛爪模型83を差し込むだけで固定できる構造とすることができる。
【0045】
各種病変爪模型の足趾模型への取り付け構造は、図3又は図4に示した構造に限定されるものではなく、病変による爪形状に適応させた取り付け構造とすることもできる。
【0046】
次に、フットケア練習装置1での皮膚の病変模型部分70について、図5で説明する。図5(a)は足底部であり、ウオノメの例である。交換部分70にはウオノメの病変模型部分71を含んでいる。交換部分70は、図5(b)に示すように、取り付け軸95に台座76およびウオノメの病変模型部分71と、病変模型部分71を囲む正常な皮膚部分を交換単位として、足本体模型40に挿入できるようになっている。取り付けは、取り付け部95を足本体模型40への取り付け穴44に差込み固定する。交換部分70の外周形状は、本実施例では楕円形としている。なお、回転することがないようにするため、多角形としてもよいし、回り止めを設けることでもよい。ウオノメ71の切除練習中に、交換部分70を回転させるような力が加わっても、交換部分70が回転することがないようにするためである。図5(c)は、ウオノメを病変模型部分71とする交換部分70が、足本体模型40に取り付けられた状態での断面図である。
【0047】
ウオノメに対するフットケアの特徴としては、ウオノメ部分を切除する練習が必要となることである。切除する練習では、病変模型部分だけでなく、当該病変模型部分周囲の正常部分まで切除してしまうこともある。このため、上述したように、交換部分70に正常部分を含み、練習中に病変模型部分71を超えた範囲の切除をした場合でも、足本体模型40には傷がつかないようにする必要がある。このため、ウオノメの病変模型部分の断面図である図5(c)に示した様に、外周囲だけでなく、深さ方向も病変模型部分を正常部分で囲むようにすることが望ましい。なお、病変模型部分を超えて切除した場合は、赤色が見えるようにして注意を促すこともできる。
【0048】
上記説明した皮膚に関わる病変の実施例では、ウオノメについて説明したが、タコでもよく、その他の切除を伴うフットケアを必要とする病変であればいずれにも適用可能である。本実施例によれば、練習中に病変模型部分を超えて切除しても本体が傷つくことはなく、交換して繰り返し練習できる。
【0049】
また、病変模型部を有する交換部分は、中足骨骨頭に一致する足底に設けることが可能であり、図5(a)に示すように、交換部分70の他に、交換部分72、74の位置であってもよい。さらに、足趾間や足趾の先端部等、実際に病変の発生可能性のある部位であればいずれの部位でもよい。
<第2の実施例>
【0050】
図6及び図7は、第2の実施例として、白癬の病変模型部分に対するフットケア練習装置2を示したものである。図6(a)は、足の底面20を示しており、踵部30及び足の外縁部における着脱可能な病変模型部分110、112を有している。実施例は、角化型の白癬を対象とした病変である。踵部30を中心に広い範囲で皮膚の角化が起こるため、交換部分は広い範囲となっている。図6(b)は、踵部30の病変模型部分110の取り付け説明図である。病変模型部分110に取り付け軸96を備え、足本体模型40の取り付け穴45に嵌め込むことができる。
【0051】
踵部30は、足底20を上向きにした状態でのフットケア練習もあり得る。足本体模型40は、図7に示したように、自在アーム62に連結しているため、角度は任意にでき、簡単に足底20を上にした状態とすることができる。このようにして、実際に即した練習が可能となる。
<第3の実施例>
【0052】
第3の実施例であるフットケア練習装置3は、図8に示したように、第5足趾模型58を着脱可能とした例である。本実施例では、第5足趾模型58について、フットケア練習装置1で説明したと同様の練習ができる。
【0053】
着脱して交換可能とする足趾模型は、第1足趾模型50または第5足趾模型58に限らず、他の足趾模型52、54、56も可能である。また、隣接する足趾模型を同時に着脱可能とする等、目的に合わせて様々な組み合わせが考えられ、実施例に限定されるものではない。これらの実施例でも、第1の実施例と同様、それぞれの足趾にあったフットケア練習が繰り返しできる。
<第4の実施例>
【0054】
第4の実施例として、趾間型白癬のフットケア練習装置4を図9に示す。趾間型白癬は、隣接する足趾間に発生する病変であり、足趾の付け根を中心とした部分に病変部が存在する。このような場合であっても、病変模型部分121、123を中心として、足本体模型及び足趾模型の一部分を着脱可能とする交換部分120、122とすることができる。図9(a)は、趾間型白癬模型121を足本体模型に実施した具体例であり、図9(b)は趾間白癬模型の交換部分120、122の着脱状態を示している。
【0055】
趾間型白癬のフットケアは、主に薬を塗布してガーゼを挟み、足趾同士が接触しないようにする。このため、趾間型白癬模型部分に薬を塗布しガーゼを挟む練習を繰り返すことになるが、いくつかの交換品を用意し、交換しながら練習する。趾間型白癬模型部分に塗布した薬は、後でまとめて除去し、再度の利用をすることもできる。このような練習方法により、繰り返しフットケアの練習ができる。
