説明

フラップドア持ち上げ装置

【課題】様々な状況に応じた開度状態でのフラップドアの持ち上げおよび開度状態の保持を、簡単な構成で実現できるフラップドア持ち上げ装置を得る。
【解決手段】加圧流体を充填した密封シリンダ6の内部には、第1および第2作動室14,15に分割するピストン12を軸線方向に移動可能に配置し、ピストンの片側にピストンロッド7を取り付け、このピストンロッド7を、第2作動室15から、さらにシリンダ6の一方の端面で封止状態を保って外部に導出させ、かつフラップドアもしくは固定構造部分にヒンジ連結し、シリンダ6の他方の端面は、固定構造部分もしくはフラップドアにヒンジ連結し、ピストン6には、第1作動室14から第2作動室15に通じる、開閉、あるいはそのどちらかが可能なポート17を設けたフラップドア持ち上げ装置5において、ポート17を、電気制御弁により開放および閉鎖の少なくとも一方の動作を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車の、回動軸線の周りに回動可能にヒンジ連結した跳ね上げ式のフラップドアを、ピストン/シリンダユニットによって持ち上げる装置であって、前記ピストン/シリンダユニットには、加圧流体を充填した密封シリンダを設け、この密封シリンダ内部には、内部空間を第1および第2作動室に分割するピストンを軸線方向に移動可能に配置し、前記ピストンの片側にピストンロッドを取り付け、このピストンロッドを、前記第2作動室から、さらに前記シリンダの一方の端面で封止状態を保って外部に導出させ、かつ前記フラップドアもしくは固定構造部分にヒンジ連結し、前記シリンダの他方の端面は、前記固定構造部分もしくは前記フラップドアにヒンジ連結し、前記ピストンには、前記第1作動室から前記第2作動室に通じる、開閉、あるいはそのどちらかが可能なポートを設けた該フラップドア持ち上げ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような装置では、ピストンロッドから外部に導出させた作動プランジャにより、ポートの開閉を手動で行うものが知られている。
【0003】
しかしこの既知の装置では、操縦者が毎回フラップドア領域にきて、毎回作業内容を決定し、これを遂行しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べたような、様々な状況に応じた開度状態でのフラップドアの持ち上げおよび開度状態の保持を、簡単な構成で実現できるフラップドア持ち上げ装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するため、本発明フラップドア持ち上げ装置は、前記ポートを、電気制御弁により開放および閉鎖の少なくとも一方の動作を可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のこの構成によれば、様々な状況に最も適合して、第1作動室から第2作動室にいたるポートの、開放および閉鎖の少なくとも一方の動作を実現することができる。この際、個別の状況に対応させることも、一定の状況に固定対応させることも可能である。
【0007】
このとき弁は、制御によって全開する、または比例開閉する弁とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
好適には、ピストン/シリンダユニットをガスばねとする。
【0009】
電気制御弁は、スライド弁、またはシート弁とすることができる。
【0010】
低コストで構成するため、どちらか一方の運動方向だけに電気駆動を適用し、電気制御弁の閉鎖部材は、ばね力に抗して開放方向に移動できるよう構成することができる。
【0011】
同様に、電気制御弁の閉鎖部材は、ばね力に抗して閉鎖方向に移動できるよう構成することもできる。
【0012】
この構成により閉鎖部材は、ばね弾性によって、簡単に電気的駆動方向とは反対方向に駆動できるようになる。
【0013】
好適には、電気制御弁を、電磁弁とする。
【0014】
もちろん、弁には他にも、閉鎖部材を駆動させるための部品を設けることができる。例えば、電気モータにより回転駆動可能なスピンドルで閉鎖部材の位置制御をすることもできる。
【0015】
電磁弁に、ピストンのピストン空間内で移動可能に配置した強磁性の磁極コアを設け、この磁極コアによって電気制御弁の閉鎖部材を、ばね力に抗して移動可能にすることで、構成をよりコンパクトにすることができる。
【0016】
さらに好適には、磁極コアが移動する軸線方向に延在するコイルで、磁極コアの領域を包囲する。
【0017】
コイルの取り付け例の1つとして、コイルを、シリンダもしくはシリンダの壁内に、シリンダ内でのピストンの移動行程にわたって延在させる方法がある。この実施例は、固定されたコイルに対し、ピストンおよびピストンロッドと一体に可動にする制御導線を必要としないという点で好適である。
【0018】
コイルから生じる磁場を遮蔽しないように、コイルは、非磁性材料製のチューブ内もしくは、このチューブの外面に巻き付けるとよく、このときチューブをシリンダ内に同軸状に嵌合し、ピストンをチューブの貫通ボア内に移動可能に配置する。
【0019】
