説明

フレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止方法と防止装置

【課題】フレーム取出装置で、フレームが重合・密着して積み重ねられている状態のところから、最上位に位置するフレームを、1枚ずつ取り出す際において、取り出す最上位のフレームを、左右方向における中央部が上昇した弧状に弯曲変形させて、下位のフレームから引き剥がし、辺縁における係着を解放させるようにするときに、左右の両端部における辺縁の係着の解放が適確に行われるようにする。
【解決手段】積み重ねて束状にまとめた状態のフレームの束を、フレーム取出装置の載置台上に載置し、そのフレームの束の最上位に位置するフレームを、載置台に対し昇降する台盤の下面側に、左右に一対に対向し、かつ、互いに近接する方向に動くよう設けた一対の抱込片の前記方向の作動により左右の両端側から押圧して弧状にたわませて、次位のフレームから剥離せしめ、その最上位のフレームを台盤の上昇により取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製品を製造する装置に、1枚ずつフレームを供給するように組み込まれるフレーム取出装置において、該フレーム取出装置が、供給するフレームを、多数枚積み重ねられている状態のところから、1枚ずつ取り出す作動を行う際に、取り出すフレームの下面側に、次回の取出作動で取り出されるべきフレームが、付着して一緒に取り出されるように生じてくる2枚取りの現象を防止するために、フレーム取出装置に組み込み装設するフレーム2枚取り防止装置についての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品の製造に際し、ICをボンディングするのに用いるフレーム(リードフレーム)は、通常、0.25ミリ程度の極く薄い金属板またはプラスチック板で、図1に示しているように、打抜き部のある細巾の帯板状のフレームfに形成されている。
【0003】
このフレームは、フレーム製造メーカーで作られ、多数枚を積み重ねて束ねられて、包装紙で包装した状態として、半導体製品の製造メーカーに納入される。
【0004】
半導体製品の製造メーカーは、納入を受けたフレームを、それの包装紙を剥がし取って、裸のまま積み重ねて束状にまとめられた状態とし、これを、半導体製造装置の、所定個所に、積み重ねられて束状にまとめられた状態のまま配置し、半導体製造装置に組み込まれているフレーム取出装置により、最上層に位置するフレームから1枚ずつ取り出して半導体製品を製造する装置、例えばボンダーに対し供給するように用いる。
【0005】
この積み重ねられて束状にまとめられた状態のフレームの束から、フレームを1枚ずつ取り出すフレーム取出装置は、通常、図2に示しているように、半導体製造装置の所定個所に設けた載置台aの上に置かれるフレームfが積み重ねられた束bの上方位置に配設されるヘッドcの下面に、昇降するシリンダ装置などの昇降機構dにより前記載置台a上のフレームfの束bの上面に対し進退する台盤eを配設し、この台盤eの下面側に、フレームfの上面の四隅部に対して吸着してフレームfを保持する吸着パッドなどの保持手段gを設けておいて、シリンダ装置などの昇降機構dにより台盤eを下降させて下面側に設けた保持手段gを、重ねられているフレームfの最上位のフレームfの上面に当接させて吸着保持させ、この状態から台盤eを上昇させて吸着保持させた最上位のフレームだけを取り出すようにすることで、1枚ずつフレームfを取り出すようにしている。
【0006】
このように、構成されているフレーム取出装置Aは、積み重ねて束状にまとめられているフレームfの束bから、フレームfを1枚ずつ取り出せるようになる筈であるが、実際には、次の取り出し操作の際に取り出されるべき次位のフレームfが、取り出される最上位のフレームfの下面側に付着して一緒に取り出されるいわゆる2枚取りの現象を生ぜしめる場合が発生する。
【0007】
この現象は、フレームfをフレーム製造メーカーで形成するとき、截断機で、所定のフレームの形状大きさに、打抜き截断し、積み重ねて束状にまとめられた状態のものとして成形されていることから、この束状に積み重ねられた各フレームfの辺縁が、截断の際にフレームfの辺縁の下縁側に生じるバリ状の突出片や、コーティング材の粘着力により、重合する上下のフレームの間において、互いにくっつき合うことで、密着した状態となって係合していることにより生ずる。
