説明

フレーバーとしてのジバニリンの使用

本発明は、フレーバーとしての6,6'-ジヒドロキシ-5,5'-ジメトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3,3'-ジカルボキシアルデヒド(ジバニリン)の使用に関する。本発明は、またフレーバー組成物及び感覚的に効果が認められる量のジバニリンを含む食品に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、フレーバーとしての6,6'-ジヒドロキシ-5,5'-ジメトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3,3'-ジカルボキシアルデヒド(CAS No.2092-49-1)(異名:2,2'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメトキシ-5,5'-ジホルミルビフェニル or 5,5'-ビバニリン又はデヒドロジバニリン)(以下、ジバニリンと略す)の使用に関する。本発明は、さらに特定の食感を与え、又は高めるジバニリンの使用に関する。
【0002】
ジバニリンは以下の構造を有する。

【0003】
官能試験においてクリーム状の濃厚な食感を与える種々のフレーバー及び風味付与物質は、すでに知られている。これらは揮発性又は非揮発性化合物の場合がある。揮発性フレーバーの例としては、δ-ラクトン、アセトイン及びアセトインエステル、高級脂肪酸のエステル、又は長鎖飽和若しくは不飽和アルデヒド、例えば12-メチルトリデカナール、2,4-デカジエナール若しくはドデカジエナールなどが挙げられる。非揮発性化合物の例としては、脂肪分解脂質(lipolysed fats)、変性デンプン、キシロオリゴ糖、変性糖、糖エステル、アミノ酸又はペプチドなどが挙げられる。
【0004】
本発明の目的は、特にクリーム状の濃厚な食感、粘着性、乳脂肪質及び/又は甘味のを与えるための新規フレーバーを提供することであった。驚いたことに、我々自身の研究は、ジバニリンがクリーム状、乳脂肪質、バター様及び甘味の気持ちの良い、粘着性の、及び濃厚な食感を与え、したがって前記目的を達成することを示した。このことは、ジバニリンが、例えばJP 07-179853 A2に、匂い及び味のない物質として記載されているため、特に驚くべきことである。
したがって、JP 07-179853 A2によれば、ジバニリンはフレーバーとして使用されていないが、完全に異なる目的で、すなわち抗酸化剤として、特に化粧品、医薬品又は食品の安定性を増大するために、抗酸化剤としてジバニリンを使用することが記載されており、最終製剤におけるジバニリンの量は0.001〜5重量%、特に0.01〜1重量%として与えられる。
ジバニリンは、さらにリグニンの構造においてある程度機能する成分として文献に記載されている。したがって、例えばジバニリンは木の化学的又は酵素的分解において検出できる(Geochimica et Cosmochimica Acta, 1992, 56, 4025-4043; Chem. Ber., 1965, 98, 1879-1892)。
ジバニリンは、さらに美白剤(JP 06-145040 A2)及び香油における固定剤(JP 04-255798 A2)として使用される。
【0005】
酸化剤を用いてジバニリンを調製する方法は、例えばBiosci. Biotechnol. Biochem., 1999, 63 (2), 390-394、J. Org. Chem., 1957, 22, 1299-1232又はChem. Ber., 1961, 94, 3227-3228において見つけることができる。
ペルオキシダーゼ及び過酸化水素を用いてバニリンから出発する酵素合成は、Chimia, 1972, 26 (7), 366-368に記載されている。同様の記載はFood Chemistry, 1997, 60 (1), 43-51にもある。
バニリンはバニラのさや状果実中の決定成分(determining component)である。収穫した緑色のバニラのさや状果実から発酵させた茶褐色又は黒色のさや状果実への生成工程の際、もともと存在するバニリンの半分以上は酵素分解反応の結果失われ、バニリン含量はもともとの約5〜6重量%から2〜3重量%(20,000〜30,000ppm)へ発酵の際に減少する。
【0006】
