説明

フッ素を含有するシリコーン組成物

【課題】
加熱により硬化し、硬化後は撥油性に優れた硬化物となり得る硬化型シリコーン組成物を提供する。
【解決手段】
(A)アルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン、(B)一般式 Rf[−X−Y−SiR(OR3−c (式中、Rfはフッ素原子を含有する基、Xは−O−、−OC(O)−、−NHC(O)−、−NH−、−CH(−OH)−、炭素数1〜8の炭化水素基の中から選ばれ、Yは−(CH(Z)−)−(式中、Zは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜3の炭化水素基、nは2〜8の整数)で表される連結基、R、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、mは1または2、cは0〜2の整数)のアルコキシシラン、及び(C)硬化剤を含有することを特徴とするフッ素を含有するシリコーン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素を含有するシリコーン組成物に関するものであり、得られる硬化体の表面エネルギーが低く、優れた撥油性を発現するために種々の用途に利用することができる。例えば、自動車・電子・電気・建築などの産業分野におけるシール材、パッキン材、コーティング材として有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオルガノシロキサンを主成分とする硬化型シリコーン組成物は、硬化後に撥水性、離型性、防汚性、剥離性等を示すことが知られている。このような硬化型シリコーン組成物としては、例えば、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンとポリオルガノハイドロジェンシロキサンと白金系触媒からなる組成物が知られている。
【0003】
また、この組成物に第3成分として、パーフルオロアルキル基とケイ素原子結合水素原子を含有するポリジメチルシロキサンを配合した離型用シリコーン組成物(特許文献1参照)や、ケイ素原子結合水素原子とケイ素原子結合フルオロアルキル基とエポキシ基を含有する環状シロキサンを配合した接着性組成物(特許文献2参照)、また分子内にケイ素原子結合水素原子及びケイ素原子に結合した(メタ)アクリロイルキシアルキル基を有するシロキサンマクロモノマーとエチレン性不飽和モノマーとの共重合体に、脂肪族不飽和結合含有化合物とフルオロオレフィン共重合体を配合した硬化性ポリマー組成物(特許文献3参照)などが提案されている。
【0004】
これらの組成物はいずれも硬化後に撥水性、撥油性を示すものの、さらに高い撥水性や撥油性を要求される用途に適用する場合には十分に満足できるものではなかった。また、これらの組成物に添加配合される、撥水・撥油性を発現させるための第3成分としてのフッ素原子を含有するポリオルガノシロキサンは、いずれも製造することが煩雑・困難であり、効果を発現させる為には添加量が多くなるため、経済的観点から不利であるという問題や、当該成分を製造する際には、フッ素系溶媒を使用する必要があるなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭63−48901号公報
【特許文献2】特公平5−5872号公報
【特許文献3】特開2008−144024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑み、加熱により硬化し、硬化後はシリコーン硬化物としての機械的強度などの物性を維持しながら、撥油性に優れた硬化物となり得る硬化型シリコーン組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことにシリコーン組成物に、フッ素原子を含有する特定の化合物を配合することにより課題が解決されることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、
[1](A)一般式 RSiO(4−a−b)/2 (1)
[式(1)中、Rはアルケニル基を表し;Rは脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の1価の炭化水素基を表し、aは1又は2、bは0、1又は2、かつa+bは1、2又は3を表す]で表される構成単位を1分子中に少なくとも2個有する、25℃の粘度が0.5〜100,000Pa・sであるポリオルガノシロキサン 100重量部、
(B)下記一般式(2)で表される、少なくとも一つ以上のフッ素原子が結合した炭化水素基を有するアルコキシシラン 0.001〜50重量部
Rf[−X−Y−SiR(OR3−c (2)
(式(2)中、Rfはフッ素原子を少なくとも一つ以上有する炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基または芳香族炭化水素基であって、Xは−O−、−OC(O)−、−NHC(O)−、−NH−、−CH(−OH)−、炭素数1〜8の二価の炭化水素基の中から選ばれる連結基、Yは−(CH(Z)−)−(式中、Zは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜3の炭化水素基から選ばれる置換基であり、nは2〜8の整数)で表される連結基、R、Rは同一または異なる炭素数1〜10の炭化水素基、mは1または2の整数、cは0〜2の整数を表す)。