また、同じく磁場を遮蔽しないように、コイルは、非磁性材料製のシリンダの外面に巻き付けてもよい。
【0020】
このとき、チューブまたはシリンダ、またはその双方を、アルミ製、特殊鋼製、合成樹脂製のいずれかとしてもよい。
【0021】
コイルの他の取り付け例として、コイルをピストン内に配置し、磁極コアの移動行程にわたって延在させる方法もある。
【0022】
好適には、コイルをピストンに密着固定する。これのことは、コイルを合成樹脂製の注入填隙材によりピストンに密着固定することで簡単に達成できる。
【0023】
コイルの保護のため、コイルを注入填隙材内に埋設することもできる。
【0024】
コイルから第2作動室への接続を回避するために、コイルをコイルブロックにより構成し、このコイルブロックを、シール素子により前記ピストンに対して封止することもできる。
【0025】
さらに、シール素子をシールリングとすると構成簡単である。このシールリングは、コイルブロックの半径方向に圧迫し、そのシールリングの外周を、ピストンの内壁に配置し、コイルブロックを収容する前記ピストン空間を封止する。
【0026】
コイルの通電のために、引き込み制御導線を、ピストンロッド内の同軸状開口から外部に導出し、ピストンロッドをピストン空間に対し封止することもできる。
【0027】
ピストンロッドをピストン空間に対して封止する方法の1つとしては、引き込み制御導線に、同軸状開口のピストン空間への終端領域においてピストンロッドに当接させた、合成樹脂製の注入填隙シールを設ける方法がある。
【0028】
ピストンロッドをピストン空間に対して封止するもう1つの方法としては、同軸状開口のピストン空間への終端部と、コイルとの間におけるピストン空間に、シール体を密に嵌合し、このシール体に軸線方向両側に突出する貫通接点を設け、この貫通接点の第1端部をコイルに、第2端部を引き込み制御導線に電気的に接続する方法がある。
【0029】
このとき、同軸状開口のピストン空間への終端領域の端面において、シール体をピストンロッド(7)に当接させると構成簡単である。
【0030】
貫通接点を、シール体内に軸線方向に設けた貫通孔に通し、貫通接点を包囲するシールリングにより貫通孔の壁に対して封止することもできる。
【0031】
また、シール体をガラスシール体とし、このガラスシール体内に貫通接点を閉塞することもできる。
【0032】
ピストンロッドを、ピストン空間から封止するために、同軸状開口のピストン空間への終端部と、コイルとの間における領域、もしくは同軸状開口に、全体的にもしくは部分的に合成樹脂製の注入填隙材を充填し、引き込み制御導線をこの注入填隙材内に挿通させることもできる。
【0033】
制御導線を、ケーブルや扁平導線などの可撓性の制御導線とすると組み立てが簡単となる。
【0034】
ピストンロッドから引き込む引き込み制御導線のその後の取り回しに関して、同軸状開口を、前記ピストンロッドのシリンダに突出する端部において、ピッストンロッドの延在する方向に同軸状もしくは半径方向に、指向する終端出口を有する構成とし、この終端出口から、引き込み制御導線を前記ピストンロッドの外部に導出させることができる。
【0035】
好適には、終端出口から突出する引き込み制御導線の端部に、接点プラクを設けると組み立て簡単となる。
【0036】
双方の引き込み制御導線をピストンロッドに挿通する代わりに、一方の引き込み制御導線をピストンロッドに挿通し、他方の引き込み制御導線をシリンダの内壁に沿って延在させ、ピストンに設けた、コイルに接触するスライド接点を介して他方の引き込み制御導線に接触するよう構成することもできる。
【0037】
引き込み制御導線の一方を、導電性材料製のシリンダで構成すると、部品点数の削減につながり、また構成簡単となる。
【0038】
同じく、引き込み制御導線を、コイルに接する導電性材料製のピストンロッドで構成すると、部品点数の削減につながる。
【0039】
好適には、閉鎖部材を磁極コアに固着する。
【0040】
コンパクトに構成するため、ピストンにおけるポートを、第1作動室からピストン空間に対して軸線方向に導き、閉鎖部材により閉鎖可能である弁ポートにより構成し、記ピストン空間を第2作動室に連通させることもできる。
【0041】
弁ポートを確実に閉鎖するため、好適には、弁ポートを、ピストン空間内に突出する短筒状部分に形成し、このとき弁ポート(17)のピストン空間における終端領域が、シート弁の弁座をなす構成とする。
【0042】
弁が閉じた状態で故障した場合や電源故障時などにも、フラップドアを手動で開けることができるようにするため、好適には、ピストン内に、閉鎖方向に押圧力が加わる構成とした逆止弁を設けることで、この逆止弁により第2作動室から第1作動室にいたる通口を開放可能にする。
【0043】
シリンダの内壁に、シリンダの長さ全体の部分的領域にわたり、1個もしくは周方向に互いに離間させた複数個の軸線方向溝を設け、これをバイパスの働きをする軸線方向溝領域とし、この軸線方向溝領域内では、ガスばねは、自由に移動できる。この構成は、フラップが一定の開き角度領域で留まってはいけないときに有益である。このような一定の開き角度としては、フラップドアが開く初期段階で決定され、この開放の初期段階では、例えば使用者がフラップドアの領域に存在することがある。