これまで、ジバニリンは、形成又は取扱いの性質に関わらず、バニラのさや状果実の成分として知られていなかった。原産地によれば、バニラのさや状果実及びそれから得られる抽出物(実施例3参照)中の10〜100ppmの量のジバニリンの存在は、本発明の基礎をなす仕事において初めて示された。
フレーバー及び風味付与物質、すなわちフレーバー成分としてのジバニリンの使用は文献には記載されていない。
クリーム状、乳脂肪質、バター様及び甘味のその気持ちのよい、粘着性の、及び濃厚な食感のために、ジバニリンは、低脂肪食品半製品(semi-finished food products)及びインスタント食品(ready-to-eat foodstuffs)への添加に特に適している(脂肪の豊富な製品もジバニリンの使用によってよい影響を受けるが)。そのため、ジバニリンは、それ自体で、又はフレーバー組成物の形態で、すなわち1つ以上のさらなるフレーバー及び風味付与物質と一緒に使用される。ジバニリンの添加によって、豊かな風味、クリーム状及び乳脂肪質を低脂肪製品(それらはますます重要となっており、そのクリームのような豊かな性質は全脂肪製品と比較して失われている)に与えることができる。低脂肪製品の例としては、低脂肪マーガリン、低脂肪乳、低脂肪ヨーグルト、低脂肪コテージチーズ(curd cheese)、インスタントデザート及び低脂肪アイスクリームなどが挙げられる。
【0007】
本明細書の範囲内で、「食品」は、そのままの、調製された又は処理された状態でヒトによって消費される物質を意味するものと理解され、これに関して、食品は、また同時に消費される、又は同時の消費が期待される包装、コーティング又は他の被層をも意味するものと理解される。
インスタント食品は、風味を決める物質をすべてすでに含んでいる食品であると理解されるべきである。「インスタント食品」という用語には、飲料及び固体又は半固体のインスタント食品が含まれる。その例としては、消費する前に水を加えて加熱する必要がある固形スープ(packet soups)、及び消費する前に解凍して食するのに適した温度に加熱する必要がある凍結製品などが挙げられる。インスタント食品には、またすでに記載された製品マーガリン、乳、ヨーグルト、コテージチーズ、インスタントデザート及びアイスクリームなどが挙げられる。
「食品半製品」という用語は、感覚を決定する(又はその決定においてある程度機能する)フレーバー又は風味付与物質の添加後、さらに処理された状態でのみ消費されることを意図された食品を意味する。
「フレーバー組成物」は食品ではないが、食品に特定の芳香又は風味を与えることを意図したフレーバー及び/又は風味付与物質の濃縮調製品である。
食品にフレーバーを与えるための好ましいフレーバー組成物は、ジバニリン(好ましくは後述の量)及びバニリンを含み、必要により1つ以上の更なるフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよく、ジバニリンとバニリンの量の比は1:200よりも大きく、好ましくは1:100よりも大きい。
【0008】
ジバニリンのより高い組成比のために、前記フレーバー組成物はバニラのさや状果実の抽出によって得られたフレーバー組成物よりも際立って優れている。
また、合成ジバニリン、天然又は合成バニリンを含み、必要により1つ以上のさらなるフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよい食品にフレーバーを付与するためのフレーバー組成物は好ましい。
前記フレーバー組成物は、合成ジバニリン(これは、もちろんバニラのさや状果実からの天然ジバニリンよりも安価である)が使用される点で、バニラのさや状果実の抽出によって得られるフレーバー組成物と異なっている。好ましくは、バニリンは合成の原料である。当業者は合成ジバニリンと天然ジバニリンを区別することができる。
【0009】
半製品又はインスタント食品にフレーバーを付与するためのさらに好ましいフレーバー組成物は、フレーバー組成物の合計重量に対して、0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜5重量%の量のジバニリンを含み、さらに1つ以上のさらなるフレーバー及び/又は風味付与物質を含む。フレーバー組成物(上記定義に従う)はそれ自体インスタント食品ではない。
