説明

フリッカー値測定装置及び測定方法

【課題】脳機能の質的変化の評価に適用可能なフリッカー値の測定装置及び測定方法を提供すること。
【解決手段】
フリッカー値測定装置は、制御手段、表示手段、及び操作手段を備え、
前記表示手段が、表示のOFF期間を1/fゆらぎで変化させて点滅表示し、
前記表示手段が、前記1/fゆらぎの指数n又は点滅周波数を単調に増加または減少させ、
被験者が、前記表示手段による表示のちらつきを認知できない状態から認知できる状態に変化した場合、または、前記表示手段による表示のちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化した場合に、前記操作手段が操作されて、前記操作手段から前記制御手段に所定の信号が伝送されたとき、前記制御手段が、前記指数n又は前記点滅周波数をフリッカー値として決定することを特徴とするフリッカー値測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳機能の質的変化の評価に適用可能なフリッカー値の測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1/fゆらぎが人の感覚、即ち脳機能に影響することが知られており、種々の研究が成されている。その一つとして、下記非特許文献1、2には、聴覚に関する1/fゆらぎの影響が開示されている。なお、本明細書において、1/fゆらぎ(nは0以上の実数)とは、時間的に変化する信号を構成する周波数fの振幅が、1/fで変化することを意味する。
【0003】
非特許文献1には、聴覚刺激間隔を1/fゆらぎ、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ及び1/fゆらぎ(実際には一定間隔でゆらぎの無い状態)で変化させた際の、人の聴覚誘発脳磁図反応のN100m成分、およびその刺激に対する慣れ(Habituation)の過
程が検討されており、N100m成分の左半球における活動強度(ダイポールモーメント)およびN100m成分の慣れが、ゆらぎの影響を受けることが開示されている。ゆらぎの生成方法には、非特許文献3に開示されている方法を用いている。
【0004】
非特許文献3には、所定の周波数スペクトルを定め、それを逆フーリエ変換して、ゆらぎの音響信号を生成できることが開示されている。例えば、図10は、1/f、1/f、1/f2.5、1/fのそれぞれのゆらぎに対応する周波数スペクトル(パワースペクトル)を示しており、これらから生成される時間的に変化する信号を図11に示している。図11において、(a)〜(d)の信号波形はそれぞれ1/f、1/f、1/f2.5、1/fのゆらぎに対応している。
【0005】
また、非特許文献2には、聴覚誘発脳磁図反応のミスマッチ反応に対する影響が開示されている。ミスマッチ反応とは高頻度で提示されている刺激の中に、まれに低頻度で違った刺激を提示された場合に引き起こされる反応であり、高頻度刺激に対する予測の形成と、形成された予測の低頻度刺激による破壊が、ミスマッチ反応の形成の必要条件であると考えられている。具体的には、非特許文献1と同様の刺激間隔条件で、80%の確率で予測およびメモリートレースの形成を促す標準刺激1KHz、20%の確率で予測およびメモリートレースの破壊を行なう逸脱刺激2KHzの持続時間100msの純音を人に提示し、1KHzおよび2KHzの音刺激に対する、聴覚誘発脳磁図反応を計測し、その結果、ミスマッチ反応の活動強度が、ゆらぎの影響を受けたことを開示している。ゆらぎの生成方法には、非特許文献3に開示されている方法を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−220639号公報
【特許文献2】特開2008−301841号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“刺激間隔の1/fnゆらぎによる聴覚誘発脳磁図反応”,原田暢善他、日本生体磁気学会論文誌,Vol.13,No.2(2000),1-11
【非特許文献2】“The effect of 1/f fluctuation in inter-stimulus intervals on auditory evoked mismatch field”,Nobuyoshi Harada et al.,Neuroscience Letters,379(2005),223-228
【非特許文献3】“フラクタル”,高安秀樹著,朝倉書店,1986年,pp.23-25,pp.110-112
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明者は、人の精神的疲労を測定するために、従来のフリッカー検査に変わる方法を提案してきた(上記特許文献1、2参照)。しかしこれらの方法を、人の精神的疲労よりも広く、人の脳機能の質的変化の評価に使うことは容易ではない。
【0009】
また、人の脳機能の質的変化は、脳磁図を用いて研究されているが、脳磁図の測定には高額の装置が必要であり、測定も容易ではない。
【0010】
また、上記の非特許文献1、2は、聴覚刺激に関する研究であり、非特許文献1、2に開示された方法は、視覚刺激への適用は容易ではなく、より広く人の脳機能の質的変化の評価に使える方法でもない。
