説明

フラットチューブ充填機におけるフラットチューブの導入装置

【課題】軟弱なフィルム状であって種々の方向に湾曲しているフラットチューブをチューブクランプに確実に導入する。
【解決手段】フラットチューブ31を送るコンベヤ21の端部21a近傍にはフラットチューブの案内枠33を配設し、該案内枠の下端近傍にはフラットチューブを受けるチューブ受け41を進退自在に配設し、該案内枠の一側方には該案内枠内のフラットチューブに当接する支持体45を該フラットチューブに対し接離自在に配設し、該案内枠の他側方には該案内枠内のフラットチューブを吸着する吸着装置のバキュームパッド49を該支持体に対向させた状態で該フラットチューブに対し接離自在に配設し、該案内枠の近傍にはフラットチューブを挟持するチューブクランプ5を配設し、該バキュームパッドを該チューブクランプに対し接離する方向に移動自在となす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットチューブ充填機におけるフラットチューブの導入装置に関するものであり、更に詳しくは、フラットチューブにシャンプー、リンス、歯磨き、調味料等の液体を充填し、該フラットチューブをシールするフラットチューブ充填機において、該フラットチューブをチューブクランプに導入するための導入装置に係るものである。
【0002】
本発明において、「フラットチューブ」とは、一端にスパウトを備え、他端を未シール端とした柔軟な合成樹脂製の包装袋であって、充填前においては全体がフラットな状態にあるものをいう。
【0003】
本発明において、「未シール端」とは、シールされていない端をいうものとする。
【0004】
フラットチューブにはシャンプー、リンス、歯磨き、調味料等の液体を充填した後、未シール端をシールする。フラットチューブの使用者は、スパウトより内容物を取り出して使用する。
【背景技術】
【0005】
PETボトル、ガラス瓶、缶等の容器に飲料水等の液体を充填する装置は、例えば特開2007−238153号公報等に示す如く、従来より種々のものが知られている。
【0006】
しかして、フラットチューブにシャンプー、リンス、歯磨き、調味料等の液体を充填し、該フラットチューブをシールするようにした好ましいフラットチューブ充填機は、本出願人の知る限りにおいて、従来存在しない。
【特許文献1】特開2007−238153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フラットチューブは、内容物の充填前においては、軟弱なフィルム状であって、種々の方向に湾曲しているため、フラットチューブ充填機における取り扱いが極めて困難である。
【0008】
フラットチューブに液体を充填する際には、該フラットチューブをチューブクランプにより固定する必要があると思われるが、軟弱なフィルム状であって種々の方向に湾曲しているフラットチューブをチューブクランプに確実に導入することは特に困難である。
【0009】
以上の如き状況の下で、本発明は、軟弱なフィルム状であって種々の方向に湾曲しているフラットチューブをチューブクランプに確実に導入するようにした、フラットチューブ充填機におけるフラットチューブの導入装置を提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、下記の如きフラットチューブ充填機におけるフラットチューブの導入装置を提供する。
【0011】
(1)フラットチューブを送るコンベヤの端部近傍にはフラットチューブの案内枠を配設し、該案内枠の下端近傍にはフラットチューブを受けるチューブ受けを進退自在に配設し、該案内枠の一側方には該案内枠内のフラットチューブに当接する支持体を該フラットチューブに対し接離自在に配設し、該案内枠の他側方には該案内枠内のフラットチューブを吸着する吸着装置のバキュームパッドを該支持体に対向させた状態で該フラットチューブに対し接離自在に配設し、該案内枠の近傍にはフラットチューブを挟持するチューブクランプを配設し、該バキュームパッドを該チューブクランプに対し接離する方向に移動自在となし、
前記コンベヤの端部よりフラットチューブをスパウトを下方に向けた姿勢で前記案内枠内に落下させ、該フラットチューブをバキュームパッドに吸着させた状態でチューブクランプに導入するようにしたことを特徴とする、フラットチューブ充填機におけるフラットチューブの導入装置(請求項1)。
【0012】
(2)前記チューブクランプは前記案内枠の下方に配設し、前記バキュームパッドは昇降自在となす(請求項2)。
【0013】
(3)前記コンベヤは、複数の桟を所定の間隔を置いて送り方向と直角の水平方向に配設している(請求項3)。
【発明の効果】
【0014】
[請求項1の発明]
内容物の充填前においては、フラットチューブは、軟弱なフィルム状であって種々の方向に湾曲しているのであるが、このようなフラットチューブであっても、これを吸着装置のバキュームパッドにより吸着した状態でチューブクランプに導入するようにしているため、フラットチューブは正確にチューブクランプに導入される。
【0015】
