説明

フットスイッチシステム

【課題】従来のボタン式やペダル式におけるような体重移動を伴う足の上下動を排したスムーズな操作性を実現し、さらに、様々な操作に対応するマルファンクション機能を備えるフットスイッチシステムを実現することが本発明の課題である。
【解決手段】ネットワーク1000、クリーンベンチ1001、RFIDタグを付加したフットウエア1002、RFIDリーダーを収納する筺体1003、表示ランプ1004、作業者1005、監視カメラ1006、監査用モニター装置1007、監査人1008、ホストコンピュータ1009という構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フットスイッチシステム、特に手作業への影響を最小限にするフットスイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
手作業中におけるハンズフリーのためのスイッチとして床に設けたボタンやペダルなどのフットスイッチが既に実現されているが、フットスイッチの操作には足踏み方式が採用されており、足を持ち上げることにより体重移動が発生し、体のバランスが崩れ、手作業に悪影響があり、緻密な作業には使い勝手のよいものではなかった。
【0003】
本願発明者が係る薬局業務において、コンタミネーション防止や放射性のある薬物の被爆防止の観点から、薬剤の混注作業などの緻密な作業がクリーンベンチにおいて行われているが、クリーンベンチ上にはスイッチ類を持ち込むことが出来ず、監視や監査のためのカメラ、照明、ポンプなどの操作、あるいはヘルプを呼ぶ出しのために作業の手を離すことなしに操作できるスイッチが望まれていた。混注作業は特に緻密さが要求される作業であり、上記踏み込み方式のスイッチでは不十分であった。
そこで発明者たちの鋭意研究の末、RFIDやバーコードをフットスイッチに利用する方式を発明するにいたった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
キッチンにコンピュータテクノロジーを導入するとの観点から、未来型キッチンのためRFIDを組み込んだマルチファンクションなフットスイッチで複数の操作ができる調理支援システムが提案されている。
ここでは、RFIDタグを作業者や作業者の足(右足、左足)などを識別するための機能として利用しているが、肝心のスイッチ操作そのものは従来型の踏み込みによる操作であり、スイッチ操作による手作業への影響を最小限にしようとするものではない。
【非特許文献1】 ヒューマンインタフェースシンポジウム2006 一般発表 多機能フットスイッチを利用した調理支援システム(杉野碧ほか)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RFID方式は、タグおよびリーダーを接近させることにより、通信読取が発生するため、この読取の発生をスイッチとして利用することができる。従来のボタン式やペダル式におけるような体重移動を伴う足の上下動を排したスムーズな操作性を実現するフットスイッチシステムを実現することが本発明の課題である。
【0006】
また、薬局におけるクリーンベンチに係る作業で発生する様々な操作に要求されるマルチファンクションを実現することも課題となる。
さらには、作業者や作業を特定して監視もしくは監査を実現するための各種IDを認識して記録し、高いトレーサビリティを実現することも課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、フットスイッチシステムにおいて、
フットウエアに付加されるRFIDタグと、
作業台の下部床面に固定される筺体に収納されるRFIDリーダーとから構成され、
前記筺体は開口部を有し、該開口部の内壁面に前記RFIDリーダーを固定し、前記フットウエアを履いた作業者が足を前記開口部に突っ込むことにより、前記RFIDタグとRFIDリーダーを接近させることによる読取をトリガーとして予め設定した動作を起動させることを特徴とする。RFIDタグとリーダーの近接がスイッチのオン又はオフに相当するものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシステムにおいて、前記RFIDリーダーは、ネットワーク接続していることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のシステムにおいて、
