ブラシの製造方法
【課題】糸のピッチを一定にしつつ、連続的に効率よくブラシを製造することが可能なブラシの製造方法を提供する。
【解決手段】長尺帯状の離形紙12をその長手方向に沿って搬送し、該離形紙12の搬送経路の途中に該搬送経路を横切るように糸14を所定ピッチで蛇行するように連続して配置し、該蛇行状に配置した糸14を両面粘着テープ13により離形紙12に粘着させる。
【解決手段】長尺帯状の離形紙12をその長手方向に沿って搬送し、該離形紙12の搬送経路の途中に該搬送経路を横切るように糸14を所定ピッチで蛇行するように連続して配置し、該蛇行状に配置した糸14を両面粘着テープ13により離形紙12に粘着させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシの製造方法としては、例えば、レーザープリンタやコピー機などの電子写真装置に使用して紙の表面の除電を行う自己放電型の除電ブラシの製造方法が知られている(例えば、特許文献1)。こうした除電ブラシは、除電性能を安定させる上で、糸間のピッチを一定にすることが重要である。そして、特許文献1では、所定間隔で配置した一対の芯棒に線材(糸)を所望のピッチで巻回して各芯棒の近傍に両面テープ(粘着材)を接着した後、軸方向に沿った中心線で線材を切断して各芯棒を抜き取ることで、除電ブラシを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−154593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の除電ブラシの製造方法では、各芯棒に線材を所望のピッチで該各芯棒の軸方向に沿って螺旋状に巻回しているため、各芯棒に対して巻回した線材の位置がずれ易い上に該線材のピッチが安定しないという問題があった。加えて、一定の長さの各芯棒に線材を巻回するため、各芯棒の長さ分ずつしか除電ブラシを製造することができず、製造効率がよいものではなかった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものである。その目的とするところは、糸のピッチを一定に保ちつつ、連続的に効率よくブラシを製造することが可能なブラシの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、長尺帯状の離形シートをその長手方向に沿って搬送し、該離形シートの搬送経路の途中に該搬送経路を横切るように糸を所定ピッチで蛇行するように連続して配置し、該蛇行状に配置した前記糸を粘着材により前記離形シートに粘着させることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、糸のピッチを一定に保ちつつ、連続的に効率よくブラシを製造することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記離形シートに前記粘着材を粘着させた後に、該粘着材における前記離形シートとは反対側の面に前記糸を粘着させることを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、離形シートを剥がしてブラシを粘着材によって該ブラシの取付面に貼り付ける際に、離形シートと粘着材との間に糸が位置しないので、ブラシを取付面に対して安定して貼り付けることが可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記離形シート上に前記糸を配置した後に、該糸の上から前記粘着材を該離形シート上に粘着させることを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、離形シートを剥がしてブラシを粘着材によって該ブラシの取付面に貼り付ける際に、糸を該取付面に直接接触させることが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記離形シートを挟んだ両側には前記離形シートの搬送経路を横切る方向に延びる軸を中心に回転する一対の回転体が配置されるとともに、該各回転体には前記糸を巻き掛け可能な複数の糸掛け部が回転方向に沿って等間隔となるようにそれぞれ突設され、前記糸は前記各回転体の糸掛け部に交互に巻き掛けることで蛇行状に配置されることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、糸を精度よく等ピッチで蛇行状をなすように配置することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記離形シートは、前記各回転体間に配置されるとともに前記軸を中心に回転する回転部材に巻き掛けられていることを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、離形シートを回転部材に巻き掛けることで、該離形シートの搬送方向を変更することが可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記離形シートに前記糸を前記粘着材により粘着させた後に、該粘着材における前記離形シートとは反対側の面に保護シートを粘着させることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、保護シートにより粘着材の粘着面を保護することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記保護シートは導電性を有していることを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、蛇行状の糸に導電性をもたせるとともに該糸を複数に切断した場合に、該各糸をそれぞれ保護シートに接触させることで、該各糸同士を導通させることが可能となる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記粘着材は前記離形シートにおける短手方向の両端部に粘着され、前記糸は、前記両粘着材によって前記離形シートに粘着された後に、前記両粘着材間において前記離形シートの長手方向に沿って切断されることを要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、ブラシを所定長さで切断することで、該ブラシを2個セットで製造することができるとともに、該各ブラシの糸の先端を離形シートによって保護することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、糸のピッチを一定にしつつ、連続的に効率よくブラシを製造することが可能なブラシの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態において、(a)は除電ブラシの平面図、(b)は(a)の側面図。
