説明

フレーム構造

【課題】設置場所や、構造、形状などの制約が小さく、少ない部品点数でバッテリなどの搭載が可能になるフレーム構造を提供する。
【解決手段】被取付部材100が取り付けられるフレーム構造において、被取付部材側壁101が内側に添設されるとともに、該被取付部材側壁102が上方側で外側に折り返されて上端部外側に添設されるべく幅方向に伸長する縦フレーム1と、該上端部の下方で前記縦フレーム1外側面に連なって外方に伸長し、前記被取付部材側壁103と該被取付部材100を上方から覆うカバー120または前記被取付部材側壁103および前記カバー120が上面側に添設される横フランジ部10とを有しており、被取付部材の取付を特別なブラケットなどを有することなく気密性を持たせて容易に行うことができ、また、フレーム構造の配置が特に限定されないので、車体のシャーシフレームなどの適所に該フレーム構造を取付、固定することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バケットなどの被取付部材が取り付けられるフレーム構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、燃料電池車、ハイブリッド車などの駆動源となるバッテリを車両に搭載する場合、一般のガソリン車に比べてより多くのバッテリを搭載する必要があり、車体シャーシなどを利用して、空間的に余裕のある車両下部などに収容する方法が多く採られている。
例えば、車体のシャーシフレームにバッテリ収容スペースを中空断面構造体で確保し、バッテリを搭載したトレーを該トレーと中空部との間に設けた摩擦抵抗低減部材を介して出し入れ可能にした設置構造が提案されている(特許文献1参照)。
また、電気自動車のシャーシフレームを三分割し、各セクションのフレームを接続金具で接合し、バッテリを含む駆動ユニットをリアセクションに載置するフレーム構造が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−287138号公報
【特許文献2】特開2006−44400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示される設置構造では、設置場所や構造、形状などが制約され、種々の車両などに適用することが難しい。さらには、金属製ブラケットを溶接または機械的な接合をして取り付けすることが必要になり、部品点数の増加、質量、コストが増大するという問題がある。また、構造上、気密性の確保が難しく、バッテリの耐久性に影響が出やすいという問題がある。このため、シール剤や接着剤の塗布、ガスケットの使用負担が大きく、メンテナンス時のバッテリ出し入れが面倒になるという問題がある。
また、特許文献2に示される設置構造では、特殊なシャーシフレームに限定され、また、バッテリの設置場所などが同様に制約される問題がある。
【0005】
本発明は上記事情を背景としてなされたものであり、設置場所や、構造、形状などの制約が小さく、少ない部品点数でバッテリなどの搭載が可能になるフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明のフレーム構造は、被取付部材が取り付けられるフレーム構造において、前記被取付部材側壁が内側に添設されるとともに、該被取付部材側壁が上方側で外側に折り返されて上端部外側に添設されるべく幅方向に伸長する縦フレームと、該上端部の下方で前記縦フレーム外側面に連なって外方に伸長し、該被取付部材を上方から覆うカバーまたは前記被取付部材側壁および前記カバーが上面側に添設される横フランジ部とを有することを特徴とする。
【0007】
縦フレームの上端部で外側に折り返されて縦フレームの上端部外側に添設される被取付部材は、その端部が該縦フレームに添設された状態で位置するものであってもよく、さらに伸長して上記横フランジ部に添設されるものであってもよい。
上記被取付部材やカバーの添設は、縦フレームや横フランジ部に全面的に密着した状態や一部が密着した状態のいずれであってもよい。被取付部材およびカバーを横フランジ部に添設する場合、被取付部材側壁上にカバーを重ねて添設すればよい。
そして、通常は、添設部分の一部で縦フレーム、横フランジ部の一方または両方に固定される。
【0008】