前記開口部の底面は床面であって、該開口部の横壁が床面上に固定され、前記RFIDリーダーは該開口部の天井面もしくは奥壁面に固定され、前記RFIDタグは前記フットウエア上面もしくは前面に付加されたものであって、前記作業者による足の突っ込みを床面に沿ってのすり足動作とすることにより、所定の位置で前記RFIDリーダーとRFIDタグが近接する構造となっていることを特徴とする。ここで、フットウエア上面にRFIDタグを付加した場合、天井面にRFIDリーダーを固定することで対応付け、フットウエア前面のタグの場合、奥壁面にリーダーを固定して対応付けることによりタグとリーダーの近接させるものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記開口部の内壁は、前記RFIDリーダーの読取位置に向かって上下もしくは左右にテーパー状になっており、前記突っ込みによる足を前記RFIDリーダーの読取位置の方向へガイドする構造となっていることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記RFIDタグの読取が生じた場合に、予め設定した音声発生装置の動作による音声もしくは表示装置による表示により、該読取の発生を通知するフィードバック機構を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記RFIDリーダーは、前記ネットワークを介しての通信機能を有し、前記読取が生じた場合に予め設定した通信先に読取情報を含む送信をすることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記フットウエアに付加するRFIDタグは複数であって、該フットウエアの左右側面のいずれかを選んで前記横壁に沿って前記突っ込み動作をすることにより、所望のRFIDタグが前記RFIDリーダーと近接する位置関係に前記複数RFIDタグとRFIDリーダーが固定されることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載のシステムにおいて、
前記複数のRFIDタグは、フットウエアの同一面に左右に一つずつ所定の間隔で並べたものであって、前記開口部内部は箱型形状に形成され、前記RFIDリーダーの位置は該箱型形状の横幅を二等分する中心線上に設定するものであって、前記RFIDタグをフットウエア側面より「フットウエアの横幅」から「箱型形状の横幅の半分」を差し引いた距離だけ離れた横位置に付加することにより、前記フットウエア左側面を前記左壁面に沿って突っ込み動作をしたときに右RFIDタグがRFIDリーダーに接近し、前記フットウエア右側面を前記右横壁に沿って突っ込み動作をしたときに前記左RFIDタグがRFIDリーダーに接近する位置関係に設定してあることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記RFIDタグは、予め設定したID情報を書き込んであることを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のシステムにおいて、
前記ID情報は、作業者ID、作業者の足の区別、フットウエア上の取付位置、作業IDから選ばれる少なくとも1つを含むものであることを特徴とする。
ここで作業者の足の区別とは、作業者が両足にRFIDタグ付きのフットウエアを履いた場合の左足または右足の区別である。異なる足に異なる操作対象や動作を割り当てることにより、マルチファンクションなスイッチシステムを構成するためにRFIDタグにそれらを認識するための各種IDを読み込ませるものである。
フットウエア上の取付位置とは、一つのフットウエアに複数のRFIDタグを付加した時のRFIDタグの区別であり、位置の異なるRFIDタグに操作対象や動作をマルチファンクションなスイッチシステムを実現する効果がある。
【0017】
請求項11記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記RFIDタグの読取をトリガーとする動作は、撮影・記録手段による画像監視の開始と終了に関する動作であることを特徴とする。
ここで、前記作業者IDや作業IDにより作業者や作業を特定して、撮影・記録することにより、監視もしくは監査をリモートで実現できるので人的資源の節約につながり、かつ、各種IDを認識して記録することによる高いトレーサビリティを実現する効果もある。
【0018】
請求項12記載の発明は、請求項1乃至11のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記RFIDタグをバーコードに置き換え、前記RFIDリーダーをバーコードリーダーに置き換えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、照明、ポンプ、ヘルプの呼び出し、監視カメラの動作などのオン・オフなどの制御を作業台上の手作業に悪影響を与えることなく、体重移動を伴う足の上下動を排したスムーズな操作ができるマルチファンクションなフットスイッチシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例のシステムの概略構成図