(C)上記(A)成分を硬化し得る量の硬化剤、
を含有することを特徴とするフッ素を含有するシリコーン組成物、
【0008】
[2]硬化剤(C)成分が、一般式 RSiO(4−d−e)/2 (3)
[式(3)中、Rは置換又は非置換の1価の炭化水素基を表し;dは0、1、2又は3を表し;eは0、1又は2を表し;d+eは1、2又は3を表す]で示される構成単位からなり、かつケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、(A)成分中のアルケニル基に対してケイ素原子に結合した水素原子の量が、0.5〜7.0となる量及び付加反応触媒との組み合わせであることを特徴とする[1]に記載のフッ素を含有するシリコーン組成物。
[3]硬化剤(C)成分が有機過酸化物であることを特徴とする[1]に記載のフッ素を含有するシリコーン組成物。
[4](B)成分中のXが−OC(O)−であることを特徴とする[1]〜[3]に記載のフッ素を含有するシリコーン組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフッ素を含有するシリコーン組成物は、加熱によりすみやかに硬化し、機械的強度を維持しながら、硬化後には優れた撥油性を発現する。そのため、種々の用途に利用することができ、例えば、自動車・電子・電気・建築などの産業分野におけるシール材、パッキン材、コーティング材として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に用いる(A)成分のポリオルガノシロキサンは、ケイ素原子に直結したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するものである。このポリオルガノシロキサンは、前記一般式(1)で表されるシロキサン単位を少なくとも2個、更に、一般式(4)で示されるシロキサン単位からなる。
SiO(4−b)/2 (4)
式(4)中、R及びbは式(1)で示したものと同様なものである。このポリオルガノシロキサンは直鎖状でも、分岐状であっても、レジン状のいずれでもよく、またこれらの混合物であってもよい。このポリオルガノシロキサンは当業者にとって公知の方法によって製造される。合成が容易で、流動性が高く、かつ弾性を有するシリコーンゴムが得られる点で、直鎖状のポリオルガノシロキサンが好ましい。一方、高強度のものを得るには、レジン状のポリオルガノシロキサンを併用することが一般的である。
【0011】
前記の一般式(1)におけるRのアルケニル基としては、ビニル、アリル、1−ブテニル、1−ヘキセニルなどが例示されるが経済性及び製造の容易さからビニル基が好ましい。一般式(1)及び(4)におけるRとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ドデシルなどのアルキル基;フェニルなどのアリール基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルなどのアラルキル基;クロロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピルなどの置換炭化水素基などが例示される。これらのうち、経済性に優れ、製造が容易であり、しかも硬化後に良好な物理的性質を保つ上で必要な重合度をもち、かつ硬化前には低い粘度を保持するという点から、メチル基が最も好ましい。硬化後の組成物に耐寒性や特殊な光学的性質が求められる時は、分子中にフェニル基を、また耐油性が求められるときは、3,3,3−トリフルオロプロピル基を含有させるなど、任意に選択することができる。
【0012】
さらに、(A)成分は硬化型ポリオルガノシロキサンのベースポリマーとなるもので、(A)成分中、前記の一般式(1)で表されるアルケニル基を含む単位は、ポリオルガノシロキサンの分子鎖の末端、途中のいずれに存在してもよいが、硬化後の組成物に優れた機械的特性を与えるためには、少なくとも末端に存在することが好ましい。
【0013】
また、(A)成分の粘度は特に制限されないが、25℃において0.5〜100,000Pa・sであることが好ましく、特に硬化前の高い流動性と硬化後の優れた機械的特性が必要な用途には1〜50,000Pa・sであることが好ましい。
【0014】
本発明に用いる(B)成分のフッ素化合物は、本発明の組成物に優れた撥油性を付与するために用いられる必須の成分である。このフッ素化合物は、下記一般式(2)で表される、少なくとも一つ以上のフッ素原子が結合した炭化水素基を有するアルコキシシランである。
Rf[−X−Y−SiR(OR3−c (2)
一般式(2)における、Rfはフッ素原子を少なくとも一つ以上有する炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基または芳香族炭化水素基であって、具体的には、Rfが芳香族炭化水素基の場合に、以下のような基である。
−、CF−、C−、C−、CFCl−、CBrF−、CFI−、C(CF−。
【0015】
Rfがアルキル基の場合には、以下のような基である。
CF−、C−、C−、C−、C11−、C13−、C15−、C17−、C19−、C1021−、C1123−、C1225−、C1327−、C1429−、C1531−、C1633−、C1735−、CHF−、CHF−、CHF−、CHF10−、CHF12−、CHF14−、CHF16−、CHF18−、C10HF20−、C11HF22−、C12HF24−、CFCH−、C−(CH−(ここで、sは1〜8の整数である。以下同じ。)、C−(CH−、C−(CH−、C11−(CH−、C13−(CH−、C15−(CH−、C17−(CH−、C19−(CH−、C1021−(CH−、C1123−(CH−、C1225−(CH−。
