フラットケーブル、及びフラットケーブルとプリント配線板との接続構造
【課題】フラットケーブルの導体露出部と、それに対応するプリント配線板に形成された電極部とをはんだ材で接続するに当たり、長期間の振動や衝撃等の機械的負荷に対し、接続部が破断、破損等を生じることなく安定した接続信頼性を確保する。
【解決手段】フラットケーブル1は、並列に配置された複数本の導体3と、複数本の導体3を被覆する絶縁フィルム4と、絶縁フィルム4の端部の表面に設けられた第1補強部材10と、第1補強部材10に対して導体3及び絶縁フィルム4を挟んで対向する位置に設けられた第2補強部材20とを備え、第1補強部材10は、第2補強部材20の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板11と、補強金属板11の周囲の一部を被覆する被覆部材12と、補強金属板11、被覆部材12及び絶縁フィルム4を接着させる接着剤13とを有し、第2補強部材20は、第1補強部材10の被覆部材よりも大きい剛性を有する。
【解決手段】フラットケーブル1は、並列に配置された複数本の導体3と、複数本の導体3を被覆する絶縁フィルム4と、絶縁フィルム4の端部の表面に設けられた第1補強部材10と、第1補強部材10に対して導体3及び絶縁フィルム4を挟んで対向する位置に設けられた第2補強部材20とを備え、第1補強部材10は、第2補強部材20の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板11と、補強金属板11の周囲の一部を被覆する被覆部材12と、補強金属板11、被覆部材12及び絶縁フィルム4を接着させる接着剤13とを有し、第2補強部材20は、第1補強部材10の被覆部材よりも大きい剛性を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットケーブル、及びフラットケーブルとプリント配線板との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車載用インバータユニットやエンジンコントロールユニット内に実装される複数枚のプリント配線板間の電気的接続用の配線部品として、ワイヤーハーネスが用いられており、ワイヤーハーネスとプリント配線板との接続には、コネクタ部品を用いた接続構造が採用されている。近年、車載機器の小型・薄型化と低コスト化との両立を実現する一方策として、ワイヤーハーネスに代わる配線部材の使用と、コネクタ部品を用いない接続方法の適用、及び接続工程の簡略化とが求められている。
【0003】
このような車載機器の小型化や低コスト化に対応するため、車載機器内の配線部品に、並列配置された複数の導体、例えばCu合金(無酸素銅、タフピッチ銅)等で構成される導体部を、導体部の厚さ方向の両面から被覆用の絶縁フィルムを接着材によって接着被覆して一体化したFFC(Flexible Flat Cable)と呼ばれるフラットケーブルを採用する基板間接続構造が提案されている。このFFCでは、導体長手方向の両端部に絶縁フィルムから外部に露出する導体露出部が形成されており、この導体露出部が、プリント配線板が有する電極部に接続される。なお、車載機器内の配線部品として用いられるフラットケーブルには、MFJ(Multi Frame Joiner)やFPC(Flexible Print Circuit)等も採用されている。
【0004】
これらのフラットケーブルの露出導体部とプリント配線板に設けられた電極部との接続には、コネクタを介することなく、はんだ材や導電性接着材等の接合材で直接接続する構造が採用されることがある。はんだ材等による直接接続は、接続部の領域の縮小による小型化への対応を可能とし、接続部品点数を削減することを可能とするだけでなく、プリント配線板に実装される配線部品以外の電子部品のはんだ接続と一括接続することにより、実装工程の削減や簡略化も可能となる。
【0005】
一方、車載機器には、長期間の使用に耐える高い信頼性も求められている。車載機器に実装される配線部品やその接続部についても、長期間の振動負荷や熱負荷に対する信頼性確保が不可欠である。複数枚のプリント配線板間を接続する配線部品では、車載機器に作用する振動負荷に応じて発生する配線部品自体の共振振動等により、配線部品の接続部に繰り返し機械的負荷が作用する。この機械的負荷により、配線部品の接続部が疲労破壊する可能性が高いので、車載機器用配線部品では、特に振動負荷に対する信頼性確保が重要になっている。
【0006】
車載機器では長期間にわたる信頼性確保が不可欠であり、フラットケーブル自体やフラットケーブルの接続部にも振動負荷や熱負荷に対する信頼性確保が要求される。特に、エンジンルーム内に搭載される車載機器には、振動や衝撃等の機械的負荷に対する信頼性が重要視されている。信頼性向上には、車載機器全体の構造を最適化するとともに、フラットケーブルの接続部にかかる機械的負荷を低減し、機械的負荷に対する耐性を向上する構造や手段を検討することが必要である。
【0007】
上述したようなフラットケーブルの導体露出部とプリント配線板の電極部とをはんだ材で接続した基板間配線部品では、導体露出部の接続部近傍に負荷がかかりやすい構造になっている。特に、被覆材端部の導体露出部や導体露出部の先端のはんだ接続部のフィレット上端部に大きな応力が集中する。
【0008】
プリント配線板の電極部とフラットケーブルの導体露出部との接続部に、機械的負荷、特に、フラットケーブルの厚さ方向(プリント配線板の電極部とフラットケーブルの導体露出部との接続界面を引き剥がす方向)に高振幅の機械的負荷が作用すると、接続部の破断や剥がれ、又はフラットケーブルの導体露出部の断線が発生する場合がある。
【0009】
フラットケーブルの導体露出部とプリント配線板の電極部との接続部にかかる機械的負荷を低減する方法として、FFCやFPC等のフラット配線材を回路基板に拘束するためのフラット配線材拘束用クリップを設け、回路基板上にフラット配線材の導体が接続された状態で、フラット配線材をフラット配線材拘束用クリップによってフラット配線材の導体端部よりも回路基板端部に近い側の部分で回路基板上に押さえ込む方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
上記特許文献1に記載のように、回路基板上にフラット配線材の導体が接続された状態で、フラット配線材をフラット配線材拘束用クリップによって回路基板上に押さえ込む手段によれば、フラット配線材の接続部に引き剥がし方向の機械的外力が加えられた場合は、その機械的外力が接続部に作用するのをフラット配線材拘束用クリップの拘束によって阻止することができる。その結果、回路基板とフラット配線材との接続部の破損を防止することができる。
【0011】
また、フラットケーブルの導体とプリント配線板の回路との接続部を補強する手段として、フラットケーブルとプリント配線板との密着性を向上させ、両者の接続部を補強する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この従来の方法によると、FFCの端部導体に直角曲げ部を形成し、プリント配線板(FPC等)の対応する回路に形成した孔にFFCの導体の端部を挿入する。そして、FPCの裏面でFFCの導体をFPCへ圧着又ははんだ付けして固定し、導体の両面からプラスチック板からなる補強板で補強するか、あるいは粘着テープで押さえている。
【0012】
上記特許文献2に記載のように、フラットケーブルの導体とプリント配線板の回路との接続部を補強する手段によれば、フラットケーブルの導体とプリント配線板の回路との接続部とを、フラットケーブルとプリント配線板とともに上下両面から補強板又は粘着テープを多重に巻いて固定することで、接続部に作用する機械的外力を低減することができる。
【0013】
更に、フラットケーブルやフレキシブル配線板等のケーブルをプリント配線板に接続して固定する手段として、プリント配線板上に載置したケーブルに押圧力を加える固定板(金属からなる板)をケーブル上部に設け、この固定板をネジによってプリント配線板に固定する方法、あるいは先端に爪を形成した端子をプリント配線板に設けた孔に挿入することでプリント配線板に固定する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0014】
上記特許文献3に記載のように、フラットケーブルやフレキシブル配線板などのケーブルをプリント配線板に固定する手段によれば、ケーブルの導体とプリント配線板との接続部を覆う固定板をネジや先端に爪を形成した端子によってプリント配線板に固定することができるので、接続部に作用する機械的外力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−143784号公報
【特許文献2】特開平8−203577号公報
【特許文献3】特開2002−216873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記特許文献1記載の方法においては、フラット配線材拘束用クリップが単一棒材の曲げ加工によって形成されており、回路基板を挟み込むような形状に曲げ加工した部分の弾性変形力(ばね力)によってフラット配線材を回路基板に押さえ込む構造になっている。このフラット配線材拘束用クリップの弾性変形力は、振動等の機械的負荷が長期間にわたり繰り返し加わることによって次第に劣化することが懸念される。この弾性変形力、即ち、拘束力の劣化によって、フラット配線材の接続部に作用する引き剥がし方向への機械的外力が次第に増加していき、いずれは破損に至ることが考えられる。
【0017】
また、上記特許文献2記載の構造は、フラットケーブルとプリント配線板とを含めて両者の接続部を覆うように補強する構造であるので、補強板や粘着テープを設ける領域がフラットケーブルの幅やプリント配線板の幅よりも拡大し、接続部の小型化を阻害する要因になる。
【0018】
また、この特許文献2記載の技術では、プラスチック板からなる補強板や粘着テープによって接続部を補強する構成になっている。プラスチック板の補強板は、車載機器に搭載した場合の機械的負荷に対して剛性不足になることが予想され、十分な負荷抑制効果が得られない場合がある。車載機器が長時間にわたって断続的に高温に晒されることによるプラスチック板の軟化や粘着テープの接着力(あるいは粘着力)の劣化によっても、補強効果が低下し、十分な負荷抑制効果が得られなくなる可能性がある。
【0019】
更に、特許文献3記載の手段では、振動等の機械的負荷が長期間にわたって繰り返し加わることによって、ネジや先端に爪を形成した端子とプリント配線板との固定部に緩みが生じることが予想される。この緩みによって固定板による拘束力が低下し、ケーブル導体の接続部に作用する機械的外力が増加し、ケーブルの導体に破損が発生する場合がある。
【0020】
また、フラットケーブルの導体露出部とプリント配線板の電極との接続において、導体露出部にS字状(ガルウイング状)の折り曲げ部を形成し、折り曲げ部の先端部分をプリント配線板の電極上に載置し、はんだ接続する構造が適用される場合がある。この接続構造では、導体露出部のフィルムの根元部分において、フラットケーブル下面(プリント配線板に対向する面)とプリント配線板の上面との間に隙間が生じる。
【0021】
接続部の近傍においてフラットケーブルとプリント配線板との間に隙間が存在する状態で、上記特許文献1記載の技術を用いると、フラット配線材拘束用クリップの弾性変形力(ばね力)によってフラットケーブルがプリント配線板の側に変形する(隙間が狭くなる方向に変形する)ことが予想される。このような変形により導体露出部のはんだ接続部やフィルム端部の導体に機械的応力が発生し、この機械的応力が長時間継続した状態で更に振動等の負荷が作用することで、この機械的応力の発生部分において破損が発生する場合がある。
【0022】
また、上記特許文献2記載の技術についても、補強板や粘着テープでフラットケーブルをプリント配線板に押さえ付ける構造であるので、上記特許文献1と同様の問題を生じる場合がある。更に、上記特許文献3記載の技術についても、金属板からなる固定板によってケーブル導体接続部をプリント配線板に押さえ付ける構造であるので、他の上記特許文献に記載の技術と同様の問題を生じる場合がある。つまり、上記特許文献1〜3記載の従来の接続方法では、長期間の振動や衝撃等の機械的負荷によって拘束力が低下してしまうこと、フラットケーブルが変形してしまうことが懸念される。
【0023】
従って、本発明の目的は、フラットケーブルの導体露出部と、それに対応するプリント配線板に形成された電極部とをはんだ材で接続するにあたり、振動や衝撃等の機械的負荷に対し、接続部が破断、破損等を生じることなく安定した接続信頼性を確保することができるフラットケーブル及びフラットケーブルとプリント配線板との接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、上記目的を達成するため、並列に配置された複数本の導体と、前記複数本の導体を被覆する絶縁部材と、前記絶縁部材の端部の表面に設けられた第1補強部材と、前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられた第2補強部材と、を備え、前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有し、前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有することを特徴とするフラットケーブルを提供する。
【0025】
また、本発明は、上記目的を達成するため、フラットケーブルとプリント配線板とを備え、前記フラットケーブルが、並列に配置された複数本の導体と、前記複数本の導体を被覆した絶縁部材と、前記絶縁部材の端部の表面に設けられ、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板に固定させる第1補強部材と、前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられ、前記プリント配線板に固定させる第2補強部材と、を備え、前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有し、前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有し、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板の対応する電極に接続したことを特徴とするフラットケーブルとプリント配線板との接続構造を提供する。
【0026】
前記第2補強部材は、補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有するものでもよい。
【0027】
前記第2補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さよりも薄い厚さを有するものでもよい。
【0028】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記導体の厚さよりも厚い厚さを有するものでもよい。
【0029】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属体の端部は、先端が先細りしたテーパ形状又は弧状でもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、フラットケーブルの導体露出部と、それに対応するプリント配線板に形成された電極部とをはんだ材で接続するに当たり、長期間の振動や衝撃等の機械的負荷に対し、接続部が破断、破損等を生じることなく安定した接続信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の典型的な第1の実施の形態であるフラットケーブルを模式的に示す側面図である。
【図2】図1に示すフラットケーブルの平面図である。
【図3】図1に示すフラットケーブルの正面図である。
【図4】図1のフラットケーブルをプリント配線板に実装した状態を模式的に示す部分断面図である。
【図5】図1のフラットケーブルを実装した状態を模式的に示す平面図である。
【図6】図1のフラットケーブルを2枚のプリント配線板の間を繋ぐように実装した状態を模式的に示す断面図である。
【図7】図1に示すフラットケーブルの製造工程フローを説明するための図である。
【図8A】図1のフラットケーブルを製造する工程を模式的に示す断面図である。
【図8B】図8Aの次の工程を示す断面図である。
【図8C】図8Bの次の工程を示す断面図である。
【図8D】図8Cの次の工程を示す側面図である。
【図8E】図8Dの次の工程を示す平面図である。
【図8F】図8Eの次の工程を示す断面図である。
【図9】図8Eの工程後のフラットケーブルをプリント配線板に実装した状態を模式的に示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態であるフラットケーブルを模式的に示す断面図である。
【図11】図10のフラットケーブルをプリント配線板に実装した状態を模式的に示す部分断面図である。
【図12A】第3の実施の形態であるフラットケーブルを製造する工程を模式的に示す断面図である。
【図12B】図12Aの次の工程を示す断面図である。
【図12C】図12Bの次の工程を示す断面図である。
【図12D】図12Cの次の工程を示す側面図である。
【図13】図12Dの工程後のフラットケーブルをプリント配線板に実装した状態を模式的に示す断面図である。
【図14A】第4の実施の形態であるフラットケーブルを製造する工程を模式的に示す断面図である。
【図14B】図14Aの次の工程を示す断面図である。
【図14C】図14Bの次の工程を示す断面図である。
【図14D】図14Cの次の工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[実施の形態の要約]
本発明の実施の形態に係るフラットケーブルは、並列に配置された複数本の導体と、前記複数本の導体を被覆する絶縁部材とを備えたフラットケーブルにおいて、前記絶縁部材の端部の表面に設けられた第1補強部材と、前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられた第2補強部材とを備え、前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤とを有し、前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有するものである。