上記横フランジ部には、縦フレームの長手方向に沿って上面側に係合溝を設け、この係合溝に、前記被取付部材側壁やカバーに形状付与した下向きの係合凸条を嵌めるように構成することができる。これにより、被取付部材やカバーの位置決めを容易に行うことができ、該係合によって被取付部材やカバーを固定することも可能になる。また、前記係合凸条および前記係合溝部が縦フレームの長手方向に沿って形成されたものとすれば、係合部分は、外方からの雨水などが内側に浸透するのを防止し、被取付部材に対する防水性を向上させる作用も得られる。
【0009】
前記横フランジ部上では、前記被取付部材側壁と前記カバーとの間または前記カバーと横フランジ部との間もしくは前記被取付部材側壁と前記横フランジ部との間に縦フレームの長手方向に沿ってパッキンを配置することができる。これにより添設部分から内側に雨水などが浸透するのを防止することができる。パッキンは、上記組み合わせの一箇所または複数箇所に配置することができ、横フランジ部に形成した溝形状などに嵌め込むようにしてもよく、横フランジ部に設けた前記係合溝部に嵌めるようにしてもよい。
また、被取付部材の係合凸条を横フランジ部の前記係合溝に嵌め込み、該被取付部材の係合凸条裏面側の溝形状に上記パッキンを嵌め込むようにしてもよい。これにより、高い防水性が確保されるとともにパッキンの位置決めを容易に行うことができる。このパッキン上に前記カバーを重ねることで、防水性が格段に向上する。また、被取付部材とカバーとの接触面をシールすることで、気密性を確保することもできる。
【0010】
上記パッキンには、Oリングなどを用いることができるが、前記溝形状に嵌る嵌入部と、該嵌入部に連なり、前記溝形状に前記嵌入部を嵌めた際に前記溝形状の外部にはみだす外出部と、該外出部の外周側に連なって該外周側に伸長する周縁部とを有する形状のものを用いることができる。該形状によれば、コーナ部分などにおいても周縁部が確実に外周側に位置し、シール効果を安定して発揮することができる。
【0011】
また、横フランジ部には、前記係合溝部の内方側に、縦フレームの幅方向に沿って横フランジ部凸条を形成することができる。これにより、前記係合溝部と横フランジ部凸条とによってラビリンス構造となり、さらに内方への雨水などの浸透を防止することができる。
上記横フランジ部凸条に対しては、被取付部材側壁やカバーを湾曲や屈曲をさせて、横フランジ部凸条の外面に沿わせるようにしてもよい。
また、横フランジ部上で一部または全部が重ねられた前記被取付部材側壁と前記カバーとの間に、互いに離隔した空隙部を形成するようにしてもよい。これにより、両者が重なった小隙間に雨水が浸透するような場合、該空隙部で浸透力を弱めることができる。該空隙部は、横フランジ部に設けた係合溝の内方側に設けるのが望ましい。
【0012】
また、縦フレームは、横フランジ部の下方側で外側面に縦フレーム幅方向に沿った側面中空部を設けることができる。該側面中空部は、側方からの衝撃などに対するフレーム構造強度を増す。また、被取付部材に発熱性が認められるバッテリなどを搭載する際に、該側面中空部により放熱性を向上させることができる。側面中空部の断面形状は特に限定されるものではなく、中空部材に適宜に仕切り壁などを有するものであってもよく、また多段に構成することも可能である。これにより従来必要とされていた側面衝突対策用の発泡剤や鋼材の配置、放冷用の空冷ファンの設置を不要にしたり、低減したりすることができる。
【0013】
また、縦フレームには、内側下端部に、内側に伸長して前記被取付部材の底部を上面側で受ける受け片を形成してもよい。これにより、被取付部材を簡易なフレーム構造によって保持することができ、フレーム構造の軽量化も容易になる。また、縦フレームの下面側に、被取付部材底部を覆う底板を配置してもよい。底板は、被取付部材底部全体を覆うようにしてもよく、また、底部の一部を対象にして底板で覆うようにしてもよい。底板を配置して固定することで、被取付部材の保護を図ることができ、さらにはフレーム構造全体の剛性を増す効果が得られる。該底板には、合成樹脂、金属板などの材質を適宜用いることができ、該底板を中空構造とすることもできる。
【0014】
また、縦フレームは、枠形状に配置することができる。該枠形状は一体に形成されているものであってもよいが、複数の縦フレームを連結して枠形状とするものが望ましい。その場合、縦フレーム同士の連結をコーナー部分で行い、コーナー部分に高剛性のジョイントを配置して連結を行うようにしてもよい。ジョイントは、縦フレーム対し、相対的に剛性が高いものであればよい。該ジョイントを用いることで、フレーム構造全体の剛性(捩り剛性など)を高めることができる。また、縦フレームの長さを適宜切断などによって調整することで、フレーム構造全体のサイズを任意に、かつ容易に変更、調整することが可能になる。
