フロアタイル
【課題】フロアタイルの固定が確実でかつ着脱が容易であって、タイル間の密着度が高められたフロアタイルを提供する。
【解決手段】矩形状で複数連結可能とされ、各辺に係合雄部10または係合雌部20が形成され、係合雄部10は、外方へ突出し、先端に嵌入頭部12が設けられた雄部本体、嵌入頭部12に設けられ、基端16に対し先端部15が変位可能とされた係合爪13を備え、係合雌部20は、厚み方向に凹み、他のフロアタイルの嵌入頭部12を同厚み方向に嵌入可能とする凹所23、凹所に設けられ、凹所23に嵌入頭部12を嵌入させる際に先端部15に当接して先端部15の通過を許し、係合爪13の厚み方向外方への移動を阻止し、凹所23から嵌入頭部12を離脱させる際に、他のフロアタイルとの目地で折り曲げ、係合爪の外方への移動を許す係合壁部24を備える。
【解決手段】矩形状で複数連結可能とされ、各辺に係合雄部10または係合雌部20が形成され、係合雄部10は、外方へ突出し、先端に嵌入頭部12が設けられた雄部本体、嵌入頭部12に設けられ、基端16に対し先端部15が変位可能とされた係合爪13を備え、係合雌部20は、厚み方向に凹み、他のフロアタイルの嵌入頭部12を同厚み方向に嵌入可能とする凹所23、凹所に設けられ、凹所23に嵌入頭部12を嵌入させる際に先端部15に当接して先端部15の通過を許し、係合爪13の厚み方向外方への移動を阻止し、凹所23から嵌入頭部12を離脱させる際に、他のフロアタイルとの目地で折り曲げ、係合爪の外方への移動を許す係合壁部24を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床等に複数敷きつめて使用され、互いに隣接するもの同士を連結できるようにしたフロアタイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の床材として、例えば特許文献1から3に示されたものが提供されている。
これらの床材は、床材本体の側壁部に係合雄部と係合雌部からなる連結部を有し、単体の床材同士を互いに連結して、所望の広さの床を形成できるようにしたものである。
【0003】
特許文献1に記載された床材は、図14に示すように、矩形に形成されたタイル本体100(一部省略)の側壁101に、嵌合孔102を形成するとともに、側壁101に切欠103を形成し、隣接するタイル本体100の軸部104の先端に柱状体105が形成された構成とされている。この床材は、一のタイル本体100の嵌合孔102に、他のタイル本体100の柱状体105をタイル厚み方向に嵌入し、軸部104を切欠103内に位置させた状態で柱状体105を嵌合孔102内に嵌合させて複数のタイルを連結させるものである。
【0004】
また、特許文献2に示す床材は、図15に示すように、矩形のタイル本体200の側壁部201に壁部202から206を形成したものである。これらの壁部202から206間には、空間部207、208、207を有する構成とされている。また、隣接するタイルの側壁部(不図示)には、先端にフック209、209a、209を有する係合雄部210、211、210が形成された構成とされている。これらのタイル本体200は、一のタイル本体200の空間部207、208、207内に他のタイル本体の係合雄部210、211、210を矢印A方向に嵌入することにより、係合雄部210、211、210の各フック209、209a、209を、各壁部202、204等に係合させて複数の床材を連結するようにしたものである。
【0005】
さらに、特許文献3に記載された床材は、図16に示すように、一のタイル本体300の側壁部(不図示)には、下端に係合爪305を有する係止体306が形成されており、他のタイル本体300の側壁部には、外側係止受部307と内側係止受部308により構成される係止受部309とが設けられた構成とし、これら受部間に空間310が設けられた構成とされている。これらの床材は、一のタイル本体300の係止爪305を有する係止体306を空間内310に挿入し、係止爪305を内側係止受部308の内側面に係合させることによって複数の床材を連結させるものである。これらの床材は、両者を取り外すときに、両床材間のタイル厚み方向における下端部側目地部分を稜線部として谷形状となるように折り曲げ、一の床材から他の床材を取り出すものである。
【特許文献1】実用新案登録第2513865号公報
【特許文献2】特開平10−295527号公報
【特許文献3】特開2005−139850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載された床材は、一のタイル本体100の嵌合孔102内に他のタイル本体の柱状体105をタイル厚み方向に嵌入させただけの構成であり、床材の上下方向の変位に対する係止手段がないため、各タイル本体100に力が加わった場合に、一のタイル本体100から他のタイル本体100が離脱してしまうという問題があった。つまり、この床材を床に敷き詰めて使用した場合に、上からの加重・衝撃があった場合や左右から強力な力が加わった場合には、床材の連結部が盛り上がったり、上下にがたついたりして、意図せずに各床材の連結が外れてしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に開示された床材は、係合雄部210、211、210を壁部202、204等に係合させて連結を図るものであるから、多方向から力ないし衝撃が加えられた場合に連結部が外れないという利点があるが、床材を再び取り外したい場合においては、連結部に無理やり力を加えて取り外さざるを得ず、連結部の係合雄部210、211、210又は壁部202、204等の形状を変形させるか、破壊してしなければならず、連結解除後再利用できないという問題があった。
【0008】
また、特許文献3に示された床材は、床材の連結部を、谷形状になるよう係止体306を回動し、床材の連結を解除できるようにしたものであるから、本床材の連結を解除する場合には、一のタイル本体300から他のタイル本体300を外すために両者を谷形状に折り曲げたときに、両床材の目地部分におけるタイル厚み方向の上端部311が干渉してしまい、取り外しが困難になるという問題があった。また、取り外しを容易にするためには、タイル厚み方向の上端部311を面取りすることが考えられるが、本床材を敷き詰めた場合には、床材間の目地部分に幅広の凹所ができることになり、機能的にも外観的にも問題が生ずるというものであった。また、連結部が谷折りに窪むことを前提としているため、連結部に上部から力が加わった場合に、意図せず床材間が谷形状になり、不用意に連結が外れてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、フロアタイルの固定が確実でかつ着脱が容易であって、タイル間の密着度が高められているため機能的かつ外観的にも優れており、連結解除後にも再利用できる高機能なフロアタイルの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供している。
