説明

フライ油が汚れにくいまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉

【課題】フライ製品の食感が良好でフライ油が汚れ難く、かつ製品歩留りが高いまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉を提供すること。
【解決手段】α化澱粉を20質量部以上50質量部以下、コーングリッツを20質量部以上50重量部以下、微粉パン粉を5質量部以上20重量部以下含むまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉及びこれを使用したから揚げである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まぶしタイプのから揚げ用ミックス粉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のまぶしタイプのから揚げ用粉は、素材にから揚げ粉をまぶしフライするだけで製品を得られる簡便性が特徴であるが、その反面、水溶きタイプのから揚げ粉と比較してフライ油が汚れ易い、製品歩留りが著しく悪いという欠点があった。
フライ油が汚れにくいまぶしタイプのから揚げ粉として溶解度が30%以下で、かつ膨潤度が10%以上の粉末状α化澱粉を含有することを特徴とするから揚げ粉が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−56599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、フライ製品の食感が良好でフライ油が汚れ難く、かつ製品歩留りが高いまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、α化澱粉、コーングリッツ、微粉パン粉を特定割合で配合したまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉を使用してフライ製品を製造すると、フライ製品の食感が良好でフライ油の汚れが低減され製品の歩留りも向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、α化澱粉を20質量部以上50質量部以下、コーングリッツを20質量部以上50重量部以下、微粉パン粉を5質量部以上20重量部以下含むまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉である。
また、前記から揚げ用ミックス粉を使用したから揚げである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉を使用することにより良好な食感のフライ製品を得ることができる。
また、フライ油の汚れが低減され高い製品歩留まりを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉とは畜肉類、野菜類、魚介類を素材とし、これらの素材にまぶすように直接付着させてフライするためのから揚げ用粉をいう。
本発明のまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉は、α化澱粉を20質量部以上50質量部以下、コーングリッツを20質量部以上50重量部以下、微粉パン粉を5質量部以上20重量部以下含むことを特徴とし、これに必要に応じて、α化澱粉以外の澱粉、コーングリッツ以外の穀粉、植物性蛋白、粉乳、卵粉、塩、調味料、香辛料、膨張剤、乳化剤、色素など従来のまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉に使用されている副資材を配合することができる。
【0008】
本発明において使用できるα化澱粉は、食用澱粉をα化した澱粉であれば特に限定されず、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、サゴ澱粉等を原料としたα化澱粉を使用することができる。
α化澱粉の使用量は、20質量部以上50質量部以下である。
α化澱粉の使用量が20重量部未満である場合は十分な油汚れの軽減及び歩留りの向上効果が得られない。
また50重量部を超える場合にはフライ製品が油っぽくなり好ましくない。
【0009】
本発明において使用できるコーングリッツは食用類であれば特に限定されず、トウモロコシの種類として、例えば、普通種、ワキシー種、ハイアミロース種、白色種、黄色種、デント種、フリント種など種々のものが使用可能であり、特にデント種のコーンを原料として調製したコーングリッツが好ましい。
コーングリッツの使用量は、20質量部以上50重量部以下である。
コーングリッツの使用量が20重量部未満である場合は十分な油汚れの軽減効果及び良好な食感が得られない。
また50重量部を超える場合にはフライ製品の食感が堅くなり好ましくない。
【0010】
本発明おいて使用できる微粉パン粉とは、ブレダーパン粉(クラッカーパン粉)と呼ばれる、小麦粉を主体とした生地をオーブンや高周波で加熱、焼成、粉砕、乾燥させて得られるパン粉であり、目開き2.0mmの篩を通過し目開き0.3mmの篩上に残る粒径のパン粉をいう。
微粉パン粉の使用量は、5質量部以上20重量部以下である。
微粉パン粉の使用量が5質量部未満では、十分な油汚れの軽減効果及び良好な食感が得られない。
また微粉パン粉の使用量が20重量部を超える場合にはフライ製品の食感が堅くなりすぎて好ましくない。
【0011】
まぶしタイプのから揚げ用ミックス粉は、必要に応じて前記副資材を混合して得ることができる。
混合方法は従来のから揚げ用ミックス粉を製造する場合に使用する混合方法であれば特に限定はなく、通常の粉体混合装置、例えば、V型ミキサー、リボンミキサーなどを使用することができる。
【0012】
本発明のまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉は従来のまぶしタイプのから揚げ粉と同様に食材にまぶして使用することができる。
まぶす量は食材により適宜調製し、これをフライすればから揚げを得ることができる。
本発明のまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉は素材への付着性にすぐれ、フライ時に油中で剥離しにくい。
このためフライ油を汚すことが少なく、また素材に対するミックス粉の付着歩留まりが向上するため、通常のまぶしから揚げ製品と比較し素材表面がカリッと仕上がり、良好な食感を得ることができる。
またミックス粉が素材表面にしっかりと付着することにより、フライ中に素材から水分が蒸発する作用を防ぎ、製品の質量減少を抑制することで製品歩留りの向上効果が得られる。
【実施例】
【0013】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3、比較例1〜2]α化澱粉の使用量による影響
表1に示す配合割合の原料を均等になるように混合しまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉を得た。
コーングリッツは目開き355μmを抜け目開き180μm上に残る粒径ものを70%以上配合するタイプを使用した。
微粉パン粉は、目開き2.0mmの篩を通過し目開き0.3mmの篩上に残るクラッカータイプを使用した。
鶏モモ切り身(平均重量25g)100質量部に対して、前記まぶしタイプのから揚げ用ミックス粉約4〜6質量部をまぶし、これを170℃のフライ油で3分間加熱し、から揚げを得た。
【0014】
[評価]
常温1時間保管後パネラー10名により、以下の評価基準によりから揚げの評価を行った。
フライ製品のジューシー感
5点・・・素材がジューシーに仕上がり、非常に良い
4点・・・素材がジューシーに仕上がり、良い
3点・・・普通
2点・・・素材のジューシー感がやや劣る
1点・・・素材のジューシー感がなく、非常に劣る
フライ製品の油っぽさ
5点・・・製品が油っぽくなく、非常に良い
4点・・・製品が油っぽくなく、良い
3点・・・普通
2点・・・製品がやや油っぽく、劣る
1点・・・製品の油っぽさが強く、非常に劣る
フライ製品の食感
5点・・・製品の堅さ、柔らかさのバランスが非常に良い
4点・・・製品の堅さ、柔らかさのバランスが良い
3点・・・普通
2点・・・製品の堅さ、柔らかさのバランスがやや悪い
1点・・・製品の堅さ、柔らかさのバランスに非常に悪い
なお、フライ油の汚れは分光光度計を用いて、波長500nmにおける光の透過率を測定し評価した。
光の透過率の測定値が低いほど油が汚れていることを示す。
なお、使用したフライ油の未使用時の透過率は116.5%Tであった。
歩留まりの測定は、フライ前の鶏モモ切り身の質量でフライ後の製品の質量を除して求めた。
得られた評価結果を表1に示す。
【0015】
【表1】

