説明

フレキシブル染料感応太陽電池及びその製造方法

【課題】フレキシブル染料感応太陽電池及び、酸化物半導体を低温で蒸着することを含む簡単な工程での製造方法を提供する。
【解決手段】透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板をチャンバーに配置する段階(ステップ1)、透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板に対してガスによって運ばれた大きさ1nm〜10umの酸化物半導体粉末を100〜1200m/secの速度で噴射ノズルで噴射して酸化物半導体層を蒸着する段階(ステップ2)、前記酸化物半導体層に染料を吸着させて作用電極を製造する段階(ステップ3)、透明伝導性酸化物層が形成された透明基板の上部に触媒層を形成して対電極を製造する段階(ステップ4)、及び前記ステップ3で製造した作用電極とステップ4で製造した対電極とを対向させて接合した後、電解液を注入する段階(ステップ5)を含む製造方法及び、製造したフレキシブル染料感応太陽電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作用電極及び対電極の製造過程において酸化物半導体層を蒸着するとき、フレキシブル高分子基板を損傷させない低温蒸着法を用いるフレキシブル染料感応太陽電池(flexible dye−sensitized solar cell;flexible DSSC)の製造方法及びそれを用いて製造したフレキシブル染料感応太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、深刻な環境汚染と化石エネルギー枯渇の問題から次世代清浄エネルギーの開発がますます重要になっている。そのなかでも太陽電池は、直接太陽エネルギーを電気エネルギーに転換する装置であって、公害が少なく、資源が無限であり、半永久的な寿命を有することから、未来のエネルギー問題を解決できるエネルギー源として期待されている。
【0003】
このような太陽電池を物質別に区分すれば、無機物太陽電池(inorganic solar cell)、染料感応太陽電池(dye−sensitized solar cell)、及び有機物太陽電池(organic solar cell)に大別される。
【0004】
無機物太陽電池には単結晶シリコンが主に使用され、このような単結晶シリコン系太陽電池は薄膜型太陽電池として製造可能であるという長所があるが、高コストを要し、安定性が低いという問題点を持っている。
【0005】
染料感応太陽電池は、従来のp‐n接合によるシリコン太陽電池とは違って、可視光線を吸収して電子‐正孔対(electron‐hole pair)を生成できる感光性染料分子と、生成された電子を伝達する遷移金属酸化物とを主な構成材料とする光電気化学的太陽電池である。染料感応太陽電池は、従来のシリコン基盤の太陽電池と比べ、光と熱に長時間露出されても耐えられ、安価かつ容易にエネルギーを生産することができる。
【0006】
周知の染料感応太陽電池としては、瑞西のグレッツェル(Gratzel)等によって発表されたものが代表的である(米国特許登録第4,927,721号及び第5,350,644号)。グレッツェル等によって提案された染料感応太陽電池は、染料分子でコーティングされたナノ粒子二酸化チタン(TiO)からなる半導体電極と、白金または炭素でコーティングされた対電極と、これら電極の間に充填された電解質溶液とで構成されている。該光電気化学的太陽電池は、従来のシリコン太陽電池に比べて電力当りの製造コストが低いことから注目されてきた。このようなグレッツェルが開発した安価な染料感応太陽電池の技術は、高いシリコン太陽電池の代案として有望であるという事実を提示した。
【0007】
近年、携帯電話、ウェアラブル・コンピューター(wearable computer)など次世代PC産業に必要な電源の自己充電や、服、帽子、自動車ガラス、建物などに取り付けて活用できるという点でフレキシブル半導体電極を使用するフレキシブル染料感応型太陽電池がさらに関心の焦点になっている。
【0008】
しかし、このようなフレキシブル半導体電極の製作に必要なフレキシブル基板は、高温で変形し易いため、二酸化チタン層などのような酸化物半導体層を形成する場合、高温で蒸着することができず150℃以下の低温で半導体電極を製作しなければならないという制限がある。
【0009】
このようなフレキシブル半導体電極を製造する従来技術として、低温焼成ペーストをフレキシブル基板に印刷して100℃未満で乾燥するかまたは不透明な金属薄膜(metal foil)上に半導体層を形成する方法が知られているが、このような方法では太陽電池の光電効率又は膜の安定性が低下する問題などが生じ、低温で安定的にフレキシブル半導体電極を製造するための新たな方法が求められている。
【0010】