【0033】
また、本発明の実施の形態に係るフラットケーブルとプリント配線板との接続構造は、フラットケーブルとプリント配線板とを備えたフラットケーブルとプリント配線板との接続構造において、前記フラットケーブルが、並列に配置された複数本の導体と、前記複数本の導体の両端部以外の中間部分を被覆した絶縁部材と、前記絶縁部材の端部の表面に設けられ、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板に固定させる第1補強部材と、前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられ、前記プリント配線板に固定させる第2補強部材とを備え、前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤とを有し、前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有し、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板の対応する電極に接続したものである。
【0034】
上記第2補強部材を第1補強部材の被覆部材よりも剛性を大きくするためには、補強金属板の周囲を被覆部材で被覆してもよく、第2補強部材を第1補強部材に設けられた被覆部材の厚さよりも厚い厚さの被覆部材で構成してもよいが、これらに限定されない。
【0035】
次に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0036】
[第1の実施の形態]
(フラットケーブルの全体構成)
図1〜図4において、全体を示す符号1は、フラットケーブルの全体構成を例示している。このフラットケーブル1は、フラットケーブル本体2と、フラットケーブル本体2の長手方向の両端部をプリント配線板30に固定補強する両側一対の第1補強部材10,10とを備えている。この第1補強部材10,10のそれぞれは、フラットケーブル本体2の長手方向両端部をプリント配線板30に固定補強するための第2補強部材20,20を備えている。この第1補強部材10及び第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の表裏面側に対向して配置される。即ち、この第2補強部材20は、第1補強部材10の略投影面内に設けられており、第1及び第2補強部材10,20は、接着剤や粘着剤等を用いてフラットケーブル本体2の表裏面側に固定される。なお、フラットケーブルの全体構成について第1補強部材10、第2補強部材20をフラットケーブル本体2の両端部に設けた構成で説明したが、第1補強部材10、第2補強部材20をフラットケーブル本体2の片端のみに設けた構成であっても構わない。
【0037】
(フラットケーブル本体の構成)
このフラットケーブル本体2は、図1〜図4及び図8Cに示すように、複数本の信号用の導体3と、導体3の端部を除く中間部分を被覆した絶縁部材の一例としての絶縁フィルム4と、導体3及び絶縁フィルム4を接着固定した接着剤5とを有する。
【0038】
この導体3には、例えば無酸素銅やタフピッチ銅などの銅合金材料が用いられる。銅合金材料の表面には、めっきを施してもよく、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、銀(Au)などの金属からなる群から選択される少なくとも1種以上の金属材料が用いられる。このめっき処理により、銅合金材料の表面に単層又は複数の層の金属層を形成することができる。絶縁フィルム4には、絶縁性を有するフィルム状のポリイミド樹脂などが用いられる。接着剤5としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂などが用いられる。
【0039】
この導体3は、図1〜図4に示すように、細長い板状に形成されており、フラットケーブル本体2の幅方向に並列に配置されている。複数本の導体3により信号用導体群が構成される。この導体3の長手方向両端部は、絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出させた導体露出部3aとされている。この導体露出部3aの中間部分には、S字形状あるいはガルウイング形状をなす導体折曲部3bが折曲して形成されている。この導体露出部3aの先端部分は、プリント配線板30の外部導体である電極に接続される導体はんだ接続部3cとされている。導体露出部3aが必要以上に延びていると、この導体露出部3aと、配線部品などを搭載する機器の筐体との接触で、短絡が生じる可能性がある。そのため、導体露出部3aとしては、極力少なく延出した構成が好適である。
【0040】
(補強部材の全体構成)
この第1の実施の形態において最も主要な構成は、フラットケーブル端部補強部材である一対の第1補強部材10及び第2補強部材20にある。図示例によれば、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端部表面には第1補強部材10が固定されるとともに、その端部表面の反対側の端部表面には第2補強部材20が固定されている。第1補強部材10及び第2補強部材20は、実質的に同様の形状及び構造からなる。
【0041】
この第1補強部材10及び第2補強部材20は、図1〜図4に示すように、導体3の導体はんだ接続部3cの近傍部分を補強することで変形を拘束するための部材であり、導体3の長手方向とは異なる方向に向けて複数本の導体3の一部を覆い、絶縁フィルム4の端面4aを含む領域の一部に設けられている。この第1補強部材10は、フラットケーブル本体2の上面、即ちプリント配線板30に対向しない面(以下、「非対向面」ともいう。)に設けられる。一方の第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の下面、即ちプリント配線板30に対向する面(以下、「対向面」ともいう。)に設けられる。
【0042】
図示例では、第1及び第2補強部材10,20は、並列に配置された導体3の配列方向に向かう細長い矩形形状を有している。この第1及び第2補強部材10,20は、複数本の導体3の幅方向に沿って導体群を横断して導体群の一部を覆うとともに、第1及び第2補強部材10,20の中心が絶縁フィルム4の端面4aから所定の距離をおいた位置に配置される。この第1及び第2補強部材10,20の幅方向側の端部と絶縁フィルム4の端面4aとは、図4及び図8Cに示すように面一に配置されている。なお、第1及び第2補強部材10,20は、絶縁フィルム4の端面4aから導体露出部3a側に延出してもよい。
【0043】
(第1補強部材の構成)
この第1補強部材10は、図1〜図4及び図8Cに示すように、細長い直方形の補強金属板11と、補強金属板11を被覆する絶縁被覆層である被覆部材12と、補強金属板11及び被覆部材12を接着する接着層である接着剤13とを有する。この補強金属板11を用いて第1補強部材10の中心領域を構成することで、第1補強部材10の剛性を高めている。ここで言う剛性とは、フラットケーブルに加わる外力によって生じる屈曲、引張り、ねじれなどに対する変形のしずらさのことである。フラットケーブルに加わる外力の例として、フラットケーブル自体の共振振動などがある。フラットケーブル本体2を構成する導体3、絶縁フィルム4、及び接着剤5と、第1補強部材10を構成する補強金属板11、被覆部材12、及び接着剤13とは、同じ材料もしくは特性が類似した材料を用いるとともに、ほぼ同じように積層された複数層の層状に構成されている。
【0044】
この補強金属板11としては、導体3より高強度の材料を用いることが望ましく、例えば燐青銅や鉄(Fe)−ニッケルNi合金などが用いられる。この補強金属板11の表面には、導体3と同様に、めっきを施してもよく、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、銀(Au)などの金属を単独もしくは複数の材料を積層した状態で用いることができる。なお、補強金属板11としては、金属材以外の樹脂材を補強板として用いてもよく、あるいは補強金属板11を導体3と同じ材料で構成することもできる。この場合は、補強金属板11の剛性を高くするため、補強金属板11の厚さを導体3より厚く、例えば0.75〜1.0mmに設定することが好適である。
【0045】
この被覆部材12の材質としては、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4と同じ絶縁性を有するフィルム状のポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂(PTFE、PFA等)、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が用いられる。
【0046】
一方の接着剤13は、図8Cに示すように、フラットケーブル本体2の対向面側の被覆部材12を挟んで上下側に設けられており、下側の接着剤13によりフラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の表面に固定される。この接着剤13としては、フラットケーブル本体2の接着剤5と同一の材質であってもよく、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、又はアクリル樹脂等を接着剤として塗布し、これを硬化させて接着部材とすることができる。第1補強部材10とフラットケーブル本体2とを接着する機能を損なわない限り、接着剤13を薄く形成することが好ましい。接着剤13は、第1補強部材10に対して部分的に設けてもよいが、界面の剥離防止の観点から、第1補強部材10の全長にわたって設けることが好ましい。
【0047】
この第1補強部材10の補強金属板11は、図1〜図4に示すように、補強部材の長手方向の両端部(並列に配置された導体3の配列方向における端部)において、被覆部材12から外部へ部分的に露出しており、金属板露出部11aを形成している。この金属板露出部11aは、先細りテーパ状部及び直線状部を連続して形成することで延出されている。この先細りテーパ状部及び直線状部の間で、フラットケーブル本体2の下面(プリント配線板対向面)方向に折り曲げた金属板折曲部11bが形成されている。この金属板折曲部11bの自由端部は金属板挿入部11cとされている。この金属板挿入部11cは、複数の導体3のそれぞれに対応して設けられるプリント配線板30のスルーホール電極などに挿入される。その金属板挿入部11cの先端部分は、スルーホール電極に接続されるはんだ接続部となる。
【0048】
図示例によると、金属板挿入部11cの先端部分は、ストレート形状になっているが、これに限定されるものではない。金属板挿入部11cの先端部分を、例えばテーパ形状や弧状などの各種形態に形成することで、金属板露出部11aをプリント配線板30のスルーホール電極に容易に挿入させることができる。
【0049】
(第2補強部材の構成)
この第2補強部材20にあっても、図8Cに示すように、細長い直方形の補強金属板21と、補強金属板21を被覆する被覆部材22と、補強金属板21及び被覆部材22を接着する接着剤23とを有する。これにより、第2補強部材20は、第1補強部材10の被覆部材12よりも大きい剛性を有することになる。この補強金属板21を用い、第2補強部材20の中心領域を構成することで第2補強部材20の剛性を高めている。この補強金属板21、被覆部材22、及び接着剤23は、第1補強部材10の構成部材と同じ材料もしくは特性が類似した材料を用いるとともに、ほぼ同じように積層された複数層の層状に構成されている。
【0050】
この接着剤23は、フラットケーブル本体2の対向面側の被覆部材22を挟んで上下側に設けられており、上側の接着剤23によりフラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の表面に固定される。第2補強部材20とフラットケーブル本体2とを接着する機能を損なわない限り、接着剤23を薄く形成することが好適である。接着剤23は、第2補強部材20に対して部分的に設けてもよく、第2補強部材20の全長にわたって設けてもよい。
【0051】
この第2補強部材20は、接着剤23によりフラットケーブル本体2及びプリント配線板30の両部材に接着して固定されるが、接着剤23は高温になると軟化し、変形拘束効果が低下する場合がある。この接着剤23には、ガラス転移温度が高い材料を用いることが好ましい。第1補強部材10による拘束作用があるので、第2補強部材20における接着剤23が高温環境下で軟化した場合であっても、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量が著しく増加することはない。
【0052】
この第2補強部材20の機能から言えば、第2補強部材20としては、変形しにくい特性を有する構成が好ましく、弾性率が第1補強部材10より高いことが好適である。この第2補強部材20の補強金属板21は、接着剤23よりも弾性率が高いことが一般的である。そのため、この補強金属板21は、図8Cに示すように、第1補強部材10の補強金属板11よりも薄い厚さの補強板、例えば0.05〜0.1mmを固定部材として用いることで、第2補強部材20全体の弾性率の低下を抑制している。
【0053】
(フラットケーブルとプリント配線板との接続構造)
図4及び図5を参照すると、図4及び図5には、フラットケーブル1をプリント配線板30に実装した状態が例示されている。図4及び図5では、フラットケーブル1の一側の端部をプリント配線板30に実装した一例を示しているが、フラットケーブル1の他側の端部にあっても同様に、プリント配線板30に実装される。
【0054】
プリント配線板30の表面には、図4及び図5に示すように、表面電極部32が電気絶縁性のソルダーレジスト33から露出している。はんだ材や導電性接着剤などの接合材31により、導体3の導体はんだ接続部3cが、対応する表面電極部32と電気的導通がなされるように接合されている。
【0055】
この第1補強部材10における補強金属板11aの金属板挿入部11cは、図4及び図5に示すように、プリント配線板30に形成されたスルーホール30aに挿入されており、スルーホール30aの内面に形成されたスルーホール電極34、及びはんだ材などの接合材35によって接合されている。
【0056】
この導体3の導体はんだ接続部3cとプリント配線板30の表面電極部32とを接続する接合材31には、溶融温度約218℃のSn−3Ag−0.5Cu(mass%)や溶融温度約221℃のSn−3.5Ag(mass%)等のはんだ材が用いられる。第1補強部材10の金属板挿入部11cとプリント配線板30のスルーホール電極34とを接続する接合材35にあっても、接合材31と同様のはんだ材を用いることができる。
【0057】
上記のように構成された第1及び第2補強部材10,20を介してプリント配線板30に実装されたフラットケーブル1は、図6に示すように、一対のプリント配線板30,30を繋ぐために、フラットケーブル1の中央部分がU字状に折り曲げられた状態で実装される。
【0058】
このプリント配線板30は、図6に示すように、フラットケーブル本体2や第1補強部材10よりも板厚が厚く(例えば1.0mm以上1.6mm以下程度)、剛性を高く形成している。これにより、積層された2枚のプリント配線板30,30の間をフラットケーブル1で繋いだプリント配線板実装品を搭載した機器に機械的振動が負荷されると、2枚のプリント配線板30,30の間を繋いでいるフラットケーブル1自体にも共振現象によって大きな振動変形が発生する場合がある。
【0059】
特に、フラットケーブル1にプリント配線板30の板厚方向の振動変形が生じると、この振動変形は導体3の固定端となる導体はんだ接続部3cの近傍部分に集中して作用する。その結果、導体はんだ接続部3cをプリント配線板30の表面電極部32に接合する接合材31の上端部や導体3の絶縁フィルム4の端面4a近傍部分における導体露出部3aなどに高い応力を生じさせる。
【0060】
図示例によるフラットケーブル1の接続構造にあっては、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4a近傍部分に配置された第1補強部材10は、補強金属板11に導体3よりも高強度の材料を用いるか、あるいは導体3よりも肉厚の材料を用いることで剛性を高めている。特に、フラットケーブル本体2のプリント配線板非対向面側(上側)に配置する第1補強部材10の補強金属板11を高強度・高剛性の材料で構成することで、導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形を抑制して、高応力の集中を分散させている。
【0061】
この構成に加えて、第1補強部材10の補強金属板11における金属板露出部11aの先端部分となる金属板挿入部11cをプリント配線板30のスルーホール30aに挿入し、この金属板挿入部11cのはんだ接続部において、スルーホール電極34と接合材31とで接合される構成となっている。このように、フラットケーブル本体2よりも高剛性であるプリント配線板30に第1補強部材10を介してフラットケーブル本体2を固定する構成とすることで、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分は、プリント配線板30に強固に固定される。導体はんだ接続部3cにおける近傍部分の振動変形は、プリント配線板30によって拘束されるので、導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量は著しく減少する。
【0062】
一方、第1補強部材10の略投影面内に設けられたフラットケーブル本体2とプリント配線板30との間の隙間には、比較的に剛性の高い第2補強部材20が介在されている。この構成により、プリント配線板30によりフラットケーブル本体2を強固に拘束するとともに、フラットケーブル本体2が互いに対向する一対のプリント配線板30,30の対向面方向に変形しようとする動きを物理的に抑制する。導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量が更に低減される。
【0063】
(補強部材、及びフラットケーブルとプリント配線板との接続構造の効果)