【0044】
このことから、好適には、軸線方向溝を、シリンダの、ピストンロッド側とは反対側の端部領域、またはピストンロッド側の端部領域、またはその双方に設ける。
【0045】
制御ユニットに設定保存されたデータ、もしくは可変入力データに基づいて、弁を前記制御ユニットにより制御可能とする。
【0046】
さらに、フラップドアの近傍領域における可変入力データを発生するために、フラップドアの近傍領域を監視する障害認識センサ(11)を設けることもできる。
【0047】
障害認識センサは、カメラ、接触センサ、または近接センサとすることができ、近接センサとする場合、レーザーセンサもしくは容量センサとすることができる。
【0048】
可変入力データは、センサで認識する気温、降雨、降雪、または風速などの気象学的データであってもよい。
【0049】
可変入力データはさらに、水平線に対する車体の傾きデータ、または自動車走行データなどの自動車状態データとすることもできる。
【0050】
可変にデータはさらに、フラップドアの開度データとすることもできる。
【実施例1】
【0051】
図1には、自動車の車体2におけるリア開口の上側端部に、水平方向の回動軸線4の周りに回動可能にヒンジ連結したフラップドア3を示す。
【0052】
図示しない鍵を開錠すると、フラップドア3は、ガスばね5によって閉位置から図示する開位置に移動する。
【0053】
ガスばね5はシリンダ6を有し、このシリンダ内において、片側にのみピストンロッド7を設けた図示しないピストンを摺動可能に案内する。
【0054】
ピストンロッド7の遊端を、回動軸線4から半径方向に離れた位置でフラップドア3にヒンジ連結する。さらに、シリンダ6のピストンロッド7とは反対側の端部も、車体2の、回動軸線4から半径方向に離れた位置でヒンジ連結する。
【0055】
電気的、もしくは電子的な制御ユニット8から、制御導線9を、ピストンロッド7の遊端まで敷設し、センサ導線10を、フラップドア3における、回動軸線4側とは反対側の端縁に設けた障害認識センサ11から制御ユニット8まで敷設する。
【0056】
図示のガスばね内で、ピストン12は、シリンダ6の内部空間を第1作動室14および第2作動室15に分割し、ピストンロッド7を、第2作動室15から、案内および封止ユニット16を経て封止状態を保って外部に導出させる。
【0057】
ピストン12内にはピストン空間13を設け、シリンダ6の長手方向軸線に対して同軸状に延在する弁ポート17は、第1作動室14からピストン空間13に導通する。
【0058】
ピストン空間13は、ピストン12内の横孔27を介して第2作動室15に連通する。
【0059】
弁ポート17は、ピストン空間13内に突出する短筒状部分18内に設け、この短筒状部分18のピストン空間13側の端面は、電磁弁として構成した電気的制御可能なシート弁20の弁座19をなし、この弁座19に、弾性材料製のプレート状閉鎖部材21を当接可能とする。
【0060】
閉鎖部材21には、強磁性の磁極コア22を同軸状に固着し、この強磁性の磁極コア22をピストン空間13内でシリンダ6の長手方向軸に同軸状に摺動可能に案内する。
【0061】
磁極コア22には、圧縮コイルばねとして構成し押圧力が加わる構成としたばね23を当てがい、図2〜9ではシート弁の開放方向に、図10〜12ではシート弁の閉鎖方向に、押圧力が加わる構成とする。
【0062】
図2に示す、本発明フラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第1実施例においては、特殊鋼もしくは他の非強磁性材料製のシリンダ6周囲を、シリンダ6内におけるピストン移動の全行程をカバーするよう、コイル24で包囲し、このときコイル24はシリンダ6の外面に固着する。
【0063】
図2に示さない制御導線9により、コイル24は制御ユニット8から通電可能とする。
【0064】
図3に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第2実施例においては、シリンダ6内に合成樹脂製のチューブ25を設ける。このチューブ25は、シリンダ6の内面長さ全体にわたり構成し、その円筒状の外面と、シリンダ6の内面とを密着させる。
【0065】
チューブ25の貫通ボア26内において、ピストン12を軸線方向にシール摺動可能に案内する。
【0066】
チューブ25内にはコイル24を埋設し、このコイル24は、ピストン12の移動行程全体をカバーするように設け、図3に示さない制御導線9により、制御ユニット8から通電可能とする。
【0067】
図4〜12に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第3〜9実施例においては、コイル24はピストン空間13内に設け、このコイル24は、磁極コア22の周囲にクリアランスを持って包囲する。
【0068】
このとき、図4〜6、9〜12に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第3、4、7〜9実施例においては、ピストン12の2個の肩部28,29間にコイルブロックとして構成したコイル24を、ピストン空間13内の組み付け位置に軸線方向に保持する。