【0011】
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためになされたものであり、人の精神的疲労を始めとし、広く脳機能の質的変化の評価に利用可能なフリッカー値の測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、フリッカー値が1/fゆらぎの影響を受ける可能性を思いつき、従って、1/fゆらぎを含む点滅刺激を提示して、人のちらつき認知を観察すれば、脳機能の質的変化を評価できるとの考えに基づき、本発明をするに至った。
【0013】
即ち、本発明に係る第1のフリッカー値測定装置は、制御手段、表示手段、及び操作手段を備え、
前記表示手段が、表示のOFF期間を1/fゆらぎで変化させて点滅表示し、
前記表示手段が、前記1/fゆらぎの指数nを単調に増加または減少させ、
被験者が、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できない状態から認知できる状態に変化した場合、または、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化した場合に、前記操作手段が操作されて、前記操作手段から前記制御手段に所定の信号が伝送され、
前記制御手段が、前記信号を受信したときの前記指数nをフリッカー値として決定することを特徴としている。
【0014】
本発明に係る第2のフリッカー値測定装置は、
制御手段、表示手段、及び操作手段を備え、
前記表示手段が、表示のOFF期間を1/fゆらぎで変化させて点滅表示し、
前記表示手段が、点滅周波数を単調に増加または減少させ、
被験者が、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できない状態から認知できる状態に変化した場合、または、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化した場合に、前記操作手段が操作されて、前記操作手段から前記制御手段に所定の信号が伝送され、
前記制御手段が、前記信号を受信したときの前記点滅周波数をフリッカー値として決定することを特徴としている。
【0015】
本発明に係る第3のフリッカー値測定装置は、上記の第1又は第2のフリッカー値測定装置において、
前記1/fゆらぎが、
平均の点滅周波数が一定になる条件で、前記OFF期間の変化の周波数スペクトルが1/fで変化するゆらぎ、又は、
点滅周期が変化しない状態で、前記OFF期間の変化の周波数スペクトルが1/fで変化するゆらぎであることを特徴としている。
【0016】
本発明に係る第1のフリッカー値測定方法は、
表示手段を、表示のOFF期間が1/fゆらぎで変化する条件で点滅表示させながら、前記1/fゆらぎの指数nを単調に増加または減少させ、
被験者が、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できない状態から認知できる状態に変化したとき、または、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化したときに、前記指数nをフリッカー値として決定することを特徴としている。
【0017】
本発明に係る第2のフリッカー値測定方法は、
表示手段を、表示のOFF期間が1/fゆらぎで変化する条件で点滅表示させながら、点滅周波数を単調に増加または減少させ、
被験者が、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できない状態から認知できる状態に変化したとき、または、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化したときに、前記点滅周波数をフリッカー値として決定することを特徴としている。
【0018】
本発明に係る第3のフリッカー値測定方法は、上記の第1又は第2のフリッカー値測定方法において、
前記1/fゆらぎが、
平均の点滅周波数が一定になる条件で、前記OFF期間の変化の周波数スペクトルが1/fで変化するゆらぎ、又は、
点滅周期が変化しない状態で、前記OFF期間の変化の周波数スペクトルが1/fで変化するゆらぎであることを特徴としている。
【0019】
本発明に係る第4のフリッカー値測定方法は、上記の第3のフリッカー値測定方法において、
前記指数nとして、少なくとも、0〜1の間の第1の値、1よりも大きい第2の値、及び、前記第1の値よりも大きく且つ前記第2の値よりも小さい第3の値を用いて決定した前記点滅周波数を記録することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1/fゆらぎの下で、ちらつきの認知の閾値となる指数n又は周波数を決定することができる。
【0021】
決定された閾値指数n又は閾値周波数は、人の精神的疲労の評価に利用することができ、さらには、より広く人の脳機能の質的変化の評価に利用することができる。
【0022】
特に、複数の指数nに関して閾値周波数を測定し、指数nの大きさに応じた閾値周波数の変化パターンを分析すれば、人の脳機能の質的変化をより詳しく、正確に評価することができる。即ち、取り扱いが難しく高額な脳磁図測定用の装置を使用することなく、簡単かつ安価に、人の脳機能の質的変化の評価を容易に行うことができる。