以上のように構成された第1の実施の形態に係る補強部材、及びフラットケーブルとプリント配線板との接続構造によると、上記効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0064】
第1補強部材10は、補強金属板11の金属板露出部11aを介してフラットケーブル本体2よりも剛性の高いプリント配線板30に固定される。一方の第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4とプリント配線板30との双方に固定される。かかる構成により、導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形を第1及び第2補強部材10,20と一緒にプリント配線板30で拘束することが可能になる。このような第1及び第2補強部材10,20の形成と、第1及び第2補強部材10,20のプリント配線板30への固定により、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4a近傍の導体部分、及びはんだフィレット上端部の導体部分の剛性差が大きく相違する箇所に加わる振動や衝撃などの機械的負荷が、フラットケーブル本体2を実装したプリント配線板30を搭載している機器に加わったとしても、プリント配線板30自体の板厚方向の振動による導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量を大幅に低減することができる。それと同時に、フラットケーブル本体2の導体3に発生する応力を大幅に低減することができる。
【0065】
即ち、図6に示したような一対のプリント配線板30,30を繋ぐフラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分にフラットケーブル本体2の共振振動によって生じる変形を、第1及び第2補強部材10,20による拘束によって抑制することができる。導体3の導体はんだ接続部3cの上端部や絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分における導体露出部3aに高い応力が集中するのを抑止することができる。
【0066】
このフラットケーブル1は、フラットケーブル本体2とプリント配線板30との対向面間に第2補強部材20を配置している。このため、導体露出部3aをS字形状もしくはガルウイング形状に折曲げ加工を施して形成された導体折曲部3bを介して形成した平坦な導体はんだ接続部3cをプリント配線板30の対応する表面電極部32に接続することで、導体はんだ接続部3cの底面(プリント配線板対向面)をプリント配線板30の表面電極部32に対して押し付けることができる。その結果、導体3とプリント配線板30との間隔が必要以上に広がることを防止することができる。この間隔を制御することで、はんだ材を用いた接続時に、はんだ内にボイドが発生し、そのボイドが残留するのを抑制する効果が得られる。ボイドを抑制することにより、振動等の機械的負荷が導体はんだ接続部3cに作用した場合であっても、ボイドが存在することによる応力集中を抑制できるので、導体はんだ接続部3cの損傷発生を防止することができる。
【0067】
フラットケーブル1をプリント配線板30に実装するとき、フラットケーブル本体2の上方から過度の押し付け力が加えられる場合がある。導体露出部3aに導体折曲部3bを設けると、押し付け荷重によって導体露出部3aが変形し、導体3の導体はんだ接続部3cの上端部や絶縁フィルム4の端面4a近傍における導体露出部3aなどに高い応力が発生し、破損する場合がある。
【0068】
図示例では、絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分にフラットケーブル本体2とプリント配線板30との間の隙間を埋める第2補強部材20が、フラットケーブル本体2をプリント配線板30側に押し付ける力を負担する緩衝材の役目を果たす。これにより、導体露出部3aに過度な荷重が作用するのを抑制することができる。第2補強部材20を絶縁フィルム4とプリント配線板30との双方に固定させることで、フラットケーブル本体2とプリント配線板30との間の隙間を狭くする方向の変形を抑制することが容易になる。
【0069】
(フラットケーブルの製造方法)
以下に、図7及び図8A〜図8Fを参照しながら、フラットケーブル1の製造方法を説明する。なお、図7〜図8Fにおいて、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示している。
【0070】
フラットケーブル1を製造するにあたっては、先ず、フラットケーブル本体2を構成する導体3、絶縁フィルム4及び接着剤5と、第1補強部材10を構成する補強金属板11、被覆部材12及び接着剤13と、第2補強部材20を構成する補強金属板21、被覆部材22及び接着剤23とを用意する(図7に示すステップS101、S201、S301)。それらの構成部材を積層して仮付けする(図7のステップS102、S202、S302)。この導体3、及び補強金属板11,21の外形加工は、金型を用いた打ち抜き加工(スタンピング)やエッチングなどで行う。絶縁フィルム4、及び被覆部材12,22の外形加工は、金型による打ち抜き加工(パンチング)などで行う。
【0071】
フラットケーブル1は、図8Aに示すように、所定の形状に外形加工した導体3、及び同じく所定の形状に導体3の長さより短く外形加工した絶縁フィルム4に接着剤5を塗布し、この絶縁フィルム4を導体3の両端部を除く中間部の上下面側に接着剤5を介して積層して仮付けする。
【0072】
第1補強部材10は、図8Aに示すように、所定の形状に外形加工した補強金属板11、及び同じく所定の形状に外形加工した被覆部材12に接着剤13を塗布し、この被覆部材12を補強金属板11の上下面側に接着剤13を介して積層して仮付けする。
【0073】
一方の第2補強部材20にあっても、第1補強部材10と同様に、被覆部材22を補強金属板21の上下面側に接着剤23を介して積層して仮付けする。以上より、図7に示すステップS101,S102、S201,S202、及びS301,S302の作業が終了する。次に、図7のステップS403へ移る。
【0074】
ステップS403においては、図8Bに示すように、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aと面一になるように、フラットケーブル本体2の上面に第1補強部材10を、フラットケーブル本体2の下面に第2補強部材20をそれぞれ載置し、これらを接着剤13,23によって仮付けする。これにより、フラットケーブル本体2、第1補強部材10、及び第2補強部材20からなる積層体が得られる。なお、図8Bにおいてはフラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示しているが、フラットケーブル本体2の図示しない他側の端部にも、一側の端部と同様に、第1補強部材10、及び第2補強部材20を仮付けする。以上より、図7のステップS403の作業が終了する。次に、図7のステップS404へ移行する。
【0075】
ステップS404においては、フラットケーブル本体2、第1補強部材10、及び第2補強部材20からなる積層体の上下方向に熱プレス加工によって圧力を加えることで、図8Cに示すように補強金属板11,21の上下面側を被覆部材12,22、及び接着剤13,23によりラミネートする。なお、熱プレス加工は真空中で実施してもよい。次に、図7のステップS405において、ラミネートした積層体の構成部材に熱処埋を施して、接着剤5,13,23を硬化させる。次の図7のステップS406において、ラミネートした積層体の外形の打ち抜き加工を行い、図8D及び図8Eに示すように、所定の形状にトリミングする。次に、図7のステップS407へ移行する。
【0076】
ステップS407においては、図8Fに示すように、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出した導体露出部3aに所定の形状に折り曲げ加工を施して導体折曲部3b及び導体はんだ接続部3cを形成する。第1補強部材10の補強金属板11にも、所定の形状に折り曲げ加工を施すことで金属板折曲部11b及び金属板挿入部11cを形成する。なお、この折り曲げ加工は、金型を用いたプレス加工などで行う。そして、折り曲げ加工終了後、図7に示すステップS408において、フラットケーブル本体2の検査を実施し、最終製品となるフラットケーブル1を得る。
【0077】
(フラットケーブルの製造方法の効果)
このフラットケーブル本体2を構成する導体3、絶縁フィルム4、及び接着剤5と、第1補強部材10を構成する補強金属板11、被覆部材12、及び接着剤13と、第2補強部材20を構成する補強金属板21、被覆部材22、及び接着剤23とは、同じ材料もしくは特性が類似した材料を用いており、ほぼ同じように積層された積層構造を有する。このような構成を採用することで、フラットケーブル本体2と同じ製造工程で、第1及び第2補強部材10,20を製造することができる。
【0078】
更に、フラットケーブル本体2を形成する材料、第1及び第2補強部材10,20を形成する材料のそれぞれを所定の配置で積層し、ラミネート処理によって一体化することで、図示例によるフラットケーブル1を一括して製造することが可能である。これにより、第1及び第2補強部材10,20は、被覆部材12,22、及び接着剤13,23を介してフラットケーブル本体2に強固に固定される。
【0079】
フラットケーブル本体2は、第1及び第2補強部材10,20の構成部材をフラットケーブル本体2の構成部材と同一あるいは類似の部材で構成することにより、従来のフラットケーブルの製造工程を用いて、第1及び第2補強部材10,20を備えたフラットケーブル1の一体的な製造が可能となる。フラットケーブル本体2と第1及び第2補強部材10,20とを一体化することによって、第1及び第2補強部材10,20を備えたフラットケーブル1のプリント配線板30への実装を1回のリフロー工程で行うことができるとともに、実装工程の簡略化を図ることができる。
【0080】
(フラットケーブルのプリント配線板への実装方法)
次に、上記のように製造されたフラットケーブル1をプリント配線板30に実装する一例について、図6及び図9を用いて説明する。なお、図6及び図9において、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示している。
【0081】
フラットケーブル1をプリント配線板30に実装するにあたり、先ず、メタルマスクを用いた印刷法やディスペンス法などを用い、プリント配線板30の表面電極部32とスルーホール電極34とにペースト状はんだ材などの接合材31,35を塗布する。次に、スルーホール電極34にフラットケーブル本体2における第1補強部材30の金属板挿入部11cを位置合わせするとともに、表面電極部32上にフラットケーブル本体2における導体3の導体はんだ接続部3cを位置合わせする。
【0082】
続いて、フラットケーブル本体2の一方の導体はんだ接続部3cをプリント配線板30の表面電極部32に載置するとともに、フラットケーブル本体2の金属板挿入部11cをプリント配線板30のスルーホール30aに挿入する。これと同様に、フラットケーブル本体2の他方の導体はんだ接続部3cをプリント配線板30の表面電極部32に載置するとともに、フラットケーブル本体2の金属板挿入部11cをプリント配線板30のスルーホール30aに挿入する。
【0083】
次に、フラットケーブル本体2の両端部のそれぞれが、一対のプリント配線板30,30の間を繋ぐように載置された状態でハンドリングされ、続いて、はんだリフロー炉のベルトコンベアまで搬送され、ベルトコンベアでリフロー炉内を移動する間に接合材31,35を溶融・凝固させる。この操作により、フラットケーブル本体2における導体3の導体はんだ接続部3cとプリント配線板30の表面電極部32とが接合される。それと同時に、補強金属板11における金属板挿入部11cの先端部であるはんだ接続部とプリント配線板30のスルーホール電極34とが接合される。
【0084】
(フラットケーブルのプリント配線板への実装方法の効果)
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では、実装直後から機器に搭載するまでの工程において、搬送時のハンドリングや機器搭載時の取り扱いによって導体3の導体はんだ接続部3cの近傍部分に静的あるいは動的な機械的負荷が加わり、導体はんだ接続部3cの近傍部分が損傷する場合がある。このような機械的負荷に対し、図示例によるフラットケーブル本体2の実装構造は、導体はんだ接続部3cの近傍部分を第1補強部材10で補強するとともに、その第1補強部材10をプリント配線板30に固定する構成となっている。この構成を採用することで、機械的負荷が導体はんだ接続部3cの近傍部分に加わることを抑制することができる。その結果、導体はんだ接続部3cの近傍部分が損傷することを防止することができる。
【0085】
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、第1補強部材10の補強金属板11を折り曲げ、その先端部分の金属板挿入部11cをプリント配線板30のスルーホール30aに挿入する。この構成により、フラットケーブル1をプリント配線板30に実装する場合における導体はんだ接続部3cと、導体はんだ接続部3cに対応するプリント配線板30の表面電極部32との位置合わせを容易に、かつ、正確に実施することができる。
【0086】
また、従来の接続方法では、フラットケーブルとは異なる拘束用クリップ、導体接続部の表裏両面を覆う補強板、あるいは固定板のネジ留めなどの別の部材を用いて、導体はんだ接続部の機械的負荷を低減している。部材が異なることから部品点数が多くなるとともに、フラットケーブルをプリント配線板に実装する工程では、機械的負荷低減のための部材のプリント配線板への実装工程を別に設ける必要があり、実装工程削減や工程簡略化を阻害する要因となるおそれがあった。
【0087】
これに対し、フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、第1及び第2補強部材10,20は、絶縁フィルム4の表面に接着材等により固定され、フラットケーブル本体2と一体化される。この構成を採用することで、部品点数を従来のケーブルに比べて削減することができるとともに、フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装する工程と同時に、絶縁フィルム4の表面とプリント配線板30の表面との間の隙間を第2補強部材20で埋めることができる。プリント配線板30へのフラットケーブル実装工程数の増加も抑制した健全なフラットケーブル1のプリント配線板30への実装構造が得られる。
【0088】
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、プリント配線板30の表面電極部32に接合して形成された導体3の導体はんだ接続部3cの近傍に、複数本の導体3からなる導体群を導体配列方向に横断する第1補強部材10を設け、その第1補強部材10における補強金属板11の金属板挿入部11cの一部がプリント配線板30に固定される。この構成により、機械的負荷が加わることによる導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量を大幅に低減できるので、フラットケーブル本体2の導体3及びプリント配線板30の接合材31に生じる応力を抑制することができる。
【0089】
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、プリント配線板30の表面と絶縁フィルム4の表面との間に第2補強部材20を固定する。この構成により、フラットケーブル1の導体3の導体板厚方向に変形するために要する物理的な空間(隙間)を埋めることができるとともに、フラットケーブル本体2をプリント配線板30に固定することができる。その結果、フラットケーブル本体2の導体3の導体はんだ接続部3cの近傍に生じる変形をより一層低減することができる。
【0090】
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、フラットケーブル1の端部に露出させた導体3が、接合材31を介してプリント配線板30の表面電極部32に直接接続される。そのため、振動や衝撃等の機械的負荷に対して高い耐性を発揮することができる。
【0091】
以上の説明において、本発明のフラットケーブル1、及びフラットケーブル1とプリント配線板30との接続構造を上記第1の実施の形態、変形例、及び図示例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。本発明にあっては、次に示すような他の実施の形態も可能である。
【0092】
[第2の実施の形態]
この第2の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態に係るフラットケーブル本体2、及びフラットケーブル本体2のプリント配線板30への接続構造と基本的な構成において変わるところはない。図10及び図11において、上記第1の実施の形態と大きく異なるところは、上記第1の実施の形態では、第2補強部材20のプリント配線板対向面側に被覆部材22を設けた構成となっていたものを、この第2の実施の形態にあっては、第2補強部材20のプリント配線板対向面側の被覆部材22に接着部材24を設けた点にある。
【0093】
なお、図10及び図11において、上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。また、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示しているが、フラットケーブル本体2の図示しない他側端部にあっても、第1及び第2補強部材10,20が設けられる。
【0094】
この第2補強部材20は、図10に示すように、細長い直方形の補強金属板21と、補強金属板21を被覆する被覆部材22と、補強金属板21及び被覆部材22を接着する接着剤23とを備えており、更に、プリント配線板対向面側の被覆部材22に接着部材24を備えている。プリント配線板30にフラットケーブル本体2を実装する際には、第2補強部材20のプリント配線板対向面が、図11に示すように、接着部材24を介してプリント配線板30上に接着される。