フラットチューブは、スパウトを下方に向けた姿勢でコンベヤから案内枠内に落下させるようにしている。しかして、フラットチューブは、スパウトを備えた一端が他端よりも重いため、フラットチューブは、軟弱なフィルム状であって種々の方向に湾曲しているときでも、案内枠内に正確に落下する。
【0016】
[請求項2の発明]
請求項2の発明は、チューブクランプを案内枠の下方に配設し、バキュームパッドを昇降自在となした点を除き、前記請求項1の発明と同様であり、請求項1の発明と同一の効果を発揮する。
【0017】
[請求項3の発明]
コンベヤは、複数の桟を所定の間隔を置いて送り方向と直角の水平方向に配設しているため、コンベヤ上における桟と桟との間のスペースにフラットチューブを1枚ずつ供給したときには、各フラットチューブは一定の時間的間隔を置いて案内枠内に落下する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、フラットチューブの導入装置が組み込まれるフラットチューブ充填機の一例について、図1を参照して、概略的に説明する。
【0019】
基台1上には、間欠的に回転する回転盤3を配設し、該回転盤3に多数のチューブクランプ5を取り付ける。
【0020】
回転盤3の周囲には、フラットチューブをチューブクランプ5に導入する導入装置7と、フラットチューブに液体を充填する充填装置9と、プレヒート装置11と、ヒートシール装置13と、冷却装置15と、マーキング装置17と、排出装置19とを配設する。
【0021】
符号21に示すものは導入装置7のコンベヤ、符号23に示すものは充填装置9のタンク、符号25、27に示すものはそれぞれ排出装置19のコンベヤである。
【0022】
上記事例においては、フラットチューブは、作業員29により、導入装置7のコンベヤ21に供給される。
【0023】
上記事例においては、フラットチューブは、導入装置7にてチューブクランプ5に導入される。チューブクランプ5に導入されたフラットチューブは、充填装置9にて液体を充填され、以後、プレヒート装置11と、ヒートシール装置13と、冷却装置15と、マーキング装置17とを経て排出装置19より製品として排出される。
【0024】
以下、フラットチューブ充填機におけるフラットチューブの導入装置7について説明する。
【0025】
フラットチューブ31を送るコンベヤ7の端部21a近傍にはフラットチューブ31の案内枠33を配設する。
【0026】
案内枠33は、一側部とこれに対向する他側部とに、それぞれ開口部35、37を備えている。少なくとも他側部の開口部37は、案内枠33の下端39まで開口している。図2、図3参照。
【0027】
案内枠33の下端39近傍にはフラットチューブ31を受けるチューブ受け41を進退自在に配設する。
【0028】
チューブ受け41は、一例として板状体とし、エアシリンダ43により進退するようになす。
【0029】
チューブ受け41は、前進したときには、案内枠33の下端39を塞ぐ位置に達し、案内枠33内を落下するフラットチューブ31を受ける(図2、図3参照)。チューブ受け41は、後退したときには、案内枠33の下端39から離れ、フラットチューブ31の案内枠33からの下降を許す。
【0030】
案内枠33の一側方には該案内枠33内のフラットチューブ31に当接する支持体45を該フラットチューブ31に対し接離自在に配設する。
【0031】
支持体45は、一例として板状体とし、エアシリンダ47により案内枠33内のフラットチューブ31に対し接離自在とする。支持体45は、案内枠33の開口部35を通過して案内枠33内のフラットチューブ31に接離する。
【0032】
案内枠33の他側方には該案内枠33内のフラットチューブ31を吸着する吸着装置のバキュームパッド49を支持体45に対向させた状態で該フラットチューブ31に対し接離自在に配設する。
【0033】
バキュームパッド49は、エアシリンダ51により案内枠33内のフラットチューブ31に接離する。
【0034】
案内枠33の近傍にはフラットチューブ31を挟持するチューブクランプ5を配設し、吸着装置のバキュームパッド49を該チューブクランプ5に対し接離する方向に移動自在となす。
【0035】
チューブクランプ5は、好ましくは、案内枠33の下方に配設し、前記バキュームパッド49はエアシリンダ52により昇降自在となす
【0036】
図示の事例においては、チューブクランプ5は、案内枠33の下方における回転盤3上に取り付けられている。
【0037】
フラットチューブ31は、前述の如く、一端にスパウト53を備え、他端を未シール端55とした包装袋であるが、前記コンベヤ7の端部よりスパウト53を下方に向けた姿勢(図7〜図9に示す姿勢)で前記案内枠33内に落下させる。換言すれば、フラットチューブ31は、スパウト53を前にした姿勢でコンベヤ7上に供給する。
【0038】
コンベヤ7は、好ましくは、複数の桟57を所定の間隔を置いて送り方向と直角の水平方向に配設してなるものを使用する。図1、図2参照。
【0039】
図示のコンベヤ7は、2レーンタイプのものである。
【0040】
フラットチューブ31が案内枠33内に落下するときには、チューブ受け41は、案内枠33の下端39を塞ぐ位置に前進している。したがって、案内枠33内に落下したフラットチューブ31のスパウト53はチューブ受け41に当接する。すなわち、フラットチューブ31はチューブ受け41によりスパウト53を下方に向けた姿勢で保持される。