【0023】
例えば、疲労には大脳皮質の高次機能の疲労と末梢機能の疲労とがあり、本発明によって、これらを判断することができる。聴覚反応において、反応の出現する潜時の遅い100ms以降の成分は、大脳皮質の高次反応(高次機能)を表す成分と考えられ、明瞭な慣
れ(Habituation)を示す。一方、潜時20〜30msの成分は末梢の反応(末梢機能)
と考えられ、それらは、明瞭な慣れ(Habituation)を示すことはない。また、高次反応
における明瞭な慣れ(Habituation)の機能は、刺激の到来に対する“予測”の成立とし
ても検出され、その“予測”の成立とその“破壊”は、ミスマッチ反応として検出される。このような、ミスマッチ反応は、視覚反応においても検出され、高次機能と末梢機能における慣れ(Habituation)および順応に対する機能的な違いは、視覚系においても存在
する。このように、大脳皮質の高次機能の疲労と末梢機能の疲労は、順応性の差として検知することができる。また、実施例3として後述するように、1/fゆらぎで点滅する光刺激に対するフリッカー認知の閾値は、光環境に対するヒトの順応性を反映する指標となる。従って、1/fゆらぎの指数n(べき乗数fの指数nであり、単に「べき乗」とも記す)の小さい、または、大きい領域での閾値の減少の仕方が、均一であるかまたは、大きく異なっているかで、疲労が末梢機能で起こっているのか、または、高次機能で起こっているかの判断をすることができる。また、均一な場合と比較して、どの程度、べき乗nの増加に従って閾値が減少しているかを判断することで、末梢機能と高次機能の疲労における神経系の機能低下における貢献度を判断することができる。
【0024】
また、本発明によって、健常人と統合失調症患者とを判別し、その病状の進行の度合を判断することができる。実施例として後述するように、順応の過程は、点滅光の刺激間隔の1/fゆらぎのべき乗nの影響が反映される。すなわち、健常人であれば、1/fゆらぎのべき乗nの変化によって、フリッカー値が大きく変化(べき乗nの増大とともに減少)する。しかし、統合失調症の患者の場合、この順応過程が阻害されているので、ゆらぎのべき乗nの影響は反映されず、フリッカー値は、べき乗nによらず平坦化すると考えられる。
【0025】
また、統合失調症の代表的所見として挙げられるSensory Gatingの障害が刺激の時系列領域で展開される現象として、メモリートレースという現象が知られている。ある一定の刺激を連続させた後に、それとは異なった刺激を提示すると、連続刺激で得られていた反応とは異なった、大きく波形の異なった誘発反応が検出される。これは、ミスマッチ反応と呼ばれる。連続刺激によって形成される、広い意味での“予測”の形成に対して、予測とは異なった刺激の到来による、“予測”の破壊によって形成される反応が、ミスマッチ反応であるといわれている。この過程の、“予測”の形成が、メモリートレースの形成と考えられている。統合失調症の場合、このメモリートレースの形成が障害されていると考えられ、健常人と比較して、ミスマッチ反応が有意に減少していることが報告されている。メモリートレースが正常に形成されないため、異なった刺激が来ても、十分なメモリートレースの破壊が形成されず、結果として、小さなミスマッチ反応しか生じないと考えられる。
【0026】
健常人においては、ミスマッチ反応の形成は、強く刺激間隔の1/fゆらぎのべき乗nの影響を受け、べき乗nが小さい領域では、メモリートレースの形成が弱く、ミスマッチ反応が抑制され、nの大きい領域においては、メモリートレースの形成が促進され、ミスマッチ反応の増大が引き起こされる。一方、統合失調症の患者においては、基本的にメモリートレースの形成が阻害されているため、1/fゆらぎのべき乗nの大きな領域でもミスマッチ反応の形成が抑制され、本来、ミスマッチ反応の形成が抑制されている、べき乗nの小さい領域と差がなくなってしまう。すなわち、べき乗nによっても変化の無い、平坦な結果が得られることとなる。このメモリートレース形成能力も光刺激に対する順応能力を反映するものと考えらえれ、結果として、健常人では、べき乗nによって大きく変化(べき乗nの増大とともに減少)した結果が得られ、統合失調症患者においては、べき乗nに依存せず、変化のない平坦な結果が得られると考えられる。
【0027】
このように、刺激間隔を1/fゆらぎで変動させ、そのべき乗nの値を変化させたと
き、フリッカー値がべき乗nごとに変化するか、平坦かによって、対象者が、健常人であるか、もしくは、統合失調症の患者であるかを診断することができる。また、その変化の仕方が、平坦な場合と比較して、どの程度変化しているかによって、統合失調症患者の症状の進行度合いの診断に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るフリッカー値測定装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示したフリッカー値測定装置を用いた第1の測定方法を示すフローチャートである。
【図3】刺激間隔の時間変化を示すグラフである。
【図4】図1に示したフリッカー値測定装置を用いた第2の測定方法を示すフローチャートである。
