説明

フルオロエラストマー層およびバリヤー層を含む多層製品、および当該製品の製造方法

【課題】フルオロエラストマー層とバリヤー層とを有する多層製品、および該多層製品の製造方法を提供する。
【解決手段】第2のポリマー層に結合したバリヤー層に結合した、第1のポリマー層を含む多層製品。第1のポリマー層はフルオロエラストマーを含むことができる。第2のポリマー層は、フッ素化されていないポリマー層であることができる。バリヤー層は、酢酸ビニルから誘導されるポリマーを含むことができる。より薄い内層16に結合する、中間層14に結合する比較的厚い外層12を含む三層製品10が示される。外層12は、フッ素化されていないポリマー層であることができ、構造一体性を有する製品10を提供するようにデザインされている。外層12はホース外面20を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロエラストマー層とバリヤー層とを有する多層製品、および該多層製
品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素含有ポリマー(「フルオロポリマー」としても知られる)は、商業的に有用な種
類の材料である。フルオロポリマーとしては、例えば架橋フルオロエラストマーおよび半
晶質またはガラス状フルオロプラスチックが挙げられる。フルオロプラスチックは概して
熱安定性が高く、特に高温で有用である。それらは非常に低い温度で、極度の靭性と可撓
性を示すこともできる。これらのフルオロプラスチックの多くは、多種多様な溶剤にほと
んど完全に不溶性であり、概して耐薬品性である。いくつかは極端に低い誘電損失と高い
絶縁耐力を有し、独特の非粘着性および低摩擦特性を有することができる。例えば(非特
許文献1)を参照されたい。
【0003】
フルオロエラストマー、特にフッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレンなどのそ
の他のエチレン性不飽和ハロゲン化モノマーとの共重合体は、シール、ガスケット、およ
びライニングなどの高温度用途で特別の効用を有する。例えば(非特許文献2)、(非特
許文献3)、および(非特許文献4)を参照されたい。
【0004】
自動車産業では、蒸発性燃料基準に関する懸念の高まりが、改善されたバリヤー特性を
有する燃料系統構成要素に対する必要性をもたらした。これは、燃料充填ライン、燃料供
給ライン、燃料タンク、およびその他の自動車燃料系統要素などの自動車要素を通過する
燃料蒸気の透過を低下させる一助となる。このような自動車要素中で耐薬品性の透過バリ
ヤーを提供するために、フルオロポリマー層を含有する多層管材料およびその他の製品が
使用されている。
【0005】
また特定の燃料は、酸素化剤またはその他の添加剤などの追加的構成要素を含んでもよ
い。このような多成分燃料は、製品の個々の構成要素材料と決して最適でない様式で反応
する可能性があり、それは不完全な透過保護につながる。
【0006】
【特許文献1】米国特許番号第4,338,237号明細書
【特許文献2】米国特許番号第5,285,002号明細書
【特許文献3】米国特許番号第4,287,322号明細書
【特許文献4】米国特許番号第5,658,671号明細書
【特許文献5】米国特許番号第4,745,165号明細書
【特許文献6】米国特許番号第4,214,060号明細書
【特許文献7】米国特許番号第5,552,199号明細書
【特許文献8】米国特許出願番号第09/644,731号明細書
【非特許文献1】F.W.ビルマイヤー(Billmeyer)著、「ポリマー科学テキストブック(Textbook of Polymer Science)」第3版、398〜403頁、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク(1984年)
【非特許文献2】R.A.ブリュロ(Brullo)著、「自動車用途向けフルオロエラストマーゴム(Fluoroelastomer Rubber for Automotive Applications)」、オートモーティブ・エラストマ・アンド・デザイン(Automotive Elastomer & Design)、1985年6月
【非特許文献3】「自動車の将来を封印するフルオロエラストマー(Fluoroelastomer Seal Up Automotive Future)」、マテリアル・エンジニアリング(Materials Engineering)、1988年10月
【非特許文献4】W.M.グルータート(Grootaert)ら著、「フルオロカーボンエラストマー(Fluorocarbon Elastomers)」、カーク−オスマー化学技術百科事典(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)第8巻、990〜1005頁(第4版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、1993年)
【非特許文献5】テルブート(Tervoot)ら著、Macromolecules(高分子)、第33巻、6460〜6465頁(2000年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、多層製品は第1のポリマー層、第1のポリマー層の表面に結合したバリヤ
ー層、およびバリヤー層に結合した第2のポリマー層を含む。第1のポリマー層はフルオ
ロエラストマーを含む。第2のポリマーはフッ素化されていないポリマーを含む。
【0008】
別の態様では、多層製品を調製する工程は、第1のポリマー層を提供する工程と、第1
のポリマー層の表面にバリヤー層を提供する工程と、バリヤー層の表面に第2のポリマー
層を提供する工程と、第1のポリマー層、バリヤー層、および第2のポリマー層を加熱す
る工程とを含む。
【0009】
フルオロエラストマーは、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、または任意に
ヘキサフルオロプロピレンまたはクロロトリフルオロエチレンから誘導される共重合した
単位含むことができる。特定の実施態様では、フルオロエラストマーは、過フッ素化され
たアルコキシビニルエーテルモノマー、過フッ素化されたアルキルビニルエーテルモノマ
ー、およびそれらの組み合わせなどのビニルエーテルモノマーから誘導される共重合した
単位さらに含むことができる。
【0010】
バリヤー層は、製品に接触する流体に対して、多層製品のその他の層に含有される材料
の透過定数よりも低い透過定数を有する材料を含む層である。バリヤー層は、エチレンビ
ニルアルコール共重合体などの酢酸ビニルから誘導されるポリマーを含むことができる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのビニルアルコールを含有するポ
リマーは、ビニルアルコール含有バリヤー層を含有しない多層製品と比較して、改善され
たガスバリヤー特性と優れた透明度を有する多層製品を提供できる。バリヤー層とフルオ
ロエラストマー層との間の優れた層間接着を得ることができる。バリヤー層を含む多層製
品の効果的な透過定数は、バリヤー層を含有しない製品と比較して小さくできる。バリヤ
ー層に結合したフルオロエラストマーを含む製品は、製品が石油燃料と接触した際に、良