このような問題点を解決しようと、本発明者等はフレキシブル高分子基板を使用して作用電極及び対電極を製造する方法を鋭意研究した結果、フレキシブル高分子基板を使用して作用電極及び対電極を製造するとき、酸化物半導体層を低温蒸着法を用いてフレキシブル高分子基板上に蒸着することで、温度耐性の低いフレキシブル高分子基板を損傷させることなく製造できるフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法及びそれを用いて製造したフレキシブル染料感応太陽電池の開発に至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,927,721号明細書
【特許文献2】米国特許第5,350,644号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、温度耐性の低いフレキシブル高分子基板を使用して作用電極及び対電極を製造するとき、酸化物半導体層を低温で蒸着できるだけでなく、簡単な工程で製造することができるフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法及びそれを用いて製造したフレキシブル染料感応太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を達成するため、本発明は透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板をチャンバーに配置する段階(ステップ1)、透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板に対して150℃以下の低温でガスによって運ばれた大きさ1nm〜10umの酸化物半導体粉末を100〜1200m/secの速度で噴射ノズルで噴射して酸化物半導体層を蒸着する段階(ステップ2)、前記酸化物半導体層に染料を吸着させて作用電極を製造する段階(ステップ3)、透明伝導性酸化物層が形成された透明基板の上部に触媒層を形成して対電極を製造する段階(ステップ4)、及び前記ステップ3で製造した作用電極とステップ4で製造した対電極とを対向させて接合した後、電解液を注入する段階(ステップ5)を含むフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、フレキシブル高分子基板上に蒸着された透明伝導性酸化物層、前記透明伝導性酸化物層上に低温蒸着された酸化物半導体層及び前記酸化物半導体層に吸着された染料を含む作用電極と、フレキシブル高分子基板上に蒸着された透明伝導性酸化物層及び前記透明伝導性酸化物層に低温蒸着された触媒層を含む対電極と、前記作用電極と対電極との間に介在される電解質と、を含むフレキシブル染料感応太陽電池を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記作用電極は常温及び真空状態のチャンバー内の基板支持部に透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板を配置した後、150℃以下の低温でガスによって運ばれた大きさ1nm〜10umの酸化物半導体粉末を100〜1200m/secの速度で噴射ノズルで噴射して酸化物半導体層を形成し、それに染料を吸着させて製造し得る。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記酸化物半導体粉末は二酸化チタン粉末(TiO)、酸化スズ粉末(SnO)、酸化亜鉛粉末(ZnO)及び酸化ニオブ粉末(Nb)からなる群より選択された1種または2種以上を混合して使用するか、もしくは二酸化チタン粉末(TiO)、酸化スズ粉末(SnO)、酸化亜鉛粉末(ZnO)及び酸化ニオブ粉末(Nb)からなる群より選択された1種と炭素ナノチューブ(CNT)、炭素ナノ繊維(CNF)、グラフェン(graphene)からなる群より選択された1種とを混合して使用し得る。
【0017】
本発明の一実施形態において、フレキシブル高分子基板はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)などからなる群より選択された高分子を使用して製造し得る。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記透明伝導性酸化物層はフッ素がドープされたティンオキサイド(FTO)、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、インジウムジンクティンオキサイド(IZTO)、アルミニウムジンクオキサイド(AZO)、インジウムティンオキサイド‐銀‐インジウムティンオキサイド(ITO‐Ag‐ITO)、インジウムジンクオキサイド‐銀‐インジウムジンクオキサイド(IZO‐Ag‐IZO)、インジウムジンクティンオキサイド‐銀‐インジウムジンクティンオキサイド(IZTO‐Ag‐IZTO)、アルミニウムジンクオキサイド‐銀‐アルミニウムジンクオキサイド(AZO‐Ag‐AZO)などからなる群より選択された高分子を使用して製造し得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フレキシブル高分子基板を使用して作用電極及び対電極を製造するとき、酸化物半導体層を低温蒸着できる方法を用いてフレキシブル高分子基板に蒸着させることで、比較的簡単な工程で製造できるフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法及びそれを用いて製造したフレキシブル染料感応太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態によって製造した作用電極の側面図である。