【図5】1/fゆらぎの指数nとちらつき認知の閾値周波数との関係を示すグラフである。
【図6】脳機能の質的変化に応じたパターンを示すグラフである。
【図7】複数の被験者について、1/fゆらぎの条件でちらつき認知の閾値周波数を測定した結果を示すグラフである。
【図8】複数の被験者について、1/fゆらぎの条件で刺激列を提示した際にちらつきを感じる人の割合を示すグラフである。
【図9】1/fゆらぎの条件で点滅する光刺激を被験者に提示して測定した脳磁図を示すグラフである。
【図10】1/fゆらぎのスペクトルを示すグラフである。
【図11】図10に示した各スペクトルに対応するゆらぎ信号を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施の形態を、添付した図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係るフリッカー値測定装置を示すブロック図である。本測定装置は、被験者Tに光を点滅させて提示する表示部1と、表示部1を点滅表示させるための信号を表示部1に供給する制御部2と、被験者Tによる操作を受けて所定の情報を制御部2に伝達する操作部3とを備えて構成されている。
【0031】
表示部1は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイなどの2次元映像を表示できる装置や、LEDなどの点光源の装置である。制御部2は、表示部1に応じたインターフェースを備えており、インターフェースを介して表示部1を動作させるための信号を、表示部1に供給する。従って、制御部2は、表示部1に応じたドライバをも備えており、例えば、ディスプレイドライバ、LEDドライバなどを備えている。操作部3は、スイッチや、コンピュータ用の操作手段(キーボード、マウスなど)を使用することができる。制御部2は、操作部3からの信号(情報)を受信するためのインターフェース(図示せず)をも備えている。さらに、制御部2は、後述する処理を実行するための演算装置や、データの記憶装置などを備えている。従って、制御部2には、例えばコンピュータを使用することができる。
【0032】
本測定装置の動作の概要を説明すると次の通りである。
まず、制御部2が、振幅が時間的に変化する信号を表示部1に供給し、表示部1の輝度を変化させ、点滅表示させる。表示部1が2次元映像を表示することができるディスレイであれば、所定の領域を点滅表示させる。この状態で、被験者Tは、表示部1の点滅表示をちらつきとして認知できたか否かを、操作部3を操作して制御部2に知らせる。ちらつきが認知されたか否かは、被験者Tによる操作を受けて操作部3から制御部2に所定のデータが送信され、制御部2によって検知される。その後、制御部2は、振幅の変化状態が異
なる信号を表示部1に供給し、同様に、被験者Tがちらつきを認知したか否かを検知する処理を繰り返す。被験者Tが、ちらつきを認知できなかった状態から認知できる状態に変化したとき、または、ちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化したとき、制御部2はそのときの点滅表示の条件を記録する。
【0033】
次に、本発明の実施の形態に係るフリッカー値の測定方法について具体的に説明する。以下では、特に断らない限り制御部2が行う処理として説明する。また、制御部2は、内部の記録装置から必要なデータを内部の記憶装置(以下メモリとも記す)に読み出し、メモリの所定領域をワーク領域として使用して処理を行い、一時的結果や最終の処理結果を適宜記録装置に記録することとする。また、測定に必要な初期条件は、制御部2の内部の記録装置に予め記録されているとする。
【0034】
まず、第1のフリッカー値の測定方法に関して説明する。図2は、図1に示した装置を用いて、フリッカー値を測定する第1の方法を示すフローチャートである。
【0035】
ステップS1において、初期条件を記録手段から読み出し、初期設定を行う。初期条件は、点滅周波数f0、ゆらぎ指数(べき乗)n、ゆらぎ指数の増分Δn、表示時間τであ
る。ここでは、f0=140(Hz)、n=0、Δn=0.1、τ=5(秒)とする。周波
数f0をこの値に設定する意味は後述の説明で明らかになるが、簡単に説明すれば、人が
ちらつきを認知する閾値周波数はゆらぎによって図5に示すように変化し、f0=140
(Hz)はランダムに刺激間隔を変化させた場合(図5のn=0に対応)、通常人がちらつきを認知できない周波数である。
【0036】
ステップS2おいて、制御部2は、点滅の平均周波数がf0(ON期間及びOFF期間
を1周期とする)であり、刺激間隔(OFF期間)が1/fでゆらぎ、点滅状態がτ秒間持続する条件で、表示部1を点滅させる駆動信号を生成し、表示部1に送信する。例えば、表示部1が、入力されるアナログ信号の振幅に応じた輝度で表示する場合には、制御部2は、振幅が、0〜最大値の間を、平均周波数f0で変化し、刺激間隔が1/fでゆ
らぐ、5秒間のデジタル信号D(t)を生成して、記録装置に一旦記録する。その後、開示時刻からの時間tの経過に応じて、デジタル信号D(t)をアナログ信号A(t)に変換して、表示部1に送信する。これによって、上記したように、表示部1が5秒間点滅表示する。なお、最初にステップS2が実行されるときには、1/fゆらぎであり、これは刺激間隔がランダムに変化することを意味する。
