説明

フレームの接合構造、電池用セルスタック、レドックスフロー電池、および電池用セルスタックの製造方法

【課題】電池のセルスタックの構築に好適で、接合作業性およびシール性に優れるフレームの接合構造を提供する。
【解決手段】フレームの接合構造1は、隣接するセルフレーム10A、10Bの各々が有するフレーム11A、11B同士を接合して、フレーム11A、11Bの内側にレドックスフロー電池のセルとなる領域を形成するためのフレームの接合構造で、フレーム11A、11Bの間に導電性部材12と融着層13とを具える。導電性部材12は、フレーム11A、11Bの間に、フレーム11A、11Bの周方向に沿って環状に配置される。融着層13は、導電性部材12に隣接し、フレーム11A、11Bの一部で構成される。上記融着層13により、隣接するフレーム11A、11Bを接合して各フレーム11A、11Bの内側領域を液密に封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量の蓄電池として利用されるレドックスフロー電池などの電池の構成部品であるセルフレームのフレームの接合構造、セルスタック、および、そのセルスタックを利用したレドックスフロー電池、ならびに、セルスタックの製造方法に関するものである。特に、接合作業性およびシール性に優れるフレームの接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や風力発電といった新エネルギーを蓄電する大容量の蓄電池の一つにレドックスフロー電池(RF電池)がある。RF電池は、正極用電解液に含まれるイオンと負極電解液に含まれるイオンの酸化還元電位の差を利用して充放電を行う電池である。図6のRF電池の動作原理図に示すように、RF電池は、水素イオンを透過させる隔膜101で正極セル102と負極セル103とに分離されたセル100を備える。正極セル102には正極電極104が内蔵され、かつ正極用電解液を貯留する正極電解液用タンク106が導管108,110を介して接続されている。同様に、負極セル103には負極電極105が内蔵され、かつ負極用電解液を貯留する負極電解液用タンク107が導管109,111を介して接続されている。各タンク106,107に貯留される電解液は、ポンプ112,113によりセル102,103に循環される。
【0003】
上記RF電池には、通常、図7に示す複数のセル100を積層させたセルスタック200と呼ばれる構成が利用されている。このセルスタック200は、フレーム122に一体化された双極板121を具えるセルフレーム120、正極電極104、隔膜101、および負極電極105を、この順番で積層することで形成される。フレーム122には、電解液の供給、排出に利用される両極の給液孔、排液孔、液導入溝、液排出溝を具える。上記積層により、隣接するセルフレーム120の双極板122の間に一つのセルが形成されることになる。そのようにセルスタック200は、セルフレーム120や電極104,105、隔膜101を積層した積層体であるため、各部材の隙間から電解液が漏れないようにする必要がある。
【0004】
特許文献1には、図8に示すように、内周シール溝133、外周シール溝134がフレーム122の両面にそれぞれ対向する位置に設けられ、その内周シール溝133、外周シール溝134にそれぞれ、内周シール131、外周シール132を配置してセルの電解液の漏洩を防止することが記載されている。この内周シール131および外周シール132にはOリングを使用し、隔膜101を圧接するとともに、電解液をシールしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−367659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のセルフレームを用いたセルスタックには、以下の点において更なる改善の余地があった。
【0007】
(1)セルスタックの組立作業性
上述したセルスタックによると、電解液漏洩防止のために、内・外の2重シールとし、その両方にOリングを使用しているが、Oリングは柔らかい上に長い紐状なので形状が定まり難い。そのため、セルフレームが大きくなるほどOリングも大きくなって、そのハンドリングが一層困難になる。その上、そのOリングを一つのセルフレームにつき、4本も使用しているため、セルスタックの組立作業が煩雑である。
【0008】
(2)電解液のシール性
Oリングは、フレーム間の所定位置に適正に配置されていても、経年劣化により電解液のシール性が不十分になる虞がある。そのため、Oリングよりもシール性が経年劣化し難いフレームの接合構造が求められていた。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、電池のセルスタックの構築に好適で、接合作業性およびシール性に優れるフレームの接合構造を提供することにある。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、組立作業性およびシール性に優れる電池用セルスタックを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、上記セルスタックを具えるレドックスフロー電池を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、上記電池用セルスタックの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のフレームの接合構造は、隣接するセルフレームの各々が有するフレーム同士を接合して、フレームの内側に電池のセルとなる領域を形成するためのもので、フレーム同士の間に導電性部材と、融着層とを具える。上記導電性部材は、上記両フレームの間に、上記各フレームの周方向に沿って環状に配置される。上記融着層は、上記導電性部材に隣接し、上記フレームの一部で構成される。そして、上記融着層により、隣接するフレーム同士を接合して各フレームの内側領域を密封する。この密封は、内側領域内に導入される活物質の状態に応じて適宜選択され、活物質が電解液などの液体なら液密、気体なら気密とされる。