【0069】
図8に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第6実施例においては、コイル24を、合成樹脂製の注入填隙材30によりピストン空間13内に保持する。
【0070】
図4〜11に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第3〜8実施例においてはピストンロッド7内に貫通する同軸状開口31を設け、これを通して引き込み制御導線32をコイル24に引き込み、この引き込み制御導線32は、図示しないピストンロッドの遊端において制御導線9と電気的に接続し、この制御導線9により、コイル24の通電が可能となる。
【0071】
このとき、同軸状開口31はピストン空間31に対し封止する。
【0072】
図4、9〜11に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第3、7〜8実施例においては、引き込み制御導線32の周囲を合成樹脂製の皿状のシール33で注入填隙し、このシール33を、ピストン12と、ピストンロッド7のピストン12側の端面と間に挟みこむ。
【0073】
図5〜7に示す、本発明フラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第4〜5実施例においては、同軸状開口31のピストン空間13への終端部とコイル24領域との間のピストン空間に、シール体39,39´を設けて封止する。このシール体39,39´には軸線方向の貫通孔を設け、ここに軸線方向両側に突出する貫通接点34を挿通し、この貫通接点34の第1端部35をコイル24に、第2端部36を引き込み制御導線32に電気的に接続する。
【0074】
シール37を介して、シール体39,39´を、ピストンロッド7のピストン空間13側の端面に軸線方向に当接させる。
【0075】
図5、6に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第4実施例においては、貫通接点34を、シール体39内に設けたシールリング38により包囲し、このシールリング38により、貫通接点34はシール体39に対して封止される。
【0076】
図7に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第5実施例においては、シール体39´はガラスシール体であり、貫通接点34をこのガラスシール体内に注型埋設する。
【0077】
図8に示す、本発明フラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第6実施例においては、同軸状開口31のピストン空間13との終端部とコイル24領域との間を注入填隙材30で填隙し、引き込み制御導線32をこの注入填隙材内に案内する。
【0078】
図10および11に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第8実施例においては、ピストン12内に閉鎖方向に押圧力を加えた逆止弁40を設け、フラップドア3を手動で開け、第2作動室15の圧力が、第1作動室14の圧力に比べて高くなると、この逆止弁40を介して、通口41が第2作動室15から第1作動室4へと開放可能となる。
【0079】
図12〜14に示す、本発明フラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第9実施例においては、導電体として構成されたピストンロッド7により一方の引き込み制御導線32を構成し、導電材料製のシリンダ6で他方の引き込み制御導線32を構成する。ピストン12の円筒状外面には、半径方向に突出し、ばね作用をするスライド接点42を設け、このスライド接点42を、シリンダ6の内壁に当接させ、コイル24と電気的に接続させるよう、シリンダ6からコイル24への電気的接続を行う。
【0080】
ピストンロッド7の端面には、ピストン12に対して電気的絶縁を行う支持ディスク43をリベット固定し、この支持ディスク43には接点ディスク44を当接させ、この接点ディスク44から、導線45をコイル24に導く。
【0081】
このとき接点ディスク44は、図12に示すようにピストン12と支持ディスク43との間に挟みこむ、もしくは図13および14に示すように支持ディスク43と共にピストンロッド7にリベット固定することができ、このとき支持ディスク43の周縁には、導線45のための貫通溝46を設ける。
【0082】
フラップドア3の開放動作過程において、例えばガレージの天井が低いなど、フラップドア3の回動領域内における障害の有無が障害認識センサ11によって認識され、制御ユニット8より、この障害認識センサ11より供給された情報に対応する信号が、制御導線9および引き込み制御導線32を経由して伝わり、コイル24に通電し、もしくはコイル24へ通電を遮断し、シート弁20が弁ポート17を閉じるようにする。
【0083】
これにより、フラップドア3の開放動作は停止し、障害との衝突を回避できる。
【0084】