【図2】本発明の一実施形態によって製造したフレキシブル染料感応太陽電池の側面図である。
【図3】フレキシブル染料感応太陽電池を基盤にするフレキシブルディスプレイの構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板をチャンバーに配置する段階(ステップ1)、透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板に対してガスによって運ばれた大きさ1nm〜10umの酸化物半導体粉末を100〜1200m/secの速度で噴射ノズルで噴射して酸化物半導体層を蒸着する段階(ステップ2)、前記酸化物半導体層に染料を吸着させて作用電極を製造する段階(ステップ3)、透明伝導性酸化物層が形成された透明基板の上部に触媒層を形成して対電極を製造する段階(ステップ4)、及び前記ステップ3で製造した作用電極とステップ4で製造した対電極とを対向させた後、電解液を注入する段階(ステップ5)を含むフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法を提供する。
【0022】
本発明によるフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法を図1及び図2に基づいて段階別に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態によって製造した作用電極10の側面図である。
まず、透明伝導性酸化物層2が蒸着されたフレキシブル高分子基板1をチャンバー内の基板支持部に配置する(ステップ1)。
【0024】
ステップ1においては、酸化物半導体層4の塗布が行なわれるチャンバーを常温の真空または大気圧条件で維持することが望ましく、真空状態に維持することがより望ましい。このようにチャンバーを真空状態に維持することで、酸化物半導体層4を形成する二酸化チタン粉末がガスによって移動するときに加えられる流体抵抗を減少させ、粉末の速度を減少させる要因がなくなり、酸化物半導体層4を形成する工程が円滑に行われ得る。
【0025】
次いで、前記透明伝導性酸化物層2が蒸着されたフレキシブル高分子基板1に対し、ガスによって運ばれた大きさ1nm〜10umの酸化物半導体粉末を100〜1200m/secの速度で噴射ノズルで噴射して酸化物半導体層4を蒸着する(ステップ2)。
【0026】
本発明ではフレキシブル高分子基板1の素材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)などを使用し得るが、これに制限されることはない。
【0027】
前記フレキシブル高分子基板1の上部には、透明伝導性酸化物層2が形成される。透明伝導性酸化物層2の素材としては、フッ素がドープされたティンオキサイド(FTO)、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、インジウムジンクティンオキサイド(IZTO)、アルミニウムジンクオキサイド(AZO)、インジウムティンオキサイド‐銀‐インジウムティンオキサイド(ITO‐Ag‐ITO)、インジウムジンクオキサイド‐銀‐インジウムジンクオキサイド(IZO‐Ag‐IZO)、インジウムジンクティンオキサイド‐銀‐インジウムジンクティンオキサイド(IZTO‐Ag‐IZTO)、アルミニウムジンクオキサイド‐銀‐アルミニウムジンクオキサイド(AZO‐Ag‐AZO)などを使用し得る。
【0028】
ステップ2において、透明伝導性酸化物層2が蒸着されたフレキシブル高分子基板1上に酸化物半導体層4を形成する場合、大きさ1nm〜10umの小さい酸化物半導体粉末を使用し、相対的に高い噴射速度である100〜1200m/secの速度で噴射することで、酸化物半導体粉末が基板に衝突するとき基板に与える影響を最小化することができる。また、前記酸化物半導体粉末が基板と衝突して壊れた後、再結合することで、塗布され得る。上記のような酸化物半導体粉末の噴射速度を得るためには、通常1〜10barの圧力を有する圧縮空気を使用し、真空は10Torr〜760Torrの範囲であることが望ましい。
【0029】
前記酸化物半導体粉末としては、二酸化チタン粉末(TiO)、酸化スズ粉末(SnO)、酸化亜鉛粉末(ZnO)及び酸化ニオブ粉末(Nb)からなる群より選択された1種または2種以上を混合して使用し得る。
【0030】
本発明の一実施形態において、フレキシブル染料感応太陽電池の光電変換効率、透過図、抵抗などを増大させるため、前記酸化物半導体粉末として二酸化チタン粉末(TiO)、酸化スズ粉末(SnO)、酸化亜鉛粉末(ZnO)及び酸化ニオブ粉末(Nb)からなる群より選択された1種と炭素ナノチューブ(CNT)、炭素ナノ繊維(CNF)、グラフェンからなる群より選択された1種とを混合して使用し得る。