本発明のインスタント食品又は食品半製品は、食品の合計重量に対して、風味閾値から0.00099重量%(9.9ppm)の量のジバニリンを含み、さらに必要により1つ以上のさらなるフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよい。ジバニリンの風味閾値は1ppmよりもはるかに小さいと決定されている。
特に好ましくは、本発明のインスタント食品又は食品半製品は0.0002〜0.0009重量%(2〜9ppm)の量のジバニリンを含み、さらに特に好ましくは、0.0004〜0.0007重量%(4〜7ppm)の量のジバニリンを含む。
【0010】
記載された本発明のインスタント食品及び食品半製品は、ジバニリンの割合が少ないことで、JP 07-179853 A2の食品と異なっている。実際に、ジバニリンが抗酸化剤として作用するためには、ジバニリンの量は、本発明の目的のために好ましい値よりもはるかに多くなければならない。さらに、JP 07-179853 A2の好ましい高濃度値で、ジバニリンによって付与される濃厚で、クリーム状などの食感は、バニラ様の個々の風味のフレーバーが失われ、それは、本明細書において欠点であるとみなされる。
好ましくは、またインスタント食品又は食品半製品は、ジバニリン(好ましくは前述の量)及びバニリンを含み、必要により1つ以上のさらなるフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよく、ジバニリンとバニリンの量の比は1:200よりも大きく、好ましくは1:100よりも大きい。
【0011】
最後に、好ましくは、インスタント食品又は食品半製品は、合成ジバニリン(好ましくは前述の量)及びバニリンを含み、必要により1つ以上のさらなるフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよい。
バニラのさや状果実抽出物を含むインスタント食品又は食品半製品との比較における相違に関して、本発明のフレーバー組成物に対する我々のコメント(これに関して同様に適用される)が参照される。
本発明は、また食品にフレーバーを付与する方法に関し、感覚的に効果が認められる量のジバニリンがフレーバーを付与する食品に添加され、添加されたジバニリンの量は、フレーバーを付与した食品の合計重量に対して、0.00099重量%を超えない。添加されるジバニリンの量の特に好ましい範囲に関して、インスタント食品における好ましい量に関するコメントが参照される。
本発明の特に好ましい実施態様において、ジバニリンが他のフレーバー及び/又は風味付与物質及び/又は天然素材の抽出物と組み合わせて使用されることは、上記から明らかである。このように、特におおよその、及び正確な感覚特性が達成される。
【0012】
ジバニリンと一緒に使用できる風味付与物質又はフレーバーの例は、例えばK. Bauer, D. Garbe and H. Surburg, Common Fragrance and Flavor Materials, 4th Ed., Wiley-VCH, Weinheim 2001において見つけることができる。その例としては、エステル(飽和又は不飽和)、例えば酪酸エチル、カプロン酸アリル、酢酸ベンジル、サリチル酸メチル;有機酸(飽和及び不飽和)、例えば酪酸、酢酸、メチル酪酸、カプロン酸;アルコール(飽和及び不飽和)、例えばエタノール、プロピレングリコール、オクテノール、cis-3-ヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール;アルデヒド(飽和及び不飽和)、例えばアセトアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノナジエナール、ベンズアルデヒド、3-フェニルアセトアルデヒド;ケトン、例えばメントン;エーテル、例えば4-ヒドロキシ-5-メチルフラノン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2-(5H)-フラノン、2,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(3H)-フラノン、2(5)-エチル-4-ヒドロキシ-5(2)-メチル-3(2H)-フラノン、p-メトキシベンズアルデヒド、グアイアコール、メトキシビニルフェノール;アセタール、例えばアセトアルデヒドジエチルアセタール;ラクトン、例えばγ-デカラクトン;テルペン、例えばリモネン、リナロール、テルピネン、テルピネオール、シトラール(ゲラニアール及びネラール)、メントール;スルフィド及びジスルフィド、例えばジメチルスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、メチルチオプロパナール;チオール、例えばメチルフランチオール;ピラジン及びピロリン、例えばメチルピラジン、アセチルピラジン、2-プロピオニルピロリン、2-アセチルピロリンなどが挙げられる。