【0014】
本発明のフレームの接合構造によれば、後述するように、導電性部材の通電加熱によりフレームの一部を溶融して形成された融着層を具える。この融着層により、各フレームの内側領域を密封するので、各フレームの内側領域を密封するためのシール部材として、ハンドリングが困難なOリングが不要となる。そのため、フレーム同士の接合作業が容易になる。
【0015】
その上、この融着層は、フレームの全周にわたってフレームの一部で形成されているため、融着層による接合箇所では、隣接するフレーム同士は界面を介することなく連続して接合された構成とすることができる。そのため、Oリングなどのシール部材に比べて劣化が生じ難く、長期的に優れたシール性を有する接合構造とすることができる。
【0016】
本発明接合構造の一形態として、隣接するフレームの対向面のうち、一方のフレームの対向面に凹部を具え、他方のフレームの対向面に上記凹部に嵌合される凸部を具え、上記導電性部材および融着層は、上記凹部と凸部の嵌合箇所に配置されていることが挙げられる。
【0017】
上記の構成によれば、一方のフレームに凹部を具え、他方のフレームに凸部を具えることで、導電性部材を凹部に配置し易くなることに加えて、その凹部に凸部を嵌め込むことで、フレーム同士の位置決めもし易くなる。したがって、フレーム同士がずれて接合されるということが生じ難い。
【0018】
本発明接合構造の一形態として、上記導電性部材は、一連の長尺材からなることが挙げられる。
【0019】
上記の構成によれば、隣接するフレーム間に配置する導電性部材の数が少なく、複数の導電性部材で環状になるように配置する必要がないので配置作業が一度で済む。また、フレームの周方向に沿って環状に配置される導電性部材が一連の長尺材からなることで、その導電性部材に隣接する融着層は、フレームの周方向に隙間が生じ難くなる。さらに、導電性部材はフレーム間で一連であるので、このフレームの接合構造を分解する場合、導電性部材に対する一度の通電で全周に亘って融着層を再溶融し、両フレームの接合を分離することができる。
【0020】
本発明接合構造の一形態として、上記導電性部材は、複数の長尺材の組み合わせからなることが挙げられる。
【0021】
上記の構成によれば、フレームの周方向でシール性にばらつきが生じ難い。導電性部材が複数の長尺材の組み合わせからなることで、フレームの厚みが局所的に異なる場合や、フレームが長辺、短辺の組み合わせからなる場合でも、局所的に異なるフレームの熱容量に応じて各導電性部材を異なる条件で加熱することができる。そのため、この熱容量の相違に伴うフレームの溶融のばらつきを抑えることができ、フレームの周方向でシール性にばらつきを生じ難くすることができる。
【0022】
本発明の電池用セルスタックは、正極電極、隔膜、および負極電極を具えるセルが複数積層されてなり、各セルを挟む複数のセルフレームを具える。上記各セルフレームは、上記両電極間に配置される双極板と、この双極板の外周に配置されるフレームとを有している。そして、上記フレーム同士は、本発明のフレームの接合構造により接合されている。
【0023】
本発明のセルスタックによれば、接合作業性に優れる本発明のフレームの接合構造を具えているため、セルスタックの組立作業が煩雑になり難い。その上、上記フレームの接合構造は、シール性にも優れるため、電解液が漏洩し難いセルスタックとすることができる。
【0024】
本発明セルスタックの一形態として、上記フレームを挟む導電性部材同士が、電気的に導通していることが挙げられる。
【0025】
上記の構成によれば、セルスタックを廃棄するためなど、接合したフレーム同士を分離する際、一つの通電装置で一度の通電により複数の接合構造の融着層を再溶融させ、セルスタックを容易に分解することができる。そのため、セルスタックの分解作業に手間がかかり難い。
【0026】
本発明セルスタックの一形態として、上記フレームを挟む導電性部材同士が、電気的に遮断されていることが挙げられる。
【0027】
上記の構成によれば、セルスタックを廃棄するためなど、接合したフレーム同士を分離する際、隣接するフレーム間の導電性部材に個別に通電することができる。そのため、複数の接合構造を一括して分離する場合に比べて、接合構造毎の分離に必要な電力を小さくすることができる。それにより、電源容量の小さな通電装置でもセルスタックの分解が可能になる。
【0028】
本発明のレドックスフロー電池は、上記本発明電池用セルスタックと、正極用循環機構と、負極用循環機構とを具える。上記正極用循環機構は、上記セルスタックに正極用電解液を循環させる。上記負極用循環機構は、上記セルスタックに負極用電解液を循環させる。
【0029】
本発明のレドックスフロー電池によれば、電解液が漏洩し難いセルスタックを具えているので、電池特性が低下し難い上に、電解液漏洩による短絡などの諸問題を解消することができる。
【0030】
本発明の電池用セルスタックの製造方法は、正極電極、隔膜、および負極電極を具えるセルとフレームを有するセルフレームとを交互に積層してセルスタックを形成する方法であって、以下の準備工程と、配置工程と、積層工程と、接合工程とを具える。