第1の発明は、平面視矩形に形成され、各辺を隣接させて複数互いに連結可能とされたフロアタイルであって、前記各辺には、係合雄部および/または係合雌部が形成され、前記係合雄部は、平面視前記各辺の外方へ突出し、先端に嵌入頭部が設けられた雄部本体と、前記嵌入頭部に設けられ、基端に対し先端部が弾性変形により変位可能とされた係合爪とを備え、前記係合雌部は、タイル厚み方向に凹み、隣接させられる他のフロアタイルの前記嵌入頭部を同厚み方向に嵌入可能とする凹所と、該凹所内に設けられ、該凹所内に前記嵌入頭部を嵌入させる際に前記係合爪に当接し、該係合爪の先端部を変位させてその通過を許す一方、この通過後の該先端部のタイル厚み方向外方への移動を阻止し、該凹所内から前記嵌入頭部を離脱させる際に、当該フロアタイルに対し前記他のフロアタイルをこれらの目地部分を中心に折り曲げた状態で前記係合爪の先端部の前記外方への移動を許す係合壁部とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
第2の発明は、前記凹所内には、該凹所内に前記嵌入頭部を嵌入させたときに、前記係合爪の先端部が弾性復帰して衝突し、該係合爪と協働して音を発する音発生壁部が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
第3の発明は、前記係合爪の先端部であって、該先端部が前記係合壁部に当接する部分に該先端部の通過を促進させるガイド面が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
第4の発明は、前記各辺の少なくとも両端部には、タイル厚み方向に連続し、前記他のフロアタイルのものと対向する外壁面を有する支持壁部が形成され、当該フロアタイルと前記他のフロアタイルとが、タイル厚み方向上端側における前記目地部分を頂部稜線部分として山形状に折り曲げ自在とされ、前記支持壁部の外壁面には各フロアタイルを該山形状に折り曲げたときに各支持壁部の干渉防止用の傾斜面が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフロアタイルによると、一のフロアタイルに他のフロアタイルを連結するにあたり、他のフロアタイルの係合雌部に係合雄部をタイル厚み方向に嵌合させ、この際、係合雄部に備えた係合爪を弾性変形させて嵌入することで、当該係合壁部を乗り越えて容易に両者を連結させることができ、かつ、一端連結すると、フロアタイルの厚み方向に力が加わっても、当該係合壁部が係合雄部の離脱を阻止するため、一のフロアタイルから他のフロアタイルが外れないという利点を有する。
また、連結を解除するには、一のタイルに対して他のタイルを意図的に山形状に折り曲げることで、容易に両者を離脱させることができる。したがって、本発明によるフロアタイルによると、必要に応じて各フロアタイルを容易にかつ欠損なく分離することができる。
また、本発明のフロアタイルによると、連結部を構成する係合爪の先端部は、係合壁部を乗り越えることを促進させるためにガイド面とされているので、係合爪の先端部が係合壁部を通過するための操作を円滑に行うことができ、フロアタイルの連結作業を容易に行うことができる。
また更に、本発明のフロアタイルによると、係合雄部が所定の位置に嵌合された際に、係合爪の上部の一部が前記係合雌部の一部と接触することにより音がする構成とされているため、連結部の連結を明確に確認することができる。
また更に、本発明のフロアタイルの構成によると、一のタイルから他のタイルを外す場合、両フロアタイルを山形状に折り曲げた際に支持壁部の下部が干渉することがないので、離脱作業を容易にすることができ、また、フロアタイルの目地部分を密着させやすいという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の一実施の形態について説明する。
【0016】
図9、図10は、本発明によるフロアタイルの一実施形態を示す図である。図9は、本発明によるフロアタイル1を複数床に敷き詰めて互いに連結した状態を示す斜視図、図10は、同連結した状態における底面図である。図9に示すように各フロアタイル1は、所定の厚みを有し、平面視略矩形に形成されたものである。
【0017】
図1は、本発明によるフロアタイルの底面斜視図であり、図2、3は、それぞれ図1の要部を拡大したものである。図1に示すようにフロアタイル1は、タイル本体2とタイル本体2の上面側に設けられた化粧板材3とからなるものである。タイル本体2は、ABS、塩化ビニール、ポリプロピレン、ポリアミド等の合成樹脂より形成されたものである。
【0018】
タイル本体2は、平面視矩形の本体4の各辺4aから4dの角部に、支持壁部5aから5dが形成され、一組の隣接する辺4a、4bに係合雄部10が形成され、他の隣接する辺4c、4dに係合雌部20が形成されたものである。
【0019】
係合雄部10は、タイル本体2の辺4a、4bの長さ方向中央部に設けられたものであり、平面視矩形に形成された本体4の辺4a、4bの外方へ突出するように形成されている。
この係合雄部10は、図2に示すように、前記外方へ突出する軸部11と、当該軸部11の先端部に設けられた嵌入頭部12と、嵌入頭部12に設けられた係合爪13とからなっている。
嵌入頭部12には、その先端側に切欠部14aが形成されており、この切欠部14a内に係合爪13が形成されている。これらの嵌入頭部12、係合爪13は、全体として平面視略矩形に形成されている。
【0020】
係合爪13は、嵌入頭部12の底面から前方へ突出する基部16と、基部16から基部16より厚み寸法を小とされた先端部15とから成っている。
【0021】
基部16には、その下面に幅方向に向けて溝17が形成されている。また、先端部15の上端面には、ガイド面18が形成されている。
【0022】
合成樹脂により形成されている係合爪13は、溝17を備えていることにより、先端部15に力が加えられたとき、後述するように肉厚の薄い溝17部分を中心として矢印P方向に弾性変形し、先端部15が変位できるように構成されている。
【0023】