【0037】
制御部2からの出力信号の具体的な一例を図3の(b)に示す。図3では参考として、ゆらぎが無く周波数が一定の波形を(a)に示す。図3の(b)では、信号が0(OFF表示)又は最大値(ON表示)を取り、信号が最大値を取る期間t0(=1/(2×f0)=1/280(秒))を一定として、平均周波数がf0となる条件(即ち、1/(ON期間+OFF期間)の平均値がf0となる条件)で、OFF期間(刺激間隔)t1を1/f
らぎで変化させる。1/fゆらぎの生成方法は周知であり、例えば、上記非特許文献1、2と同様に、非特許文献3に記載されている方法を使用すればよい。その場合、例えば図11に示した波形の振幅に応じて、OFF期間t1を変化させる。平均周波数はOFF
期間t1の平均値から決定することができ、OFF期間t1の平均値は、例えば、表示時間τ(ここでは5秒)中におけるゆらぎ波形の最大値と最小値を実際の値として決定した後に、時間τにおける波形の積分値Sの平均値S/τとして求めることができる。
【0038】
ステップS3において、制御部2は、被験者Tがちらつきを認知したか否かを判断する。例えば、操作部3からのデータを待ち受け、所定時間経過しても受信しなかった場合、ステップS4に移行し、受信した場合、ステップS5に移行する。例えば、被験者Tは、ちらつきを認知したときには操作部3を操作し、ちらつきを認知ないときには操作部3を
操作しないように、予め指示されているとすると、制御部2が信号を受信しなければ、被験者Tがちらつきを認知していないと判断することができる。
【0039】
ステップS4において、ゆらぎ指数nをゆらぎ指数の増分値nだけ増大させて、ステップS2に移行する。
【0040】
その後、同様にステップS2〜S4を繰り返し、上記したようにステップS3においてちらつきを認知したと判断されたときに、ステップS5に移行し、ステップS5においてゆらぎ指数nをフリッカー値として記録し、終了する。
【0041】
以上によって、被験者Tが、ちらつきを認知できない状態から、ちらつきを認知できるようになったときのゆらぎ指数n(例えば図5のn1)を、フリッカー値として決定する
ことができる。従って、特定の人に関して、疲労していない健常な状態で、上記の測定によって得られたゆらぎ指数(フリッカー値)を記録しておけば、後日、同じ人に対して同様にゆらぎ指数を測定して、それらの値を比較すれば、その人の測定時の脳機能の質的変化、例えば疲労状態を判断することができる。ゆらぎ指数(フリッカー値)が、健常なときの値から所定値以上低下していれば、疲労していると判断することができる。
【0042】
なお、上記した測定方法に限定されず、f0=140(Hz)、Δn=0.1とし、初
期条件としてn=1を用い、nを1から増大させてもよい(図5参照)。この場合には、被験者Tは、最初にちらつきが認知できている状態から、nを1から増大させてゆくとちらつきを認知できない状態になる。従って、この場合には、ちらつきが認知できている状態から認知できなったときの指数nを、フリッカー値として記録する。
【0043】
また、上記と同様に、f0=140(Hz)、Δn=0.1、初期値としてn=1を用
い、nを1から減少させてもよい(図5参照)。この場合、ステップS4において、nをΔnだけ減少させる、即ちn=n−Δnによって新たなnを決定する。この場合にも、被験者Tは、最初にちらつきが認知できている状態から、nを1から減少させてゆくと認知できない状態になる。従って、この場合にも、ちらつきが認知できている状態から認知できなったときの指数nを、フリッカー値として記録する。
【0044】
このように、周波数f0、nの初期値、nの増減は、適宜設定することができる。即ち
、ちらつきを認知できる状態から、nを変化させてちらつきを認知できない状態になったとき、または、ちらつきを認知できない状態から、nを変化させてちらつきを認知できる状態になったときのnを記録できるように、初期条件を設定すればよく、図5の曲線に沿った矢印で示したように4種類の変化方法がある。即ち、n=0付近からnを増大させて行っても、1よりも大きい値からnを減少させて行っても、閾値周波数が最大値をとる条件(nが約1)からnを減少または増大させて行ってもよい。いずれの場合にも、ちらつきの認知状態が変化するときの指数nを記録すればよい。
【0045】
また、周波数f0は、測定対象の被験者に応じて設定してもよい。また、点滅時間t0は上記した値に限定されず、任意である。
【0046】
次に、第2のフリッカー値の測定方法に関して説明する。図4は、図1に示した装置を用いて、フリッカー値を測定する第2の方法を示すフローチャートである。第2の方法は、異なる3種類以上のゆらぎ条件で、ちらつきを認知できる閾値周波数を測定する方法である。
【0047】
ステップS11において、ステップS1と同様に初期設定を行なう。但し、ステップS1と異なり、変化させる周波数f1の初期値と、周波数の増分Δfと、周波数の上限値と
、3つ以上のゆらぎ指数nとを設定する。
【0048】
ステップS12において、複数のゆらぎ指数の中から1つのゆらぎ指数nを選択する。
【0049】
ステップS13において、ステップS12で選択されたゆらぎ指数nを用いて、平均周波数がf1になるように、1/fゆらぎで表示部1を点滅表示させる。1/fゆらぎ