【図2】実施形態において、除電ブラシをレーザープリンタの排紙口近傍に取り付けたときの状態を示す模式図。
【図3】実施形態の除電ブラシの製造装置を示す模式図。
【図4】図1の要部拡大図。
【図5】実施形態のシート部材の断面図。
【図6】実施形態のシート部材の平面図。
【図7】変更例の除電ブラシの製造装置を示す模式図。
【図8】変更例のシート部材の断面図。
【図9】変更例の除電ブラシの製造装置の模式図。
【図10】変更例の除電ブラシの製造装置の模式図。
【図11】変更例の除電ブラシの製造装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のブラシの製造方法を除電ブラシの製造方法に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、除電ブラシの構成について説明する。
【0020】
図1(a)、(b)に示すように、ブラシとしての除電ブラシ11は、離形シートとしての帯状の離形紙12に一方の面が粘着された粘着材としての一対の帯状の両面粘着テープ13と、該各両面粘着テープ13の他方の面にそれぞれ粘着されたU字状をなす複数の糸14と、該各糸14の上から該各両面粘着テープ13の他方の面に粘着された保護シートとしての一対の帯状のアルミ箔15とを備えている。この場合、各糸14はU字状の湾曲部14aの近傍部分が各両面粘着テープ13の他方の面に粘着されており、各糸14、各両面粘着テープ13、及び各アルミ箔15は全て導電性を有している。なお、図1(a)、(b)においては、1枚の離形紙12に2つの除電ブラシ11が並列状態で粘着された状態を示している。
【0021】
除電ブラシ11は、離形紙12から剥がされた状態で、図2に示すようなレーザープリンタ16の排紙口16aの上側(取付面)に各糸14が該排紙口16aに臨むように貼り付けられて使用される。この場合、除電ブラシ11は、レーザープリンタ16を構成する図示しない金属製部品(導電性部品)上に貼り付けられる。また、レーザープリンタ16における排紙口16aの下端には、印刷後の用紙(図示略)を排紙するための4つの排紙ローラ17が回転駆動可能に並設されている。そして、除電ブラシ11は、レーザープリンタ16の排紙口16aから各排紙ローラ17によって印刷後の用紙(図示略)が排紙される際に、該用紙の表面に各糸14が接触することで、該用紙の表面に発生した静電気を除去するようになっている。
【0022】
次に、上記のように構成された除電ブラシ11の製造装置の構成について説明する。
図3及び図4に示すように、除電ブラシ11の製造装置21は、長尺帯状の離形紙12をその長手方向に沿って搬送する搬送ユニット22を備えている。搬送ユニット22は、モータ23と、該モータ23によって回転駆動されるとともに離形紙12の搬送経路を横切る方向(前後方向)に延びる回転軸24とを備えている。回転軸24には該回転軸24を中心に回転する回転部材としての回転ドラム25が設けられ、該回転ドラム25の前後方向の長さは離形紙12の幅よりも若干長くなるように設定されている。
【0023】
また、回転ドラム25の前後両側面には、該回転軸24を中心に回転する回転体としての一対の歯車26,27が設けられている。すなわち、回転ドラム25の前面側に歯車26が配置されるとともに、回転ドラム25の後面側に歯車27が配置されている。そして、モータ23の駆動により回転軸24が回転されると、該回転軸24とともに回転ドラム25及び各歯車26,27が一体回転するようになっている。各歯車26,27の歯底円の直径は回転ドラム25の直径よりも若干大きくなるように設定されている。各歯車26,27は、等間隔に配置された複数の糸掛け部としての直方体状をなす歯26a,27aをそれぞれ有しており、該各歯26a,27aの半ピッチ分だけ回転方向にずれた状態で配置されている。すなわち、前後方向において、各歯26a及び各歯27aのうちの一方は他方の間の中央に位置している。
【0024】
回転ドラム25の上方位置には上下方向に延びる円筒状の糸掛け針28が、移動手段(図示略)によって、上下方向、左右方向、及び前後方向に移動可能に支持されている。この糸掛け針28は、円筒状に構成されているため、通常の縫い針やフック状の形態のものと比較して糸の移動の妨げとなる部分が格段に少ないため、本用途に最適である。さらに、糸掛け針28の上方位置には、糸巻き(図示略)に巻かれた状態の糸14が繰り出し可能に支持されており、該糸巻きから繰り出された糸14は糸掛け針28に挿通されて各歯車26,27の各歯26a,27aと係合している。そして、糸掛け針28を所定の速度で所定の軌道に沿って移動させながら各歯車26,27を所定の速度で回転させることで、各歯26a,27aと係合している糸14がそれぞれ各歯26a,27aに対して順次交互に巻き掛けられて、回転ドラム25の回転方向に沿って該糸14が所定ピッチで連続して蛇行状に配置されるようになっている。
【0025】
図3に示すように、搬送ユニット22の左側にはロール状の離形紙12が前後方向に延びる軸12aによって繰り出し可能に支持されている。そして、軸12aから繰り出された離形紙12は、回転ドラム25に対して上側から下側に向かって巻き掛けられて反転された後、該回転ドラム25の下側から左方向へ向かって延びている。すなわち、離形紙12は、Uターンするように回転ドラム25に巻き掛けられており、回転ドラム25の前側から見た時計方向の回転により、上流側から下流側へ向かって順次搬送されるようになっている。
【0026】
また、軸12aと搬送ユニット22との間における該軸12aの右上には、前後一対のロール状の両面粘着テープ13が前後方向に延びる軸13aによって繰り出し可能に支持されている。各両面粘着テープ13の幅(前後方向の長さ)は、離形紙12の幅(前後方向の長さ)の4分の1程度となるように設定されている。また、軸13aと搬送ユニット22との間における該軸13aの右上には、前後方向に延びる巻取軸40が各両面粘着テープ13から剥がされるテープ用離形紙13bを巻き取り可能に配置されている。
【0027】
そして、軸13aから繰り出された各両面粘着テープ13の一方の面は、軸12aから繰り出された離形紙12上における短手方向(前後方向)の両端部にそれぞれ粘着されるようになっている。一方、軸13aから繰り出された各両面粘着テープ13の他方の面には、テープ用離形紙13bが剥がされた後に、搬送ユニット22において蛇行状に配置された糸14が順次粘着されるようになっている。
