フッ素樹脂管体及び該フッ素樹脂管体の製造方法
【課題】 紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を共に向上させたフッ素樹脂管体を提供することにある。
【解決手段】 本発明のフッ素樹脂管体10は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成された原形管体11を該フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことを特徴とする。これにより、フッ素樹脂管体10(延伸管体)の紫外線透過率は、該フッ素樹脂によりフッ素樹脂管体10と同じ形状に形成された管体(未延伸管体)の紫外線透過率より増加させることができ、且つ、フッ素樹脂管体10の強度(耐圧性)も未延伸管体の強度(耐圧性)より増加させることが可能である。
【解決手段】 本発明のフッ素樹脂管体10は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成された原形管体11を該フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことを特徴とする。これにより、フッ素樹脂管体10(延伸管体)の紫外線透過率は、該フッ素樹脂によりフッ素樹脂管体10と同じ形状に形成された管体(未延伸管体)の紫外線透過率より増加させることができ、且つ、フッ素樹脂管体10の強度(耐圧性)も未延伸管体の強度(耐圧性)より増加させることが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の洗浄システムや液体の輸送装置等において、液体の紫外線処理(殺菌、消毒等)等に用いられるフッ素樹脂管体、及び、該フッ素樹脂管体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、更に、他に比べるもののない非粘着性と表面低摩擦性等の特性を有している。このフッ素樹脂の中で、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」という)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、「FEP」という)等は、更に、紫外線を透過させる機能を有する。そこで、紫外線を透過させるフッ素樹脂により形成された管体(以下、「フッ素樹脂管体」という)は、牛乳、果汁等の液体食品の殺菌・消毒用に、また、プール、浴槽等の水の浄化用等に用いられている。
【0003】
このようなフッ素樹脂管体を使用した例として、例えば、特許文献1には、コイル状のフッ素樹脂管体を備えた紫外線殺菌装置が開示されている。この紫外線殺菌装置では、紫外線殺菌ランプの周囲に紫外線を透過させるフッ素樹脂管体をコイル状に形成させ、このコイル状のフッ素樹脂管体内に液体を流す。このフッ素樹脂管体内を通過する液体に紫外線殺菌ランプから発生する紫外線を照射させることにより液体の殺菌・消毒を行う。従来の紫外線殺菌装置では、液体を流す管体に紫外線透過率に優れた石英ガラスが使用されていたが、石英ガラスは破損しやすいと共にコイル状に加工することは難しく、また、石英ガラスには汚れが付着しやすい。そこで、特許文献1では、紫外線透過性を有するフッ素樹脂管体をコイル状に形成させた紫外線殺菌装置としている。
【0004】
【特許文献1】実開昭64−22349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紫外線を透過させるフッ素樹脂管体は、上述したように、牛乳、果汁等の液体食品の殺菌・消毒の他に、プールや浴槽等の浄化システム等でも使用され始めている。しかし、一般にフッ素樹脂の紫外線透過率は石英ガラスの紫外線透過率より低い。そこで、フッ素樹脂管体の紫外線透過率を向上(増加)させるために、フッ素樹脂管体の厚さを薄く形成させて使用していた。
【0006】
特許文献1に記載の紫外線殺菌装置では、フッ素樹脂管体内に所定量の液体を加圧して通過させ、通過する液体に所定光度の紫外線を照射させることにより液体の殺菌・消毒を行う。また、プールや浴槽等の浄化システムで使用される紫外線殺菌装置では、フッ素樹脂管体内に所定量の水を通過させ、通過する水に所定光度の紫外線を照射させることにより水の浄化を行う。そこで、該フッ素樹脂管体は、所定量の紫外線を透過させ且つ所定の強度(耐圧性)を有することが必要である。上述したように、フッ素樹脂管体の厚さを薄く形成させればフッ素樹脂管体の紫外線透過率を向上させることができるが、フッ素樹脂管体の強度(耐圧性)を低下させてしまう。
【0007】
本発明は、上述した事情からなされたものであり、本発明の第1の目的は、紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を共に向上させたフッ素樹脂管体を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、上記目的を可能としたフッ素樹脂管体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の目的達成のため、本発明のフッ素樹脂管体は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体において、管体形成後に前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことを特徴としている。
【0010】
これにより、本発明に係る延伸されたフッ素樹脂管体(以下、「延伸管体」という)の紫外線透過率は、前記フッ素樹脂により延伸管体と同じ形状に形成された管体(以下、「未延伸管体」という)の紫外線透過率より増加させることができ、且つ、延伸管体の強度(耐圧性)も未延伸管体の強度(耐圧性)より増加させることができる。
【0011】
また、本発明のフッ素樹脂管体は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体において、管体形成後に前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させ、更に、所定の温度の下で熱固定させたことを特徴としている。
【0012】
これにより、延伸されたフッ素樹脂管体(延伸管体)の紫外線透過率は、前記フッ素樹脂により延伸管体と同じ形状に形成された管体(未延伸管体)の紫外線透過率より増加させることができ、且つ、延伸管体の強度(耐圧性)も未延伸管体の強度(耐圧性)より増加させることができ、更に、延伸させた後に熱固定させたことにより形状安定性に優れたフッ素樹脂管体とすることができる。
【0013】
また、上記第2の目的達成のため、本発明のフッ素樹脂管体の製造方法は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体の製造方法において、前記フッ素樹脂により管体を形成させる工程と、前記管体を前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させる工程と、延伸された前記管体を所定の温度の下で熱固定させる工程とを含むことを特徴としている。
【0014】
これにより、紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を同時に増加させ、更に、製造後の形状安定性にも優れたフッ素樹脂管体を容易に且つ低コストで製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フッ素樹脂により管体を形成させた後に該フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことにより、延伸されたフッ素樹脂管体(延伸管体)の紫外線透過率及び強度(耐圧性)の両方が、同一のフッ素樹脂により延伸管体と同一形状に形成された管体(未延伸管体)の紫外線透過率及び強度(耐圧性)よりそれぞれ増加させることができる。更に、延伸管体を所定の温度の下で収縮させたことにより、熱固定されたフッ素樹脂管体は形状安定性にも優れた効果を有する。
【0016】
また、本発明によれば、上記優れた効果を有するフッ素樹脂管体を特別な製造設備を新たに設けることなく製造することができるので、該フッ素樹脂管体を容易に且つ低コストで量産することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るフッ素樹脂管体の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
はじめに、本発明の一の実施形態について図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るフッ素樹脂管体10の使用の例を示す平面図である。図2は、本実施形態に係るフッ素樹脂管体10(図2(a))とその原形管体11(図2(b))とを示す説明図である。
【0019】
図1は、本発明に係るフッ素樹脂管体10を備えた紫外線殺菌装置1の内部構成(要部)を示し、この紫外線殺菌装置1には、3本の本発明に係るフッ素樹脂管体10、10、10が平行に配設されている。該フッ素樹脂管体10は、後述するように、紫外線を透過させるフッ素樹脂からなり、略水平方向に延びる管体(チューブ)である。また、これら3本のフッ素樹脂管体10、10、10のそれぞれを挟むように4本の紫外線殺菌ランプ20、20、20、20がフッ素樹脂管体10、10、10と平行に配設されている。
【0020】
そして、これら3本のフッ素樹脂管体10、10、10の上端部(上流側)は、給液管3を介して、液体(水、液体食品、油等の液体一般を含む)が進入する進入口2と連通する。また、フッ素樹脂管体10、10、10の下端部(下流側)は、排液管5を介して、処理された液体を排出する排出口6と連通する。すなわち、進入口2より紫外線殺菌装置1内に加圧して送られた液体は、給液管3、フッ素樹脂管体10、10、10、排液管5を経由して、排出口6より排出される。この時、フッ素樹脂管体10、10、10内を通過する液体に4本の紫外線殺菌ランプ20から発せられた紫外線が照射されて、殺菌・消毒等の紫外線処理が行われる。