信号の生成方法は、第1の方法と同様である。生成した信号は、一旦記録装置に記録され、開示時刻からの時間経過tに応じて、表示部1に出力される。
【0050】
ステップS14において、操作部3から、被験者Tがちらつきを認知できなくなったことを示す信号を待ち受ける。所定時間が経過しても受信しなければ、ステップS15に移行する。所定時間内に受信すれば、ステップS17に移行し、そのときの周波数f1をフ
リッカー値とし、指数nと対応させて記録し、その後ステップS18に移行する。
【0051】
ステップS15において、現在の周波数f1が上限値以上であるか否かを判断し、上限
値以上であれば、ステップS18に移行する。上限値以上でなければ、ステップS16において、周波数f1をΔfだけ増大させて、ステップS13に移行する。
【0052】
ステップS13において、再び、ゆらぎ指数nを用いて、平均周波数が新たに設定されたf1になるように、1/fゆらぎで表示部1を点滅表示させ、ステップS14におい
て、操作部3から、被験者がちらつきを認知したことを示す信号を待ち受ける。このように、ステップS14において、被験者がちらつきを認知しなくなったことを示す信号を受信するか、周波数が上限値以上になるまで、ステップS13〜S16を繰り返す。
【0053】
ステップS18において、ステップS11で指定された指数nの全てについて、測定を完了したか否かを判断し、使用していない指数nがあれば、周波数f1を初期値に戻した
後ステップS13に戻り、未使用の指数nを選択して、ステップS13〜S17を繰り返す。指数nの全てについて、測定を完了していれば、終了する。
【0054】
以上によって、複数のnのそれぞれについて、1/fゆらぎで点滅させた場合に、被験者Tがちらつきを認知できなくなる周波数を、フリッカー値として決定することができる。
【0055】
従って、特定の被験者について、健常時に上記の測定をし、得られた結果(閾値周波数)を使用した指数nと対応させて記録しておき、後日、同じ指数nを用いて同様の測定をして、得られた複数の閾値周波数が、対応する健常時の値からどのように変化しているかを分析すれば、そのときの被験者の脳機能の質的変化を評価することができる。
【0056】
指数nは、例えば、n=0、1、2、∞の4種類を使用することができる。1/fゆらぎ信号で点滅させた場合、ちらつきを認知できる周波数は、図5に示したように1/fゆらぎのときに最も大きくなり、nが1から小さくなっても、大きくなっても、ちらつきを認知する周波数は減少する。従って、指数nはこれらに限定されず、少なくとも1又は1に近い値と、0〜1の間の値と、1〜∞の間の値とを含む、相互に異なる3つ以上の指数nを使用すれば、パターンの変化を分析することができる。さらには、指数nとして、1に近い値を使用せずに、0〜1の間の第1の値、1よりも大きい第2の値、及び、第1の値よりも大きく且つ第2の値よりも小さい第3の値を用いてもよい。
【0057】
一例を、図6に示す。図6では、1/f、1/f、1/f、1/fを用いている。図6において、黒塗りの棒グラフと白抜きの棒グラフとは、同じ人に関する測定値であるが、異なる状態における測定値である。例えば黒塗りの棒グラフを健常時に測定した
値とする。従って、これらの値の減少程度を評価すれば、脳機能の質的変化を評価することができる。想定される変化パターンとしては、図6に示したように、何れの場合にもほぼ一定の割合で減少するパターン(a)と、nが大きい場合に減少率がより大きくなるパターン(b)と、nが小さい場合に減少率がより大きくなるパターン(c)とが考えられる。
【0058】
パターン(a)のように平行に減少する場合、即ち、指数(べき乗)n=0、1、2、∞の何れにおいても、変化の仕方に差がなく、同程度の周波数又は同程度の周波数比率で減少する場合、この状態は、ゆらぎのべき乗nの影響が変化の仕方には影響しておらず、脳の基本機能が低下した状態と考えられる。
【0059】
パターン(b)のように、変化周波数量または変化周波数比率が、べき乗nが小さいところで小さく、べき乗nが大きくなるにしたがって大きくなる場合、閾値の変化に、べき乗nの数値がポジティブに影響していると考えられる。べき乗nの上昇にともなう、刺激間隔における規則性の増加が、各べき乗の条件で閾値の変化にポジティブに影響した、すなわち、ゆらぎのべき乗nの変化を脳の可塑性の変化がとらえたと考えられる。逆からいえば、べき乗nに反応する脳の質的変化をとらえたと考えられる。
【0060】
パターン(c)のように、変化周波数量または変化周波数比率が、べき乗nが小さい、0または1で大きく、べき乗nの増大にともなって減少する場合、ランダムさの検出機能が脳機能変化とともに減少しているといえる。
【0061】
なお、第2の方法は、上記した方法に限定されない。例えば、特定のゆらぎ指数nで、周波数を高い値から減少させて、ちらつきを認知できていない状態から認知できるようになったときの周波数を記録してもよい。
【0062】
また、上記の第1及び第2の方法の何れにおいても、ゆらぎ信号は、図3の(c)に示したような波形であってもよい。即ち、点滅周期(ON期間とOFF期間の和)が変化しない一定の状態で、OFF期間(刺激間隔)t1を変化させてもよい。この場合、ON期