好な燃料透過抵抗性などの有用な特性を示すことができる。
【0011】
場合によっては、バリヤー層の材料と相互作用するかもしれない液体または蒸気からバ
リヤーを隔離することで、フルオロエラストマー層は保護層の役割を果たすかもしれない
。これらの場合、フルオロエラストマーの保護と、例えばEVOHなどのバリヤー層の低
い燃料透過の組み合わせは、材料単独で、あるいは順序が逆の同一材料(例えばEVOH
が燃料に直接接触する)よりも改善された透過挙動を提供する。これはアルコールなどの
特定の燃料添加剤は、例えばバリヤー材料に直接接触させられると、EVOH含有バリヤ
ー層を膨潤させるからである。
【0012】
フッ素化されていないポリマーは、エラストマーまたは熱可塑性エラストマー、熱可塑
性ポリマー、または熱可塑性エラストマーを含むことができる。例えばフッ素化されてい
ないポリマーは、ニトリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーゴム、エピ
クロロヒドリンゴム、エチレン−アクリレート共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジ
エンターポリマーとポリプロピレンとからできた熱可塑性エラストマー、ポリアミド、ポ
リウレタン、ポリオレフィン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0013】
第2のポリマー層は、例えばマレイン化ポリオレフィンのような官能性付与ポリオレフ
ィンなどの接着促進剤を含むことができる。接着促進剤が第2のポリマー層に含まれる場
合に、バリヤー層と非フルオロエラストマー間の改善された層間接着を得ることができる

【0014】
接着は、ASTM D 1876(T−剥離試験)に従って層間の剥離接着強さを求め
ることで測定される。第1のポリマー層とバリヤー層との間の剥離接着強さは、少なくと
も1N/cm、または5N/cmであることができる。バリヤー層と第2のポリマー層と
の間の剥離接着強さは、少なくとも10N/cm、または15N/cmであることができ
る。
【0015】
多層製品の層のいずれかまたは全てが導電性であることができる。しかし好ましくは、
導電性であるのは最内の層であり、ここで「最内の」とは、例えば燃料またはその他の液
体と接触するように設計された層を指す。フルオロエラストマー層は導電性であることが
できる。
【0016】
多層製品は、シート、フィルム、容器、ホース、管などをはじめとする多種多様な形状
で提供することができる。多層製品がホースである場合、第1のポリマー層は、ホース内
面を形成でき、第2のポリマー層はホース外面を形成できる。製品は、化学抵抗性および
/またはバリヤー特性が必要な場合に、特に有用である。製品の特定使用の例としては、
硬質および軟質再帰反射シート、接着テープなどの接着剤製品、塗装代替えフィルム、ド
ラグ低下フィルム、冷媒ホース、送油経路および補給孔ホース、液圧流体ホース、排気処
理ホース、燃料タンクなどでの使用が挙げられる。製品はまた、化学的操作および加工用
途において、そしてワイヤおよびケーブルコーティングまたはジャケットとしても有用で
ある。
【0017】
発明のその他の特色、目的、および利点は、説明および図面、そして請求項から明らか
になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
多層製品は、一表面でバリヤー層に結合したフルオロエラストマー層を含むことができ
る。バリヤー層はフッ素化されていないポリマー層に結合する。多層製品はその他の層も
含むことができる。例えばラミネートは、フッ素化されていないポリマー層が結合した面
に対向する面で、フルオロエラストマー層に結合したポリマー層を含むことができる。こ
のポリマー層は、フルオロポリマーまたはフッ素化されていないポリマーであることがで
きる。
【0019】
フルオロポリマーは、過フッ素化されたポリマーまたは部分的にフッ素化されたポリマ
ーであることができる。フルオロポリマーはまた、テトラフルオロエチレンとヘキサフル
オロプロピレンとフッ化ビニリデン(THV)のターポリマー、テトラフルオロエチレン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共
重合体(ETFE)、およびその他の溶融加工可能なフルオロプラスチックなどの溶融加
工可能なもの、あるいはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性PTFE共重合
体、TFEと低レベルのフッ素化されたビニルエーテルの共重合体、およびフルオロエラ
ストマーなどの溶融加工不可能なもののいずれかであることができる。また溶融加工可能
なフルオロプラスチックは、例えば(非特許文献5)で述べられるように溶融加工可能な
PTFEであることができる。
【0020】
フルオロエラストマーは、硬化する前に、射出または圧縮成形または普通に熱プラスチ
ックと関連したその他の方法によって加工できる。硬化または架橋の後、フルオロエラス
トマーは概してそれ以上加工することができない。フルオロエラストマーは、非架橋形態
で溶剤から被覆することもできる。フルオロポリマーは、水性分散形態から被覆すること
もできる。
【0021】
好ましい実施態様では、フルオロエラストマーは、パーフルオロエラストマー、テトラ
フルオロエチレンを含む共重合体、フッ化ビニリデンを含む共重合体、ヘキサフルオロプ
ロピレンを含む共重合体、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを含む共重
合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを含む
共重合体、あるいはそれらの混合物であることができる。
【0022】
フルオロポリマーは、押出しまたは溶剤被覆できる材料であることができる。このよう
なフルオロポリマーは、約100〜約330℃、より好ましくは約150〜約270℃の
範囲の融解温度を有するフルオロプラスチックであることができる。フルオロプラスチッ
クは、フッ化ビニリデン(VDF)またはテトラフルオロエチレン(TFE)から誘導さ
れる共重合した単位を含むことができ、その他のフッ素含有モノマー、非フッ素含有モノ
マー、またはそれらの組み合わせから誘導される共重合した単位をさらに含むことができ
る。適切なフッ素含有モノマーの例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)と、フ
ッ化ビニリデン(VDF)と、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)と、クロロトリフル
オロエチレン(CTFE)と、3−クロロペンタフルオロプロペンと、過フッ素化された
ビニルエーテル(例えばCF3OCF2CF2CF2OCF=CF2などのパーフルオロアル
コキシビニルエーテル、およびCF3OCF=CF2およびCF3CF2CF2OCF=CF2
などのパーフルオロアルキルビニルエーテル)と、パーフルオロジアリルエーテルおよび
パーフルオロ1,3−ブタジエンなどのフッ素含有ジオレフィンとが挙げられる。適切な
非フッ素含有モノマーの例としては、エチレン、プロピレンなどのオレフィンモノマーが
挙げられる。