図10および図11に示す、本発明によるフラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第8実施例においては、このような、フラップドア3の開放動作の停止は、シリンダ6の内壁の一部に設けた、シリンダ6の長手方向に広がる軸線方向溝47の領域において、この軸線方向溝47が弁ポート17のバイパスとしていつも開いているため達成されない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明フラップドア持ち上げ装置の自動車リア領域における使用状態での斜視図である。
【図2】本発明フラップドア持ち上げ装置に設けたガスばねの第1実施例における縦断面図である。
【図3】本発明フラップドア持ち上げ装置に設けたガスばねの第2実施例における縦断面図である。
【図4】本発明フラップドア持ち上げ装置に設けたガスばねの第3実施例における縦断面図である。
【図5】本発明フラップ持ち上げ装置に設けたガスばねの第4実施例における縦断面図である。
【図6】図5に示す部位Xの拡大図である。
【図7】本発明フラップドア持ち上げ装置に設けたガスばねの第5実施例における縦断面図である。
【図8】本発明フラップドア持ち上げ装置に設けたガスばねの第6実施例における縦断面図である。
【図9】本発明フラップドア持ち上げ装置に設けたガスばねの第7実施例における縦断面図である。
【図10】本発明フラップドア持ち上げ装置に設けたガスばねの第8実施例における縦断面図である。
【図11】図10に示すガスばねの、弁が開いている状態での縦断面図である。
【図12】本発明フラップドア持ち上げ装置に設けたガスばねの第9実施例における縦断面図である。
【図13】図12に示すガスばねのコイルとの接続を行う他の実施例における拡大部分断面図である。
【図14】図12に示すガスばねのコイルとの接続を行うさらに他の実施例における拡大部分断面図である。
【図15】図14に示す実施例の端面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 リア開口
2 車体
3 フラップドア
4 回動軸線
5 ガスばね
6 シリンダ
7 ピストンロッド
8 制御ユニット
9 制御導線
10 センサ導線
11 障害認識センサ
12 ピストン
13 ピストン空間
14 第1作動室
15 第2作動室
16 案内および封止ユニット
17 弁ポート
18 短筒状部分
19 弁座
20 シート弁
21 閉鎖部材
22 磁極コア
23 ばね
24 コイル
25 チューブ
26 貫通ボア
27 横孔
28 肩部
29 肩部
30 注入填隙材
31 同軸状開口
32 引き込み制御導線
33 シール
34 貫通接点
35 第1端部
36 第2端部
37 シール
38 シールリング
39 シール体
39´ シール体
40 逆止弁
41 通口
42 スライド接点
43 支持ディスク
44 接続ディスク
45 導線
46 貫通溝
47 軸線方向溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車の、回動軸線の周りに回動可能にヒンジ連結した跳ね上げ式のフラップドアを、ピストン/シリンダユニットによって持ち上げる装置であって、前記ピストン/シリンダユニットには、加圧流体を充填した密封シリンダを設け、この密封シリンダ内部には、内部空間を第1および第2作動室に分割するピストンを軸線方向に移動可能に配置し、前記ピストンの片側にピストンロッドを取り付け、このピストンロッドを、前記第2作動室から、さらに前記シリンダの一方の端面で封止状態を保って外部に導出させ、かつ前記フラップドアもしくは固定構造部分にヒンジ連結し、前記シリンダの他方の端面は、前記固定構造部分もしくは前記フラップドアにヒンジ連結し、前記ピストンには、前記第1作動室から前記第2作動室に通じる、開閉、あるいはそのどちらかが可能なポートを設けた該フラップドア持ち上げ装置において、前記ポートを、電気制御弁により開放および閉鎖の少なくとも一方の動作を可能としたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ピストン/シリンダユニットを、ガスばね(5)とした請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記電気制御弁を、スライド弁とした請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記電気制御弁を、シート弁(20)とした請求項1または2記載の装置。
【請求項5】
前記電気制御弁の閉鎖部材(21)を、ばね力に抗して開放方向に移動可能に駆動できる構成とした請求項3または4記載の装置。
【請求項6】
前記電気制御弁の前記閉鎖部材(21)を、ばね力に抗して閉鎖方向に移動可能に駆動できる構成とした請求項3または4記載の装置。
【請求項7】
前記電気制御弁を、電磁弁とした請求項1〜6のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項8】
