説明

フリッカ補正装置、フリッカ補正方法、およびフリッカ補正プログラム

【課題】被写体が動いた場合およびフィールド周期とフリッカ周期の位相のズレが少ない場合でもフリッカの周波数を高速に検出し補正する技術の提供。
【解決手段】動き検出器110の動き検出結果をもとに、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像信号のnフィールド前ライン平均値記憶部103におけるフィールド数n、抽出されたフリッカ成分の周波数領域用の第一の巡回型LPF108、および第二の巡回型LPF109における巡回係数、フェードゲイン乗算部118におけるフェードゲインの制御を行い、フリッカ補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に交流電源による照明等に起因する撮像素子の出力信号における周期的変化(以下、フリッカと記す)を補正するフリッカ補正技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、交流電源で点灯されている照明(電球、蛍光灯、水銀灯など)は電源周波数の2倍の周波数で輝度変化を伴い明暗を繰り返している。このような照明下で露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて被写体を撮像すると、撮像素子出力の画像信号に周期的な横縞、いわゆるフリッカを生じる。この周期的な横縞の周期は撮像素子の駆動周波数と電源周波数から求まる。
【0003】
例えば50Hzの交流電源で点灯する一般的な蛍光灯は100Hzで発光を繰り返すため、NTSC方式では、水平走査(以下、ラインと記す)周波数が15.75kHzであるので1/100sec=157.5ライン毎に明暗を繰り返す。また、フィールドの周期(1/59.94sec)と照明の点滅周期(1/100sec)との公倍数は1/20secであるため、1/20sec即ちほぼ3フィールド毎に同じ明暗のパターンとなる。
【0004】
また、60Hzの交流電源で点灯する蛍光灯は120Hzで発光を繰り返すため、1/120sec=131.3ライン毎に明暗を繰り返す。また、フィールドの周期(1/59.94sec)と照明の点滅周期(1/120sec)とのズレは16.67μsecであるため、フィールド周期とフリッカ周期とが再度合致するまでの周期は500フィールド毎となり、非常にゆっくり動く横縞となって画面上に現れる。このようにフリッカによる画質劣化は非常に目障りなものとなる。
【0005】
このような問題に対して、特許文献1に開示されている技術では、フィールド周期とフリッカ周期の位相が再度合致する周期の1/3位相毎にライン平均値をメモリに記憶しておき、それら平均値を平均することでフリッカの影響を排除した基準値を作成し、フリッカ補正を行っている。特にNTSC方式で60Hzのフリッカを受ける場合は、被写体が静止している時にはフリッカ補正をするが、被写体が動いている時にはフリッカ補正を行わないように処理することで、被写体の動きに影響され難いフリッカ低減装置を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−81684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来手法においては、フィールド周期とフリッカ周期の位相が再度合致する周期の1/3位相毎にライン平均値を記憶しておくメモリを更新するようにしており、特にNTSC方式で60Hzのフリッカを受ける場合は、167フィールド期間遅延した平均値と334フィールド期間遅延した平均値と500フィールド期間遅延した平均値の3つの平均値を求めてフリッカの影響を排除した基準値を作成している。このため、500フィールド期間に動きがあった場合、正しい基準値が求められないので、フリッカ検出が出来ないという問題や、静止した被写体であっても初回のフリッカの有無を判定するまでに最低でも500フィールド期間以上の時間を要するという問題があった。
【0008】
本発明は、上述したような従来手法の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、被写体が動いた場合でもフリッカ補正を行うこと、さらに、フィールド周期とフリッカ周期の位相のズレが少ない場合であっても動き状態から静止状態に変わった時に高速にフリッカ補正を開始することが可能なフリッカ補正技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る第1の態様のフリッカ補正装置は、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正装置であって、入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されている1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出部と、前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測部と、前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されているnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出部と、前記静止フィールド数計測部から出力される前記静止フィールド数の結果に基づいて前記フィールド数nを算出するフィールド数n算出部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記差分値算出部で得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出部と、前記フリッカ成分抽出部で抽出されたフリッカ成分と前記動き検出部の結果からフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定部と、前記フリッカ判定部の結果から、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出部と、前記フリッカ補正ゲイン算出部からの補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算部と、を備え、前記フィールド数n算出部は、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フィールド数nの制御を行い、前記静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フィールド数nを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フィールド数nを所定の数まで徐々に増加させていき、前記動きフィールド数がゼロでない動き時においては前記フィールド数nをゼロにする、ことを特徴とする。
【0010】
この構成により、被写体の動き/静止の状態に応じてフリッカ成分抽出の速度を適切に変えることが可能となり、動きから静止状態に切り替わった時にフリッカ成分算出結果を早く得ることができ、また、静止状態が長く続くときはフリッカ成分算出を高精度で得ることができる。
【0011】
本発明に係る第2の態様のフリッカ補正装置は、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正装置であって、入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されている1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出部と、前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測部と、前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されているnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記差分値算出部で得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出部と、前記フリッカ成分抽出部で抽出されたフリッカ成分と前記動き検出部の結果からフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定部と、前記フリッカ判定部の結果から、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出部と、前記静止フィールド数計測部と前記動きフィールド数計測部の計測結果からフェードゲインを算出するフェードゲイン算出部と、前記フェードゲイン算出部で算出されたフェードゲインを前記フリッカ補正ゲインに乗ずるフェードゲイン乗算部と、前記フェードゲイン乗算部から入力された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算部と、を備え、前記フェードゲイン算出部は、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フェードゲインの制御を行い、静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に大きくして1倍まで増加させていき、動きフィールド数がゼロでない動き時においては、動きフィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを大きくする一方、動きフィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に小さくして0倍まで減少させる、ことを特徴とする。