準備工程:正極電極、隔膜、負極電極、およびセルフレームの各々を複数用意する。
配置工程:上記フレーム毎に、そのフレームの周方向に沿って環状に導電性部材を配置する。
積層工程:上記配置工程後、上記セルフレーム、正極電極、隔膜、負極電極を順に繰り返し積層する。
接合工程:上記積層工程後、上記全導電性部材を通電して発熱させることで、隣接するフレーム同士を融着する。
【0031】
本発明の製造方法によれば、導電性部材がフレームの周方向に沿って環状に配置され、その導電性部材に通電することで生じる熱でフレーム同士を融着しているため、フレーム間の隙間をその全周に亘って融着層で埋めて、隣接するフレーム同士を接合することができる。そのため、シール部材として、Oリングなどをフレーム間に介在させる必要がないため、セルスタックの組立作業が煩雑になり難い。その上、フレーム同士を融着しているので、両フレームの対向面において、融着層を具える箇所は、界面を介することなく接合することができる。そのため、フレーム間に隙間が生じ難く、シール性に優れたセルスタックを製造することができる。
【0032】
そして、セルスタック製造後、フレーム間に導電性部材が配置された状態なので、セルスタックを廃棄する場合に、導電性部材に再度通電することで、フレーム間の融着層を再度融かして容易にフレーム同士を分離することができる。
【0033】
本発明製造方法の一形態として、上記接合工程は、上記フレームを挟む導電性部材同士を直列に接続して通電することが挙げられる。
【0034】
上記の構成によれば、複数の接合構造に設けられた個々の導電性部材に、同一の時間、同一の電流を一度に流すことができるので、全てのフレーム同士を一度に融着することができる。そのため、融着作業を簡略化できるので、製造作業を簡略化できる。そのうえ、同じ融着条件で全てのフレーム間を接合することができる。
【0035】
本発明製造方法の一形態として、上記接合工程は、各フレーム間の導電性部材毎に通電することが挙げられる。
【0036】
上記の構成によれば、各フレーム間の導電性部材毎に通電して融着することができるため、一度の融着に必要な電力が小さくて済むので、電源容量の小さな通電装置でも融着が可能になる。
【発明の効果】
【0037】
本発明のフレームの接合構造は、Oリングが不要となるので、接合作業性に優れる。そのうえ、隣接するフレーム同士は両フレームの一部が溶融して互いに融着した接合構造とできるため、液体のシール性に優れる。
【0038】
本発明の電池用セルスタックは、接合作業性に優れるフレームの接合構造を具えているため、セルスタックの組立作業が煩雑になり難い上に、上記フレームの接合構造は、シール性にも優れるため、電解液が漏洩し難いセルスタックとすることができる。
【0039】
本発明のレドックスフロー電池は、電解液が漏洩し難いセルスタックを具えているため、電解液の漏れによる電気特性の低下が生じ難い上に、電解液漏洩による短絡などの問題を解消することができる。
【0040】
本発明の電池用セルスタックの製造方法は、シール部材として、Oリングなどをフレーム間に介在させないので、セルスタックの組立作業が煩雑になり難い。そのうえ、フレーム同士を融着するので、両フレームの対向面において、融着層を具える箇所は、界面を介することなく接合することができる。そのため、フレーム間に隙間が生じ難く、シール性に優れたセルスタックを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態1に係るフレームの接合構造を示す概略図であって、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図2】実施形態1に係るフレームの接合構造において、導電性部材の配置形態の概略を示す説明図であって、一連の導電性部材を配置した形態を示す。
【図3】実施形態1に係るセルスタックの部分断面図である。
【図4】実施形態2に係るセルスタックにおいて、フレーム同士の接合方法を示す説明図であって、(A)は、フレーム同士を個々に接合する方法を示す模式図、(B)は、全フレームを同時に接合する方法を示す模式図である。
【図5】変形例1に係るフレームの接合構造において、導電性部材の配置形態の概略を示す説明図であって、(A)は複数の導電性部材が非接触に配置した形態を示す模式図、(B)は導電性部材を格子状に配置した形態を示す模式図である。
【図6】レドックスフロー電池の動作原理図である。
【図7】従来のセルスタックの概略構成図である。
【図8】従来のセルフレームを積層させた際のフレーム付近の断面を模式的に示した部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明レドックスフロー電池(RF電池)の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明RF電池は、RF電池に備わるセルスタックの一部に特徴がある。それ以外の構成は、図6を用いて説明した従来のRF電池と同様、セルスタックに正極用電解液を循環させるためのポンプ112、導管108、111、タンク106を有する正極用循環機構と、セルスタックの負極用電解液を循環させるためのポンプ113、導管109、111、タンク107を有する負極用循環機構とを具える。したがって、以下の実施形態では、従来のRF電池(セルスタック)との相違点を中心に説明し、従来と同様の構成については、図6、7と同一符号を付してその説明を省略する。なお、図1〜図5に示すフレーム11は、本発明の特徴部分がわかり易いように両極の給液孔、排液孔、液導入溝、液排出溝を省略している。図2に関しては、説明の便宜上、フレーム11の表面の導電性部材12が露出しているが、紙面手前には、正極電極、隔膜、および負極を具えるセルともう一枚のセルフレームが積層されているものとする。図4に関しても同様に、導電性部材12を配置したセルフレーム10を積層しているが、セルフレーム10間にセル100が配置され、紙面手前には、セル100ともう一枚のセルフレーム10が積層されているものとする。