【0031】
本発明の一実施形態において、透明伝導性酸化物層2が蒸着されたフレキシブル高分子基板1上に酸化物半導体層4を形成した後、圧力機などで加圧するか、真空低温焼結炉、オーブンなどを用いてフレキシブル高分子基板のガラス遷移温度以下で低温焼結するか、またはレーザーを用いて蒸着された透明伝導性酸化物層を局所焼結する過程をさらに経ることができる。
【0032】
次いで、ステップ2のように酸化物半導体層4を形成した後、染料を吸着させて作用電極10を製造する(ステップ3)。
【0033】
本発明の一実施形態においては、酸化物半導体層4が形成されたフレキシブル高分子基板1を染料溶液に浸漬させることで、フレキシブル高分子基板1上に蒸着された酸化物半導体層4に染料を吸着させることができる。
【0034】
前記染料溶液としては、染料とアルコール溶液とを混合したものを使用し得る。前記染料としては、ルテニウム(Ru)複合体を初め、可視光線を吸収できる物質を使用し得る。勿論、その他にも可視光線内の長波長の吸収を改善して効率を向上させる染料及び電子放出が容易な新たなタイプの染料を使用し得る。
【0035】
次いで、透明伝導性酸化物層が形成されたフレキシブル高分子基板の上部に触媒層を形成して対電極20を製造する(ステップ4)。
【0036】
ステップ2で説明したように、フレキシブル高分子基板の上部に透明伝導性酸化物層を形成した後、それに触媒層を蒸着させて対電極20を製造し得る。
【0037】
前記触媒層は、炭素、金、白金などで構成されるが、白金(Pt)などのような貴金属物質であることが望ましい。白金(Pt)は反射度が良いため、透過した可視光線が太陽電池の内部に反射されて光吸収効率の面で有利である。また、白金(Pt)の外にも抵抗値の低い他の貴金属物質も使用し得ることは勿論である。
【0038】
最後に、ステップ3で製造した作用電極とステップ4で製造した対電極とを対向させた後、電解液を注入する(ステップ5)。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態によって製造したフレキシブル染料感応太陽電池40の側面図である。
図2を参照すれば、ステップ3で製造した作用電極10とステップ4で製造した対電極20とを相互接合させ、内部に電解液を充填してフレキシブル染料感応太陽電池40を製造し得る(ステップ5)。
【0040】
本発明のフレキシブル染料感応太陽電池40では電解液として、本発明が属する技術分野で周知の液状の電解液または固体高分子電解液を使用し得る。
【0041】
上述した本発明のフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法によれば、温度耐性の低いフレキシブル高分子基板を損傷させることなく、酸化物半導体層を低温で蒸着させることで、簡単な方法でフレキシブル染料感応太陽電池を製造することができる。
【0042】
また、本発明のフレキシブル染料感応太陽電池及びその製造方法において、作用電極及び対電極のうち1つの電極はフレキシブル高分子基板の外にガラス基板または金属基板を使用して製造することができる。
【0043】
また、本発明は、フレキシブル高分子基板上に蒸着された透明伝導性酸化物層、前記透明伝導性酸化物層上に蒸着されたナノ酸化物層及び前記ナノ酸化物層に吸着された染料を含む作用電極と、フレキシブル高分子基板上に蒸着された透明伝導性酸化物層及び前記透明伝導性酸化物層に低温蒸着された金属層を含む対電極と、前記作用電極と対電極との間に介在される電解質と、を含むフレキシブル染料感応太陽電池を提供する。
【0044】
前記フレキシブル染料感応太陽電池は、上述した本発明による染料感応太陽電池の製造方法によって製造することができる。
【0045】
また、本発明は、前記フレキシブル染料感応太陽電池を含んで構成するフレキシブル染料感応太陽電池基盤のフレキシブルディスプレイを提供する。
【0046】
図3は、フレキシブル染料感応太陽電池基盤のフレキシブルディスプレイの構成を示した概略図である。図3に示したように、本発明はフレキシブルディスプレイとフレキシブル回路とに本発明のフレキシブル染料感応太陽電池を結合したDSSC基盤のフレキシブルディスプレイを提供する。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の理解を助けるために望ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するだけであって、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明なことである。また、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属することは言うまでもない。
【0048】
<実施例1>
(1)作用電極の製造