【0021】
図2(a)は、本発明に係るフッ素樹脂管体10を示す説明図であって、フッ素樹脂管体10は直線状に延びる透明の管体(チューブ)である。本実施形態では、紫外線を透過させる素材(フッ素樹脂)として、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)又はPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)が用いられている。
【0022】
紫外線殺菌装置1では、例えば、単位時間(1分間)当たりに紫外線処理が可能な液量(以下、「処理能力」という)があり、この処理能力は、紫外線照射量やフッ素樹脂管体10の強度(耐圧性)等の影響を受ける。例えば、プールや浴槽の浄化用に用いられる紫外線殺菌装置では、大量の水を処理するために高い処理能力が求められる。図1に示す紫外線殺菌装置1において、処理能力を増加させる方法は、例えば、フッ素樹脂管体10を通過する単位時間当たりの液量(水量)を増やし(フッ素樹脂管体10にかかる圧力が上昇)、且つ、所定の照射量以上の紫外線照射を可能とさせることである。このために、紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を同時に増加させたフッ素樹脂管体10が必要となる。一般に、フッ素樹脂管体10の厚さを薄くすればフッ素樹脂管体10の紫外線透過率を増加させることが可能であるが、フッ素樹脂管体10の強度(耐圧性)は低下する。一方、従来より高い圧力にも対応できるようにフッ素樹脂管体10の厚さを厚くすれば、紫外線透過率は減少する。
【0023】
そこで、本発明の発明者はフッ素樹脂管体の紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を同時に増加させることが可能なフッ素樹脂管体について鋭意研究を行った。本発明者は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成された管体を該フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させて得られたフッ素樹脂管体(延伸管体)が優れた紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を併せ持つことを見出した。すなわち、延伸管体の紫外線透過率と強度(耐圧性)のそれぞれは、延伸管体と同一のフッ素樹脂により延伸管体と同一形状に形成させた管体(未延伸管体)の紫外線透過率と強度(耐圧性)よりいずれも優れていることを見出した。
【0024】
図2(b)は、フッ素樹脂管体10の延伸される前の原形管体11を示す説明図であって、原形管体11もフッ素樹脂管体10と同様に直線状に延びる管体である。この原形管体11を原形管体11の軸方向(図2(b)における矢印Xの方向)に延伸させると、図2(a)に示すフッ素樹脂管体10となる。すなわち、本発明に係るフッ素樹脂管体10は、結晶性フッ素樹脂であって、紫外線透過性を有するが、半透明な樹脂であるFEP又はPFAにより原形管体11を形成させた後、FEP又はPFAのそれぞれに対応するガラス転移温度以上且つ融点以下の所定温度で延伸させて得られた管体である。このフッ素樹脂管体10は、上述したような優れた紫外線透過率と強度(耐圧性)を併せ持っている。
【0025】
また、フッ素樹脂管体10の外径、内径、及び、厚さは、延伸にともない原形管体11のそれより減少するので、これらの減少割合を事前に考慮した上で原形管体11の外径、内径、及び、厚さを決定する。なお、フッ素樹脂管体10の製造過程では、原形管体11をフッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させた後に、この延伸された管体を所定の温度の下で収縮させる熱固定処理を行ってもよい。この熱固定処理の詳細については後述するが、当該処理によりフッ素樹脂管体10の形状安定性を向上させることができる。
【0026】
次に、本発明のフッ素樹脂管体10の製造方法について、図3を参照して説明する。フッ素樹脂管体10の製造方法は、管体形成工程、管体延伸工程、熱処理工程を含み、図3はこれらの各工程における管体をそれぞれ示す説明図である。
【0027】
管体形成工程は、フッ素樹脂を用いて図3(a)に示す原形管体11に加工する工程である。FEP、PFA等の紫外線を透過させるフッ素樹脂を通常の押し出し成形法等により、略直線状に延びる管体に加工する。
【0028】
管体延伸工程は、図3(a)の原形管体11を所定温度でX方向に延伸させ、図3(b)に示す延伸された原形管体12を得る工程である。この管体延伸工程は、フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の所定温度に維持された加熱炉内で行われる。この管体延伸工程は、変動可能な送り速度で管体を送る送り機構、加熱炉、及び、変動可能な引き速度で管体を引く引き機構を備える延伸装置によって行われる。引き機構の引き速度を、送り機構の送り速度より早くすることで、延伸装置を通過した管体は所望の延伸倍率に延伸される。すなわち、例えば、0.3m/分の送り速度で管体を送り、1.5m/分の引き速度で管体を引くことで、延伸倍率5倍の延伸が行われる。この延伸倍率は、2〜10倍が好ましい。延伸倍率が2倍より小さいと、紫外線透過率が少なく耐圧の面でも効果が小さい。延伸倍率が10倍より大きいと、白化あるいは破断が生じることがある。
【0029】
熱処理工程は、図3(b)の延伸された原形管体12を所定温度でY方向に収縮させ、図3(c)に示すフッ素樹脂管体10を得る工程である。この熱処理工程は、所定の温度に維持された加熱炉内で行われ、延伸されたフッ素樹脂管体10の形状安定性を向上させる工程である。例えば、上記管体延伸工程で延伸倍率5倍に延伸された管体は、延伸後フッ素樹脂が収縮しようとすることにより管体の形状安定性に欠けるので、当該熱処理工程が効果的である。
【0030】
本実施形態において好ましくは、更に、管体の収縮を行う熱固定装置が設置され、この熱固定装置は、上記延伸装置と同様に、変動可能な送り速度で管体を送る送り機構、加熱炉、及び、変動可能な引き速度で管体を引く引き機構を備える。引き機構の引き速度を、送り機構の送り速度より遅くすることで、延伸装置を通過した管体を収縮させる。但し、管体の収縮は、フッ素樹脂管体10の形状安定性を向上させる処理であって、上記延伸工程に比べ、僅かな収縮で十分である。例えば、0.6m/分の送り速度で管体を送り、0.5m/分の引き速度で管体を引く程度の収縮が行われる。
【0031】
なお、この熱処理工程はフッ素樹脂の成形温度以下の所定温度で行われるが、フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で行われることが好ましい。また、本実施形態では管体を収縮させているが、形状安定性を向上させる熱固定処理であれば、例えば、所定温度で一定形状に保持するような熱固定処理や、所定温度で僅かに延伸させるような熱固定処理であってもよい。
【実施例】
【0032】
次に、本発明の実施例について説明する。先ず、FEPを用いたフッ素樹脂管体の実施例1〜4と比較例1〜4の紫外線透過率について説明する。
【0033】
[実施例1]フッ素樹脂管体A
フッ素樹脂の素材にFEP(ダイキン工業製NP−30)を用いて、外径37.3mm、内径36.9mmの寸法を有する原形管体を製作。250℃の加熱炉内で延伸倍率5倍(送り速度:0.3m/分、引き速度:1.5m/分)の延伸工程後の寸法は、外径16.7mm、内径16.5mmとなった。240℃の加熱炉内で熱固定処理(送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径20.0mm、内径19.8mm、厚さ0.1mmのフッ素樹脂管体Aを得た。
【0034】
[実施例2]フッ素樹脂管体B
実施例1と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径15.6mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例1と同じ250℃の加熱炉内で、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分)の延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径7.8mmとなった。200℃の加熱炉内で熱固定処理(実施例1と同じ送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径9.4mm、厚さ0.3mmのフッ素樹脂管体Bを得た。
【0035】
[実施例3]フッ素樹脂管体C
実施例1、2と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径15.0mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例2と同じ延伸条件(延伸温度250℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径7.5mmとなった。実施例2と同じ熱固定処理(熱固定温度200℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径9.0mm、厚さ0.5mmのフッ素樹脂管体Cを得た。
【0036】
[実施例4]フッ素樹脂管体D
実施例1、2、3と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径13.4mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例2、3と同じ延伸条件(延伸温度250℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径6.7mmとなった。実施例2、3と同じ熱固定処理(熱固定温度200℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mmのフッ素樹脂管体Dを得た。
