説明

フルクタン含有発酵食品及びその製造方法

【課題】本発明は、フルクタン非発酵性乳酸菌を用いることで、有効成分としてフルクタンと乳酸菌とを併せ持つフルクタン含有発酵食品及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】フルクタンを含有する可食性植物体にフルクタンを発酵できないフルクタン非発酵性乳酸菌を接種することで、フルクタン非発酵性乳酸菌が優位な微生物環境を与え、フルクタンの分解を抑えて発酵させる。発酵後に製造されたフルクタン含有発酵食品は、フルクタンを損なうことなく含有するとともに乳酸菌を併せ持つようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分としてフルクタンを含有する発酵食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、キクイモ、チコリ、ダリア、ヤーコン、ゴボウなど多くの植物には貯蔵多糖としてフルクタンを含有するものがある。この植物フルクタンはヒトにとっては難消化性の糖類で食物繊維として作用し、コレステロール低下作用、血糖値上昇抑制作用、便通改善効果などを介して生活習慣病の予防効果があると考えられている。またフルクタンなどの難消化性の糖類は、一部腸内細菌に利用され、ビフィズス菌や乳酸菌などの有用な腸内細菌を増やす作用(プレバイオティクスと呼ばれる)があると言われている。
【0003】
一方、乳酸菌は、発酵乳や、漬物、味噌、醤油などの伝統的な発酵食品の製造に深く関わっているとともに、腸管を介した宿主への生理機能(プロバイオティクスと呼ばれる)が注目を集めており、腸内細菌のバランスを回復し下痢、便秘などの症状を改善するだけでなく、免疫機能を高めたり、過剰な血中コレステロール値を低下させるなどの効能も知られている。
【0004】
チコリやダリアの根部などから抽出したフルクタンは果糖がβ2→1結合した直鎖状のフルクタンでイヌリンと呼ばれ、工業的な製造が行われている。一方、ラッキョウやニンニク、タマネギなどのネギ属の植物にもフルクタンは含まれ、特に、ラッキョウに多量に含まれるフルクタンは、イヌリンとは異なり冷水可溶で、イヌリンよりも高分子で、分子量分布の幅も広く、結合様式にβ2→1結合を持つことなどが知られている(非特許文献1,2)。そして、特許文献1に記載されているように、ラッキョウのフルクタンを製造する方法についても提案されている。
【0005】
こうした植物体に含まれるフルクタンと乳酸菌との関係については、非特許文献3において、ラッキョウの漬物に関する分析が行われている。
【特許文献1】特許第3111378号公報
【非特許文献1】小林恭一,渕上小百合,松下ひろみ,西川清文,稲木幸夫,ラッキョウフルクタンの性質とその利用について,福井県農業試験場報告,35,23(1998)
【非特許文献2】小林恭一,齋藤忠夫,西川清文,稲木幸夫,岡田早苗,ラッキョウ下漬乳酸菌が分解するフルクタンの化学構造の特徴,日本乳酸菌学会誌,11,1,4(2000)
【非特許文献3】小林恭一,花らっきょうと乳酸菌,化学と工業,79,175(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献3に記載されているように、五訂食品成分表によれば生ラッキョウの食物繊維含量は21%と高いが、ラッキョウの甘酢漬の食物繊維含量は3.4%と低下している。こうした現象は、甘酢漬製造工程において水溶性食物繊維であるフルクタンが果糖に加水分解されてしまうためであると考えられる。したがって、ラッキョウの甘酢漬は、ラッキョウの豊富なフルクタンを摂取する上で必ずしも適した加工法とは言い難い。しかも、甘酢漬の製造工程中におけるフルクタンの加水分解は、主に下漬け工程中に生育するフルクタン発酵性乳酸菌によることが明らかとされている。
【0007】