【0028】
搬送ユニット22の右下には、前後一対のロール状のアルミ箔15が前後方向に延びる軸15aによって繰り出し可能に支持されている。各アルミ箔15の幅(前後方向の長さ)は、各両面粘着テープ13の幅(前後方向の長さ)とほぼ同じになるように設定されている。そして、軸15aから繰り出された各アルミ箔15は、回転ドラム25の下面(周面における下端部)上にて、各両面粘着テープ13における蛇行状に配置された糸14が粘着された側の面に該糸14の上からそれぞれ粘着されるようになっている。
【0029】
回転ドラム25の真下には、該回転ドラム25と対応するように、回転軸24と平行な軸線を中心に回転するローラ29が回転可能に配置されている。そして、図3及び図5に示すように、ローラ29は、搬送ユニット22において離形紙12、各両面粘着テープ13、糸14、及び各アルミ箔15が積層されてなるシート部材30を、回転ドラム25とで挟圧するようになっている。
【0030】
図3及び図6に示すように、ローラ29の左側には、シート部材30の糸14を、各両面粘着テープ13間であって該シート部材30の短手方向の中央位置(図6の破線で示す)にて該シート部材30の長手方向に沿って切断するためのカッター31が配置されている。本工程におけるカッター31は、必ずしも単純な直刃のものである必要はなく、丸刃のものを用いてもよい。あるいは、カッター31の代わりに他の切断手段としてレーザーなどを用いてもよい。
【0031】
さらに、カッター31の左側には、該カッター31によって糸14が切断されたシート部材30を、所定長さごとに切断する上下一対の切断刃32が配置されている。本工程では、シート部材30を上下の切断刃32によるせん断力で切断する方法に限らず、シート部材30を単に上から押し切る方法を採用してもよい。また、各切断刃32の代わりに他の切断手段としてレーザーなどを用いてもよい。
【0032】
次に、上記のように構成された製造装置21を用いた除電ブラシ11の製造方法について説明する。
除電ブラシ11を製造する場合には、まず、回転ドラム25を離形紙12に巻き掛けた後、該回転ドラム25よりも該離形紙12の搬送経路の上流側にて該離形紙12上に各両面粘着テープ13を供給するとともにモータ23を駆動する。すると、回転軸24とともに回転ドラム25及び各歯車26,27が前側から見て時計方向に回転され、各両面粘着テープ13が粘着された離形紙12が該離形紙12の搬送経路の下流側に向かって搬送される。このとき、各両面粘着テープ13から剥がされるテープ用離形紙13bは、巻取軸40によって順次巻き取られる。
【0033】
そして、移動手段(図示略)により糸掛け針28を所定の軌道に沿って移動させると、糸14が各歯26a,27aに対して順次交互に巻き掛けられて回転ドラム25の回転方向に沿って所定ピッチで連続して蛇行状に配置される。これにより、回転ドラム25の周面上において、離形紙12に一方の面が粘着された各両面粘着テープ13の他方の面に、蛇行状に配置された糸14が順次粘着される。すなわち、蛇行状の糸14が各両面粘着テープ13を介して離形紙12に順次粘着される。
【0034】
引き続き、蛇行状の糸14が粘着された各両面粘着テープ13上に各アルミ箔15を供給すると、該各アルミ箔15は該各両面粘着テープ13における糸14が粘着された側の面に該糸14の上からそれぞれ粘着される。すると、回転ドラム25の下面(周面における下端部)上にてシート部材30が形成されるとともに、該シート部材30がローラ29と回転ドラム25とで挟圧される。これにより、シート部材30を構成する離形紙12、各両面粘着テープ13、糸14、及び各アルミ箔15が強固に一体形成される。すなわち、各両面粘着テープ13により、離形紙12、糸14、及び各アルミ箔15が一体に接合される。
【0035】
引き続き、シート部材30がその搬送経路の下流側に搬送されると、カッター31により糸14のみが切断される。その後、両切断刃32により、シート部材30が所定長さに切断され、1枚の離形紙12上に2つの除電ブラシ11が粘着された製品が完成する。
【0036】
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
(1)搬送される離形紙12を挟んだ両側には該離形紙12の搬送経路を横切る方向に延びる回転軸24を中心に回転する歯車26,27が対向するように配置されるとともに、該各歯車26,27は等間隔に配置された複数の歯26a,27aをそれぞれ有している。そして、糸14は各歯車26,27の各歯26a,27aに該各歯車26,27の回転方向に沿って糸掛け針28により順次交互に巻き掛けられることで蛇行状に配置される。このため、糸14を精度よく等ピッチで連続して蛇行状に配置することができるので、除電ブラシ11を構成する各糸14間の間隔を一定に保ちつつ、連続的に効率よく除電ブラシ11を製造することができる。
【0037】
(2)離形紙12に各両面粘着テープ13を粘着させた後に、該各両面粘着テープ13における離形紙12とは反対側の面に糸14を粘着させている。このため、シート部材30から離形紙12を剥がして除電ブラシ11を両面粘着テープ13によってレーザープリンタ16の排紙口16aの上側(取付面)に貼り付ける際に、離形紙12と両面粘着テープ13との間に糸14が介在しないので、除電ブラシ11をレーザープリンタ16の排紙口16aの上側に対して安定して貼り付けることができる。
【0038】
(3)離形紙12は、各歯車26,27間に配置されるとともに回転軸24を中心に回転する回転ドラム25に巻き掛けられているため、回転ドラム25に対する離形紙12の巻き掛け量を調節することで、離形紙12の搬送方向を容易に変更することができる。具体的には、図3において、離形紙12は搬送ユニット22に対して左側真横より搬送されているが、離形紙12を搬送ユニット22に対して左斜め上方や真上などから搬送するようにしてもよい。この結果、製造装置21を設置スペースに合わせて容易に設計変更することができる。
【0039】
(4)離形紙12に糸14を各両面粘着テープ13により粘着させた後に、該各両面粘着テープ13における離形紙12とは反対側の面にアルミ箔15をそれぞれ粘着させている。このため、各アルミ箔15により各両面粘着テープ13の粘着面を保護することができる。
【0040】
(5)糸14、各アルミ箔15、及び各両面粘着テープ13は導電性を有しているため、除電ブラシ11の各糸14同士を導通させることができる。したがって、除電ブラシ11の除電効果を高めることができる。