間はOFF期間と逆に変化することになる。なお、第2の方法の場合には点滅周波数を変化させるので、点滅周期は、周波数が変化しない間でのみ一定であり、周波数が変わればそれに応じて決められる。
【0063】
また、上記の第1及び第2の方法の何れにおいても、予め指数n毎に1/fゆらぎの波形データを時系列のデジタルデータとして記録しておき、nを変化させる毎に、対応するデジタルデータを読み出して使用してもよい。
【0064】
また、上記の第1及び第2の方法の何れにおいても、点滅表示、即ち輝度の変化は、図3に示したようなデジタル的な変化に限定されず、アナログ的な変化であってもよい。即ち、OFF表示に対応する低輝度の状態とON表示に対応する高輝度の状態とが交互に繰り返される波形であればよい。その場合にも、OFF期間を、上記したように1/fゆらぎで変化させればよい。
【0065】
また、図1に示したように、表示部、制御部、操作部を分離して構成せずに、それらを一体として構成してもよい。
【実施例1】
【0066】
図7は、上記したように図4に示したフローチャートと同様に、1/fゆらぎで刺激間隔を変動させて、ちらつき認知の閾値を測定した結果を示すグラフである。即ち、0、1、2、∞(一定間隔)の4種類の指数を用いて刺激間隔を1/fゆらぎで変化させ、
周波数を変化させて、ちらつき感が発生する閾値周波数を測定した。被験者8人について測定し、測定結果を指数n毎に平均し、エラーバーを付して棒グラフとして表したのが図7である。
【0067】
ちらつき感が発生する平均の閾値周波数は、1/fゆらぎでは111.9Hz、1/fゆらぎでは164.0Hz、1/fゆらぎでは81.5Hz、1/fゆらぎ(一定間隔)では46.5Hzであった。すなわち、閾値周波数は、1/fゆらぎから1/fゆらぎまで上昇し、そのあと1/f、1/f、1/f(一定間隔)と指数nの増加に従って減少してゆくことが明らかになった。即ち、図5に示した曲線のように変化することが分かる。従って、上記した第1及び第2の測定方法で得られた結果が、人の脳機能の質的変化を評価するために有効であることが分かる。
【実施例2】
【0068】
図8は、実施例1と同様に、被験者8人について測定した結果を示すグラフである。図8においては、1/fの閾値条件に平均刺激間隔をあわせて、それぞれのゆらぎ条件で5秒間の刺激列を提示した際にちらつきを感じる人の割合が、パーセントで示されている。ちらつきを感じる人の割合は、1/fでは12.4%、1/fでは24.1%、1/fでは4.4%、1/f(一定間隔)では0.03%であった。1/fから1/fの間でいったん上昇し、1/f、1/f、1/f(一定間隔)とべき乗nの増加にともなってちらつき感が発生する人のパーセンテージが減少することが明らかになった。
【実施例3】
【0069】
1/fゆらぎと光環境への順応性を検証する実験について、以下に示す。
本願発明者は、上記特許文献2において、一定間隔のフリッカー刺激を提示した際に、提示した光刺激の周波数がフリッカー値よりも低い場合(ちらつき認知)と高い場合(ちらつき非認知)とで、光刺激列の間の刺激オミッションに対する瞳孔の反応が、クロージングシフトからオープニングシフトに変化、および光刺激列に対する視覚誘発脳磁図反応において光刺激のOFF反応が周波数の増加とともに増大することを報告している。
【0070】
また、光刺激の継続時間および光強度が増大するに従って、光刺激によるOFF反応が増大すること、それに伴うアルファー波のブロッキングの時間が増大することが知られている。また、光環境に対する順応が亢進すれば亢進するほど、コントラストの変化に対する感受性が増大することが知られている。すなわち、光刺激の継続時間が増大するほど、また光強度が増大するほど、光環境に対する順応が亢進され、結果として、高度に順応した明環境から大きく暗環境に変化することから、大きなOFF反応が引き起こされると考えられる。
【0071】
従って、実施例1の結果から、ゆらぎのパターンそのものが、ちらつき認知の周波数閾値の変化をもたらしたと考えられ、ちらつき感の有無が、光刺激に対する順応性の度合いを反映していると考えられる。すなわち、フリッカー認知の閾値は、光環境に対するヒトの順応性を反映する指標として使用できると考えられる。実施例1の結果は、ゆらぎ条件において、もっとも順応性が低いのは1/fゆらぎであり、次いで、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ(一定間隔)の順に順応性が増大することを示していると考えられる。そこで、1/fゆらぎと光環境への順応性を検証するために、以下の実験を行った。
【0072】
具体的には、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ(一定間隔)の連続点滅光を視覚刺激として用い、視覚誘発脳磁図反応の計測を行った。これら4種類のゆらぎで時間間隔が変化している連続点滅光を被験者に提示し、連続点滅光刺
激に対するON反応およびOFF反応の計測を行った。その結果を図9に示す。
【0073】