【0043】
<<実施形態1>>
図3に示す本発明のセルスタック20は、図7を参照した従来のセルスタック200と同様に、正極電極104と隔膜101と負極電極105を具えるセル100とセルフレーム120とを交互に積層した積層体を、エンドプレート210、220で挟みこみ、締付機構230で締め付ける構成を具える。このセルスタック20の特徴は、セルフレーム10を構成するフレーム11同士の接合構造にある。そこで、まず、図1、2に基づいてフレームの接合構造について説明し、次いで、図3、4に基づいて上記フレームの接合構造を具えるセルスタック、およびその製造方法について説明する。
【0044】
<フレームの接合構造>
本発明のフレームの接合構造1は、図1(A)に示すように、双極板121とその双極板121の外周に装着されるフレーム11を有する少なくとも2つのセルフレーム10を接合してなる。各セルフレーム10A、10Bのフレーム11A、11Bの間に、導電性部材12と、融着層13とを具える(図1(B))。図1(A)のセルフレーム10A、10Bの間には隠れて見えていないが、上記セル100が挟まれている。
【0045】
(フレーム)
セルフレーム10A、10Bを構成するフレーム11A、11Bは、内側にレドックスフロー電池のセルとなる領域を形成するためのもので、双極板121の外周に装着される矩形枠をなしている。
【0046】
このフレーム11A、11Bの構成材料は、耐酸性、電気絶縁性、機械的特性を満たす熱可塑性樹脂からなるものであればよく、具体的には、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンなどのプラスチックや、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴムが挙げられる。
【0047】
このフレーム11には、フレーム11の一方の面に周方向に沿って環状の凹部と、他方の面の上記凹部と対向する位置に凸部を形成しておくことが好ましい。そうすることで、後述する導電性部材12を凹部に配置し易くなる。加えて、セルフレーム10を重ねる際に、上記凹部と凸部を嵌め合わせることでセルフレーム10同士の位置決めもし易い。凹部および凸部の断面形状は、互いに嵌合できる形状であれば、特に問わない。代表的には、矩形が挙げられるが、その他、半円状などでもよい。この凹部および凸部は、フレーム11において、後述する導電性部材12の端子の引き出し部12Aにも形成されている。
【0048】
この凹部と凸部の幅は、導電性部材12の断面径と同等以上の幅を有することが好ましい。そうすることで、導電性部材12を凹部に嵌め込むことができるので、導電性部材12がずれることがなく配置し易い。この凹部の深さと凸部の高さは、導電性部材12の断面径超であることが好ましい。そうすることで、凹部に導電性部材12を嵌め込んだ状態でも、凸部を凹部に嵌め込むことができる。
【0049】
後述するように、導電性部材12は環状に配置される長尺材であるが両端部を有し、両端部に設けられた一対の端子部分と各端子部分に繋がる引き出し部12Aを有する。各引き出し部12Aは、代表的には、導電性部材12の各端部側がほぼ並行するように凹部に配置されて構成され、各端子部分は、フレーム11から突出される。また、上記両引き出し部12A間には、この両者を絶縁する絶縁壁が形成されている。即ち、凹部、凸部及び導電性部材12の周方向の一部を分断する不連続箇所(絶縁壁)を有する場合も凹部、凸部、及び導電性部材12は、環状とみなす。この絶縁壁はフレームの一部を構成し、凹部同士の間及び凸部同士の間のいずれに設けられていてもよい。絶縁壁の大きさは適宜選択することができるが、導電性部材12に通電したときに、この絶縁壁が両引き出し部12Aからの熱により溶融されて、相手方フレームとの界面に融着層を構成する程度であることが好ましい。例えば、並行する一対の凹部の間に絶縁壁を具える場合、絶縁壁の高さを凹部の深さ以下(即ち、凸部の高さ以下)、好ましくは凹部の深さの半分程度とし、並行する凸部の間には、絶縁壁の高さに応じたへこみを有する形態が挙げられる。この構成により、絶縁壁の突端面と相手方フレームの対向面(上記へこみの表面)との界面を、凹部の底面(凸部の突端面)近傍に位置する導電性部材12に近接させ、この界面付近を確実に融着させることができる。
【0050】
(導電性部材)
導電性部材12は、通電装置30からの通電により発熱されて、フレーム11A、11Bの一部を融解して後述する融着層13を形成するためもので、フレーム11A、11Bの間に、このフレーム11A、11Bの周方向に沿って環状に配置される。
【0051】
この導電性部材12の形状は、フレーム11A、11Bを融かして融着層13を形成でき、そのうえで、フレーム11A、11Bに配置し易いものであればよい。具体的には、長尺材が好ましく、より特定的には、例えば、平角線や丸線などが挙げられる。特に、フレーム11A、11Bの幅(フレーム外縁と内縁との間隔)よりも十分狭い細さの長尺材が導電性部材12として好適である。このような細い導電性部材によれば、フレーム11A、11Bの幅方向の局所のみを導電性部材12の発熱により融解させることができ、不必要にフレームの加熱領域が広がることがない。