【0023】
VDF含有フルオロポリマーは、例えばその内容をそれぞれ本願明細書に引用したサル
ズバック(Sulzbach)らに付与された(特許文献1)またはグルータート(Gr
ootaert)に付与された(特許文献2)で述べられるようにエマルジョン重合技術
を使用して調製できる。有用な市販されるVDF含有フルオロプラスチックとしては、例
えば,ダイニオン(Dyneon)(商標)THV 200、THV 400、THV
500G、THV 610Xフルオロポリマー(ミネソタ州セントポールのダイニオンL
LC(Dyneon LLC,St.Paul,MN)から入手可能)、KYNAR(商
標)740フルオロポリマー(ペンシルベニア州フィラデルフィアのアトケム・ノース・
アメリカ(Atochem North America,Philadelphia,
PA)から入手可能)、およびHYLAR(商標)700(ニュージャージー州モリスタ
ウンのアウジモント・ユー・エス・エー社(Ausimont USA,Inc.,Mo
rristown,NJ)から入手可能)が挙げられる。
【0024】
有用なフルオロエラストマーとしては、少なくともHFPおよびVDFから誘導される
共重合した単位が挙げられ、VDFの量は少なくとも10重量%である。VDFの量は1
0〜80重量%、より好ましくは15〜75重量%の範囲であることができる。HFPの
量は10〜80重量%、より好ましくは15〜75重量%の範囲であることができる。適
切なフルオロエラストマーの例としては、VDF−HFP共重合体、VDF−HFP−T
FEターポリマー、TFE−プロピレン共重合体などが挙げられる。有用な市販されるフ
ルオロエラストマーとしては、例えば,ダイニオン(Dyneon)(商標)FE−58
30Q(FKM)、FLS−2650(FKM)、BRE−7131X(FKM)、AF
LAS150P(FKM)、およびFC−2178(ミネソタ州セントポールのダイニオ
ンLLC(Dyneon LLC,St.Paul,MN)から入手可能)が挙げられる

【0025】
フルオロエラストマーは、硬化性フルオロエラストマーであることができる。硬化剤は
硬化性エラストマーと混合して硬化を促進できる。有用な硬化剤の例としては、例えばそ
の内容を本願明細書に引用したウォーム(Worm)に付与された(特許文献3)で論じ
られるような、イミダゾリン、ジアミン、ジアミンの内部塩、チオ尿素および、ポリフェ
ノール硬化剤が挙げられる。
【0026】
有用な硬化剤の例としては、有機オニウム塩(例えば有機アンモニウム、有機ホスホニ
ウム、および有機スルホニウム塩)と組み合わせたポリオールを挙げることができる。例
については、例えばその内容を本願明細書に引用したフクシ(Fukushi)に付与さ
れた(特許文献4)で述べられている。ジアミンおよびペルオキシドも有用であることが
できる。
【0027】
硬化性フルオロエラストマー組成物に含まれることができる、ペルオキシド硬化反応に
加わることができるハロゲンを含有するフルオロポリマーとしては、周知のフルオロエラ
ストマーが挙げられる。典型的にペルオキシド硬化反応に加わることができるハロゲンは
、臭素、ヨウ素または塩素であることができる。フルオロエラストマーに含まれるハロゲ
ンの量は、フルオロエラストマーの総重量に対して0.001〜5重量%または0.01
〜2.5重量%であることができる。ペルオキシド硬化反応に加わることができるハロゲ
ンは、鎖に沿ってまたは末端位置に存在することができる。有用な硬化性モノマーの例と
しては、CF2=CFBr、CF2=CHBr、CF2=CFCF2I、CH2=CHCF2
2Br、CF2=CFCl、およびCF2=CFCF2Clが挙げられる。例えばそれぞれ
その内容を本願明細書に引用した(特許文献5)および(特許文献6)を参照されたい。
【0028】
フッ素化されていないポリマーは、典型的に10モル%未満、好ましくは2モル%未満
、そしてより好ましくは1モル%未満の炭素に結合したフッ素原子を有する。選択される
特定のフッ素化されていないポリマーは、多層製品の用途、または耐薬品性および/また
は耐炎性などの所望特性に依存する。それは熱可塑性ポリマー、エラストマー、または熱
可塑性エラストマーであることができる。フッ素化されていないポリマーは、ポリアミド
、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、ポリイミド、ポリスチレ
ン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリウレア、ポリアクリレート、およびポリメチル
メタクリレート、あるいはそれらの混合物であることができる。例えばフッ素化されてい
ないポリマーは、アクリロニトリルブタジエン(NBR)、水素化アクリロニトリルブタ
ジエンゴム(HNBR)、ブタジエンゴム、塩素化およびクロロスルホニル−ポリエチレ
ン(CSM)、エチルまたはその他のアクリレートとエチレン(AEM)の共重合体、ク
ロロプレン、エチレンとプロピレン(EPM)ゴムの共重合体、エチレンとプロピレンと
ジエン(EPDM)ゴムのターポリマー、エチレンオキシドおよびクロロメチルオキシラ
ン(ECO)ゴム、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル
ターポリマー(GECO)、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリスルフィド、ポリ
ウレタン、シリコーンゴム、ポリ塩化ビニルとNBRとの配合物、スチレンブタジエン(
SBR)ゴム、エチレン−アクリレート共重合体ゴム、およびエチレン−酢酸ビニルゴム
などのフッ素化されていないエラストマーであることができる。適切なエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体としては、デラウェア州ウィルミントンのデュポン社(E.I.DuPon
t de Nemours Co.,Wilmington,DE)から入手可能なエル
ヴァックス(ELVAX)(商標)が挙げられる。
【0029】
フッ素化されていないポリマーとして有用なポリアミドは、概して市販される。例えば
周知のナイロンなどのポリアミドは、いくつかの供給元から入手可能である。特に好まし
いポリアミドは、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−11、およびナイロン−
12である。特定のポリアミド材料の選択は、多層製品の特定用途の物理的要件に基づく
べきであることに留意すべきである。例えばナイロン−6およびナイロン−6,6は、ナ
イロン−11およびナイロン−12に勝る耐熱特性を提供する一方、ナイロン−11およ
びナイロン−12は、より良い耐薬品性特性を提供する。さらにナイロン−6,12、ナ
イロン−6,9、ナイロン−4、ナイロン−4,2、ナイロン−4,6、ナイロン−7、
およびナイロン−8などのその他のナイロン材料、並びにナイロン−6,Tおよびナイロ
ン−6,1などの環含有ポリアミドを使用することができる。適切なナイロンとしては、
ニュージャージー州サマセットのクレアノヴァ社(Creanova,Inc.,Som
erset,NJ)から入手可能なナイロン−12であるヴェスタミド(VESTAMI
D)(商標)L2140が挙げられる。ペンシルベニア州フィラデルフィアのアットケム