【0095】
この接着部材24としては、例えばポリイミドフィルムなどからなる基材の両面に接着層を形成した構成や基材を持たずに接着層のみで形成された構成などが用いられる。この接着層としては、接着剤23と同様の材料であってもよく、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、又はシリコーン樹脂などの材料を用いることができる。
【0096】
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態と同様に、第1補強部材10をフラットケーブル本体2のプリント配線板30の非対向面側に設けるとともに、第1補強部材10における補強金属板11の一部である金属板挿入部11cの先端部分をプリント配線板30のスルーホール30aに接合材31を介して接合される。この構成により、フラットケーブル本体2における絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分に設けられた第1補強部材10により、導体3の導体はんだ接続部3cの近傍部分の振動変形を抑制し、高応力の集中を分散することができる。
【0097】
これと相まって、この接着部材24による第2補強部材20とプリント配線板30との接着により、フラットケーブル本体2を更に強固にプリント配線板30に固定する構成となっているので、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形は、プリント配線板30によって一層拘束される。
【0098】
この第2補強部材20は、フラットケーブル本体2とプリント配線板30との双方に接着されるので、導体3の導体はんだ接続部3cに作用する機械的負荷を広い面積で拘束することができるようになり、変形抑制効果が向上する。これにより、導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形をより一層抑制することができるようになり、導体はんだ接続部3cの上端部や絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分における導体露出部3aなどに発生する応力を抑制したフラットケーブル1を得ることが可能となる。なお、この第2の実施の形態の上記効果に加えて、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られることは勿論である。
【0099】
[第3の実施の形態]
この第3の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態に係るフラットケーブル本体2、及びフラットケーブル本体2のプリント配線板30への接続構造と基本的な構成において変わるところはない。図12A〜図12D及び図13において上記第1の実施の形態と大きく異なるところは、上記第1の実施の形態にあっては、第2補強部材20の補強金属板21のプリント配線板対向面側に被覆部材22を備えた構成となっていたものを、この第3の実施の形態では、第2補強部材20の補強金属板21におけるプリント配線板対向面側の被覆部材22を取り除いた点にある。
【0100】
なお、図12A〜図12D及び図13において上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。また、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示しているが、フラットケーブル本体2の図示しない他側の端部にあっても、第1補強部材10、及び第2補強部材20が設けられる。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
【0101】
この第2補強部材20は、図12Aに示すように、補強金属板21のプリント配線板対向面側の補強金属板21の表面を外部に露呈している。第2補強部材20は、図12Bに示すように、接着剤23を介して仮付けした状態でフラットケーブル本体2に積層される。
【0102】
フラットケーブル本体2と、第1及び第2補強部材10,20とは、図12Bに示すように、フラットケーブル本体2の上面に第1補強部材10を、フラットケーブル本体2の下面に第2補強部材20をそれぞれ載置し、これらを接着剤13,23によって仮付けした状態で積層される。第1補強部材10及び第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aと面一に配置される。
【0103】
フラットケーブル本体2、第1補強部材10、及び第2補強部材20の上下方向に熱プレス加工によって圧力を加えることで、図12Cに示すようにラミネートされて一体成形される。熱処埋を施すことで接着剤5,13,23を硬化させる。フラットケーブル本体2の外形の打ち抜き加工を行うことで、所定の形状にトリミングする。
【0104】
図12Dにおいて、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出した導体3の導体露出部3aに所定の形状に折り曲げ加工を施して導体折曲部3b及び導体はんだ接続部3cを形成する。第1補強部材10の補強金属板11にも、所定の形状に折り曲げ加工を施すことで、金属板折曲部11b及び金属板挿入部11cを形成する。これにより、フラットケーブル1が得られる。
【0105】
図13には、上記のように製造されたフラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した一例が例示されている。
【0106】
第2補強部材20の補強金属板21は、接着剤23から露出しているプリント配線板対向面において、プリント配線板30の対応する表面電極部36にはんだ材などの接合材37によって接合される。第2補強部材20の補強金属板21とプリント配線板30の表面電極部36との接合は、導体3の導体露出部3aと表面電極部32との接合、及び第1補強部材10の金属板挿入部11cとプリント配線板30のスルーホール電極34との接合と同じリフロー加熱によって同時に実施する。
【0107】
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態の効果に加えて、以下の効果を有する。この第3の実施の形態では、フラットケーブル本体2における絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分に配置された第2補強部材20から補強金属板21のプリント配線板対向面を露出させ、プリント配線板30の表面電極部36に接合しているので、フラットケーブル本体2をより強固にプリント配線板30に拘束して固定することができる。これにより、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分の振動変形をより効果的に抑制することができるとともに、導体はんだ接続部3cの上端部や絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出した導体露出部3aに発生する応力を抑制したフラットケーブル1が効果的に得られる。
【0108】
第2補強部材20の補強金属板21におけるプリント配線板対向面側の被覆部材22を取り除いているので、プリント配線板30に実装した後の導体はんだ接続部3cの高さ(あるいは厚さ)を低くすることができる。これにより、搭載する機器の小型化、薄型化に対応することが容易になる。
【0109】
従来のフラットケーブル製造工程を用い、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形を抑制する第1補強部材10と第2補強部材20とをフラットケーブル本体2と一体化する。これにより、フラットケーブル本体2のプリント配線板30への実装を1回のリフロー工程で実施することができるとともに、実装工程の簡略化を図ることができる。
【0110】
[第4の実施の形態]
この第4の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態に係るフラットケーブル本体2、及びフラットケーブル本体2のプリント配線板30への接続構造と基本的な構成において変わるところはない。図14A〜図14Dにおいて、上記第1の実施の形態と大きく異なるところは、上記第1の実施の形態では、第2補強部材20の補強金属板21におけるプリント配線板対向面側及びプリント配線板非対向面側に被覆部材22,22を備えた構成となっていたものを、この第4の実施の形態にあっては、第2補強部材20の補強金属板21を取り除いて、第2補強部材の一例としての被覆部材25を備えた点にある。
【0111】
なお、図14A〜図14Dにおいて上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。また、この第4の実施の形態にあっても、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示しているが、フラットケーブル本体2の図示しない他側の末部にあっても、第1補強部材10、及び第2補強部材20が設けられる。
【0112】
この第4の実施の形態によれば、図14Dに示すように、導体3の導体はんだ接続部3cのプリント配線板対向面と、第2補強部材20の被覆部材25のプリント配線板対向面とが略面一となるように、被覆部材25の厚さTを第1補強部材10の被覆部材12などの厚さよりも厚く、例えば0.05〜0.1mmにすることが好適である。これにより、被覆部材25は、第1補強部材10の被覆部材12よりも大きい剛性を有することになる。この被覆部材25としては、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4と同様に、比較的剛性が高く、耐熱性を有するポリイミドフィルムなどが用いられる。
【0113】
この第2補強部材20は、図14Aに示すように、接着剤23と被覆部材25とにより構成されている。この第2補強部材20のフラットケーブル本体対向面に接着剤23が塗布されている。
【0114】
フラットケーブル本体2と、第1及び第2補強部材10,20とは、図14Bに示すように、フラットケーブル本体2の上面に第1補強部材10を、フラットケーブル本体2の下面に第2補強部材20をそれぞれ載置し、これらを接着剤13,23によって仮付けした状態で積層される。第1補強部材10、及び第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aと面一に配置される。
【0115】
フラットケーブル本体2、第1補強部材10、及び第2補強部材20の上下方向に熱プレス加工によって圧力を加えることで、図14Cに示すようにラミネートされて一体成形される。熱処埋を施すことで接着剤5,13,23を硬化させる。フラットケーブル本体2の外形の打ち抜き加工を行うことで、所定の形状にトリミングする。
【0116】
図14Dにおいて、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出した導体露出部3aに所定の形状に折り曲げ加工を施して導体折曲部3b及び導体はんだ接続部3cを形成する。第1補強部材10の補強金属板11にも、所定の形状に折り曲げ加工を施すことで、金属板折曲部11b及び金属板挿入部11cを形成する。これにより、フラットケーブル1が得られる。
【0117】
(第4の実施の形態の効果)
この第4の実施の形態によると、フラットケーブル本体2における絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分において、第1補強部材10と略同じ位置に設けられたフラットケーブル本体2とプリント配線板30との間の隙間を埋める高剛性フィルム材からなる第2補強部材20を設けることによって、フラットケーブル本体2がプリント配線板方向に変形するのを物理的に抑制することができる。この変形抑制効果と、第1補強部材10に設けた金属板挿入部11cのスルーホール30aへの接合による変形拘束効果と併せて、導体3の導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形をより低減することができるとともに、健全なフラットケーブル本体2のプリント基板接続構造が得られる。
【0118】
従来のフラットケーブル製造工程を用い、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形を抑制する第1補強部材10と第2補強部材20とをフラットケーブル本体2と一体化することで、フラットケーブル本体2のプリント配線板30への実装を1回のリフロー工程で実施することができるとともに、実装工程の簡略化を図ることができる。なお、この第4の実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られることは勿論である。
【0119】
以上の説明からも明らかなように、上記実施の形態、変形例、及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきであり、本発明の技術思想の範囲内において種々の構成が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0120】
1…フラットケーブル、2…フラットケーブル本体、3…導体、3a…導体露出部、3b…導体折曲部、3c…導体はんだ接続部、4…絶縁フィルム、4a…端面、5…接着剤、10…第1補強部材、11,21…補強金属板、12,22,25…被覆部材、13,23…接着剤、11a…金属板露出部、11b…金属板折曲部、11c…金属板挿入部、20…第2補強部材、24…接着部材、30…プリント配線板、30a…スルーホール、31,35,37…接合材、32,36…表面電極部、33…ソルダーレジスト、34…スルーホール電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットケーブル、及びフラットケーブルとプリント配線板との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車載用インバータユニットやエンジンコントロールユニット内に実装される複数枚のプリント配線板間の電気的接続用の配線部品として、ワイヤーハーネスが用いられており、ワイヤーハーネスとプリント配線板との接続には、コネクタ部品を用いた接続構造が採用されている。近年、車載機器の小型・薄型化と低コスト化との両立を実現する一方策として、ワイヤーハーネスに代わる配線部材の使用と、コネクタ部品を用いない接続方法の適用、及び接続工程の簡略化とが求められている。
【0003】
このような車載機器の小型化や低コスト化に対応するため、車載機器内の配線部品に、並列配置された複数の導体、例えばCu合金(無酸素銅、タフピッチ銅)等で構成される導体部を、導体部の厚さ方向の両面から被覆用の絶縁フィルムを接着材によって接着被覆して一体化したFFC(Flexible Flat Cable)と呼ばれるフラットケーブルを採用する基板間接続構造が提案されている。このFFCでは、導体長手方向の両端部に絶縁フィルムから外部に露出する導体露出部が形成されており、この導体露出部が、プリント配線板が有する電極部に接続される。なお、車載機器内の配線部品として用いられるフラットケーブルには、MFJ(Multi Frame Joiner)やFPC(Flexible Print Circuit)等も採用されている。
【0004】
これらのフラットケーブルの露出導体部とプリント配線板に設けられた電極部との接続には、コネクタを介することなく、はんだ材や導電性接着材等の接合材で直接接続する構造が採用されることがある。はんだ材等による直接接続は、接続部の領域の縮小による小型化への対応を可能とし、接続部品点数を削減することを可能とするだけでなく、プリント配線板に実装される配線部品以外の電子部品のはんだ接続と一括接続することにより、実装工程の削減や簡略化も可能となる。
【0005】
一方、車載機器には、長期間の使用に耐える高い信頼性も求められている。車載機器に実装される配線部品やその接続部についても、長期間の振動負荷や熱負荷に対する信頼性確保が不可欠である。複数枚のプリント配線板間を接続する配線部品では、車載機器に作用する振動負荷に応じて発生する配線部品自体の共振振動等により、配線部品の接続部に繰り返し機械的負荷が作用する。この機械的負荷により、配線部品の接続部が疲労破壊する可能性が高いので、車載機器用配線部品では、特に振動負荷に対する信頼性確保が重要になっている。
【0006】
車載機器では長期間にわたる信頼性確保が不可欠であり、フラットケーブル自体やフラットケーブルの接続部にも振動負荷や熱負荷に対する信頼性確保が要求される。特に、エンジンルーム内に搭載される車載機器には、振動や衝撃等の機械的負荷に対する信頼性が重要視されている。信頼性向上には、車載機器全体の構造を最適化するとともに、フラットケーブルの接続部にかかる機械的負荷を低減し、機械的負荷に対する耐性を向上する構造や手段を検討することが必要である。
【0007】
上述したようなフラットケーブルの導体露出部とプリント配線板の電極部とをはんだ材で接続した基板間配線部品では、導体露出部の接続部近傍に負荷がかかりやすい構造になっている。特に、被覆材端部の導体露出部や導体露出部の先端のはんだ接続部のフィレット上端部に大きな応力が集中する。
【0008】
プリント配線板の電極部とフラットケーブルの導体露出部との接続部に、機械的負荷、特に、フラットケーブルの厚さ方向(プリント配線板の電極部とフラットケーブルの導体露出部との接続界面を引き剥がす方向)に高振幅の機械的負荷が作用すると、接続部の破断や剥がれ、又はフラットケーブルの導体露出部の断線が発生する場合がある。
【0009】
フラットケーブルの導体露出部とプリント配線板の電極部との接続部にかかる機械的負荷を低減する方法として、FFCやFPC等のフラット配線材を回路基板に拘束するためのフラット配線材拘束用クリップを設け、回路基板上にフラット配線材の導体が接続された状態で、フラット配線材をフラット配線材拘束用クリップによってフラット配線材の導体端部よりも回路基板端部に近い側の部分で回路基板上に押さえ込む方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