また、枠状の縦フレームに設けられている横フランジ部に前記カバーを全周に亘って添設することで、被取付部材全体をカバーすることができ、被取付部材に対する気密性、防水性などを確保することができる。
【0015】
上記フレーム構造では、横フランジ部の端部などにフレーム取付材に対する取付部(取付面)を確保することで、特別なブラケットなどを必要とすることなく、フレーム構造自体の取付、固定を行うことができる。車両への取付を行う場合には、車体シャーシをフレーム取付部として取付を行うことができ、固定は、適宜のリベット、ボルトなどの締結具を用いて行うことができる。また、本発明としては、ブラケットなどの使用を不要にすることができるが、ブラケットなどの補助固定具の使用を排除するものではない。
【0016】
また、フレーム構造は、上記したフレームのみで構成してもよいが、枠状に配置した縦フレーム内を横方向で区画し、前記被取付部材側壁が内側に添設され、該被取付部材側壁が外側に折られてその上端側に添設される区画用縦フレームを備えるものであってもよい。これにより区画された領域に応じて複数の被取付部材の取付を行うことが可能になる。区画は均等に行うことで同サイズの被取付部材の取付を行うことが可能になり、また区画領域の大きさを変えることで、サイズの異なる被取付部材の取付を行うことが可能になる。区画用縦フレームは一枚構成のフレームで構成してもよく、また、互いに離隔して対向し、連結片で連結された対の縦片で構成されるものであってもよい。これら対の縦片では、それぞれ隣接する被取付部材を取り付けることができ、複数の被取付部材の取付作業を容易に行うことができる。対の縦フレーム間の空間には、配線ケーブル、冷却装置などを収容し、所望により連結片で受けるようにすることで、配線などの取り回しが良好になる。これにより従来必要とされている冷却装置配置用のブラケットや配線収納部材が不要になり、部品点数の低減、コスト減、質量減を図ることが可能になる。
【0017】
上記した被取付部材としては、例えば、バケットを例示することができ、該バケットとしては、電気自動車、燃料電池車、ハイブリッド車などの駆動源となるバッテリを収容するものが例示される。ただし、本発明としては、被取付部材の用途や構造が特に限定をされるものではなく、本願発明のフレーム構造および取付構造は、種々の用途に適用が可能である。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本願発明によれば、被取付部材が取り付けられるフレーム構造において、前記被取付部材側壁が内側に添設されるとともに、該被取付部材側壁が上方側で外側に折り返されて上端部外側に添設されるべく幅方向に伸長する縦フレームと、前記上端部の下方で前記縦フレーム外側面に連なって外方に伸長し、前記被取付部材を上方から覆うカバーまたは前記被取付部材側壁および前記カバーが上面側に添設される横フランジ部とを有するので、被取付部材の取付を特別なブラケットなどを有することなく容易に行うことができる。また、フレーム構造の配置が特に限定されないので、車体のシャーシフレームなどの適所に該フレーム構造を取付、固定することが可能になる。この結果、種々の車両などへの適用も容易になり、汎用性に優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態のフレーム構造を示す平面図である。
【図2】同じく、一部拡大断面図である。
【図3】同じく、コーナージョイントの斜視図である。
【図4】同じく、被取付部材の取付構造を示す一部拡大断面図である。
【図5】同じく、側面中空部の変更例を示す斜視図である。
【図6】同じく、被取付部材の取付構造の変更例を示す拡大断面図である。
【図7】同じく、被取付部材の溝形状に嵌められるパッキンの変更例を示す拡大断面図である。
【図8】同じく、被取付部材の溝形状に嵌められるパッキンの他の変更例を示す拡大断面図である。
【図9】被取付部材の溝形状に嵌合可能なパッキンの嵌合状態を示す拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のフレーム構造の一例の概略を示す平面図、図2は、一部拡大正面図である、
縦フレームは、幅方向に伸長する長尺な縦フレーム1、2と短尺な縦フレーム3、4とによって矩形の枠形状に配置されており、各縦フレームのコーナーにコーナージョイント5…5が配置されて固定されている。