【0041】
(6)各両面粘着テープ13は離形紙12における短手方向の両端部に粘着され、蛇行状の糸14は、各両面粘着テープ13によって離形紙12に粘着された後に、各両面粘着テープ13間の中央において離形紙12の長手方向に沿って切断される。このため、シート部材30を両切断刃32により所定長さで切断することで、該除電ブラシ11を2個セットで製造することができるとともに、離形紙12に粘着された状態の使用前の該各除電ブラシ11の糸14の先端を該離形紙12によって保護することができる。
【0042】
(7)回転ドラム25を任意の幅のものに変更することで、離形紙12の幅を容易に変更することができるので、結果として製品幅を容易に調整することができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0043】
・図7に示すように、各両面粘着テープ13を省略するとともに、アルミ箔15を予め導電性の粘着剤Nが塗布されたものに変更し、離形紙12上に糸14を蛇行状に配置した後に、該離形紙12上に糸14の上からアルミ箔15を粘着剤Nによって粘着させるようにしてもよい。このようにすれば、シート部材30が、図8に示すように、離形紙12、糸14、各粘着剤N、アルミ箔15の順で積層されて構成される。このため、離形紙12を剥がして除電ブラシ11を粘着剤Nが塗布されたアルミ箔15によってレーザープリンタ16の排紙口16aの上側(取付面)に貼り付けた際に、該除電ブラシ11の各糸14を、レーザープリンタ16を構成する金属製部品(導電性部品)とそれぞれ接触させることができる。したがって、導電性の粘着剤Nが塗布されたアルミ箔15の代わりに導電性を有さない粘着テープを保護シートとして用いた場合でも、レーザープリンタ16を構成する金属製部品に対して各糸14をそれぞれ導通させることができる。
【0044】
・図9に示すように、回転ドラム25の上側に回転軸24を中心に回転駆動する各歯車26,27を配置するとともに、回転ドラム25を回転軸24と平行な回転軸25aを中心に回転駆動するようにしてもよい。
【0045】
・図10に示すように、離形紙12を、回転ドラム25に接するようにして、左から右方向へ向かって真っ直ぐに搬送するようにしてもよい。この場合、回転ドラム25よりも離形紙12の搬送経路の下流側にて、シート部材30がローラ29とローラ33とによって挟圧されるように構成することが好ましい。
【0046】
・図11に示すように、離形紙12を、その搬送方向が右方向へ向かう方向から下方向へ向かう方向に変更されるように、回転ドラム25に巻き掛けるようにしてもよい。この場合、回転ドラム25よりも離形紙12の搬送経路の下流側にて、シート部材30がローラ29とローラ33とによって挟圧されるように構成することが好ましい。
【0047】
・両面粘着テープ13の代わりにホットメルト粘着剤を粘着材として用いてもよい。このようにすれば、ホットメルト粘着剤の一部が糸14に含浸されるため、該糸14が抜け落ちることを抑制することができる。
【0048】
・アルミ箔15を予め導電性の粘着剤Nが塗布されたものに変更してもよい。このように構成すれば、各両面粘着テープ13とアルミ箔15に塗布された粘着剤Nとで糸14を挟み込むことができるため、より強固に該糸14を保持することができる。この結果、糸14が抜け落ちることを効果的に抑制することができる。
【0049】
・各両面粘着テープ13の幅をアルミ箔15の幅よりも狭くなるように設定してもよい。このようにすれば、糸14の抜け落ちを抑制しつつ、高価な両面粘着テープ13の使用量を低減することができる。
【0050】
・両切断刃32によりシート部材30を所定長さに切断する前に、各糸14における各両面粘着テープ13からはみ出した湾曲部14aを切除するようにしてもよい。
・カッター31により糸14とともに離形紙12を切断するようにしてもよい。
【0051】
・各アルミ箔15の代わりに合成樹脂フイルムなどの導電性を有さないものを保護シートとして用いてもよい。
・各アルミ箔15は省略してもよい。この場合、各両面粘着テープ13の粘着面が露出することになるので、該露出する粘着面を別途離形紙などで保護することが望ましい。このようにすれば、除電ブラシ11を貼り合わせた後に、さらにその上から別の製品を貼り合せることができる。
【0052】
・各両面粘着テープ13は導電性を有さないものを採用してもよい。この場合、各両面粘着テープ13に該各両面粘着テープ13の長手方向に沿って延びる導電性の糸やワイヤを各糸14とそれぞれ接触するように貼り付けることで、各糸14間で導通させることができる。
【0053】
・糸掛け針28は、糸14の移動が可能であれば、例えば、縫い針やフック状の形態のものに変更してもよい。
・搬送ユニット22を複数配列し、それぞれで作製されたブラシを積層できるようにしてもよい。このように構成すれば、例えば、長さや材質の異なるブラシ同士を積層することで、製品に新たな機能を付与することができる。
【0054】
・一対の歯車26,27の代わりに、環状の軌道を周回移動する一対の無端状のベルトを回転体として用いてもよい。この場合、各ベルトの外側の面には該各ベルトの周回移動方向に沿って等間隔となるように複数の突起が糸掛け部として設けられる。このようにすれば、各ベルトが周回移動する軌道を、真円形だけでなく三角形、四角形、あるいは楕円形など自由に変更することができる。
【0055】
・本発明のブラシは除電ブラシ11以外の用途に用いてもよい。例えば、本発明のブラシを、机間、ドア、窓などの隙間を埋めるための隙間材として用いてもよいし、電子写真装置内に配置された感光ドラムを帯電させるための帯電ブラシとして用いてもよい。
【0056】
・糸14は導電性を有さないものを用いてもよい。
・シート部材30の糸14を切断しなくてもよい。この場合、各両面粘着テープ13のうちの一方を省略するとともに、該省略した方の両面粘着テープ13と対応する方のアルミ箔15を省略する。このようにすれば、除電ブラシ11を構成する糸14を一本にすることができるとともに、該一本の糸14に複数のループ状の部分を等間隔で形成することができる。
【0057】
・各歯車26,27を省略してもよい。この場合、搬送される離形紙12上に糸14が糸掛け針28により所定ピッチで蛇行状に配置されるように、移動手段(図示略)を制御する必要がある。
【0058】
・各歯車26,27間の距離や各歯車26,27の種類を適宜変更してもよい。このようにすれば、除電ブラシ11の幅や糸14のピッチを適宜変更することができる。