ガイド面18は、係合爪13が係合雌部20に備えられた後述する係合壁部24に係合した際に、係合壁部24を通過するのを促進させる傾斜面として設けられている。
【0024】
図1、3に示すように、係合雌部20は、辺4c、4dに設けられている。辺4c、4dには、切欠部25が形成されており、係合雌部20は、この切欠部25内に設けられている。
【0025】
図3に示すように、係合雌部20内は、平面視C字状に連続する壁部21a、21b、及び21cを備えており、壁部21aは切欠部25の底面に沿うように設けられ、壁部21bは壁部21aの両端から前記突出方向に突出するように設けられ、壁部21cは、壁部21aと平行に設けられ、かつ、壁部21bの両端から突出するよう形成されている。この構成の下に、各壁部21a、21b、21c内には嵌入凹部23(凹所)が形成されており、壁部21c、21c間は開口部26となっている。
嵌入凹部23は、平面視略矩形形状の凹部であり、前述した係合雄部10の嵌入頭部12をその内部にタイル厚み方向から嵌入可能とするもので、矩形形状の各辺方向の寸法が、嵌入頭部12が嵌入された際に、嵌入頭部12が各辺方向の寸法、即ち本体4の辺4c、4dに沿う方向、及びこれに直交する方向に極僅かに動きうる寸法とされている。
【0026】
また、嵌入凹部23は、壁部21a部分に空間部22を備えている。この壁部21aには、後述するように、嵌入凹部23内に嵌入頭部12を挿入したときに係合爪13の先端部15が当接し、更にその挿入途中において係合爪13を変形させて通過させる係合壁部24が形成されている。
【0027】
また更に、壁部21aのタイル厚み方向上端部側には、係合爪13が弾性復帰した場合に衝突して該係合爪13と協働して音を発生する、音発生壁部28が形成されている。
【0028】
なお、空間部22は、後述するように嵌入凹部23から嵌入頭部12を取り出す際に、本フロアタイル1と他のフロアタイル1とを山形状に折り曲げる際に、係合爪13の先端部15が自由に動きうるスペースとなる。
【0029】
図1に示すように、支持壁部5aから5dは、本体4の角部から外方へ突出する様に設けられたものであり、外観略角柱状に形成されたものである。これらの支持壁部5aから5dの詳細は、図8に示すように、その外端面6が本体4の各辺と平行に設けられ、本体4と一体的に形成されたものである。支持壁部5aから5dは、その上端面に平面視L字状の保持壁部7を備えている。
【0030】
保持壁部7は、タイル本体2の四隅に形成されたものであり、各保持壁部の内部には、後述する化粧板材3が嵌入されるようになっている。
【0031】
支持壁部5aから5dの外端面6は、図8に示すように、上端側から下端側に向けてタイル本体2内方へ漸次傾斜する面とされている。このように形成された傾斜面6aは、後述するように、隣接するフロアタイル1の連結を解除するために各フロアタイルの目地部分を山形状に折り曲げたときに、相互に隣り合う支持壁部5同士が干渉し合うのを防止するためのものである。
【0032】
図1、図9に示すように、化粧板材3は、平面視矩形に形成されたものであって、一定の厚みを有する板体の表面に、適宜化粧用の凹凸模様等を形成したものである。
この化粧板材3は、木材、繊維板、自然石、セラミック、合成樹脂等の各種材料から形成されたものである。
この化粧板材3は、タイル本体2の上面側において4つの保持壁部7間に嵌入され、接着剤等によってタイル本体2の上面に固定されている。
【0033】
次に、上記のように構成されたフロアタイルを複数床等に敷き詰める方法について説明する。
まず、図9に示すように、一のフロアタイル1に対して他のフロアタイル1を隣接させ、図4、5に示すように一のフロアタイル1の係合雌部20と他のフロアタイル1の係合雄部10とを、相互に平行する平面上に、かつ各辺が対向するよう位置させ、係合雄部10を係合雌部20より下に配置した状態で、フロアタイル1と他のフロアタイル1とを上下方向に相互に移動させ、係合雄部10の嵌入頭部12を係合雌部20の嵌入凹部23に嵌入させる。
嵌入頭部12が嵌入凹部23内に嵌入されると、係合爪13の先端部15が係合壁部24に当接する。嵌入頭部12を、嵌入凹部23の更に奥部へと嵌入さようとすると、図4に示すように、先端部15に設けたガイド面18が係合壁部24に当接し、係合爪13に設けられた溝17が弾性変形することによって先端部15が変位する。係合爪13は、その先端部15のガイド面18が係合壁部24に当接すると、係合爪13の溝17部分を弾性変形させつつタイル本体2の上部方向へ滑ることによって、嵌入頭部12を嵌入凹部23内に導入していき、図5に示すように、先端部15が係合壁部24を通過して、係合壁部24のタイル厚み方向上端側に位置する空間部22に嵌合される。この際、係合爪13は、ガイド面18を有することで、このガイド面18が係合壁部24に対して相対的に滑りつつ、空間部22方向への嵌入を円滑に行うことができる。
【0034】
空間部22内に嵌入する過程の係合爪13は、図4に示すように、先端部15と係合壁部24とによる圧迫のため依然溝17部分において弾性変形している状態であるが、その先端部15が空間部22内に嵌入し切った際には、図5に示すように、先端部15と係合壁部24との間の圧迫から開放されて、空間22内で弾性復帰し、その弾性復帰の際に音発生壁部28に衝突する。ここで音発生壁部28は係合爪13と協働して、パチッと音を立てることになる。このように音が発生することによって、複数のフロアタイル1の連結作業において、連結が確実に行われたことを確認できる。
【0035】
以上のようにして一端連結された複数のフロアタイル1は、図5のように係合爪13がその下面において係合壁部24に当接し、かつ、先端部15の上面が音発生壁部28及び化粧板材3の底面に当接するという状態になる。したがって、一のフロアタイル1と他のフロアタイル1とを相互に上下反対方向に変位させることができず、また、両フロアタイルの目地部分を谷形状に曲げることが阻止されるため、当該一のフロアタイル1から他のフロアタイル1が抜けること、及び、目地部分に上部から加重された場合に係合雄部10が係合雌部20から離脱してしまうことを防止することができる。
【0036】
次に、これら連結したフロアタイルを取り外す操作について、図6、7を用いて説明する。
図6に示すように、一のフロアタイル1に対して他のフロアタイル1を、目地部分を中心に山形状に折り曲げると、図7に示すように、係合壁部24及び音発生壁部28が障害とならなくなるため、一のフロアタイル1を、係合爪13の突出方向と逆方向(矢印Q方向)に容易に引き抜くことができ、嵌入頭部12を嵌入凹部23からスムーズに離脱させることができる。この際、係合爪13は、その先端部15が空間部22内で回動することができ、フロアタイル1の折り曲げに際して本体4の側面等に当接することがなく、同折り曲げ作業を容易に行うことができる。