各縦フレーム1…4は、外側面の上端部やや下方位置に全長に亘って、外方に伸長する横フランジ部10、20、30、40が連なって設けられており、各横フランジ部10…40には、縦フレーム1…4に近接した側に、縦フレーム幅方向に沿った係合溝11、21、31、41が形成されている。該係合溝11、21、31、41は、横フランジ部10、20、30、40が部分的に屈曲して形成されている。なお、この図では係合溝11、21、31、41は、角溝で形成されているが、丸溝等の形状とすることも可能であり、本願発明としては溝の断面形状が特に限定されるものではない。
【0021】
また、縦フレーム1…4の外側面には、前記横フランジ部10、20、30、40の下方位置に、縦フレームの1…4の底部に達し、各縦フレーム幅方向に伸長する断面矩形状の側面中空部12、22、32、42が形成されている。該側面中空部12、22、32、42は、縦フレーム1…4の一部に形成した筒形状により構成されている。この形態では、横フランジ部と側面中空部とは離隔して位置しているが、横フランジ部で、側面中空部の壁部を兼用するように構成することも可能である。
また、各縦フレーム1…4の下端部内面には、それぞれ内方に向けた受け片13、23、33、43が設けられて、フレーム構造が得られている。該フレーム構造は、アルミニウム押出材などにより構成することができる。
【0022】
上記各縦フレーム1…4の端部には同一形状のコーナージョイント5…5が配置されて各縦フレーム1…4が連結されている。コーナージョイント5…5は、ダイカストまたは押出形材により構成することができる。
コーナージョイント5は、図3に示すように、縦フレーム1…4の横フランジ部10…40の上面と略同じ高さを有する略直角二等辺三角柱形状を有している。また、断面二等辺をなすそれぞれの面の下方側には、 枠形状の嵌め込み部50、50およびフランジ部51、51が形成されている。嵌め込み部50、50は、側面中空部12、22、32または42の筒孔に嵌め込むように形成されている。該嵌め込み部50、50を側面中空部12、22、32または42の筒孔に嵌め込むことで、縦フレームの位置決めが容易になされる。フランジ部51、51は、コーナージョイント5の両側面に配置され、縦フレームを連結したときに、縦フレームの側面中空部外面に沿うように形成されている。このフランジ部51、51と縦フレーム1…4とを溶接することで、縦フレーム1…4とコーナージョイント5の接合を重ね隅肉溶接構造とすることができる。また、コーナージョイント5の上面には、横フランジ部10…40の溝部に連結する溝部52が形成されている。
なお、長尺な縦フレーム1、2と短尺な縦フレーム3、4とは、それぞれ切断などによって長さを任意に調整し、その縦フレーム1…4をコーナージョイント5…5で連結することで、フレーム構造全体のサイズを任意に、変更、調整している。このとき、縦フレームとコーナージョイントとの接合をフランジ部51、51を用いて重ね隅肉溶接構造とすることで、縦フレームの長さにバラツキがあった場合でも、縦フレームの長さの精度に関係なく溶接することが可能である。また、重ね隅肉溶接構造とすることで、溶接性を向上し、溶接ひずみを低減することが可能である。コーナージョイントが嵌め込み部とフランジ部を有する構成であることで、嵌め込み部と重ね溶接になり、単純な突合せ溶接に比べて、結合剛性を向上することができる。
また、縦フレーム同士をコーナージョイントを用いて連結することで、枠形状を一体に形成した場合に比べて、フレーム捩じり剛性の向上を図ることができる。
なお、上記形態では、コーナージョイント5に、嵌め込み部50、50とフランジ部51、51の両方を備えるものとして説明した。ただし、コーナージョイントの好適例としては上記両方を備えるものの他に、嵌め込み部50、50とフランジ部51、51のいずれかを備えるものであってもよい。なお、コーナージョイント5に嵌め込み部50、50のみを有する場合、コーナージョイント5と縦フレームとを重ね溶接して連結することができる。また、コーナージョイント5にフランジ部51、51のみを有する場合、フランジ部51と縦フレームとを重ね隅肉溶接して連結することができる。
【0023】
枠状に組み立てられた縦フレーム1…4内には、枠内を複数の領域に区画する区画用縦フレーム6、7がT字状に配置されている。すなわち、区画用縦フレーム6は、縦フレーム3側に近接して縦フレーム1、2間に亘って配置されており、区画用縦フレーム7は、縦フレーム1、2間の中間位置で区画用縦フレーム6と縦フレーム4とに亘って配置されている。