インジウムティンオキサイド透明伝導性酸化物層が形成されたPET基板を用意し、真空状態のチャンバーの基板支持部に配置した。前記PET基板上に大きさ10nmの二酸化チタン粉末を300から500m/secの速度で噴射して厚さ5umのナノ酸化物層を形成した。次いで、エタノールを溶媒にして5mMになるように製造したRu系(ソラロニクス(Solaronix)社製、Rethenium 535−bis TBA)染料溶液を用意した。該染料溶液に前記ナノ酸化物層が形成された基板を24時間浸漬した後、乾燥させて染料が吸着された作用電極を製造した。
【0049】
(2)対電極の製造
フッ素がドープされたティンオキサイド透明伝導性酸化物層が形成されたPET基板を用意した。白金ターゲットが含まれた蒸着機を用いて、10−1torr以下の真空下で15mAの電流を200秒間流すことで前記基板の縁層内に白金層を形成して対電極を製造した。
【0050】
(3)フレキシブル染料感応太陽電池の製造
製造した作用電極のナノ酸化物層と対電極の白金層とを相互対向させた後、厚さ約70umの両面接着テープ(3M社製)をナノ酸化物層の外側に接合した。その後、ホットプレスを用いて50℃、5MPaの条件で10秒間維持して両電極を結合した。このとき、対電極は電解液を注入するために予め穿孔した。その後、電解質溶液(ソラロニクス社製、Iodolyte AN−50)を予め設けられた孔を通じて2つの電極間の空間に約0.1cc注入し、穿孔部位はエポキシレジンで封止することで、フレキシブル染料感応太陽電池を製造した。
【0051】
<実施例2>
作用電極を製造するとき、大きさ10nmの二酸化チタン粉末と多重壁炭素ナノチューブ(ハンファナノテク(hanwha nanotech)社製、CM−95)とを300から500m/secの速度で噴射して厚さ5umのナノ酸化物層を形成したことを除き、実施例1と同様にしてフレキシブル染料感応太陽電池を製造した。
【0052】
<実験例1>電流密度(Jsc)及び電圧(Voc)の測定
実施例1及び実施例2で製造した染料感応太陽電池の電流密度(Jsc)、電圧(Voc)及び充填係数(fill factor;ff)を測定し、測定値を下記表1に示した。
【0053】
【表1】

【符号の説明】
【0054】
1 フレキシブル高分子基板
2 透明伝導性酸化物層
3 縁層
4 ナノ酸化物層
10 作用電極
20 対電極
40 フレキシブル染料感応太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル高分子基板上に蒸着された透明伝導性酸化物層、前記透明伝導性酸化物層上に低温蒸着された酸化物半導体層及び前記酸化物半導体層に吸着された染料を含む作用電極と、
フレキシブル高分子基板上に蒸着された透明伝導性酸化物層及び前記透明伝導性酸化物層に低温蒸着された触媒層を含む対電極と、
前記作用電極と対電極との間に介在される電解質と、を含み、
前記透明伝導性酸化物層上に低温蒸着された酸化物半導体層は、前記透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板に対して150℃以下の低温でガスによって運ばれた大きさ1nm〜10umの酸化物半導体粉末を100〜1200m/secの速度で噴射ノズルで噴射して形成されることを特徴とするフレキシブル染料感応太陽電池。
【請求項2】
前記酸化物半導体粉末としては、二酸化チタン粉末、酸化スズ粉末、酸化亜鉛粉末及び酸化ニオブ粉末からなる群より選択された1種または2種以上を混合した粉末を使用するか、もしくは二酸化チタン粉末、酸化スズ粉末、酸化亜鉛粉末及び酸化ニオブ粉末からなる群より選択された1種と炭素ナノチューブ、炭素ナノ繊維、グラフェンからなる群より選択された1種とを混合した粉末を使用することを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル染料感応太陽電池。
【請求項3】
前記フレキシブル高分子基板が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート及びポリイミドからなる群より選択された高分子を使用して製造された基板であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル染料感応太陽電池。
【請求項4】
前記透明伝導性酸化物層が、フッ素がドープされたティンオキサイド、インジウムティンオキサイド、インジウムジンクオキサイド、インジウムジンクティンオキサイド、アルミニウムジンクオキサイド、インジウムティンオキサイド‐銀‐インジウムティンオキサイド、インジウムジンクオキサイド‐銀‐インジウムジンクオキサイド、インジウムジンクティンオキサイド‐銀‐インジウムジンクティンオキサイド及びアルミニウムジンクオキサイド‐銀‐アルミニウムジンクオキサイドからなる群より選択された透明伝導性酸化物で形成されることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル染料感応太陽電池。
【請求項5】
前記触媒層が、炭素、金及び白金からなる群より選択された物質で形成されることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル染料感応太陽電池。