また、支持壁部5は、図8に示すようにフロアタイル1を目地部分を中心に山形状に折り曲げても、隣接するフロアタイル1の支持壁部5との間で互いに干渉しないような傾斜面6aとされているため、隣接するフロアタイル同士を所定の角度まで確実に、無理なく折り曲げることでき、フロアタイル同士の分離を容易に行うことができる。
【0037】
本発明によるフロアタイル1の係合雄部10及び係合雌部20は、係合爪13が図2に示すように一体的な形状とする場合の他、図11、12に示すように、複数の係合爪13から成る形状とすることも可能である。
【0038】
図13は、タイル本体2の構成の変形例を示すものである。この図13に示す例のタイル本体2は、中実の板状体としたものとはせず、タイル本体の内部を、円、直線等の一定の形状を有する薄圧の壁部により構成したものである。この構成によれば、タイル本体を軽量化し、また水を使用する環境における使用においては、排水を良好にする効果を有する。
【0039】
以上のように、本発明のフロアタイル1によると、一のフロアタイル1に他のフロアタイル1を連結するにあたり、他のフロアタイル1の係合雌部20に係合雄部10を厚み方向に嵌合させ、係合雄部10の着脱の障害となる係合壁部24を持つ係合雌部20に対し、係合雄部10に備えた係合爪13を弾性変形させて嵌入することで、当該係合壁部24を乗り越えて容易に両者を連結させることができ、かつ、一端連結すると、フロアタイル1の厚み方向に力が加わっても、当該係合壁部24が係合爪13に引っかかり、係合雄部10の離脱を阻止するため、一のフロアタイル1から他のフロアタイル1が外れないという利点を有する。
【0040】
また、連結を解除するには、一のフロアタイル1に対して他のフロアタイル1を意図的に目地部分で山形状に折り曲げて、係合壁部24及び音発生壁部28にも引っかからないように引き抜くことで、一のフロアタイル1から他のフロアタイル1を容易に離脱させることができる。したがって、本発明によるフロアタイルによると、必要に応じて各フロアタイルを容易にかつ欠損なく分離することができる。
【0041】
また、本発明のフロアタイル1によると、連結部を構成する係合雄部10の先端部15には、係合壁部24を乗り越えることを促進させるために傾斜形状のガイド面18が形成されているので、係合爪13の先端部15が係合壁部24を通過するための操作を円滑に行うことができ、フロアタイル1の連結作業を容易に行うことができる。
【0042】
また更に、本発明のフロアタイル1によると、係合雄部10が所定の位置に嵌合された際に、係合雄部10の上部の一部が前記係合雌部20の音発生壁部28と接触することにより音がする構成とされているため、連結部の連結が確実となった状態を容易に確認することができる。
【0043】
また更に、本発明のフロアタイル1の構成によると、一のフロアタイル1から他のフロアタイル1を外す場合、両フロアタイル1、1を目地部分で山形状に折り曲げても支持壁部5の下部の傾斜面6aが干渉することがないので、離脱作業を容易にすることができ、引いてはフロアタイル1の目地部分を密着させやすいという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態として示したフロアタイルの裏面側から視た斜視図である。
【図2】同フロアタイルの係合雄部の拡大図である。
【図3】同フロアタイルの係合雌部の拡大図である。
【図4】同フロアタイルの使用状態を示す縦段面図である。
【図5】同フロアタイルの使用状態を示す縦段面図である。
【図6】同フロアタイルの使用状態を示す縦段面図である。
【図7】同フロアタイルの使用状態を示す縦段面図である。
【図8】同フロアタイルの支持壁部の拡大斜視図である。
【図9】同フロアタイルを複数床等に敷き詰めた状態を示す斜視図である。
【図10】同フロアタイルを複数床等に敷き詰めた状態を示す底面図である。
【図11】本発明によるフロアタイルの係合雄部の別の例を示す拡大斜視図である。
【図12】本発明によるフロアタイルの係合雌部の別の例を示す拡大斜視図である。
【図13】本発明によるフロアタイル本体の構成の変形例を示す底面斜視図である。
【図14】従来の床材による連結部の例である。
【図15】従来の床材による連結部の例である。
【図16】従来の床材による連結部の例である。
【符号の説明】
【0045】
1 フロアタイル
2 タイル本体
3 化粧板材
4 本体
5 支持壁部
6 外端面
6a 傾斜面
10 係合雄部
11 軸部
12 嵌入頭部
13 係合爪
15 先端部
16 基部
17 溝
18 ガイド面
20 係合雌部
22 空間部
23 凹所、嵌入凹部
24 係合壁部
25 切欠部
26 開口部
28 音発生壁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、床等に複数敷きつめて使用され、互いに隣接するもの同士を連結できるようにしたフロアタイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の床材として、例えば特許文献1から3に示されたものが提供されている。
これらの床材は、床材本体の側壁部に係合雄部と係合雌部からなる連結部を有し、単体の床材同士を互いに連結して、所望の広さの床を形成できるようにしたものである。
【0003】
特許文献1に記載された床材は、図14に示すように、矩形に形成されたタイル本体100(一部省略)の側壁101に、嵌合孔102を形成するとともに、側壁101に切欠103を形成し、隣接するタイル本体100の軸部104の先端に柱状体105が形成された構成とされている。この床材は、一のタイル本体100の嵌合孔102に、他のタイル本体100の柱状体105をタイル厚み方向に嵌入し、軸部104を切欠103内に位置させた状態で柱状体105を嵌合孔102内に嵌合させて複数のタイルを連結させるものである。
【0004】
また、特許文献2に示す床材は、図15に示すように、矩形のタイル本体200の側壁部201に壁部202から206を形成したものである。これらの壁部202から206間には、空間部207、208、207を有する構成とされている。また、隣接するタイルの側壁部(不図示)には、先端にフック209、209a、209を有する係合雄部210、211、210が形成された構成とされている。これらのタイル本体200は、一のタイル本体200の空間部207、208、207内に他のタイル本体の係合雄部210、211、210を矢印A方向に嵌入することにより、係合雄部210、211、210の各フック209、209a、209を、各壁部202、204等に係合させて複数の床材を連結するようにしたものである。