さらに、上記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0059】
(イ)前記糸は導電性を有していることを特徴とする請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
このようにすれば、ブラシを除電ブラシとして使用する場合の除電効果を高めることができる。
【0060】
(ロ)前記粘着材は導電性を有していることを特徴とする請求項1〜請求項8及び上記(イ)のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
このようにすれば、ブラシを除電ブラシとして使用する場合の除電効果をより一層高めることができる。
【符号の説明】
【0061】
11…ブラシとしての除電ブラシ、12…離形シートとしての離形紙、13…粘着材としての両面粘着テープ、14…糸、15…保護シートとしてのアルミ箔、24…回転軸、25…回転部材としての回転ドラム、26,27…回転体としての歯車、26a,27a…糸掛け部としての歯。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシの製造方法としては、例えば、レーザープリンタやコピー機などの電子写真装置に使用して紙の表面の除電を行う自己放電型の除電ブラシの製造方法が知られている(例えば、特許文献1)。こうした除電ブラシは、除電性能を安定させる上で、糸間のピッチを一定にすることが重要である。そして、特許文献1では、所定間隔で配置した一対の芯棒に線材(糸)を所望のピッチで巻回して各芯棒の近傍に両面テープ(粘着材)を接着した後、軸方向に沿った中心線で線材を切断して各芯棒を抜き取ることで、除電ブラシを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−154593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の除電ブラシの製造方法では、各芯棒に線材を所望のピッチで該各芯棒の軸方向に沿って螺旋状に巻回しているため、各芯棒に対して巻回した線材の位置がずれ易い上に該線材のピッチが安定しないという問題があった。加えて、一定の長さの各芯棒に線材を巻回するため、各芯棒の長さ分ずつしか除電ブラシを製造することができず、製造効率がよいものではなかった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものである。その目的とするところは、糸のピッチを一定に保ちつつ、連続的に効率よくブラシを製造することが可能なブラシの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、長尺帯状の離形シートをその長手方向に沿って搬送し、該離形シートの搬送経路の途中に該搬送経路を横切るように糸を所定ピッチで蛇行するように連続して配置し、該蛇行状に配置した前記糸を粘着材により前記離形シートに粘着させることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、糸のピッチを一定に保ちつつ、連続的に効率よくブラシを製造することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記離形シートに前記粘着材を粘着させた後に、該粘着材における前記離形シートとは反対側の面に前記糸を粘着させることを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、離形シートを剥がしてブラシを粘着材によって該ブラシの取付面に貼り付ける際に、離形シートと粘着材との間に糸が位置しないので、ブラシを取付面に対して安定して貼り付けることが可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記離形シート上に前記糸を配置した後に、該糸の上から前記粘着材を該離形シート上に粘着させることを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、離形シートを剥がしてブラシを粘着材によって該ブラシの取付面に貼り付ける際に、糸を該取付面に直接接触させることが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記離形シートを挟んだ両側には前記離形シートの搬送経路を横切る方向に延びる軸を中心に回転する一対の回転体が配置されるとともに、該各回転体には前記糸を巻き掛け可能な複数の糸掛け部が回転方向に沿って等間隔となるようにそれぞれ突設され、前記糸は前記各回転体の糸掛け部に交互に巻き掛けることで蛇行状に配置されることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、糸を精度よく等ピッチで蛇行状をなすように配置することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記離形シートは、前記各回転体間に配置されるとともに前記軸を中心に回転する回転部材に巻き掛けられていることを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、離形シートを回転部材に巻き掛けることで、該離形シートの搬送方向を変更することが可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記離形シートに前記糸を前記粘着材により粘着させた後に、該粘着材における前記離形シートとは反対側の面に保護シートを粘着させることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、保護シートにより粘着材の粘着面を保護することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記保護シートは導電性を有していることを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、蛇行状の糸に導電性をもたせるとともに該糸を複数に切断した場合に、該各糸をそれぞれ保護シートに接触させることで、該各糸同士を導通させることが可能となる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記粘着材は前記離形シートにおける短手方向の両端部に粘着され、前記糸は、前記両粘着材によって前記離形シートに粘着された後に、前記両粘着材間において前記離形シートの長手方向に沿って切断されることを要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、ブラシを所定長さで切断することで、該ブラシを2個セットで製造することができるとともに、該各ブラシの糸の先端を離形シートによって保護することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、糸のピッチを一定にしつつ、連続的に効率よくブラシを製造することが可能なブラシの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態において、(a)は除電ブラシの平面図、(b)は(a)の側面図。