<第5の実施例>
【0056】
本発明の実施形態としては、足趾を固定しての練習あるいは皮膚病変模型を取り付けての練習は、足の形を模した形状に限られるものではなく、少なくとも一つの足趾模型が、擬似的な足本体模型に着脱可能であることを特徴とするものであり、例えば、単純な直方体形状のものに取り付けることができる。病変爪のフットケア練習では、病変爪模型が取り付けられている足趾模型が固定されていれば良く、必ずしも足形状を模した本体模型である必要はないからである。
【0057】
以上、本発明の実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることができる。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。本実施例ではプラスチックによる材料で説明したが、例えば、自然物である植物、動物より得られる材料であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のフットケア練習装置1の実施例の概観図である。
【図2】本発明のフットケア練習装置1において、着脱可能な各種病変爪模型の例である。
【図3】第1足趾模型の病変爪模型の脱着形態を表した図である。
【図4】第1足趾模型の他の病変爪模型の脱着形態を表した図である。
【図5】本発明のフットケア練習装置1の皮膚の病変模型の実施例であり、着脱可能な皮膚の角化肥厚による病変模型部を説明する図である。
【図6】本発明のフットケア練習装置2の実施例にて、着脱可能な皮膚の真菌感染により病変模型部分を説明する図である。
【図7】本発明のフットケア練習装置2の足本体模型角度変更の説明をする図である。
【図8】本発明のフットケア練習装置3の実施例にて、着脱可能な第5足趾模型を説明する図である。
【図9】本発明のフットケア練習装置4の実施例にて、着脱可能な皮膚の趾間病変模型部分の例である。
【符号の説明】
【0059】
10 足背面
20 足底面
30 踵面
40 足本体模型
41、42、43、44、45、46 取り付け穴
47 趾間型白癬交換部分取り付け部
50、52、54、56、58 足趾模型
51、59 足趾模型取り付け軸
60 足本体模型固定具
62 自在アーム
70、72、74 病変模型部分を有する交換部分
71、73、75 病変模型部分
78 台座
80 爪模型
81〜87 各種病変爪模型
91 交換爪模型取り付け軸
92 交換爪模型支持部
95、96 病変模型部分の取り付け軸
100 フットケア練習装置の固定具
110 踵部病変模型部分
112 足外縁部病変模型部分
120、122 趾間型白癬模型の交換部分
121、123 趾間型白癬模型部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの足趾模型と、
前記足趾模型が着脱可能である擬似足本体模型と、
前記擬似足本体模型又は前記足趾模型に、着脱可能な皮膚の病変模型部分を有することを特徴とするフットケア練習装置。
【請求項2】
足背面と、足底面と、踵面とで形成された足本体模型と、
複数の足趾模型と、
を備え、
すくなくとも一つの前記足趾模型は、前記足本体模型に着脱可能であることを特徴とするフットケア練習装置。
【請求項3】
前記足趾模型には、さらに着脱可能な病変爪模型を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフットケア練習装置。
【請求項4】
足背面と、足底面と、踵面とで形成された足本体模型と、
複数の足趾模型と、
を備え、
前記足本体模型又は複数の足趾模型に、着脱可能な皮膚の病変模型部分を有することを特徴とするフットケア練習装置。
【請求項5】
前記病変模型部分が、切除可能なことを特徴とする請求項1又は4に記載のフットケア練習装置。
【請求項6】
前記病変模型部分は、病変模型部分を囲む正常な部分を有する範囲での着脱を可能としたことを特徴とした請求項4又は5記載のフットケア練習装置。
【請求項7】
足背面と、足底面と、踵面とで形成された足本体模型と、
複数の足趾模型と、
を備え、
前記足本体模型及び足趾模型部に、着脱可能な趾間病変模型部分を有することを特徴とするフットケア練習装置。
【請求項8】
前記擬似足本体模型又は前記足本体模型が、練習台に対し任意の角度及び方向で取り付け可能な連結部を、さらに備えたことを特徴とする請求項1から7に記載のフットケア練習装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のフットケア練習装置を用いたフットケア練習方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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