【0052】
この導電性部材12の構成材料は、屈曲して凹部に配置し易い可撓性を有し、かつ屈曲させた特定形状を保持する剛性を有して、通電した際に、フレーム11A、11Bの一部を融解することができる程度の熱を発せられるものであればよく、具体的には、アルミニウム、銅、およびこれら各金属の合金、並びにステンレス、鉄などからなる金属線が挙げられる。そのような金属材料からなることで、導電性部材12近傍のフレーム11A、11Bを融解してフレーム11A、11Bの一部からなる融着層13を導電性部材12に隣接して形成することができる。この導電性部材12には、金属フィラーやカーボンなどの導電性粉末が含有された樹脂などを用いても、上記金属線を使用した場合と同様の効果が得られると考えられる。
【0053】
この導電性部材12の配置形態は、この導電性部材12に隣接して形成される融着層13がフレーム11A、11Bの周方向の全周に隙間なく形成されるように、環状に配置されていればよい。つまり、この導電性部材12に隣接して形成される融着層13が、フレーム11A、11Bの周方向の全周に形成されるように、導電性部材12を配置すればよい。それにより、各フレーム11A、11Bの内側領域を密封、特に本例のようにRF電池の場合は、電解液を液密に防ぐことができる。ここでは、図1(A)の点線のように、一連の長尺材からなる導電性部材12で環状に配置する。このように導電性部材12が一連の長尺材からなる場合、フレーム11Bへの配置が一度で済む。その上、融着層13は、この導電性部材12に隣接して形成されるので、一連の長尺材からなると、形成される融着層13に周方向に亘って隙間が生じ難い。そのため、各フレーム11A、11Bの内側領域を液密に封止し易い。その融着層13を形成するのも、一つの通電装置30で一度にできるので融着層13の形成作業が煩雑になり難い。
【0054】
この導電性部材12のフレーム11A、11B間における配置箇所は、凹部内の他、各フレーム11A、11Bの対向面のうち、凹部と凸部の表面を嵌合面、嵌合面以外の面を被嵌合面とするとき、非嵌合面上としてもよい。
【0055】
この導電性部材12は、フレーム11A、11B同士を接合する際、通電する必要があるため、その各端部(端子)がフレーム11A、11Bの間から突き出た状態である。この導電性部材12のうち、フレーム11A、11Bの外縁から外側に露出する箇所はフレームの接合後、切断してもよいし、そのまま残しておいてもよい。そのまま残す場合は、絶縁テープなどの適宜な絶縁性部材を被せておけばよい。この端子を残しておけば、この接合構造1を分離してセルスタックを分解する場合に、再度端子から通電すれば、フレーム11A、11B同士を容易に分離することができる。上記端子の他の構成としては、次の構成が挙げられる。まず、互いに近接した一対の貫通孔を各フレームに形成しておく。各貫通孔は上記凹部に連結している。また、導電性部材12の各端部には、上記各貫通孔に嵌め込まれる筒状の端子金具を接続しておく。この導電性部材12を凹部に嵌め込むと共に、各端子金具を貫通孔に嵌め込んで固定する。一方、通電装置30のリード線の端部には、棒状プラグを設けておく。この棒状プラグを筒状の端子金具に挿脱することで、通電装置30と導電性部材12との接続・分離を容易に行える。しかも、棒状プラグの取外し後、導電性部材12の端部が接合されたフレームの外側に露出されることもない。
【0056】
(融着層)
融着層13は、フレーム11A、11Bを接合して、フレーム11A、11Bの融着層13よりも内側領域を液密に封止するためのもので、導電性部材12に隣接してフレーム11A、11Bの一部から構成される。そのため、両フレーム11A、11Bの対向面において、融着層13を具える箇所は、界面を介することなく一体に連続して接合されている。したがって、融着層13はフレーム11A、11B間から液が漏れる隙間が生じ難いうえに、接合強度にも優れる。この融着層13の厚みは、両フレーム11A、11Bを接合すると共に、フレーム11A、11Bの内側領域を液密に封止する程度を有していればよい。
【0057】
この融着層13は、接着剤成分が含まれていてもよい。この接着剤は、後述する配置工程で、導電性部材12を凹部に配置する際、凹部に塗布してもよい。
【0058】
<レドックスフロー電池用セルスタック>
以上のフレームの接合構造1を具える本発明RF電池用セルスタック20は、図3に示すように、正極電極104と隔膜101と負極電極105を具えるセル100が複数積層されており、各セル100を挟む複数のセルフレーム10を具えている。このセルフレーム10において、積層方向の一端(紙面左端)は凹部のみを具えるフレーム11が、積層方向の他端(紙面右端)は凸部のみを具えるフレーム11が設けられている。これら両端のフレーム11の間に配置しているフレーム11は、全て一面に凹部、他面に凸部が設けられている。これらフレーム11同士が、上述したフレームの接合構造1により接合されて、セル100とセルフレーム10との積層体を一体化している。その積層体の両側をエンドプレート210、220で挟み込み、締付機構230で締め付けている。
【0059】
このセルスタック20において、各フレーム11を挟む導電性部材12同士が連続していてもよいし、不連続であってもよい。このセルスタック20を廃棄する場合に、前者の場合であれば、導電性部材に再度通電する際、一度にセルスタック20に配されている全導電性部材に通電することができる。そのため、フレーム間の融着層を一度に溶かすことができるので、セルスタック20の分解作業が煩雑になり難い。一方、後者の場合であれば、各フレーム間の導電性部材毎に通電してフレーム同士を分離するので、一度の通電に必要な電力が小さくて済む。