・ノース・アメリカ(Atochem North America,Philadel
phia,PA)からのペバッックス(PEBAX)(商標)ポリアミドなどのポリエー
テル含有ポリアミドもまた使用できる。
【0030】
有用なポリウレタンポリマーとしては、脂肪族,脂環式、芳香族、および多環式ポリウ
レタンが挙げられる。これらのポリウレタンは、典型的に周知の反応機序に従った多官能
性イソシアネートとポリオールの反応によって製造される。ポリウレタン製造に用いるの
に有用なジイソシアネートとしては、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロ
ヘキシルジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。1
つ以上の多官能性イソシアネートの組み合わせも使用できる。有用なポリオールとしては
、ポリペンチレンアジペートグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−1,2−ブチレンオキシドグ
リコール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ブタンジオールまたはヘキサンジオ
ールなどの連鎖延長剤も反応で使用できる。市販の有用なウレタンポリマーとしては、ニ
ューハンプシャー州シーブルックのモルトン・インターナショナル(Morton In
ternational,Seabrook,NH)からのモルタン(MORTHANE
)(商標)L424.167,PN−04または3429、およびオハイオ州クリーブラ
ンドのB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Co.,Clevelan
d,OH)からのNHおよびX−4107が挙げられる。
【0031】
有用なポリオレフィンポリマーとしては、エチレン、プロピレンなどのホモポリマー、
並びにこれらのモノマーと、例えばアクリルモノマーや、酢酸ビニルおよび高級αオレフ
ィンなどのその他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。このようなポ
リマーおよび共重合体は、従来のラジカル重合、あるいはこのようなエチレン性不飽和モ
ノマーの触媒作用によって調製できる。ポリマーの結晶化度は変化することができる。例
えばポリマーは半晶質高密度ポリエチレンであっても良く、あるいはエチレンとプロピレ
ンとのエラストマー共重合体であることができる。アクリル酸またはマレイン酸無水物な
どの官能性モノマーの重合または共重合によって、あるいは例えばポリマー重合後のグラ
フト、酸化、またはイオノマー形成などの変性によって、カルボキシル、酸無水物、また
はイミド官能基をポリマーに組み込むことができる。例としては、酸変性エチレンアクリ
レート共重合体、酸無水物変性エチレン酢酸ビニル共重合体、酸無水物変性ポリエチレン
ポリマー、および酸無水物変性ポリプロピレンポリマーが挙げられる。このようなポリマ
ーおよび共重合体は、概して市販される。市販されるポリオレフィンとしては、例えばデ
ラウェア州ウィルミントンのダウ−デュポン・エラストマー(Dow−DuPont E
lastomers,Wilmington,DE)からのエンゲージ(ENGAGE)
(商標)および、ニュージャージー州リンデンのエクソンモービル(ExxonMobi
l,Linden,NJ).からのイグザクト(EXACT)(商標)が挙げられる。酸
無水物変性ポリエチレンポリマーは、例えばデラウェア州ウィルミントンのデュポン社(
E.I.DuPont de Nemours & Co.,Wilmington,D
E)からバイネル(BYNEL)(商標)同時押出し可能接着剤樹脂の商品名の下に、ニ
ューヨーク州パーチェースの三井化学アメリカ(Mitsui Chemicals A
merica,Purchase,NY)から商品名アダマー(Admer)(商標)の
下に、そしてコネチカット州ミドルベリのユニロイヤル・ケミカル・カンパニー(Uni
royal Chemical Company,Inc.Middlebury,CT
)から商品名ポリボンド(Polybond)(商標)の下に市販される。また酸無水物
変性エチレンプロピレン共重合体ゴムも例えばニュージャージー州リンデンのエクソンモ
ービル(ExxonMobil,Linden,NJ)から商品名エクセロール(Exx
elor)(商標)の下に市販される。
【0032】
有用なポリアクリレートおよびポリメタクリレートとしては、アクリル酸、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリル酸、メチルメタクリレート
、エチルメタクリレートなどのポリマーが挙げられる。ポリメタクリレートの例は、テキ
サス州ヒューストンのシェブロン・ケミカル社(Chevron Chemical C
o.,Houston,TX)からのイーマック(EMAC)(商標)である。
【0033】
有用なポリイミドポリマーとしては、ピロメリット酸無水物と、デュポン社(E.I.
DuPont de Nemours and Company)から商品名カプトン(
KAPTON)(商標)の下に入手可能な4,4'−ジアミノジフェニルエーテルとから
できたポリイミドポリマーが挙げられる。変種としては、例えばカプトン(KAPTON
)(商標)H、カプトン(KAPTON)(商標)E、およびカプトン(KAPTON)
(商標)Vが挙げられる。
【0034】
上述のような有用なフッ素化されていないポリマーのさらに別の例としては、ポリエス
テル、ポリカーボネート、ポリケトン、およびポリウレアが挙げられる。有用なポリカー
ボネートポリマーとしては、ポリエステルカーボネート、ポリエーテルカーボネート、お
よびビスフェノールA誘導ポリカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートが挙げられる
。このようなポリマーの市販例としては、デラウェア州ウィルミントンのデュポン社(E
.I.DuPont de Nemours & Co.,Wilmington,DE
)からのシーラー(SELAR)(商標)ポリエステル、マサチューセッツ州ピッツフィ
ールドのゼネラル・エレクトリック(General Electric,Pittsf
ield,MA)からのレクサン(LEXAN)(商標)ポリカーボネート、イリノイ州
シカゴのアモコ(Amoco,Chicago,IL)からのカーデル(KADEL)(
商標)ポリケトン、およびミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社(Dow Che
mical Co.,Midland,MI)からのスペクトリム(SPECTRIM)
(商標)ポリウレアが挙げられる。
【0035】
有用な熱可塑性エラストマーとしては、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(
EPDM)とポリプロピレンとからできた熱可塑性エラストマーが挙げられる。市販され
る熱可塑性エラストマーとしては、ミズーリ州セントルイスのアドヴァンスド・エラスト
マー・システムズ(Advanced Elastomer SystemsofSt.