そこで、本発明は、フルクタン非発酵性乳酸菌を用いることで、有効成分としてフルクタンと乳酸菌とを併せ持つフルクタン含有発酵食品及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフルクタン含有発酵食品は、フルクタンを含有する可食性植物体をフルクタン非発酵性乳酸菌により発酵させ、かつ乾燥させてなることを特徴とする。さらに、フルクタンを含有する可食性植物体は、ラッキョウであることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る別のフルクタン含有発酵食品の製造方法は、フルクタンを含有する可食性植物体をフルクタン非発酵性乳酸菌により発酵させた後乾燥させることを特徴とする。さらに、フルクタン非発酵性乳酸菌は、ラクトバチルス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属、テトラジェノコッカス属の中から選択されるフルクタン非発酵性乳酸菌を1種又は2種以上を混合したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フルクタン非発酵性乳酸菌を用いてフルクタンを含有する可食性植物体を発酵させるので、従来のラッキョウ漬物のようにフルクタンが加水分解せず、多くのフルクタンを含有するフルクタン含有発酵食品を得ることができる。
【0011】
また、フルクタン非発酵性乳酸菌を用いているので、低塩下であっても大腸菌群などのグラム陰性菌の生育が抑制されるため、加熱殺菌工程を省くことが可能となる。したがって、添加した乳酸菌を死滅させることなく製品化することができ、フルクタンと乳酸菌とを併せ持つフルクタン含有発酵食品を得ることが可能となる。
【0012】
そして、フルクタン非発酵性乳酸菌を用いてフルクタンを含有する可食性植物体を発酵させた後乾燥させることで、乳酸菌を死滅させることなくフルクタンと乳酸菌とを併せ持つフルクタン含有発酵食品を得ることができ、乾燥後粉末化するなどしてさらに加工しやすくすることも可能となる。さらに、乳酸発酵することにより、生ラッキョウの持つラッキョウ臭や、辛み、苦みを軽減し、嗜好性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
フルクタンを含有する可食性植物体としては、例えば、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、キクイモ、チコリ、ダリア、ヤーコン、ゴボウが挙げられる。この中では、ラッキョウやニンニク、タマネギなどのネギ属の植物を用いるとよい。特に、ラッキョウは、フルクタンの含有率が21%と高く、最も好ましい。
【0014】
原料となるフルクタン含有植物体は、生鮮物の状態、若しくは冷凍保存した後に解凍した状態で用いるか、あるいは加熱殺菌を行った後に用いるようにする。
【0015】
フルクタン非発酵性乳酸菌は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、テトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属の中からフルクタンを発酵できない乳酸菌を選択する。乳酸菌がフルクタン発酵性かフルクタン非発酵性であるかどうかは、糖類発酵性試験に用いるYP(Yeast-Pepton)培地に、ラッキョウから調製したフルクタンまたはイヌリンを1%加えた培地に接種することで判定することができる。
【0016】
こうして選択されたフルクタン非発酵性乳酸菌を1種又は2種以上を混合したものを前培養し、原料の1/1000から1/10000の液量を接種する。この場合、乳酸菌が利用できる糖類(例えばグルコース)を全重量の1%程度加えることで乳酸菌の生育を促し、酸生成を高めることができる。また、その際に食塩又はエタノールを乳酸菌の生育を妨げない程度に添加すれば、その浸透圧の作用により植物体から乳酸菌の生育に必要な栄養分を溶出させることができるだけでなく、他の雑菌の生育を抑えることができる。
【0017】