【0016】
Rfがアルケニル基の場合には、以下のような基である。
CFCF=CF−、CFCF=CF−CF−、CFCF=CF−C−、CFCF=CF−C−、CFCF=CF−C−、CFCF=CF−C10−、CFCF=CF−C12−、CFCF=CF−C14−、CFCF=CF−C16−、CFCF=CF−C18−、CFCF=CF−C1020−。
【0017】
Rfがアルキル基の場合に、以下のように、エーテル結合、スルフォニル基、カルボキシル基、あるいは他のハロゲン原子を含んでいてもよい。具体的には、
CFCF(−OCF)−、CFCF(−OCF)−CF−、CFCF(−OCF)−C−、CFCF(−OCF)−C−、CFCF(−OCF)−C−、CFCF(−OCF)−C10−、CFCF(−OCF)−C12−、CFCF(−OCF)−C14−、CFCF(−OCF)−C16−、CFCF(−OCF)−C18−、CFCF(−OCF)−C1020−、F−SO−C−、F−SO−C−、F−SO−C−、F−SO−C10−、F−SO−C12−、F−SO−C14−、F−SO−C16−、F−SO−C18−、F−SO−C1020−、F−SO−C2t−O−C2u−(t、uは1〜10の整数)、HOOC−C−、HOOC−C−、HOOC−C−、HOOC−C10−、HOOC−C12−、HOOC−C14−、HOOC−C16−、HOOC−C18−、HOOC−C1020−、C−O−C−、C−O−C−、C−O−C−、C11−O−C−、C13−O−C−、C15−O−C−、C17−O−C−、C19−O−C−、C1021−O−C−、C1123−O−C−、CBrF−、CBrF−、CBrF−、CBrF10−、CBrF12−、CBrF14−、CBrF16−、CBrF18−、C10BrF20−、CClF−、CClF−、CClF−、CClF10−、CClF12−、CClF14−、CClF16−、CClF18−、C10ClF20−、CIF−、CIF−、CIF−、CIF10−、CIF12−、CIF14−、CIF16−、CIF18−、C10IF20−、
などが挙げられる。上述のフッ素原子を有する炭化水素基Rfがアルキル基またはアルケニル基である場合には直鎖状であっても良いし、分岐していてもよい。
【0018】
一般式(2)のXは、−O−、−OC(O)−、−NHC(O)−、−NH−、−CH(−OH)−、炭素数1〜8の二価の炭化水素基の中から選ばれる連結基であって、一般式(2)のケイ素原子に結合する連結基Yと、フッ素含有基Rfとの連結基である。Xが炭化水素基である場合には、Yの炭化水素基とあわせて、−X−Y−として炭素数3以上の炭化水素基が、Rfとケイ素原子との連結基となる。
【0019】
また、一般式(2)のYは−(CH(Z)−)−で表される連結基であり、式中のZは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜3の炭化水素基から選ばれる置換基、nは2〜8の整数である。Yとして、具体的には、
−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH−CH(CH)−、−CH(CH)−CH−、−(CHF)−、−(CHCl)−、−(CHBr)−、−(CHI)−、−CH−CHF−、−CH−CHCl−、−CH−CHBr−、−CH−CHI−、−CHF−CHCl−、−CHF−CHBr−、−CHF−CHI−、−CHCl−CHBr−、−CHCl−CHI−、−CHBr−CHI−、などが挙げられる。
【0020】
一般式(2)中のR、Rは同一または異なる炭素数1〜10の炭化水素基であって、前記のRで例示したような炭化水素基を挙げることができる。Rとしてメチル基が、Rとしてメチル基またはエチル基が好適に用いられる。mは1または2の整数、cは0〜2の整数であるが、mは1、cは0であることが好ましい。
【0021】
これら上述のフッ素を含有するアルコキシシランの中でも、本発明のシリコーン組成物に優れた撥油性を付与するために、(B)成分中のXが−OC(O)−であるものを使用することが特に好ましく、具体的には、以下のものが挙げられる。
−CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
−CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
−CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
−CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)(CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
HOOC− (CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