Louis,MO)からのサントプレン(SANTOPRENE)(商標)、テキサス州
ヒューストンのシェル・ケミカル社(Shell Chemical Company,
Houston,TX),からのクレイトン(KRAYTON)(商標)、マサチューセ
ッツ州レミンスター(Novacore Chemicals,Leominster,
MA)からのサーリンク(SARLINK)またはミシガン州アレンデールのヴィケム・
コーポレーション(Vichem Corporation ,Allendale,M
I)からのヴィケム(VICHEM)が挙げられる。
【0036】
フッ素化されていないポリマーもエラストマーであることができる。有用なエラストマ
ーの例としては、アクリロニトリルブタジエン(NBR)、ブタジエンゴム、塩素化およ
びクロロ−スルホン化ポリエチレン、クロロプレン、エチレンとプロピレン(EPM)ゴ
ムの共重合体、エチレンとプロピレンとジエン(EPDM)ゴムのターポリマー、エチレ
ンオキシドおよびクロロメチルオキシラン(ECO)ゴム、エピクロロヒドリン−エチレ
ンオキシド−アリルグリシジルエーテルターポリマー(GECO)、ポリイソブチレン、
ポリイソプレン、ポリスルフィド、ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリ塩化ビニルとN
BRの配合物、スチレンブタジエン(SBR)ゴム、エチレン−アクリレート共重合体ゴ
ム、およびエチレン−酢酸ビニルゴムが挙げられる。市販されるエラストマーとしては、
ケンタッキー州ルイスヴィルのゼオン・ケミカル(Zeon Chemical,Lou
isville,KY)からのニポール(NIPOL)(商標)1052 NBR、ケン
タッキー州ルイスヴィルのゼオン・ケミカル(Zeon Chemical,Louis
ville,KY)からのヒドリン(HYDRIN)(商標)C2000エピクロロヒド
リン−エチレンオキシドゴム、デラウェア州ウィルミントンのデュポン社(E.I.Du
Pont de Nemours & Co.,Wilmington,DE)からのハ
イパロン(HYPALON)(商標)48クロロスルホン化ポリエチレンゴム、コネチカ
ット州ノーウォークのR.T.ヴァンダービルト社(R.T.Vanderbilt C
o.,Inc.,Norwalk,CT)からのノルデル(NORDEL)(商標)EP
DM、デラウェア州ウィルミントンのデュポン社(E.I.DuPont de Nem
ours & Co.Wilmington,DE)からのヴァマック(VAMAC)(
商標)エチレン−アクリレートエラストマー、ペンシルベニア州ピッツバーグのバイエル
社(Bayer Corp.,Pittsburgh,PA)からのクリナック(KRY
NAC)(商標)NBR、ペンシルベニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer C
orp.,Pittsburgh,PA)からのパーブナン(PERBUNAN)(商標
)NBR/PVC配合物、ペンシルベニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer C
orp.,Pittsburgh,PA)からのサーバン(THERBAN)(商標)水
素化NBR、ケンタッキー州ルイスヴィルのゼオン・ケミカル(Zeon Chemic
al,Louisville,KY)からのゼットポル(ZETPOL)(商標)水素化
NBR、およびルイジアナ州アディスのDSMエラストマーズ・アメリカズ(DSM E
lastomers Americas,Addis,LA)からのケルタン(KELT
AN)(商標)EPDMが挙げられる。
【0037】
多層製品中の個々のポリマー層のいずれかまた全ては、1つ以上の添加剤をさらに含む
ことができる。有用な添加剤の例としては、顔料、可塑剤、粘着付与剤、充填材、導電性
材料(例えばその内容を本願明細書に引用した(特許文献7)で述べられるもの)、絶縁
材料、安定剤、抗酸化剤、潤滑剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、粘度調整剤またはそれら
の組み合わせが挙げられる。
【0038】
バリヤー層は、有機溶剤に対して比較的低い透過定数を有するポリマーを含む。バリヤ
ー層は、エチレンビニルアルコール共重合体などの酢酸ビニルから誘導されるポリマーを
含むことができる。エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)は、ナトリウムメト
キシドまたはナトリウムヒドロキシドなどの塩基性触媒のメタノール性溶液中でエステル
交換または鹸化できる、エチレン酢酸ビニルなどの前駆体ポリマーから製造できる。エチ
レンビニルアルコールポリマーへの所望程度の転換が達成されたら、触媒は酢酸などのわ
ずかに過剰な酸の添加によって中和でき、EVOHは反応溶液と水または弱いアルコール
−水溶液との混合または接触によって沈殿できる。得られた材料は、乾燥前の最終洗浄工
程で、特定の弱酸性水溶液でpH4〜5に酸性化した水によって洗浄することでスラーリ
から濾過し、アルコールおよび塩副産物(例えば酢酸ナトリウム)から精製できる。ポリ
マーは、15〜50モル%、例えば20〜40モル%、または25〜35モル%のエチレ
ン含量を有するエチレンビニルアルコール共重合体であることができる。例えばバリヤー
層は、イリノイ州リジーのエヴァル・カンパニー・オブ・アメリカ(Eval Comp
any of America,Lisie,IL)から入手可能なエヴァル(EVAL
)(登録商標)F101A(エチレンとビニルアルコールの共重合体、エチレン含量32
モル%)などのエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むことができる。
【0039】
フッ素化されていないポリマーは、バリヤー層とフッ素化されていないポリマーの間の
剥離接着強さを改善する、接着促進剤を含むことができる。接着促進剤は、酸無水物、イ
ミド、または酸官能性付与ポリオレフィンであることができる。接着促進剤は、グラフト
ポリマーまたは共重合体であることができる。例えば接着促進剤は、ペンシルベニア州エ
クストンのサルトマー(Sartomer,Exton,PA)から入手可能なマレイン
化1,2−ポリブタジエンであるリコボンド(RICOBOND)(登録商標)1731
などのマレイン化ポリオレフィンであることができる。
【0040】
多層製品は、管、ホース、シート、成形品などをはじめとするいくつかの形状および形
態で提供できる。図1は、例えば自動車燃料系統中で送油または蒸気経路として使用する
のに適切なホースである管またはホース形態の製品を示す。図1について述べると、より
薄い内層16に結合する、中間層14に結合する比較的厚い外層12を含む三層製品10
が示される。外層12は、上述のようにフッ素化されていないポリマー層であることがで
き、構造一体性を有する製品10を提供するようにデザインされている。外層12はホー
ス外面20を形成する。フッ素化されていないポリマーは、ホースまたは管が硬質コネク
タに付着する場合に製品のシーリング特性を改善できるエラストマー(例えばニトリルゴ
ム、エピクロロヒドリンゴムなど)を含むことができる。内層16は、フルオロエラスト
マーであることができる。内層16はホース内面22を形成する。内層16はホースに耐
溶剤性または耐薬品性または熱安定性を与えることができ、製品のシーリング特性も改善
できる。その耐溶剤性および透過抵抗性、そしてその表面に順応する能力のために、フル