【0012】
この構成により、被写体の動き/静止の状態に応じてフェードゲインの大きさを適切に変えることが可能となり、静止状態が長く続いていて、フリッカ補正精度が信頼できるときは正規の補正ゲインを出力し、フリッカを完全に補正するが、動きが長く続いている状態や、動きから静止になった直後等、フリッカ補正精度があまり信頼できない状況のときは補正ゲインを小さくし補正誤差による悪影響を目立たないようにできる。
【0013】
本発明に係る第3の態様のフリッカ補正装置は、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正装置であって、入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されている1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されているnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出部と、前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記差分値算出部で得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出部と、前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて巡回係数を算出する巡回係数算出部と、前記フリッカ成分抽出部で抽出されたフリッカ成分に前記巡回係数算出部で算出された巡回係数に基づきローパスフィルターをかける巡回型ローパスフィルター部と、前記巡回型ローパスフィルター部からの出力と前記動き検出部の検出結果に基づいてフリッカの有無およびフリッカ周波数を判定するフリッカ判定部と、前記フリッカ判定部の判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出部と、前記フリッカ補正ゲイン算出部で算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算部と、を備え、前記巡回係数算出部は、動き状態から静止状態になった直後の1フィールドは巡回係数を一旦ゼロとし、静止状態が継続した場合には巡回係数を所定の値とする一方、動き状態となったときは巡回係数を1にする、ことを特徴とする。
【0014】
この構成により、被写体の動き/静止の状態に応じて巡回型ローパスフィルターの巡回係数の大きさを適切に変えることが可能となり、動きから静止状態になった時に一度計算結果を初期化することで高速に巡回型ローパスフィルター出力を収束させ所望のフリッカ補正ゲインを得ることができ、また、動き状態がしばらく続いた時にも巡回型ローパスフィルター出力を保持するので、フリッカ補正ゲインが変動してしまう事がなくフリッカ補正を安定して行うことが可能になる。
【0015】
本発明に係る第1の態様のフリッカ補正方法は、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正方法であって、入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップと、前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測ステップと、前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップと、前記静止フィールド数計測ステップで計測された前記静止フィールド数の結果に基づいて前記フィールド数nを算出するフィールド数n算出ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップと、前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分と前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいてフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップと、前記フリッカ判定ステップでの判定結果から、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップと、前記フリッカ補正ゲイン算出ステップで算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップと、を備え、前記フィールド数n算出ステップでは、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フィールド数nの制御を行い、前記静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フィールド数nを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フィールド数nを所定の数まで徐々に増加させていき、前記動きフィールド数がゼロでない動き時においては前記フィールド数nをゼロにする、ことを特徴とする。
【0016】
この構成により、被写体の動き/静止の状態に応じてフリッカ成分抽出の速度を適切に変えることが可能となり、動きから静止状態に切り替わった時にフリッカ成分算出結果を早く得ることができ、また、静止状態が長く続くときはフリッカ成分算出を高精度で得ることができる。
【0017】
本発明に係る第2の態様のフリッカ補正方法は、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正方法であって、入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップと、前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測ステップと、前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップと、前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分と前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいてフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップと、前記フリッカ判定ステップでの判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップと、前記静止フィールド数計測ステップと前記動きフィールド数計測ステップの計測結果からフェードゲインを算出するフェードゲイン算出ステップと、前記フェードゲイン算出ステップで算出されたフェードゲインを前記フリッカ補正ゲインに乗ずるフェードゲイン乗算ステップと、前記フェードゲイン乗算ステップからの補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップと、を備え、前記フェードゲイン算出ステップでは、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フェードゲインの制御を行い、静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に大きくして1倍まで増加させていき、動きフィールド数がゼロでない動き時においては、動きフィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを大きくする一方、動きフィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に小さくして0倍まで減少させる、ことを特徴とする。