【0013】
およその、及びより濃厚なクリームのような感覚特性を達成するために、ジバニリンに加えて、さらにラクトン及び/又は酸を含むフレーバー及び風味付与物質の組成物が有利である。有利なラクトンとしては、例えばδ-オクタラクトン、δ-ノナラクトン、マッソイラクトン(massoilactone)
、δ-ウンデカラクトン、δ-ドデカラクトン、δ-デカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ドデカラクトン、γ-テトラデカラクトンなどが挙げられ;有利な酸としては、例えば酪酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びそれらのエステルが挙げられる。
本発明のフレーバー組成物及び本発明のインスタント食品又は食品半製品は、食品又はスナックについてこれまで知られている基本物質、補助物質及び添加剤を含むことができる。さらに、それらは水を含んでもよい。典型的には、従来の基本物質、補助物質及び添加剤の量及び/又は水の含有量は、5重量%を超える範囲であり(インスタント食品又は食品半製品の合計重量に対して)、80重量%未満である。もちろん、使用される量は、またそれより少なく、又は多くてもよい。
本発明のフレーバー組成物又は本発明のインスタント食品又は食品半製品が、ジバニリンに加えてバニリンも含む場合、ジバニリン:バニリンの重量比は、有利には1:5〜1:50の範囲であり、好ましくは1:10〜1:30の範囲である。記載される比はクリームバニラフレーバーについて特に有利であり、バニラのさや状果実の抽出物によって達成できない食感を与える。
【0014】
本発明の食品は、例えば焼いた製品(例えば、乾いたビスケット、ケーキ、他の焼いた製品)、菓子類(例えば、チョコレート、プラリーヌ、菓子、硬及び軟カラメル、チューインガム)、穀物製品(例えば、朝食用の穀物食品、ムースリバー)、ミルク製品(例えば、乳飲料、ミルクアイス、ヨーグルト、ケフィール、フレッシュチーズ、粉ミルク、低脂肪バター、バターミルク、ホエー)、フルーツ製品(例えば、ジャム、マーマレード、フルーツアイス、フルーツソース)、スナック製品(例えば、ベークド又はフライドポテトチップス又はポテトパルプ製品、コーン又はピーナッツベース押出物)、脂肪及びオイルベース製品又はそのエマルジョン(例えば、マヨネーズ、レムラード、ドレッシング)、アルコール又はノンアルコール飲料(例えば、コーヒー、ティー、ワイン、ワイン含有飲料、ビール、ビール含有飲料、リキュール、ウイスキー、ブランデー、フルーツ含有ソフトドリンク、アイソトニック飲料、元気回復飲料、ネクター、フルーツ及び野菜ジュース、フルーツ又は野菜ジュース製品)、インスタント飲料、調理済み食品及びスープ、調味料、スパイス混合物及び特にスナック分野で使用されるふりかけ調味料である。本発明の製品は、また栄養物又は楽しむために使用されるさらなる調製物の生成用半製品として使用してもよい。それらは、さらに栄養補助食品としてカプセル、錠剤(素錠及び被覆錠剤、例えば腸溶コーティング)、糖衣錠、顆粒、ペレット、固形混合物、液相中の分散、エマルジョン、粉末、溶液、ペースト又は他の飲み込み可能な又は咀嚼可能な製剤の形態であってもよい。
【0015】
本発明のジバニリン含有製剤は、物質として、溶液として又は固体又は液体キャリアとの混合物の形態でジバニリンをフレーバー組成物又は食品に添加することによって生成してもよい。
製剤を生成するために、ジバニリン及び必要により本発明の製剤の他の成分を、エマルジョンに、例えばホスファチジルコリンから出発するリポソームに、ミクロスフェアに、ナノスフェアに、又は食品及びスナックに適したマトリックス、例えばデンプン、デンプン誘導体、他の多糖類、天然脂肪、天然ワックス又はタンパク質、例えばゼラチンからなるカプセルに予め添加することもさらに好ましい実施態様において可能である。別の実施態様において、本発明のジバニリンは適した錯化剤、例えばシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体、好ましくはβ-シクロデキストリンと予め錯体を形成してもよく、その形態で使用される。
