説明

フリースへの金属繊維の溶接方法と装置並びにフリース

本発明は、金属繊維(2)からなるフリース(1)を製造する方法において、金属繊維を有する層(3)を形成し、フリースとすべく繊維を相互に溶接し、その際にフリースの区間に対して多数回の溶接プロセスを実施する。この結果、特に自動車分野で排気ガス処理ユニットに使用される金属繊維フリースに要求される熱的および動的負荷に対する耐久性を保障できる。本発明は、上記の方法を実施するための装置と、フリースの使用法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属繊維からなるフリースの製造方法、金属繊維の溶接装置および特に内燃機関の排気ガス流のフィルタ処理に使用可能な前記方法で製造したフリースに関する。
【背景技術】
【0002】
環境への関心に伴い、内燃機関で生ずる排気ガス中に含まれる有害物質を後処理する必要がある。その際、該排気ガス中に含まれる気体および/又は固体の成分を浄化することが公知である。そのため触媒に誘発された化学反応は、少なくとも一時的に排気ガスの、例えば煤又は灰のような固体成分を抑制するためのフィルタ過程と同様に使用できる。そのため、通常排気ガスは、例えば触媒コンバータ、吸着装置、粒子トラップ等の少なくとも1つの排気ガス処理ユニットを貫流する。使用可能なフィルタ媒体に関しても、同様に気体透過性の金属繊維フリースの使用が公知である。本発明は、特にこの用途のための繊維フリースの製造に関する。
【0003】
例えばオットーエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関内の間欠的な燃焼に伴い、排気ガス系内にこのような繊維フリースに対し相当な熱的および動的負荷が加わる。従って運転中の繊維の脱落を防ぐべく、この種繊維フリースを特に高い強度で形成する必要がある。これは一方で結果的に繊維フリースの所望のフィルタ作用を持続的に維持できず、他方で脱落した繊維が場合により後置された排気ガス浄化ユニット又は更に環境内の人員を危険に曝すことがあり得る。
【0004】
かかる繊維フリースの製造に際し、溶接接続および/又はフリースの繊維間の焼成結合を形成する方法は公知である。量産規模でのこの種繊維フリースの連続的な製造には、溶接方法が好ましい。何故なら、溶接方法は高速で実施できるからである。しかしこの場合、十分なプロセス安全性の下に、溶接接続が所望の規模で行えないことは明らである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記から出発し、従来の技術の問題を少なくとも部分的に緩和することである。特に本発明の課題は、金属繊維からなるフリースの製造方法と、プロセス的に安全でかつ大量生産の枠組みの中でも十分多くのフリースの箇所に溶接接続を発生する金属繊維の溶接装置を提供することである。この場合、特に移動型内燃機関の排気ガス系内の熱的および動的負荷に耐える繊維フリースを提供する。更にこの用途のために好適なフリースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有するフリースの製造方法と、請求項5の特徴を有する金属繊維の溶接装置によって解決される。本発明のその他の好ましい実施態様は、各々従属する請求項に記載してある。ここで特許請求の範囲の中で個別的に記載した特徴は、任意の技術的に有意義な方法で互いに組合せ可能であり、その結果、本願により本発明のその他の実施形態が提示される。
【発明の効果】
【0007】
金属繊維からなるフリースの本発明に係る製造方法は、少なくとも以下のステップ、
a)金属繊維を有する層の形成、および
b)フリースへの繊維の相互の溶接
を含み、ステップb)はフリースの区間に対して多数回の溶接プロセスの実施を含む。
【0008】
「フリース」なる語は、特に平坦な形成物を意味し、フリースを形成する繊維は整列し又は乱雑に互いに配置し得る。フリースの例は織物、格子構造体、編成体、ランダム配列体等である。フリースは基本的に少なくとも1つの、例えば別種のフリース、粉末等の添加物を含んでもよく、該添加物は最終的に失われないようにフリースと結合される。フリースは耐高温性および耐食性の材料からなる繊維で形成する。用語「繊維」は特に長く延伸した要素を表し、特に線状、チップ状および類似の要素を含む。金属繊維はほぼ円形、楕円形又は多角形に形成できる。特に平坦な断面を有する繊維が好ましい。金属繊維は、特に基材として鋼を含む材料を含有し、好ましくは高比率のクロム(例えば18〜21重量%)および/又はアルミニウム(例えば少なくとも4.5重量%、特に少なくとも5.5重量%)を含む。基本的にアルミニウム化繊維も使用できる。この金属繊維は、好ましくは0.1〜50mm、特に1〜10mmの繊維長と、0.01〜0.1mm、特に0.02〜0.05mmの繊維径とで形成されている。製造されるフリースの多孔率は、好ましくは30〜80%の範囲、特に45〜60%の範囲にある。