【0005】
さらに、特許文献3に記載された床材は、図16に示すように、一のタイル本体300の側壁部(不図示)には、下端に係合爪305を有する係止体306が形成されており、他のタイル本体300の側壁部には、外側係止受部307と内側係止受部308により構成される係止受部309とが設けられた構成とし、これら受部間に空間310が設けられた構成とされている。これらの床材は、一のタイル本体300の係止爪305を有する係止体306を空間内310に挿入し、係止爪305を内側係止受部308の内側面に係合させることによって複数の床材を連結させるものである。これらの床材は、両者を取り外すときに、両床材間のタイル厚み方向における下端部側目地部分を稜線部として谷形状となるように折り曲げ、一の床材から他の床材を取り出すものである。
【特許文献1】実用新案登録第2513865号公報
【特許文献2】特開平10−295527号公報
【特許文献3】特開2005−139850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載された床材は、一のタイル本体100の嵌合孔102内に他のタイル本体の柱状体105をタイル厚み方向に嵌入させただけの構成であり、床材の上下方向の変位に対する係止手段がないため、各タイル本体100に力が加わった場合に、一のタイル本体100から他のタイル本体100が離脱してしまうという問題があった。つまり、この床材を床に敷き詰めて使用した場合に、上からの加重・衝撃があった場合や左右から強力な力が加わった場合には、床材の連結部が盛り上がったり、上下にがたついたりして、意図せずに各床材の連結が外れてしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に開示された床材は、係合雄部210、211、210を壁部202、204等に係合させて連結を図るものであるから、多方向から力ないし衝撃が加えられた場合に連結部が外れないという利点があるが、床材を再び取り外したい場合においては、連結部に無理やり力を加えて取り外さざるを得ず、連結部の係合雄部210、211、210又は壁部202、204等の形状を変形させるか、破壊してしなければならず、連結解除後再利用できないという問題があった。
【0008】
また、特許文献3に示された床材は、床材の連結部を、谷形状になるよう係止体306を回動し、床材の連結を解除できるようにしたものであるから、本床材の連結を解除する場合には、一のタイル本体300から他のタイル本体300を外すために両者を谷形状に折り曲げたときに、両床材の目地部分におけるタイル厚み方向の上端部311が干渉してしまい、取り外しが困難になるという問題があった。また、取り外しを容易にするためには、タイル厚み方向の上端部311を面取りすることが考えられるが、本床材を敷き詰めた場合には、床材間の目地部分に幅広の凹所ができることになり、機能的にも外観的にも問題が生ずるというものであった。また、連結部が谷折りに窪むことを前提としているため、連結部に上部から力が加わった場合に、意図せず床材間が谷形状になり、不用意に連結が外れてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、フロアタイルの固定が確実でかつ着脱が容易であって、タイル間の密着度が高められているため機能的かつ外観的にも優れており、連結解除後にも再利用できる高機能なフロアタイルの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供している。
第1の発明は、平面視矩形に形成され、各辺を隣接させて複数互いに連結可能とされたフロアタイルであって、前記各辺には、係合雄部および/または係合雌部が形成され、前記係合雄部は、平面視前記各辺の外方へ突出し、先端に嵌入頭部が設けられた雄部本体と、前記嵌入頭部に設けられ、基端に対し先端部が弾性変形により変位可能とされた係合爪とを備え、前記係合雌部は、タイル厚み方向に凹み、隣接させられる他のフロアタイルの前記嵌入頭部を同厚み方向に嵌入可能とする凹所と、該凹所内に設けられ、該凹所内に前記嵌入頭部を嵌入させる際に前記係合爪に当接し、該係合爪の先端部を変位させてその通過を許す一方、この通過後の該先端部のタイル厚み方向外方への移動を阻止し、該凹所内から前記嵌入頭部を離脱させる際に、当該フロアタイルに対し前記他のフロアタイルをこれらの目地部分を中心に折り曲げた状態で前記係合爪の先端部の前記外方への移動を許す係合壁部とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
第2の発明は、前記凹所内には、該凹所内に前記嵌入頭部を嵌入させたときに、前記係合爪の先端部が弾性復帰して衝突し、該係合爪と協働して音を発する音発生壁部が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
第3の発明は、前記係合爪の先端部であって、該先端部が前記係合壁部に当接する部分に該先端部の通過を促進させるガイド面が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
第4の発明は、前記各辺の少なくとも両端部には、タイル厚み方向に連続し、前記他のフロアタイルのものと対向する外壁面を有する支持壁部が形成され、当該フロアタイルと前記他のフロアタイルとが、タイル厚み方向上端側における前記目地部分を頂部稜線部分として山形状に折り曲げ自在とされ、前記支持壁部の外壁面には各フロアタイルを該山形状に折り曲げたときに各支持壁部の干渉防止用の傾斜面が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフロアタイルによると、一のフロアタイルに他のフロアタイルを連結するにあたり、他のフロアタイルの係合雌部に係合雄部をタイル厚み方向に嵌合させ、この際、係合雄部に備えた係合爪を弾性変形させて嵌入することで、当該係合壁部を乗り越えて容易に両者を連結させることができ、かつ、一端連結すると、フロアタイルの厚み方向に力が加わっても、当該係合壁部が係合雄部の離脱を阻止するため、一のフロアタイルから他のフロアタイルが外れないという利点を有する。