区画用縦フレーム6、7は、前記縦フレーム1…4と同じ高さを有する、対となる縦片60、60および縦片70、70が間隔を隔てて対向して位置しており、縦片60、60および縦片70、70は、各縦片の下端位置および中間位置で連結片61、71によって連結されている。また縦片70、70の上端側に、それぞれ内側に屈曲して水平形状とした支持片70a、70aが設けられている。さらに、縦片60、60、縦片70、70は、下端側に、各領域側に向けた受け片62、72が設けられている。
【0024】
上記縦フレーム1…4、区画用縦フレーム6、7によって、本願発明のフレーム構造が構成されており、該区画用縦フレーム6、7によって縦フレーム1…4内が3つの領域に区画されている。該領域内に、それぞれ被取付部材であるバケットを取り付けて収納することができる。なお、この形態では、区画用縦フレームによって3つの領域に区画をしたが、本発明としては、区画数や区画領域の大きさが特に限定されるものではなく、必要に応じて所定数の区画用縦フレームを所定位置に配置することができる。なお、本発明としては、枠形状内を区画することなく一つの収納領域として用いることができ、また、縦フレームを枠状に配置することが必須とされるものでもない。
【0025】
次に、上記フレーム構造を用いた被取付部材の取付構造を図2、4に基づいて説明する。
なお、図では、縦フレーム1に関する取付構造のみが図示されており、他の縦フレーム2…4においても同様の取付構造を有している。
バケット100は、合成樹脂製または金属製により構成されており、各縦フレーム1…4と区画用縦フレーム6、7に囲まれる収納領域に収まる大きさで深皿形状を有している。なお、バケットの材質は本発明としては限定されるものではない。バケット100の四周のバケット側壁101は、各縦フレームまたは区画用縦フレームの縦片に添設されて、その上端部で折り返されたバケット折返し側壁部102は、縦フレームまたは区画用縦フレームの縦片の外側上部側に添設されている。
【0026】
また、縦フレーム1…4に添設されるバケット側壁101は、上記のように縦フレーム1…4の上端部で折り返されたバケット折返し側壁部102を有しており、さらに該上端部から横フランジ部10、20、30、40上面に添設するように、外側に湾曲する平坦側壁部103を有している。また、平坦側壁部103には、横フランジ部10…40に形成された係合溝11、21、31、41に嵌合する凸条104が横手方向に沿って下向きに形成されており、その上面側は溝形状105となっている。平坦側壁部103は、横フランジ部10…40の全幅よりも小さい幅で形成されており、平坦側壁部103が達しない横フランジ部10…40の端部に、図示しない車体のシャーシフレームに対する取付部14、24、34、44が確保されている。該取付部14…44を介して車体シャーシにボルトやリベットによって取付を行うことができる。
一方、区画用縦フレーム6、7に対しては、縦片60、70にバケット側壁101が添設され、バケット側壁101の上端部で折り返されたバケット折返し部101aの水平部分が、縦片60、70の支持片60a、70a上に載置されることで、バケット100が支持される。
【0027】
また、バケット100の底部106の隅部は、縦フレーム1…4の受け片13、23、33、43および区画用縦フレーム6、7の受け片62、72によって支持される。この受け片13…43、62、72とバケット100の底部106との間で、シール剤を塗布する防水処理を施すことも可能である。また、縦フレーム1…4の下面側に、底部全体を覆う、底板8を配置して、バケット100およびバケットに収納するバッテリ110の保護を図るようにしてもよい。また、底板8を配置して固定することで、フレーム構造全体の剛性を増す効果も得られる。該底板8には、金属板や中空部材を用いることができる。
【0028】
フレーム構造に取り付けられたバケット100に対しては、バッテリ110を収納する。また、区画用縦フレーム6、7の縦片60、60間または縦片70、70間の空間には、所望により配線類や冷却装置を配置することができる。冷却装置を配置することで、バッテリに急速充電する際などに冷却効率を向上させることができる。
【0029】