【0037】
[比較例1]フッ素樹脂管体AA
実施例1のフッ素樹脂管体Aと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Aと同一寸法(外径20.0mm、内径19.8mm、厚さ0.1mm)に形成させたフッ素樹脂管体AAを得た。
【0038】
[比較例2]フッ素樹脂管体BB
実施例2のフッ素樹脂管体Bと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Bと同一寸法(外径10.0mm、内径9.4mm、厚さ0.3mm)に形成させたフッ素樹脂管体BBを得た。
【0039】
[比較例3]フッ素樹脂管体CC
実施例3のフッ素樹脂管体Cと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Cと同一寸法(外径10.0mm、内径9.0mm、厚さ0.5mm)に形成させたフッ素樹脂管体CCを得た。
【0040】
[比較例4]フッ素樹脂管体DD
実施例4のフッ素樹脂管体Dと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Dと同一寸法(外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mm)に形成させたフッ素樹脂管体DDを得た。
【0041】
<紫外線透過率測定方法>
分光光度計(島津製作所製UV1200)を用いて、波長200〜400nmの紫外線領域における上記フッ素樹脂管体A〜D、AA〜DDの各紫外線透過率を測定した。
【0042】
<測定結果>
1)実施例1のフッ素樹脂管体Aと比較例1のフッ素樹脂管体AAの測定結果を図4に示す。
【0043】
図4に示すように、実施例1のフッ素樹脂管体Aは、波長200〜400nmの領域全体において90%前後の高い紫外線透過率を示した。一方、比較例1のフッ素樹脂管体AAは、波長の変化と共に紫外線透過率が約15%〜85%と大きく変化し、特に、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では紫外線透過率は約60〜65%であった。
【0044】
2)実施例2のフッ素樹脂管体Bと比較例2のフッ素樹脂管体BBの測定結果を図5に示す。
【0045】
図5に示すように、実施例2のフッ素樹脂管体Bは、波長200〜400nmの領域全体では約42%〜85%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約68〜72%を示した。一方、比較例2のフッ素樹脂管体BBは領域全体では約42%〜85%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約33〜38%を示した。
【0046】
3)実施例3のフッ素樹脂管体Cと比較例3のフッ素樹脂管体CCの測定結果を図6に示す。
【0047】
図6に示すように、実施例3のフッ素樹脂管体Cは、波長200〜400nmの領域全体では約25%〜81%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約62〜65%を示した。一方、比較例3のフッ素樹脂管体CCは領域全体では約0%〜65%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約8〜12%を示した。
【0048】
4)実施例4のフッ素樹脂管体Dと比較例4のフッ素樹脂管体DDの測定結果を図7に示す。
【0049】
図7に示すように、実施例4のフッ素樹脂管体Dは、波長200〜400nmの領域全体では約5%〜75%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約40〜45%を示した。一方、比較例4のフッ素樹脂管体DDは領域全体では約0%〜48%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約2〜3%を示した。
【0050】
次に、PFAを用いたフッ素樹脂管体の実施例5〜8と比較例5〜8の紫外線透過率について説明する。なお、紫外線透過率の測定方法は、実施例1〜4及び比較例1〜4と同じ方法で行った。
【0051】
[実施例5]フッ素樹脂管体E
フッ素樹脂の素材にPFA(三井デュポンフロロケミカル製451HP−J)を用いて、外径37.3mm、内径36.9mmの寸法を有する原形管体を製作。290℃の加熱炉内で延伸倍率5倍(送り速度:0.3m/分、引き速度:1.5m/分)の延伸工程後の寸法は、外径16.7mm、内径16.5mmとなった。280℃の加熱炉内で熱固定処理(送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径20.0mm、内径19.8mm、厚さ0.1mmのフッ素樹脂管体Eを得た。
【0052】
[実施例6]フッ素樹脂管体F
実施例5と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径15.6mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例5と同じ290℃の加熱炉内で、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分)の延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径7.8mmとなった。240℃の加熱炉内で熱固定処理(実施例5と同じ送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径9.4mm、厚さ0.3mmのフッ素樹脂管体Fを得た。
【0053】
[実施例7]フッ素樹脂管体G
実施例5、6と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径15.0mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例6と同じ延伸条件(延伸温度290℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径7.5mmとなった。実施例6と同じ熱固定処理(熱固定温度240℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径9.0mm、厚さ0.5mmのフッ素樹脂管体Gを得た。
【0054】
[実施例8]フッ素樹脂管体H
実施例5、6、7と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径13.4mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例6、7と同じ延伸条件(延伸温度290℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径6.7mmとなった。実施例6、7と同じ熱固定処理(熱固定温度240℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mmのフッ素樹脂管体Hを得た。
【0055】
[比較例5]フッ素樹脂管体EE
実施例5のフッ素樹脂管体Eと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Eと同一寸法(外径20.0mm、内径19.8mm、厚さ0.1mm)に形成させたフッ素樹脂管体EEを得た。
【0056】
[比較例6]フッ素樹脂管体FF
実施例6のフッ素樹脂管体Fと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Fと同一寸法(外径10.0mm、内径9.4mm、厚さ0.3mm)に形成させたフッ素樹脂管体FFを得た。
【0057】
[比較例7]フッ素樹脂管体GG
実施例7のフッ素樹脂管体Gと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Gと同一寸法(外径10.0mm、内径9.0mm、厚さ0.5mm)に形成させたフッ素樹脂管体GGを得た。
【0058】
[比較例8]フッ素樹脂管体HH
実施例8のフッ素樹脂管体Hと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Hと同一寸法(外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mm)に形成させたフッ素樹脂管体HHを得た。
【0059】
<測定結果>
5)実施例5のフッ素樹脂管体Eと比較例5のフッ素樹脂管体EEの測定結果を図8に示す。
【0060】
図8に示すように、実施例5のフッ素樹脂管体Eは、波長200〜400nmの領域全体において90%前後の高い紫外線透過率を示した。一方、比較例5のフッ素樹脂管体EEは、波長の変化と共に紫外線透過率が約18%〜87%と大きく変化し、特に、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約64〜68%を示した。
【0061】
6)実施例6のフッ素樹脂管体Fと比較例6のフッ素樹脂管体FFの測定結果を図9に示す。
【0062】
図9に示すように、実施例6のフッ素樹脂管体Fは、波長200〜400nmの領域全体では約44%〜87%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約67〜71%を示した。一方、比較例6のフッ素樹脂管体FFは領域全体では約1%〜77%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約23〜30%を示した。
【0063】
7)実施例7のフッ素樹脂管体Gと比較例7のフッ素樹脂管体GGの測定結果を図10に示す。
【0064】
図10に示すように、実施例7のフッ素樹脂管体Gは、波長200〜400nmの領域全体では約14%〜80%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約53〜57%を示した。一方、比較例7のフッ素樹脂管体GGは領域全体では約0%〜54%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約3〜5%を示した。
