説明

フレキシブルあんか

【課題】 足に直接接触させることにより暖房する就寝時採暖用あんかにおいて、足を一面的、平面的でなく、足裏と足の甲、足裏と足の甲とふくらはぎ、又は、足裏とふくらはぎを多面的に同時に暖房することができるフレキシブルな就寝時採暖用あんかを得る。
【解決手段】 足裏を暖房する偏平状の採暖部と足の甲を暖房する偏平状の採暖部をヒンジ部を介して連接するとともに、足裏を暖房する偏平状の採暖部の前端に、踵を載せる偏平状の足載台をヒンジ部を介して連接する。また、足裏、足の甲、及びふくらはぎそれぞれを暖房する採暖部間をヒンジ部を介して連接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ部を介して連接された複数の採暖部を有する就寝時採暖用のあんかに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の就寝時採暖用のあんかのうち、身体に直接接触させて暖房する種類のものは、次に述べる1例を除いて、例えば山形あんか、平型あんか、ソフトあんか或いは湯たんぽ等に見られるように、発熱手段のいかんを問わず、いずれも採暖面が一面的、平面的であるため、たとえば足裏と足の甲を多面的に同時に暖房するということができなかった。前記の1例は、特願2004−071712である。この先行技術は、両足を載せるための手前傾斜した電気ヒーター内設の採暖用加温足載台と、前記加温足載台の支持機構と前記加温足載台の後方部とヒンジ部を介して連結し、手前前方から上下に回転開閉可能に前記加温足載台に覆設された平板形状の電気あんかとから構成されることを特徴としている。今回出願のフレキシブルあんかは、前記特願2004−071712の特徴の一つである加温足載台の支持機構に相当するものを構成要件としない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
足に直接接触させることにより暖房する就寝時採暖用あんかにおいて、足を一面的、平面的でなく足裏と足の甲、足裏と足の甲とふくらはぎ、又は、足裏とふくらはぎを多面的同時に暖房することが出来るフレキシブルな就寝時採暖用あんかを得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明のあんかにおいては、足の甲にその表面を直接接触させて足の甲を暖房する発熱手段を内蔵した偏平状の採暖部の後端部と足裏にその表面を直接接触させて足裏を暖房する発熱手段を内蔵した偏平状の採暖部の後端部とを、ヒンジ部を介して一体的に連接する。前記2枚の偏平状の採暖部はヒンジ部で交わり交角を形成するが、当該交角は、ヒンジ部を回転軸とする採暖部の開閉に伴い0度から180度まで、必要に応じてその角度を変えることが出来る。また、足裏を暖房する偏平状の採暖部の前端部に踵を載せる偏平状の足載台をヒンジ部を介して連接することにより、使用時、踵にかかる重量で当該あんかの布団内での不必要な移動を防止するとともに、足裏表面と足裏採暖部との乖離を防ぎ、両者の接触を安定化させることができる。
【0005】
また、足の甲を暖房する採暖部、足裏を暖房する採暖部及びふくらはぎを暖房する採暖部の三枚の採暖部をヒンジ部を介して連接することにより、足の甲、足裏及びふくらはぎを多面的に同時に暖房することができる。この場合、ふくらはぎを暖房する採暖部は、使用時において、前記の踵を載せる偏平状の足載台と同様の役割、機能を発揮する。
【0006】
また足裏を暖房する採暖部とふくらはぎを暖房する採暖部をヒンジ部を介して連接したあんかにおいて、足裏を暖房する採暖部の後端部に、発熱手段を内蔵しない足の甲を被覆する防寒用被膜を取り付けることもできる。この場合、ふくらはぎを暖房する採暖部は、使用時において、前記の踵を載せる偏平状の足載台と同様の役割、機能を発揮する。
【0007】
本発明のあんかの使用方法は、