【0018】
この構成により、被写体の動き/静止の状態に応じてフェードゲインの大きさを適切に変えることが可能となり、静止状態が長く続いていて、フリッカ補正精度が信頼できるときは正規の補正ゲインを出力し、フリッカを完全に補正するが、動きが長く続いている状態や、動きから静止になった直後等、フリッカ補正精度があまり信頼できない状況のときは補正ゲインを小さくし補正誤差による悪影響を目立たないようにできる。
【0019】
本発明に係る第3の態様のフリッカ補正方法は、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正方法であって、入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップと、前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップと、前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて巡回係数を算出する巡回係数算出ステップと、前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分に前記巡回係数算出ステップで算出された巡回係数に基づきローパスフィルターをかける巡回型ローパスフィルターステップと、前記巡回型ローパスフィルターステップからの出力と前記動き検出ステップでの検出結果に基づいてフリッカの有無およびフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップと、前記フリッカ判定ステップでの判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップと、前記フリッカ補正ゲイン算出ステップで算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップと、を備え、前記巡回係数算出ステップでは、動き状態から静止状態になった直後の1フィールドは巡回係数を一旦ゼロとし、静止状態が継続した場合には巡回係数を所定の値とする一方、動き状態となったときは巡回係数を1にする、ことを特徴とする。
【0020】
この構成により、被写体の動き/静止の状態に応じて巡回型ローパスフィルターの巡回係数の大きさを適切に変えることが可能となり、動きから静止状態になった時に一度計算結果を初期化することで高速に巡回型ローパスフィルター出力を収束させ所望のフリッカ補正ゲインを得ることができ、また、動き状態がしばらく続いた時にも巡回型ローパスフィルター出力を保持するので、フリッカ補正ゲインが変動してしまう事がなくフリッカ補正を安定して行うことが可能になる。
【0021】
本発明に係る第1の態様のフリッカ補正プログラムは、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正プログラムであって、コンピュータに下記のステップを実行させるためのフリッカ補正プログラムである。
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップ:
前記静止フィールド数計測ステップで計測された前記静止フィールド数の結果に基づいて前記フィールド数nを算出するステップであって、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フィールド数nの制御を行い、前記静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フィールド数nを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フィールド数nを所定の数まで徐々に増加させていき、前記動きフィールド数がゼロでない動き時においては前記フィールド数nをゼロにする、フィールド数n算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップ:
前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分と前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいてフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップ:
前記フリッカ判定ステップでの判定結果から、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップ:
前記フリッカ補正ゲイン算出ステップで算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップ:
【0022】
この構成により、被写体の動き/静止の状態に応じてフリッカ成分抽出の速度を適切に変えることが可能となり、動きから静止状態に切り替わった時にフリッカ成分算出結果を早く得ることができ、また、静止状態が長く続くときはフリッカ成分算出を高精度で得ることができる。
【0023】
本発明に係る第2の態様のフリッカ補正プログラムは、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正プログラムであって、コンピュータに下記のステップを実行させるためのフリッカ補正プログラムである。
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップ:
前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分と前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいてフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップ:
前記フリッカ判定ステップでの判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップ:
前記静止フィールド数計測ステップと前記動きフィールド数計測ステップの計測結果からフェードゲインを算出するステップであって、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フェードゲインの制御を行い、静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に大きくして1倍まで増加させていき、動きフィールド数がゼロでない動き時においては、動きフィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを大きくする一方、動きフィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に小さくして0倍まで減少させる、フェードゲイン算出ステップ:
前記フェードゲイン算出ステップで算出されたフェードゲインを前記フリッカ補正ゲインに乗ずるフェードゲイン乗算ステップ:
前記フェードゲイン乗算ステップからの補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップ:
【0024】
この構成により、被写体の動き/静止の状態に応じてフェードゲインの大きさを適切に変えることが可能となり、静止状態が長く続いていて、フリッカ補正精度が信頼できるときは正規の補正ゲインを出力し、フリッカを完全に補正するが、動きが長く続いている状態や、動きから静止になった直後等、フリッカ補正精度があまり信頼できない状況のときは補正ゲインを小さくし補正誤差による悪影響を目立たないようにできる。
【0025】
本発明に係る第3の態様のフリッカ補正プログラムは、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正プログラムであって、コンピュータに下記のステップを実行させるためのフリッカ補正プログラムである。