上記バケット100およびバッテリ110全体を覆うようにカバー120が配置される。該カバー120は、樹脂や金属により構成することができる。カバー120は、前記縦フレーム1…4の上端部外側面に沿ったカバー側壁121を有しており、該カバー側壁121は、外方に屈曲または湾曲してバケット10の平坦側壁部103上に重ねて添設されるカバー平坦側壁部122を有している。この際に、バケット100の溝形状105には、パッキン130が嵌め込まれ、該パッキン130がバケット平坦側壁部103上に添設されるカバー平坦側壁部122に密着して防水性が確保される。上記バケット平坦側壁部103とカバー平坦側壁部122とは、共締めや別体締めの方法で、横フランジ部10…40にボルト150などによって機械的に締結することができる。また、バケット100とカバー120との接触面をシールすることで、気密性を確保することもできる。
【0030】
上記構成の取付構造によれば、車体の適宜箇所にフレーム構造を取り付けるように構成することが可能であり、また、フレーム構造のサイズ、形状も任意長さの縦フレームの配置によって容易に変更が可能であり、汎用性に優れている。
【0031】
なお、縦フレーム1…4に設けた側面中空部12、22、32、42は、前記したように、側面衝撃に対する強度向上や放熱性を向上させることができる。この側面中空部の形状も適宜変更が可能である。図5は、縦フレーム1における側面中空部12aの変更例を示すものである。側面中空部12aを多段に構成し、また、側面中空部12a内を区画片12bによって縦フレーム1の横手方向に沿って区画するようにしたものである。該構成の側面中空部12aは、多段構成によって側面衝撃に対する強度をより大きくすることができる。
【0032】
また、バケットの取付構造は、前記で説明した構成に限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更が可能である。
図6は、バケットの取付構造の変更例を示すものである。なお、前記形態で説明したものと同様の構成については同一の符号を付してその説明を簡略化または省略する。
【0033】
図6(a)は、カバー平坦側壁部122に、バケット平坦側壁部103との間で空隙140が形成されるように、段部を形成したものである。該空隙140は、前記パッキン130の配置位置の内側に位置しており、パッキン130を通過した水分が、バケット平坦側壁部103とカバー平坦側壁部122との間の隙間を毛細現象で浸透するのを防止する。
【0034】
図6(b)は、前記パッキン130の内側において、横フランジ部10に縦フレーム1の横手方向に沿って横フランジ部凸条10aを設けた構成を示している。この横フランジ部凸条10aの形状に合わせてバケット平坦側壁部107およびカバー平坦側壁部122に屈曲形状を設けている。なお、バケット平坦側壁部107は、横フランジ部凸条10aの全面に沿って屈曲形状を設け、カバー平坦側壁部122には、横フランジ部凸条10aの外側面および上面に沿って屈曲形状を設けている。バケット平坦側壁部107は、係合溝14に至らない長さとされている。
上記構成では、前記の例と同様に、横フランジ部凸条10aの内側に空隙141が形成されている。この形態では、係合溝14にパッキン130を嵌め込み、横フランジ部10上に添設したカバー平坦側壁部122をパッキン130に密着させて防水を図っている。
この形態では、係合溝14、パッキン130に加えて横フランジ部凸条10aが位置することで、ラビリンス構造が得られ、防水性が一層向上する。また、空隙141による防水効果も前記の形態の空隙140と同様に得られる。
【0035】
図6(c)の形態では、バケット100のバケット折返し側壁部102に幅の小さい平坦側壁部108が連なり、一方、カバー平坦側壁部122には段部を設けて空隙140が形成されている。該空隙140を通して、該バケット平坦側壁部108が横フランジ部10にリベット151などにより固定されており、バケット平坦側壁部108の端縁は空隙140内に位置している。カバー平坦側壁部122は横フランジ部10に添設してボルト150などにより固定されるものである。この形態でも、係合溝14にパッキン130を嵌め込み、横フランジ部10上に添設したカバー平坦側壁部122をパッキン130に密着させて防水を図っている。
【0036】
図6(d)は、バケット100の側壁部は、バケット折返し側壁部102を有し、平坦側壁部を有しない形状を有しており、カバー平坦側壁部122のみを横フランジ部10上に添設している。バケット折返し側壁部102とカバー側壁121との間には、ゴム製のパッキン131を配置し、カバー側壁121で外方から抑え込むことでパッキン131が変形し、防水性を図っている。