HOOC− (CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(CFCFCF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCFCF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH、(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH、(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCFCF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCFCF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH、(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−C−C(CF−C−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−C−C(CF−C−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−C−C(CF−C−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−C−C(CF−C−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
【0022】
なお、これらの有機ケイ素化合物は、公知の合成方法によって容易に調製できる。代表的な例として、例えば、アルケニル基を持ったフッ素原子を有する有機化合物に対して、Si−H基を有するアルコキシシラン化合物をヒドロシリル化反応によって付加させる方法などが挙げられる。
【0023】
これらの(B)成分のフッ素化合物は、いずれも本発明のシリコーンゴム組成物に優れた撥油性を付与するために必須であり、単独で用いることもできるが、より効果を向上させるためにはこれらの中から選ばれる少なくとも2種以上を併用してもよい。これらフッ素化合物の使用量は(A)成分100重量部あたり0.001〜50重量部であり、より好ましくは0.01〜30重量部である。さらに好ましくは、0.1〜15重量部である。(B)成分の使用量が0.001重量部未満の場合は十分な撥油性が得られず、また50重量部を超える場合はそれ以上の撥油性が得られないばかりか硬化後の弾性体の物理的特性が低下する。
【0024】
本発明の(C)成分の硬化剤は、既知の付加反応による硬化剤又は有機過酸化物硬化剤である。 付加反応硬化剤の場合は、一般式(3)で表される(C−1)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと(C−2)付加反応触媒を組み合わせて用いられる。また、付加反応硬化剤と有機過酸化物硬化剤は、各々単独で、又は併用することもできる。
【0025】
本発明のポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C−1)は、(A)成分のアルケニル基と付加反応して、本発明の組成物をゴム弾性体又はゲル状物へと硬化させるための成分である。この(C−1)成分は、1分子中にSi−H結合を2個以上有するものであれば、その分子構造に特に制限はなく、従来公知の直鎖状、環状、分岐状のものが使用され得るが、製造の容易さから直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、又はRHSiO1/2単位及びSiO単位からなる分岐状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましい。
【0026】
前記一般式(3)のRとしては、前記式(1)のRとして例示したものが挙げられ、式(1)と同一または異なっていてよく、式(3)中でも同一または異なっていてよいが、耐熱性などの点でメチル基及び/又はフェニル基が好ましい。好ましい(C−1)成分の例として、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C)SiO3/2単位とからなる共重合体などやこれらの例示化合物において、メチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基等の他のアルキル基、フェニル基等のアリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などで置換したもの等が挙げられる。
【0027】
このポリオルガノハイドロジェンシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は2〜1,000、好ましくは3〜500、より好ましくは3〜300、特に好ましくは4〜150程度のものを使用することができ、このポリオルガノハイドロジェンシロキサンは当業者にとって公知の方法によって製造される。
【0028】
(C−1)成分の使用量は、(A)成分のR中のアルケニル基1個に対し、ケイ素原子に結合した水素原子が0.5〜7.0個、好ましくは0.7〜5.0個、さらに好ましくは0.8〜3.0個となるような量がよい。水素原子が0.5個未満では組成物の硬化が十分に進行せず、また7.0個を超えると硬化時に発泡しやすく、さらに硬化後の物性、特に耐熱性の低下が大きくなるからである。
【0029】
