説明

フラットディスプレイパネルの製造方法、および、フラットディスプレイパネル

【課題】隔壁の欠陥部を適切に修正可能なPDPの製造方法を提供すること。
【解決手段】背面基板103上の隔壁110に存在する欠陥部110Aを修正するリペア部材150として、屈伏点が600℃以上の物を適用した。このため、リペア部材150の屈伏点を一般的なリペア温度である500〜600℃よりも高くしているので、リペア部材150を焼成したときに、このリペア部材150における収縮する応力の発生を防止できる。したがって、焼成クラックや球状変形の発生を防止でき、欠陥部110Aを適切に修正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットディスプレイパネルの製造方法、および、フラットディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラットディスプレイパネルであるプラズマディスプレイパネル(PDP)の隔壁に欠陥部が存在する場合、この欠陥部を修正する構成が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、隔壁の欠け欠陥の領域に、隔壁形成材料と同じ低融点ガラスペーストを注入した後、この隔壁の両側の溝に針を挿入、移動させて、低融点ガラスペーストを形成する。そして、基板全体を550℃程度で焼成して、欠け欠陥の部分を成形する構成が採られている。
【0004】
特許文献2に記載のものは、隔壁欠陥部分に修正部材を塗布する。そして、この塗布された修正部材を、リペア治具を用いて成形して、乾燥させる。さらに、修正乾燥された隔壁間に蛍光体部材を塗布して乾燥させ、450℃〜550℃の温度で焼成する構成が採られている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−15033号公報
【特許文献2】特開2005−317526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に記載のような構成では、欠陥部を修正するためのリペア部材の塗布後に焼成するが、この焼成時にリペア部材の収縮による隔壁のクラックや、リペア部材自体の変形による隔壁の形状不良が発生するおそれがあるという問題点が一例として挙げられる。
【0007】
本発明は、このような点などに鑑みて、隔壁の欠陥部を適切に修正可能なフラットディスプレイパネルの製造方法、および、フラットディスプレイパネルを提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、基板上に形成された隔壁に存在する欠陥部に対して、リペア部材を塗布することによって欠陥部を修正する修正工程を含むフラットディスプレイパネルの製造方法であって、前記リペア部材の屈伏点は、600℃以上であることを特徴とするフラットディスプレイパネルの製造方法である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、対向する2枚の基板の間に隔壁が形成されたフラットディスプレイパネルであって、前記隔壁の少なくとも一部を構成する隔壁部材の屈伏点は、600℃以上であることを特徴とするフラットディスプレイパネルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、修正対象として、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)を構成する隔壁の欠陥部を例示して説明するが、この限りではなく、例えばFED(Field Emission Display)などのフラットディスプレイパネルを構成する隔壁の欠陥部を修正対象としてもよい。
【0011】
[プラズマディスプレイパネル]
まず、本発明の一実施形態の修正工程で修正されるPDPの構成について説明する。
図1は、PDPを示した分解斜視図である。
図1に示すように、フラットディスプレイパネルとしてのPDP100は、放電空間101を介して互いに対向配置された前面基板102と背面基板103とを備えている。
【0012】
前面基板102の内面側には、互いに平行に配設された複数の透明電極104と、この透明電極104に沿って設けられた図示しないバス電極と、吸光性材料からなる複数のブラックストライプ105と、誘電体層106と、保護層107と、などがそれぞれ設けられている。
背面基板103の内面側には、互いに平行に配設された複数のアドレス電極108と、アドレス電極保護層109と、井桁形状の隔壁110と、などがそれぞれ設けられている。