一部の低温生乳酸菌をのぞけば乳酸菌は温度15℃以上であれば生育することができる。40℃以上では生育が弱まることが多く、通常の乳酸菌の生育適温は30℃付近であり、20℃〜30℃で乳酸発酵させることができる。乳酸菌は、生成した乳酸により生育が妨げられるためpHが4以下に低下したならば、冷蔵や冷凍することで生存を図ることができる。また、フルクタンは、酸性条件で高温下に置かれた場合加水分解して果糖を生成するため、フルクタンを保持する上でも低温におくことが望ましい。凍結乾燥などの方法をとれば、乾燥後も乳酸菌を生きたまま保つことができ、乳酸菌とフルクタンの機能を併せもつ製剤の製造も可能となる。
【実施例1】
【0018】
供試菌株として、ラッキョウから分離した以下のラクトバチルス属乳酸桿菌を用いた。
(1)フルクタン発酵性乳酸菌 21f2株
ラッキョウ下漬液を滅菌生理食塩水で希釈し、下記の分離培地に混釈し30℃で48〜72時間培養後、クリアゾーンを形成したコロニーを釣菌し、乳酸菌を分離した。乳酸菌実験マニュアル(小崎道雄監修 朝倉書店、東京、1992)に従って同定を行うとともに、フルクタンを糖源としたときの発酵性について調べ、フルクタン発酵性ラクトバチルス属乳酸桿菌21f2株を選択した。
分離培地:GFYP白亜寒天培地(グルコース5g、フルクトース5g、酵母エキス10g、ペプトン5g、酢酸ナトリウム2g、ツイーン80 0.5g、硫酸マグネシウム0.2g、硫酸マンガン10mg、硫酸第一鉄10mg、塩化ナトリウム10mg、蒸留水1000ml、炭酸カルシウム5g、寒天12g、シクロヘキシミド10mg、アジ化ナトリウム10mg)
(2)フルクタン非発酵生乳酸菌株 No.126株
上記(1)と同様に分離・同定しフルクタン非発酵性ラクトバチルス属乳酸桿菌126株を得た。
【0019】
<ラッキョウ漬けの調製>
ラッキョウ1.6kgに5%(w/w)食塩水1.6kgを加え、FYP broth(フルクトース10g、酵母エキス10g、ペプトン5g、酢酸ナトリウム2g、ツイーン80 0.5g、硫酸マグネシウム0.2g、硫酸マンガン10mg、硫酸第一鉄10mg、塩化ナトリウム10mg、蒸留水1000ml、pH6.8)で30℃24時間培養したNo.126株培養液を4.5ml添加して密封し、室温で5日間下漬け発酵を行った後漬け液を取り除いて脱塩せずに調味液に漬け込み冷蔵した。
【0020】
比較のため、21f2株を用いたラッキョウ漬けを調整した。ラッキョウ1.6kgに18%(w/w)食塩水1.2kgを加え、FYP brothで30℃24時間培養した21f2株培養液を4.5ml添加して密封し、室温で3週間下漬け発酵を行った後、流水で一晩脱塩して調味液に漬け込み冷蔵した。
【0021】
<フルクタンの測定>
調整したラッキョウ漬けは、半年間冷蔵保存した後含有するフルクタンの量を測定した。フルクタンの定量は、試料約50gを精秤して2倍容の水を加え、小型ミキサーでホモジナイズしてミラークロスで濾過し、残渣を集める操作を繰り返し行った。各操作で得られた濾液を合わせ、遠心分離機(10,000rpm、15分間、4℃)で遠心分離し、上清を250mlに定容した(水抽出液)。
【0022】
水抽出液から25mlをとり5倍容のエタノールを加えて一晩冷蔵(4℃)保存した後、上記と同様の遠心分離操作を行って沈殿を集め、水に再溶解させた。この操作を2回繰り返し水に再溶解させ25mlに定容した(エタノール沈殿画分)。
【0023】
水抽出液及びエタノール沈殿画分から一定量をとり、それぞれ20%クエン酸溶液でpHを3.0に調製し、沸騰水中で2時間加水分解を行った後1N−NaOH溶液で中和させて定容した。
【0024】
定容した溶液を、F−キット(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)で果糖を測定し、加水分解前の抽出液も同様にF−キットで果糖及びスクロースを測定した。測定結果に基づいて、次式によりフルクタンの含有量を算出した。
フルクタンの含有量=0.9×(加水分解後果糖含量−加水分解前果糖含量−(加水分解前スクロース含量×180.16/342.3))
【0025】