前記電磁弁に、前記ピストン(12)のピストン空間(13)内で移動可能に配置した強磁性の磁極コア(22)を設け、この磁極コア(22)によって、前記電気制御弁の閉鎖部材(21)を、ばね力に抗して移動可能な押圧力を加えることができる構成とした請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記磁極コア(22)が移動する軸線方向に延在するコイル(24)で、前記磁極コア(22)の領域を包囲した請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記コイル(24)を、前記シリンダ(6)もしくはこのシリンダ(6)の壁内に、前記シリンダ(6)内での前記ピストン(12)の移動行程にわたって延在させた請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記コイル(24)を、非磁性材料製のチューブ(25)内、もしくは、このチューブの外面に巻きつけ、前記チューブ(25)を前記シリンダ(6)に同軸状に嵌合し、前記ピストン(12)を、前記チューブ(25)の貫通ボア(26)内に移動可能に配置した請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記コイル(24)を、非磁性材料製のシリンダ(6)の外面に巻き付けた請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記チューブ(25)または前記シリンダ(6)、またはその両方を、アルミ製、特殊鋼製、合成樹脂製のいずれかとした請求項10〜12のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項14】
前記コイル(24)を、前記ピストン(12)内に配置し、前記磁極コア(22)の移動行程にわたって延在させた請求項9記載の装置。
【請求項15】
前記コイル(24)を、前記ピストン(12)に密着固定した請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記コイル(24)を、合成樹脂製の注入填隙材(30)により、前記ピストンに密着固定した請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記コイル(24)を、注入填隙材(30)内に埋設した請求項14〜16のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項18】
前記コイル(24)をコイルブロックにより構成し、このコイルブロックを、シール素子により前記ピストン(12)に対して封止した請求項15記載の装置。
【請求項19】
前記シール素子をシールリングとし、このシールリングは、前記コイルブロックの半径方向に圧迫し、そのシールリングの外周を、前記ピストン(12)の内壁に配置し、前記コイルブロックを収容する前記ピストン空間(13)を封止した請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記引き込み制御導線(32)を、前記ピストンロッド(7)内の同軸状開口(31)から外部に導出し、前記ピストンロッド(7)を前記ピストン空間(13)に対し封止した請求項14〜19のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項21】
前記引き込み制御導線(32)に、前記同軸状開口(31)の前記ピストン空間(13)への終端領域において前記ピストンロッド(7)に当接させた、合成樹脂製の注入填隙シール(33)を設けた請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記同軸状開口(31)の前記ピストン空間(13)への終端部と、前記コイル(24)との間における前記ピストン空間(13)に、シール体(39,39´)を密に嵌合し、このシール体(39,39´)に軸線方向両側に突出する貫通接点(34)を設け、この貫通接点(34)の第1端部(35)を前記コイルに、第2端部(36)を前記引き込み制御導線(32)に電気的に接続した請求項20記載の装置。
【請求項23】
前記同軸状開口(31)の前記ピストン空間(13)への終端領域の端面において、前記シール体(39,39´)を前記ピストンロッド(7)に当接させた請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記貫通接点(34)を、前記シール体(39)内に軸線方向に設けた貫通孔に通し、前記貫通接点(34)を包囲するシールリング(38)により前記貫通孔の壁に対して封止した請求項22または23記載の装置。
【請求項25】
前記シール体(39´)をガラスシール体とし、このガラスシール体内に前記貫通接点(34)を閉塞した請求項22または23記載の装置。
【請求項26】
前記同軸状開口(31)の前記ピストン空間(13)への終端部と、前記コイル(24)との間における領域、もしくは前記同軸状開口(31)に、全体的にもしくは部分的に合成樹脂製の注入填隙材(30)を充填し、前記引き込み制御導線(32)をこの注入填隙材内に挿通させた請求項20記載の装置。
【請求項27】
前記引き込み制御導線(32)を、可撓性の制御導線とした請求項20~26のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項28】