【図2】実施形態において、除電ブラシをレーザープリンタの排紙口近傍に取り付けたときの状態を示す模式図。
【図3】実施形態の除電ブラシの製造装置を示す模式図。
【図4】図1の要部拡大図。
【図5】実施形態のシート部材の断面図。
【図6】実施形態のシート部材の平面図。
【図7】変更例の除電ブラシの製造装置を示す模式図。
【図8】変更例のシート部材の断面図。
【図9】変更例の除電ブラシの製造装置の模式図。
【図10】変更例の除電ブラシの製造装置の模式図。
【図11】変更例の除電ブラシの製造装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のブラシの製造方法を除電ブラシの製造方法に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、除電ブラシの構成について説明する。
【0020】
図1(a)、(b)に示すように、ブラシとしての除電ブラシ11は、離形シートとしての帯状の離形紙12に一方の面が粘着された粘着材としての一対の帯状の両面粘着テープ13と、該各両面粘着テープ13の他方の面にそれぞれ粘着されたU字状をなす複数の糸14と、該各糸14の上から該各両面粘着テープ13の他方の面に粘着された保護シートとしての一対の帯状のアルミ箔15とを備えている。この場合、各糸14はU字状の湾曲部14aの近傍部分が各両面粘着テープ13の他方の面に粘着されており、各糸14、各両面粘着テープ13、及び各アルミ箔15は全て導電性を有している。なお、図1(a)、(b)においては、1枚の離形紙12に2つの除電ブラシ11が並列状態で粘着された状態を示している。
【0021】
除電ブラシ11は、離形紙12から剥がされた状態で、図2に示すようなレーザープリンタ16の排紙口16aの上側(取付面)に各糸14が該排紙口16aに臨むように貼り付けられて使用される。この場合、除電ブラシ11は、レーザープリンタ16を構成する図示しない金属製部品(導電性部品)上に貼り付けられる。また、レーザープリンタ16における排紙口16aの下端には、印刷後の用紙(図示略)を排紙するための4つの排紙ローラ17が回転駆動可能に並設されている。そして、除電ブラシ11は、レーザープリンタ16の排紙口16aから各排紙ローラ17によって印刷後の用紙(図示略)が排紙される際に、該用紙の表面に各糸14が接触することで、該用紙の表面に発生した静電気を除去するようになっている。
【0022】
次に、上記のように構成された除電ブラシ11の製造装置の構成について説明する。
図3及び図4に示すように、除電ブラシ11の製造装置21は、長尺帯状の離形紙12をその長手方向に沿って搬送する搬送ユニット22を備えている。搬送ユニット22は、モータ23と、該モータ23によって回転駆動されるとともに離形紙12の搬送経路を横切る方向(前後方向)に延びる回転軸24とを備えている。回転軸24には該回転軸24を中心に回転する回転部材としての回転ドラム25が設けられ、該回転ドラム25の前後方向の長さは離形紙12の幅よりも若干長くなるように設定されている。
【0023】
また、回転ドラム25の前後両側面には、該回転軸24を中心に回転する回転体としての一対の歯車26,27が設けられている。すなわち、回転ドラム25の前面側に歯車26が配置されるとともに、回転ドラム25の後面側に歯車27が配置されている。そして、モータ23の駆動により回転軸24が回転されると、該回転軸24とともに回転ドラム25及び各歯車26,27が一体回転するようになっている。各歯車26,27の歯底円の直径は回転ドラム25の直径よりも若干大きくなるように設定されている。各歯車26,27は、等間隔に配置された複数の糸掛け部としての直方体状をなす歯26a,27aをそれぞれ有しており、該各歯26a,27aの半ピッチ分だけ回転方向にずれた状態で配置されている。すなわち、前後方向において、各歯26a及び各歯27aのうちの一方は他方の間の中央に位置している。
【0024】
回転ドラム25の上方位置には上下方向に延びる円筒状の糸掛け針28が、移動手段(図示略)によって、上下方向、左右方向、及び前後方向に移動可能に支持されている。この糸掛け針28は、円筒状に構成されているため、通常の縫い針やフック状の形態のものと比較して糸の移動の妨げとなる部分が格段に少ないため、本用途に最適である。さらに、糸掛け針28の上方位置には、糸巻き(図示略)に巻かれた状態の糸14が繰り出し可能に支持されており、該糸巻きから繰り出された糸14は糸掛け針28に挿通されて各歯車26,27の各歯26a,27aと係合している。そして、糸掛け針28を所定の速度で所定の軌道に沿って移動させながら各歯車26,27を所定の速度で回転させることで、各歯26a,27aと係合している糸14がそれぞれ各歯26a,27aに対して順次交互に巻き掛けられて、回転ドラム25の回転方向に沿って該糸14が所定ピッチで連続して蛇行状に配置されるようになっている。
【0025】
図3に示すように、搬送ユニット22の左側にはロール状の離形紙12が前後方向に延びる軸12aによって繰り出し可能に支持されている。そして、軸12aから繰り出された離形紙12は、回転ドラム25に対して上側から下側に向かって巻き掛けられて反転された後、該回転ドラム25の下側から左方向へ向かって延びている。すなわち、離形紙12は、Uターンするように回転ドラム25に巻き掛けられており、回転ドラム25の前側から見た時計方向の回転により、上流側から下流側へ向かって順次搬送されるようになっている。
【0026】
また、軸12aと搬送ユニット22との間における該軸12aの右上には、前後一対のロール状の両面粘着テープ13が前後方向に延びる軸13aによって繰り出し可能に支持されている。各両面粘着テープ13の幅(前後方向の長さ)は、離形紙12の幅(前後方向の長さ)の4分の1程度となるように設定されている。また、軸13aと搬送ユニット22との間における該軸13aの右上には、前後方向に延びる巻取軸40が各両面粘着テープ13から剥がされるテープ用離形紙13bを巻き取り可能に配置されている。