上記特許文献1に記載のように、回路基板上にフラット配線材の導体が接続された状態で、フラット配線材をフラット配線材拘束用クリップによって回路基板上に押さえ込む手段によれば、フラット配線材の接続部に引き剥がし方向の機械的外力が加えられた場合は、その機械的外力が接続部に作用するのをフラット配線材拘束用クリップの拘束によって阻止することができる。その結果、回路基板とフラット配線材との接続部の破損を防止することができる。
【0011】
また、フラットケーブルの導体とプリント配線板の回路との接続部を補強する手段として、フラットケーブルとプリント配線板との密着性を向上させ、両者の接続部を補強する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この従来の方法によると、FFCの端部導体に直角曲げ部を形成し、プリント配線板(FPC等)の対応する回路に形成した孔にFFCの導体の端部を挿入する。そして、FPCの裏面でFFCの導体をFPCへ圧着又ははんだ付けして固定し、導体の両面からプラスチック板からなる補強板で補強するか、あるいは粘着テープで押さえている。
【0012】
上記特許文献2に記載のように、フラットケーブルの導体とプリント配線板の回路との接続部を補強する手段によれば、フラットケーブルの導体とプリント配線板の回路との接続部とを、フラットケーブルとプリント配線板とともに上下両面から補強板又は粘着テープを多重に巻いて固定することで、接続部に作用する機械的外力を低減することができる。
【0013】
更に、フラットケーブルやフレキシブル配線板等のケーブルをプリント配線板に接続して固定する手段として、プリント配線板上に載置したケーブルに押圧力を加える固定板(金属からなる板)をケーブル上部に設け、この固定板をネジによってプリント配線板に固定する方法、あるいは先端に爪を形成した端子をプリント配線板に設けた孔に挿入することでプリント配線板に固定する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0014】
上記特許文献3に記載のように、フラットケーブルやフレキシブル配線板などのケーブルをプリント配線板に固定する手段によれば、ケーブルの導体とプリント配線板との接続部を覆う固定板をネジや先端に爪を形成した端子によってプリント配線板に固定することができるので、接続部に作用する機械的外力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−143784号公報
【特許文献2】特開平8−203577号公報
【特許文献3】特開2002−216873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記特許文献1記載の方法においては、フラット配線材拘束用クリップが単一棒材の曲げ加工によって形成されており、回路基板を挟み込むような形状に曲げ加工した部分の弾性変形力(ばね力)によってフラット配線材を回路基板に押さえ込む構造になっている。このフラット配線材拘束用クリップの弾性変形力は、振動等の機械的負荷が長期間にわたり繰り返し加わることによって次第に劣化することが懸念される。この弾性変形力、即ち、拘束力の劣化によって、フラット配線材の接続部に作用する引き剥がし方向への機械的外力が次第に増加していき、いずれは破損に至ることが考えられる。
【0017】
また、上記特許文献2記載の構造は、フラットケーブルとプリント配線板とを含めて両者の接続部を覆うように補強する構造であるので、補強板や粘着テープを設ける領域がフラットケーブルの幅やプリント配線板の幅よりも拡大し、接続部の小型化を阻害する要因になる。
【0018】
また、この特許文献2記載の技術では、プラスチック板からなる補強板や粘着テープによって接続部を補強する構成になっている。プラスチック板の補強板は、車載機器に搭載した場合の機械的負荷に対して剛性不足になることが予想され、十分な負荷抑制効果が得られない場合がある。車載機器が長時間にわたって断続的に高温に晒されることによるプラスチック板の軟化や粘着テープの接着力(あるいは粘着力)の劣化によっても、補強効果が低下し、十分な負荷抑制効果が得られなくなる可能性がある。
【0019】
更に、特許文献3記載の手段では、振動等の機械的負荷が長期間にわたって繰り返し加わることによって、ネジや先端に爪を形成した端子とプリント配線板との固定部に緩みが生じることが予想される。この緩みによって固定板による拘束力が低下し、ケーブル導体の接続部に作用する機械的外力が増加し、ケーブルの導体に破損が発生する場合がある。
【0020】
また、フラットケーブルの導体露出部とプリント配線板の電極との接続において、導体露出部にS字状(ガルウイング状)の折り曲げ部を形成し、折り曲げ部の先端部分をプリント配線板の電極上に載置し、はんだ接続する構造が適用される場合がある。この接続構造では、導体露出部のフィルムの根元部分において、フラットケーブル下面(プリント配線板に対向する面)とプリント配線板の上面との間に隙間が生じる。
【0021】
接続部の近傍においてフラットケーブルとプリント配線板との間に隙間が存在する状態で、上記特許文献1記載の技術を用いると、フラット配線材拘束用クリップの弾性変形力(ばね力)によってフラットケーブルがプリント配線板の側に変形する(隙間が狭くなる方向に変形する)ことが予想される。このような変形により導体露出部のはんだ接続部やフィルム端部の導体に機械的応力が発生し、この機械的応力が長時間継続した状態で更に振動等の負荷が作用することで、この機械的応力の発生部分において破損が発生する場合がある。
【0022】
また、上記特許文献2記載の技術についても、補強板や粘着テープでフラットケーブルをプリント配線板に押さえ付ける構造であるので、上記特許文献1と同様の問題を生じる場合がある。更に、上記特許文献3記載の技術についても、金属板からなる固定板によってケーブル導体接続部をプリント配線板に押さえ付ける構造であるので、他の上記特許文献に記載の技術と同様の問題を生じる場合がある。つまり、上記特許文献1〜3記載の従来の接続方法では、長期間の振動や衝撃等の機械的負荷によって拘束力が低下してしまうこと、フラットケーブルが変形してしまうことが懸念される。
【0023】
従って、本発明の目的は、フラットケーブルの導体露出部と、それに対応するプリント配線板に形成された電極部とをはんだ材で接続するにあたり、振動や衝撃等の機械的負荷に対し、接続部が破断、破損等を生じることなく安定した接続信頼性を確保することができるフラットケーブル及びフラットケーブルとプリント配線板との接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、上記目的を達成するため、並列に配置された複数本の導体と、前記複数本の導体を被覆する絶縁部材と、前記絶縁部材の端部の表面に設けられた第1補強部材と、前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられた第2補強部材と、を備え、前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有し、前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有することを特徴とするフラットケーブルを提供する。
【0025】
また、本発明は、上記目的を達成するため、フラットケーブルとプリント配線板とを備え、前記フラットケーブルが、並列に配置された複数本の導体と、前記複数本の導体を被覆した絶縁部材と、前記絶縁部材の端部の表面に設けられ、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板に固定させる第1補強部材と、前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられ、前記プリント配線板に固定させる第2補強部材と、を備え、前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有し、前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有し、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板の対応する電極に接続したことを特徴とするフラットケーブルとプリント配線板との接続構造を提供する。
【0026】
前記第2補強部材は、補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有するものでもよい。
【0027】
前記第2補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さよりも薄い厚さを有するものでもよい。
【0028】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記導体の厚さよりも厚い厚さを有するものでもよい。
【0029】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属体の端部は、先端が先細りしたテーパ形状又は弧状でもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、フラットケーブルの導体露出部と、それに対応するプリント配線板に形成された電極部とをはんだ材で接続するに当たり、長期間の振動や衝撃等の機械的負荷に対し、接続部が破断、破損等を生じることなく安定した接続信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の典型的な第1の実施の形態であるフラットケーブルを模式的に示す側面図である。
【図2】図1に示すフラットケーブルの平面図である。
【図3】図1に示すフラットケーブルの正面図である。
【図4】図1のフラットケーブルをプリント配線板に実装した状態を模式的に示す部分断面図である。
【図5】図1のフラットケーブルを実装した状態を模式的に示す平面図である。
【図6】図1のフラットケーブルを2枚のプリント配線板の間を繋ぐように実装した状態を模式的に示す断面図である。
【図7】図1に示すフラットケーブルの製造工程フローを説明するための図である。
【図8A】図1のフラットケーブルを製造する工程を模式的に示す断面図である。
【図8B】図8Aの次の工程を示す断面図である。
【図8C】図8Bの次の工程を示す断面図である。
【図8D】図8Cの次の工程を示す側面図である。
【図8E】図8Dの次の工程を示す平面図である。
【図8F】図8Eの次の工程を示す断面図である。
【図9】図8Eの工程後のフラットケーブルをプリント配線板に実装した状態を模式的に示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態であるフラットケーブルを模式的に示す断面図である。
【図11】図10のフラットケーブルをプリント配線板に実装した状態を模式的に示す部分断面図である。
【図12A】第3の実施の形態であるフラットケーブルを製造する工程を模式的に示す断面図である。
【図12B】図12Aの次の工程を示す断面図である。
【図12C】図12Bの次の工程を示す断面図である。
【図12D】図12Cの次の工程を示す側面図である。
【図13】図12Dの工程後のフラットケーブルをプリント配線板に実装した状態を模式的に示す断面図である。
【図14A】第4の実施の形態であるフラットケーブルを製造する工程を模式的に示す断面図である。
【図14B】図14Aの次の工程を示す断面図である。
【図14C】図14Bの次の工程を示す断面図である。
【図14D】図14Cの次の工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[実施の形態の要約]
本発明の実施の形態に係るフラットケーブルは、並列に配置された複数本の導体と、前記複数本の導体を被覆する絶縁部材とを備えたフラットケーブルにおいて、前記絶縁部材の端部の表面に設けられた第1補強部材と、前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられた第2補強部材とを備え、前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤とを有し、前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有するものである。
【0033】
また、本発明の実施の形態に係るフラットケーブルとプリント配線板との接続構造は、フラットケーブルとプリント配線板とを備えたフラットケーブルとプリント配線板との接続構造において、前記フラットケーブルが、並列に配置された複数本の導体と、前記複数本の導体の両端部以外の中間部分を被覆した絶縁部材と、前記絶縁部材の端部の表面に設けられ、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板に固定させる第1補強部材と、前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられ、前記プリント配線板に固定させる第2補強部材とを備え、前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤とを有し、前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有し、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板の対応する電極に接続したものである。
【0034】
上記第2補強部材を第1補強部材の被覆部材よりも剛性を大きくするためには、補強金属板の周囲を被覆部材で被覆してもよく、第2補強部材を第1補強部材に設けられた被覆部材の厚さよりも厚い厚さの被覆部材で構成してもよいが、これらに限定されない。
【0035】
次に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0036】
[第1の実施の形態]
(フラットケーブルの全体構成)
図1〜図4において、全体を示す符号1は、フラットケーブルの全体構成を例示している。このフラットケーブル1は、フラットケーブル本体2と、フラットケーブル本体2の長手方向の両端部をプリント配線板30に固定補強する両側一対の第1補強部材10,10とを備えている。この第1補強部材10,10のそれぞれは、フラットケーブル本体2の長手方向両端部をプリント配線板30に固定補強するための第2補強部材20,20を備えている。この第1補強部材10及び第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の表裏面側に対向して配置される。即ち、この第2補強部材20は、第1補強部材10の略投影面内に設けられており、第1及び第2補強部材10,20は、接着剤や粘着剤等を用いてフラットケーブル本体2の表裏面側に固定される。なお、フラットケーブルの全体構成について第1補強部材10、第2補強部材20をフラットケーブル本体2の両端部に設けた構成で説明したが、第1補強部材10、第2補強部材20をフラットケーブル本体2の片端のみに設けた構成であっても構わない。
【0037】
(フラットケーブル本体の構成)
このフラットケーブル本体2は、図1〜図4及び図8Cに示すように、複数本の信号用の導体3と、導体3の端部を除く中間部分を被覆した絶縁部材の一例としての絶縁フィルム4と、導体3及び絶縁フィルム4を接着固定した接着剤5とを有する。
【0038】
この導体3には、例えば無酸素銅やタフピッチ銅などの銅合金材料が用いられる。銅合金材料の表面には、めっきを施してもよく、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、銀(Au)などの金属からなる群から選択される少なくとも1種以上の金属材料が用いられる。このめっき処理により、銅合金材料の表面に単層又は複数の層の金属層を形成することができる。絶縁フィルム4には、絶縁性を有するフィルム状のポリイミド樹脂などが用いられる。接着剤5としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂などが用いられる。
【0039】
この導体3は、図1〜図4に示すように、細長い板状に形成されており、フラットケーブル本体2の幅方向に並列に配置されている。複数本の導体3により信号用導体群が構成される。この導体3の長手方向両端部は、絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出させた導体露出部3aとされている。この導体露出部3aの中間部分には、S字形状あるいはガルウイング形状をなす導体折曲部3bが折曲して形成されている。この導体露出部3aの先端部分は、プリント配線板30の外部導体である電極に接続される導体はんだ接続部3cとされている。導体露出部3aが必要以上に延びていると、この導体露出部3aと、配線部品などを搭載する機器の筐体との接触で、短絡が生じる可能性がある。そのため、導体露出部3aとしては、極力少なく延出した構成が好適である。
【0040】
(補強部材の全体構成)
この第1の実施の形態において最も主要な構成は、フラットケーブル端部補強部材である一対の第1補強部材10及び第2補強部材20にある。図示例によれば、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端部表面には第1補強部材10が固定されるとともに、その端部表面の反対側の端部表面には第2補強部材20が固定されている。第1補強部材10及び第2補強部材20は、実質的に同様の形状及び構造からなる。
【0041】
この第1補強部材10及び第2補強部材20は、図1〜図4に示すように、導体3の導体はんだ接続部3cの近傍部分を補強することで変形を拘束するための部材であり、導体3の長手方向とは異なる方向に向けて複数本の導体3の一部を覆い、絶縁フィルム4の端面4aを含む領域の一部に設けられている。この第1補強部材10は、フラットケーブル本体2の上面、即ちプリント配線板30に対向しない面(以下、「非対向面」ともいう。)に設けられる。一方の第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の下面、即ちプリント配線板30に対向する面(以下、「対向面」ともいう。)に設けられる。
【0042】