【図2】スリッパの構成図
【図3】RFIDリーダーを収納する筺体
【図4】RFIDリーダーを収納する筺体
【図5】スイッチシステムで動作する監視および監査を示したフローチャート
【図6】書き込みデータの一例
【図7】監視データのデータ構造
【図8】開口部の幅、スリッパの幅、RFIDタグ付加位置の関係
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体例につき図面を用いた実施例において説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の実施例のシステムの概略構成図である。
ネットワーク1000、クリーンベンチ1001、RFIDタグを付加したフットウエア1002、RFIDリーダーを収納する筺体1003、表示ランプ1004、作業者1005、監視カメラ1006、監査用モニター装置1007、監査人1008、ホストコンピュータ1009という構成である。
ここでRFIDタグとRFIDリーダーを利用した構成を採用しているが、本発明のスイッチとして、フットウエアに付加したバーコードと上記筺体に収納したバーコードリーダーを採用することも可能である。
【0023】
(クリーンベンチ)
1001は、薬局での混注作業等の緻密な手作業を行うクリーンベンチであり、作業者1005は立ち作業を行うものである。作業の性質上、作業台上にスイッチ類を設けることが出来ない。
そこで、ハンズフリーで操作するフットスイッチを設けるものである。
【0024】
(RFIDタグ)
1002は、上記フットスイッチを構成するフットウエアとして採用したスリッパである。図2は、スリッパの構成、仕様態様および外観を示したものである。
2001は平面図であって、スリッパ前部の上面に左右並行して左RFIDタグ2002と右RFIDタグ2003が付加されている。付加の方法は、接着による方法、スリッパ表層に収納袋を設けて格納する方法、スリッパ表布に縫い込む方法など適宜採用可能である。左右RFIDタグの位置は、後述するRFIDリーダーとの位置関係で、スリッパサイズを考慮して適当に定めるものであり、後の段落で説明する。
ここでは、スリッパを採用したが、作業の性質や作業者の嗜好等に応じて、サンダル、靴など適当なフットウエアを採用可能である。RFIDタグを2つ付加する方式を採用しているが、一つまたは3つ以上とすることも可能である。
【0025】
(RFIDリーダーと筺体)
図3は、上記2つのRFIDタグを付加する方式に応じたRFIDリーダーを収納する筺体1002の構成を示したものである。左横壁2001、右横壁2002、天井2003、天井内面に固定したRFIDリーダー2004、奥壁2005、そして開口部2006という構造であり、クリーンベンチの下部領域の適当な床面に固定される。
底面部は、床面そのものであり、作業者1004は床面に沿ってすり足で開口部2006にフットウエアを装着した足を突っ込める構造となっている。
RFIDリーダー2004は、ネットワーク1000に接続し、単独で通信する機能を有するものであって、RFIDタグの読取情報をホストコンピュータ1009に送信するように構成されている。この固定位置は、筺体の左右を分割する中心線に位置付けるものとし、フットウエアの左側面を左横壁2001に沿って突っ込み動作をすると右RFIDタグと近接し、フットウエアの右側面を右横壁2002に沿って突っ込み動作をすると左RFIDタグと近接するように筺体の横幅を設定する。
表示部1004は、筺体上の作業者から視認性のよいところに設けられたLEDランプであり、RFIDリーダーの読取を検知すると所定の点灯動作をすることにより読取を通知する通知手段である。本発明の通知手段は、LEDランプに限られるものではなく液晶による読取情報の表示、スピーカーによる音声通知やブザーなど適宜採用可能である。
【0026】
図4は、フットウエアの前面に一つのRFIDタグを付加した場合に採用する筺体1003を示した正面図と背面図である。左横壁3001、右横壁3002、天井壁3003、奥壁3004、奥壁内面に固定したRFIDリーダー3005、そして開口部3006という構造であり、クリーンベンチの下部領域の適当な床面に固定される。
左右の横壁および天井壁は、奥壁3004に向かってテーパー状に狭まるように構成されているため、作業者1005のフットウエアの突っ込み動作をガイドして、フットウエア前面のRFIDタグと奥壁内面に固定したRFIDリーダー3005と近接させる効果がある。