【0027】
そして、軸13aから繰り出された各両面粘着テープ13の一方の面は、軸12aから繰り出された離形紙12上における短手方向(前後方向)の両端部にそれぞれ粘着されるようになっている。一方、軸13aから繰り出された各両面粘着テープ13の他方の面には、テープ用離形紙13bが剥がされた後に、搬送ユニット22において蛇行状に配置された糸14が順次粘着されるようになっている。
【0028】
搬送ユニット22の右下には、前後一対のロール状のアルミ箔15が前後方向に延びる軸15aによって繰り出し可能に支持されている。各アルミ箔15の幅(前後方向の長さ)は、各両面粘着テープ13の幅(前後方向の長さ)とほぼ同じになるように設定されている。そして、軸15aから繰り出された各アルミ箔15は、回転ドラム25の下面(周面における下端部)上にて、各両面粘着テープ13における蛇行状に配置された糸14が粘着された側の面に該糸14の上からそれぞれ粘着されるようになっている。
【0029】
回転ドラム25の真下には、該回転ドラム25と対応するように、回転軸24と平行な軸線を中心に回転するローラ29が回転可能に配置されている。そして、図3及び図5に示すように、ローラ29は、搬送ユニット22において離形紙12、各両面粘着テープ13、糸14、及び各アルミ箔15が積層されてなるシート部材30を、回転ドラム25とで挟圧するようになっている。
【0030】
図3及び図6に示すように、ローラ29の左側には、シート部材30の糸14を、各両面粘着テープ13間であって該シート部材30の短手方向の中央位置(図6の破線で示す)にて該シート部材30の長手方向に沿って切断するためのカッター31が配置されている。本工程におけるカッター31は、必ずしも単純な直刃のものである必要はなく、丸刃のものを用いてもよい。あるいは、カッター31の代わりに他の切断手段としてレーザーなどを用いてもよい。
【0031】
さらに、カッター31の左側には、該カッター31によって糸14が切断されたシート部材30を、所定長さごとに切断する上下一対の切断刃32が配置されている。本工程では、シート部材30を上下の切断刃32によるせん断力で切断する方法に限らず、シート部材30を単に上から押し切る方法を採用してもよい。また、各切断刃32の代わりに他の切断手段としてレーザーなどを用いてもよい。
【0032】
次に、上記のように構成された製造装置21を用いた除電ブラシ11の製造方法について説明する。
除電ブラシ11を製造する場合には、まず、回転ドラム25を離形紙12に巻き掛けた後、該回転ドラム25よりも該離形紙12の搬送経路の上流側にて該離形紙12上に各両面粘着テープ13を供給するとともにモータ23を駆動する。すると、回転軸24とともに回転ドラム25及び各歯車26,27が前側から見て時計方向に回転され、各両面粘着テープ13が粘着された離形紙12が該離形紙12の搬送経路の下流側に向かって搬送される。このとき、各両面粘着テープ13から剥がされるテープ用離形紙13bは、巻取軸40によって順次巻き取られる。
【0033】
そして、移動手段(図示略)により糸掛け針28を所定の軌道に沿って移動させると、糸14が各歯26a,27aに対して順次交互に巻き掛けられて回転ドラム25の回転方向に沿って所定ピッチで連続して蛇行状に配置される。これにより、回転ドラム25の周面上において、離形紙12に一方の面が粘着された各両面粘着テープ13の他方の面に、蛇行状に配置された糸14が順次粘着される。すなわち、蛇行状の糸14が各両面粘着テープ13を介して離形紙12に順次粘着される。
【0034】
引き続き、蛇行状の糸14が粘着された各両面粘着テープ13上に各アルミ箔15を供給すると、該各アルミ箔15は該各両面粘着テープ13における糸14が粘着された側の面に該糸14の上からそれぞれ粘着される。すると、回転ドラム25の下面(周面における下端部)上にてシート部材30が形成されるとともに、該シート部材30がローラ29と回転ドラム25とで挟圧される。これにより、シート部材30を構成する離形紙12、各両面粘着テープ13、糸14、及び各アルミ箔15が強固に一体形成される。すなわち、各両面粘着テープ13により、離形紙12、糸14、及び各アルミ箔15が一体に接合される。
【0035】
引き続き、シート部材30がその搬送経路の下流側に搬送されると、カッター31により糸14のみが切断される。その後、両切断刃32により、シート部材30が所定長さに切断され、1枚の離形紙12上に2つの除電ブラシ11が粘着された製品が完成する。
【0036】
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
(1)搬送される離形紙12を挟んだ両側には該離形紙12の搬送経路を横切る方向に延びる回転軸24を中心に回転する歯車26,27が対向するように配置されるとともに、該各歯車26,27は等間隔に配置された複数の歯26a,27aをそれぞれ有している。そして、糸14は各歯車26,27の各歯26a,27aに該各歯車26,27の回転方向に沿って糸掛け針28により順次交互に巻き掛けられることで蛇行状に配置される。このため、糸14を精度よく等ピッチで連続して蛇行状に配置することができるので、除電ブラシ11を構成する各糸14間の間隔を一定に保ちつつ、連続的に効率よく除電ブラシ11を製造することができる。
【0037】
(2)離形紙12に各両面粘着テープ13を粘着させた後に、該各両面粘着テープ13における離形紙12とは反対側の面に糸14を粘着させている。このため、シート部材30から離形紙12を剥がして除電ブラシ11を両面粘着テープ13によってレーザープリンタ16の排紙口16aの上側(取付面)に貼り付ける際に、離形紙12と両面粘着テープ13との間に糸14が介在しないので、除電ブラシ11をレーザープリンタ16の排紙口16aの上側に対して安定して貼り付けることができる。
【0038】
(3)離形紙12は、各歯車26,27間に配置されるとともに回転軸24を中心に回転する回転ドラム25に巻き掛けられているため、回転ドラム25に対する離形紙12の巻き掛け量を調節することで、離形紙12の搬送方向を容易に変更することができる。具体的には、図3において、離形紙12は搬送ユニット22に対して左側真横より搬送されているが、離形紙12を搬送ユニット22に対して左斜め上方や真上などから搬送するようにしてもよい。この結果、製造装置21を設置スペースに合わせて容易に設計変更することができる。
【0039】
(4)離形紙12に糸14を各両面粘着テープ13により粘着させた後に、該各両面粘着テープ13における離形紙12とは反対側の面にアルミ箔15をそれぞれ粘着させている。このため、各アルミ箔15により各両面粘着テープ13の粘着面を保護することができる。