図示例では、第1及び第2補強部材10,20は、並列に配置された導体3の配列方向に向かう細長い矩形形状を有している。この第1及び第2補強部材10,20は、複数本の導体3の幅方向に沿って導体群を横断して導体群の一部を覆うとともに、第1及び第2補強部材10,20の中心が絶縁フィルム4の端面4aから所定の距離をおいた位置に配置される。この第1及び第2補強部材10,20の幅方向側の端部と絶縁フィルム4の端面4aとは、図4及び図8Cに示すように面一に配置されている。なお、第1及び第2補強部材10,20は、絶縁フィルム4の端面4aから導体露出部3a側に延出してもよい。
【0043】
(第1補強部材の構成)
この第1補強部材10は、図1〜図4及び図8Cに示すように、細長い直方形の補強金属板11と、補強金属板11を被覆する絶縁被覆層である被覆部材12と、補強金属板11及び被覆部材12を接着する接着層である接着剤13とを有する。この補強金属板11を用いて第1補強部材10の中心領域を構成することで、第1補強部材10の剛性を高めている。ここで言う剛性とは、フラットケーブルに加わる外力によって生じる屈曲、引張り、ねじれなどに対する変形のしずらさのことである。フラットケーブルに加わる外力の例として、フラットケーブル自体の共振振動などがある。フラットケーブル本体2を構成する導体3、絶縁フィルム4、及び接着剤5と、第1補強部材10を構成する補強金属板11、被覆部材12、及び接着剤13とは、同じ材料もしくは特性が類似した材料を用いるとともに、ほぼ同じように積層された複数層の層状に構成されている。
【0044】
この補強金属板11としては、導体3より高強度の材料を用いることが望ましく、例えば燐青銅や鉄(Fe)−ニッケルNi合金などが用いられる。この補強金属板11の表面には、導体3と同様に、めっきを施してもよく、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、銀(Au)などの金属を単独もしくは複数の材料を積層した状態で用いることができる。なお、補強金属板11としては、金属材以外の樹脂材を補強板として用いてもよく、あるいは補強金属板11を導体3と同じ材料で構成することもできる。この場合は、補強金属板11の剛性を高くするため、補強金属板11の厚さを導体3より厚く、例えば0.75〜1.0mmに設定することが好適である。
【0045】
この被覆部材12の材質としては、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4と同じ絶縁性を有するフィルム状のポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂(PTFE、PFA等)、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が用いられる。
【0046】
一方の接着剤13は、図8Cに示すように、フラットケーブル本体2の対向面側の被覆部材12を挟んで上下側に設けられており、下側の接着剤13によりフラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の表面に固定される。この接着剤13としては、フラットケーブル本体2の接着剤5と同一の材質であってもよく、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、又はアクリル樹脂等を接着剤として塗布し、これを硬化させて接着部材とすることができる。第1補強部材10とフラットケーブル本体2とを接着する機能を損なわない限り、接着剤13を薄く形成することが好ましい。接着剤13は、第1補強部材10に対して部分的に設けてもよいが、界面の剥離防止の観点から、第1補強部材10の全長にわたって設けることが好ましい。
【0047】
この第1補強部材10の補強金属板11は、図1〜図4に示すように、補強部材の長手方向の両端部(並列に配置された導体3の配列方向における端部)において、被覆部材12から外部へ部分的に露出しており、金属板露出部11aを形成している。この金属板露出部11aは、先細りテーパ状部及び直線状部を連続して形成することで延出されている。この先細りテーパ状部及び直線状部の間で、フラットケーブル本体2の下面(プリント配線板対向面)方向に折り曲げた金属板折曲部11bが形成されている。この金属板折曲部11bの自由端部は金属板挿入部11cとされている。この金属板挿入部11cは、複数の導体3のそれぞれに対応して設けられるプリント配線板30のスルーホール電極などに挿入される。その金属板挿入部11cの先端部分は、スルーホール電極に接続されるはんだ接続部となる。
【0048】
図示例によると、金属板挿入部11cの先端部分は、ストレート形状になっているが、これに限定されるものではない。金属板挿入部11cの先端部分を、例えばテーパ形状や弧状などの各種形態に形成することで、金属板露出部11aをプリント配線板30のスルーホール電極に容易に挿入させることができる。
【0049】
(第2補強部材の構成)
この第2補強部材20にあっても、図8Cに示すように、細長い直方形の補強金属板21と、補強金属板21を被覆する被覆部材22と、補強金属板21及び被覆部材22を接着する接着剤23とを有する。これにより、第2補強部材20は、第1補強部材10の被覆部材12よりも大きい剛性を有することになる。この補強金属板21を用い、第2補強部材20の中心領域を構成することで第2補強部材20の剛性を高めている。この補強金属板21、被覆部材22、及び接着剤23は、第1補強部材10の構成部材と同じ材料もしくは特性が類似した材料を用いるとともに、ほぼ同じように積層された複数層の層状に構成されている。
【0050】
この接着剤23は、フラットケーブル本体2の対向面側の被覆部材22を挟んで上下側に設けられており、上側の接着剤23によりフラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の表面に固定される。第2補強部材20とフラットケーブル本体2とを接着する機能を損なわない限り、接着剤23を薄く形成することが好適である。接着剤23は、第2補強部材20に対して部分的に設けてもよく、第2補強部材20の全長にわたって設けてもよい。
【0051】
この第2補強部材20は、接着剤23によりフラットケーブル本体2及びプリント配線板30の両部材に接着して固定されるが、接着剤23は高温になると軟化し、変形拘束効果が低下する場合がある。この接着剤23には、ガラス転移温度が高い材料を用いることが好ましい。第1補強部材10による拘束作用があるので、第2補強部材20における接着剤23が高温環境下で軟化した場合であっても、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量が著しく増加することはない。
【0052】
この第2補強部材20の機能から言えば、第2補強部材20としては、変形しにくい特性を有する構成が好ましく、弾性率が第1補強部材10より高いことが好適である。この第2補強部材20の補強金属板21は、接着剤23よりも弾性率が高いことが一般的である。そのため、この補強金属板21は、図8Cに示すように、第1補強部材10の補強金属板11よりも薄い厚さの補強板、例えば0.05〜0.1mmを固定部材として用いることで、第2補強部材20全体の弾性率の低下を抑制している。
【0053】
(フラットケーブルとプリント配線板との接続構造)
図4及び図5を参照すると、図4及び図5には、フラットケーブル1をプリント配線板30に実装した状態が例示されている。図4及び図5では、フラットケーブル1の一側の端部をプリント配線板30に実装した一例を示しているが、フラットケーブル1の他側の端部にあっても同様に、プリント配線板30に実装される。
【0054】
プリント配線板30の表面には、図4及び図5に示すように、表面電極部32が電気絶縁性のソルダーレジスト33から露出している。はんだ材や導電性接着剤などの接合材31により、導体3の導体はんだ接続部3cが、対応する表面電極部32と電気的導通がなされるように接合されている。
【0055】
この第1補強部材10における補強金属板11aの金属板挿入部11cは、図4及び図5に示すように、プリント配線板30に形成されたスルーホール30aに挿入されており、スルーホール30aの内面に形成されたスルーホール電極34、及びはんだ材などの接合材35によって接合されている。
【0056】
この導体3の導体はんだ接続部3cとプリント配線板30の表面電極部32とを接続する接合材31には、溶融温度約218℃のSn−3Ag−0.5Cu(mass%)や溶融温度約221℃のSn−3.5Ag(mass%)等のはんだ材が用いられる。第1補強部材10の金属板挿入部11cとプリント配線板30のスルーホール電極34とを接続する接合材35にあっても、接合材31と同様のはんだ材を用いることができる。
【0057】
上記のように構成された第1及び第2補強部材10,20を介してプリント配線板30に実装されたフラットケーブル1は、図6に示すように、一対のプリント配線板30,30を繋ぐために、フラットケーブル1の中央部分がU字状に折り曲げられた状態で実装される。
【0058】
このプリント配線板30は、図6に示すように、フラットケーブル本体2や第1補強部材10よりも板厚が厚く(例えば1.0mm以上1.6mm以下程度)、剛性を高く形成している。これにより、積層された2枚のプリント配線板30,30の間をフラットケーブル1で繋いだプリント配線板実装品を搭載した機器に機械的振動が負荷されると、2枚のプリント配線板30,30の間を繋いでいるフラットケーブル1自体にも共振現象によって大きな振動変形が発生する場合がある。
【0059】
特に、フラットケーブル1にプリント配線板30の板厚方向の振動変形が生じると、この振動変形は導体3の固定端となる導体はんだ接続部3cの近傍部分に集中して作用する。その結果、導体はんだ接続部3cをプリント配線板30の表面電極部32に接合する接合材31の上端部や導体3の絶縁フィルム4の端面4a近傍部分における導体露出部3aなどに高い応力を生じさせる。
【0060】
図示例によるフラットケーブル1の接続構造にあっては、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4a近傍部分に配置された第1補強部材10は、補強金属板11に導体3よりも高強度の材料を用いるか、あるいは導体3よりも肉厚の材料を用いることで剛性を高めている。特に、フラットケーブル本体2のプリント配線板非対向面側(上側)に配置する第1補強部材10の補強金属板11を高強度・高剛性の材料で構成することで、導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形を抑制して、高応力の集中を分散させている。
【0061】
この構成に加えて、第1補強部材10の補強金属板11における金属板露出部11aの先端部分となる金属板挿入部11cをプリント配線板30のスルーホール30aに挿入し、この金属板挿入部11cのはんだ接続部において、スルーホール電極34と接合材31とで接合される構成となっている。このように、フラットケーブル本体2よりも高剛性であるプリント配線板30に第1補強部材10を介してフラットケーブル本体2を固定する構成とすることで、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分は、プリント配線板30に強固に固定される。導体はんだ接続部3cにおける近傍部分の振動変形は、プリント配線板30によって拘束されるので、導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量は著しく減少する。
【0062】
一方、第1補強部材10の略投影面内に設けられたフラットケーブル本体2とプリント配線板30との間の隙間には、比較的に剛性の高い第2補強部材20が介在されている。この構成により、プリント配線板30によりフラットケーブル本体2を強固に拘束するとともに、フラットケーブル本体2が互いに対向する一対のプリント配線板30,30の対向面方向に変形しようとする動きを物理的に抑制する。導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量が更に低減される。
【0063】
(補強部材、及びフラットケーブルとプリント配線板との接続構造の効果)
以上のように構成された第1の実施の形態に係る補強部材、及びフラットケーブルとプリント配線板との接続構造によると、上記効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0064】
第1補強部材10は、補強金属板11の金属板露出部11aを介してフラットケーブル本体2よりも剛性の高いプリント配線板30に固定される。一方の第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4とプリント配線板30との双方に固定される。かかる構成により、導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形を第1及び第2補強部材10,20と一緒にプリント配線板30で拘束することが可能になる。このような第1及び第2補強部材10,20の形成と、第1及び第2補強部材10,20のプリント配線板30への固定により、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4a近傍の導体部分、及びはんだフィレット上端部の導体部分の剛性差が大きく相違する箇所に加わる振動や衝撃などの機械的負荷が、フラットケーブル本体2を実装したプリント配線板30を搭載している機器に加わったとしても、プリント配線板30自体の板厚方向の振動による導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量を大幅に低減することができる。それと同時に、フラットケーブル本体2の導体3に発生する応力を大幅に低減することができる。
【0065】
即ち、図6に示したような一対のプリント配線板30,30を繋ぐフラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分にフラットケーブル本体2の共振振動によって生じる変形を、第1及び第2補強部材10,20による拘束によって抑制することができる。導体3の導体はんだ接続部3cの上端部や絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分における導体露出部3aに高い応力が集中するのを抑止することができる。
【0066】
このフラットケーブル1は、フラットケーブル本体2とプリント配線板30との対向面間に第2補強部材20を配置している。このため、導体露出部3aをS字形状もしくはガルウイング形状に折曲げ加工を施して形成された導体折曲部3bを介して形成した平坦な導体はんだ接続部3cをプリント配線板30の対応する表面電極部32に接続することで、導体はんだ接続部3cの底面(プリント配線板対向面)をプリント配線板30の表面電極部32に対して押し付けることができる。その結果、導体3とプリント配線板30との間隔が必要以上に広がることを防止することができる。この間隔を制御することで、はんだ材を用いた接続時に、はんだ内にボイドが発生し、そのボイドが残留するのを抑制する効果が得られる。ボイドを抑制することにより、振動等の機械的負荷が導体はんだ接続部3cに作用した場合であっても、ボイドが存在することによる応力集中を抑制できるので、導体はんだ接続部3cの損傷発生を防止することができる。
【0067】
フラットケーブル1をプリント配線板30に実装するとき、フラットケーブル本体2の上方から過度の押し付け力が加えられる場合がある。導体露出部3aに導体折曲部3bを設けると、押し付け荷重によって導体露出部3aが変形し、導体3の導体はんだ接続部3cの上端部や絶縁フィルム4の端面4a近傍における導体露出部3aなどに高い応力が発生し、破損する場合がある。
【0068】
図示例では、絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分にフラットケーブル本体2とプリント配線板30との間の隙間を埋める第2補強部材20が、フラットケーブル本体2をプリント配線板30側に押し付ける力を負担する緩衝材の役目を果たす。これにより、導体露出部3aに過度な荷重が作用するのを抑制することができる。第2補強部材20を絶縁フィルム4とプリント配線板30との双方に固定させることで、フラットケーブル本体2とプリント配線板30との間の隙間を狭くする方向の変形を抑制することが容易になる。
【0069】
(フラットケーブルの製造方法)
以下に、図7及び図8A〜図8Fを参照しながら、フラットケーブル1の製造方法を説明する。なお、図7〜図8Fにおいて、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示している。
【0070】
フラットケーブル1を製造するにあたっては、先ず、フラットケーブル本体2を構成する導体3、絶縁フィルム4及び接着剤5と、第1補強部材10を構成する補強金属板11、被覆部材12及び接着剤13と、第2補強部材20を構成する補強金属板21、被覆部材22及び接着剤23とを用意する(図7に示すステップS101、S201、S301)。それらの構成部材を積層して仮付けする(図7のステップS102、S202、S302)。この導体3、及び補強金属板11,21の外形加工は、金型を用いた打ち抜き加工(スタンピング)やエッチングなどで行う。絶縁フィルム4、及び被覆部材12,22の外形加工は、金型による打ち抜き加工(パンチング)などで行う。
【0071】
フラットケーブル1は、図8Aに示すように、所定の形状に外形加工した導体3、及び同じく所定の形状に導体3の長さより短く外形加工した絶縁フィルム4に接着剤5を塗布し、この絶縁フィルム4を導体3の両端部を除く中間部の上下面側に接着剤5を介して積層して仮付けする。
【0072】
第1補強部材10は、図8Aに示すように、所定の形状に外形加工した補強金属板11、及び同じく所定の形状に外形加工した被覆部材12に接着剤13を塗布し、この被覆部材12を補強金属板11の上下面側に接着剤13を介して積層して仮付けする。
【0073】
一方の第2補強部材20にあっても、第1補強部材10と同様に、被覆部材22を補強金属板21の上下面側に接着剤23を介して積層して仮付けする。以上より、図7に示すステップS101,S102、S201,S202、及びS301,S302の作業が終了する。次に、図7のステップS403へ移る。
【0074】