図3や図4に示した横壁のガイド効果により、作業者1005はRFIDリーダーの位置を意識することなく、すり足動作で横壁面にそって突っ込んでいくだけで自然にRFIDタグの読取を行わせることが出来るので、スイッチ操作に意識を煩わされることなく、手作業に集中しながら所望の機器等の制御を命令することができる。
ここでは、2つのRFIDタグを付加したフットウエアと図3に示す筺体の実施構成を採用するものとして、以下の説明を続ける。
【0027】
(監視カメラ)
監視カメラ1006は、ネットワーク1000に接続したWEBカメラである。RFIDリーダーからの読取情報を受信し、その分析・解析結果に応じてコマンドを送信するホストコンピュータ1009に制御されるものである。
【0028】
webカメラは、ホストコンピュータ1009の管理の下、上記クリーンベンチ上の作業領域を撮影するように撮影パラメータが調整されており、撮影した画像はネットワーク1000経由で特に図示しないデータベースに記録されるように構成されている。
【0029】
(監査)
監査用モニター1007は、ネットワークを介して上記WEBカメラの画像を映し出すように構成されている。監査人1008は、作業者1005のフットスイッチ操作に応じての通知に応じて、画像によるリモート監査をおこなう。
ここで監査人への通知は、ホストコンピュータ1009から監査人への通知メールの送信による。メールは、予め決められたフォーマットの文面で、予め登録した監査人アドレスへ、RFIDリーダーからの読取情報の分析・解析による認識に応じて、自動送信されるものである。
ここで通知の方法は上記メールに限られるものではなく、監査人の待機室に設けたスピーカー等をホストコンピュータが制御して所定の通知メッセージを発声するものであってもよい。
このようにして、作業のために常に作業者と監査人と2人を作業場に配置することによる人員的負担を、リモート監視に置き換えて、軽減させる効果がある。
【0030】
(全体の動作の流れ)
図5は、実施例に係るスイッチシステムで動作する監視および監査を示したフローチャートである。
5001は、作業準備ステップである。ここでは、左RFIDタグを作業開始、右を作業終了として設定する。
RFIDタグに対して、特に図示しないRFIDライターによって所定のID情報を書き込むものであるが、図6はその書き込みデータの一例である。書き込み年月日6001、書き込み時刻6002、作業ID6003、作業者ID6004、足区別6005、そして取付位置6006というデータ構造を採用する。
ここで、足区別6005は作業者の右足と左足の区別であり、取付位置6006は、フットウエアの右への付加か左への付加かの区別である。足区別と取付位置の組み合わせ毎に動作コマンドを割り付けてあり、その割り付けはホストコンピュータが参照可能な特に図示しない参照テーブルに格納されている。
以下の説明では、右足のフットウエア左に付加されたRFIDタグは、監視動作開始コマンドに、右足のフットウエア右に付加されたRFIDタグは監視動作終了コマンドに割り付けたものとしている。
【0031】
5002は、作業開始ステップである。作業者は、筺体の右横壁に沿って、右足を床面に沿ってすり足で筺体開口部に突っ込む。この突っ込み動作により右横壁にガイドされて、スムーズに左RFIDタグとRFIDリーダーとを接近させて、近距離無線によるフットスイッチを作動させることができる。
ここでの作動は、RFIDタグに格納されたID情報のホストコンピュータの送信であり、ホストコンピュータは予め用意しておいた足区別6005および取付位置6006と動作コマンドとの対応を示す上記参照テーブルを参照し、作業者が意図する指示を認識することができる。
【0032】
5003は、監視・監査ステップである。
上記右足のフットウエア左に付加されたRFIDタグのID情報の送信を受けたホストコンピュータは、監視開始コマンドを動作対象のWEBカメラへ送信すると同時に、監査人の登録アドレスへ、作業開始を通知するメールを送信する。
作業の開始を監査人に通知することができるので、作業に際して、その現場に2名を配置する必要がなくなるので、リモート監査が実現され、人的資源の節約にも貢献する。
【0033】
5004は、作業終了ステップである。作業を終えた作業者は、終了を通知するため、左横壁にそって右足を筺体開口部に突っ込む。左横壁にガイドされて、フットウエア右に付加されたRFIDタグとRFIDリーダーとが接近し、右RFIDリーダーに格納されたID情報がホストコンピュータに送信される。ホストコンピュータは上述の参照テーブル参照し、作業者の作業終了意図を認識し、WEBカメラに対して撮影終了コマンドを送出する。
