説明

フラクトオリゴ糖蓄積トランスジェニック植物及びその作出方法

スクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を含む遺伝子構築物で植物を形質転換する工程を含む、フラクトオリゴ糖を蓄積するトランスジェニック植物を作出する方法、及び前記方法により作出されたトランスジェニック植物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、フラクトオリゴ糖を高純度かつ高含量で蓄積するトランスジェニック植物及びその作出方法に関する。より具体的には、例えば、カビ由来のβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を植物で発現させ、1−ケストース、ニストース、又は1−フルクトフラノシルニストースの少なくとも1つの成分を蓄積するトランスジェニック植物の作出方法に関する。
【背景技術】
フラクトオリゴ糖は、スクロースにフルクトースがβ2→1結合で結合したオリゴ糖類であり、その還元末端はグルコースである。フラクトオリゴ糖は、難う蝕性や、ビフィズス菌増殖促進作用、コレステロールなどの脂質代謝改善作用、免疫調節作用など様々な生理機能を有することが明らかになっており、機能性食品素材として産業上極めて有用である。フラクトオリゴ糖は、自然界では広く植物に分布しており、例えば、アスパラガス、タマネギ、キクイモ、又は蜂蜜などに含まれていることが知られているが、その含有量は低く、タマネギで2.8g/100g程度といわれている。
近年、微生物由来のβ−フルクトフラノシダーゼの転移反応を利用して、スクロースからフラクトオリゴ糖を大量に製造する技術が確立され、工業的に生産されている。工業的に使用されているカビ由来のβ−フルクトフラノシダーゼは、転移活性が高いことや異性体がほとんど生成しないことが特徴であり、スクロースを基質とした酵素反応を行うことにより、重合度3〜6のフラクトオリゴ糖を効率よく生成する。更に、カビ由来のβ−フルクトフラノシダーゼを改変することにより、親β−フルクトフラノシダーゼにより生成するフラクトオリゴ糖の組成と異なる組成のフラクトオリゴ糖を生成するβ−フルクトフラノシダーゼ変異体が得られている[国際公開第97/34004号パンフレット(特許文献1)]。
一方、植物に特定の遺伝子を導入して形質転換させる技術は、アグロバクテリウム・テュメファシエンス(Agrobacteriumtumefaciens)を用いてタバコに遺伝子が導入されて以来、多くの有用形質を付与した作物が作出されてきた。また、植物に有用成分を蓄積させる試みも行われ、フラクトオリゴ糖を植物に蓄積させた例も公知となっている[国際公開第96/01904号パンフレット(特許文献2)、国際公開第03/00854号パンフレット(特許文献3)、“Nature Biotechnology”16巻,1998年,p.843−846(非特許文献1)]。
しかしながら、前記の先行例におけるフラクトオリゴ糖の生成量は微量であり、また、フラクトオリゴ糖の異性体、例えば、1−ケストースの異性体であるネオケストースや6−ケストースが生成されている[特許文献2,p.56−59,図17A・図17B、特許文献3]。また、貯蔵糖がスクロースであるビートの形質転換体の根及び葉における蓄積量は、それぞれ、1−ケストースが73.8μmol/g FW(3.7%)及び0.1μmol/g FW程度である[非特許文献1]。
【特許文献1】国際公開第97/34004号パンフレット
【特許文献2】国際公開第96/01904号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/00854号パンフレット
【非特許文献1】“Nature Biotechnology”16巻,1998年,p.843−846
【発明の開示】
微生物由来のβ−フルクトフラノシダーゼを用いて発酵生産を行う従来のフラクトオリゴ糖製造法は、製造コストが高いばかりでなく、単糖(グルコース)が副生産物として生成されるため、オリゴ糖の特長である整腸作用・難う蝕性・低カロリー等の生理的機能を損なう問題があった。そのため、クロマト分画等により単糖類を除去する工程が必要となり、更に製造コストを増大することも問題であった。これらの問題点を解決するために、効率よく、より高純度のフラクトオリゴ糖を生成させる方法が望まれている。
植物にフラクトオリゴ糖を蓄積させる方法も試みられているが、高純度のフラクトオリゴ糖、特に、その構成成分である1−ケストース、ニストース、及び/又は1−フルクトフラノシルニストースを高含量でかつ高純度に蓄積するトランスジェニック植物はいまだに報告されていない。