【0060】
このセルスタック20は、次述する製造方法により製造することができる。
【0061】
<セルスタックの製造方法>
上述したセルスタック20は、以下に示す準備工程→配置工程→積層工程→接合工程の順に各工程を施して製造することができる。以下、各工程について説明する。
【0062】
[準備工程]
まず、準備工程では、セルスタック20の構成部材を用意する。図3に示すセルスタック20を作製するには、セルスタック20を構成する、複数の正極電極104、隔膜101、負極電極105、およびセルフレーム10と、一対のエンドプレート210、220と、そのエンドプレート210、220を締め付ける締付機構230とを用意する。この締付機構230は、締付軸231と、締付軸231の両端に螺合されるナット232,233と、ナット232とエンドプレート210の間に介在される圧縮バネ234とを具える。
【0063】
[配置工程]
次に、配置工程では、セルフレーム10のフレーム11毎に導電性部材12を配置する。ここでは、後工程の接合工程で、融着層13を形成する際に、フレーム11の周方向全周に隙間が生じないように、導電性部材12を配置する必要がある。ここでは、図2に示すように、一連の長尺材からなる導電性部材12をフレーム11の一面に環状に形成された凹部のほぼ全長に嵌め込まれるように配置する。
【0064】
[積層工程]
続いて、積層工程では、セル100とセルフレーム10とを交互に積層する。この工程では、まず、エンドプレート220に締付軸231とナット233を取り付ける。締付軸231を取り付けたエンドプレート220を地面に平行において、そのエンドプレート220上に、導電性部材12をフレーム11に配置したセルフレーム10、正極電極104(負極電極105)、隔膜101、負極電極105(正極電極104)の順に繰り返し積層する。その際、フレーム11の凹部に次のフレーム11の凸部を嵌め合わせて配置する。この積層工程は、エンドプレート220上に、順次セルフレーム10、正極電極104、隔膜101、負極電極105を一枚ずつ積み重ねていくことで行っても良いし、所定数のセルフレーム10や正極電極104、隔膜101、負極電極105を積層した積層体をエンドプレート220上に載せることを繰り返すことで行っても良い。積層体をエンドプレート220上に載せた後、エンドプレート220上に配置した積層体の上に、エンドプレート210を配置して、締付軸231の端部にナット232を取り付ける。このとき、ナット232とエンドプレート210との間に圧縮バネ234を配置しておき、上記積層体を仮圧縮しておく。この仮圧縮は、締付機構230以外の適宜な押圧機構を用いて、エンドプレート210、220のない状態で行ってもよい。
【0065】
[接合工程]
接合工程では、上記配置工程でフレーム11間に配置された全導電性部材12に通電して各フレーム11同士を融着して接合する。この接合に際し、導電性部材12に通電する前は、凹部の底面と凸部の先端面の間に導電性部材12が介在されているため、非嵌合面同士には導電性部材12の断面径に相当するギャップがある。この状態で導電性部材12に通電して発熱させると、凹部の底面と凸部の先端面が融けはじめ、導電性部材12が凹部の底面と凸部の先端面にめり込む。その際、上記凸部が凹部の奥側にはまり込み、上記ギャップは狭くなる。そして、導電性部材12近傍の凹部側の溶融部と凸部側の溶融部とが接触することで一体化され、対向する非嵌合面同士が接触して上記ギャップが無くなる。それにより、両フレーム11の非嵌合面同士が当接したところで通電を止める。その後、一体化された凹部側と凸部側の溶融部同士が冷却されて硬化し、融着層13を形成する。全フレーム11同士を融着したら、締付機構230で本締めしてスタックを完成させる。ここで、導電性部材12に通電する方法として、図4(A)に示すように、各フレーム11間に配置される導電性部材12毎に通電する方法(以下、個別通電方法)や、図4(B)に示すように、フレーム11を挟む全導電性部材を直列に接続して一度に通電する方法(以下、同時通電方法)が挙げられる。
【0066】
(個別通電方法)
この方法では、図4(A)に示すように、各フレーム11間に配置される導電性部材12毎に通電してそれぞれ接合する。この場合、通電装置30が一つで各フレーム11間を順に接合してもよいし、導電性部材12の数だけ通電装置30を用意して同時に通電して接合してもよい。この方法によれば、一度の融着に必要な電力が小さくて済むので、電源容量の小さな通電装置30でも融着が可能になる。一方、セルスタック20を解体する場合も同様に電源容量の小さな通電装置でも解体が可能である。なお、必要に応じて、個別に導電性部材の通電条件を制御することもできる。
【0067】
(同時通電方法)
この方法では、フレーム11を挟む導電性部材12同士を直列に接続して通電し、各フレーム11同士を一度に接合する。導電性部材12同士を直列に接続するのに、別途接続部材40を設けてもよい。フレーム同士を接合した後は、その接続部材40は、接続した状態のままにしておいてもよいし、取り外してそれぞれの導電性部材12が直列に接続されていない状態にしてもよい。この方法では、上記個別接合方法に比べて、大容量の電源が必要であるが、一つの電源で一度に全フレーム同士を接合できる。つまり、いずれのフレーム間の導電性部材にも、同一の時間、同一の電流を流すことで複数のフレーム同士を融着して接合するので、各フレーム間におけるシール性をより均一にすることができる。
【0068】
[作用効果]