フルクタンの分子量分布の測定は、高速ゲル濾過法により行った。分析条件は下記のとおりである。ゲル濾過用の試料は、加水分解前の抽出液5mlにエタノール25mlを加え一晩冷蔵(4℃)保存した後フルクタンを沈殿させて上記と同様の遠心分離操作を行って上清を除去し、沈殿を集めて水に再溶解させ、0.45μmのメンブレンフィルタ(クラボウ社製)を通過させて調製した。
カラム YMC Pack Diol 200(500×8.0mmID)+ Diol 300(300×8.0mmID)直列
検出器 RI(shodex RI-SE61)
ポンプ 島津LC-10ADvp
移動相 milliQ
カラムヒーター Sugai U-620
温度 35℃
流量 1.0ml/分
【0026】
<生菌数の測定>
大腸菌群はデゾキシコレート寒天培地(日水製薬社製)を、乳酸菌は炭酸カルシウム加MRS寒天培地(Difco社製)をそれぞれ用い、混釈平板培養により計数測定した。大腸菌群は36℃24時間、乳酸菌は30℃48時間培養した後、コロニー数をカウントした。
【0027】
<フルクタン発酵性の確認>
添加した乳酸菌が下漬け中に増加しているかどうかの確認を行うために、乳酸菌の計数に用いた炭酸カルシウム加MRS寒天培地のクリアゾーンを示したコロニーから、ランダムに5株ずつ釣菌し、FYP高層培地(フルクトース10g、酵母エキス10g、ペプトン5g、酢酸ナトリウム2g、ツイーン80 0.5g、硫酸マグネシウム0.2g、硫酸マンガン10mg、硫酸第一鉄10mg、塩化ナトリウム10mg、蒸留水1000ml、炭酸カルシウム5g、寒天12g)に穿刺培養した後、FnYP broth(ラッキョウフルクタン10g、酵母エキス5g、ペプトン5g、酢酸ナトリウム2g、ツイーン80 0.5g、硫酸マグネシウム0.2g、硫酸マンガン10mg、硫酸第一鉄10mg、塩化ナトリウム10mg、蒸留水1000ml、pH6.8)に接種し、30℃で24時間培養後、滴定酸度を求めてフルクタン発酵性を調べた。
【0028】
<発酵経過>
図1には、実施例であるNo.126株を用いたラッキョウ漬け及び比較例である21f2株を用いたラッキョウ漬けについて、それぞれの発酵経過をpHにより示したグラフである。実施例では食塩濃度が低いため、酸度の上昇(pHの低下)が速やかに進行し、pHは3日後には3.1まで低下した。比較例では21日後に3.5まで低下した。
【0029】
表1は、実施例及び比較例に関する下漬け4日後の漬け液の食塩濃度、酸度、乳酸菌数及び大腸菌群を示したものである。大腸菌群に関しては両区とも陰性であり、乳酸菌数に関しては実施例では108レベルに達し、比較例では106レベルであった。
【0030】
【表1】

【0031】
なお、菌数計測に用いたシャーレから釣菌した乳酸菌は、いずれも実施例ではフルクタンを発酵せず、比較例ではフルクタンを発酵したことから、添加した乳酸菌が増加したことが推定できた。
【0032】
<フルクタン残存量>
表2は、実施例及び比較例で調製したラッキョウ漬け中のフルクタン含有量を示したものである。実施例では比較例に比べ明らかに多量のフルクタンが残存することがわかる。
【0033】
図2は、含有されるフルクタンに関するゲル濾過による分子量分布パターンを示しており、左側が実施例を、右側が比較例を示している。図2を見ると、実施例に含有されるフルクタンは、高分子量から低分子量の広い範囲のフルクタンを多く含有していることがわかる。
【0034】
【表2】

【実施例2】
【0035】
冷凍ラッキョウ1kgについて各ラッキョウを縦に半割りにし、チャック付きポリ袋(株式会社生産日本社製;ユニパック280×200×0.08mm)に投入し、エタノール5%水溶液200mlと10gのグルコースを添加し、さらに実施例1で使用したNo.126株培養液(FYP broth 30℃24時間培養)1mlを添加して密封後温度30℃で放置した。対照として、冷凍ラッキョウを同様に処理し乳酸菌を添加しない区を設けた。48時間後に両方とも開封し、全量をフリーザー(三洋電機株式会社製;温度−20℃)で凍結して真空凍結乾燥を行った。
【0036】