【0016】
実施例1〜3で得られたから揚げはいずれも満足できる品質であった。
油汚れについても、実施例1〜3においてはいずれも90%Tを超えており、フライ後油の透明度が高かった。
比較例1はジューシー感の評価が悪く、比較例2は油っぽさの評価が悪く満足できる品質ではなかった。
【0017】
[実施例4〜5、比較例3〜4]コーングリッツの使用量による影響
実施例1において、表1に示すまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉原料を表2に示す質量部に変更した以外は実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表2に示す。
【0018】
【表2】

【0019】
実施例4〜5で得られたから揚げはいずれも満足できる品質であった。
油汚れについても、実施例4〜5においてはいずれも90%Tを超えており、フライ後油の透明度が高かった。
比較例3は油の汚れがひどく、比較例4は食感が堅すぎるという点で評価が悪く、満足できる品質ではなかった。
【0020】
[実施例6〜7、比較例5〜6]微粉パン粉の使用量による影響
実施例1において、表1に示すまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉原料を表3に示す質量部に変更した以外は実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表3に示す。
【0021】
【表3】

【0022】
実施例6〜7で得られたから揚げはいずれも満足できる品質であった。
油汚れについても、実施例6〜7においてはいずれも90%Tを超えており、フライ後油の透明度が高かった。
比較例5は食感が柔らかすぎるという点で評価が悪かった。比較例6は油汚れがひどく、食感が堅すぎるという点で評価が悪く、満足できる品質ではなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
α化澱粉を20質量部以上50質量部以下、コーングリッツを20質量部以上50重量部以下、微粉パン粉を5質量部以上20重量部以下含むまぶしタイプのから揚げ用ミックス粉。
【請求項2】
請求項1に記載のから揚げ用ミックス粉を使用したから揚げ。


【公開番号】特開2012−95595(P2012−95595A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245821(P2010−245821)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000231637)日本製粉株式会社 (144)
【Fターム(参考)】