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて巡回係数を算出するステップであって、動き状態から静止状態になった直後の1フィールドは巡回係数を一旦ゼロとし、静止状態が継続した場合には巡回係数を所定の値とする一方、動き状態となったときは巡回係数を1にする、巡回係数算出ステップ:
前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分に前記巡回係数算出ステップで算出された巡回係数に基づきローパスフィルターをかける巡回型ローパスフィルターステップ:
前記巡回型ローパスフィルターステップからの出力と前記動き検出ステップでの検出結果に基づいてフリッカの有無およびフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップ:
前記フリッカ判定ステップでの判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップ:
前記フリッカ補正ゲイン算出ステップで算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップ:
【0026】
この構成により、被写体の動き/静止の状態に応じて巡回型ローパスフィルタの巡回係数の大きさを適切に変えることが可能となり、動きから静止状態になった時に一度計算結果を初期化することで高速に巡回型ローパスフィルタ出力を収束させ所望のフリッカ補正ゲインを得ることができ、また、動き状態がしばらく続いた時にも巡回型ローパスフィルタ出力を保持するので、フリッカ補正ゲインが変動してしまう事がなくフリッカ補正を安定して行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、被写体が動いた場合でもフリッカ補正を行うことができ、さらに、フィールド周期とフリッカ周期の位相のズレが少ない場合であっても動き状態から静止状態に変わった時に高速にフリッカ補正を開始することが可能となるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例におけるフリッカ補正装置の構成を示すブロック図
【図2】フリッカが発生している画像の一例を示す図
【図3】図2の画像のライン平均値を示す図
【図4】3フィールドのライン平均値を示す図
【図5】現在のフィールドのライン平均値を3フィールド分の平均値で除算した結果を示す図
【図6】現在のフィールドとnフィールド前のライン平均値の差分値を示す図
【図7】差分値を現在のフィールドのライン平均値で除算した結果を示す図
【図8】動き判定結果例による状態制御を示す図(A)静止フィールド数の計測結果を示す図(B)動きフィールド数の計測結果を示す図(C)フィールド数n算出結果を示す図(D)巡回係数算出結果を示す図(E)フェードゲイン算出結果を示す図
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明の一実施例である露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正装置について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本発明におけるフリッカ補正装置の一実施例を示す図である。図1において100はライン平均値算出部であり、符号101は1フィールド前ライン平均値記憶部、102は2フィールド前ライン平均値記憶部、103はnフィールド前ライン平均値記憶部である。1フィールド前ライン平均値記憶部101、2フィールド前ライン平均値記憶部102、および、nフィールド前ライン平均値記憶部103は、ライン平均値算出部100で得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶部を構成している。
【0031】
また、符号104は3フィールド平均値算出部、105は差分値算出部、106は50Hzフリッカ成分抽出部、107は60Hzフリッカ成分抽出部、108は第1の巡回型LPF部、109は第2の巡回型LPF部、110は動き検出部、111は動きフィールド数計測部、112は静止フィールド数計測部、113はフィールド数n算出部、114は巡回係数算出部、115はフリッカ判定部、116はフリッカ補正ゲイン算出部、117はフェードゲイン算出部、118はフェードゲイン乗算部、119はフリッカ補正ゲイン乗算部、120は遅延部、そして、121はマイクロコンピュータである。
【0032】
ライン平均値算出部100は、入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出する。
【0033】
1フィールド前ライン平均値記憶部101及び2フィールド前ライン平均値記憶部102は1フィールド分のライン平均値を保持可能で、それぞれ1フィールド期間遅延して出力する。同様にnフィールド前ライン平均値記憶部103は1フィールド分のライン平均値を保持可能で、任意のnフィールド期間遅延して出力する。
【0034】
3フィールド平均値算出部104ではライン平均値算出部100の出力y0、1フィールド前ライン平均値記憶部101の出力y−1、2フィールド前ライン平均値記憶部102の出力y−2の平均値を演算する。すなわち、3フィールド毎の同ライン位置のライン平均値の平均を算出し、フリッカの影響を排除した基準値を作成する。
【0035】
差分値算出部105は、ライン平均値算出部100から出力されるライン平均値からnフィールド前ライン平均値記憶部103から出力されるnフィールド前ライン平均値を減算する。
【0036】
50Hzフリッカ成分抽出部106は、ライン平均値算出部100から出力されるライン平均値を3フィールド平均値算出部104から出力される平均値で除算することにより、被写体の濃淡が排除されたフリッカ信号を求めた後、周波数変換し、50Hzのフリッカの成分の周波数領域だけを抽出する。
【0037】
60Hzフリッカ成分抽出部107は、差分値算出部105から出力される差分値をライン平均値算出部100から出力される平均値で除算することにより、被写体の濃淡が排除されたフリッカ信号を求めた後、周波数変換し、60Hzのフリッカの成分の周波数領域だけを抽出する。
【0038】
第1の巡回型LPF部108は、50Hzフリッカ成分抽出部106から出力される50Hzフリッカ成分と1フィールド前のフリッカ成分巡回LPF結果に対して、巡回係数算出部114から出力される巡回係数でローパスフィルタをかける。
【0039】
第2の巡回型LPF部109は、60Hzフリッカ成分抽出部107から出力される60Hzフリッカ成分とnフィールド前のフリッカ成分巡回LPF結果に対して、巡回係数算出部114から出力される巡回係数でローパスフィルタをかける。
【0040】
動き検出部110は、ライン平均値算出部100から出力されるライン平均値と1フィールド前ライン平均値記憶部101から出力される平均値の差分を、あるスレッシュ値(閾値)と比較して被写体の動きを検出する。
【0041】
動きフィールド数計測部111は、動き検出部110から出力される動き検出結果に基づいて、動きが続いたフィールド数(動きフィールド数)を計測する。
【0042】
静止フィールド数計測部112は、動き検出部110から出力される動き検出結果に基づいて、静止が続いたフィールド数(静止フィールド数)を計測する。
【0043】
フィールド数n算出部113は、静止フィールド数計測部112から出力される静止フィールド数の結果に基づいて、フィールド数nを算出(決定)する。
【0044】
巡回係数算出部114は、動き検出部110から出力される動き検出結果に基づいて、巡回係数を決定する。
【0045】
フリッカ判定部115は、動き検出部110の検出結果と第1の巡回型LPF部108および第2の巡回型LPF部109からの出力に基づいて、動きの有無によるフリッカ成分の調整やフリッカの有無の判定および周波数の判定(50Hzか60Hz)を行う。
【0046】
フリッカ補正ゲイン算出部116は、フリッカ判定部115の判定結果に基づいて、三角関数の重畳によりフリッカ周波数に同期した正弦波を算出(生成)する。
【0047】
フェードゲイン算出部117は、動きフィールド数計測部111と静止フィールド数計測部112の計測結果に基づいて、フェードゲインを算出する。
【0048】
フェードゲイン乗算部118は、フリッカ補正ゲイン算出部116から出力されるフリッカ補正ゲインに、フェードゲイン算出部117から出力されるフェードゲインを乗算する。
【0049】
フリッカ補正乗算部119は、遅延部120で遅延調整された画像信号に対して、フェードゲイン乗算部118から出力される、フェードゲインが乗算されたフリッカ補正ゲインを乗算することで、入力画像のフリッカを低減させる。