本発明者らは、これまでに植物における発現の報告がされていなかったアスペルギルス・ニガー(Aspergillusniger)由来のβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を用いて、種々の検討を重ね、植物の形質転換が可能な遺伝子構築物を調製した。更に、この遺伝子構築物を用いて植物を形質転換し、植物体として再生させることにより、フラクトオリゴ糖を蓄積できるトランスジェニック植物を作出した。通常、タバコはフラクトオリゴ糖を生成しないが、本発明のトランスジェニック植物の一例であるタバコは、約3〜4μmol/gもの1−ケストースを生産、蓄積し、更に、1−ケストースの異性体、すなわち、6−ケストース及びネオケストースが検出されないという、これまでにない特性を有する。また、本発明のトランスジェニック植物の別の一例であるビートは、その葉中に約0.15μmol/gの1−ケストースを生産、蓄積し、更に、1−ケストースの異性体、すなわち、6−ケストース及びネオケストースが検出されないという、これまでにない特性を有する。
従って、本発明は、スクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼを含む遺伝子構築物で植物を形質転換し、フラクトオリゴ糖を蓄積するトランスジェニック植物を作出する方法、並びに前記方法で作出されたトランスジェニック植物、その子孫植物、及びそれらの種子を提供するものである。更に、本発明のトランスジェニック植物、その子孫植物、及びそれらの種子を用いたフラクトオリゴ糖の製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)スクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を含む遺伝子構築物で植物を形質転換する工程を含む、フラクトオリゴ糖を蓄積するトランスジェニック植物を作出する方法。
(2)β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子が、アスペルギルス(spergillus)属に属する微生物由来、ペニシリウム(Penicillium)属に属する微生物由来、又はスコプラリオプシス(Scopulariopsis)属に属する微生物由来である、(1)に記載の方法。
(3)β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子が、アスペルギルス・ニガー(Aspergillusniger)由来である、(2)に記載の方法。
(4)β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子が、下記からなる群より選択される、(1)に記載の方法:
(a)配列番号1で表わされる塩基配列からなる遺伝子、
(b)配列番号1で表わされる塩基配列を含む遺伝子、
(c)配列番号1で表わされる塩基配列において、1個又は複数個の塩基が欠失、置換、又は付加された塩基配列を含み、かつスクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子、及び
(d)配列番号1で表される塩基配列と85%以上の相同性を有する塩基配列を含み、かつスクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子。
(5)遺伝子構築物が、構成的プロモーター、器官特異的プロモーター又は生育ステージ特異的プロモーターに機能し得るように連結されたβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を含んでなる、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の方法。
(6)プロモーターが、下記からなる群より選択される、(5)に記載の方法:
(i)CaMV35Sプロモーター、
(ii)サツマイモのスポラミンAプロモーター、及び
(iii)サツマイモのスポラミンBプロモーター。
(7)トランスジェニック植物が、双子葉植物又は単子葉植物である、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の方法。
(8)トランスジェニック植物が、ナス科、アカザ科又はイネ科に属する植物である、(7)に記載の方法。
(9)トランスジェニック植物が、タバコ属、フダンソウ属、又はサトウキビ属に属する植物である、(8)に記載の方法。
(10)(1)〜(9)のいずれか一項に記載の方法により作出されたトランスジェニック植物又はその子孫植物。
(11)(10)に記載のトランスジェニック植物又はその子孫植物の種子。
(12)(10)に記載の植物若しくは子孫植物又は(11)に記載の種子を栽培する工程、及び植物体内に蓄積されたフラクトオリゴ糖を採取する工程を含んでなる、フラクトオリゴ糖の製造法。
【発明を実施するための最良の形態】
β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子
β−フルクトフラノシダーゼは、IUBMB(Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology)による分類でEC3.2.1.26に分類されている加水分解酵素の1つである。本発明で用いることのできるβ−フルクトフラノシダーゼは、スクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼである限り、特に限定されるものではない。