【0009】
ステップa)による層の形成は、例えば繊維と下層の灌流を含み、その結果該下層は少なくとも部分的に重ねて配設される。層が所望の厚さ又は秤量(例えば250〜1500g/m2)を持つなら、このゆるい金属繊維の複合体は溶接プロセスに供給できる。
【0010】
ステップb)から読み取れるように、繊維相互の溶接はフリース又は層の区間に対し多数回の溶接プロセスの実施により行う。1つの区間とは、特に輸送方向へのフリース又は層の部分領域を意味する。規則的に溶接プロセスはこのような区間に作用し、この区間の内部で、ほぼ同時に様々な繊維間の複数の溶接接続を形成できる。
【0011】
ここでは、このような区間を数度、溶接プロセスにかけることを提案し、各々様々な溶接接続を生成する。第1の溶接プロセスにより区間内で一定数の溶接接続を形成し、この区間にもう1つの溶接プロセスを施し、この第2の溶接プロセスの間に別の溶接接続を形成する。溶接プロセスは2度実施するとよい。
【0012】
溶接プロセスには、抵抗溶接プロセスを用いるとよい。この場合複数の溶接プロセスを様々な溶接方法で実施できるが、同じ溶接方法の2つの溶接プロセスの実施が好ましい。何故なら、この方法により溶接設備に関し技術費用を低減できるからである。溶接プロセスは制御下に行うとよい。即ち抵抗溶接法の使用時に、電流が後続する溶接プロセスで、既に生じた溶接接続を通して流れるだけではなく、区間の別の部分領域における付加的な溶接接続も発生することを保証できる。この場合、溶接プロセスはフリース又は層の連続移動区間に対し場所的に分離して実施する。
【0013】
この関連で、ステップb)をロールシーム溶接により実施すると特に好ましい。ロールシーム溶接の場合、層又はフリースをロール対又はローラ対を通して案内しつつ電圧を印加する。この結果、金属繊維を通る電流が生じ、そこに繊維内の電気抵抗により熱が生ずる。この熱は金属繊維の接触領域で繊維材料の溶融を引き起こし、隣接する繊維への素材に適合した接続が生ずる。ロールシーム溶接の実施時、電流を間欠的に(例えば所定のパルス時間および所定の休止時間による)又は定電流として流し得る。層又はフリースと、ロール又はローラとの十分な接触を保証すべく、フリース又は層をロールで圧縮し、特にその際の押圧力は500〜1500N/cm2とする。
【0014】
しかし通常は、電気抵抗が最小の対向ローラへの移行部に電流が流れる故、ロール又はローラの全接触領域にわたり電流が流れない。このためフリースのかかる区間の中でただ1回の溶接プロセスの間に繊維の多数のスポット状溶接のみが生ずる。ステップb)の好ましい実施形態では、両方の溶接プロセスをロールシーム溶接として実施し、第2のロールシーム溶接で、1つの区間の第1の溶接接続間の領域に溶接接続を行う。
【0015】
この方法の発展的形態では、ステップb)で互いに交差する複数の溶接シームを形成する。例えば第1の溶接接続中に輸送方向とほぼ平行に延びる溶接シームを形成でき、該溶接シームは溶接接続の集中的集合が存在するフリースのゾーンを規定する。後続の溶接プロセスで、それに対し斜方に又は横方向へ延伸する溶接シームを発生させる。この結果、溶接シームは一種のパターンを形成する利点がある。
【0016】
更にステップb)中に、シールドガスをフリースの区間に向けて誘導し得る。シールドガスとして、例えばアルゴンおよび/又はヘリウムを含むガスが対象となる。こうすると金属繊維の材料が酸化されて、例えば後続の抵抗溶接時、素材適合の接合の形成時に阻止されるのを防止できる。
【0017】
本発明のもう1つの態様に従い、少なくとも以下の構成要素を含む金属繊維の溶接装置を提供する。
金属繊維からなる層のための供給装置、
層の区間内に繊維間の接合を製造できる第1の溶接ステーション、および
部分的に溶接された層の区間を供給でき、繊維間に別の接合を発生できる第2の溶接ステーション。
【0018】
この装置は、特に本発明に従う金属繊維製のフリースの製造方法の実施に好適である。
【0019】