【0008】
このように、取り出したフレームfに追従して取り出されるフレームがあると、これの供給を受けた装置は、トラブルを発生し、そのトラブルを修復させるまで生産を停止させるようになる。
【0009】
このため、フレーム取出装置Aには、積み重ねられたフレームfの束bから、最上位のフレームfを、それの上面に対する吸着により取り出すときに、喰い合うように係合している辺縁部位の密着を解放せしめて、2枚取りを防止する手段が組み込まれる。
【0010】
この2枚取り防止手段は、図3に示しているように、フレーム取出装置Aのヘッドcに昇降機構dを介して昇降自在に設けた台盤eの下面の中央部位に、フレームf上面の中心部位に対し吸着して該フレームfの中心部位を保持する保持手段g’を、シリンダ装置等の昇降機構hにより昇降するように設けておいて、台盤eの下降作動により下面側に設けた保持手段g’が、載置台a上に載置されているフレームfの束bの最上位のフレームfの上面に当接し、フレームfの長手方向となる左右方向の両端部位を、台盤eの下面の四隅に設けた保持手段gで押さえ付け、中央部位を、台盤eの下面の中心部位に設けた保持手段g’で押さえ付けた状態となったところで、四隅に設けた保持手段gでフレームfの左右の両端部位を押さえ付けた状態のまま、台盤e下面の中心部に設けた保持手段g’を上昇させて、フレームfの中央部をこの保持手段g’の吸着作動により吊り上げ、フレームfを、図4において鎖線に示している如く、長手方向である左右方向が弦となる弧状に弯曲変形させ、これにより、フレームfの長手方向に沿う前後の側縁を下位のフレームfの側縁から強制的に引き離し、同時に、フレームfの左右の両端部位を、フレームfの中央部が吊り上げられて弧状に変形していくときの、中央部に向けての引っ張り作動により、左右方向に変位・変動させて、この左右の両端側の辺縁における係合を解放させ、これによって、最上位のフレームfと次位に重なるフレームfとの係合・密着がない状態として、2枚取りを防止するようにしている手段である。
【0011】
この従前の2枚取り防止手段は、最上位のフレームだけが、次位に重なるフレームから引き剥がされてくる筈のものであるが、実際には、2枚取りの現象を発生させている。
【0012】
これは、左右の両端側を保持部材で押さえた状態のフレームを、そのフレームの中心部位を保持部材で吊り上げて弧状に弯曲変形させることで行なわすフレームの左右の両端部位の変動が、フレームの左右の中央部を吊り上げることによりフレームの両端側に与える左右方向に沿う引っ張り方向の応力によることから、フレーム自体の伸びに吸収されるなどで、フレーム左右の両端部の辺縁における係着を外すまでの動き量が得られていないことによるものと推定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明において解決しようとする課題は、フレーム取出装置で、フレームが重合・密着して積み重ねられている状態のところから、最上位に位置するフレームを、1枚ずつ取り出す際において、取り出す最上位のフレームを、左右方向における中央部が上昇した弧状に弯曲変形させて、下位のフレームから引き剥がし、辺縁における係着を解放させるようにするときに、左右の両端部における辺縁の係着の解放が適確に行われるようにして、2枚取りが確実に防止されるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の課題を解決するための手段として、積み重ねて束状にまとめた状態のフレームの束を、フレーム取出装置の載置台上に載置し、そのフレームの束の最上位に位置するフレームを、載置台に対し昇降する台盤の下面側に、左右に一対に対向し、かつ、互いに近接する方向に動くよう設けた一対の抱込片の前記方向の作動により左右の両端側から押圧して弧状にたわませて、次位のフレームから剥離せしめ、その最上位のフレームを台盤の上昇により取り出すことを特徴とするフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止方法を提起するものである。