そして、隔壁110により形成された複数の表示セルとしての放電セル111の内部には、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体層112R,112G,112Bが順に形成されている。放電空間101の内部、すなわちそれぞれの放電セル111の内部は、ネオンガスなどの放電ガスが充填され、外気との間で密閉されている。
【0013】
[プラズマディスプレイパネルの製造方法]
次に、上記PDP100の製造方法として、隔壁110を形成する隔壁形成工程、および、隔壁110に存在する欠陥部110A(図2参照)を修正する修正工程について説明する。
図2は、修正前の隔壁の状態を示す模式図である。図3は、隔壁にリペア部材が塗布された状態を示す模式図である。図4は、修正後の隔壁を示す模式図である。なお、図2〜図4において、背面基板103および隔壁110のみを図示し、他の構造物の図示は省略している。
【0014】
(隔壁形成工程)
アドレス電極108およびアドレス電極保護層109が形成された背面基板103上に、隔壁形成材料層を形成する。具体的には、アドレス電極保護層109上に、ガラスペーストなどの隔壁部材を塗布して乾燥させ、隔壁形成材料層を形成する。
次に、例えばサンドブラスト法を用いて、隔壁形成材料層をパターニングする。そして、隔壁形成材料層がパターニングされた背面基板103を焼成して、隔壁110を形成する。
ここで、隔壁110形成時の焼成温度は、一般的に500〜600℃に設定されている。これは、この温度範囲外、特に600℃を超える焼成温度とした場合、隔壁110の形状が所望の形状に保たれなくなるためである。
【0015】
(修正工程)
そして、隔壁形成工程において、例えば図2に示すように、隔壁110に欠けなどの欠陥部110Aが発生した場合、この欠陥部110Aを修正する修正工程を実施する。
【0016】
具体的には、まず、リペア部材150(図3参照)をあらかじめ準備しておく。
このリペア部材150は、隔壁110の形成に用いた隔壁部材と異なる物性を有している。
具体的には、リペア部材150は、屈伏点が600℃以上に調整されている。ここで、屈伏点とは、ガラスを加熱し続けたときに、膨張が止まり次に収縮が始まる温度のことである。
屈伏点は、ガラスペーストにフィラー材料を混合することで調整されている。この混合するフィラー材料としては、アルミナ、シリカ、チタニアなどが例示できる。
【0017】
また、リペア部材150は、軟化点が隔壁部材の軟化点よりも低く調整されていること好ましい。
この軟化点は、ガラスペーストにガラス粉末を加えることで調整できる。この加えるガラス粉末としては、PbO、SiO、B、ZnO、BiOなどが例示できる。
【0018】
さらに、リペア部材150は、粘度が100〜200Pa・s(パスカル秒)に調整されていることが好ましい。
この粘度は、ガラスペーストに溶剤を加えることで調整できる。この加える溶剤として、テルピネオール、BCAなどが例示できる。
【0019】
そして、リペア部材150をペースト化する際には、バインダーとしてセルロース系の樹脂を用いることが好ましい。
このセルロース系の樹脂としては、エチルセルロースなどが例示できる。
【0020】
次に、図3に示すように、このリペア部材150を、ディスペンサ160を用いて、欠陥部110Aに塗布する。この塗布の際、欠陥部110A内にリペア部材150が充填されるように塗布する。
次に、このリペア部材150を乾燥させ、レーザやヒータなど用いてリペア部材150が塗布された部分近傍を局所的に焼成して、あるいは、焼成炉を用いて背面基板103全体を加熱することでリペア部材150を焼成して、欠陥修正部151を形成する。
ここで、欠陥修正部151形成時の焼成温度は、例えば隔壁110形成時と同程度の温度範囲、つまり500〜600℃に設定されている。
なお、リペア部材150の軟化点が隔壁部材の軟化点よりも低く調整されている場合、欠陥修正部151形成時の焼成温度は、隔壁部材の軟化点よりも低く、かつ、リペア部材150の軟化点よりも高く設定されていることが好ましい。
【0021】
この後、リペア部材150が隔壁110の各面よりも盛り上がっている場合、図4に示すように、この盛り上がりを研磨処理などにより除去する。以上により、隔壁110の欠陥部110Aの修正が完了する。
なお、リペア部材150の乾燥後、かつ、焼成前に、盛り上がりを除去してもよい。
【0022】
[実施例]
次に、実施例として、上述したPDP100製造方法の作用について、図面を参照して説明する。
【0023】
〔リペア部材の粘度と、塗布性との関係〕
まず、リペア部材の粘度と、塗布成功率との関係について説明する。
【0024】
(サンプル作製方法、および、評価方法)
まず、所定の軟化点、屈伏点を有するリペア部材を準備した。そして、このリペア部材の粘度を50〜220Pa・sの範囲で調整して、このリペア部材を欠陥部に塗布したときの成功率(以下、塗布成功率と称す)を評価した。その結果を、図5に示す。