この時のWEBカメラによる撮影画像は、ホストコンピュータの動作により、作業ID、作業者ID、そして撮影の開始時刻又は終了時刻など撮影に係る時刻と関連付けた監視データとして、前述の特に図示しないデータベースに格納される。
図7は監視データのデータ構造を示したものである。監視データは、作業終了後のトレーサビリティの必要に応じて、データ項目として記録された作業IDや作業者IDあるいは撮影に係る時刻をキーに検索することが出来るので、高度なトレーサビリティを実現する効果がある。
【0034】
ここでは右足のフットウエアの左に付加したRFIDタグに作業開始を、右足のフットウエアに右RFIDタグに作業終了を対応づけるものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、左足のフットウエアの左右に付加したRFIDタグに作業開始と作業終了を対応づけるなど、左右の足のそれぞれの位置のRFIDに適宜割り当て可能である。
また、ここでは、4つのRFIDタグがあるので、作業開始と終了の通知だけでなく、照明装置のオンとオフ、調剤に使うポンプのオン・オフ、あるいは補助作業員等を呼ぶ場合のヘルプコールの送信などに割り当てて、クリーンベンチにおける手作業を中断することなく所望の動作を命令出来るマルチファンクションなスイッチシステムの構成を実現することが可能である。
【0035】
(すり足動作)
ここですり足動作による突っ込み動作の原理について、説明する。
クリーンベンチのような作業台における作業の基本は立ち作業であるが、立ち作業中のハンズフリーのため従来型フットスイッチは、踏み込み動作を必要とするものであって、足を持ち上げるため大きな体重移動があって、手作業に悪影響を与え、フットスイッチであっても微妙な作業に際しては作業中断する必要があった。
この点、本発明の方式では、一方の足を床面に接したまま開口部へ滑り込ませればよいため、体重の上下動が極めて少なく、手作業への影響が非常に少ない。そのため、微妙な作業中においても、操作が可能なスイッチシステムとなっている。
このように手作業のバランスを失する影響が少なく、使い勝手を向上させたスイッチシステムを実現できる効果がある。
【0036】
(横壁のガイド動作)
手作業中にフットスイッチを視認することは、作業の効率を低下させるため、フットウエアを履いた足の動作を適正な位置にガイドさせることが必要である。本発明では横壁をテーパー状にすること(一つのRFIDタグの場合)、スイッチを構成する筺体の開口部の幅とフットウエアおよびRFIDタグの左右間隔(2つのRFIDタグの場合)を調整することなどで実現される。
【0037】
ここで2つのRFIDタグを一つのフットウエアに付加し、RFIDリーダーの位置を開口部の中心線に設定した場合の開口部の幅(図8の2A)、スリッパの幅(図8のW)、フットウエア側面とRFIDタグ付加位置の距離(図8のE)の関係について、図8を用いて説明する。
実施例に係るスリッパ2001を図3に示す筺体の左横壁3001に沿わせて突っ込み動作をした時の右RFIDタグ2003の付加位置は、筺体の左右2等分線8001と重なるように開口部の横幅(2A)およびスリッパ側面からの距離(E)を調整する。このようにすることで筺体の中心線の天井面に固定したRFIDリーダー3004とRFIDタグ2003とが近接するからである。
このようにするためには、8001で示す距離Eは「8002で示すスリッパ幅Wから開口部横幅の半分を差し引いた8003に示す長さA」に等しくなる必要がある。
すなわち、以下の等式を満たす。
E=W−A ・・・・等式1
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のフットスイッチシステムは、注意深い手作業が要求される作業台において、手作業の妨げとならないフットスイッチを提供し、さらにその作業を記録し、事故や過誤が発生した場合でも、その事故や過誤に関連する画像を迅速に検索し、作業を確認できる監視データの生成、記録することができ、高度なトレーサビリティにも対応できるものである。
特に緻密な手作業が要求される作業現場に医療関係に限らず、精密機械等の組み立てなどの現場に広く利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0039】
1000 ネットワーク
1001 クリーンベンチ
1002 フットウエア
1003 RFIDリーダーを収納する筺体
1004 表示ランプ
1005 作業者
1006 監視カメラ
1007 監査用モニター装置
1008 監査人
1009 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フットウエアに付加されるRFIDタグと、
作業台の下部床面の固定される筺体に収納されるRFIDリーダーとから構成され、