付加反応触媒(C−2)は、(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基と上記ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C−1)のSi−H基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、この付加反応触媒としては、金属及びその化合物、例えば白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム及びイリジウムが挙げられる。これらヒドロシリル化触媒の中で、特に好ましくは白金又は白金系化合物である。
【0030】
白金化合物としては、具体的には、白金黒、白金ハロゲン化物(例えば、PtCl、HPtCl・6HO、HPtCl・6HO、NaPtCl・4HO、NaPtCl・4HOとシクロヘキサンからなる反応生成物)、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコラート錯体、白金−エーテル錯体、白金−アルデヒド錯体、白金−ケトン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ビス−(γ−ピコリン)−白金ジクロライド、トリメチレンジピリジン−白金ジクロライド、ジシクロペンタジエン−白金ジクロライド、シクロオクタジエン−白金ジクロライド、シクロペンタジエン−白金ジクロライド)、ビス(アルキニル)ビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体、ビス(アルキニル)(シクロオクタジエン)白金錯体などが挙げられる。
【0031】
また、ヒドロシリル化触媒は微粒子固体等にマイクロカプセル化した形で使用することもできる。この場合、触媒を含有し、かつポリオルガノシロキサン中に不溶の微粒子固体は、例えば、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエステル樹脂又はシリコーン樹脂)である。また、ヒドロシリル化触媒は包接化合物の形で、例えば、シクロデキストリン内で使用することも可能である。なお、(C−2)成分のヒドロシリル化触媒は有効量、即ち、いわゆる触媒量で用いられ、金属換算で通常(A)成分に対し0.1〜1000ppmとなる範囲であり、硬化性及び硬化後の物理的特性を考慮した場合、好ましくは0.5〜200ppmの範囲である。
【0032】
一方、有機過酸化物硬化剤(C−3)としては、有機過酸化物硬化型ポリオルガノシロキサン組成物において、(A)成分の架橋反応を促進するための触媒として使用されるものであればよく、従来公知のものを使用することができる。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルへキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α‘−ジ(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシヘキセン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどを挙げることができる。有機過酸化物(C−3)の種類ならびに添加量は、活性−O−O−の量や分解温度に応じて選択することができ、通常の添加量は(A)成分100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.5〜5重量部であることがより好ましい。
【0033】
以上の(A)成分〜(C)成分以外に、物理的性質の改善などのために種々の無機質又は有機質充填剤を使用することは何らさしつかえない。この充填剤としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、粉砕シリカ、けいそう土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム(タルク)、ケイ酸アルミニウム(クレー)、珪藻土、メタケイ酸カルシウム、ゼオライト、ハイドロタルサイト、グラファイト、カーボンブラック、石英、アルミナなどが挙げられる。これら充填剤などの使用量は本発明の目的を損なわないかぎり任意である。また本発明の組成物に、公知の反応制御剤、例えば、アセチレンアルコール、ビニル基含有ポリオルガノポリシロキサン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N‘−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタールアミド、トリアリルホスフェートなどが挙げられる。またアセチレン基含有シランやシロキサンを配合してもよい。なお、本発明を実施するに際して、用途によっては、本発明の組成物をトルエン、キシレンなど適当な有機溶剤に分散ないし溶解して用いてもよい。
【0034】
本発明のフッ素を含有するシリコーンゴム組成物は、上記した(A)成分〜(C)成分と任意成分を常温で均一に混合するだけでも得ることが可能であり、好ましくは(A)成分と充填剤などの任意成分をプラネタリーミキサーやニーダー等で100〜200℃の範囲で1〜4時間熱処理した後、室温で(B)、(C)成分を混合して組成物を得ることができる。
【0035】
成形方法は、混合物の粘度により自由に選択することができ、注入成形、圧縮成形、射出成形、押出成形、トランスファー成形または溶剤に溶かしてディップ成形、コーティング等によって成形することができる。その硬化条件は、通常60〜200℃で10秒〜24時間の範囲内で加熱成形することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、各例における部は、いずれも重量部を示す。