本発明におけるフラクトオリゴ糖とは、スクロースにフルクトースがβ2→1結合で重合した重合度3以上のフルクタンであり、還元末端にはグルコースが結合している。重合度3のフルクタンが1−ケストース、重合度4のフルクタンがニストース、重合度5のフルクタンが1−フルクトフラノシルニストースである。本発明では、特に重合度3〜5のフラクトオリゴ糖を効率よく生産することを目的としている。
そこで、本発明では、β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子の選定が重要となる。カビ由来のβ−フルクトフラノシダーゼは、植物や細菌由来のフラクトオリゴ糖生成酵素と比較して、比活性が高く、広いpH領域と温度領域で作用するために効率よくフラクトオリゴ糖を生成し、異性体の生成がほとんど見られないという好ましい特徴を有する。
本発明における好適なβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子として、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物由来、ペニシリウム(Penicillium)属に属する微生物由来、又はスコプラリオプシス(Scopulariopsis)属に属する微生物由来の遺伝子が挙げられる。より好ましくは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillusniger)由来の遺伝子が挙げられる。具体的な例として、国際公開第97/34004号パンフレットに記載のアスペルギルス・ニガー ACE−2−1(ATCC20611)由来の酵素をコードする遺伝子(同パンフレット配列番号2)、ペニシリウム・ロッケフォルチ(IAM7254)由来の酵素をコードする遺伝子(同パンフレット配列番号12)、及びスコプラリオプシス・ブレビカウリス(IFO4843)由来の酵素をコードする遺伝子(同パンフレット配列番号14)、並びに国際公開第99/13059号パンフレットに記載のペニシリウム・ロッケフォルチ(IAM7254)由来の酵素をコードする遺伝子(同パンフレット配列番号2)、及びスコプラリオプシス・ブレビカウリス(IFO4843)由来の酵素をコードする遺伝子(同パンフレット配列番号4)が挙げられる。
また、β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子は、下記からなる群より選択することができる:
(a)配列番号1で表わされる塩基配列からなる遺伝子、
(b)配列番号1で表わされる塩基配列を含む遺伝子、
(c)配列番号1で表わされる塩基配列において、1個又は複数個の塩基が欠失、置換、又は付加された塩基配列を含み、かつスクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子、及び
(d)配列番号1で表される塩基配列と85%以上の相同性を有する塩基配列を含み、かつスクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子。
前記遺伝子(b)は、配列番号1で表わされる塩基配列を含み、かつスクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子である限り、特に限定されるものではない。前記遺伝子(b)としては、例えば、配列番号1で表わされる塩基配列の5’末端及び/又は3’末端に、適当なマーカー配列及び/又は融合用パートナーをコードする塩基配列が付加された塩基配列からなる遺伝子を挙げることができる。
前記マーカー配列としては、例えば、ポリペプチドの発現の確認、細胞内局在の確認、あるいは、精製等を容易に行なうための配列を用いることができ、例えば、FLAGタグ、ヘキサ−ヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを用いることができる。
また、前記融合用パートナーとしては、例えば、精製用ポリペプチド[例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)の全部又は一部]、検出用ポリペプチド[例えば、ヘムアグルチニン又はβ−ガラクトシダーゼαペプチド(LacZ α)の全部又は一部]、又は発現用ポリペプチド(例えば、シグナル配列)などを用いることができる。
前記遺伝子(c)において、欠失、置換、又は付加されてもよい塩基の数は、具体的には1〜60個、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜15個である。
より具体的には、国際公開第97/34004号パンフレットの実施例D1〜D11に記載されている方法で得られる変異体をコードする遺伝子が挙げられる。具体的には、アスペルギルス・ニガー(Aspergillusniger)ATCC20611株由来のβ−フルクトフラノシダーゼの各種変異体である、F170W変異体、G300W変異体、H313K変異体、E386K変異体、F170W+G300W変異体、F170W+G300W+H313R変異体、G300W+H313K変異体、G300V+H313K変異体、G300E+H313K変異体、G300D+H313K変異体、F170W+G300W+H313K変異体、又はF170W+G300V+H313K変異体を挙げることができる。なお、前記変異体の名称は、