上述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0069】
(1)各フレーム同士をフレームの一部で形成された融着層で、フレームの周方向全周に亘って接合しているため、接合強度に優れるとともに、フレーム間から電解液が漏洩する隙間が融着層に生じ難く、シール性に優れる。したがって、電解液が漏洩し難い。
【0070】
(2)上述した製造方法によれば、フレーム間の隙間をその全周に亘ってフレームの一部である融着層で埋めることができる。そのため、フレーム間のシール部材としてハンドリングが困難なOリングをフレーム間に介在させる必要がない。したがって、各フレーム間の接合作業、およびセルスタックの組立作業が煩雑になり難い。
【0071】
(3)導電性部材が発する熱の影響を受けるのは、導電性部材の配置箇所近傍なので、双極板、両電極、および隔膜などに不必要な熱の影響を及ぼさない。そのため、双極板、両電極、および隔膜に熱による劣化が生じない。
【0072】
(4)フレーム同士の部分的融着により隣接するフレーム同士を接合するため、Oリングなどのシール部材が不要であり、このシール部材の圧縮も不要である。そのため、本発明のセルスタックでは、シール部材を用いた従来のセルスタックに比べて、セルスタックを圧縮する締付機構の圧縮力が小さくて済む。したがって、フレームにクラックが発生することを抑制することができる。
【0073】
<<変形例1>>
上述した実施形態1では、フレーム11A、11Bの間に配置される導電性部材12が、一連の長尺材からなる場合について説明した。この変形例1では、図5に示すように、フレーム11Bの周方向に環状に配置される導電性部材12が複数の長尺材の組み合わせからなる点が、実施形態1と相違する。以下、実施形態1と相違する点について説明する。なお、図5に関しては、説明の便宜上、フレーム11の表面の導電性部材12が露出されているが、紙面手前には、正極電極、隔膜、および負極電極を具えるセルともう一枚のセルフレーム10が積層されているものとする。
【0074】
本例では、フレーム11Bに配置される導電性部材12が、複数の長尺材の組み合わせからなる。その導電性部材12を、フレーム11Bの周方向に環状に配置する。その場合、例えば、図5(A)に示すように、フレーム11Bを構成する長辺、短辺に配置される導電性部材12にそれぞれ単独で通電する形態(以下、分割通電形態)や、図5(B)に示すように、導電性部材は各辺に配置されるが、一度に全ての辺に通電することができる形態(以下、対角通電形態)が挙げられる。
【0075】
(分割通電形態)
この形態は、導電性部材12が、フレーム11Bの長辺と短辺の各辺に沿ってそれぞれ配置される。各導電性部材12の両端部は、フレーム11の各辺の外縁側に向かって屈曲され、この外縁から外側に露出されて、通電装置30に接続するための端子とされる。この屈曲により、フレーム11の隣接する各辺に配される導電性部材12同士は、非接触となる。但し、隣接する導電性部材12同士の距離は、その導電性部材12に通電して融着層13を形成する際に、融着層13がフレーム11A、11Bの周方向全周に亘って形成できる程度であることが必要である。各辺に配置される導電性部材12は、例えばフレーム11Bの長辺と短辺の熱容量に応じて、それぞれ別材料で構成してもよい。
【0076】
この形態では、一つの通電装置30で導電性部材12毎にそれぞれ通電してもよいし、導電性部材12の数だけ通電装置30を用意して全ての導電性部材12に同時に通電することでフレーム11A、11B同士を接合してもよい。
【0077】
(対角通電形態)
この形態では、フレーム11Bの長辺と短辺の各辺に沿ってそれぞれの導電性部材12を配置する点は分割通電形態と同じであるが、その導電性部材12同士は交差して接するように配置する。例えば、4本の導電性部材12を格子状に形成するように配置することが挙げられる。この形態の場合、フレーム11に形成される凹部および凸部は、フレーム11の周方向に不連続箇所のない環状を成す。
【0078】
この形態では、例えば、図5(B)に示すように、通電する際は対角に位置する導電性部材12の端子同士に通電装置30を繋いで通電することが好ましい。そうすることで、フレーム11Bの対角線を挟む一方の長辺と短辺の組合せと、他方の長辺と短辺の組合せとを電流路とする並列回路が形成され、各組合せの電流路の長さを共通とすることができる。その結果、各組合せの電流路における導電性部材12の発熱状態を均一化でき、フレーム11A、11Bの各辺で融着具合にばらつきが生じ難い。
【0079】
[作用効果]
上述した変形例によれば、以下の効果を奏する。
【0080】
(1)導電性部材が複数の長尺材の組み合わせからなり、フレームの局所毎に導電性部材を適宜配置することができる。そのため、フレームが長辺、短辺のように長さの異なる辺からなる場合のように、局所的にフレームの熱容量が異なる場合でも、通電条件を適宜変更でき、フレームの周方向においてシール性にばらつきが生じ難い。例えば、熱容量の大きい箇所に対する通電は、通電出力を大とし、熱容量の小さい箇所に対する通電は、通電出力を小とすることで上記ばらつきを解消する。
【0081】
(2)導電性部材が複数の長尺材の組み合わせからなるが、上述の対角通電形態では、フレーム同士を接合するのに通電装置が一つで済む。その上、複数のセルとセルフレームを積層して、積層方向に隣接する導電性部材同士が近接する場合でも、通電装置に接続される両端子が、互いに離れたフレームの対角位置にあるため、通電装置と各端子との接続も容易に行える。
【0082】