また、これに併せて、フレーム取出装置の昇降機構により昇降する台盤の左右の端部の下面側に、台盤の下降により底面が、載置台上に載置せる集積状態に積み重ねられたフレームのに位置するフレームの上面の左右の端部にそれぞれ当接する抱込台を、左右に一対に対向するよう配位せしめて、それぞれ左右方向に移動自在に装設し、それら一対の抱込台の各外端側に、一枚のフレーム厚さ寸法より短い寸法の突出長さで抱込台の底面から下方に突出する抱込片をそれぞれ装設し、これら一対の抱込片が抱込台とともに互いに近接する方向に動く作動により、最上位のフレームを、左右方向の圧縮によって弧状にたわませ、次位のフレームから剥離せしめた状態に抱込片に挟持せしめ、台盤の上昇により取り出すようにしたことを特徴とするフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止装置を提起し、
また、これに併せて、フレーム取出装置の昇降機構により昇降する台盤の左右の端部の下面側に、台盤の下降により底面が、載置台上に載置せる集積状態に積み重ねられたフレームの最上位に位置するフレームの上面の左右の端部にそれぞれ当接する抱込台を、左右に一対に対向するよう配位せしめて、それぞれ左右方向に移動自在に装設し、それら抱込台の各外端側に、一枚のフレームの厚さ寸法より短い寸法の突出長さで抱込台の底面から下方に突出する抱込片を装設し、台盤下面の左右方向の中央部位に、一対の抱込台の互いに近接する方向の作動による一対の抱込片の動きにより左右方向の圧縮によって弧状にたわませて次位のフレームから剥離せしめた最上位のフレームの上面に対し当接して吸着保持する保持手段を配設してなるフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止装置を提起し、
また、これに併せて、フレーム取出装置の台盤の下面側には、第2の台盤を、左右の傾斜回動自在に吊設し、この第2の台盤の左右の端部の各下面側に、台盤の下降により底面が、載置台上に載置せる集積状態に積み重ねられたフレームの最上位に位置するフレームの左右の端部の上面にそれぞれ当接する抱込台を、左右に一対に対向せしめて、それぞれ左右方向に移動自在に装設し、それら一対の抱込台の各外端側に、一枚のフレームの厚さ寸法より短い寸法の突出長さで下方に突出する抱込片をそれぞれ装設し、前記これら一対の抱込片が抱込台とともに互いに近接する方向に動く作動によりこれら一対の抱込片が最上位のフレームを左右方向の圧縮によって弧状にたわませて次位のフレームから剥離せしめた状態に挟持するようにしたフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止装置を提起し、
また、これに併せて、フレーム取出装置の台盤の下面側には、第2の台盤を、左右の傾斜回動自在に吊設し、この第2の台盤の左右の端部の各下面側に、台盤の下降により底面が、載置台上に載置せる集積状態に積み重ねられたフレームの最上位に位置するフレームの左右の端部の上面にそれぞれ当接する抱込台を、左右に一対に対向せしめて、それぞれ左右方向に移動自在に装設し、それら一対の抱込台の各外端側に、一枚のフレームの厚さ寸法より短い寸法の突出長さで下方に突出する抱込片をそれぞれ装設し、かつ、第2の第盤下面の左右方向の中央部位に、一対の抱込台の互いに近接する方向の作動による一対の抱込片の動きにより左右方向の圧縮によって弧状にたわませて次位から剥離せしめた最上位のフレームの上面に対し当接して吸着保持する保持手段を配設してなるフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止装置を提起するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるフレーム取出装置における2枚取り防止手段は、フレーム取出装置で、載置台上に載置したフレームの集積束の上面からフレームを取り出すときの2枚取りを防止するために、最上位に位置するフレームを、左右方向の中央部が上昇した弧状に弯曲変形させ、前後の辺縁を次位に重合するフレームから浮き上がらせるとともに、左右の両端部を左右の中央部に寄せるよう動かすことで、辺縁における次位のフレームとの密着・係合を解放させるときに、フレームの左右の両端部を左右の押込台により、左右の中央部に向け押し込み圧縮することで、フレームを弧状にたわませるようにしているのだから、最上位のフレームの左右の両端部に対し確実に移動変位することになり、左右の両端側における辺縁の係合・密着が確実に剥がされ、弧状に弯曲することで前後の側縁における係合・密着が強制的に剥がされることとあいまって、次位に重なるフレームとの密着・係合が解除され、2枚取りが確実に防止されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】フレームの平面図である。