原アミノ酸:位置:置換アミノ酸
を意味しており、例えば、170番目のフェニルアラニン(F)をトリプトファン(W)に置換したものは「F170W」として示される。また、多数の変異は、記号「+」によって表わされ、例えば、「F170W+G300V+H313K」は、170、300、及び313番目のアミノ酸であるフェニルアラニン、グリシン(G)、及びヒスチジン(H)が、それぞれトリプトファン、バリン(V)、及びリジン(K)に置換されていることを示す。
β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子は、好ましくは国際公開第97/34004号パンフレット又は国際公開第99/13059号パンフレットに記載の方法に従って調製することができる。より具体的には、国際公開第97/34004号パンフレット実施例A、実施例D1を参照してプラスミドpAN120(同パンフレット図6)を調製した後、BamHIで消化することにより、アスペルギルス・ニガー(Aspergillusniger)ATCC20611株由来のβ−フルクトフラノシダーゼ(FFase)cDNAを得ることができる。
前記遺伝子(d)において、配列番号1で表される塩基配列との相同性は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、98%以上であることが更に好ましく、99%以上であることが特に好ましい。
ここで示した相同性の数値は、当業者に公知の相同性検索プログラムであるBLAST法(Basic local alingment search tool;Altschul,S.F.ら,J.Mol.Biol.,215,403−410,1990)を用いて算出される数値である。
遺伝子構築物
上記のようにして得られるβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子、又はそれを含有するプラスミドを基に、更に植物体で発現可能な遺伝子構築物(植物プラスミド又はバイナリーベクター)を調製することができる。
本発明に使用される遺伝子構築物は、β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子、及び植物体内で機能する適切なプロモーターの他に、適切なターミネーター(例えば、ノパリン合成酵素遺伝子ターミネーター、又はCMV35Sターミネーター等)、発現制御に有用なエレメント、及び/又は形質転換体を選抜するための適切なマーカー遺伝子(例えば、カナマイシン耐性、ハイグロマイシン耐性、又はG418耐性などの薬剤耐性遺伝子)を含むことができる。
植物体内で機能する適切なプロモーターとは、例えば、構成的プロモーター、器官特異的プロモーター、又は生育ステージ特異的プロモーター等が挙げられる。構成的プロモーターとは、植物の器官や生育条件等に関係なく、常に一定量発現させるプロモーターであり、例えば、カリフラワー・モザイク・ウイルス・35S・プロモーター等が挙げられる。器官特異的プロモーターとは、特定の器官(例えば、根、葉、又は茎など)で特異的に発現させるプロモーターであり、例えば、スポラミンAプロモーター又はスポラミンBプロモーター等が挙げられる。生育ステージ特異的プロモーターとは、特定の生育段階(例えば、発芽期又は結実期など)で特異的に発現させるプロモーターである。これらプロモーターは、例えば、使用する宿主、発現させるべき器官・組織、及び/又は生育ステージ等に応じて適切に選択することができる。また、本発明に使用されるプロモーターは、植物内に導入した場合に、RNAポリメラーゼが特異的に結合してその下流方向に転写をはじめることができるプロモーターを意味する。好ましくは以下の群から選択される:
(i)カリフラワー・モザイク・ウイルス・35S・プロモーター(CaMV35Sプロモーター)、
(ii)サツマイモのスポラミンAプロモーター、及び
(iii)サツマイモのスポラミンBプロモーター。
例えば、塊根中でβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を発現させるには、サツマイモのスポラミンプロモーターが好ましい。サツマイモ(Ipomoeabatatas)は貯蔵タンパク質としてスポラミンを産生し、これはサツマイモ塊根の全可溶性タンパク質の60〜80%を占めている。このスポラミンをコードする遺伝子は多重遺伝子族を形成しており、その相同性からスポラミンA遺伝子とスポラミンB遺伝子に分類されている。いずれの遺伝子も塊根で特異的に発現するプロモーターを持つ。また、スポラミンプロモーターは、糖類、特にスクロースで誘導される特徴を有する。
本発明に使用される遺伝子構築物の構築手順は特に限定されるものではないが、例えば、以下のようにして調製することができる。すなわち、アスペルギルス・ニガー由来のβ−フルクトフラノシダーゼcDNAをpBI121(クローンテック社製)のCaMV35Sプロモーターの下流に存在するBamHI部位に挿入し、必要に応じてβ−グルクロニダーゼ遺伝子を除去してバイナリーベクターを得ることができる。前記ベクターは、β−フルクトフラノシダーゼ遺伝子上流にCaMV35Sプロモーターが、下流にはTiプラスミドのヘパリン合成酵素遺伝子のターミネーターが連結されているので、前記ベクターのβ−フルクトフラノシダーゼ遺伝子は植物での発現が可能となる。また、前記ベクターにはカナマイシン耐性遺伝子が存在し、大腸菌等の微生物や植物においてカナマイシン耐性を付与することができる。