(1)あんかをヒンジ部から二つ折りにして敷布団と掛け布団の間に挿入し、両足を二つ折りにした上下二枚のあんかの間に差し込む。また、踵を載せる偏平状の足載台が連接されている場合は踵を前記足載台に載せ、ふくらはぎを暖房する採暖部が連接されているものはふくらはぎをそれに載せて採暖する。これにより、足の甲と足裏、又は、足の甲と足裏とふくらはぎを同時に暖房することができる。またこの採暖状態のまま足首は自由に上げ下げすることができる。
(2)あんかをヒンジ部から二つ折りに畳んで敷布団と掛け布団の間に挿入し、その上に両足を載せて採暖する。これにより従来の偏平状のあんかと同様に使用することができる。
(3)あんかをヒンジ部から折り曲げないで、180度展開して使用する。これにより、暖房面積の大きい偏平状のあんかとして使用できる。また、両足の甲に被せて足の甲を重点的に温めることができる。
【発明の効果】
【0008】
日本人女性の3人に一人は冷え性と云われているが、東京のあるレディースクリニックの調査では、低血圧の女性の89.4%,正常血圧の女性でも83.2%が冷え性を訴えるという結果がでている。また、強い冷え性の人は、長時間お風呂に温まって寝床に直行しても、一時間もたたないうちに足が氷のように冷たくなるいわれ、また、寝るときにカイロを使ったり、足浴をして温まっても一過性で、布団に入るころは冷えてしまって効果がないともいわれる。そして、冷えを訴える人のほとんどは足の冷えで、足が冷えて眠れない、夏でも靴下をはいていないと冷たくてたまらないと訴えます。勿論、冷え性は女性に限らず男性にもあります。
冷え性の人の足は、足裏、足の甲のいずれか一方から暖房するだけではいつまでたっても十分に温まりません。そのため良質な睡眠を妨げらます。冷え性の人の足を十分に温めるためには、足裏と足の甲の両方から同時に直に暖房しないと効果がありません。
しかしながら、従来のあんかの技術は、冷え性の人達のこのような切実な悩みに十分に応えてきたでしょうか。
従来のあんかは、いずれも採暖面が一面的、平面的であるため、足裏と足の甲を同時に暖房することができないばかりか、冷え性の人が最も冷えを感じる肝心の足の甲を十分に暖房することができません。本発明のフレキシブルあんかは、足を直接接触により暖房するあんかにおいて、足を一面的、平面的にではなく、足の甲と足裏、又は足の甲と足裏とふくらはぎ、あるいは足裏とふくらはぎをを多面的に、同時に暖房することができる就寝時採暖用のあんかを提供するものです。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明を実施するための最良の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。
図1から図9に示される実施例は、踵を載せるための偏平状の足載台5を連接した請求項3記載の就寝時採暖用あんかの一例である。なお、図1は使用時の、また図7は使用前の常態を示す斜視図であ
足裏を暖房する採暖部1と足の甲を暖房する採暖部2は、ヒンジ部3を介して連接され、それぞれ電気ヒーターを内蔵している。両採暖部の電気回路はヒンジ部3を挿通するリード線17により連結している。踵を載せるための偏平状の足載台5はヒンジ部4を介して足裏を暖房する採暖部1の前端に連接されている。前記足載台5は、電気ヒーターを内蔵する場合と内蔵しない場合が考えられる。電気ヒーターを内蔵させる場合は、当該電気回路と前記採暖部1の電気回路とをヒンジ部4を挿通するリード線により連結させる。
【0010】
A−A断面図である図6において、板状の芯材9は、使用時、足裏の圧力によって足裏を暖房する採暖部1が撓んだり、屈曲すること防止するために、採暖部1の基材部に内設したものである。
【0011】
同じく図6において、7、8及び10は、採暖部1、2及び踵を載せる偏平状の足載台5の基材であるが、いずれも可撓性のあるソフトな素材を使用している。また電気ヒーターを内蔵するときは、この基材の内部に発熱体その他必要な部品を内蔵する。
【0012】
図9は、図8に示す状態におけるヒンジ部3付近の内部断面の概念図である。
ヒンジ部は、採暖部よりは肉薄に形成される。特にヒンジ部3は、二枚の採暖部が、すくなくとも30度以上の交角を円滑に形成できるように構成しておくことが必要である。