本発明のインスタント食品、食品半製品及びフレーバー組成物は、別の成分、例えば保存剤、抗酸化剤、乳化剤、希釈剤、糖類、砂糖代用品、糖アルコール、甘味料、食用酸、着色剤、顔料、風味向上剤、風味付与物質、フレーバー、栄養補助食品、微量元素、ミネラル、ビタミン、植物抽出物及び繊維質食品を含んでもよい。
【0016】
食品分野で前記目的のための従来の薬剤を保存剤として使用してもよい。
以下の保存剤は有利に使用される:食塩、ショ糖、酢酸、亜硝酸塩、特に亜硝酸ナトリウム、カリウム及びカルシウム、亜硫酸塩、特に亜硫酸ナトリウム、カリウム及びカルシウム。さらに、有機酸又はその塩、特にソルビン酸、安息香酸、ギ酸及びこれらの酸のNa、K及びCa塩、及び4-ヒドロキシ安息香酸エステル、サリチル酸及びデヒドロ酢酸(dehydracetic acid)を使用してもよい。
抗酸化作用を高めることができる適した抗酸化剤及び物質は、天然トコフェロール及びその誘導体、トコトリエノール、フラボノイド、アスコルビン酸及びその塩、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸)及びそれらのNa、Ka及びCa塩、植物、例えばチャノキ、緑茶、藻類、グレープシード、小麦麦芽、ローズマリー、オリガノから分離された成分、抽出物又はそのフラクション、フラボノイド、ケルセチン、フェノールのベンジルアミンである。さらに適した抗酸化剤は、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、クエン酸によってエステル化された食用脂肪酸のモノ-及びジ-グリセリド、正リン酸塩及びモノリン酸のNa、Ka及びCa塩及びアスコルビン酸パルミテートである。
【0017】
適した乳化剤の例は、レシチン、食用脂肪酸のNa、K、Al、Mg及びCa塩、ヒドロキシル化レシチン、食用脂肪酸のモノ-及びジ-グリセリド、酢酸、乳酸、クエン酸又はモノアセチル-及びジアセチル-酒石酸によるエステル化、スクシニル化モノグリセリド、アンモニウムホスファチド、食用油脂又は油のモノ-及びジ-グリセリドのリン酸一ナトリウム誘導体、又は食用脂質形成脂肪酸、エトキシ化モノ-及びジ-グリセリド、糖エステル(ショ糖及び食用脂肪酸のエステル)、ポリグリセロールポリリシンオレアート、食用脂肪酸のプロピレングリコールエステル、食用脂肪酸のラクチルエステル、ステアロイルラクチル-2-乳酸ナトリウム、ステアロイルラクチル-2-乳酸カルシウム、酒石酸ステアリル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ステアリルモノグリセリジルクエン酸エステル、スクシステアリン(succistearin)、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー縮合生成物、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムステアリルフマレート、グリセロールの乳酸脂肪酸エステル及び1,2-プロピレングリコールである。
本発明のフレーバー組成物又はインスタント食品又は食品半製品は1つ以上の希釈剤を含んでもよい。有利な希釈剤は、例えばエタノール、トリアセチン及び1,2-プロピレングリコールである。
【0018】
フレーバー組成物又は食品又は食品半製品の成分であってもよい典型的な糖質は、ブドウ糖シロップ、ブドウ糖-果糖シロップ、イソメロース(isomerose)シロップ、イソグルコースシロップ、転化糖シロップ及びショ糖、ブドウ糖、乳糖、加水分解ラクトース、ソルボース、アラビノース、キシロース、マンノース、麦芽糖、ガラクトース、マルトトリオース又は果糖のような結晶性の糖である。
適した糖質代用品は糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール及びソルビトールシロップ、イソマルトール(例えば、パラチニット(商標))、マルトール及びマルトールシロップ、ラクトール、キシリトール、エリスリトール、ロイコロース(leucrose)、アラビノール(arabinol)、アラビトール、アドニトール、アルジトール、ダシトール(ducitol)、イジトール、及びフラクトオリゴ糖(例えば、Ratfilose(商標))、オリゴフルクトース又はポリデキストロースである。