【図2】従前のフレーム取出装置の、フレーム取り出し作業時における一部を省略した正面図である。
【図3】同上のフレーム取出装置に組み込んだ2枚取り防止装置の正面図である。
【図4】同上装置の、フレームの積層束の最上位のフレームを次位のフレームから剥離させた状態時における作用の説明図である。
【図5】本発明手段を実施せるフレーム取出装置の一部を省略した正面図である。
【図6】同上装置の、台盤を下降させて左右の抱込台の底面を、載置台上のフレームの積層束の上面に当接させた状態時の正面図である。
【図7】同上装置の、左右の抱込台を作動させて、フレームの積層束の最上位のフレームを撓ませた状態時の正面図である。
【図8】本発明手段によるフレーム取出装置の別の実施例の、一部を省略した正面図である。
【図9】同上装置の作用を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に実施の形態を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0018】
図5は、本発明手段による2枚取り防止装置を組み込んだフレーム取出装置の一部を省略した正面図、図6は同上装置の要部の拡大正面図で、これら図において、Aはフレーム取出装置、Bはこのフレーム取出装置Aに組み込んだ2枚取り防止装置を示す。
【0019】
フレーム取出装置Aは、図面では省略している支持部材に、ヘッドcを、水平な方向に沿い移動自在に支持せしめるか、前記支持部材の作動により自由に動くよう支持せしめ、このヘッドcの下面側に、シリンダ10とこれに出入自在に嵌合するピストン11とからなるシリンダ装置などの昇降機構dを介して、平板状に形成した台盤eを、昇降自在に装架し、この台盤eの下面側で左右の両端部位に、載置台a上に載置されたフレームfが積み重ねられているフレームfの束bの上面から、最上位のフレームfを取り出すための抱込台2・2を、左右方向の移動可能に装設し、これら抱込台2のそれぞれには、台盤eの左右方向の中央部に向け移動させるシリンダ装置などよりなる移動機構3を、連繋させて組み付け装架し、かつ、台盤eの下面の左右の中央部に、フレームfの上面に当接することで、その上面に吸着するか、連結してフレームfを保持する保持手段g’を設けることで構成している。
【0020】
台盤eの下面の左右の両端部にそれぞれ装設せる抱込台2には、外端側の底面に、昇降機構dの作動で台盤eを下降させたときに、ヘッドcの下方に位置させてフレーム取出装置Aの機体に装設される載置台a上に載置せるフレームfの束bの最上位のフレームfの左右の両端部の上面に対し当接して押さえ付けていく押圧面20が、該抱込台2の外端側の下面に形成してあり、かつ、この押圧面20の外端側には、下方に短く突出する抱込片21が装設してある。
【0021】
この抱込片21の押圧面20からの下方への突出長さは、フレームfの厚さ以下の寸法に設定している。この実施例では、通常のフレームfの厚さが0.25ミリであることで、これより短い寸法の0.20ミリに設定している。
【0022】
そして、これにより、昇降機構dを作動させて台盤eを下降させることにより、図6の如く、載置台a上に載置したフレームfが積み重ねられている束(集積層)の上面に抱込台2の押圧面20が当接した状態において、移動機構3を作動させて左右の抱込台2を、それぞれ、台盤e下面の左右の中央部位に向け移動させることで、左右の抱込台2・2が、積み重ねられているフレームfの最上位にある1枚のフレームfの左右の両端部を抱え込んで、中央に押し込むようになることにより、この最上位のフレームfだけを図7において鎖線に示しているように、上方に向けて弓状に弯曲するように撓ませるようになって、フレームfの前後の両辺縁と次位のフレームfの前後の両辺縁との係着を解放し、同時に、この最上位のフレームfの左右の両端部だけが押し込まれることで左右の両端の辺縁における次位のフレームfとの係着が剥がされて、最上位のフレームfを次位に重なるフレームfに対し、辺縁における係着がない状態とする。
【0023】