処理工程において、乳酸菌添加時、48時間放置後、凍結後、凍結乾燥後の大腸菌群及び乳酸菌数を実施例1と同様の方法で測定した。また、凍結乾燥後のラッキョウをミル(イワタニ社製)で粉砕・粉末化した後、フルクタン含有量、分子量分布パターンを実施例1と同様の方法で測定した。またこの乾燥粉末について、官能評価を行った。福井県食品加工研究所職員8名をパネルに、酸味、辛み、苦み、甘み、ラッキョウ臭について、ラッキョウを凍結乾燥した粉末を基準に2点比較法で実施した。
【0037】
表3は、処理工程の間のpH、乳酸菌数、大腸菌群の変化を示したものである。実施例である乳酸菌添加区では、48時間後にはpHは3.4まで低下し、乳酸菌数も1010CFU/gまで増加したが、対照無添加区では、pHは実施例よりも高めに推移し、乳酸菌は検出できなかった。また、対照無添加区では大腸菌群が増加し、ガス膨張も認められたが、乳酸菌添加区では大腸菌群、ガス膨張ともに認められなかった。また、増加した乳酸菌は、冷凍後及び凍結乾燥後も生存しており、凍結乾燥後で108CFU/g以上を示した。
【0038】
【表3】


さらに、乳酸菌添加区のフルクタン含量は53.5g/100gで、生ラッキョウをそのまま凍結乾燥した場合(54.9g/100g)とほとんど差が認められなかった。
【0039】
図3は、含有するフルクタンに関するゲル濾過によるフルクタン分子量分布パターンを示しており、左側が乳酸菌添加区の場合を、右側が生ラッキョウの場合を示している。図3を見ると、両者の間にほとんど差が認められず、乳酸菌添加区に生ラッキョウと同様のフルクタンが加水分解されずに含有されていることがわかる。
【0040】
表4に、得られた乾燥粉末の官能評価結果を示す。生ラッキョウを凍結乾燥したものと比較すると、酸味を有し、辛み、苦み、ラッキョウ臭が軽減された。なお、生ラッキョウ1kgを原料にして実施例2の処理を行うことで、449gの凍結乾燥粉末を得ることができた。
【0041】
【表4】

【0042】
以上のように、実施例2の方法を用いることで、フルクタンを損なうことなく含有するとともに乳酸菌を含有し、辛み、苦み、ラッキョウ臭が軽減された乾燥物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例及び比較例に関する発酵経過をpHにより示すグラフである。
【図2】実施例及び比較例の含有フルクタンに関するゲル濾過による分子量分布パターンを示すグラフである。
【図3】乳酸菌添加区及び生ラッキョウの含有フルクタンに関するゲル濾過による分子量分布パターンを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルクタンを含有する可食性植物体をフルクタン非発酵性乳酸菌により発酵させ、かつ乾燥させてなることを特徴とするフルクタン含有発酵食品。
【請求項2】
フルクタンを含有する可食性植物体は、ラッキョウであることを特徴とする請求項1に記載のフルクタン含有発酵食品。
【請求項3】
フルクタンを含有する可食性植物体をフルクタン非発酵性乳酸菌により発酵させた後乾燥させることを特徴とするフルクタン含有発酵食品の製造方法。
【請求項4】
フルクタン非発酵性乳酸菌は、ラクトバチルス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属、テトラジェノコッカス属の中から選択されるフルクタン非発酵性乳酸菌を1種又は2種以上を混合したものであることを特徴とする請求項3に記載のフルクタン含有発酵食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−244211(P2007−244211A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67990(P2006−67990)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(592029256)福井県 (122)
【出願人】(501090685)三里浜特産農業協同組合 (2)
【出願人】(591084447)株式会社エル・ローズ (20)
【Fターム(参考)】