【0037】
[接触角測定方法]
接触角測定は、FACE社製Contact Angle meter CA−X150型機を使用して実施した。清浄な硬化シリコーンゴムシートの表面にマイクロシリンジを用いてn−ヘキサデカン(関東化学社製特級)を一滴(約0.002cc)滴下し、1分経過後に接触角を測定した。接触角は5回の平均値を採用した。
【0038】
[引張強さ測定]
硬化シリコーンゴムシートから、ダンベルカッターを使用して、JIS K6251に準拠した3号ダンベル形状(サンプル厚み2mm)に試験片を切り出し、引張試験に使用した。引張強さ測定には島津社製オートグラフAGS−J 5kNを使用し、引張り速度500mm/分で測定し、サンプル破断時の最大値を採用した。3サンプルの平均値を引張強さとした。
【0039】
[実施例1]
両末端がそれぞれジメチルビニルシリル基で封鎖された25℃における粘度が20,000mPa・sのポリジメチルシロキサン((A)成分)100部と、比表面積が200m/gである煙霧質シリカ40部、ヘキサメチルジシラザン8部及びイオン交換水1重量部を万能混練機に仕込み、常温で1時間撹拌混合を行なった後、150℃に昇温し、2時間加熱混合を行なった。その後、混合物を常温まで冷却し、これに、(CH)HSiO2/2単位67モル%と(CHSiO2/2単位33モル%とからなる25℃における粘度が20mPa・sのポリメチルハイドロジェンシロキサン((C−1)成分)3.1部を添加し、常温における硬化までの時間を延長させるためアセチレンアルコールを0.8部、白金原子含有量0.5wt%の白金−ビニルシロキサン錯体溶液((C−2)成分)0.3部をそれぞれ添加し、均一になるまで混合した。次いでこの組成物に、本発明の(B)成分である下記式(i)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加し、本発明に係るシリコーンゴム組成物を調製した。当該シリコーン組成物をキャビティー内寸法が150mmx150mmx厚み2mmの金型に投入し、170℃で10分間加熱プレスしてシートサンプルを作製した。さらに200℃に設定した送風循環型オーブンに投入して4時間加熱して、2次硬化を実施して、撥油性試験用サンプルとした。 接触角測定及び引張試験結果を表1に示す。
−CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH ・・・(i)
【0040】
[実施例2]
実施例1において、(B)成分として下記式(ii)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加した以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、硬化シートを作製して、接触角及び引張強さを測定した。結果を表1に示す。
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH ・・・(ii)
【0041】
[実施例3]
実施例1において、(B)成分として下記式(iii)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加した以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、硬化シートを作製して、接触角及び引張強さを測定した。結果を表1に示す。
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH ・・・(iii)
【0042】
[実施例4]
実施例1において、(B)成分として下記式(iv)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加した以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、硬化シートを作製して、接触角及び引張強さを測定した。結果を表1に示す。
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH ・・・(iv)
【0043】
[実施例5]
両末端がそれぞれジメチルビニルシリル基で封鎖された25℃における粘度が20,000mPa・sのポリジメチルシロキサン((A)成分)100部と、比表面積が200m/gである湿式シリカ40部を万能混練機に仕込み、常温で1時間撹拌混合を行なった後、150℃に昇温し、2時間加熱混合を行なった。その後、混合物を常温まで冷却し、これに、(CH)HSiO2/2単位67モル%と(CHSiO2/2単位33モル%とからなる25℃における粘度が20mPa・sのポリメチルハイドロジェンシロキサン((C−1)成分)3.1部を添加し、常温における硬化までの時間を延長させるためアセチレンアルコールを0.8部、白金原子含有量0.5wt%の白金−ビニルシロキサン錯体溶液((C−2)成分)0.3部をそれぞれ添加し、均一になるまで混合した。次いでこの組成物に、本発明の(B)成分である下記式(i)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加し、本発明に係るシリコーンゴム組成物を調製した。得られたシリコーン組成物を実施例1と同様にして、硬化シートを作製して、接触角及び引張強さを測定した。結果を表1に示す。