オロエラストマーはシーリング特性を改善でき、末端での漏出を防止する。フルオロエラ
ストマーは、中間層14のためのバリヤーまたは保護層の役割も果たすことができ、中間
層14のバリヤー特性に影響を与えることができるアルコールおよび水および/または湿
気などの極性溶剤から、それを保護する。中間層14はバリヤー層であることもでき、ホ
ースが例えば揮発性有機溶剤または自動車燃料を輸送する場合に、ホースの壁を通じた蒸
気またはガスの浸透を低下させることができる。内層16および中間層14の組み合わせ
は、システム内のホースおよび結合からの透過の総量を最小化する。層のいくつかまたは
全ては、それらを導電性にする添加剤を含むことができる。構造の完全性をさらに向上さ
せるために、例えば別個の層として、または既存の層の一部として、繊維、メッシュ、ブ
レード、および/またはワイヤスクリーンなどの補強補助を製品10に組み込むことがで
きる。
【0041】
多層製品は、一般的に多層製品を製造する技術分野で既知の方法に従って製造できる。
例えばフルオロエラストマーを含む層、バリヤー層、およびフッ素化されていないポリマ
ーを含む層を薄いフィルムまたはシートの形態で調製し、次に熱、圧力、またはそれらの
組み合わせを適用して共にラミネートし、結合した多層製品を形成できる。代案としては
、各層を同時押出しして多層製品を形成できる。例えばクロスヘッドダイを使用して、押
出しコーティングによって1つ以上の個々の層を形成することも可能である。フッ素化さ
れていないポリマーがエラストマーである場合の多層製品を調製するその他の有用な方法
は、その内容全体を本願明細書に引用した2000年8月23日に出願された(特許文献
8)で述べられており、そこでは層状製品が形成され、材料が例えばオートクレーブ中で
加圧下において加熱するまで、層の過熱は遅延させられる。
【0042】
層を一緒にする(例えば押出しまたはラミネート)方法における熱および圧力は、層間
に適切な接着を提供するのに十分であることができる。しかし例えば追加的な熱、圧力、
またはその両者によって、得られた製品をさらに処理して、層間の結合強度を高めること
が望ましいかも知れない。押出しによって多層製品が調製される場合に熱を提供する一方
法は、押出し工程の終わりに多層製品の冷却を遅延させることである。代案としては、単
に構成要素を加工するために必要とされるよりも高い温度で、層をラミネートまたは押し
出すことで、多層製品に追加的な熱エネルギーを加えられる。別の代案としては、完成多
層製品を長期間高温に保持できる。例えば製品温度を上昇させるために、完成品をオーブ
ンまたは加熱液体浴などの別の装置に入れることができる。これらの方法の組み合わせも
使用できる。
【0043】
層間の結合強度を増大する別のやり方は、多層状製品の形成に先立って、1つ以上の層
表面を処理することである。このような表面処理としては、溶剤を使用する溶液処理を挙
げることができる。溶剤が例えば1,8−ジアザ[5.4.0]ビシクロウンデク−7−
エン(DBU)などの塩基を含有する場合、フルオロポリマーの処理はある程度の脱フッ
化水素化をもたらすことができる。このような脱フッ化水素化は、引き続いて被着される
材料への接着を促進する上で有利と考えられる。これは引き続いて被着される材料が、不
飽和部位と反応する薬剤を含有する場合に、特に当てはまる。
【0044】
表面処理のその他の例としては、コロナ放電処理またはプラズマ処理などの帯電雰囲気
処理が挙げられる。電子ビーム処理も有用であることができる。
【0045】
層間接着は、脂肪族ジ−またはポリアミンなどの薬剤を使用して増強できる。アミンは
、使用した場合に多層製品の層間の接着剤結合強度改善が帰結するあらゆる分子量である
ことができる。特に有用なポリアミンは、ゲル透過クロマトグラフィーでの測定で約1,
000を超える分子量を有するポリアリルアミンである。有用な市販されるポリアミンの
例は、日東紡績(Nitto Boseki Co.,Ltd.)から入手可能な約3,
000の分子量を有するポリアリルアミンである。アミンは、製品を形成するのに先だっ
て、融解混合などの従来の手段を使用して多層製品の1つ以上の層に組み込むことができ
る。代案としてはスプレーコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、デ
ィップコーティングなどの従来のコーティング方法を使用して、層の1つ以上の表面にア
ミンを塗布できる。
【0046】
発明を以下の実施例によってさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0047】
以下の実施例では、種々の多層製品の調製について述べる。実施例では、表示した供給
元から以下の成分が得られる。ペンシルベニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer
Corp.,Pittsburgh,PA)から市販されるクリナック(KRYNAC
)NV870(NBR/PVC=70/30)およびクリナック(KRYNAC)34E
50(34%ACN含量NBR)、ペンシルベニア州モナカのジンク・コープ・オブ・ア
メリカ(Zinc Corp.of America,Monaca,PA)から市販さ
れる酸化亜鉛USP−1、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(
Aldrich Chemical,Milwaukee,WI)から市販されるステア
リン酸およびリン酸ジオクチル(DOP)、ニュージャージー州パセーイクのハーキュリ
ーズ(Hercules,Passaic,NJ)から市販されるディックアップ(DI
CUP)40C(ジクミルペルオキシド)、ペンシルベニア州エクストンのスタートマー
(Sartomer,Exton,PA,)から市販されるリコボンド(RICOBON
D)1731(マレイン化1,2−ポリブタジエン、CAS No.25655−35−
0)、ルイジアナ州ガイスマーのクロンプトン(Crompton,Geismar,L
A)から市販されるロイアレン(ROYALENE)552(EPDM)、オハイオ州シ
ンシナティのサン・カンパニー(Sun Company Inc.,Cincinna
ti,OH)から市販されるシュプリミックス・サンパール(SUPRMIX SUNP
AR2280(パラフィン油)、ミネソタ州セントポールのダイニオンLLC(Dyne
on LLC,St.Paul,MN)から市販されるダイニオン(DYNEON)FE
−5830Q(FKM)、ダイニオン(DYNEON)FLS−2650(FKM)、B
RE−7131X(FKM)、AFLAS 150P(FKM)、およびDYNEON
FC−2178、ニューヨーク州オレンジバーグのダイキン・アメリカ社(Daikin
America Inc.,Orangeburg,NY)から市販されるダイ−エル
(Dai−el)(登録商標)G−902(FKM)、ジョージア州アルファレッタのカ
ボット・コープ(Cabot Corp.,Alpharetta,GA)から市販され
るN−762カーボンブラック、N−774カーボンブラック、およびヴルカン(Vul
can)XC−72(導電性カーボンブラック)、カナダ国アルバータ州メディシン・ハ
ットのキャンカーブ・リミテッド(Cancarb Limited,Medicine
Hat,Alberta,Canada)から市販されるN−990(カーボンブラッ
ク)、イリノイ州シカゴのC.P.ホール(C.P.Hall,Chicago,IL)