台盤eの下面の左右方向における中央部に設けた保持手段g’は、前述したように、フレームfが、左右の抱込台2による抱え込みで、左右の両端縁部が中央に向け寄せられてたわみ、下辺を弦として上方に弧状に張り出す弓形に弯曲・変形してきたときに、この弓状に変形してきたフレームfの上面に対し当接してくるように配位して、台盤eの下面に垂設せるロッド40の下端に装設してある。この保持手段g’は、この例においては、合成樹脂材等の弾性資材により倒立する皿状に成形され、内部が、真空ポンプまたは真空タンクなどの真空源に対し制御弁を具備する連通管を介して連通していて、フレームf上面に当接した状態において制御弁の作動により作用してくる吸引圧により、フレームf上面に吸着していく通常の吸着パッドを用いている。
【0024】
また、吸着パッドよりなる保持手段g’を下端部に支持するロッド40は、この例においては、台盤eの下面に固定装設してあるが、エアシリンダ等の昇降機構を介して昇降自在に装架し、吸着パッドよりなる保持手段g’の高さ位置を所望に設定し得るように装設する場合がある。
【実施例2】
【0025】
図8は、別の実施例を示している。この例は、載置台aの上面に載置されたフレームfの集積束の上面が、片あがりに傾いている場合でも、台盤eの下面の左右の両端部位に組み付け支架せしめておく左右の抱込台2・2のそれぞれの底面の押圧面20が、フレームfの集積束の最上位のフレームfの上面に揃って当接していくようにしている例である。
【0026】
この例においては、台盤eの下面側に装設する左右の抱込台2・2は、フレーム取出装置Aのヘッドcの下面側に、シリンダ装置などよりなる昇降機構dを介して昇降自在に装架する台盤eの下面には直接装設せずに、この台盤eの下面側に、第2の台盤e’を、台盤eに対して左右の傾斜揺動を自在に吊り下げて、この第2の台盤e’の下面に取り付け装設する。
【0027】
即ち、ヘッドcの下面に、昇降機構dを介して昇降自在に装架した台盤eの下面側には、左右の両端に寄せた部位に、短い吊杆50をそれぞれ垂設して、これら吊杆50の下端側に、下方に向かい拡径するコーン状の吊子51を組み付け、それの下面に円盤状の係止板52を取り付けておく。そして、台盤eの下方には、前述の実施例における台盤eと同様に成形した第2の台盤e’を配位し、その第2の台盤e’の左右の両端部位に、前記吊杆50及び吊子51は自由に透通するが、吊子51の底面に設けた円盤上の係止板52は透過させない径の透孔60をそれぞれ開設し、これら透孔60に、吊子51を下方から透通して、その吊子51の上端側を前記台盤eの下面に取り付けておいた吊杆50の下端に一体的に組み付けることで、第2の台盤e’を、吊杆50及び吊子51が透孔60内を自由に動く範囲内において、自在に傾斜揺動するように、台盤eの下面に吊り下げ支架し、その第2の台盤e’の下面に、前述の実施例における台盤eと同様に、抱込台2と吸着パッドよりなる保持手段g’を設けるようにしている例である。
【0028】
この例のフレーム取出装置Aは、載置台aの上面に載置されたフレームfの積層束bの上面が、昇降する台盤e’の下面と正しく平行せず、台盤e’の下面に対し傾斜した片あがりの状態となっていて、昇降機構dの作動で下降してきた台盤e’の下面の左右の抱込台2のうちの一方の抱込台2の底面だけがフレームfの上面に当接するようになったときに、抱込台2を支架せる第2の台盤e’が、傾斜揺動して、フレームfの積層束bの上面に倣う姿勢に変換していき、左右の抱込台2・2が揃ってフレームfの上面に圧接していくようになって、左右の抱込台2を作動させたときの、フレームfをたわませる作動が適確に行われるようになる。
【符号の説明】
【0029】
A フレーム取出装置
B 1枚取り防止装置
a 載置台
b 束
c ヘッド
d 昇降機構
e 台盤
e’ 第2の台盤
f フレーム
g 四隅に設けた保持手段
g’ 保持手段
h 昇降機構
10 シリンダ
11 ピストン
2 抱込台
20 押圧面
21 抱込片
3 移動機構
40 ロッド
50 吊杆
51 吊子
52 係止板
60 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねて束状にまとめた状態のフレームの束を、フレーム取出装置の載置台上に載置し、そのフレームの束の最上位に位置するフレームを、載置台に対し昇降する台盤の下面側に、左右に一対に対向し、かつ、互いに近接する方向に動くよう設けた一対の抱込片の前記方向の作動により左右の両端側から押圧して弧状にたわませて、次位のフレームから剥離せしめ、その最上位のフレームを台盤の上昇により取り出すことを特徴とするフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止方法。