β−フルクトフラノシダーゼ遺伝子の植物体への導入、発現
本発明で使用される植物体への遺伝子導入法は特に限定されず、植物細胞又は植物体への遺伝子導入法として当業者に公知のいずれの方法を使用してもよい。例えば、本発明の好適な実施態様の一つとして、遺伝子構築物を植物に導入するためにアグロバクテリムが用いられる。植物を形質転換するためにアグロバクテリウムを用いる場合、導入すべき塩基配列に隣接する位置にT−DNA領域のボーダー配列を連結させることができる。このようなT−DNAを用いる形質転換ベクターの適切な構築は当業者に公知である。
別の実施態様として、カルシウム及び/若しくはポリエチレングリコールを使用した導入法、エレクトロポレーション法、又はパーティクルガン法等が挙げられる。
また、β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を導入する植物は、特に限定されないが、奸ましくは双子葉植物又は単子葉植物である。より好ましくは、双子葉植物ではナス科又はアカザ科、単子葉植物ではイネ科が挙げられる。更に好ましくは、ナス科タバコ属、アカザ科フダンソウ属、又はイネ科サトウキビ属が挙げられる。特により好ましくは、タバコ(Nicotianatabacum)、ビート(サトウダイコン:Betavulgaris var.rapa,テーブルビート:Betavulgaris var.rubra,フダンソウ:Betavulgaris var.vulgaris又はベタ・ウルガリス・アルバ:Betavulgaris var.alba)、若しくはサトウキビ(Saccharumofficinarum)、又はこれらのプロトプラストが挙げられる。ビートやサトウキビは、スクロースを貯蔵する植物であり、それらのスクロース貯蔵器官又は組織においてβ−フルクトフラノシダーゼ遺伝子を発現させることにより、フラクトオリゴ糖の生産において特に有利な効果が得られる。
本発明におけるβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を含む遺伝子構築物の植物の染色体へ導入する方法は、例えば、以下のようなリーフディスク法(Horshら,Science,227,1229−1232,1985)で行うのが好ましい。アグロバクテリウム・テュメファシエンス(Agrobacteriumtumefaciens)をストレプトマイシン(streptomycin)を添加したYEP液体培地において、例えば、28℃で8〜9時間振盪培養した菌体を、常法に従い、プロトプラスト(コンピテントセル)を調製する。β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を含む遺伝子構築物を前述のコンピテントセルに加え、緩やかに混ぜた後に氷上に静置する。続いて、2mm電極幅キュベット(Gene Pluser/coli PulserTM Cuvette,BIO−RAD社製)に移し、エレクトロポレーション装置[例えば、GENE PULSER(R)II system,BIO−RAD社製]で取扱説明書に従ってエレクトロポレーションを行う。処理後の試料にYEP液体培地を加えて28℃で2〜4時間静置培養後、抗生物質(例えば、カナマイシン)を含有するLB培地で培養して形質転換体を得ることができる。
この形質転換体をYEP液体培地で培養し、この培養液を無菌培養した植物の葉から採取したリーフディスクに漬けた後に、茎葉分化培地で培養してカルスを形成、増殖させる。植物用の茎葉分化培地としては、例えば、MS培地(MurashingeとSkoog,Physiol.Plant.,15,473−497,1962)等、公知の培地を使用することができる。その後に選択用の茎葉分化培地を用いて、カルスの選択を行えばよい。例えば、カナマイシン50mg/L〜200mg/Lを加えたものを使用すればよい。
更に、植物体を再分化させるには、MS培地等の公知の培地にカナマイシン等を加えた根分化培地を用いて培養すればよい。発根した幼植物体を移植して栽培することにより植物体(トランスジェニック植物)を得ることができる。その種子を栽培し、その子孫植物及びその種子を得ることができる。
なお、本明細書におけるトランスジェニック植物又は子孫植物における用語「植物」には、生物個体の全体としての植物体だけでなく、その一部である器官(例えば、葉、茎、根、花、又は果実等)、組織、及び細胞などが含まれる。
トランスジェニック植物体中のフラクトオリゴ糖の採取・分析
本発明のトランスジェニック植物体内のフラクトオリゴ糖を採取・分析する方法として、例えば、以下のように行うことができる。植物体の各器官(根、茎、又は葉等)を液体窒素中で粉砕して一定量を秤量し、蒸留水を所定量加えて充分に攪拌する。遠心分離により上清を回収し、薄層クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィー等公知の方法で分析することにより、植物体におけるフラクトオリゴ糖の生成・蓄積を確認することができる。