前記可撓性の引き込み制御導線(32)を、ケーブルまたは扁平導線とした請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記同軸状開口(31)を、前記ピストンロッド(7)の前記シリンダ(6)に突出する端部において、前記ピッストンロッド(7)の延在する方向に同軸状もしくは半径方向に、指向する終端出口を有する構成とし、この終端出口から、前記引き込み制御導線(32)を前記ピストンロッドの外部に導出させた請求項20〜28のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項30】
前記終端出口から突出する前記引き込み制御導線の端部に、接点プラクを設けた請求項29記載の装置。
【請求項31】
一方の前記引き込み制御導線(32)を前記ピストンロッド(7)に挿通し、他方の前記引き込み制御導線(32)を前記シリンダ(6)の内壁に沿って延在させ、前記ピストン(12)に設けた、前記コイル(24)に接触するスライド接点(42)を介して他方の引き込み制御導線(32)に接触するよう構成した請求項1〜9、14〜19のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項32】
一方の前記引き込み制御導線(32)を、導電性材料製のシリンダ(6)で構成した請求項31記載の装置。
【請求項33】
前記引き込み制御導線(32)を、前記コイル(24)に接する導電性材料製のピストンロッド(7)で構成した請求項31または32記載の装置。
【請求項34】
前記閉鎖部材(21)を前記磁極コア(22)に固着した請求項8~33のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項35】
前記ピストン(12)における前記ポートを、前記第1作動室(14)から前記ピストン空間(13)に対して軸線方向に導き、前記閉鎖部材(21)により閉鎖可能である弁ポート(17)により構成し、前記ピストン空間(13)を前記第2作動室(15)に連通させた請求項3または4記載の装置。
【請求項36】
前記弁ポート(17)を、前記ピストン空間(13)内に突出する短筒状部分(18)に形成し、このとき前記弁ポート(17)の前記ピストン空間(13)における終端領域が、シート弁(20)の弁座(19)をなす構成とした請求項4~35のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項37】
前記ピストン(12)内に、閉鎖方向に押圧力が加わる構成とした逆止弁(40)を設けることで、この逆止弁(40)により前記第2作動室(15)から前記第1作動室(14)にいたる通口(41)を開放可能にした請求項1~36のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項38】
前記シリンダ(6)の内壁に、前記シリンダ(6)の長さ全体の部分的領域にわたり、1個もしくは周方向に互いに離間させた複数個の軸線方向溝(47)を設けた請求項1~36のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項39】
軸線方向溝を、前記シリンダの、ピストンロッド側とは反対側の端部領域、またはピストンロッド側の端部領域、またはその双方に設けた請求項38記載の装置。
【請求項40】
制御ユニット(8)に設定保存されたデータ、もしくは可変入力データに基づいて、前記弁が前記制御ユニット(8)により制御可能とした請求項1~39のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項41】
前記フラップドア(3)の近傍領域における可変入力データを発生するために、前記フラップドア(3)の近傍領域を監視する障害認識センサ(11)を設けた請求項40記載の装置。
【請求項42】
前記障害認識センサを、カメラとした請求項41記載の装置。
【請求項43】
前記障害認識センサを、接触センサとした請求項41記載の装置。
【請求項44】
前記障害認識センサを、近接センサとした請求項41記載の装置。
【請求項45】
前記近接センサを、レーザーセンサもしくは容量センサとした請求項44記載の装置。
【請求項46】
前記可変入力データを、センサで認識する気象学的データとした請求項40記載の装置。
【請求項47】
前記気象学的データを、気温、降雨、降雪、および風速のうち少なくとも一つのデータとした請求項46記載の装置。
【請求項48】
前記可変入力データを、自動車状態データとした請求項40記載の装置。
【請求項49】
前記自動車状態データを、水平線に対する車体の傾きデータ、および自動車走行データのうち少なくとも一方のデータとしたは請求項48記載の装置。
【請求項50】
前記可変入力データを、前記フラップドアの開度データとした請求項40記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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