上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、導電性部材の材質・断面サイズ、配置形態などを適宜変更することができる。一例としては、導電性部材を蛇行させながらフレームの周方向に沿って配置することで、融着層の合計長をより長くして、フレームの接合強度を高めることが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明フレームの接合構造は、本発明の電池用セルスタックや本発明RF電池に好適に利用できるとともに、燃料電池などの他の電池や熱交換器の構成部材の接合構造にも利用できる。また、本発明RF電池は、太陽光発電、風力発電などの新エネルギーの発電に対して、発電出力の変動の安定化、発電電力の余剰時の蓄電、負荷平準化などを目的とした用途に好適に利用することができる。そして、本発明RF電池は、一般的な発電所に併設されて、瞬低・停電対策や負荷平準化を目的とした大容量の蓄電池としても好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 フレームの接合構造
10、10A、10B セルフレーム 11、11A、11B フレーム
12 導電性部材 12A 引き出し部 13 融着層
20 セルスタック
30 通電装置
40 接続部材
100 セル 101 隔膜 102 正極セル 103 負極セル
104 正極電極 105 負極電極 106 正極電解液用タンク
107 負極電解液用タンク 108、109、110、111 導管
112、113 ポンプ
120 セルフレーム 121 双極板 122 フレーム
131 内周シール 132 外周シール 133 内周シール溝
134 外周シール溝
200 従来のセルスタック
210、220 エンドプレート
230 締付機構
231 締付軸 232、233 ナット 234 圧縮バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するセルフレームの各々が有するフレーム同士を接合して、フレームの内側に電池のセルとなる領域を形成するためのフレームの接合構造であって、
前記フレームの間に、当該フレームの周方向に沿って環状に配置される導電性部材と、
前記導電性部材に隣接し、前記フレームの一部で構成される融着層とを具え、
前記融着層により、隣接するフレーム同士を接合して各フレームの内側領域を密封することを特徴とするフレームの接合構造。
【請求項2】
隣接するフレームの対向面のうち、一方のフレームの対向面に凹部を、他方のフレームの対向面に前記凹部に嵌合される凸部を具え、
前記導電性部材および融着層は、前記凹部と凸部の嵌合箇所に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフレームの接合構造。
【請求項3】
前記導電性部材は、一連の長尺材からなることを特徴とする請求項1または2に記載のフレームの接合構造。
【請求項4】
前記導電性部材は、複数の長尺材の組み合わせからなることを特徴とする請求項1または2に記載のフレームの接合構造。
【請求項5】
正極電極、隔膜および負極電極を具えるセルが複数積層された電池用セルスタックであって、
前記各セルを挟む複数のセルフレームを具え、
前記各セルフレームは、前記両電極間に配される双極板と、この双極板の外周に装着されるフレームとを有し、
前記フレーム同士は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレームの接合構造により接合されていることを特徴とする電池用セルスタック。
【請求項6】
前記フレームを挟む導電性部材同士が電気的に導通していることを特徴とする請求項5に記載の電池用セルスタック。
【請求項7】
前記フレームを挟む導電性部材同士が電気的に遮断されていることを特徴とする請求項5に記載の電池用セルスタック。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の電池用セルスタックと、
前記セルスタックに正極用電解液を循環させる正極用循環機構と、
前記セルスタックに負極用電解液を循環させる負極用循環機構とを具えることを特徴とするレドックスフロー電池。
【請求項9】
正極電極、隔膜、および負極電極を具えるセルと、フレームを有するセルフレームとを交互に積層してセルスタックを形成する電池用セルスタックの製造方法であって、
前記正極電極、隔膜、負極電極、および、セルフレームの各々を複数用意する準備工程と、
前記フレーム毎に、そのフレームの周方向に沿って環状に導電性部材を配置する配置工程と、
前記配置工程後、前記セルフレーム、正極電極、隔膜、負極電極を順に繰り返し積層する積層工程と、
前記積層工程後、全導電性部材を通電して発熱させることで、隣接するフレーム同士を融着する接合工程とを具えることを特徴とする電池用セルスタックの製造方法。
【請求項10】
前記接合工程は、前記フレームを挟む導電性部材同士を直列に接続して通電することを特徴とする請求項9に記載の電池用セルスタックの製造方法。
【請求項11】
前記接合工程は、各フレーム間の導電性部材毎に通電することを特徴とする請求項9に記載の電池用セルスタックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−104237(P2012−104237A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249030(P2010−249030)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】