【0065】
8)実施例8のフッ素樹脂管体Hと比較例8のフッ素樹脂管体HHの測定結果を図11に示す。
【0066】
図11に示すように、実施例8のフッ素樹脂管体Hは、波長200〜400nmの領域全体では約1%〜67%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約20〜26%を示した。一方、比較例8のフッ素樹脂管体HHは領域全体では約0%〜34%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約1〜2%を示した。
【0067】
次に、PFAを用いたフッ素樹脂管体(実施例9、10と比較例9、10)について破壊圧力を測定した。実施例9、10、比較例9、10と破壊圧力の測定結果について、以下に説明する。
【0068】
[実施例9]フッ素樹脂管体I
フッ素樹脂の素材にPFA(三井デュポンフロロケミカル製451HP−J)を用いて、外径10.0mm、内径6.6mmの寸法を有する原形管体を製作。290℃の加熱炉内で延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分)の延伸工程後の寸法は、外径5.0mm、内径3.3mmとなった。240℃の加熱炉内で熱固定処理(送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径6.0mm、内径4.0mm、厚さ1.0mmのフッ素樹脂管体Iを得た。
【0069】
[実施例10]フッ素樹脂管体J
実施例9と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径13.3mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例9と同じ延伸条件(延伸温度290℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径6.6mmとなった。実施例9と同じ熱固定処理(熱固定温度240℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mmのフッ素樹脂管体Jを得た。
【0070】
[比較例9]フッ素樹脂管体II
実施例9のフッ素樹脂管体Iと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Iと同一寸法(外径6.0mm、内径4.0mm、厚さ1.0mm)に形成させたフッ素樹脂管体IIを得た。
【0071】
[比較例10]フッ素樹脂管体JJ
実施例10のフッ素樹脂管体Jと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Jと同一寸法(外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mm)に形成させたフッ素樹脂管体JJを得た。
【0072】
<破壊圧力測定方法>
フッ素樹脂管体を一定温度雰囲気に保った状態でフッ素樹脂管体の一端を塞ぎ、他端から圧力を徐々に加えていき、フッ素樹脂管体が破裂した時の圧力を測定した。温度条件を1)25℃、2)80℃、3)150℃と変化させて、各フッ素樹脂管体の破壊圧力を測定した。なお、温度条件1)25℃、2)80℃の各測定は、フッ素樹脂管体を25℃又は80℃の一定温度に維持された水中に沈め、フッ素樹脂管体内に水圧をかけて測定した。温度条件3)150℃の測定は、フッ素樹脂管体を150℃に維持された加熱炉中に入れ、フッ素樹脂管体内に窒素ガスを加圧して測定した。
【0073】
<測定結果>
実施例9のフッ素樹脂管体I及び比較例9のフッ素樹脂管体IIの測定結果と、実施例10のフッ素樹脂管体J及び比較例10のフッ素樹脂管体JJの測定結果とを表1に示す。なお、フッ素樹脂管体I、フッ素樹脂管体II、フッ素樹脂管体J、フッ素樹脂管体JJはすべて同一素材(三井デュポンフロロケミカル製451HP−J)で形成され、管体の厚さも同一の1.0mmである。
【0074】
【表1】
表1に示すように、実施例9のフッ素樹脂管体Iの破壊圧力は、すべての温度条件において、比較例9のフッ素樹脂管体IIの破壊圧力より大きい値を示した。同様に、実施例10のフッ素樹脂管体Jの破壊圧力も、すべての温度条件において、比較例10のフッ素樹脂管体JJの破壊圧力より大きい値を示した。
【0075】
次に、実施例10のフッ素樹脂管体Jと比較例10のフッ素樹脂管体JJの温度条件1)25℃での測定結果に基づいて、実施例10(厚さ1.0mm)に代表される延伸された管体(延伸管体)と比較例10(厚さ1.0mm)に代表される未延伸の管体との破壊圧力と使用圧力のシミュレーションを行った。すなわち、内径を8mmとして、厚さを1.0mmから0.1mmに変化させた延伸管体と未延伸管体の各破壊圧力とそれに基づく使用圧力のシミュレーション結果を表2に示す。ここで、使用圧力とは、各管体の破壊圧力に対して安全率を6として求めた圧力である。
【0076】
【表2】
表2に示すように、延伸管体と未延伸管体の各破壊圧力は厚さの減少と共に減少する。ここで、例えば、使用圧力0.3MPaが要求された場合に未延伸管体であれば0.5mmの厚さが必要となるが、延伸管体であれば0.3mmの厚さで使用圧力は0.32MPaとなる。上述した測定結果に示すように、延伸管体の紫外線透過性は未延伸管体より優れており、更に、厚さが薄くなれば紫外線透過性は更に向上する。
【0077】
以上、本発明の実施形態と実施例について説明したが、本発明によれば、フッ素樹脂により原型管体11を形成させた後に、該フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことにより、延伸されたフッ素樹脂管体10(延伸管体)の紫外線透過率及び強度(耐圧性)の両方を、同一フッ素樹脂により延伸管体と同一形状に形成された管体(未延伸管体)の紫外線透過率及び強度(耐圧性)よりそれぞれ増加させることができる。更に、延伸された原型管体12を所定の温度の下で熱固定させたことにより、フッ素樹脂管体10は形状安定性にも優れた効果を有する。
【0078】
また、本発明によれば、上記優れた効果を有するフッ素樹脂管体10を特別な製造設備を新たに設けることなく製造することができるので、フッ素樹脂管体10を容易に且つ低コストで量産することが可能である。
【0079】
なお、本発明の範囲は上述した実施形態や実施例に限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に反しない限り、他の様々な実施形態に適用可能である。例えば、本発明の実施形態では、熱固定処理において延伸された原形管体12を収縮させているが、所定温度で一定形状に保持するような、フッ素樹脂10の形状安定性を向上させる他の方法であってもよい。
【0080】
また、本実施形態(特に実施例)では、FEP又はPFAで形成されたフッ素樹脂管体10について説明したが、本発明に係るフッ素樹脂管体10に適用可能なフッ素樹脂は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、いわゆるTHV(フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンを含有する共重合体)等のような紫外線を透過させるフッ素樹脂であれば、本明細書に例示したフッ素樹脂以外のフッ素樹脂であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るフッ素樹脂管体は、液体の洗浄システムや液体の輸送装置等において使用される他、光透過性の観点からも、例えば、パソコンや携帯電話等のバックライトを覆う光源カバー等、あらゆる分野においても適用が可能である。また、これらのフッ素樹脂管体の製造に本発明に係るフッ素樹脂管体の製造方法は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係るフッ素樹脂管体10の使用の例を示す平面図である。
【図2】本実施形態に係るフッ素樹脂管体10(図2(a))とその原形管体11(図2(b))とを示す説明図である。
【図3】フッ素樹脂管体10の各製造工程における管体を示す説明図である。
【図4】実施例1のフッ素樹脂管体A及び比較例1のフッ素樹脂管体AAの紫外線透過率を示す図である。
【図5】実施例2のフッ素樹脂管体B及び比較例2のフッ素樹脂管体BBの紫外線透過率を示す図である。
【図6】実施例3のフッ素樹脂管体C及び比較例3のフッ素樹脂管体CCの紫外線透過率を示す図である。
【図7】実施例4のフッ素樹脂管体D及び比較例4のフッ素樹脂管体DDの紫外線透過率を示す図である。
【図8】実施例5のフッ素樹脂管体E及び比較例5のフッ素樹脂管体EEの紫外線透過率を示す図である。
【図9】実施例6のフッ素樹脂管体F及び比較例6のフッ素樹脂管体FFの紫外線透過率を示す図である。
【図10】実施例7のフッ素樹脂管体G及び比較例7のフッ素樹脂管体GGの紫外線透過率を示す図である。
【図11】実施例8のフッ素樹脂管体H及び比較例8のフッ素樹脂管体HHの紫外線透過率を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 紫外線殺菌装置、2 進入口、3 給液管、5 排液管、6 排出口、10 フッ素樹脂管体、11 原形管体、12 延伸された原形管体、20 紫外線殺菌ランプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の洗浄システムや液体の輸送装置等において、液体の紫外線処理(殺菌、消毒等)等に用いられるフッ素樹脂管体、及び、該フッ素樹脂管体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、更に、他に比べるもののない非粘着性と表面低摩擦性等の特性を有している。このフッ素樹脂の中で、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」という)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、「FEP」という)等は、更に、紫外線を透過させる機能を有する。そこで、紫外線を透過させるフッ素樹脂により形成された管体(以下、「フッ素樹脂管体」という)は、牛乳、果汁等の液体食品の殺菌・消毒用に、また、プール、浴槽等の水の浄化用等に用いられている。