なお、上記説明では、カバー120の横フランジ部への取り付けをボルト、ナットで行うものとして説明したが、本発明としては取り付け手段が特に限定されるものではなく、金具を用いた締結や、互いの形状を嵌め込みあう嵌め込み式の構造などを採用することも可能である。
【0037】
また、上記実施形態では、横フランジ部や被取付部材の溝形状にパッキンを嵌め込んでシール性を高めている。該パッキンには、一般にはOリングが多く用いられている。しかし、Oリング形状のパッキンでは、嵌め込み部の精度を高くするために形状精度を高くする必要があり、製造コストがアップしやすい。また、溝形状が被取付部材の形状などによって矩形状に配置されている場合、コーナ部では、R形状が付与されていても溝形状に嵌め込んだOリングでねじれが生じるなどしてシール性が損なわれやすいという問題がある。これに対処するため、パッキンを溝形状に合わせて一体成形することも考えられるが、製造コストが大幅にアップしてしまう。通常は、長尺なパッキン部材を端部同士でつなぎ合わせて矩形状などの溝形状に位置させる。
【0038】
また、パッキンの断面形状を下方が幅広で上方を狭幅とするものが考えられる。該パッキンでは、図9(a)に示すように、下方の最大幅部から上方に向けてテーパ状に狭幅とすることができる。該パッキン140では、下部の幅広部140aが溝形状に安定して嵌め込まれ、上部の挟幅部140bが溝形状から外方に突き出す。このパッキン140上からカバー120を被せると、図9(b)に示すように挟幅部140bが外方に沿って倒れ被取付部材や横フランジ部に添設されてシール性を高めることができる。しかし、このパッキン140でも、挟幅部140bの倒れ方向を制御することが難しく、部分的に内側に倒れるなどして、その部分でシール性が著しく損なわれるという問題がある。
【0039】
図7は、上記不具合の発生を防止して、安定した良好なシール性が得られるパッキンを示すものである。
パッキン132は、図7(a)に示すように、溝形状に嵌る嵌入部132aと、該嵌入部132aに連なり、溝形状に前記嵌入部を嵌めた際に前記溝形状の外部にはみだす外出部132bと、該外出部132bの外周側に連なって該外周側に伸長する周縁部132cとを有する形状を有している。
【0040】
上記パッキン132は、図7(b)に示すように、一例である溝形状105に嵌入部132aが嵌め込まれ、外出部132bが溝形状105の外方(上方側)に位置する。周縁部132cは、溝形状105の外周側に位置しており、溝形状が形成されている横フランジ部や被取付部材に添設され、カバー120が被せられてシール性を確保する。すなわち、カバー120を被せた際に、外出部132bと周縁部132cの外面側とカバー120の内面側とが密着して良好なシール性が得られる。なお、このパッキン132では、周縁部132cが必ず溝形状の外周側に位置するので、全周に亘って安定したシール性を発揮する。また、コーナ部において外出部132bで一部に皺などが発生しても、周縁部132cでシール性が確保されるため、コーナ部でシール性が損なわれることがない。
【0041】
次に、上記パッキンの変更例を図8に示す。
図8(a)に示されたパッキン133は、溝形状に嵌る嵌入部133aと、該嵌入部133aに連なって溝形状の外側にはみだす外出部133bと、該外出部133bの外周側に連なる周縁部133cとを有している。該周縁部133cは、前記パッキン132の周縁部132cに比べて外周方向の長さが長くなっており、カバーとの接触長さを大きくすることができる。本発明のパッキンでは、周縁部の長さを調整することでカバーとの接触長さを任意に調整することができる。
【0042】
図8(b)に示されたパッキン134は、溝形状に嵌る嵌入部134aと、該嵌入部134aに連なって溝形状の外側にはみだす外出部134bと、該外出部134bの外周側に連なる周縁部134cとを有しており、これら嵌入部134a、外出部134b、周縁部134cとは、前記パッキン132とほぼ同じ形状になっている。パッキン134では、さらに嵌入部134aの下面に凸部135が全周に亘ってまたは周方向の一部で形成されており、溝形状の底面に該凸部135が嵌る底部溝形状を形成することで、カバー脱着時のパッキン134のはずれを防止することができる。特に、凸部135の断面形状を円形などの下方側に幅広部を有する形状にして、底部溝部を該凸部135の断面形状に沿った蟻溝形状などとすることで、パッキンのはずれを一層確実に防止できる。
【0043】