供給装置は、好ましくは該供給装置が溶接ステーションへの連続的な供給を、特に1〜10m/秒の範囲の輸送速度で可能なように構成する。供給装置は、例えば給送ユニットとして構成できる。第1および/又は第2の溶接ステーションに到達する迄の金属繊維の固定のため、例えばガイド部、磁石等の保持手段を有する供給装置を形成できる。供給装置は、層の輸送速度を変化可能となし得る。更に、層の1つの区間の重量の決定手段を供給装置と組み合わせてもよい。
【0020】
この供給装置を利用し、第1の溶接ステーションに向けて層の輸送を行う。ゆるい金属繊維を持つ層を第1の溶接ステーションを利用して前固定し、一定数の溶接接続を形成する。この区間を、ここで特に供給装置で、更に第1の溶接ステーションから輸送方向へ離して配設した第2の溶接ステーションへ輸送する。ここで別の溶接接続を、既に1度溶接した層の区間に対し形成する。基本的に第1と第2の溶接ステーションを1つの設備の中で組み合わせ得る、溶接ステーションを独立の設備として形成してもよい。
【0021】
この関連で、第1および第2の溶接ステーションがロールシーム溶接の実施に好適であるとよい。これは、特に所要の値を持つ溶接電流の供給又は所定の、必要なら可変の周波数を持つ電流パルスを供給する手段を備えることを意味する。更に間欠的又は一定の電流を供給する手段を設け得る。またシールドガスを供給する手段、溶接接続および/又はその他のフリース性質を検査する手段や適切な溶接制御装置を設けることもできる。
【0022】
この関連で、第1と第2の溶接ステーションの少なくとも一方が少なくとも2本のロール電極を有し、それを通して繊維を有する層を貫通させることができ、電流の流れを繊維を通して実現可能であるとよく、少なくとも1本のロール電極が溶接位置を変更可能な手段を有すると望ましい。両方の溶接ステーションを、フリースの区間および/又は他の溶接ステーションの溶接位置に対し溶接位置を変更可能な手段で形成するとよい。溶接位置を可変とする手段は、例えばロール電極の全円周面が区間の領域内の繊維と接触せず、むしろ個々のゾーンのみが電気的に導伝性に層又はフリースと接触することを可能にする。かかる手段の形成に関し、特にその他の有利な実施態様についての以下の説明ならびに図の説明も参照されたい。ここで当業者はその他の、必要であれば内示的に挙げた結果的に溶接位置の同じ作用の可変性を有する手段を知っていることも明らかである。かかる通常の変形態様は、同様にフリースの適用仕様の形成に対し長所を有する。
【0023】
ここで、互いに独立して電流を複数の部分によって接触された繊維を経て発生可能な、該部分を有する少なくとも1本のロール電極を形成することも可能である。これは換言すれば例えば1本のロール電極を有する溶接ステーションをフリースの1区間の全幅にわたり輸送方向に対し横方向へ形成するが、この幅の一部にわたってのみ延伸する複数のセグメントを有することを意味する。具体的に示すべく、例えば各々1つの別の電流回路を有する3又は4本のローラ状のロール電極を並設し得る。層又はフリースの貫通案内時、それによって輸送方向へ延伸する溶接シーム又は軌道を溶接接続によって製造し、頻度、方位、サイズ等に関して各々様々に構成できる。この結果、1つの区間と1つの溶接ステーションで、同時に複数の溶接シームを互いに独立して製造できる。これは、例えば層の内部での繊維の様々な分布に対応でき、又はより小さい押圧力又は少ない電流をロール電極又はその独立のゾーンを経て供給すれば足りるので、この方法により溶接ステーションに対する技術的要求を低減できるという利点をもつ。
【0024】
しかしながらロール電極のセグメントへの電流供給の簡素化、スペース問題の回避等のために、必要なら少なくとも1本のロール電極の複数の部分を層の輸送方向へ互いに変位して配設してもよい。このような変位したセグメントの配列は、例えば2以上、特に5以上のセグメントがある場合に有利である。
【0025】
装置の好ましい発展的形成では、1つのプロフィールを持つ少なくとも1本のロール電極を形成する。これは、換言すればロール電極を平滑なほぼ円筒形の円周面で形成せず、むしろ円周面上に凸部を凹部が設けることを意味する。凸部又は凹部はネップ、線、微細面および/又は複雑なパターンとして形成できる。この結果、層又はフリースに対し様々な間隔をもつ円周面を形成でき、突出部が金属繊維とのよりよい電気的接触を提供し、このため溶接接続を形成する好ましい領域となる。即ち、ロール電極のこの形状により、フリースの1区間内部で、ロール電極の全幅よりも小さく、大きな溶接確率を有する領域の製造を可能とする。それによって、例えば後続の溶接プロセスと類似の形状としたロール電極の使用下に、相互の溶接接続の好ましい領域を移す可能性が生じ、その結果、最終的に全区間にわたり比較的均一な繊維の溶接を実現できる。このため後続のロールシーム溶接プロセスでの電流が、既に溶接接続を実施したフリースの領域を通して導通するのを妨害する。