図9は、持続時間1000msの光刺激による視覚誘発脳磁図反応の後頭の一次視覚野領域におけるp100m成分が最も大きかったチャンネルにおける加算平均波形である。観察された光刺激によるON反応およびOFF反応を分析した結果、次のことが分かった。ON反応は、ゆらぎ条件間で差はなかった。一方、OFF反応は1/fゆらぎ条件が最も小さく、次いで、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ(一定間隔)の順にOFF反応が増大することが明らかになった。OFF反応が小さいのは連続点滅光の光環境に対する順応が阻害されていることを示し、OFF反応が大きいのは連続点滅光の光環境に対する順応が亢進されていると考えることができる。よって、1/fゆらぎ条件がもっとも順応が阻害されていると考えられ、次いで、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ、1/fゆらぎ(一定間隔)の順に光環境に対する順応が亢進されると考えられた。この結果は、各ゆらぎ条件におけるフリッカー値の周波数閾値の変化(実施例1参照)、およびちらつき認知確率の変化(実施例2参照)と合致する結果であった。
【符号の説明】
【0074】
1 表示部
2 制御部
3 操作部
T 被験者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御手段、表示手段、及び操作手段を備え、
前記表示手段が、表示のOFF期間を1/fゆらぎで変化させて点滅表示し、
前記表示手段が、前記1/fゆらぎの指数nを単調に増加または減少させ、
被験者が、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できない状態から認知できる状態に変化した場合、または、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化した場合に、前記操作手段が操作されて、前記操作手段から前記制御手段に所定の信号が伝送され、
前記制御手段が、前記信号を受信したときの前記指数nをフリッカー値として決定することを特徴とするフリッカー値測定装置。
【請求項2】
制御手段、表示手段、及び操作手段を備え、
前記表示手段が、表示のOFF期間を1/fゆらぎで変化させて点滅表示し、
前記表示手段が、点滅周波数を単調に増加または減少させ、
被験者が、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できない状態から認知できる状態に変化した場合、または、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化した場合に、前記操作手段が操作されて、前記操作手段から前記制御手段に所定の信号が伝送され、
前記制御手段が、前記信号を受信したときの前記点滅周波数をフリッカー値として決定することを特徴とするフリッカー値測定装置。
【請求項3】
前記1/fゆらぎが、
平均の点滅周波数が一定になる条件で、前記OFF期間の変化の周波数スペクトルが1/fで変化するゆらぎ、又は、
点滅周期が変化しない状態で、前記OFF期間の変化の周波数スペクトルが1/fで変化するゆらぎである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフリッカー値測定装置。
【請求項4】
表示手段を、表示のOFF期間が1/fゆらぎで変化する条件で点滅表示させながら、前記1/fゆらぎの指数nを単調に増加または減少させ、
被験者が、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できない状態から認知できる状態に変化したとき、または、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化したときに、前記指数nをフリッカー値として決定することを特徴とするフリッカー値測定方法。
【請求項5】
表示手段を、表示のOFF期間が1/fゆらぎで変化する条件で点滅表示させながら、点滅周波数を単調に増加または減少させ、
被験者が、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できない状態から認知できる状態に変化したとき、または、前記表示手段による点滅表示のちらつきを認知できる状態から認知できない状態に変化したときに、前記点滅周波数をフリッカー値として決定することを特徴とするフリッカー値測定方法。
【請求項6】
前記1/fゆらぎが、
平均の点滅周波数が一定になる条件で、前記OFF期間の変化の周波数スペクトルが1/fで変化するゆらぎ、又は、
点滅周期が変化しない状態で、前記OFF期間の変化の周波数スペクトルが1/fで変化するゆらぎである
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のフリッカー値測定方法。
【請求項7】
前記指数nとして、少なくとも、0〜1の間の第1の値、1よりも大きい第2の値、及び、前記第1の値よりも大きく且つ前記第2の値よりも小さい第3の値を用いて決定した前記点滅周波数を記録することを特徴とする請求項5に記載のフリッカー値測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−212041(P2011−212041A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80165(P2010−80165)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】