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:タバコへのβ−フルクトフラノシダーゼ遺伝子の導入
(1)CaMV35Sプロモーターを含むバイナリーベクターの調製
国際公開第97/34004号パンフレット実施例A、実施例D1を参照して調製したプラスミドpAN120(同パンフレット図6)をBamHIで消化し、アスペルギルス・ニガー(Aspergillusniger)ATCC20611株由来のβ−フルクトフラノシダーゼ(FFase)cDNA(配列番号1)を含む約1.9kbのBamHI−BamHI断片を得た。pBI121(Clonetech社製)をBamHIで消化し、前記のFFase cDNAを含むBamHI−BamHI断片とDNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造社製)を用いて連結し、pBI121のCaMV35Sプロモーターの下流にFFase遺伝子が挿入されたバイナリーベクターを作製した。
(2)サツマイモのスポラミンAプロモーターを含むバイナリーベクターの調製
サツマイモのスポラミンAプロモーターをHattori,T.,and Nakamura,K,“Plant Mol.Biol.”,11巻,1988年,p.417−426に記載の方法に従って調製した。得られたスポラミンAプロモーターを更にHindIIIで消化し、スポラミンAプロモーターのHindIII−HindIII断片(約1kbp)を得た。
pBI101(Clonetech社製)をSmaI、SacIで消化し、平滑化して自己連結させることにより、β−グルクロニダーゼ遺伝子を除去したプラスミドpBI101−GUSを得た。
pBI101−GUSをHindIIIで消化し、前記のスポラミンAプロモーターのHindIII−HindIII断片とDNA Ligation Kit Ver.2を用いて連結した。続けて、連結したプラスミドをBamHIで消化し、実施例1の(1)と同様に調製したFFase cDNAを含むBamHI−amHI断片とDNA Ligation Kit Ver.2を用いて連結し、pBI101−GUSのHindIII部位にスポラミンAプロモーターが、その下流にあるBamHI部位にFFase遺伝子が挿入されたバイナリーベクターを作製した。
(3)サツマイモのスポラミンBプロモーターを含むベクターの調製
サツマイモのスポラミンBプロモーターをHattori,T.,and Nakamura,K,“Plant Mol.Biol,”,11巻,1988年,p.417−426に記載の方法に従って調製した。得られたスポラミンBプロモーターを更にHindIII及びPstIで消化し、スポラミンBプロモーターのHindIII−PstI断片(約0.75kbp)を得た。得られた断片を、pBlueScript KS(−)のマルチクローニングサイトに挿入した。得られたプラスミドをBamHIで消化し、実施例1の(1)と同様に調製したFFase cDNAを含むBamHI−BamHI断片とDNA Ligation Kit Ver.2を用いて連結した。得られたプラスミドをHidIII、XbaIで消化し、スポラミンBプロモーターとその下流にFFase遺伝子を含む約2.7kbpの断片を得た。続いて、実施例1の(2)に記載の方法に従って調製したプラスミドpBI101−GUSをHindIII及びbaIで消化し、前記の約2.7kbpの断片とDNA Ligation Kit Ver.2を用いて連結し、pBI101−GUSのHindIII−XbI部位に、スポラミンBプロモーターとその下流にFFase遺伝子が挿入されたバイナリーベクターを作製した。
(4)タバコへの遺伝子導入と植物体再生
アグロバクテリウム・テュメファシエンス(Agrobacteriumumefaciens)LBA4404(プラスミド,7巻,1982年,p.15)をYEP液体培地(ストレプトマイシン添加)250mLにおいて28℃で8〜9時間振盪培養した(O.D.600=0.5まで)。

遠心分離した菌体に氷冷10%グリセロール溶液[9.31%(W/V)スクロース、10%(V/V)グリセロール、1mmol/L塩化マグネシウム]200mLを加えて懸濁する操作を3回繰り返した。更に、氷冷10%グリセロール溶液20〜30mLを加え懸濁して遠心分離し、得られた菌体に氷冷10%グリセロール溶液400〜600μLを加えて懸濁し、液体窒素で瞬間凍結してコンピテントセルとした。
実施例1の(1)、(2)、及び(3)で調製した3種のバイナリーベクターDNA各1μLを、それぞれ前記コンピテントセル50μLに加え、緩やかに混ぜた後30秒以上氷上に静置後、2mm電極幅キュベット(Gene Pluser/coli PulserTM Cuvette,BIO−RAD社製)に移し、エレクトロポレーション装置[GENE PULSER(R)II system,BIO−RAD社製]で取扱説明書に従ってエレクトロポレーションを行った。処理後の各試料にYEP液体培地1mLを加えて28℃で2〜4時間静置培養した後、カナマイシンを含有するLB培地で培養して、3種のバイナリーベクターDNAの各々で形質転換された形質転換体を得た。