【0003】
このようなフッ素樹脂管体を使用した例として、例えば、特許文献1には、コイル状のフッ素樹脂管体を備えた紫外線殺菌装置が開示されている。この紫外線殺菌装置では、紫外線殺菌ランプの周囲に紫外線を透過させるフッ素樹脂管体をコイル状に形成させ、このコイル状のフッ素樹脂管体内に液体を流す。このフッ素樹脂管体内を通過する液体に紫外線殺菌ランプから発生する紫外線を照射させることにより液体の殺菌・消毒を行う。従来の紫外線殺菌装置では、液体を流す管体に紫外線透過率に優れた石英ガラスが使用されていたが、石英ガラスは破損しやすいと共にコイル状に加工することは難しく、また、石英ガラスには汚れが付着しやすい。そこで、特許文献1では、紫外線透過性を有するフッ素樹脂管体をコイル状に形成させた紫外線殺菌装置としている。
【0004】
【特許文献1】実開昭64−22349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紫外線を透過させるフッ素樹脂管体は、上述したように、牛乳、果汁等の液体食品の殺菌・消毒の他に、プールや浴槽等の浄化システム等でも使用され始めている。しかし、一般にフッ素樹脂の紫外線透過率は石英ガラスの紫外線透過率より低い。そこで、フッ素樹脂管体の紫外線透過率を向上(増加)させるために、フッ素樹脂管体の厚さを薄く形成させて使用していた。
【0006】
特許文献1に記載の紫外線殺菌装置では、フッ素樹脂管体内に所定量の液体を加圧して通過させ、通過する液体に所定光度の紫外線を照射させることにより液体の殺菌・消毒を行う。また、プールや浴槽等の浄化システムで使用される紫外線殺菌装置では、フッ素樹脂管体内に所定量の水を通過させ、通過する水に所定光度の紫外線を照射させることにより水の浄化を行う。そこで、該フッ素樹脂管体は、所定量の紫外線を透過させ且つ所定の強度(耐圧性)を有することが必要である。上述したように、フッ素樹脂管体の厚さを薄く形成させればフッ素樹脂管体の紫外線透過率を向上させることができるが、フッ素樹脂管体の強度(耐圧性)を低下させてしまう。
【0007】
本発明は、上述した事情からなされたものであり、本発明の第1の目的は、紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を共に向上させたフッ素樹脂管体を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、上記目的を可能としたフッ素樹脂管体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の目的達成のため、本発明のフッ素樹脂管体は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体において、管体形成後に前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことを特徴としている。
【0010】
これにより、本発明に係る延伸されたフッ素樹脂管体(以下、「延伸管体」という)の紫外線透過率は、前記フッ素樹脂により延伸管体と同じ形状に形成された管体(以下、「未延伸管体」という)の紫外線透過率より増加させることができ、且つ、延伸管体の強度(耐圧性)も未延伸管体の強度(耐圧性)より増加させることができる。
【0011】
また、本発明のフッ素樹脂管体は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体において、管体形成後に前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させ、更に、所定の温度の下で熱固定させたことを特徴としている。
【0012】
これにより、延伸されたフッ素樹脂管体(延伸管体)の紫外線透過率は、前記フッ素樹脂により延伸管体と同じ形状に形成された管体(未延伸管体)の紫外線透過率より増加させることができ、且つ、延伸管体の強度(耐圧性)も未延伸管体の強度(耐圧性)より増加させることができ、更に、延伸させた後に熱固定させたことにより形状安定性に優れたフッ素樹脂管体とすることができる。
【0013】
また、上記第2の目的達成のため、本発明のフッ素樹脂管体の製造方法は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体の製造方法において、前記フッ素樹脂により管体を形成させる工程と、前記管体を前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させる工程と、延伸された前記管体を所定の温度の下で熱固定させる工程とを含むことを特徴としている。
【0014】
これにより、紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を同時に増加させ、更に、製造後の形状安定性にも優れたフッ素樹脂管体を容易に且つ低コストで製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フッ素樹脂により管体を形成させた後に該フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことにより、延伸されたフッ素樹脂管体(延伸管体)の紫外線透過率及び強度(耐圧性)の両方が、同一のフッ素樹脂により延伸管体と同一形状に形成された管体(未延伸管体)の紫外線透過率及び強度(耐圧性)よりそれぞれ増加させることができる。更に、延伸管体を所定の温度の下で収縮させたことにより、熱固定されたフッ素樹脂管体は形状安定性にも優れた効果を有する。
【0016】
また、本発明によれば、上記優れた効果を有するフッ素樹脂管体を特別な製造設備を新たに設けることなく製造することができるので、該フッ素樹脂管体を容易に且つ低コストで量産することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るフッ素樹脂管体の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
はじめに、本発明の一の実施形態について図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るフッ素樹脂管体10の使用の例を示す平面図である。図2は、本実施形態に係るフッ素樹脂管体10(図2(a))とその原形管体11(図2(b))とを示す説明図である。
【0019】
図1は、本発明に係るフッ素樹脂管体10を備えた紫外線殺菌装置1の内部構成(要部)を示し、この紫外線殺菌装置1には、3本の本発明に係るフッ素樹脂管体10、10、10が平行に配設されている。該フッ素樹脂管体10は、後述するように、紫外線を透過させるフッ素樹脂からなり、略水平方向に延びる管体(チューブ)である。また、これら3本のフッ素樹脂管体10、10、10のそれぞれを挟むように4本の紫外線殺菌ランプ20、20、20、20がフッ素樹脂管体10、10、10と平行に配設されている。
【0020】
そして、これら3本のフッ素樹脂管体10、10、10の上端部(上流側)は、給液管3を介して、液体(水、液体食品、油等の液体一般を含む)が進入する進入口2と連通する。また、フッ素樹脂管体10、10、10の下端部(下流側)は、排液管5を介して、処理された液体を排出する排出口6と連通する。すなわち、進入口2より紫外線殺菌装置1内に加圧して送られた液体は、給液管3、フッ素樹脂管体10、10、10、排液管5を経由して、排出口6より排出される。この時、フッ素樹脂管体10、10、10内を通過する液体に4本の紫外線殺菌ランプ20から発せられた紫外線が照射されて、殺菌・消毒等の紫外線処理が行われる。
【0021】
図2(a)は、本発明に係るフッ素樹脂管体10を示す説明図であって、フッ素樹脂管体10は直線状に延びる透明の管体(チューブ)である。本実施形態では、紫外線を透過させる素材(フッ素樹脂)として、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)又はPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)が用いられている。
【0022】
紫外線殺菌装置1では、例えば、単位時間(1分間)当たりに紫外線処理が可能な液量(以下、「処理能力」という)があり、この処理能力は、紫外線照射量やフッ素樹脂管体10の強度(耐圧性)等の影響を受ける。例えば、プールや浴槽の浄化用に用いられる紫外線殺菌装置では、大量の水を処理するために高い処理能力が求められる。図1に示す紫外線殺菌装置1において、処理能力を増加させる方法は、例えば、フッ素樹脂管体10を通過する単位時間当たりの液量(水量)を増やし(フッ素樹脂管体10にかかる圧力が上昇)、且つ、所定の照射量以上の紫外線照射を可能とさせることである。このために、紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を同時に増加させたフッ素樹脂管体10が必要となる。一般に、フッ素樹脂管体10の厚さを薄くすればフッ素樹脂管体10の紫外線透過率を増加させることが可能であるが、フッ素樹脂管体10の強度(耐圧性)は低下する。一方、従来より高い圧力にも対応できるようにフッ素樹脂管体10の厚さを厚くすれば、紫外線透過率は減少する。
【0023】