なお、粘度は、ブルックフィールド粘度計 センサーSC4−14/6Rを用いて、50rpm(25℃)の条件下で測定した。
また、塗布成功率は、塗布状態良好サンプル数を評価サンプル数で除することで求めた。そして、塗布時にリペア部材が欠陥部に付着して、
かつ、リペア部材が流れないときに、塗布状態が良好であると見なした。
【0025】
(評価結果)
図5に示すように、リペア部材の粘度が100Pa・sよりも小さい場合、塗布成功率が100%とならないことが確認できた。これは、粘度が低いと、ディスペンサなどの塗布手段の塗布口からリペア部材が意図しないタイミングで落下してしまったり、リペア部材が流れやすく塗布後に所望の形状への積み重ね形成が困難となるためと考えられる。
また、リペア部材の粘度が200Pa・sよりも大きい場合も、塗布成功率が100%とならないことが確認できた。これは、粘度が高いと、塗布手段の塗布口からリペア部材が落下しにくくなり、欠陥部に付着しにくくなるためと考えられる。
以上のことから、リペア部材の粘度を100〜200Pa・sに設定することにより、リペア部材を欠陥部に良好に塗布でき、欠陥部を適切に修正できることが確認できた。
【0026】
〔リペア部材の屈伏点、軟化点、樹脂と、欠陥部の修正状態との関係〕
次に、リペア部材の屈伏点、軟化点、樹脂と、欠陥部の修正状態との関係について説明する。
【0027】
(サンプル作製方法)
まず、以下の表1に示すような実施例のリペア部材と、比較例1〜比較例3のリペア部材と、を準備した。さらに、表1に示すような隔壁部材を準備した。
なお、実施例,比較例1〜3のリペア部材の粘度を、上記の検討結果を反映させて、100〜200Pa・sに設定した。
また、隔壁部材の粘度を、100Pa・sに設定した。
【0028】
【表1】

【0029】
次に、上記隔壁部材を用いて隔壁を形成するとともに、この隔壁に欠陥部を形成した。この後、実施例のリペア部材を欠陥部に塗布して実施例のサンプルを作製し、リペア時の一般的な焼成温度(以下、リペア温度と称す)である約560℃となるようなCOレーザの出力で焼成を実施した。また、同様にして、比較例1〜3のリペア部材を欠陥部に塗布して比較例1〜3のサンプルを作製し、前記条件で焼成を実施した。
なお、リペア温度を隔壁部材の軟化点よりも低く設定したのは、リペア時に隔壁が軟化して変形してしまうのを防止するためである。
【0030】
(評価内容)
欠陥部の修正状態として、以下の評価を実施した。
すなわち、隔壁における焼成クラックの発生状況と、球状変形の発生状況と、欠陥部の修正状態として評価した。
また、リペア部材の焼成後にリペア箇所を研磨して、隔壁部材とリペア部材との密着性を評価した。
さらに、実施例のサンプル、比較例1〜3のサンプル作製時における各リペア部材の塗布性を評価した。
これらの結果を、上記表1に示した。
【0031】
なお、焼成クラックおよび球状変形とは、以下のようなメカニズムにより発生する現象を意味する。
すなわち、図6に示すように、隔壁に対応する対象部材200の間にリペア部材210を塗布して、リペア部材210の屈伏点以上の温度で焼成する。すると、リペア部材210に収縮する応力が働き、矢印Hで示すように、リペア部材210が対象部材200の端部を引っ張る。そして、この引っ張りにより、対象部材200に焼成クラック201が発生する。
また、リペア部材210が対象部材200の端部を引っ張らない場合でも、つまり焼成クラック201が発生しない場合でも、リペア部材210自体が凝集して、図7に示すように、球状変形しやすくなる。
【0032】
(評価結果)
{リペア部材の屈伏点と、焼成クラックおよび球状変形の発生状況との関係}
屈伏点が600℃以上のリペア部材を用いた実施例のサンプルと、535℃のリペア部材を用いた比較例1のサンプルと、を比較した。
表1に示すように、両者とも焼成クラックが発生しないことが確認できた。また、比較例1のサンプルでは、球状変形が発生したのに対し、実施例のサンプルでは、球状変形が発生しないことが確認できた。
【0033】
これは、以下のように考えられる。
すなわち、比較例1のサンプルでは、屈伏点がリペア温度よりも低いため、上述したように、リペア部材に収縮する応力が働く。そして、この応力により、リペア部材が隔壁を引っ張らなかったが、リペア部材自体が凝集したため球状変形したと考えられる。
一方、実施例のサンプルでは、屈伏点がリペア温度よりも高いため、リペア部材に収縮する応力が働かない。このため、焼成クラックや球状変形が発生しなかったと考えられる。
【0034】
また、PDPの焼成温度は、隔壁が軟化しないように、一般的に500〜600℃に設定されており、リペア温度も同程度の温度に設定する必要がある。
【0035】