から市販される水酸化カルシウムHP、マサチューセッツ州ダンヴァーズのモートン・イ
ターナショナル(Morton International,Danvers,MA)
から市販される酸化マグネシウム(商品名「エラストマグ(ELASTOMAG)(商標
)170」)、マサチューセッツ州ダンヴァーズのC.P.ホール(C.P.Hall,
Danvers,MA)から市販される酸化カルシウムHP、ウィスコンシン州ミルウォ
ーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical,Milwauk
ee,WI)から市販されるセバシン酸ジブチル(DBS)、ニューヨーク州ニューヨー
クの三菱インターナショナル(Mitsubishi International c
orp.,NewYork,NY)から市販されるトリアリルイソシアヌレート(TAI
C(登録商標))、コネチカット州ノーウォークのR.T.ヴァンダービルト社(R.T
.Vanderbilt Co.,Norwalk,CT)から市販されるヴァロックス
(VAROX)DBPH50(45%の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペル
オキシ)ヘキサンおよび5%のジ−t−ブチルペルオキシド)、ニュージャージー州パセ
ーイクのハーキュリーズ(Hercules,Passaic,NJ)から市販されるV
UL−CUPKE(α,α’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン
)、およびイリノイ州リジーのエヴァル・カンパニー・オブ・アメリカ(Eval Co
mpany of America,Lisie,IL,)から市販されるエヴァル(E
VAL)(登録商標)F101A(エチレンとビニルアルコールの共重合体、エチレン含
量32モル%、CAS No.25067−34−9)。
【0048】
実施例1〜9および比較例C−1およびC−2
5つのフッ素化されていないポリマー組成物を以下のようにして調製した。組成物を表
1に組成物1〜4、C1およびC2として示す。二本ロール機を使用して、ポリマーをそ
の他の成分と表1に示す割合で配合して、組成物1〜4、C1およびC2を調製した。ロ
ールミルのギャップを調節して、組成物1〜4、C1およびC2および4Aを厚さ約1.
5mmの6cm×12cmのシートに整形した。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例1では、3枚のEVOHフィルム(EVAL(登録商標)F101A)の厚さ0
.1mmの2.54cm×10cmのストリップを組成物1のシートに被着した。次にラ
ミネートしたシートを160℃および3.5psi(24kPa)で加圧プレス下で30
分間加熱して多層製品を形成した。厚さ1.25mmを有する15.2cm×15.2c
mのシムストックを使用して、加熱プレス下でラミネートの厚さを維持した。プレスから
サンプルを取り出して室温に冷却した。冷却後、サンプルを3個の25.4mm幅のスト
リップに切断した。
【0051】
ASTMD1876(T−剥離試験)に従って、3個のストリップで剥離または接着強
度を測定した。T−剥離試験による層間の接着試験を容易にするため、加圧の前にサンプ
ルの一端に沿ってEVOHフィルムと組成物の間に、厚さ0.05mmのポリエステル(
PET)シートを約2.54cm挿入した。PETシートはどちらの材料にも接着せず、
試験機器のジョー(jaw)内に挿入するためのラミネートのタブを作るためだけに使用され
た。試験機器としてはクロスヘッド速度100mm/分に設定したインストロン・コープ
(Instron Corp)から入手可能なインストロン(INSTRON)(登録商
標)1125型試験器を使用した。層が分離するに連れて、サンプルの中央80%の剥離
接着強さを測定した。クロスヘッドの初めの10%および最後の10%の距離からの値は
除外した。報告した値は、3個の試験サンプルの平均である。サンプル間の結合が材料の
箇所で破損した場合、平均の代わりにピーク値を使用した。
【0052】
実施例2では、組成物1の代わりに組成物2を使用したこと以外は、実施例1と同様に
サンプルを調製して試験した。実施例3では、組成物1の代わりに組成物3を使用したこ
と以外は、実施例1と同様にサンプルを調製して試験した。比較例C1では、組成物1の
代わりに組成物C1を使用したこと以外は、実施例1と同様にサンプルを調製して試験し
た。実施例4では、組成物1の代わりに組成物4を使用したこと以外は、実施例1と同様
にサンプルを調製して試験した。比較例C2では、組成物4の代わりに組成物C2を使用
したこと以外は、実施例4と同様にサンプルを調製して試験した。
【0053】
接着試験の結果を、表3に要約する。フッ素化されていないポリマーに、マレイン化1
,2−ポリブタジエンなどの接着促進剤を添加すると、大幅に改善されたエラストマーへ
の接着を得ることができる。
【0054】
【表2】

【0055】
実施例5〜9では、組成物1の代わりにそれぞれ組成物5〜9を使用したこと以外は、
実施例1と同様にサンプルを調製して試験した。比較例C3では、組成物C3を使用して
サンプルを調製して試験した。組成物5〜9および組成物C3の組成を表4に要約する。
接着試験結果を表5に要約する。
【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
実施例10
実施例10では、厚さ0.1mmの15cm×15cmのEVOH(EVAL(登録商
標)F101A)フィルムを組成物4Aの厚さ1.2mmのフッ素化されていないポリマ
ーゴムシートと、組成物6の厚さ1.2mmのフルオロエラストマーシートとの間に挟ん
だ。次にラミネートしたシートを160℃および3.5psi(24kPa)で加圧プレ
ス内で30分間加熱した。厚さ2.0mmを有する15.2cm×15.2cmのシムス
トックを使用して、加熱プレス下でラミネートの厚さを維持した。プレスからサンプルを
取り出して室温に冷却した。得られたサンプルを3個の25.4mm幅のストリップに切
断した。
【0059】
ASTM D 1876(T−剥離試験)に従って、3個のストリップで隔離または接
着強度を測定した。T−剥離試験による層間の接着試験を容易にするため、加圧の前にラ
ミネートサンプルの一端に沿ってEVOHフィルムと各組成物の間に、厚さ0.05mm
のポリエステル(PET)シートを約2.54cm挿入した。PETシートはどちらの材
料にも接着せず、試験機器のジョー内に挿入するためのラミネートのタブを作るためだけ
に使用された。試験機器としてはクロスヘッド速度100mm/分に設定したインストロ
ン・コープ(Instron Corp)から入手可能なインストロン(INSTRON
)(登録商標)1125型試験器を使用した。層が分離するに連れて、サンプルの中央8
0%の剥離接着強さを測定した。クロスヘッドの初めの10%および最後の10%の距離
からの値は除外した。報告した値は、3個の試験サンプルの平均である。サンプル間の結
合が材料の箇所で破損した場合、平均の代わりにピーク値を使用した。EVOHに結合し
た各層の結合強度を試験した結果を表6に示す。
【0060】
【表5】

【0061】
実施例11および比較例C4
実施例11では、EVOH(EVAL(登録商標)F101A)の厚さ0.015mm
の15cm×15cmのフィルムを組成物5の厚さ1.2mmのフルオロエラストマーシ
ートに被着した。次にラミネートしたシートを160℃および3.5psi(24kPa