そこで、本発明の発明者はフッ素樹脂管体の紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を同時に増加させることが可能なフッ素樹脂管体について鋭意研究を行った。本発明者は、紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成された管体を該フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させて得られたフッ素樹脂管体(延伸管体)が優れた紫外線透過率と強度(耐圧性)の両方を併せ持つことを見出した。すなわち、延伸管体の紫外線透過率と強度(耐圧性)のそれぞれは、延伸管体と同一のフッ素樹脂により延伸管体と同一形状に形成させた管体(未延伸管体)の紫外線透過率と強度(耐圧性)よりいずれも優れていることを見出した。
【0024】
図2(b)は、フッ素樹脂管体10の延伸される前の原形管体11を示す説明図であって、原形管体11もフッ素樹脂管体10と同様に直線状に延びる管体である。この原形管体11を原形管体11の軸方向(図2(b)における矢印Xの方向)に延伸させると、図2(a)に示すフッ素樹脂管体10となる。すなわち、本発明に係るフッ素樹脂管体10は、結晶性フッ素樹脂であって、紫外線透過性を有するが、半透明な樹脂であるFEP又はPFAにより原形管体11を形成させた後、FEP又はPFAのそれぞれに対応するガラス転移温度以上且つ融点以下の所定温度で延伸させて得られた管体である。このフッ素樹脂管体10は、上述したような優れた紫外線透過率と強度(耐圧性)を併せ持っている。
【0025】
また、フッ素樹脂管体10の外径、内径、及び、厚さは、延伸にともない原形管体11のそれより減少するので、これらの減少割合を事前に考慮した上で原形管体11の外径、内径、及び、厚さを決定する。なお、フッ素樹脂管体10の製造過程では、原形管体11をフッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させた後に、この延伸された管体を所定の温度の下で収縮させる熱固定処理を行ってもよい。この熱固定処理の詳細については後述するが、当該処理によりフッ素樹脂管体10の形状安定性を向上させることができる。
【0026】
次に、本発明のフッ素樹脂管体10の製造方法について、図3を参照して説明する。フッ素樹脂管体10の製造方法は、管体形成工程、管体延伸工程、熱処理工程を含み、図3はこれらの各工程における管体をそれぞれ示す説明図である。
【0027】
管体形成工程は、フッ素樹脂を用いて図3(a)に示す原形管体11に加工する工程である。FEP、PFA等の紫外線を透過させるフッ素樹脂を通常の押し出し成形法等により、略直線状に延びる管体に加工する。
【0028】
管体延伸工程は、図3(a)の原形管体11を所定温度でX方向に延伸させ、図3(b)に示す延伸された原形管体12を得る工程である。この管体延伸工程は、フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の所定温度に維持された加熱炉内で行われる。この管体延伸工程は、変動可能な送り速度で管体を送る送り機構、加熱炉、及び、変動可能な引き速度で管体を引く引き機構を備える延伸装置によって行われる。引き機構の引き速度を、送り機構の送り速度より早くすることで、延伸装置を通過した管体は所望の延伸倍率に延伸される。すなわち、例えば、0.3m/分の送り速度で管体を送り、1.5m/分の引き速度で管体を引くことで、延伸倍率5倍の延伸が行われる。この延伸倍率は、2〜10倍が好ましい。延伸倍率が2倍より小さいと、紫外線透過率が少なく耐圧の面でも効果が小さい。延伸倍率が10倍より大きいと、白化あるいは破断が生じることがある。
【0029】
熱処理工程は、図3(b)の延伸された原形管体12を所定温度でY方向に収縮させ、図3(c)に示すフッ素樹脂管体10を得る工程である。この熱処理工程は、所定の温度に維持された加熱炉内で行われ、延伸されたフッ素樹脂管体10の形状安定性を向上させる工程である。例えば、上記管体延伸工程で延伸倍率5倍に延伸された管体は、延伸後フッ素樹脂が収縮しようとすることにより管体の形状安定性に欠けるので、当該熱処理工程が効果的である。
【0030】
本実施形態において好ましくは、更に、管体の収縮を行う熱固定装置が設置され、この熱固定装置は、上記延伸装置と同様に、変動可能な送り速度で管体を送る送り機構、加熱炉、及び、変動可能な引き速度で管体を引く引き機構を備える。引き機構の引き速度を、送り機構の送り速度より遅くすることで、延伸装置を通過した管体を収縮させる。但し、管体の収縮は、フッ素樹脂管体10の形状安定性を向上させる処理であって、上記延伸工程に比べ、僅かな収縮で十分である。例えば、0.6m/分の送り速度で管体を送り、0.5m/分の引き速度で管体を引く程度の収縮が行われる。
【0031】
なお、この熱処理工程はフッ素樹脂の成形温度以下の所定温度で行われるが、フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で行われることが好ましい。また、本実施形態では管体を収縮させているが、形状安定性を向上させる熱固定処理であれば、例えば、所定温度で一定形状に保持するような熱固定処理や、所定温度で僅かに延伸させるような熱固定処理であってもよい。
【実施例】
【0032】
次に、本発明の実施例について説明する。先ず、FEPを用いたフッ素樹脂管体の実施例1〜4と比較例1〜4の紫外線透過率について説明する。
【0033】
[実施例1]フッ素樹脂管体A
フッ素樹脂の素材にFEP(ダイキン工業製NP−30)を用いて、外径37.3mm、内径36.9mmの寸法を有する原形管体を製作。250℃の加熱炉内で延伸倍率5倍(送り速度:0.3m/分、引き速度:1.5m/分)の延伸工程後の寸法は、外径16.7mm、内径16.5mmとなった。240℃の加熱炉内で熱固定処理(送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径20.0mm、内径19.8mm、厚さ0.1mmのフッ素樹脂管体Aを得た。
【0034】
[実施例2]フッ素樹脂管体B
実施例1と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径15.6mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例1と同じ250℃の加熱炉内で、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分)の延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径7.8mmとなった。200℃の加熱炉内で熱固定処理(実施例1と同じ送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径9.4mm、厚さ0.3mmのフッ素樹脂管体Bを得た。
【0035】
[実施例3]フッ素樹脂管体C
実施例1、2と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径15.0mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例2と同じ延伸条件(延伸温度250℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径7.5mmとなった。実施例2と同じ熱固定処理(熱固定温度200℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径9.0mm、厚さ0.5mmのフッ素樹脂管体Cを得た。
【0036】
[実施例4]フッ素樹脂管体D
実施例1、2、3と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径13.4mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例2、3と同じ延伸条件(延伸温度250℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径6.7mmとなった。実施例2、3と同じ熱固定処理(熱固定温度200℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mmのフッ素樹脂管体Dを得た。
【0037】
[比較例1]フッ素樹脂管体AA
実施例1のフッ素樹脂管体Aと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Aと同一寸法(外径20.0mm、内径19.8mm、厚さ0.1mm)に形成させたフッ素樹脂管体AAを得た。
【0038】
[比較例2]フッ素樹脂管体BB
実施例2のフッ素樹脂管体Bと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Bと同一寸法(外径10.0mm、内径9.4mm、厚さ0.3mm)に形成させたフッ素樹脂管体BBを得た。
【0039】
[比較例3]フッ素樹脂管体CC
実施例3のフッ素樹脂管体Cと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Cと同一寸法(外径10.0mm、内径9.0mm、厚さ0.5mm)に形成させたフッ素樹脂管体CCを得た。
【0040】
[比較例4]フッ素樹脂管体DD
実施例4のフッ素樹脂管体Dと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Dと同一寸法(外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mm)に形成させたフッ素樹脂管体DDを得た。
【0041】
<紫外線透過率測定方法>
分光光度計(島津製作所製UV1200)を用いて、波長200〜400nmの紫外線領域における上記フッ素樹脂管体A〜D、AA〜DDの各紫外線透過率を測定した。
【0042】
<測定結果>
1)実施例1のフッ素樹脂管体Aと比較例1のフッ素樹脂管体AAの測定結果を図4に示す。
【0043】
図4に示すように、実施例1のフッ素樹脂管体Aは、波長200〜400nmの領域全体において90%前後の高い紫外線透過率を示した。一方、比較例1のフッ素樹脂管体AAは、波長の変化と共に紫外線透過率が約15%〜85%と大きく変化し、特に、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では紫外線透過率は約60〜65%であった。