フレーバー組成物又は食品又は食品半製品の成分であってもよい典型的な甘味料としては、サッカリン(必要によりNa、K又はCa塩の形態であってもよい)、アスパルテーム(例えば、NutraSweet(商標))、シクラメート(必要によりNa又はCa塩の形態であってもよい)、アセスルファム-K(例えば、サネット(商標))、タウマチン又はネオヘスペリジンジヒドロカルコンが挙げられる。もちろん、他の甘味料、例えばステビオシド、レバウジオシドA、グリシルリシン(glycyrrhicine)、ウルトラスイート(Ultrasweet)、オスラジン(osladin)、ブラゼイン、ミラキュリン、ペンタジン、フィロズルチン、ジヒドロカルコン、アリールウレア、三置換グアニジン、グリシルリシン、スーパーアスパルテーム(superaspartame)、スオサン(suosan)、スクラロース(トリクロロガラクトサッカロース、TGS)、アリテーム、モネリン又はネオテーム(商標)を使用することも可能である。
【0019】
適した食用の酸は、例えばクエン酸、アジピン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、酒石酸である。
風味向上剤として、ナトリウム及びカリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム)及び風味相乗剤、例えばマルトール、甘味を改善するフラネオール、及びL-グルタミン酸ナトリウム(MSG、グルタミン酸)、イノシン5'-モノホスフェート(IMP)、5-グアノシンモノホスフェート(GMP)、植物タンパク質加水分解物(HVP)、酵母エキス、アミノ酸及びソースエキス、例えばブイヨン、醤油、スパイシーソース、魚醤油、オイスターソースなどの物質を使用してもよい。
本発明のフレーバー組成物又はインスタント食品又は食品半製品は、さらに必要により栄養生理学的活性を有する物質又は物質混合物(栄養補助食品)を含んでもよい。例としては、ビタミンA及び誘導体、カロチン、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)及び誘導体、B及びD群のビタミン、例えばビタミンB6(ニコチンアミド)、ビタミンB12、ビタミンD1、ビタミンD3、ビタミンF、葉酸、ビオチン、アミノ酸、元素マグネシウム、シリコン、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物、酵素、例えばブロメライン、不飽和脂肪酸、ω-3-脂肪酸、ポリ不飽和脂肪酸、γ-リノレン酸、オレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸及びそれらの誘導体、ビサボロール、カフェイン、カプサイチン、チモール、カンファー、植物及び動物起源の抽出物又はその他の生成物、例えばオオマツヨイグサ油、ルリヂサ油又はイナゴマメ油、魚油、魚肝油、セラミド及びセラミド様化合物、植物抽出物、例えばアルニカ、アロエ、サルオガセ科(サルオガセ属の地衣植物)、セイヨウキヅタ、イラクサ、薬用ニンジン、ヘンナ、カムミール、マリゴールド、ローズマリー、セージ、つくし又はタイム、油、例えば杏仁油、アボカド油、ババス油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、ラッカセイ油、γ-オリザノール、バラの実油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、イナゴマメ油、ホホバ油、チェリーの種(cherry kernel)油、サーモン油、亜麻仁油、トウモロコシ油、マカダミアナッツ油、扁桃油、オオマツヨイグサ油、ミンク油、オリーブ油、ペカンの実油、杏仁油、ピスタシオ油、菜種油、米油、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油、ティーツリー油、ブドウの種油又は小麦の胚種油、小麦繊維、オレンジ繊維、リンゴ繊維、ニンジン繊維、小麦の糠、フラクトオリゴ糖(例えば、イヌリン)などの食用糠が挙げられる。
【0020】