ステップS403においては、図8Bに示すように、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aと面一になるように、フラットケーブル本体2の上面に第1補強部材10を、フラットケーブル本体2の下面に第2補強部材20をそれぞれ載置し、これらを接着剤13,23によって仮付けする。これにより、フラットケーブル本体2、第1補強部材10、及び第2補強部材20からなる積層体が得られる。なお、図8Bにおいてはフラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示しているが、フラットケーブル本体2の図示しない他側の端部にも、一側の端部と同様に、第1補強部材10、及び第2補強部材20を仮付けする。以上より、図7のステップS403の作業が終了する。次に、図7のステップS404へ移行する。
【0075】
ステップS404においては、フラットケーブル本体2、第1補強部材10、及び第2補強部材20からなる積層体の上下方向に熱プレス加工によって圧力を加えることで、図8Cに示すように補強金属板11,21の上下面側を被覆部材12,22、及び接着剤13,23によりラミネートする。なお、熱プレス加工は真空中で実施してもよい。次に、図7のステップS405において、ラミネートした積層体の構成部材に熱処埋を施して、接着剤5,13,23を硬化させる。次の図7のステップS406において、ラミネートした積層体の外形の打ち抜き加工を行い、図8D及び図8Eに示すように、所定の形状にトリミングする。次に、図7のステップS407へ移行する。
【0076】
ステップS407においては、図8Fに示すように、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出した導体露出部3aに所定の形状に折り曲げ加工を施して導体折曲部3b及び導体はんだ接続部3cを形成する。第1補強部材10の補強金属板11にも、所定の形状に折り曲げ加工を施すことで金属板折曲部11b及び金属板挿入部11cを形成する。なお、この折り曲げ加工は、金型を用いたプレス加工などで行う。そして、折り曲げ加工終了後、図7に示すステップS408において、フラットケーブル本体2の検査を実施し、最終製品となるフラットケーブル1を得る。
【0077】
(フラットケーブルの製造方法の効果)
このフラットケーブル本体2を構成する導体3、絶縁フィルム4、及び接着剤5と、第1補強部材10を構成する補強金属板11、被覆部材12、及び接着剤13と、第2補強部材20を構成する補強金属板21、被覆部材22、及び接着剤23とは、同じ材料もしくは特性が類似した材料を用いており、ほぼ同じように積層された積層構造を有する。このような構成を採用することで、フラットケーブル本体2と同じ製造工程で、第1及び第2補強部材10,20を製造することができる。
【0078】
更に、フラットケーブル本体2を形成する材料、第1及び第2補強部材10,20を形成する材料のそれぞれを所定の配置で積層し、ラミネート処理によって一体化することで、図示例によるフラットケーブル1を一括して製造することが可能である。これにより、第1及び第2補強部材10,20は、被覆部材12,22、及び接着剤13,23を介してフラットケーブル本体2に強固に固定される。
【0079】
フラットケーブル本体2は、第1及び第2補強部材10,20の構成部材をフラットケーブル本体2の構成部材と同一あるいは類似の部材で構成することにより、従来のフラットケーブルの製造工程を用いて、第1及び第2補強部材10,20を備えたフラットケーブル1の一体的な製造が可能となる。フラットケーブル本体2と第1及び第2補強部材10,20とを一体化することによって、第1及び第2補強部材10,20を備えたフラットケーブル1のプリント配線板30への実装を1回のリフロー工程で行うことができるとともに、実装工程の簡略化を図ることができる。
【0080】
(フラットケーブルのプリント配線板への実装方法)
次に、上記のように製造されたフラットケーブル1をプリント配線板30に実装する一例について、図6及び図9を用いて説明する。なお、図6及び図9において、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示している。
【0081】
フラットケーブル1をプリント配線板30に実装するにあたり、先ず、メタルマスクを用いた印刷法やディスペンス法などを用い、プリント配線板30の表面電極部32とスルーホール電極34とにペースト状はんだ材などの接合材31,35を塗布する。次に、スルーホール電極34にフラットケーブル本体2における第1補強部材30の金属板挿入部11cを位置合わせするとともに、表面電極部32上にフラットケーブル本体2における導体3の導体はんだ接続部3cを位置合わせする。
【0082】
続いて、フラットケーブル本体2の一方の導体はんだ接続部3cをプリント配線板30の表面電極部32に載置するとともに、フラットケーブル本体2の金属板挿入部11cをプリント配線板30のスルーホール30aに挿入する。これと同様に、フラットケーブル本体2の他方の導体はんだ接続部3cをプリント配線板30の表面電極部32に載置するとともに、フラットケーブル本体2の金属板挿入部11cをプリント配線板30のスルーホール30aに挿入する。
【0083】
次に、フラットケーブル本体2の両端部のそれぞれが、一対のプリント配線板30,30の間を繋ぐように載置された状態でハンドリングされ、続いて、はんだリフロー炉のベルトコンベアまで搬送され、ベルトコンベアでリフロー炉内を移動する間に接合材31,35を溶融・凝固させる。この操作により、フラットケーブル本体2における導体3の導体はんだ接続部3cとプリント配線板30の表面電極部32とが接合される。それと同時に、補強金属板11における金属板挿入部11cの先端部であるはんだ接続部とプリント配線板30のスルーホール電極34とが接合される。
【0084】
(フラットケーブルのプリント配線板への実装方法の効果)
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では、実装直後から機器に搭載するまでの工程において、搬送時のハンドリングや機器搭載時の取り扱いによって導体3の導体はんだ接続部3cの近傍部分に静的あるいは動的な機械的負荷が加わり、導体はんだ接続部3cの近傍部分が損傷する場合がある。このような機械的負荷に対し、図示例によるフラットケーブル本体2の実装構造は、導体はんだ接続部3cの近傍部分を第1補強部材10で補強するとともに、その第1補強部材10をプリント配線板30に固定する構成となっている。この構成を採用することで、機械的負荷が導体はんだ接続部3cの近傍部分に加わることを抑制することができる。その結果、導体はんだ接続部3cの近傍部分が損傷することを防止することができる。
【0085】
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、第1補強部材10の補強金属板11を折り曲げ、その先端部分の金属板挿入部11cをプリント配線板30のスルーホール30aに挿入する。この構成により、フラットケーブル1をプリント配線板30に実装する場合における導体はんだ接続部3cと、導体はんだ接続部3cに対応するプリント配線板30の表面電極部32との位置合わせを容易に、かつ、正確に実施することができる。
【0086】
また、従来の接続方法では、フラットケーブルとは異なる拘束用クリップ、導体接続部の表裏両面を覆う補強板、あるいは固定板のネジ留めなどの別の部材を用いて、導体はんだ接続部の機械的負荷を低減している。部材が異なることから部品点数が多くなるとともに、フラットケーブルをプリント配線板に実装する工程では、機械的負荷低減のための部材のプリント配線板への実装工程を別に設ける必要があり、実装工程削減や工程簡略化を阻害する要因となるおそれがあった。
【0087】
これに対し、フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、第1及び第2補強部材10,20は、絶縁フィルム4の表面に接着材等により固定され、フラットケーブル本体2と一体化される。この構成を採用することで、部品点数を従来のケーブルに比べて削減することができるとともに、フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装する工程と同時に、絶縁フィルム4の表面とプリント配線板30の表面との間の隙間を第2補強部材20で埋めることができる。プリント配線板30へのフラットケーブル実装工程数の増加も抑制した健全なフラットケーブル1のプリント配線板30への実装構造が得られる。
【0088】
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、プリント配線板30の表面電極部32に接合して形成された導体3の導体はんだ接続部3cの近傍に、複数本の導体3からなる導体群を導体配列方向に横断する第1補強部材10を設け、その第1補強部材10における補強金属板11の金属板挿入部11cの一部がプリント配線板30に固定される。この構成により、機械的負荷が加わることによる導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形量を大幅に低減できるので、フラットケーブル本体2の導体3及びプリント配線板30の接合材31に生じる応力を抑制することができる。
【0089】
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、プリント配線板30の表面と絶縁フィルム4の表面との間に第2補強部材20を固定する。この構成により、フラットケーブル1の導体3の導体板厚方向に変形するために要する物理的な空間(隙間)を埋めることができるとともに、フラットケーブル本体2をプリント配線板30に固定することができる。その結果、フラットケーブル本体2の導体3の導体はんだ接続部3cの近傍に生じる変形をより一層低減することができる。
【0090】
フラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した構造体では更に、フラットケーブル1の端部に露出させた導体3が、接合材31を介してプリント配線板30の表面電極部32に直接接続される。そのため、振動や衝撃等の機械的負荷に対して高い耐性を発揮することができる。
【0091】
以上の説明において、本発明のフラットケーブル1、及びフラットケーブル1とプリント配線板30との接続構造を上記第1の実施の形態、変形例、及び図示例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。本発明にあっては、次に示すような他の実施の形態も可能である。
【0092】
[第2の実施の形態]
この第2の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態に係るフラットケーブル本体2、及びフラットケーブル本体2のプリント配線板30への接続構造と基本的な構成において変わるところはない。図10及び図11において、上記第1の実施の形態と大きく異なるところは、上記第1の実施の形態では、第2補強部材20のプリント配線板対向面側に被覆部材22を設けた構成となっていたものを、この第2の実施の形態にあっては、第2補強部材20のプリント配線板対向面側の被覆部材22に接着部材24を設けた点にある。
【0093】
なお、図10及び図11において、上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。また、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示しているが、フラットケーブル本体2の図示しない他側端部にあっても、第1及び第2補強部材10,20が設けられる。
【0094】
この第2補強部材20は、図10に示すように、細長い直方形の補強金属板21と、補強金属板21を被覆する被覆部材22と、補強金属板21及び被覆部材22を接着する接着剤23とを備えており、更に、プリント配線板対向面側の被覆部材22に接着部材24を備えている。プリント配線板30にフラットケーブル本体2を実装する際には、第2補強部材20のプリント配線板対向面が、図11に示すように、接着部材24を介してプリント配線板30上に接着される。
【0095】
この接着部材24としては、例えばポリイミドフィルムなどからなる基材の両面に接着層を形成した構成や基材を持たずに接着層のみで形成された構成などが用いられる。この接着層としては、接着剤23と同様の材料であってもよく、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、又はシリコーン樹脂などの材料を用いることができる。
【0096】
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態と同様に、第1補強部材10をフラットケーブル本体2のプリント配線板30の非対向面側に設けるとともに、第1補強部材10における補強金属板11の一部である金属板挿入部11cの先端部分をプリント配線板30のスルーホール30aに接合材31を介して接合される。この構成により、フラットケーブル本体2における絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分に設けられた第1補強部材10により、導体3の導体はんだ接続部3cの近傍部分の振動変形を抑制し、高応力の集中を分散することができる。
【0097】
これと相まって、この接着部材24による第2補強部材20とプリント配線板30との接着により、フラットケーブル本体2を更に強固にプリント配線板30に固定する構成となっているので、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形は、プリント配線板30によって一層拘束される。
【0098】
この第2補強部材20は、フラットケーブル本体2とプリント配線板30との双方に接着されるので、導体3の導体はんだ接続部3cに作用する機械的負荷を広い面積で拘束することができるようになり、変形抑制効果が向上する。これにより、導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形をより一層抑制することができるようになり、導体はんだ接続部3cの上端部や絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分における導体露出部3aなどに発生する応力を抑制したフラットケーブル1を得ることが可能となる。なお、この第2の実施の形態の上記効果に加えて、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られることは勿論である。
【0099】
[第3の実施の形態]
この第3の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態に係るフラットケーブル本体2、及びフラットケーブル本体2のプリント配線板30への接続構造と基本的な構成において変わるところはない。図12A〜図12D及び図13において上記第1の実施の形態と大きく異なるところは、上記第1の実施の形態にあっては、第2補強部材20の補強金属板21のプリント配線板対向面側に被覆部材22を備えた構成となっていたものを、この第3の実施の形態では、第2補強部材20の補強金属板21におけるプリント配線板対向面側の被覆部材22を取り除いた点にある。
【0100】
なお、図12A〜図12D及び図13において上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。また、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示しているが、フラットケーブル本体2の図示しない他側の端部にあっても、第1補強部材10、及び第2補強部材20が設けられる。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
【0101】
この第2補強部材20は、図12Aに示すように、補強金属板21のプリント配線板対向面側の補強金属板21の表面を外部に露呈している。第2補強部材20は、図12Bに示すように、接着剤23を介して仮付けした状態でフラットケーブル本体2に積層される。
【0102】
フラットケーブル本体2と、第1及び第2補強部材10,20とは、図12Bに示すように、フラットケーブル本体2の上面に第1補強部材10を、フラットケーブル本体2の下面に第2補強部材20をそれぞれ載置し、これらを接着剤13,23によって仮付けした状態で積層される。第1補強部材10及び第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aと面一に配置される。
【0103】
フラットケーブル本体2、第1補強部材10、及び第2補強部材20の上下方向に熱プレス加工によって圧力を加えることで、図12Cに示すようにラミネートされて一体成形される。熱処埋を施すことで接着剤5,13,23を硬化させる。フラットケーブル本体2の外形の打ち抜き加工を行うことで、所定の形状にトリミングする。
【0104】
図12Dにおいて、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出した導体3の導体露出部3aに所定の形状に折り曲げ加工を施して導体折曲部3b及び導体はんだ接続部3cを形成する。第1補強部材10の補強金属板11にも、所定の形状に折り曲げ加工を施すことで、金属板折曲部11b及び金属板挿入部11cを形成する。これにより、フラットケーブル1が得られる。
【0105】
図13には、上記のように製造されたフラットケーブル本体2をプリント配線板30に実装した一例が例示されている。
【0106】
第2補強部材20の補強金属板21は、接着剤23から露出しているプリント配線板対向面において、プリント配線板30の対応する表面電極部36にはんだ材などの接合材37によって接合される。第2補強部材20の補強金属板21とプリント配線板30の表面電極部36との接合は、導体3の導体露出部3aと表面電極部32との接合、及び第1補強部材10の金属板挿入部11cとプリント配線板30のスルーホール電極34との接合と同じリフロー加熱によって同時に実施する。
【0107】