【0050】
遅延部120は、入力される画像信号に対して、補正ゲインを生成するまでに相当する遅延分を調整するものである。
【0051】
以上のように構成された本実施例のフリッカ補正装置について、以下にその動作について説明する。なお、当該動作の内容は、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正方法であり、その各動作(ステップ)をコンピュータを用いて実行することができることは明らかである。また、かかるプログラムは、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正プログラムであって、コンピュータに下記の各動作(ステップ)を実行させるためのフリッカ補正プログラムである。
【0052】
図1に示すとおり、露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像信号は、フリッカ補正装置のライン平均値算出部100と遅延部120に入力される。
【0053】
ライン平均値算出部100では、入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値y0を算出する。
【0054】
算出された平均値y0は、1フィールド前ライン平均値記憶部101、nフィールド前ライン平均値記憶部103、3フィールド平均値算出部104、差分値算出部105、50Hzフリッカ成分抽出部106、60Hzフリッカ成分抽出部107、および、動き検出部110に入力される。
【0055】
1フィールド前ライン平均値記憶部101は、入力されたライン平均値y0を記憶し、1フィールド期間遅延した平均値y−1を出力する。
【0056】
1フィールド前ライン平均値記憶部101から出力される平均値y−1は、2フィールド前ライン平均値記憶部102、3フィールド平均値算出部104、動き検出部110に入力される。
【0057】
2フィールド前ライン平均値記憶部102は、入力されたライン平均値y−1を記憶し、1フィールド遅延した平均値y−2を、3フィールド平均値算出部104へと出力する。
【0058】
その結果、3フィールド平均値算出部104には、y0、y−1、y−2が入力されることになる。
【0059】
3フィールド平均値算出部104では、入力されるy0、y−1、y−2に基づいて、これらの3つのライン平均値の平均を求めることで3フィールド平均値を算出し、フリッカの影響を排除した基準値を作成する。
【0060】
3フィールド平均値算出部104で算出された平均値(3フィールド平均値)は、50Hzフリッカ成分抽出部106に入力される。
【0061】
50Hzフリッカ成分抽出部106は、ライン平均値算出部100から出力されるライン平均値を3フィールド平均値算出部104から出力される平均値で除算することで、被写体の濃淡が排除されたフリッカ信号を算出する。そして、そのフリッカ信号を周波数変換して、50Hzのフリッカの成分の周波数領域だけを抽出する。
【0062】
差分値算出部105は、ライン平均値算出部100から出力されるライン平均値からnフィールド前ライン平均値記憶部103から出力されるnフィールド前ライン平均値を減算し、60Hzフリッカ成分抽出部107に入力する。
【0063】
60Hzフリッカ成分抽出部107は、差分値算出部105から出力される差分値をライン平均値算出部100から出力される平均値で除算することで、被写体の濃淡が排除されたフリッカ信号を算出する。そして、のフリッカ信号を周波数変換して、60Hzのフリッカの成分の周波数領域だけを抽出する。
【0064】
以下に、これまで説明してきた動作を図面を参照しながら説明する。
【0065】
図2は、垂直走査周波数(フィールド周波数)が59.94Hz、水平走査周波数が15.75kHzであるNTSC方式で駆動している撮像装置で、fp=50Hzの交流電源で点灯する一般的な蛍光灯の照明下で白色チャートを撮影した場合の画像例を示す図である。
【0066】
また、図3は、その画像のライン平均値をプロットしたものである。この図に示すように、ライン平均値は被写体の濃淡でフリッカ成分が変調されたような信号となる。
【0067】
電源周波数と撮像素子の駆動周波数の関係から、nフレームにおけるyラインの平均値Ys(Y,n)は以下の式で表される。
【0068】
【数1】

【0069】
ここで、
Is(y):yラインの直流成分(被写体の濃淡に相当)
A:フリッカの大きさ
:水平走査周波数
:垂直走査周波数
:電源周波数
である。
【0070】
これよりyラインについてf/(2×f)ライン周期で横縞が現れ、nフレームについて(2π×2×f)/fで位相がシフトする。
【0071】
つまり、f=50Hz時のフリッカは、
/(2×f)=15.75kHz/100=157.5ライン周期
で横縞が現れ、1フィールドあたり
(2π×2×f)/f=2π×100/59.94Hz≒2π×(1+2/3)
だけ位相がシフトすることから、三角関数の性質より3フィールドで一巡するものであることがわかる。
【0072】
同様に、f=60Hzの時フリッカは、
/(2×f)=15.75kHz/120=131.25ライン周期
で横縞が現れ、1フィールドあたり、
(2π×2×f)/f=2π×120/59.94Hz≒2π×(2+1/500)
だけ位相がシフトすることから、三角関数の性質より500フィールドで一巡するものであることがわかる。
【0073】
図4は、f=50Hz時の現在のフィールドのライン平均値と、1フィールド前のライン平均値と、2フィールド前のライン平均値と、それら3フィールド分の平均値をプロットしたものである。先に示したように、ライン平均値は3フィールドで一巡するので、3フィールド分の平均値を計算することで、フリッカの影響を排除した被写体の濃淡が抽出できる。
【0074】
図5は、現在のフィールドのライン平均値を、先に求めた3フィールド分の平均値で除算した結果であり、被写体の濃淡を排除したフリッカ信号が抽出される。
【0075】
図6は、f=60Hz時の現在のフィールドのライン平均値と、nフィールド前のライン平均値と、それら2フィールドの差分値をプロットしたものである。
【0076】
図7は、先に求めた2フィールドの差分値を現在のフィールドのライン平均値で除算した結果であり、被写体の濃淡を排除したフリッカ信号が抽出される。
【0077】
被写体の濃淡を排除したフリッカ信号が抽出されることにつき、数式を用いて説明する。
【0078】
,nフレームにおけるライン平均値は,以下の式で表される。
【0079】
【数2】

【0080】
上式を簡略化すると下記[1]および[2]となり、これら[1]および[2]から求められる([2]−[1])/[2]は下式のとおりとなる。
【0081】
【数3】

【0082】
一般的な蛍光灯によるフリッカは、A<<1であるので、上記([2]−[1])/[2]は下式で近似することができ、被写体の濃淡に影響されないフリッカ信号が抽出できる。
【0083】
【数4】

【0084】
50Hzフリッカ成分抽出部106で抽出されたフリッカ成分の周波数領域は、第1の巡回型LPF108で、1フィールド前のフリッカ成分の巡回ローパスフィルタ結果と、巡回係数算出部114から出力される巡回係数に基づき、ローパスフィルタをかける。巡回ローパスフィルタ後のフリッカ成分の周波数領域は、フリッカ判定部115に入力される。
【0085】
同様に、60Hzフリッカ成分抽出部106で抽出されたフリッカ成分の周波数領域は、第2の巡回型LPF109で、nフィールド前のフリッカ成分の巡回ローパスフィルタ結果と、巡回係数算出部114から出力される巡回係数に基づき、ローパスフィルタをかける。巡回ローパスフィルタ後のフリッカ成分の周波数領域は、フリッカ判定部115に入力される。
【0086】
動き検出部110は、ライン平均値算出部100から出力されるライン平均値と1フィールド前ライン平均値記憶部101から出力される平均値の差分をあるスレッシュ値と比較して被写体の動きの有無を判断する。この動きの有無の判断結果は、動きフィールド数計測部111、静止フィールド数計測部112、巡回係数算出部114、および、フリッカ判定部115に入力される。
【0087】
動きフィールド数計測部111は、動き検出部110から出力される動き検出結果に基づき、動きが続いたフィールド数(動きフィールド数)を計測する。その結果は、フェードゲイン算出部117に入力される(図8(A)を参照)。
【0088】