また、連結を解除するには、一のタイルに対して他のタイルを意図的に山形状に折り曲げることで、容易に両者を離脱させることができる。したがって、本発明によるフロアタイルによると、必要に応じて各フロアタイルを容易にかつ欠損なく分離することができる。
また、本発明のフロアタイルによると、連結部を構成する係合爪の先端部は、係合壁部を乗り越えることを促進させるためにガイド面とされているので、係合爪の先端部が係合壁部を通過するための操作を円滑に行うことができ、フロアタイルの連結作業を容易に行うことができる。
また更に、本発明のフロアタイルによると、係合雄部が所定の位置に嵌合された際に、係合爪の上部の一部が前記係合雌部の一部と接触することにより音がする構成とされているため、連結部の連結を明確に確認することができる。
また更に、本発明のフロアタイルの構成によると、一のタイルから他のタイルを外す場合、両フロアタイルを山形状に折り曲げた際に支持壁部の下部が干渉することがないので、離脱作業を容易にすることができ、また、フロアタイルの目地部分を密着させやすいという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の一実施の形態について説明する。
【0016】
図9、図10は、本発明によるフロアタイルの一実施形態を示す図である。図9は、本発明によるフロアタイル1を複数床に敷き詰めて互いに連結した状態を示す斜視図、図10は、同連結した状態における底面図である。図9に示すように各フロアタイル1は、所定の厚みを有し、平面視略矩形に形成されたものである。
【0017】
図1は、本発明によるフロアタイルの底面斜視図であり、図2、3は、それぞれ図1の要部を拡大したものである。図1に示すようにフロアタイル1は、タイル本体2とタイル本体2の上面側に設けられた化粧板材3とからなるものである。タイル本体2は、ABS、塩化ビニール、ポリプロピレン、ポリアミド等の合成樹脂より形成されたものである。
【0018】
タイル本体2は、平面視矩形の本体4の各辺4aから4dの角部に、支持壁部5aから5dが形成され、一組の隣接する辺4a、4bに係合雄部10が形成され、他の隣接する辺4c、4dに係合雌部20が形成されたものである。
【0019】
係合雄部10は、タイル本体2の辺4a、4bの長さ方向中央部に設けられたものであり、平面視矩形に形成された本体4の辺4a、4bの外方へ突出するように形成されている。
この係合雄部10は、図2に示すように、前記外方へ突出する軸部11と、当該軸部11の先端部に設けられた嵌入頭部12と、嵌入頭部12に設けられた係合爪13とからなっている。
嵌入頭部12には、その先端側に切欠部14aが形成されており、この切欠部14a内に係合爪13が形成されている。これらの嵌入頭部12、係合爪13は、全体として平面視略矩形に形成されている。
【0020】
係合爪13は、嵌入頭部12の底面から前方へ突出する基部16と、基部16から基部16より厚み寸法を小とされた先端部15とから成っている。
【0021】
基部16には、その下面に幅方向に向けて溝17が形成されている。また、先端部15の上端面には、ガイド面18が形成されている。
【0022】
合成樹脂により形成されている係合爪13は、溝17を備えていることにより、先端部15に力が加えられたとき、後述するように肉厚の薄い溝17部分を中心として矢印P方向に弾性変形し、先端部15が変位できるように構成されている。
【0023】
ガイド面18は、係合爪13が係合雌部20に備えられた後述する係合壁部24に係合した際に、係合壁部24を通過するのを促進させる傾斜面として設けられている。
【0024】
図1、3に示すように、係合雌部20は、辺4c、4dに設けられている。辺4c、4dには、切欠部25が形成されており、係合雌部20は、この切欠部25内に設けられている。
【0025】
図3に示すように、係合雌部20内は、平面視C字状に連続する壁部21a、21b、及び21cを備えており、壁部21aは切欠部25の底面に沿うように設けられ、壁部21bは壁部21aの両端から前記突出方向に突出するように設けられ、壁部21cは、壁部21aと平行に設けられ、かつ、壁部21bの両端から突出するよう形成されている。この構成の下に、各壁部21a、21b、21c内には嵌入凹部23(凹所)が形成されており、壁部21c、21c間は開口部26となっている。
嵌入凹部23は、平面視略矩形形状の凹部であり、前述した係合雄部10の嵌入頭部12をその内部にタイル厚み方向から嵌入可能とするもので、矩形形状の各辺方向の寸法が、嵌入頭部12が嵌入された際に、嵌入頭部12が各辺方向の寸法、即ち本体4の辺4c、4dに沿う方向、及びこれに直交する方向に極僅かに動きうる寸法とされている。
【0026】
また、嵌入凹部23は、壁部21a部分に空間部22を備えている。この壁部21aには、後述するように、嵌入凹部23内に嵌入頭部12を挿入したときに係合爪13の先端部15が当接し、更にその挿入途中において係合爪13を変形させて通過させる係合壁部24が形成されている。
【0027】
また更に、壁部21aのタイル厚み方向上端部側には、係合爪13が弾性復帰した場合に衝突して該係合爪13と協働して音を発生する、音発生壁部28が形成されている。
【0028】
なお、空間部22は、後述するように嵌入凹部23から嵌入頭部12を取り出す際に、本フロアタイル1と他のフロアタイル1とを山形状に折り曲げる際に、係合爪13の先端部15が自由に動きうるスペースとなる。
【0029】
図1に示すように、支持壁部5aから5dは、本体4の角部から外方へ突出する様に設けられたものであり、外観略角柱状に形成されたものである。これらの支持壁部5aから5dの詳細は、図8に示すように、その外端面6が本体4の各辺と平行に設けられ、本体4と一体的に形成されたものである。支持壁部5aから5dは、その上端面に平面視L字状の保持壁部7を備えている。
【0030】
保持壁部7は、タイル本体2の四隅に形成されたものであり、各保持壁部の内部には、後述する化粧板材3が嵌入されるようになっている。
【0031】
支持壁部5aから5dの外端面6は、図8に示すように、上端側から下端側に向けてタイル本体2内方へ漸次傾斜する面とされている。このように形成された傾斜面6aは、後述するように、隣接するフロアタイル1の連結を解除するために各フロアタイルの目地部分を山形状に折り曲げたときに、相互に隣り合う支持壁部5同士が干渉し合うのを防止するためのものである。
【0032】
図1、図9に示すように、化粧板材3は、平面視矩形に形成されたものであって、一定の厚みを有する板体の表面に、適宜化粧用の凹凸模様等を形成したものである。