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態の効果に加えて、以下の効果を有する。この第3の実施の形態では、フラットケーブル本体2における絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分に配置された第2補強部材20から補強金属板21のプリント配線板対向面を露出させ、プリント配線板30の表面電極部36に接合しているので、フラットケーブル本体2をより強固にプリント配線板30に拘束して固定することができる。これにより、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分の振動変形をより効果的に抑制することができるとともに、導体はんだ接続部3cの上端部や絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出した導体露出部3aに発生する応力を抑制したフラットケーブル1が効果的に得られる。
【0108】
第2補強部材20の補強金属板21におけるプリント配線板対向面側の被覆部材22を取り除いているので、プリント配線板30に実装した後の導体はんだ接続部3cの高さ(あるいは厚さ)を低くすることができる。これにより、搭載する機器の小型化、薄型化に対応することが容易になる。
【0109】
従来のフラットケーブル製造工程を用い、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形を抑制する第1補強部材10と第2補強部材20とをフラットケーブル本体2と一体化する。これにより、フラットケーブル本体2のプリント配線板30への実装を1回のリフロー工程で実施することができるとともに、実装工程の簡略化を図ることができる。
【0110】
[第4の実施の形態]
この第4の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態に係るフラットケーブル本体2、及びフラットケーブル本体2のプリント配線板30への接続構造と基本的な構成において変わるところはない。図14A〜図14Dにおいて、上記第1の実施の形態と大きく異なるところは、上記第1の実施の形態では、第2補強部材20の補強金属板21におけるプリント配線板対向面側及びプリント配線板非対向面側に被覆部材22,22を備えた構成となっていたものを、この第4の実施の形態にあっては、第2補強部材20の補強金属板21を取り除いて、第2補強部材の一例としての被覆部材25を備えた点にある。
【0111】
なお、図14A〜図14Dにおいて上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。また、この第4の実施の形態にあっても、フラットケーブル本体2の一側の端部のみを例示しているが、フラットケーブル本体2の図示しない他側の末部にあっても、第1補強部材10、及び第2補強部材20が設けられる。
【0112】
この第4の実施の形態によれば、図14Dに示すように、導体3の導体はんだ接続部3cのプリント配線板対向面と、第2補強部材20の被覆部材25のプリント配線板対向面とが略面一となるように、被覆部材25の厚さTを第1補強部材10の被覆部材12などの厚さよりも厚く、例えば0.05〜0.1mmにすることが好適である。これにより、被覆部材25は、第1補強部材10の被覆部材12よりも大きい剛性を有することになる。この被覆部材25としては、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4と同様に、比較的剛性が高く、耐熱性を有するポリイミドフィルムなどが用いられる。
【0113】
この第2補強部材20は、図14Aに示すように、接着剤23と被覆部材25とにより構成されている。この第2補強部材20のフラットケーブル本体対向面に接着剤23が塗布されている。
【0114】
フラットケーブル本体2と、第1及び第2補強部材10,20とは、図14Bに示すように、フラットケーブル本体2の上面に第1補強部材10を、フラットケーブル本体2の下面に第2補強部材20をそれぞれ載置し、これらを接着剤13,23によって仮付けした状態で積層される。第1補強部材10、及び第2補強部材20は、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aと面一に配置される。
【0115】
フラットケーブル本体2、第1補強部材10、及び第2補強部材20の上下方向に熱プレス加工によって圧力を加えることで、図14Cに示すようにラミネートされて一体成形される。熱処埋を施すことで接着剤5,13,23を硬化させる。フラットケーブル本体2の外形の打ち抜き加工を行うことで、所定の形状にトリミングする。
【0116】
図14Dにおいて、フラットケーブル本体2の絶縁フィルム4の端面4aから外部へ露出した導体露出部3aに所定の形状に折り曲げ加工を施して導体折曲部3b及び導体はんだ接続部3cを形成する。第1補強部材10の補強金属板11にも、所定の形状に折り曲げ加工を施すことで、金属板折曲部11b及び金属板挿入部11cを形成する。これにより、フラットケーブル1が得られる。
【0117】
(第4の実施の形態の効果)
この第4の実施の形態によると、フラットケーブル本体2における絶縁フィルム4の端面4aの近傍部分において、第1補強部材10と略同じ位置に設けられたフラットケーブル本体2とプリント配線板30との間の隙間を埋める高剛性フィルム材からなる第2補強部材20を設けることによって、フラットケーブル本体2がプリント配線板方向に変形するのを物理的に抑制することができる。この変形抑制効果と、第1補強部材10に設けた金属板挿入部11cのスルーホール30aへの接合による変形拘束効果と併せて、導体3の導体はんだ接続部3cの近傍部分の変形をより低減することができるとともに、健全なフラットケーブル本体2のプリント基板接続構造が得られる。
【0118】
従来のフラットケーブル製造工程を用い、フラットケーブル本体2の導体はんだ接続部3cの近傍部分における振動変形を抑制する第1補強部材10と第2補強部材20とをフラットケーブル本体2と一体化することで、フラットケーブル本体2のプリント配線板30への実装を1回のリフロー工程で実施することができるとともに、実装工程の簡略化を図ることができる。なお、この第4の実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られることは勿論である。
【0119】
以上の説明からも明らかなように、上記実施の形態、変形例、及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきであり、本発明の技術思想の範囲内において種々の構成が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0120】
1…フラットケーブル、2…フラットケーブル本体、3…導体、3a…導体露出部、3b…導体折曲部、3c…導体はんだ接続部、4…絶縁フィルム、4a…端面、5…接着剤、10…第1補強部材、11,21…補強金属板、12,22,25…被覆部材、13,23…接着剤、11a…金属板露出部、11b…金属板折曲部、11c…金属板挿入部、20…第2補強部材、24…接着部材、30…プリント配線板、30a…スルーホール、31,35,37…接合材、32,36…表面電極部、33…ソルダーレジスト、34…スルーホール電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置された複数本の導体と、
前記複数本の導体を被覆する絶縁部材と、
前記絶縁部材の端部の表面に設けられた第1補強部材と、
前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられた第2補強部材と、を備え、
前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有し、
前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有することを特徴とするフラットケーブル。
【請求項2】
前記第2補強部材は、補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有することを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル。
【請求項3】
前記第2補強部材は、前記第1補強部材に設けられた前記被覆部材の厚さよりも厚い厚さの被覆部材と、前記第2補強部材の前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記第2補強部材の前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有することを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル。
【請求項4】
前記第2補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さよりも薄い厚さを有する請求項2に記載のフラットケーブル。
【請求項5】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記導体の厚さよりも厚い厚さを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
【請求項6】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属体の端部は、先端が先細りしたテーパ形状又は弧状である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
【請求項7】
フラットケーブルとプリント配線板とを備え、
前記フラットケーブルが、
並列に配置された複数本の導体と、
前記複数本の導体を被覆した絶縁部材と、
前記絶縁部材の端部の表面に設けられ、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板に固定させる第1補強部材と、
前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられ、前記プリント配線板に固定させる第2補強部材と、を備え、
前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有し、
前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有し、
前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板の対応する電極に接続したことを特徴とするフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項8】
前記第2補強部材は、補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有することを特徴とする請求項7に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項9】
前記第2補強部材は、前記第1補強部材に設けられた前記被覆部材の厚さよりも厚い厚さの被覆部材と、前記第2補強部材の前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記第2補強部材の前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有することを特徴とする請求項7に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項10】
前記第2補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さよりも薄い厚さを有する請求項8に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項11】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記導体の厚さよりも厚い厚さを有する請求項7〜10のいずれか1項に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項12】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属体の端部は、先端が先細りしたテーパ形状又は弧状である請求項7〜11のいずれか1項に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項1】
並列に配置された複数本の導体と、
前記複数本の導体を被覆する絶縁部材と、
前記絶縁部材の端部の表面に設けられた第1補強部材と、
前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられた第2補強部材と、を備え、
前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有し、
前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有することを特徴とするフラットケーブル。
【請求項2】
前記第2補強部材は、補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有することを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル。
【請求項3】
前記第2補強部材は、前記第1補強部材に設けられた前記被覆部材の厚さよりも厚い厚さの被覆部材と、前記第2補強部材の前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記第2補強部材の前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有することを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル。
【請求項4】
前記第2補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さよりも薄い厚さを有する請求項2に記載のフラットケーブル。
【請求項5】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記導体の厚さよりも厚い厚さを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
【請求項6】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属体の端部は、先端が先細りしたテーパ形状又は弧状である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
【請求項7】
フラットケーブルとプリント配線板とを備え、
前記フラットケーブルが、
並列に配置された複数本の導体と、
前記複数本の導体を被覆した絶縁部材と、
前記絶縁部材の端部の表面に設けられ、前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板に固定させる第1補強部材と、
前記第1補強部材に対して前記導体及び前記絶縁部材を挟んで対向する位置に設けられ、前記プリント配線板に固定させる第2補強部材と、を備え、
前記第1補強部材は、前記第2補強部材の方向へ折り曲げられた端部を有する補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有し、
前記第2補強部材は、前記第1補強部材の前記被覆部材よりも大きい剛性を有し、
前記複数本の導体の両端部を前記プリント配線板の対応する電極に接続したことを特徴とするフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項8】
前記第2補強部材は、補強金属板と、前記補強金属板の周囲の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、前記補強金属板及び前記被覆部材の間、及び前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記補強金属板、前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有することを特徴とする請求項7に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項9】
前記第2補強部材は、前記第1補強部材に設けられた前記被覆部材の厚さよりも厚い厚さの被覆部材と、前記第2補強部材の前記被覆部材及び前記絶縁部材の間に介在されて前記第2補強部材の前記被覆部材及び前記絶縁部材を接着させる接着剤と、を有することを特徴とする請求項7に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項10】
前記第2補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さよりも薄い厚さを有する請求項8に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項11】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属板の厚さは、前記導体の厚さよりも厚い厚さを有する請求項7〜10のいずれか1項に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【請求項12】
前記第1補強部材に設けられた前記補強金属体の端部は、先端が先細りしたテーパ形状又は弧状である請求項7〜11のいずれか1項に記載のフラットケーブルとプリント配線板との接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【公開番号】特開2012−234634(P2012−234634A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100524(P2011−100524)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
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