静止フィールド数計測部112は、動き検出部110から出力される動き検出結果に基づき、静止が続いたフィールド数(静止フィールド数)を計測する。その結果は、フィールド数n算出部113、および、フェードゲイン算出部117に入力される(図8(B)を参照)。
【0089】
フィールド数n算出部113は、静止フィールド数計測部112から出力される静止フィールド数の結果に基づいて、フィールド数nを算出(決定)する。静止フィールド数がゼロでない時(静止時)には、50Hzのフリッカの影響を避けるべく、フィールド数nとして3の倍数を選択するが、静止フィールド数が小さいうちはフィールド数nを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれてフィールド数nを所定の数まで徐々に増加させていく。
【0090】
具体的には、静止フィールド数が小さい時は3、6等、フィールド数nを小さくする。このようにすることで、最短4フィールド程度でフリッカ信号を抽出可能となる。また、静止フィールド数が大きくなるにつれて、所定の数まで徐々にフィールド数nを大きくしていく。このようにすることで、フィールド差分信号の値が大きくなり、結果としてフリッカ信号の抽出精度を高めることができる(図8(C)を参照)。
【0091】
一方、静止フィールド数がゼロの時(動き時)には、フィールド数nをゼロとする。
【0092】
このようにして算出されたフィールド数nは、nフィールド前ライン平均値記憶部103に入力される。
【0093】
巡回係数算出部114は、動き検出部110から出力される動き検出結果に基づき巡回係数を決定する。具体的には、巡回係数算出部114は、動き状態から静止状態になった直後の1フィールドは巡回係数を一旦ゼロとし、静止状態が継続した場合には巡回係数を所定の値とする一方、動き状態となったときは巡回係数を1にする。つまり、静止状態には適度に巡回をかけ(例えば0.75)、動きの時は巡回係数を大きくして計算結果を保持する(例えば0.95)。動き状態から静止状態になった時は巡回係数を一旦ゼロにして計算結果を初期化する、というような動作を行う(図8(D)を参照)。
【0094】
算出された巡回係数は、第1の巡回型LPF部108、および、第2の巡回型LPF部109に入力される。
【0095】
フリッカ判定部115は、動き検出部110の検出結果と第1の巡回型LPF部108および第2の巡回型LPF部109からの出力に基づいて、動きの有無によるフリッカ成分の調整やフリッカの有無の判定および周波数の判定(50Hzか60Hz)を行う。判定結果に基づいて調整されたフリッカ成分は、フリッカ補正ゲイン生成部116に入力される。
【0096】
フリッカ補正ゲイン算出部116は、フリッカ判定部115の判定結果に基づいて、三角関数の重畳によりフリッカ周波数に同期した正弦波を生成し、フェードゲイン乗算部118へと出力する。
【0097】
フェードゲイン算出部117は、動きフィールド数計測部111と静止フィールド数計測部112の計測結果に基づいて、すなわち静止フィールド数と動きフィールド数に応じて、フェードゲインを算出(制御)する。具体的には、静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちはフェードゲインを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれてフェードゲインを徐々に大きくして1倍まで増加させていく。逆に、動きフィールド数がゼロでない動き時においては、動きフィールド数が小さいうちはフェードゲインを大きくする一方、動きフィールド数が大きくなるにつれてフェードゲインを徐々に小さくして0倍まで減少させる。つまり、静止の場合は静止状態の長さに応じてフェードゲインを徐々に大きくしていき、1まで増加させる。逆に、動きの場合は、静止から動きへの移行直後は所定期間フェードゲインを1のままで保持しておき、所定時間以降も動きが続いたら、フェードゲインを徐々に小さくしていき、ゼロまで減少させる(図8(E)を参照)。算出されたフェードゲインはフェードゲイン乗算部118に入力される。
【0098】
フェードゲイン乗算部118は、フリッカ補正ゲイン算出部116から出力されるフリッカ補正ゲインに、フェードゲイン算出部117から出力されるフェードゲインを乗算する。
【0099】
フリッカ補正乗算部119は、遅延部120で遅延調整された画像信号に対してフリッカ補正ゲインを乗算する。フリッカ補正乗算部119からは、フリッカが補正された信号が出力される。
【0100】
以上説明したとおり、本発明によれば、被写体が動いた場合でもフリッカ補正を行うことができ、さらに、フィールド周期とフリッカ周期の位相のズレが少ない場合であっても動き状態から静止状態に変わった時に高速にフリッカ補正を開始することが可能となるという優れた効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、ムービーカメラ、車載カメラ、携帯カメラなどの撮影場所が固定されず異なる周波数のフリッカ補正が必要とされるカメラシステムの分野において有用である。
【符号の説明】
【0102】
100 ライン平均値算出部
101 1フィールド前ライン平均値記憶部
102 2フィールド前ライン平均値記憶部
103 nフィールド前ライン平均値記憶部
104 3フィールド平均値算出部
105 差分値算出部
106 50Hzフリッカ成分抽出部
107 60Hzフリッカ成分抽出部
108 第1の巡回型LPF
109 第2の巡回型LPF
110 動き検出部
111 動きフィールド数計測部
112 静止フィールド数計測部
113 フィールド数n算出部
114 巡回係数算出部
115 フリッカ判定部
116 フリッカ補正ゲイン算出部
117 フェードゲイン算出部
118 フェードゲイン乗算部
119 フリッカ補正ゲイン乗算部
120 遅延部
121 マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正装置であって、
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されている1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出部と、
前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測部と、
前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されているnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出部と、
前記静止フィールド数計測部から出力される前記静止フィールド数の結果に基づいて前記フィールド数nを算出するフィールド数n算出部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記差分値算出部で得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出部と、
前記フリッカ成分抽出部で抽出されたフリッカ成分と前記動き検出部の結果からフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定部と、
前記フリッカ判定部の結果から、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出部と、
前記フリッカ補正ゲイン算出部からの補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算部と、を備え、
前記フィールド数n算出部は、
前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フィールド数nの制御を行い、
前記静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フィールド数nを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フィールド数nを所定の数まで徐々に増加させていき、
前記動きフィールド数がゼロでない動き時においては前記フィールド数nをゼロにする、
ことを特徴とするフリッカ補正装置。
【請求項2】
露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正装置であって、