図8に示される実施例は、180度の交角が形成可能なあんかの実施例である。
13、14は電気ヒーターにおける発熱体の断面図を示す。15、16は、その取付けシート、11、12は、各採暖部の基材、17は、各採暖部の電気回路をつなぐリード線である。
【0013】
請求項4に記載する足の甲を覆うための防寒用被膜を設けた請求項1記載の就寝時採暖用あんかの実施例としては、段落番号0006に示されるが、そのイメージとしては、図1に示される形態において、足載台5に代えてふくらはぎを暖房する採暖部を連接するとともに、足の甲を暖房する採暖部2に代えて、発熱体を内蔵しない、足の甲を覆うための防寒用の被膜を連接したものということができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 フレキシブルあんかの実施例を示す使用時の斜視図である。
【図2】 フレキシブルあんかの実施例を示す使用時の平面図である。
【図3】 フレギシブルあんかの実施例を示す使用時の正面図である。
【図4】 フレキシブルあんかの実施例を示す使用時の側面図である。
【図5】 フレキシブルあんかの実施例を示す使用時の背面図である。
【図6】 フレキシブルあんかの実施例を示す使用時のA−A断面図である。
【図7】 フレキシブルあんかの実施例を示す使用前の斜視図である。
【図8】 フレキシブルあんかの実施例を示す展開時の斜視図である。
【図9】 図8に示す状態におけるヒンジ部付近の内部断面図の概念図である。
【符号の説明】
【0015】
1 足裏を暖房する採暖部
2 足の甲を暖房する採暖部
3、4 ヒンジ部
5 踵を載せるための偏平状の足載台
6 電源コード
7、8、10
11、12 基材
13、14 発熱体
15、16 発熱体取付けシート
17 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱手段を内蔵した複数の偏平状の採暖部を有し、これら採暖部間は折り畳み又は折り曲げ手段としてのヒンジ部を介して連接されたことを特徴とする就寝時採暖用あんか。
【請求項2】
ヒンジ部を介して連接された2枚の請求項1記載の採暖部を前記ヒンジ部から折り畳み、又は折り曲げて、前記2枚の採暖部の間に足を差し入れることにより、足裏及び足の甲を同時に採暖する請求項1記載の就寝時採暖用あんかにおいて、足の甲を暖房する採暖部の基材にはソフトで可撓性のあるもののみを使用し、一方、足裏を暖房する採暖部は、撓み或いは屈曲を防止するため、一部に非可撓性基材を使用するか、ソフトで可撓性のある基材部に板状の芯材を内設し、または採暖面に対向する裏面に板状の補強材を装着したことを特徴とする請求項1記載の就寝時採暖用あんか。
【請求項3】
請求項2記載の足裏を暖房する採暖部の前端に、踵を載せるための偏平状の足載台又はふくらはぎを暖房する採暖部の一端をヒンジ部を介して連接したことを特徴とする請求項1記載の就寝時採暖用あんか。
【請求項4】
足裏を暖房する偏平状の採暖部の前端に、ふくらはぎを暖房する偏平状の採暖部又は踵を載せる偏平状の足載台をヒンジ部を介して連接し、かつ前記足裏を暖房する偏平状の採暖部の後端に、発熱手段を内蔵しない、足の甲を覆うための防寒用被膜の一端を連接したことを特徴とする請求項1記載の就寝時採暖用あんか。
【請求項5】
請求項1記載の発熱手段が電気ヒーター、蓄熱体、又は点火式懐炉によるものであることを特徴とする請求項1記載の就寝時採暖用あんか。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−167416(P2006−167416A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382674(P2004−382674)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(502104147)
【Fターム(参考)】