この化粧板材3は、木材、繊維板、自然石、セラミック、合成樹脂等の各種材料から形成されたものである。
この化粧板材3は、タイル本体2の上面側において4つの保持壁部7間に嵌入され、接着剤等によってタイル本体2の上面に固定されている。
【0033】
次に、上記のように構成されたフロアタイルを複数床等に敷き詰める方法について説明する。
まず、図9に示すように、一のフロアタイル1に対して他のフロアタイル1を隣接させ、図4、5に示すように一のフロアタイル1の係合雌部20と他のフロアタイル1の係合雄部10とを、相互に平行する平面上に、かつ各辺が対向するよう位置させ、係合雄部10を係合雌部20より下に配置した状態で、フロアタイル1と他のフロアタイル1とを上下方向に相互に移動させ、係合雄部10の嵌入頭部12を係合雌部20の嵌入凹部23に嵌入させる。
嵌入頭部12が嵌入凹部23内に嵌入されると、係合爪13の先端部15が係合壁部24に当接する。嵌入頭部12を、嵌入凹部23の更に奥部へと嵌入さようとすると、図4に示すように、先端部15に設けたガイド面18が係合壁部24に当接し、係合爪13に設けられた溝17が弾性変形することによって先端部15が変位する。係合爪13は、その先端部15のガイド面18が係合壁部24に当接すると、係合爪13の溝17部分を弾性変形させつつタイル本体2の上部方向へ滑ることによって、嵌入頭部12を嵌入凹部23内に導入していき、図5に示すように、先端部15が係合壁部24を通過して、係合壁部24のタイル厚み方向上端側に位置する空間部22に嵌合される。この際、係合爪13は、ガイド面18を有することで、このガイド面18が係合壁部24に対して相対的に滑りつつ、空間部22方向への嵌入を円滑に行うことができる。
【0034】
空間部22内に嵌入する過程の係合爪13は、図4に示すように、先端部15と係合壁部24とによる圧迫のため依然溝17部分において弾性変形している状態であるが、その先端部15が空間部22内に嵌入し切った際には、図5に示すように、先端部15と係合壁部24との間の圧迫から開放されて、空間22内で弾性復帰し、その弾性復帰の際に音発生壁部28に衝突する。ここで音発生壁部28は係合爪13と協働して、パチッと音を立てることになる。このように音が発生することによって、複数のフロアタイル1の連結作業において、連結が確実に行われたことを確認できる。
【0035】
以上のようにして一端連結された複数のフロアタイル1は、図5のように係合爪13がその下面において係合壁部24に当接し、かつ、先端部15の上面が音発生壁部28及び化粧板材3の底面に当接するという状態になる。したがって、一のフロアタイル1と他のフロアタイル1とを相互に上下反対方向に変位させることができず、また、両フロアタイルの目地部分を谷形状に曲げることが阻止されるため、当該一のフロアタイル1から他のフロアタイル1が抜けること、及び、目地部分に上部から加重された場合に係合雄部10が係合雌部20から離脱してしまうことを防止することができる。
【0036】
次に、これら連結したフロアタイルを取り外す操作について、図6、7を用いて説明する。
図6に示すように、一のフロアタイル1に対して他のフロアタイル1を、目地部分を中心に山形状に折り曲げると、図7に示すように、係合壁部24及び音発生壁部28が障害とならなくなるため、一のフロアタイル1を、係合爪13の突出方向と逆方向(矢印Q方向)に容易に引き抜くことができ、嵌入頭部12を嵌入凹部23からスムーズに離脱させることができる。この際、係合爪13は、その先端部15が空間部22内で回動することができ、フロアタイル1の折り曲げに際して本体4の側面等に当接することがなく、同折り曲げ作業を容易に行うことができる。
また、支持壁部5は、図8に示すようにフロアタイル1を目地部分を中心に山形状に折り曲げても、隣接するフロアタイル1の支持壁部5との間で互いに干渉しないような傾斜面6aとされているため、隣接するフロアタイル同士を所定の角度まで確実に、無理なく折り曲げることでき、フロアタイル同士の分離を容易に行うことができる。
【0037】
本発明によるフロアタイル1の係合雄部10及び係合雌部20は、係合爪13が図2に示すように一体的な形状とする場合の他、図11、12に示すように、複数の係合爪13から成る形状とすることも可能である。
【0038】
図13は、タイル本体2の構成の変形例を示すものである。この図13に示す例のタイル本体2は、中実の板状体としたものとはせず、タイル本体の内部を、円、直線等の一定の形状を有する薄圧の壁部により構成したものである。この構成によれば、タイル本体を軽量化し、また水を使用する環境における使用においては、排水を良好にする効果を有する。
【0039】
以上のように、本発明のフロアタイル1によると、一のフロアタイル1に他のフロアタイル1を連結するにあたり、他のフロアタイル1の係合雌部20に係合雄部10を厚み方向に嵌合させ、係合雄部10の着脱の障害となる係合壁部24を持つ係合雌部20に対し、係合雄部10に備えた係合爪13を弾性変形させて嵌入することで、当該係合壁部24を乗り越えて容易に両者を連結させることができ、かつ、一端連結すると、フロアタイル1の厚み方向に力が加わっても、当該係合壁部24が係合爪13に引っかかり、係合雄部10の離脱を阻止するため、一のフロアタイル1から他のフロアタイル1が外れないという利点を有する。
【0040】
また、連結を解除するには、一のフロアタイル1に対して他のフロアタイル1を意図的に目地部分で山形状に折り曲げて、係合壁部24及び音発生壁部28にも引っかからないように引き抜くことで、一のフロアタイル1から他のフロアタイル1を容易に離脱させることができる。したがって、本発明によるフロアタイルによると、必要に応じて各フロアタイルを容易にかつ欠損なく分離することができる。
【0041】
また、本発明のフロアタイル1によると、連結部を構成する係合雄部10の先端部15には、係合壁部24を乗り越えることを促進させるために傾斜形状のガイド面18が形成されているので、係合爪13の先端部15が係合壁部24を通過するための操作を円滑に行うことができ、フロアタイル1の連結作業を容易に行うことができる。
【0042】
また更に、本発明のフロアタイル1によると、係合雄部10が所定の位置に嵌合された際に、係合雄部10の上部の一部が前記係合雌部20の音発生壁部28と接触することにより音がする構成とされているため、連結部の連結が確実となった状態を容易に確認することができる。
【0043】