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されている1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出部と、
前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測部と、
前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されているnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記差分値算出部で得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出部と、
前記フリッカ成分抽出部で抽出されたフリッカ成分と前記動き検出部の結果からフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定部と、
前記フリッカ判定部の結果から、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出部と、
前記静止フィールド数計測部と前記動きフィールド数計測部の計測結果からフェードゲインを算出するフェードゲイン算出部と、
前記フェードゲイン算出部で算出されたフェードゲインを前記フリッカ補正ゲインに乗ずるフェードゲイン乗算部と、
前記フェードゲイン乗算部から入力された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算部と、を備え、
前記フェードゲイン算出部は、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フェードゲインの制御を行い、
静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に大きくして1倍まで増加させていき、
動きフィールド数がゼロでない動き時においては、動きフィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを大きくする一方、動きフィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に小さくして0倍まで減少させる、
ことを特徴とするフリッカ補正装置。
【請求項3】
露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正装置であって、
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されている1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記記憶部に格納されているnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出部と、
前記ライン平均値算出部で得られた平均値と前記差分値算出部で得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出部と、
前記動き検出部から出力される動き検出結果に基づいて巡回係数を算出する巡回係数算出部と、
前記フリッカ成分抽出部で抽出されたフリッカ成分に前記巡回係数算出部で算出された巡回係数に基づきローパスフィルターをかける巡回型ローパスフィルター部と、
前記巡回型ローパスフィルター部からの出力と前記動き検出部の検出結果に基づいてフリッカの有無およびフリッカ周波数を判定するフリッカ判定部と、
前記フリッカ判定部の判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出部と、
前記フリッカ補正ゲイン算出部で算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算部と、を備え、
前記巡回係数算出部は、動き状態から静止状態になった直後の1フィールドは巡回係数を一旦ゼロとし、静止状態が継続した場合には巡回係数を所定の値とする一方、動き状態となったときは巡回係数を1にする、
ことを特徴とするフリッカ補正装置。
【請求項4】
露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正方法であって、
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップと、
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測ステップと、
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップと、
前記静止フィールド数計測ステップで計測された前記静止フィールド数の結果に基づいて前記フィールド数nを算出するフィールド数n算出ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップと、
前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分と前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいてフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップと、
前記フリッカ判定ステップでの判定結果から、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップと、
前記フリッカ補正ゲイン算出ステップで算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップと、を備え、
前記フィールド数n算出ステップでは、
前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フィールド数nの制御を行い、
前記静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フィールド数nを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フィールド数nを所定の数まで徐々に増加させていき、
前記動きフィールド数がゼロでない動き時においては前記フィールド数nをゼロにする、
ことを特徴とするフリッカ補正方法。
【請求項5】
露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正方法であって、
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップと、
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測ステップと、
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップと、
前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分と前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいてフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップと、
前記フリッカ判定ステップでの判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップと、
前記静止フィールド数計測ステップと前記動きフィールド数計測ステップの計測結果からフェードゲインを算出するフェードゲイン算出ステップと、
前記フェードゲイン算出ステップで算出されたフェードゲインを前記フリッカ補正ゲインに乗ずるフェードゲイン乗算ステップと、
前記フェードゲイン乗算ステップからの補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップと、を備え、
前記フェードゲイン算出ステップでは、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フェードゲインの制御を行い、
静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に大きくして1倍まで増加させていき、
動きフィールド数がゼロでない動き時においては、動きフィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを大きくする一方、動きフィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に小さくして0倍まで減少させる、