【請求項6】
前記対電極及び作用電極のうち1つは、フレキシブルガラス基板または金属基板を使用して製造されることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル染料感応太陽電池。
【請求項7】
透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板をチャンバーに配置する段階(ステップ1)と、
透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板に対し、ガスによって運ばれた大きさ1nm〜10umの酸化物半導体粉末を150℃以下の低温で100〜1200m/secの速度で噴射ノズルで噴射して酸化物半導体層を蒸着する段階(ステップ2)と、
前記酸化物半導体層に染料を吸着させて作用電極を製造する段階(ステップ3)と、
透明伝導性酸化物層が形成された透明基板の上部に触媒層を形成して対電極を製造する段階(ステップ4)と、
前記ステップ3で製造した作用電極とステップ4で製造した対電極とを対向させた後、電解液を注入する段階(ステップ5)と、を含むフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記酸化物半導体粉末としては、二酸化チタン粉末、酸化スズ粉末、酸化亜鉛粉末及び酸化ニオブ粉末からなる群より選択された1種または2種以上を混合した粉末を使用するか、もしくは二酸化チタン粉末、酸化スズ粉末、酸化亜鉛粉末及び酸化ニオブ粉末からなる群より選択された1種と炭素ナノチューブ、炭素ナノ繊維、グラフェンからなる群より選択された1種とを混合した粉末を使用することを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ2において、前記酸化物半導体粉末を噴射して酸化物半導体層を形成した後、圧力機などで加圧するか、真空低温焼結炉、オーブンなどを用いてフレキシブル高分子基板のガラス遷移温度以下で低温焼結するか、またはレーザーを用いて蒸着された透明伝導性酸化物層を局所焼結する過程をさらに経ることを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記フレキシブル高分子基板が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート及びポリイミドからなる群より選択された高分子を使用して製造された基板であることを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記透明伝導性酸化物層が、フッ素がドープされたティンオキサイド、インジウムティンオキサイド、インジウムジンクオキサイド、インジウムジンクティンオキサイド、アルミニウムジンクオキサイド、インジウムティンオキサイド‐銀‐インジウムティンオキサイド、インジウムジンクオキサイド‐銀‐インジウムジンクオキサイド、インジウムジンクティンオキサイド‐銀‐インジウムジンクティンオキサイド及びアルミニウムジンクオキサイド‐銀‐アルミニウムジンクオキサイドからなる群より選択された透明伝導性酸化物で形成されることを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記触媒層が、炭素、金及び白金からなる群より選択された物質で形成されることを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル染料感応太陽電池の製造方法。
【請求項13】
フレキシブル高分子基板上に蒸着された透明伝導性酸化物層、前記透明伝導性酸化物層上に低温蒸着された酸化物半導体層及び前記酸化物半導体層に吸着された染料を含む作用電極と、フレキシブル高分子基板上に蒸着された透明伝導性酸化物層及び前記透明伝導性酸化物層に低温蒸着された触媒層を含む対電極と、前記作用電極と対電極との間に介在される電解質と、を含み、
前記透明伝導性酸化物層上に低温蒸着された酸化物半導体層は、前記透明伝導性酸化物層が蒸着されたフレキシブル高分子基板に対して150℃以下の低温でガスによって運ばれた大きさ1nm〜10umの酸化物半導体粉末を100〜1200m/secの速度で噴射ノズルで噴射して形成されることを特徴とするフレキシブル染料感応太陽電池基盤のディスプレイ。
【請求項14】
前記酸化物半導体粉末として、二酸化チタン粉末、酸化スズ粉末、酸化亜鉛粉末及び酸化ニオブ粉末からなる群より選択された1種または2種以上を混合した粉末を使用するか、もしくは二酸化チタン粉末、酸化スズ粉末、酸化亜鉛粉末及び酸化ニオブ粉末からなる群より選択された1種と炭素ナノチューブ、炭素ナノ繊維、グラフェンからなる群より選択された1種とを混合した粉末を使用することを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル染料感応太陽電池基盤のディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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