【0041】
続いて、支持体45が前進し、案内枠33の開口部35を通過して案内枠33内のフラットチューブ31に当接する。
【0042】
支持体45が案内枠33内のフラットチューブ31に当接し、該フラットチューブ31を支持しているときに、吸着装置のバキュームパッド49が前進し、案内枠33の開口部37を通過して案内枠33内のフラットチューブ31に当接し、該フラットチューブ31を吸着する。
【0043】
吸着装置のバキュームパッド49がフラットチューブ31を吸着保持したときに、支持体45が後退してフラットチューブ31から離れると共に、チューブ受け41が後退し、案内枠33の下端39から離れる。
【0044】
しかる後、吸着装置のバキュームパッド49は、フラットチューブ31を吸着した状態で、チューブクランプ5に接近し、該フラットチューブ31をチューブクランプ5に導入する。
【0045】
図示の事例においては、吸着装置のバキュームパッド49は、フラットチューブ31を吸着した状態で、チューブクランプ5まで下降し、該フラットチューブ31をチューブクランプ5に導入する。
【0046】
吸着装置のバキュームパッド49は、フラットチューブ31をチューブクランプ5に導入した後、エアを吐き出してフラットチューブ31から離れて元の位置まで戻る。
【0047】
以上により、フラットチューブ31は、スパウト53を下方に向けた姿勢でチューブクランプ5により保持される。
【0048】
回転盤3の回転に伴い、チューブクランプ5に保持されたフラットチューブ31は、順次、充填装置9と、プレヒート装置11と、ヒートシール装置13と、冷却装置15と、マーキング装置17とを通過し、所定の液体が充填された製品として排出装置19から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】フラットチューブ充填機の一例を示す平面図である。
【図2】フラットチューブの導入装置の一例を示す側面図である。
【図3】案内枠の一例を示す正面図である。
【図4】フラットチューブのスパウトがチューブ受けに当接した状態を示す説明図である。
【図5】吸着装置のバキュームパッドがフラットチューブを吸着した状態を示す説明図である。
【図6】フラットチューブをチューブクランプに導入した状態を示す正面図である。
【図7】フラットチューブの正面図である。
【図8】フラットチューブの側面図である。
【図9】フラットチューブの一部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 基台
3 回転盤
5 チューブクランプ
7 導入装置
9 充填装置
11 プレヒート装置
13 ヒートシール装置
15 冷却装置
17 マーキング装置
19 排出装置
21 コンベヤ
21a 端部
23 タンク
25 コンベヤ
27 コンベヤ
29 作業員
31 フラットチューブ
33 案内枠
35 開口部
37 開口部
39 下端
41 チューブ受け
43 エアシリンダ
45 支持体
47 エアシリンダ
49 バキュームパッド
51 エアシリンダ
52 エアシリンダ
53 スパウト
55 未シール端
57 桟

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットチューブを送るコンベヤの端部近傍にはフラットチューブの案内枠を配設し、該案内枠の下端近傍にはフラットチューブを受けるチューブ受けを進退自在に配設し、該案内枠の一側方には該案内枠内のフラットチューブに当接する支持体を該フラットチューブに対し接離自在に配設し、該案内枠の他側方には該案内枠内のフラットチューブを吸着する吸着装置のバキュームパッドを該支持体に対向させた状態で該フラットチューブに対し接離自在に配設し、該案内枠の近傍にはフラットチューブを挟持するチューブクランプを配設し、該バキュームパッドを該チューブクランプに対し接離する方向に移動自在となし、
前記コンベヤの端部よりフラットチューブをスパウトを下方に向けた姿勢で前記案内枠内に落下させ、該フラットチューブをバキュームパッドに吸着させた状態でチューブクランプに導入するようにしたことを特徴とする、フラットチューブ充填機におけるフラットチューブの導入装置。
【請求項2】
前記チューブクランプは前記案内枠の下方に配設し、前記バキュームパッドは昇降自在となしたことを特徴とする請求項1に記載のフラットチューブ充填機におけるフラットチューブの導入装置。
【請求項3】
前記コンベヤは、複数の桟を所定の間隔を置いて送り方向と直角の水平方向に配設していることを特徴とする請求項1又は2に記載のフラットチューブ充填機におけるフラットチューブの導入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−149343(P2009−149343A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329425(P2007−329425)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(592209755)金城機工株式会社 (5)
【Fターム(参考)】