本発明のフレーバー組成物、インスタント食品又は食品半製品の別の構成成分として、記載したように、食品又はスナックについて従来の基本物質、補助物質及び添加剤、例えば水、新鮮な又は加工した植物又は動物の基本又は原料物質の混合物(例えば、原料、ロースト、乾燥、発酵、スモーク及び/又は調理済み肉、卵、骨、軟骨、魚、野菜、フルーツ、ハーブ、ナッツ、野菜又はフルーツジュース又はペースト又はそれらの混合物)、消化しやすい又は消化しにくい炭水化物(例えば、ショ糖、麦芽糖、果糖、ブドウ糖、デキストリン、アミロース、アミロペクチン、イヌリン、キシラン、セルロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、天然又は硬化油脂(例えば、獣脂、ラード、パーム油、ココナッツ油、硬貨植物油脂)、油(例えば、ヒマワリ油、ラッカセイ油、コーン油、オリーブ油、紅花油、魚油、大豆油、ゴマ油)、脂肪酸又はそれらの塩(例えば、ステアリン酸カリウム)、蛋白新生又は非蛋白原生アミノ酸及び関連化合物(例えば、タウリン、クレアチン、クレアチニン)、ペプチド、天然又は加工たんぱく質(例えば、ゼラチン)、酵素(例えば、ペプチダーゼ、グリコシダーゼ、リパーゼ)、核酸、ヌクレオチド、風味調整物質(例えば、グルタミン酸ナトリウム、2-フェノキシプロピオン酸、ヒドロキシフラバノン)、乳化剤(例えば、レシチン、ジアシルグリセロール)、安定化剤(例えば、カラゲナン、アルギナート)、保存剤(例えば、安息香酸、ソルビン酸)、抗酸化剤(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸)キレート剤(例えば、クエン酸)、有機又は無機酸性化剤(例えば、リンゴ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸)、追加の苦味物質(例えば、キニーネ、カフェイン、リモニン)、甘味料(例えば、サッカリン、シクラメート、アスパルテーム、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、スクラロース)、鉱物塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム)、酵素褐変を防止する物質(例えば、サルファイト、アスコルビン酸)、エッセンシャルオイル、植物抽出物、天然又は合成着色剤又は着色顔料(例えば、カロチノイド、フラボノイド、アントシアニン、クロロフィル及びそれらの誘導体)、スパイス、及び芳香、合成、天然又は天然と同じフレーバー及び風味付与物質を使用してもよい。本発明は以下の実施例によってさらに説明される。
【0021】
実施例
他に記載しない限り、すべての量は重量による。
実施例1
約40〜50℃で加熱しながら、10gのバニリンを1000mlのトリスアセテートバッファー(pH 5)に溶解した。冷却後、20gの0.1重量%のホースラディシュ・ペルオキシダーゼ水溶液(アルドリッチ、550U/mg)を計量した量で加えた。75mlの過酸化水素(水に3重量%)を、次いで30分間にわたって撹拌しながら滴下した。溶液を、次いで18時間35〜38℃で放置した。得られたジバニリンをろ別し、水及びメタノールで十分に洗浄し、オーブン乾燥した。約90重量%の純度を有する約9gのジバニリンをこの方法で得た。
【0022】
実施例2
25gの三塩化鉄を含む500mlの水溶液に15gのバニリンを加えて懸濁液を形成した。この混合物を50℃に加熱し、合計4時間撹拌した。氷浴で冷却した後、得られたジバニリンをろ別し、水及びメタノールで洗浄し、次いで乾燥した。約90重量%の純度を有する約8gのジバニリンをこの方法で得た。
【0023】
実施例3
種々の起源の粉砕したバニラのさや状果実を4〜8時間50℃で約5回所定量の溶媒で抽出した。適した溶媒は、例えばエタノール/水混合物、メタノール、ピリジン、ジメチルスルホキシド又はN,N-ジメチルホルムアミドである。抽出物をろ過し、蒸発により濃縮し、次いでHPLC-UV及びLC-MSによって分析した。
下記表に示されたジバニリン濃度は使用したバニラのさや状果実における濃度に関係する。

【0024】
実施例4
0.1%の脂肪を含むヨーグルト組成物(50g/100kgの量のフレーバーを添加した。)

標準と比較すれば、特に濃厚な風味によってジバニリン含有フレーバーを含むヨーグルト組成物は区別される。クリーミーな特徴は高められ、ヨーグルトはさらに濃厚で、乳脂肪及びクリームを彷彿とさせるきわめて濃い特徴を獲得した。この特性は後味において特に発生する。
【0025】
実施例5
新鮮な乳を加えていない粉乳を含むインスタントデザート(50g/100kgの量のフレーバーを添加した。)