以上、本発明に基づいて上記各形態に基づいて本発明の説明を行ったが、本発明は、上記説明の内容に限定されるものではなく、当然に本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1、2、3、4 縦フレーム
5 コーナージョイント
6、7 区画用縦フレーム
10、20、30、40 横フランジ部
11、21、31、41 係合溝部
12、22、32、42 側面中空部
13、23、33、43 受け片
14、24、34、44 取付部
100 バケット
101 バケット側壁
102 バケット折返し側壁部
103 バケット平坦側壁部
110 バッテリ
120 カバー
121 カバー側壁
122 カバー平坦側壁部
130、131、132、133、134 パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材が取り付けられるフレーム構造において、前記被取付部材側壁が内側に添設されるとともに、該被取付部材側壁が上方側で外側に折り返されて上端部外側に添設されるべく幅方向に伸長する縦フレームと、前記上端部の下方で前記縦フレーム外側面に連なって外方に伸長し、前記被取付部材を上方から覆うカバーまたは前記被取付部材側壁および前記カバーが上面側に添設される横フランジ部とを有することを特徴とするフレーム構造。
【請求項2】
前記縦フレームの外側面であって、前記横フランジ部の下方側に、該縦フレームの長手方向に沿って側面中空部が設けられ、かつ前記縦フレームの内側下端部に、内側に伸長して前記被取付部材の底部を上面側で受ける受け片が形成され、前記横フランジ部の外側端部に、フレーム取付材に対する取付部を有することを特徴とする請求項1記載のフレーム構造。
【請求項3】
前記縦フレームが枠形状に配置され、該枠状の縦フレーム内を横方向で区画し、前記被取付部材側壁が内側に添設され、該被取付部材側壁が外側に折られてその上端側に添設される区画用縦フレームを備え、該区画用縦フレームは、互いに離隔して対向し、連結片で連結された対の縦板で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフレーム構造。
【請求項4】
前記対の縦板で形成される空間が、配線または/および冷却装置を収容可能になっていることを特徴とする請求項3記載のフレーム構造。
【請求項5】
前記横フランジ部は、前記被取付部材側壁に形状付与された下向きの係合凸条が嵌る係合溝部が上面側に形成され、かつ前記係合凸条および前記係合溝部が前記縦フレームの長手方向に沿って形成され、前記被取付部材側壁は、前記係合凸条が形成された面の反対面側がパッキンが通る溝形状で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフレーム構造。
【請求項6】
前記横フランジ部は、パッキンが通る溝形状が上面側に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフレーム構造。
【請求項7】
前記パッキンが、前記溝形状に嵌る嵌入部と、該嵌入部に連なり、前記溝形状に前記嵌入部を嵌めた際に前記溝形状の外部にはみだす外出部と、該外出部の外周側に連なって該外周側に伸長する周縁部とを有することを特徴とする請求項5または6に記載のフレーム構造。
【請求項8】
前記被取付部材がバケットであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフレーム構造。
【請求項9】
前記枠形状の縦フレームは、複数の縦フレーム端部が位置するコーナー部分で剛性ジョイントにより前記縦フレームが互いに連結されて構成されていることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載のフレーム構造。
【請求項10】
前記縦フレームの下方側に、前記被取付部材の底部を覆い、前記縦フレームに固定された底板が配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のフレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−136684(P2011−136684A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259025(P2010−259025)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000176707)三菱アルミニウム株式会社 (446)
【Fターム(参考)】