【0026】
更に少なくとも1本のロール電極の回転軸の位置を変化する手段を持つ、少なくとも1つの溶接ステーションを形成し得る。この結果、特に回転軸の位置が移動および/又は傾斜可能となる。回転軸の角度の変化は、それを通して案内されるフリースによって形成される平面に対し行うとよい。この結果、同様にロール電極の一定の部分領域のみが繊維フリースと接触し、例えば結果的にロール電極の揺動はフリースの区間で往復進行する溶接プロセスが生じ得る。この場合もロール電極の円周面の適合も必要になり、特にこれは球状に形成される。
【0027】
ここで更に、溶接ステーションを相互に変化させる手段を設けることもできる。特にこの手段は、溶接ステーション相互の距離の変化を可能にする。それによって、例えば一定のプロフィールを有するロール電極が形成され、同期して運転することが可能であるが、製造した溶接接続の重なり合いは、溶接ステーション相互間の距離を適宜選択することで回避できる。溶接ステーションの位置を変化させる手段は少なくとも1つのセンサ、駆動装置および/又は少なくとも1つの調整ユニットを含むこともできる。
【0028】
本装置のもう1つの実施態様に従い、シールドガスを提供する手段を有する少なくとも1つの溶接ステーションを溶接位置の領域に形成する。これは特に貯蔵容器、供給管およびアルゴンおよび/又はヘリウムを含むシールドガス用の流出ユニットを含む。排気ガス流を処理するフリースの使用に関し、本発明に係る方法又は本発明に係る装置により製造した耐熱性でかつ耐食性の材料からなる金属繊維を含むフリースを使用するとよい。このため、排気ガス流のフィルタ処理のためのこのようなフリースの使用方法も提供する。
【0029】
本発明ならびに技術的環境を、図面を利用してより詳しく説明する。各図は特に好ましい実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。各図は模式図であり、特に寸法比を示すものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は模式的にフリース1を製造する金属繊維2の溶接装置6を示す。この場合、繊維2をまず層3とすべくゆるい複合体とし、供給装置7を用いて該層を溶接ステーション8と9へ輸送方向16に供給する。供給装置7は、模式的にベルトコンベヤとして示す。
【0031】
層3を、初めに2本のロール電極11を通して案内し、第1の溶接位置12に関し多数の溶接接続を行う。ロール電極11を通る層3の貫通時に層3を圧縮し、同時に一定の領域で流れ層3に電流を流す。この部分硬化と部分溶接したフリース1を、ここで所定の距離23で位置決めした第2の溶接ステーション9へ供給する。第2の溶接ステーション9の領域でのこのロールシーム溶接の際も、フリース1の更なる圧縮と、溶接接続の付加的な形成とを行う。第2の溶接ステーション9を離れるフリース1は、ここでその構造に関して移動型内燃機関の排気ガス処理装置の使用を持続的に保証する強度を示す。特にここに示す装置6の変形例では、フリース1に対し繊維2相互の溶接を実行でき、フリース1の区間4(図5)に対し多数回の溶接プロセスを実施可能である。
【0032】
図2は、揺動するロール電極11を持つ第1の溶接ステーション8の変形例を示す。基本的に第2の溶接ステーション9も類似の方法で構成できる。図示の変形態様で、層3に対し上方に配設したロール電極11は揺動式に形成している。しかし下部ロール電極11も揺動式に形成できる。連続的又は間欠的に実行できる揺動は、特に水平方向28を基準に一定の角度24だけの回転軸15の変化を含む。この方法で溶接位置12は溶接シーム5(図5)又は接合10(図6)の形成のため、例えば部分13を介しておよび/又は輸送方向16(図示せず)に対し横方向へ変化可能になる。図示の実施例では、ロール電極11の両方の図示した部分13が同期して揺動するが、これは必ずしも必要ではない。
【0033】