標準と比較すれば、特に濃厚な風味によってジバニリン含有フレーバーを含むインスタントデザートは区別される。クリーミーな特徴は高められ、さらに濃厚で、乳脂肪及びクリームを彷彿とさせるきわめて濃い特徴を獲得した。この特性は後味において特に発生する。
【0026】
実施例6
低脂肪含有アイスクリーム(150g/100kgの量のフレーバーを添加した。)

標準と比較すれば、特に濃厚な風味によってジバニリン含有フレーバーを含むアイスクリームは区別される。クリーミーな特徴は高められ、アイスクリームはさらに濃厚で、乳脂肪及びクリームを彷彿とさせるきわめて濃い特徴を獲得した。この特性は後味において特に発生する。
【0027】
実施例7
低脂肪マーガリン(半脂肪マーガリン)(35g/100kgの量のフレーバーを添加した。)

半脂肪マーガリンで使用するために、全脂肪を彷彿とさせるバターのような、クリーミーな特性を有するフレーバーを探した。これらの要求は、今まで使用されたフレーバーによって部分的にのみ満たされていた。
標準と比較すれば、ジバニリンを含むフレーバーは、バタータイプ及び全脂肪特性の著しく改善された風味特性を付与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーバーとしてのジバニリンの使用。
【請求項2】
クリーム状、粘着性、乳脂肪質、バター様、甘味及び濃厚の群の1つの食感又は複数の食感を与える又は高めるためのジバニリンの使用。
【請求項3】
食品半製品又はインスタント食品における請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
ジバニリン及びバニリンを含み、必要によりさらに1つ以上のフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよく、ジバニリンとバニリンの量の比が1:200よりも大きく、好ましくは1:100よりも大きい、食品にフレーバーを与えるためのフレーバー組成物。
【請求項5】
合成ジバニリン及びバニリンを含み、必要によりさらに1つ以上のフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよい、食品にフレーバーを与えるためのフレーバー組成物。
【請求項6】
フレーバー組成物の全重量を基準として、0.1〜50重量%の量のジバニリン、及びさらに1つ以上のフレーバー及び/又は風味付与物質を含む、半製品又はインスタント食品にフレーバーを与えるためのフレーバー組成物。
【請求項7】
食品の全重量を基準として、風味閾値〜0.00099重量%の量のジバニリンを含み、必要によりさらに1つ以上のフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよい、インスタント食品又は食品半製品。
【請求項8】
ジバニリン及びバニリンを含み、必要によりさらに1つ以上のフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよく、ジバニリンとバニリンの量の比が1:200よりも大きく、好ましくは1:100よりも大きい、インスタント食品又は食品半製品。
【請求項9】
合成ジバニリン及びバニリンを含み、必要によりさらに1つ以上のフレーバー及び/又は風味付与物質を含んでもよい、インスタント食品又は食品半製品。
【請求項10】
食品にフレーバーを与える方法であって、フレーバーを与える食品に感覚的に効果が認められる量のジバニリンを添加し、添加されるジバニリンの量が、フレーバーを与えられた食品の全重量を基準として、0.00099重量%を越えない、前記方法。

【公表番号】特表2006−519599(P2006−519599A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504484(P2006−504484)
【出願日】平成16年2月28日(2004.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002004
【国際公開番号】WO2004/078302
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(591278585)ジムリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディットゲゼルシャフト  (14)
【Fターム(参考)】