また更に、本発明のフロアタイル1の構成によると、一のフロアタイル1から他のフロアタイル1を外す場合、両フロアタイル1、1を目地部分で山形状に折り曲げても支持壁部5の下部の傾斜面6aが干渉することがないので、離脱作業を容易にすることができ、引いてはフロアタイル1の目地部分を密着させやすいという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態として示したフロアタイルの裏面側から視た斜視図である。
【図2】同フロアタイルの係合雄部の拡大図である。
【図3】同フロアタイルの係合雌部の拡大図である。
【図4】同フロアタイルの使用状態を示す縦段面図である。
【図5】同フロアタイルの使用状態を示す縦段面図である。
【図6】同フロアタイルの使用状態を示す縦段面図である。
【図7】同フロアタイルの使用状態を示す縦段面図である。
【図8】同フロアタイルの支持壁部の拡大斜視図である。
【図9】同フロアタイルを複数床等に敷き詰めた状態を示す斜視図である。
【図10】同フロアタイルを複数床等に敷き詰めた状態を示す底面図である。
【図11】本発明によるフロアタイルの係合雄部の別の例を示す拡大斜視図である。
【図12】本発明によるフロアタイルの係合雌部の別の例を示す拡大斜視図である。
【図13】本発明によるフロアタイル本体の構成の変形例を示す底面斜視図である。
【図14】従来の床材による連結部の例である。
【図15】従来の床材による連結部の例である。
【図16】従来の床材による連結部の例である。
【符号の説明】
【0045】
1 フロアタイル
2 タイル本体
3 化粧板材
4 本体
5 支持壁部
6 外端面
6a 傾斜面
10 係合雄部
11 軸部
12 嵌入頭部
13 係合爪
15 先端部
16 基部
17 溝
18 ガイド面
20 係合雌部
22 空間部
23 凹所、嵌入凹部
24 係合壁部
25 切欠部
26 開口部
28 音発生壁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形に形成され、各辺を隣接させて複数互いに連結可能とされたフロアタイルであって、
前記各辺には、係合雄部および/または係合雌部が形成され、
前記係合雄部は、平面視前記各辺の外方へ突出し、先端に嵌入頭部が設けられた雄部本体と、前記嵌入頭部に設けられ、基端に対し先端部が弾性変形により変位可能とされた係合爪とを備え、
前記係合雌部は、タイル厚み方向に凹み、隣接させられる他のフロアタイルの前記嵌入頭部を同厚み方向に嵌入可能とする凹所と、
該凹所内に設けられ、該凹所内に前記嵌入頭部を嵌入させる際に前記係合爪に当接し、該係合爪の先端部を変位させてその通過を許す一方、この通過後の該先端部のタイル厚み方向外方への移動を阻止し、
該凹所内から前記嵌入頭部を離脱させる際に、当該フロアタイルに対し前記他のフロアタイルをこれらの目地部分を中心に折り曲げた状態で前記係合爪の先端部の前記外方への移動を許す係合壁部とを備えていることを特徴とするフロアタイル。
【請求項2】
前記凹所内には、該凹所内に前記嵌入頭部を嵌入させたときに、前記係合爪の先端部が弾性復帰して衝突し、該係合爪と協働して音を発する音発生壁部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロアタイル。
【請求項3】
前記係合爪の先端部であって、該先端部が前記係合壁部に当接する部分に該先端部の通過を促進させるガイド面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロアタイル。
【請求項4】
前記各辺の少なくとも両端部には、タイル厚み方向に連続し、前記他のフロアタイルのものと対向する外壁面を有する支持壁部が形成され、当該フロアタイルと前記他のフロアタイルとが、タイル厚み方向上端側における前記目地部分を頂部稜線部分として山形状に折り曲げ自在とされ、前記支持壁部の外壁面には各フロアタイルを該山形状に折り曲げたときに各支持壁部の干渉防止用の傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフロアタイル。
【請求項1】
平面視矩形に形成され、各辺を隣接させて複数互いに連結可能とされたフロアタイルであって、
前記各辺には、係合雄部および/または係合雌部が形成され、
前記係合雄部は、平面視前記各辺の外方へ突出し、先端に嵌入頭部が設けられた雄部本体と、前記嵌入頭部に設けられ、基端に対し先端部が弾性変形により変位可能とされた係合爪とを備え、
前記係合雌部は、タイル厚み方向に凹み、隣接させられる他のフロアタイルの前記嵌入頭部を同厚み方向に嵌入可能とする凹所と、
該凹所内に設けられ、該凹所内に前記嵌入頭部を嵌入させる際に前記係合爪に当接し、該係合爪の先端部を変位させてその通過を許す一方、この通過後の該先端部のタイル厚み方向外方への移動を阻止し、
該凹所内から前記嵌入頭部を離脱させる際に、当該フロアタイルに対し前記他のフロアタイルをこれらの目地部分を中心に折り曲げた状態で前記係合爪の先端部の前記外方への移動を許す係合壁部とを備えていることを特徴とするフロアタイル。
【請求項2】
前記凹所内には、該凹所内に前記嵌入頭部を嵌入させたときに、前記係合爪の先端部が弾性復帰して衝突し、該係合爪と協働して音を発する音発生壁部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロアタイル。
【請求項3】
前記係合爪の先端部であって、該先端部が前記係合壁部に当接する部分に該先端部の通過を促進させるガイド面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロアタイル。
【請求項4】
前記各辺の少なくとも両端部には、タイル厚み方向に連続し、前記他のフロアタイルのものと対向する外壁面を有する支持壁部が形成され、当該フロアタイルと前記他のフロアタイルとが、タイル厚み方向上端側における前記目地部分を頂部稜線部分として山形状に折り曲げ自在とされ、前記支持壁部の外壁面には各フロアタイルを該山形状に折り曲げたときに各支持壁部の干渉防止用の傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフロアタイル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−270308(P2009−270308A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120615(P2008−120615)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]