前記筺体は開口部を有し、該開口部の内壁面に前記RFIDリーダーを固定し、前記フットウエアを履いた作業者が足を前記開口部に突っ込むことにより、前記RFIDタグとRFIDリーダーを接近させることによる読取をトリガーとして予め設定した動作を起動させることを特徴とするスイッチシステム。
【請求項2】
前記RFIDリーダーは、ネットワーク接続していることを特徴とする請求項1に記載のスイッチシステム。
【請求項3】
前記開口部の底面は床面であって、該開口部の横壁が床面上に固定され、前記RFIDリーダーは該開口部の天井面もしくは奥壁面に固定され、前記RFIDタグは前記フットウエア上面もしくは前面に付加されたものであって、前記作業者による足の突っ込みを床面に沿ってのすり足動作とすることにより、所定の位置で前記RFIDリーダーとRFIDタグが近接する構造となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチシステム。
【請求項4】
前記開口部の内壁は、前記RFIDリーダーの読取位置に向かって上下もしくは左右にテーパー状になっており、前記突っ込みによる足を前記RFIDリーダーの読取位置の方向へガイドする構造となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスイッチシステム。
【請求項5】
前記RFIDタグの読取が生じた場合に、予め設定した音声発生装置の動作による音声もしくは表示装置による表示により、該読取の発生を通知するフィードバック機構を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスイッチシステム。
【請求項6】
前記RFIDリーダーは、前記ネットワークを介しての通信機能を有し、前記読取が生じた場合に予め設定した通信先に読取情報を含む送信をすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスイッチシステム。
【請求項7】
前記フットウエアに付加するRFIDタグは複数であって、該フットウエアの左右側面のいずれかを選んで前記横壁に沿って前記突っ込み動作をすることにより、所望のRFIDタグが前記RFIDリーダーと近接する位置関係に前記複数RFIDタグとRFIDリーダーが固定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のスイッチシステム。
【請求項8】
前記複数のRFIDタグは、フットウエアの同一面に左右に一つずつ所定の間隔で並べたものであって、前記開口部内部は箱型形状に形成され、前記RFIDリーダーの位置は該箱型形状の横幅を二等分する中心線上に設定するものであって、前記RFIDタグをフットウエア側面より「フットウエアの横幅」から「箱型形状の横幅の半分」を差し引いた距離だけ離れた横位置に付加することにより、前記フットウエア左側面を前記左壁面に沿って突っ込み動作をしたときに右RFIDタグがRFIDリーダーに接近し、前記フットウエア右側面を前記右横壁に沿って突っ込み動作をしたときに前記左RFIDタグがRFIDリーダーに接近する位置関係に設定してあることを特徴とする請求項7記載のスイッチシステム。
【請求項9】
前記RFIDタグは、予め設定したID情報を書き込んであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のスイッチシステム。
【請求項10】
前記ID情報は、作業者ID、作業者の足の区別、フットウエア上の取付位置、作業IDから選ばれる少なくとも1つを含むものであることを特徴とする請求項9記載のスイッチシステム。
【請求項11】
前記RFIDタグの読取をトリガーとする動作は、撮影・記録手段による画像監視の開始と終了に関する動作であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のスイッチシステム。
【請求項12】
前記RFIDタグをバーコードに置き換え、前記RFIDリーダーをバーコードリーダーに置き換えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のスイッチシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−123768(P2012−123768A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288690(P2010−288690)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(399005482)
【Fターム(参考)】