以上のことから、リペア部材の屈伏点をリペア温度以上とすることにより、焼成クラックや球状変形を発生させることなく、欠陥部を適切に修正できることが確認できた。特に、リペア部材の屈伏点を600℃以上にすることにより、焼成クラックや球状変形の発生を確実に防止でき、欠陥部を適切に修正できることが確認できた。
【0036】
{リペア部材の軟化点と、隔壁部材とリペア部材との密着性との関係}
軟化点がリペア温度よりも低い550℃のリペア部材を用いた実施例のサンプルと、リペア温度よりも高い580℃のリペア部材を用いた比較例1のサンプルと、を比較した。
表1に示すように、比較例1のサンプルでは、隔壁からリペア部材が剥がれやすく密着性が悪いのに対し、実施例のサンプルでは、隔壁からリペア部材が剥がれず十分な密着性を有していることが確認できた。
【0037】
これは、以下のように考えられる。
すなわち、比較例1のサンプルでは、リペア部材の軟化点がリペア温度よりも高いため、リペア部材が軟化しない。さらに、隔壁部材の軟化点もリペア温度よりも高いため、隔壁も軟化しない。このため、リペア部材と隔壁部材との密着性が乏しくなったと考えられる。
なお、表1では示していないが、両者の密着性を上げるために、約600℃の温度で焼成してみた。しかし、リペア部材に加えて隔壁も変形したり、焼成の温度と屈伏点との関係から焼成クラックが発生したりして、良好に修正できなかった。
一方、実施例のサンプルでは、軟化点がリペア温度よりも低いため、リペア部材が軟化する。また、隔壁部材の軟化点およびリペア温度の関係から、上述したように隔壁が軟化しない。このため、隔壁の形状を変形させずにリペア部材を隔壁に固着させることができ、十分な密着性を確保できたと考えられる。
以上のことから、リペア部材の軟化点を隔壁部材の軟化点よりも低くすることにより、隔壁を変形させずにリペア部材を隔壁に固着させることができ、欠陥部を適切に修正できることが確認できた。また、リペア温度を、リペア部材の軟化点と、隔壁部材の軟化点との間に設定すればよく、適切に修正可能な焼成温度の設定を容易にできる。
【0038】
{リペア部材の樹脂と、塗布性との関係}
セルロース系樹脂を用いた実施例,比較例1のサンプルと、アクリル系樹脂を用いた比較例2,3のサンプルと、を比較した。
樹脂の種類によらず、リペア部材の塗布後の形成保持、焼成後の残渣については、同等であることが確認できた。
しかし、表1に示すように、比較例2,3のサンプルでは、塗布時にリペア部材が隔壁に付着しない場合があることが確認できた。これに対し、実施例,比較例1のサンプルでは、塗布時にリペア部材が隔壁に確実に付着することが確認できた。
以上のことから、リペア部材をペースト化する際のバインダーとして、セルロース系樹脂を用いることにより、塗布後の形状保持性や塗布性を満足できるとともに、焼成後の残渣の発生を抑制でき、欠陥部を適切に修正できることが確認できた。
【0039】
[PDPの製造方法の作用効果]
以上のPDP100の製造方法によれば、以下の作用効果が期待できる。
【0040】
(1)背面基板103上の隔壁110に存在する欠陥部110Aを修正するリペア部材150として、屈伏点が600℃以上のものを適用している。つまり、修正後の隔壁110の少なくとも一部を構成する隔壁部材の屈伏点を、600℃以上としている。
このため、リペア部材150の屈伏点を一般的なリペア温度である500〜600℃よりも高くしているので、リペア部材150を焼成したときに、このリペア部材150における収縮する応力の発生を防止できる。したがって、焼成クラックや球状変形の発生を防止でき、欠陥部110Aを適切に修正することができる。
【0041】
(2)リペア部材150の軟化点を、隔壁部材の軟化点よりも低くしている。つまり、修正後の隔壁110の少なくとも一部を構成する隔壁部材の軟化点を、他の部分を構成する隔壁部材の軟化点よりも低くしている。
このため、リペア部材150をリペア温度で焼成したときに、隔壁の形状を変形させずにリペア部材を隔壁に固着させることができる。したがって、十分な密着性を確保でき、欠陥部110Aをより適切に修正することができる。
【0042】
(3)リペア部材150の粘度を、100〜200Pa・sとしている。
このため、ディスペンサ160などの塗布口からリペア部材が意図しないタイミングで落下する、リペア部材が流れやすく塗布の所望の形状への積み重ねが困難になる、リペア部材が落下しにくくなるなどの不具合を発生させることなく、リペア部材150を欠陥部110Aに良好に塗布でき、適切に欠陥部110Aを修正することができる。
【0043】
(4)リペア部材150のペースト化に、セルロース系の樹脂を適用している。
このため、塗布後の形状保持性や塗布性を満足できるとともに、焼成後の残渣の発生を抑制でき、欠陥部110Aを適切に修正できる。