ことを特徴とするフリッカ補正装方法。
【請求項6】
露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正方法であって、
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップと、
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップと、
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて巡回係数を算出する巡回係数算出ステップと、
前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分に前記巡回係数算出ステップで算出された巡回係数に基づきローパスフィルターをかける巡回型ローパスフィルターステップと、
前記巡回型ローパスフィルターステップからの出力と前記動き検出ステップでの検出結果に基づいてフリッカの有無およびフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップと、
前記フリッカ判定ステップでの判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップと、
前記フリッカ補正ゲイン算出ステップで算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップと、を備え、
前記巡回係数算出ステップでは、動き状態から静止状態になった直後の1フィールドは巡回係数を一旦ゼロとし、静止状態が継続した場合には巡回係数を所定の値とする一方、動き状態となったときは巡回係数を1にする、
ことを特徴とするフリッカ補正方法。
【請求項7】
露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正プログラムであって、コンピュータに下記のステップを実行させるためのフリッカ補正プログラム。
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップ:
前記静止フィールド数計測ステップで計測された前記静止フィールド数の結果に基づいて前記フィールド数nを算出するステップであって、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フィールド数nの制御を行い、前記静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フィールド数nを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フィールド数nを所定の数まで徐々に増加させていき、前記動きフィールド数がゼロでない動き時においては前記フィールド数nをゼロにする、フィールド数n算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップ:
前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分と前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいてフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップ:
前記フリッカ判定ステップでの判定結果から、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップ:
前記フリッカ補正ゲイン算出ステップで算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップ:
【請求項8】
露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正プログラムであって、コンピュータに下記のステップを実行させるためのフリッカ補正プログラム。
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて静止が続いたフィールド数である静止フィールド数を計測する静止フィールド数計測ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて動きが続いたフィールド数である動きフィールド数を計測する動きフィールド数計測ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップ:
前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分と前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいてフリッカの有無やフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップ:
前記フリッカ判定ステップでの判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップ:
前記静止フィールド数計測ステップと前記動きフィールド数計測ステップの計測結果からフェードゲインを算出するステップであって、前記静止フィールド数および前記動きフィールド数に応じて前記フェードゲインの制御を行い、静止フィールド数がゼロでない静止時においては、静止フィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを小さくする一方、静止フィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に大きくして1倍まで増加させていき、動きフィールド数がゼロでない動き時においては、動きフィールド数が小さいうちは前記フェードゲインを大きくする一方、動きフィールド数が大きくなるにつれて前記フェードゲインを徐々に小さくして0倍まで減少させる、フェードゲイン算出ステップ:
前記フェードゲイン算出ステップで算出されたフェードゲインを前記フリッカ補正ゲインに乗ずるフェードゲイン乗算ステップ:
前記フェードゲイン乗算ステップからの補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップ:
【請求項9】
露光時刻が点順次または線順次である撮像素子を用いて撮像した画像のフリッカを低減させるフリッカ補正プログラムであって、コンピュータに下記のステップを実行させるためのフリッカ補正プログラム。
入力画像信号の有効期間のライン毎の平均値を算出するライン平均値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値を1フィールド期間単位で記憶する記憶ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶された1フィールド前の平均値の出力変化から動きを検出する動き検出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記記憶ステップで記憶されたnフィールド(nは整数値)だけ前の平均値との差分値を算出する差分値算出ステップ:
前記ライン平均値算出ステップで得られた平均値と前記差分値算出ステップで得られた差分値からフリッカ周波数を抽出するフリッカ成分抽出ステップ:
前記動き検出ステップでの動き検出結果に基づいて巡回係数を算出するステップであって、動き状態から静止状態になった直後の1フィールドは巡回係数を一旦ゼロとし、静止状態が継続した場合には巡回係数を所定の値とする一方、動き状態となったときは巡回係数を1にする、巡回係数算出ステップ:
前記フリッカ成分抽出ステップで抽出されたフリッカ成分に前記巡回係数算出ステップで算出された巡回係数に基づきローパスフィルターをかける巡回型ローパスフィルターステップ:
前記巡回型ローパスフィルターステップからの出力と前記動き検出ステップでの検出結果に基づいてフリッカの有無およびフリッカ周波数を判定するフリッカ判定ステップ:
前記フリッカ判定ステップでの判定結果に基づいて、フリッカ周波数に同期したフリッカ補正ゲインを算出するフリッカ補正ゲイン算出ステップ:
前記フリッカ補正ゲイン算出ステップで算出された補正ゲインを前記入力画像信号に乗ずるフリッカ補正ゲイン乗算ステップ:

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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