)で加圧プレス下で30分間加熱した。厚さ1.0mmを有する15.2cm×15.2
cmのシムストックを使用して、加熱プレス下でラミネートの厚さを維持した。プレスか
らサンプルを取り出して室温に冷却した。
【0062】
比較例C4では、EVOHフィルムを含めなかったこと以外は、実施例11と同様にサ
ンプルを調製して試験した。このサンプルは、フルオロエラストマーシートだけだった。
【0063】
実施例11および比較例C4のためのシートをそれぞれ直径7.72cmを有するディ
スクに切断し、透過試験のために使用した。以下の変更および詳細で、ASTM D 8
14−86(再認可1991年)で述べられた手順を使用して透過定数を得た。ASTM
D 814のガラスジャーは、ASTM E96−95で述べられるようにスィング−
アルバート(Thwing−Albert)ヴァポメーター(Vapometer)透過
性カップに置き換えた。試験標本のフルオロエラストマー面は試験液体に向けた。使用し
たガスケットは、ネオプレンゴムの代わりにダイニオン(DYNEON)FE−5840
Qエラストマー(ショーアA硬度約60)からできており、試験標本の上下双方に位置し
た。ガスケット上で円形ディスクメッシュスクリーンを使用して、試験中に試験標本が変
形するのを防止した。試験液体は100mLのCE10燃料(10%エタノール、45%
イソ−オクタン、45%トルエン)であった。試験温度は40℃であった。精度0.1m
gのメトラー(Mettler)AT 400を使用して、30日間の重量損失を測定し
て透過定数(g・mm/m2・日)を計算した。2個のサンプルの偏位バー付き平均累積
重量損失(mg)−対−時間(日)を図2にプロットした。重量損失(g)−対−時間(
日)の最小二乗適合で得られたラインの傾きを試験標本の面積で割って、その厚さを掛け
た。透過結果を表7に要約する。
【0064】
ASTM D 257に従って、エレクトロテック・システム(Electro−te
ch System Inc.)から入手可能な872A型抵抗性メーターを使用して、
試験サンプルに切断する前にこのシートサンプル(フルオロエラストマー側)の表面抵抗
性も測定し、5×105Ω/スクエアと判定された。
【0065】
【表6】

【0066】
いくつかの実施態様について述べた。しかしながら説明の精神と範囲を逸脱することな
く種々の変更ができるものと理解される。したがってその他の実施態様は、請求項の範囲
内である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】多層製品の横断面図である。
【図2】バリヤー層を含む多層製品、およびバリヤー層を含まない多層製品を通過する燃料透過速度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロエラストマーを含む第1のポリマー層と、
前記第1のポリマー層の表面に結合したバリヤー層と、
前記バリヤー層に結合した第2のポリマー層と
を含む多層製品であって、該第2のポリマーがフッ素化されていないポリマーを含む、
多層製品。
【請求項2】
前記フルオロエラストマーが、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフ
ルオロプロピレン、およびクロロトリフルオロエチレンの少なくとも1つを含む共重合体
である、請求項1に記載の多層製品。
【請求項3】
前記フルオロエラストマーが、テトラフルオロエチレンと、過フッ素化されたアルコキ
シビニルエーテルモノマー、過フッ素化されたアルキルビニルエーテルモノマー、および
それらの組み合わせから成る群より選択されるビニルエーテルモノマーとから誘導される
共重合した単位を含む、請求項1に記載の多層製品。
【請求項4】
前記バリヤー層が酢酸ビニルから誘導されるポリマーを含む、請求項1に記載の多層製
品。
【請求項5】
前記フッ素化されていないポリマーが、エラストマー、熱可塑性ポリマー、および熱可
塑性エラストマーから選択される、請求項1に記載の多層製品。
【請求項6】
前記第1のポリマー層がフッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを含むフル
オロエラストマーを含み、前記バリヤー層が酢酸ビニルから誘導されるポリマーを含む、
請求項1に記載の多層製品。
【請求項7】
前記フルオロエラストマーが、過フッ素化されたアルコキシビニルエーテルモノマー、
過フッ素化されたアルキルビニルエーテルモノマー、およびそれらの組み合わせから成る
群より選択される、ビニルエーテルモノマーから誘導される共重合した単位をさらに含む
、請求項6に記載の多層製品。
【請求項8】
酢酸ビニルから誘導される前記ポリマーがエチレンビニルアルコール共重合体である、
請求項4または6のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項9】
前記フッ素化されていないポリマーがエラストマーを含む、請求項1〜8のいずれか一
項に記載の多層製品。
【請求項10】
前記フッ素化されていないポリマーが、ニトリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン
モノマーゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン−アクリレート共重合体ゴムポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリオレフィン、およびそれらの組み合わせから成る群より選択され
る、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項11】
前記第2のポリマー層がマレイン化ポリオレフィン含む、請求項1〜10のいずれか一
項に記載の多層製品。
【請求項12】
前記第1のポリマー層と前記バリヤー層との間の剥離接着強さが少なくとも5N/cm
である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項13】
前記製品がホースである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多層製品。
【請求項14】
前記第1のポリマー層が前記ホースの内面を形成し、前記第2のポリマー層が前記ホー
スの外面を形成する、請求項13に記載の多層製品。
【請求項15】
フルオロエラストマーを含む第1のポリマー層を提供する工程と、
前記第1のポリマー層の表面にバリヤー層を提供する工程と、
前記バリヤー層の表面に、フッ素化されていないポリマーを含む第2のポリマー層を提
供する工程と、
前記第1のポリマー層、前記バリヤー層、および前記第2のポリマー層を加熱する工程
と、
を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の多層製品を調製する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−214958(P2010−214958A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78158(P2010−78158)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【分割の表示】特願2003−532287(P2003−532287)の分割
【原出願日】平成14年7月24日(2002.7.24)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】