図3は、第2の溶接ステーション9のセグメント化したロール電極11のもう1つの実施例を示す。ロール電極11の部分13は各々、ここで様々に表すプロフィール14にて形成された1つの円周面29と共に形成されており、部分13は同じ回転軸15を持つ。ロール電極11の各部分13は、該ロール電極が互いに独立して電流を、該部分が接触する繊維2(図示せず)を通して発生可能に形成している。そのためにこれは、各々ロール電極11の部分13の対向する対と接触する各々1つの独立の電源26を有する。溶接接続の形成のために層3又はフリース1(図示せず)はロール電極11の間のギャップ27を通して貫通される。好ましくは最大100mmになる幅24を持つロール電極11又は部分13を形成している。
【0034】
図4は排気ガスに対し流れ方向33に貫流可能な流路34を形成すべく、複数のパターニングした金属箔32と複数のフリース1により形成したハニカム体31を含む排気ガス処理ユニット30の詳細図を示す。流れ干渉器35はフリース1への排気ガス流の偏向を起こし、その結果、一緒に案内された粒子36がそこに堆積する。排気ガス処理ユニット30の詳細は、特に粒子トラップ又はフィルタの詳細を示し、排気ガス処理ユニット30は好ましくはオットーエンジン又はディーゼルエンジンを有する車両の排気ガス系の中に組み込まれている。
【0035】
図5は、区間4に対し複数の溶接プロセスを施した本発明に係るフリース1を示す。区間4は、ここで好ましくは輸送方向16に相当する方向Yへ延伸する。フリース幅は方向Xに、フリース厚さ20は方向Zへ延びる。ロールシーム溶接法の多数回の実施により少なくとも部分的に交差する複数の溶接シーム5を形成する。溶接シーム5は、所望の拡大部21および所望の間隔22で互いに配設し得る。この箇所で明示的に、拡大部21と間隔22を単に模式的に示すのみであり、拡大部21を間隔22よりも大きくすることも可能かつ好適である。溶接シーム5の1つがジグザグ状の形状を有し、これは例えば揺動式ロール電極により形成できる。互いに平行又は垂直に延びる溶接シーム5は、例えば形状付与したロール電極11により発生できる。
【0036】
図6は、図5のフリース1の詳細を図示し、繊維2は拡大して示している。互いに乱雑に配置した金属繊維2は、多数回の溶接プロセスの実施により接点相互の領域で相互の接合部10を形成している。繊維2は、ここで多角形の断面で形成しており、繊維2は繊維長18および繊維径19で規定できる。ゆるい複合体として金属繊維を有する層の形成時の変化ならびに溶接プロセス中にフリース1又は層3へ作用する力によって様々な多さのかつ様々な大きさの繊維2を有する孔17を形成でき、フリース1の所望の多孔率(例えば45〜70%の範囲)が調整可能である。
【0037】
図7は、3段の溶接装置の別の実施例を部分的に示す。ここでは、層3の輸送方向16に互いにオフセット37で配設した、複数の部分13を形成する多数のロール電極11により構成した第2の溶接ステーション9を図示している。この変形態様は、層3への溶接電流の一様な流入を可能にし、部分13は一緒に再び層3の全幅を覆う。ここで図示しない、第1の溶接位置はそれに関係なく前記変形態様の1つに従って構成できる。第2の溶接位置9に層3の周縁部38を処理する設備39が続き、例えば必要に応じて複数のフリース相互を接合する固定領域として利用できる気体不透過性の周縁部38を形成すべく、金属箔を折り返しの形式によって固定できる。このため、設備39を同様に多数のロール電極11により構成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】金属繊維を溶接する装置の実施例である。
【図2】溶接ステーションの変形態様である。
【図3】溶接ステーションのもう1つの変形態様である。
【図4】金属繊維からなるフリースを有する排気ガス処理ユニットの詳細図である。
【図5】金属繊維からなるフリースの実施例である。
【図6】図5のフリースの詳細図である。
【図7】変位したロール電極を有する溶接のための装置のもう1つの実施例である。
【符号の説明】
【0039】
1 フリース、2 繊維、3 層、4 区間、5 溶接シーム、6 装置、7 供給装置、8、9 溶接ステーション、10 接合、11 ロール電極、12 溶接位置、13 部分、14 プロフィール、15 回転軸、16 輸送方向、17 孔、18 繊維長、19 繊維径、20 フリース厚さ、21 拡大部、22 間隔、23 距離、24 角度、25 幅、26 電源、27 ギャップ、28 水平方向、29 円周面、30 排気ガス処理ユニット、31 ハニカム体、32 金属箔、33 流れ方向、34 流路、35 流れ干渉器、36 粒子、37 オフセット、38 周縁部、39 設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属繊維(2)からなるフリース(1)の製造方法であって、少なくとも