得られた各形質転換体をYEP液体培地において28℃で振盪培養して培養液を得た(O.D.550=1.0まで培養)。無菌培養したタバコ(Nicotianatabacum Samsun NN株)の無菌葉から切り出したリーフディスク(5〜7mm四方)をMS液体培地に浸し、前記培養液を加え、30分間静置した。

前記リーフディスクから、余分な培養液を滅菌済みの濾紙で除去し、MSシュート分化培地Aに葉の裏面を上にして植え、25℃暗所にて3〜4日間培養した。リーフディスクをMSシュート分化培地Bに植え替え、25℃で16時間明所/8時間暗所で培養した。3〜4週間で新しいMSシュート分化培地Bに植え替え、シュートが1cmくらいまで伸びた後、シュートのみをMSシュート分化培地Cに植え替え、完全な植物体を得た。その後は、MS寒天培地に植え継いだ。なお、前記MSシュート分化培地A〜Cは、MS培地に、それぞれ以下に示す化合物を添加した培地である。

(5)タバコ植物体へのβ−フルクトフラノシダーゼ遺伝子導入の確認
(5a)タバコ植物体からの全DNA単離
実施例1の(1)、(2)、及び(3)のバイナリーベクターを用いて各々得られたタバコ植物体の葉組織50〜100mgを採取し、−80℃で冷凍した後、100μLの抽出用緩衝液を加えて解凍した。


超音波破砕機で葉組織を1〜2分間磨砕した後、DNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、添付の取扱説明書に記載の方法に従ってタバコ植物体の全DNAを得た。
(5b)PCR法による導入遺伝子の検出
β−フルクトフラノシダーゼ遺伝子を導入した領域の上流・下流となる領域の配列をもとにプライマーを設計した。
実施例1の(1)のバイナリーベクターを用いて得られた植物体の検出用プライマーとして、CaMV35Sプロモーター領域3‘側、及びnos−Ter.領域5’側の配列をもとに、以下のプライマーを設計した。

実施例1の(2)のバイナリーベクターを用いて得られた植物体の検出用プライマーとして、上流側にサツマイモ由来スポラミンAプロモーターを調製する際に用いたプライマー(SPOA1S)、下流側にβ−フルクトフラノシダーゼ遺伝子配列の下流領域をもとに設計したプライマー(FFaseRev)を使用した。

実施例1の(3)のバイナリーベクターを用いて得られた植物体の検出用プライマーとして、上流側にサツマイモ由来スポラミンBプロモーターを調製する際に用いたプライマー(SPOB1S2)、下流側にβ−フルクトフラノシダーゼ遺伝子配列の下流領域をもとに設計したプライマー(前記のFFaseRev:配列番号5)を使用した。

実施例1の(5a)で調製した、各植物体の全DNAを鋳型として用いてPCR反応を行い、増幅された遺伝子断片を観察した。実施例1の(1)のバイナリーベクターを用いて得られた植物体の全DNAからは、β−フルクトフラノシダーゼ遺伝子(約1.9kbp)+GUS遺伝子(約2kbp)の合計約4kbpの断片が確認された。また、実施例1の(2)又は(3)のバイナリーベクターを用いて得られた各植物体の全DNAからは、スポラミンプロモーター(約1kbp)+β−フルクトフラノシダーゼ遺伝子(約1.9kbp)の合計約3kbpの断片がそれぞれ確認された。
実施例2:タバコ植物体内のフラクトオリゴ糖の分析
実施例1の(3)のバイナリーベクター(サツマイモのスポラミンBプロモーターを含有する)を用いて、実施例1の(4)に記載の方法で得られたタバコ形質転換体の茎中のフラクトオリゴ糖を以下のように分析した。同様の方法で、形質転換を行っていないタバコ親株についても分析を行った。
30cm以上に成長したタバコ植物体の茎下部約1.5g生重量を液体窒素存在下で磨砕し、純水1.5mLを加えて撹拌した。80℃〜85℃で1.5時間保温後、遠心分離した上清を分析に供した。高速液体クロマトグラフィー分析は、検出器:示差屈折計410(Waters社製)、カラム:ハイバーリクロカート250−4リクロスフェア100NH2 4mmI.D.×250mm(関東化学社製)を用いて行い、分析条件は、移動相:アセトニトリル:水=72:28、流速:毎分1.0mL、温度:40℃で行った。その結果を表1に示した。

フラクトオリゴ糖を全く生産しないタバコの茎中において、本発明の方法で形質転換されたタバコ(トランスジェニック植物)はフラクトオリゴ糖の成分である1−ケストース(GF)及びニストース(GF)を顕著に生成・蓄積していることが確認された。また、表1には示していないが、1−ケストースの異性体、すなわち、6−ケストース及びネオケストースは検出されなかった。
実施例3:ビートへのβ−フルクトフラノシダーゼ遺伝子の導入及びビート植物体内のフラクトオリゴ糖の分析
実施例1(4)と同様にアグロバクテリウム法によりフルクトフラノシダーゼ遺伝子をビートに導入した。なお、導入するβ−フルクトフラノシダーゼ遺伝子としては、実施例1(1)で調製したバイナリーベクターを使用した。
遺伝子導入後の植物個体再生までの操作は、以下に示すとおり、使用した培地を若干変更したこと以外は、実施例1(4)と同様に実施した。すなわち、ビート葉から切り出したリーフディスクに遺伝子を導入した後、MSシュート分化培地Dで培養し、MSシュート分化培地Eに植え替え、シュートが充分に1cm以上に生育してから、MSシュート分化培地Cに植え替え、植物個体の再生を行った。なお、前記MSシュート分化培地D及びEは、MS培地に、それぞれ以下に示す化合物を添加した培地である。