【0044】
2)実施例2のフッ素樹脂管体Bと比較例2のフッ素樹脂管体BBの測定結果を図5に示す。
【0045】
図5に示すように、実施例2のフッ素樹脂管体Bは、波長200〜400nmの領域全体では約42%〜85%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約68〜72%を示した。一方、比較例2のフッ素樹脂管体BBは領域全体では約42%〜85%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約33〜38%を示した。
【0046】
3)実施例3のフッ素樹脂管体Cと比較例3のフッ素樹脂管体CCの測定結果を図6に示す。
【0047】
図6に示すように、実施例3のフッ素樹脂管体Cは、波長200〜400nmの領域全体では約25%〜81%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約62〜65%を示した。一方、比較例3のフッ素樹脂管体CCは領域全体では約0%〜65%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約8〜12%を示した。
【0048】
4)実施例4のフッ素樹脂管体Dと比較例4のフッ素樹脂管体DDの測定結果を図7に示す。
【0049】
図7に示すように、実施例4のフッ素樹脂管体Dは、波長200〜400nmの領域全体では約5%〜75%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約40〜45%を示した。一方、比較例4のフッ素樹脂管体DDは領域全体では約0%〜48%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約2〜3%を示した。
【0050】
次に、PFAを用いたフッ素樹脂管体の実施例5〜8と比較例5〜8の紫外線透過率について説明する。なお、紫外線透過率の測定方法は、実施例1〜4及び比較例1〜4と同じ方法で行った。
【0051】
[実施例5]フッ素樹脂管体E
フッ素樹脂の素材にPFA(三井デュポンフロロケミカル製451HP−J)を用いて、外径37.3mm、内径36.9mmの寸法を有する原形管体を製作。290℃の加熱炉内で延伸倍率5倍(送り速度:0.3m/分、引き速度:1.5m/分)の延伸工程後の寸法は、外径16.7mm、内径16.5mmとなった。280℃の加熱炉内で熱固定処理(送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径20.0mm、内径19.8mm、厚さ0.1mmのフッ素樹脂管体Eを得た。
【0052】
[実施例6]フッ素樹脂管体F
実施例5と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径15.6mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例5と同じ290℃の加熱炉内で、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分)の延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径7.8mmとなった。240℃の加熱炉内で熱固定処理(実施例5と同じ送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径9.4mm、厚さ0.3mmのフッ素樹脂管体Fを得た。
【0053】
[実施例7]フッ素樹脂管体G
実施例5、6と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径15.0mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例6と同じ延伸条件(延伸温度290℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径7.5mmとなった。実施例6と同じ熱固定処理(熱固定温度240℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径9.0mm、厚さ0.5mmのフッ素樹脂管体Gを得た。
【0054】
[実施例8]フッ素樹脂管体H
実施例5、6、7と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径13.4mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例6、7と同じ延伸条件(延伸温度290℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径6.7mmとなった。実施例6、7と同じ熱固定処理(熱固定温度240℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mmのフッ素樹脂管体Hを得た。
【0055】
[比較例5]フッ素樹脂管体EE
実施例5のフッ素樹脂管体Eと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Eと同一寸法(外径20.0mm、内径19.8mm、厚さ0.1mm)に形成させたフッ素樹脂管体EEを得た。
【0056】
[比較例6]フッ素樹脂管体FF
実施例6のフッ素樹脂管体Fと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Fと同一寸法(外径10.0mm、内径9.4mm、厚さ0.3mm)に形成させたフッ素樹脂管体FFを得た。
【0057】
[比較例7]フッ素樹脂管体GG
実施例7のフッ素樹脂管体Gと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Gと同一寸法(外径10.0mm、内径9.0mm、厚さ0.5mm)に形成させたフッ素樹脂管体GGを得た。
【0058】
[比較例8]フッ素樹脂管体HH
実施例8のフッ素樹脂管体Hと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Hと同一寸法(外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mm)に形成させたフッ素樹脂管体HHを得た。
【0059】
<測定結果>
5)実施例5のフッ素樹脂管体Eと比較例5のフッ素樹脂管体EEの測定結果を図8に示す。
【0060】
図8に示すように、実施例5のフッ素樹脂管体Eは、波長200〜400nmの領域全体において90%前後の高い紫外線透過率を示した。一方、比較例5のフッ素樹脂管体EEは、波長の変化と共に紫外線透過率が約18%〜87%と大きく変化し、特に、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約64〜68%を示した。
【0061】
6)実施例6のフッ素樹脂管体Fと比較例6のフッ素樹脂管体FFの測定結果を図9に示す。
【0062】
図9に示すように、実施例6のフッ素樹脂管体Fは、波長200〜400nmの領域全体では約44%〜87%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約67〜71%を示した。一方、比較例6のフッ素樹脂管体FFは領域全体では約1%〜77%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約23〜30%を示した。
【0063】
7)実施例7のフッ素樹脂管体Gと比較例7のフッ素樹脂管体GGの測定結果を図10に示す。
【0064】
図10に示すように、実施例7のフッ素樹脂管体Gは、波長200〜400nmの領域全体では約14%〜80%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約53〜57%を示した。一方、比較例7のフッ素樹脂管体GGは領域全体では約0%〜54%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約3〜5%を示した。
【0065】
8)実施例8のフッ素樹脂管体Hと比較例8のフッ素樹脂管体HHの測定結果を図11に示す。
【0066】
図11に示すように、実施例8のフッ素樹脂管体Hは、波長200〜400nmの領域全体では約1%〜67%の紫外線透過率を示し、殺菌作用のある波長250〜260nmの領域では約20〜26%を示した。一方、比較例8のフッ素樹脂管体HHは領域全体では約0%〜34%の紫外線透過率を示し、波長250〜260nmの領域では約1〜2%を示した。
【0067】
次に、PFAを用いたフッ素樹脂管体(実施例9、10と比較例9、10)について破壊圧力を測定した。実施例9、10、比較例9、10と破壊圧力の測定結果について、以下に説明する。
【0068】
[実施例9]フッ素樹脂管体I
フッ素樹脂の素材にPFA(三井デュポンフロロケミカル製451HP−J)を用いて、外径10.0mm、内径6.6mmの寸法を有する原形管体を製作。290℃の加熱炉内で延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分)の延伸工程後の寸法は、外径5.0mm、内径3.3mmとなった。240℃の加熱炉内で熱固定処理(送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径6.0mm、内径4.0mm、厚さ1.0mmのフッ素樹脂管体Iを得た。
【0069】
[実施例10]フッ素樹脂管体J
実施例9と同一素材を用いて、外径16.6mm、内径13.3mmの寸法を有する原形管体を製作。実施例9と同じ延伸条件(延伸温度290℃、延伸倍率4倍(送り速度:0.2m/分、引き速度:0.8m/分))による延伸工程後の寸法は、外径8.3mm、内径6.6mmとなった。実施例9と同じ熱固定処理(熱固定温度240℃、送り速度:0.6m/分、引き速度:0.5m/分)を行い、外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mmのフッ素樹脂管体Jを得た。