【請求項2】
フレーム取出装置の昇降機構により昇降する台盤の左右の端部の下面側に、台盤の下降により底面が、載置台上に載置せる集積状態に積み重ねられたフレームのに位置するフレームの上面の左右の端部にそれぞれ当接する抱込台を、左右に一対に対向するよう配位せしめて、それぞれ左右方向に移動自在に装設し、それら一対の抱込台の各外端側に、一枚のフレーム厚さ寸法より短い寸法の突出長さで抱込台の底面から下方に突出する抱込片をそれぞれ装設し、これら一対の抱込片が抱込台とともに互いに近接する方向に動く作動により、最上位のフレームを、左右方向の圧縮によって弧状にたわませ、次位のフレームから剥離せしめた状態に抱込片に挟持せしめ、台盤の上昇により取り出すようにしたことを特徴とするフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止装置。
【請求項3】
フレーム取出装置の昇降機構により昇降する台盤の左右の端部の下面側に、台盤の下降により底面が、載置台上に載置せる集積状態に積み重ねられたフレームの最上位に位置するフレームの上面の左右の端部にそれぞれ当接する抱込台を、左右に一対に対向するよう配位せしめて、それぞれ左右方向に移動自在に装設し、それら抱込台の各外端側に、一枚のフレームの厚さ寸法より短い寸法の突出長さで抱込台の底面から下方に突出する抱込片を装設し、台盤下面の左右方向の中央部位に、一対の抱込台の互いに近接する方向の作動による一対の抱込片の動きにより左右方向の圧縮によって弧状にたわませて次位のフレームから剥離せしめた最上位のフレームの上面に対し当接して吸着保持する保持手段を配設してなるフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止装置。
【請求項4】
フレーム取出装置の台盤の下面側には、第2の台盤を、左右の傾斜回動自在に吊設し、この第2の台盤の左右の端部の各下面側に、台盤の下降により底面が、載置台上に載置せる集積状態に積み重ねられたフレームの最上位に位置するフレームの左右の端部の上面にそれぞれ当接する抱込台を、左右に一対に対向せしめて、それぞれ左右方向に移動自在に装設し、それら一対の抱込台の各外端側に、一枚のフレームの厚さ寸法より短い寸法の突出長さで下方に突出する抱込片をそれぞれ装設し、前記これら一対の抱込片が抱込台とともに互いに近接する方向に動く作動によりこれら一対の抱込片が最上位のフレームを左右方向の圧縮によって弧状にたわませて次位のフレームから剥離せしめた状態に挟持するようにしたフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止装置。
【請求項5】
フレーム取出装置の台盤の下面側には、第2の台盤を、左右の傾斜回動自在に吊設し、この第2の台盤の左右の端部の各下面側に、台盤の下降により底面が、載置台上に載置せる集積状態に積み重ねられたフレームの最上位に位置するフレームの左右の端部の上面にそれぞれ当接する抱込台を、左右に一対に対向せしめて、それぞれ左右方向に移動自在に装設し、それら一対の抱込台の各外端側に、一枚のフレームの厚さ寸法より短い寸法の突出長さで下方に突出する抱込片をそれぞれ装設し、かつ、第2の第盤下面の左右方向の中央部位に、一対の抱込台の互いに近接する方向の作動による一対の抱込片の動きにより左右方向の圧縮によって弧状にたわませて次位から剥離せしめた最上位のフレームの上面に対し当接して吸着保持する保持手段を配設してなるフレーム取出装置におけるフレーム2枚取り防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−77119(P2011−77119A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224492(P2009−224492)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000146179)エムテックスマツムラ株式会社 (17)