【0044】
[実施例6]
両末端がそれぞれジメチルビニルシリル基で封鎖された25℃における粘度が3,000,000mPa・sのポリジメチルシロキサン((A)成分)100部と、比表面積が200m/gである煙霧質シリカ40部、ヘキサメチルジシラザン8部及びイオン交換水1重量部を万能混練機に仕込み、常温で1時間撹拌混合を行なった後、150℃に昇温し、2時間加熱混合を行なった。その後、混合物を常温まで冷却してベースコンパウンドを得た。これに本発明の(B)成分である前記式(i)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加し、さらに(C−3)成分として2,5−ジメチル−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン0.8部をそれぞれ添加し、均一になるまで2軸ロール機を使用して混練した。得られたシリコーン組成物を実施例1と同様にして、硬化シートを作製して、接触角及び引張強さを測定した。
結果を表1に示す。
【0045】
[比較例1]
実施例1において、本発明の(B)成分を添加しない以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、硬化シートを作製して、接触角及び引張強さを測定した。
結果を表1に示す。
【0046】
[比較例2]
実施例5において、本発明の(B)成分を添加しない以外は、実施例5と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、硬化シートを作製して、接触角及び引張強さを測定した。結果を表1に示す。
【0047】
[比較例3]
実施例6において、本発明の(B)成分を添加しない以外は、実施例6と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、硬化シートを作製して、接触角及び引張強さを測定した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のフッ素を含有するシリコーン組成物は、加熱によりすみやかに硬化し、硬化後には優れた撥油性を発現する。そのため、種々の用途に利用することができ、例えば、自動車・電子・電気・建築などの産業分野におけるシール材、パッキン材、コーティング材として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式 RSiO(4−a−b)/2 (1)
[式(1)中、Rはアルケニル基を表し;Rは脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の1価の炭化水素基を表し、aは1又は2、bは0、1又は2、かつa+bは1、2又は3を表す]で表される構成単位を1分子中に少なくとも2個有する、25℃の粘度が0.5〜100,000Pa・sであるポリオルガノシロキサン 100重量部、
(B)下記一般式(2)で表される、少なくとも一つ以上のフッ素原子が結合した炭化水素基を有するアルコキシシラン 0.001〜50重量部
Rf[−X−Y−SiR(OR3−c (2)
(式(2)中、Rfはフッ素原子を少なくとも一つ以上有する炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基または芳香族炭化水素基であって、Xは−O−、−OC(O)−、−NHC(O)−、−NH−、−CH(−OH)−、炭素数1〜8の二価の炭化水素基の中から選ばれる連結基、Yは−(CH(Z)−)−(式中、Zは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜3の炭化水素基から選ばれる置換基であり、nは2〜8の整数)で表される連結基、R、Rは同一または異なる炭素数1〜10の炭化水素基、mは1または2の整数、cは0〜2の整数を表す)。
(C)上記(A)成分を硬化し得る量の硬化剤、
を含有することを特徴とするフッ素を含有するシリコーン組成物、
【請求項2】
硬化剤(C)成分が、一般式 RSiO(4−d−e)/2 (3)
[式(3)中、Rは置換又は非置換の1価の炭化水素基を表し;dは0、1、2又は3を表し;eは0、1又は2を表し;d+eは1、2又は3を表す]で示される構成単位からなり、かつケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、(A)成分中のアルケニル基に対してケイ素原子に結合した水素原子の量が、0.5〜7.0となる量及び付加反応触媒との組み合わせであることを特徴とする[1]に記載のフッ素を含有するシリコーン組成物。
【請求項3】
硬化剤(C)成分が有機過酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のフッ素を含有するシリコーン組成物。
【請求項4】
(B)成分中のXが−OC(O)−であることを特徴とする請求項1〜3に記載のフッ素を含有するシリコーン組成物。

【公開番号】特開2012−67158(P2012−67158A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211725(P2010−211725)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(500004955)旭化成ワッカーシリコーン株式会社 (17)
【Fターム(参考)】