【0070】
[比較例9]フッ素樹脂管体II
実施例9のフッ素樹脂管体Iと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Iと同一寸法(外径6.0mm、内径4.0mm、厚さ1.0mm)に形成させたフッ素樹脂管体IIを得た。
【0071】
[比較例10]フッ素樹脂管体JJ
実施例10のフッ素樹脂管体Jと同一素材を用いて、フッ素樹脂管体Jと同一寸法(外径10.0mm、内径8.0mm、厚さ1.0mm)に形成させたフッ素樹脂管体JJを得た。
【0072】
<破壊圧力測定方法>
フッ素樹脂管体を一定温度雰囲気に保った状態でフッ素樹脂管体の一端を塞ぎ、他端から圧力を徐々に加えていき、フッ素樹脂管体が破裂した時の圧力を測定した。温度条件を1)25℃、2)80℃、3)150℃と変化させて、各フッ素樹脂管体の破壊圧力を測定した。なお、温度条件1)25℃、2)80℃の各測定は、フッ素樹脂管体を25℃又は80℃の一定温度に維持された水中に沈め、フッ素樹脂管体内に水圧をかけて測定した。温度条件3)150℃の測定は、フッ素樹脂管体を150℃に維持された加熱炉中に入れ、フッ素樹脂管体内に窒素ガスを加圧して測定した。
【0073】
<測定結果>
実施例9のフッ素樹脂管体I及び比較例9のフッ素樹脂管体IIの測定結果と、実施例10のフッ素樹脂管体J及び比較例10のフッ素樹脂管体JJの測定結果とを表1に示す。なお、フッ素樹脂管体I、フッ素樹脂管体II、フッ素樹脂管体J、フッ素樹脂管体JJはすべて同一素材(三井デュポンフロロケミカル製451HP−J)で形成され、管体の厚さも同一の1.0mmである。
【0074】
【表1】
表1に示すように、実施例9のフッ素樹脂管体Iの破壊圧力は、すべての温度条件において、比較例9のフッ素樹脂管体IIの破壊圧力より大きい値を示した。同様に、実施例10のフッ素樹脂管体Jの破壊圧力も、すべての温度条件において、比較例10のフッ素樹脂管体JJの破壊圧力より大きい値を示した。
【0075】
次に、実施例10のフッ素樹脂管体Jと比較例10のフッ素樹脂管体JJの温度条件1)25℃での測定結果に基づいて、実施例10(厚さ1.0mm)に代表される延伸された管体(延伸管体)と比較例10(厚さ1.0mm)に代表される未延伸の管体との破壊圧力と使用圧力のシミュレーションを行った。すなわち、内径を8mmとして、厚さを1.0mmから0.1mmに変化させた延伸管体と未延伸管体の各破壊圧力とそれに基づく使用圧力のシミュレーション結果を表2に示す。ここで、使用圧力とは、各管体の破壊圧力に対して安全率を6として求めた圧力である。
【0076】
【表2】
表2に示すように、延伸管体と未延伸管体の各破壊圧力は厚さの減少と共に減少する。ここで、例えば、使用圧力0.3MPaが要求された場合に未延伸管体であれば0.5mmの厚さが必要となるが、延伸管体であれば0.3mmの厚さで使用圧力は0.32MPaとなる。上述した測定結果に示すように、延伸管体の紫外線透過性は未延伸管体より優れており、更に、厚さが薄くなれば紫外線透過性は更に向上する。
【0077】
以上、本発明の実施形態と実施例について説明したが、本発明によれば、フッ素樹脂により原型管体11を形成させた後に、該フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことにより、延伸されたフッ素樹脂管体10(延伸管体)の紫外線透過率及び強度(耐圧性)の両方を、同一フッ素樹脂により延伸管体と同一形状に形成された管体(未延伸管体)の紫外線透過率及び強度(耐圧性)よりそれぞれ増加させることができる。更に、延伸された原型管体12を所定の温度の下で熱固定させたことにより、フッ素樹脂管体10は形状安定性にも優れた効果を有する。
【0078】
また、本発明によれば、上記優れた効果を有するフッ素樹脂管体10を特別な製造設備を新たに設けることなく製造することができるので、フッ素樹脂管体10を容易に且つ低コストで量産することが可能である。
【0079】
なお、本発明の範囲は上述した実施形態や実施例に限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に反しない限り、他の様々な実施形態に適用可能である。例えば、本発明の実施形態では、熱固定処理において延伸された原形管体12を収縮させているが、所定温度で一定形状に保持するような、フッ素樹脂10の形状安定性を向上させる他の方法であってもよい。
【0080】
また、本実施形態(特に実施例)では、FEP又はPFAで形成されたフッ素樹脂管体10について説明したが、本発明に係るフッ素樹脂管体10に適用可能なフッ素樹脂は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、いわゆるTHV(フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンを含有する共重合体)等のような紫外線を透過させるフッ素樹脂であれば、本明細書に例示したフッ素樹脂以外のフッ素樹脂であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るフッ素樹脂管体は、液体の洗浄システムや液体の輸送装置等において使用される他、光透過性の観点からも、例えば、パソコンや携帯電話等のバックライトを覆う光源カバー等、あらゆる分野においても適用が可能である。また、これらのフッ素樹脂管体の製造に本発明に係るフッ素樹脂管体の製造方法は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係るフッ素樹脂管体10の使用の例を示す平面図である。
【図2】本実施形態に係るフッ素樹脂管体10(図2(a))とその原形管体11(図2(b))とを示す説明図である。
【図3】フッ素樹脂管体10の各製造工程における管体を示す説明図である。
【図4】実施例1のフッ素樹脂管体A及び比較例1のフッ素樹脂管体AAの紫外線透過率を示す図である。
【図5】実施例2のフッ素樹脂管体B及び比較例2のフッ素樹脂管体BBの紫外線透過率を示す図である。
【図6】実施例3のフッ素樹脂管体C及び比較例3のフッ素樹脂管体CCの紫外線透過率を示す図である。
【図7】実施例4のフッ素樹脂管体D及び比較例4のフッ素樹脂管体DDの紫外線透過率を示す図である。
【図8】実施例5のフッ素樹脂管体E及び比較例5のフッ素樹脂管体EEの紫外線透過率を示す図である。
【図9】実施例6のフッ素樹脂管体F及び比較例6のフッ素樹脂管体FFの紫外線透過率を示す図である。
【図10】実施例7のフッ素樹脂管体G及び比較例7のフッ素樹脂管体GGの紫外線透過率を示す図である。
【図11】実施例8のフッ素樹脂管体H及び比較例8のフッ素樹脂管体HHの紫外線透過率を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 紫外線殺菌装置、2 進入口、3 給液管、5 排液管、6 排出口、10 フッ素樹脂管体、11 原形管体、12 延伸された原形管体、20 紫外線殺菌ランプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体において、管体形成後に前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことを特徴とするフッ素樹脂管体。
【請求項2】
紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体において、管体形成後に前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させ、更に、所定の温度の下で熱固定させたことを特徴とするフッ素樹脂管体。
【請求項3】
紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体の製造方法において、
前記フッ素樹脂により管体を形成させる工程と、
前記管体を前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させる工程と、
延伸された前記管体を所定の温度の下で熱固定させる工程とを含むことを特徴とするフッ素樹脂管体の製造方法。
【請求項1】
紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体において、管体形成後に前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させたことを特徴とするフッ素樹脂管体。
【請求項2】
紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体において、管体形成後に前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させ、更に、所定の温度の下で熱固定させたことを特徴とするフッ素樹脂管体。
【請求項3】
紫外線を透過させるフッ素樹脂で形成されたフッ素樹脂管体の製造方法において、
前記フッ素樹脂により管体を形成させる工程と、
前記管体を前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上且つ融点以下の温度で延伸させる工程と、
延伸された前記管体を所定の温度の下で熱固定させる工程とを含むことを特徴とするフッ素樹脂管体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−15511(P2006−15511A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193154(P2004−193154)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000145530)株式会社潤工社 (71)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000145530)株式会社潤工社 (71)
【Fターム(参考)】
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