【0044】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0045】
すなわち、リペア部材150の軟化点を、隔壁部材の軟化点以上としてもよい。
このような構成の場合、リペア部材150の軟化点以下の温度で焼成すると密着性が乏しくなるが、焼成クラックや球状変形を発生させることなく、欠陥部110Aを修正することができる。
【0046】
また、リペア部材150の粘度を、100Pa・sよりも低くしてもよいし、200Pa・sよりも高くしてもよい。
このような構成の場合、塗布成功率が100%に満たなくなるが、焼成クラックや球状変形を発生させることなく、欠陥部110Aを修正することができる。
【0047】
そして、リペア部材150のペースト化に、アクリル系樹脂を適用してもよい。
このような構成の場合、塗布性を満足できないが、塗布後の形状保持性を満足できるとともに、焼成後の残渣の発生を抑制できる。
【0048】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0049】
[実施形態の作用効果]
上記したように、背面基板103上の隔壁110に存在する欠陥部110Aを修正するリペア部材150として、屈伏点が600℃以上の物を適用している。
このため、リペア部材150の屈伏点を一般的なリペア温度である500〜600℃よりも高くしているので、リペア部材150を焼成したときに、このリペア部材150における収縮する応力の発生を防止できる。したがって、焼成クラックや球状変形の発生を防止でき、欠陥部110Aを適切に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るPDPを示した分解斜視図である。
【図2】前記一実施形態における修正前の隔壁の状態を示す模式図である。
【図3】前記一実施形態における隔壁にリペア部材が塗布された状態を示す模式図である。
【図4】前記一実施形態における修正後の隔壁を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例におけるリペア部材の粘度と、塗布成功率との関係を示すグラフである。
【図6】前記実施例における焼成クラックの発生メカニズムを説明するための模式図である。
【図7】前記実施例における球状変形の発生メカニズムを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0051】
100…フラットディスプレイパネルとしてのPDP
103…背面基板
110…隔壁
110A…欠陥部
150…リペア部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された隔壁に存在する欠陥部に対して、リペア部材を塗布することによって欠陥部を修正する修正工程を含むフラットディスプレイパネルの製造方法であって、
前記リペア部材の屈伏点は、600℃以上である
ことを特徴とするフラットディスプレイパネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のフラットディスプレイパネルの製造方法において、
前記リペア部材の軟化点は、前記隔壁を構成する隔壁部材の軟化点よりも低い
ことを特徴とするフラットディスプレイパネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のフラットディスプレイパネルの製造方法において、
前記リペア部材の粘度は、100〜200Pa・sである
ことを特徴とするフラットディスプレイパネルの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のフラットディスプレイパネルの製造方法において、
前記リペア材に含まれる樹脂は、セルロース系樹脂である
ことを特徴とするフラットディスプレイパネルの製造方法。
【請求項5】
対向する2枚の基板の間に隔壁が形成されたフラットディスプレイパネルであって、
前記隔壁の少なくとも一部を構成する隔壁部材の屈伏点は、600℃以上である
ことを特徴とするフラットディスプレイパネル。
【請求項6】
請求項5に記載のフラットディスプレイパネルであって、
前記少なくとも一部を構成する隔壁部材の軟化点は、前記隔壁の他の部分を構成する隔壁部材の軟化点よりも低い
ことを特徴とするフラットディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−140744(P2009−140744A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315643(P2007−315643)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】