説明

フロート式ドレントラップ

【課題】 フィルタが目詰まりするまでの期間を延長することのできるフロート式ドレントラップを提供する。
【解決手段】 入口4と出口6を有する本体1に蓋体2を締結して内部に弁室3を有するケーシングを形成する。弁室3下部側壁の蓋体2に弁孔7を開けた弁座9を結合する。弁室3内に弁孔7を開閉する中空球形の密閉のフロート11を自由状態で配置する。弁室3のフロート11の上方に異物捕捉用のキャップ状のフィルタ15を配置すると共に、フロート11の周囲にフィルタ15を保持するために蓋体2に載せた保持筒16を配置する。フィルタ15は弁孔7よりも小径の濾し孔を多数有する。フロート11の上流側をフィルタ15を介して入口4に連通する。フィルタ15下方の保持筒16の外側と蓋体2の内側との間に異物溜空間17を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気配管系や圧縮空気配管系やガス配管系に発生するドレンを自動的に排出するドレントラップに関し、特に密閉のフロートで直接にあるいは弁部材等を介して弁孔を開閉するフロート式ドレントラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフロート式ドレントラップは、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口を連通する弁孔を弁室の下部側壁に開口し、弁室内に密閉のフロートを配置し、フロートの浮上降下により直接にあるいは弁部材等を介して弁孔を開閉するフロート式ドレントラップであって、フロートの上方に異物捕捉用のキャップ状のフィルタを配置すると共に、フロートの周囲にフィルタを保持する保持筒を配置し、フロートの上流側をフィルタを介して入口に連通したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−240190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のフロート式ドレントラップは、入口から流入するゴミ、錆、スケール等の異物をフィルタにより捕捉して二次側へ流下させないものであるが、フィルタが比較的短期間で目詰まりしてしまうという問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、フィルタが目詰まりするまでの期間を延長することのできるフロート式ドレントラップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のフロート式ドレントラップは、ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口を連通する弁孔を弁室の下部側壁に開口し、弁室内に密閉のフロートを配置し、フロートの浮上降下により直接にあるいは弁部材等を介して弁孔を開閉するフロート式ドレントラップであって、フロートの上方に異物捕捉用のキャップ状のフィルタを配置すると共に、フロートの周囲にフィルタを保持する保持筒を配置し、フロートの上流側をフィルタを介して入口に連通したものにおいて、フィルタ下方の保持筒の外側とケーシングの内側との間に異物溜空間を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルタ下方の保持筒の外側とケーシングの内側との間に異物溜空間を形成したものであるので、入口から流入する異物の一部がフィルタへ流下せずに異物溜空間へ流下して溜まりフィルタに捕捉されないことにより、フィルタが目詰まりするまでの期間を延長できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わるフロート式ドレントラップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。本実施例はフリーフロート式スチームトラップに適用したものである。フリーフロート式スチームトラップのケーシングは本体1とこの本体1にボルトで締結した蓋体2とで形成し、内部に弁室3を有する。本体1は入口4と出口通路5と出口6を有し、入口4は弁室3の上部に連通する。弁室3下部側壁の蓋体2に弁孔7を開けた弁座9をねじ結合する。弁孔7は斜め下方に向けて開口する。蓋体2は出口通路10を有し、弁室3の下部は弁孔7から出口通路10,5を介して出口6に連通する。弁室3内に弁孔7を開閉する中空球形のフロート11を自由状態で配置する。フロート11が弁孔7を閉じた位置で当接するフロート座12をフロート11の下方に、図面の手前側と向う側に2つ設ける。
【0010】
弁室3内に温度応動部材としてのバイメタル13を配置する。バイメタル13は断面形状がほぼU字状で一端側をビス14で蓋体2に固定する。バイメタル13は高温時にU字状が狭まるように変形してフロート11に干渉しないと共に、低温時にU字状が拡がるように変形してフロート11を持ち上げて弁孔7を開ける。
【0011】
弁室3のフロート11の上方に異物捕捉用のキャップ状のフィルタ15を配置すると共に、フロート11の周囲にフィルタ15を保持するために蓋体2に載せた保持筒16を配置する。フィルタ15は弁孔7よりも小径の濾し孔を多数有する。フロート11の上流側をフィルタ15を介して入口4に連通する。フィルタ15下方の保持筒16の外側と本体1の内側との間に異物溜空間17を形成する。本体1には異物溜空間17を外部に連通するブロー口18を設け、ブロー口18にブロー管19を連結し、ブロー管19にブローバルブ20を配置する。
【0012】
上記実施例のフリーフロート式スチームトラップの動作は下記の通りである。入口4から異物を含む流体が流入する。異物の一部はフィルタ15へ流下せずに異物溜空間17へ流下して溜まりフィルタ15に捕捉されないので、フィルタ15が目詰まりするまでの期間を延長できる。異物溜空間17の異物はブローバルブ20により外部にブローされる。異物の一部はフィルタ15へ流下して捕捉される。異物の捕捉された流体がフィルタ15の内側の弁室3内に流入する。弁室3内が低温の場合、バイメタル13はU字状が拡がるように変形してフロート11を持ち上げて弁孔7を開ける。これにより、低温の空気とドレンを弁孔7から出口6に排出する。低温の空気とドレンの排出によって弁室3内に流入するドレンの温度が高くなると、バイメタル13はU字状が狭まるように変形してフロート11に干渉しなくなる。弁室3内のドレン量に応じてフロート11が浮上降下して弁孔7を開閉し、ドレンを弁孔7から出口6に排出する。空気が弁室3内に流入してきて弁室3内の温度が所定以下に低下すると、バイメタル13はU字状が拡がるように変形してフロート11を持ち上げて弁孔7を開け、空気を弁孔7から出口6に排出する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、密閉のフロートで直接にあるいは弁部材等を介して弁孔を開閉することにより、蒸気配管系や圧縮空気配管系やガス配管系に発生するドレンを自動的に排出するフロート式ドレントラップに利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 蓋体
3 弁室
4 入口
6 出口
7 弁孔
9 弁座
11 フロート
15 フィルタ
16 保持筒
17 異物溜空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口を連通する弁孔を弁室の下部側壁に開口し、弁室内に密閉のフロートを配置し、フロートの浮上降下により直接にあるいは弁部材等を介して弁孔を開閉するフロート式ドレントラップであって、フロートの上方に異物捕捉用のキャップ状のフィルタを配置すると共に、フロートの周囲にフィルタを保持する保持筒を配置し、フロートの上流側をフィルタを介して入口に連通したものにおいて、フィルタ下方の保持筒の外側とケーシングの内側との間に異物溜空間を形成したことを特徴とするフロート式ドレントラップ。

【図1】
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