ビート植物体の葉0.3gFW(fresh weight)を液体窒素存在下で磨砕し、純水1mLを加えて撹拌した。80〜85℃で1.5時間保温後、遠心分離した上清を実施例2と同じHPLC分析に供した。その結果、0.15μmol/gFWの1−ケストースが検出された。また、1−ケストースの異性体、すなわち、6−ケストース及びネオケストースは検出されなかった。
【産業上の利用可能性】
本発明により、フラクトオリゴ糖を植物体内に高含量かつ高純度で蓄積させたトランスジェニック植物が得られ、フラクトオリゴ糖を効率よく産生することができる。
【配列表フリーテキスト】
以下の配列表の数字見出し<223>には、「Artificial Sequence」の説明を記載する。具体的には、配列表の配列番号2〜6の配列で表される各塩基配列は、それぞれ、プライマーCAMV35S、プライマーnos−Ter、プライマーSPOA1S、プライマーFFaseRev、及びプライマーSPOB1S2である。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
【配列表】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を含む遺伝子構築物で植物を形質転換する工程を含む、フラクトオリゴ糖を蓄積するトランスジェニック植物を作出する方法。
【請求項2】
β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子が、アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物由来、ペニシリウム(Penicillium)属に属する微生物由来、又はスコプラリオプシス(Scopulariopsis)属に属する微生物由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子が、アスペルギルス・ニガー(Aspergillusniger)由来である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
β−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子が、下記からなる群より選択される、請求項1に記載の方法:
(a)配列番号1で表わされる塩基配列からなる遺伝子、
(b)配列番号1で表わされる塩基配列を含む遺伝子、
(c)配列番号1で表わされる塩基配列において、1個又は複数個の塩基が欠失、置換、又は付加された塩基配列を含み、かつスクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子、及び
(d)配列番号1で表される塩基配列と85%以上の相同性を有する塩基配列を含み、かつスクロースをフラクトオリゴ糖に変換する作用を有するβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子。
【請求項5】
遺伝子構築物が、構成的プロモーター、器官特異的プロモーター、又は生育ステージ特異的プロモーターに機能し得るように連結されたβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
プロモーターが、下記からなる群より選択される、請求項5に記載の方法:
(i)CaMV35Sプロモーター、
(ii)サツマイモのスポラミンAプロモーター、及び
(iii)サツマイモのスポラミンBプロモーター。
【請求項7】
トランスジェニック植物が、双子葉植物又は単子葉植物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
トランスジェニック植物が、ナス科、アカザ科、又はイネ科に属する植物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
トランスジェニック植物が、タバコ属、フダンソウ属、又はサトウキビ属に属する植物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により作出されたトランスジェニック植物又はその子孫植物。
【請求項11】
請求項10に記載のトランスジェニック植物又はその子孫植物の種子。
【請求項12】
請求項10に記載の植物若しくは子孫植物又は請求項11に記載の種子を栽培する工程、及び植物体内に蓄積されたフラクトオリゴ糖を採取する工程を含む、フラクトオリゴ糖の製造法。

【国際公開番号】WO2004/078966
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503042(P2005−503042)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002564
【国際出願日】平成16年3月2日(2004.3.2)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【Fターム(参考)】