a)金属繊維(2)を有する層(3)の形成および
b)フリース(1)への繊維(2)の相互の溶接を含む方法において、
ステップb)がフリース(1)の区間(4)に対し多数回の溶接プロセスの実施を含む方法。
【請求項2】
ステップb)をロールシーム溶接によって実施する請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップb)の間に互いに交差する複数の溶接シーム(5)を形成する請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ステップb)の間、シールドガスをフリース(1)の区間(4)に向けて供給する請求項1から3の1つに記載の方法。
【請求項5】
金属繊維(2)を溶接する装置(6)であって、少なくとも以下の構成要素含む装置。
金属繊維(2)からなる層(3)の供給装置(7)、
層(3)の区間(4)内に繊維(2)の間の接合(10)を製造する第1の溶接ステーション(8)、および
層(3)の部分的に溶接された区間(4)が供給され、かつ繊維(2)の間にその他の接合(10)を製造する第2の溶接ステーション。
【請求項6】
第1の溶接ステーション(8)および第2の溶接ステーション(9)が、ロールシーム溶接を実施する請求項5記載の装置。
【請求項7】
第1の溶接ステーション(8)および第2の溶接ステーション(9)の少なくとも一方が少なくとも2本のロール電極(11)を有し、該ロール電極を通して繊維(2)を有する層(3)を貫通させ、かつ該ロール電極が繊維(2)を通して電流を流し、少なくとも1本のロール電極(9)が溶接位置(12)を可変とする手段を有する請求項6記載の装置。
【請求項8】
互いに独立して電流の流れを複数の部分(13)によって接触された繊維(2)を通して発生できる該部分を有する少なくとも1本のロール電極(11)が構成された請求項6又は7記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1本のロール電極(11)の複数の部分(13)が層(3)の輸送方向(16)へ互いに変位して配設された請求項8記載の装置。
【請求項10】
1つのプロフィール(14)を有する少なくとも1本のロール電極(11)が形成された請求項6から9の1つに記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1本のロール電極(11)の回転軸(15)の位置を変化する手段を有する少なくとも1つの溶接ステーション(8、9)が形成された請求項6から10の1つに記載の装置。
【請求項12】
溶接ステーション(8、9)の位置を相互に変化させる手段を備える請求項6から11の1つに記載の装置。
【請求項13】
溶接位置(12)の領域にシールドガスを提供する手段を有する少なくとも1つの溶接ステーション(8、9)が形成された請求項6から12の1つに記載の装置。
【請求項14】
請求項1から5の1つに記載の方法又は請求項6から13の1つに記載の装置(6)により製造された耐高温性および耐食性の材料からなる金属繊維(2)を含むフリース。
【請求項15】
排気ガス流のフィルタ処理のための請求項14記載のフリース(1)の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−545890(P2008−545890A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511597(P2008−511597)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004482
【国際公開番号】WO2006/136240
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(500038927)エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンス テクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング (156)
【Fターム(参考)】