【0040】
(5)糸14、各アルミ箔15、及び各両面粘着テープ13は導電性を有しているため、除電ブラシ11の各糸14同士を導通させることができる。したがって、除電ブラシ11の除電効果を高めることができる。
【0041】
(6)各両面粘着テープ13は離形紙12における短手方向の両端部に粘着され、蛇行状の糸14は、各両面粘着テープ13によって離形紙12に粘着された後に、各両面粘着テープ13間の中央において離形紙12の長手方向に沿って切断される。このため、シート部材30を両切断刃32により所定長さで切断することで、該除電ブラシ11を2個セットで製造することができるとともに、離形紙12に粘着された状態の使用前の該各除電ブラシ11の糸14の先端を該離形紙12によって保護することができる。
【0042】
(7)回転ドラム25を任意の幅のものに変更することで、離形紙12の幅を容易に変更することができるので、結果として製品幅を容易に調整することができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0043】
・図7に示すように、各両面粘着テープ13を省略するとともに、アルミ箔15を予め導電性の粘着剤Nが塗布されたものに変更し、離形紙12上に糸14を蛇行状に配置した後に、該離形紙12上に糸14の上からアルミ箔15を粘着剤Nによって粘着させるようにしてもよい。このようにすれば、シート部材30が、図8に示すように、離形紙12、糸14、各粘着剤N、アルミ箔15の順で積層されて構成される。このため、離形紙12を剥がして除電ブラシ11を粘着剤Nが塗布されたアルミ箔15によってレーザープリンタ16の排紙口16aの上側(取付面)に貼り付けた際に、該除電ブラシ11の各糸14を、レーザープリンタ16を構成する金属製部品(導電性部品)とそれぞれ接触させることができる。したがって、導電性の粘着剤Nが塗布されたアルミ箔15の代わりに導電性を有さない粘着テープを保護シートとして用いた場合でも、レーザープリンタ16を構成する金属製部品に対して各糸14をそれぞれ導通させることができる。
【0044】
・図9に示すように、回転ドラム25の上側に回転軸24を中心に回転駆動する各歯車26,27を配置するとともに、回転ドラム25を回転軸24と平行な回転軸25aを中心に回転駆動するようにしてもよい。
【0045】
・図10に示すように、離形紙12を、回転ドラム25に接するようにして、左から右方向へ向かって真っ直ぐに搬送するようにしてもよい。この場合、回転ドラム25よりも離形紙12の搬送経路の下流側にて、シート部材30がローラ29とローラ33とによって挟圧されるように構成することが好ましい。
【0046】
・図11に示すように、離形紙12を、その搬送方向が右方向へ向かう方向から下方向へ向かう方向に変更されるように、回転ドラム25に巻き掛けるようにしてもよい。この場合、回転ドラム25よりも離形紙12の搬送経路の下流側にて、シート部材30がローラ29とローラ33とによって挟圧されるように構成することが好ましい。
【0047】
・両面粘着テープ13の代わりにホットメルト粘着剤を粘着材として用いてもよい。このようにすれば、ホットメルト粘着剤の一部が糸14に含浸されるため、該糸14が抜け落ちることを抑制することができる。
【0048】
・アルミ箔15を予め導電性の粘着剤Nが塗布されたものに変更してもよい。このように構成すれば、各両面粘着テープ13とアルミ箔15に塗布された粘着剤Nとで糸14を挟み込むことができるため、より強固に該糸14を保持することができる。この結果、糸14が抜け落ちることを効果的に抑制することができる。
【0049】
・各両面粘着テープ13の幅をアルミ箔15の幅よりも狭くなるように設定してもよい。このようにすれば、糸14の抜け落ちを抑制しつつ、高価な両面粘着テープ13の使用量を低減することができる。
【0050】
・両切断刃32によりシート部材30を所定長さに切断する前に、各糸14における各両面粘着テープ13からはみ出した湾曲部14aを切除するようにしてもよい。
・カッター31により糸14とともに離形紙12を切断するようにしてもよい。
【0051】
・各アルミ箔15の代わりに合成樹脂フイルムなどの導電性を有さないものを保護シートとして用いてもよい。
・各アルミ箔15は省略してもよい。この場合、各両面粘着テープ13の粘着面が露出することになるので、該露出する粘着面を別途離形紙などで保護することが望ましい。このようにすれば、除電ブラシ11を貼り合わせた後に、さらにその上から別の製品を貼り合せることができる。
【0052】
・各両面粘着テープ13は導電性を有さないものを採用してもよい。この場合、各両面粘着テープ13に該各両面粘着テープ13の長手方向に沿って延びる導電性の糸やワイヤを各糸14とそれぞれ接触するように貼り付けることで、各糸14間で導通させることができる。
【0053】
・糸掛け針28は、糸14の移動が可能であれば、例えば、縫い針やフック状の形態のものに変更してもよい。
・搬送ユニット22を複数配列し、それぞれで作製されたブラシを積層できるようにしてもよい。このように構成すれば、例えば、長さや材質の異なるブラシ同士を積層することで、製品に新たな機能を付与することができる。
【0054】
・一対の歯車26,27の代わりに、環状の軌道を周回移動する一対の無端状のベルトを回転体として用いてもよい。この場合、各ベルトの外側の面には該各ベルトの周回移動方向に沿って等間隔となるように複数の突起が糸掛け部として設けられる。このようにすれば、各ベルトが周回移動する軌道を、真円形だけでなく三角形、四角形、あるいは楕円形など自由に変更することができる。
【0055】
・本発明のブラシは除電ブラシ11以外の用途に用いてもよい。例えば、本発明のブラシを、机間、ドア、窓などの隙間を埋めるための隙間材として用いてもよいし、電子写真装置内に配置された感光ドラムを帯電させるための帯電ブラシとして用いてもよい。
【0056】
・糸14は導電性を有さないものを用いてもよい。
・シート部材30の糸14を切断しなくてもよい。この場合、各両面粘着テープ13のうちの一方を省略するとともに、該省略した方の両面粘着テープ13と対応する方のアルミ箔15を省略する。このようにすれば、除電ブラシ11を構成する糸14を一本にすることができるとともに、該一本の糸14に複数のループ状の部分を等間隔で形成することができる。
【0057】
・各歯車26,27を省略してもよい。この場合、搬送される離形紙12上に糸14が糸掛け針28により所定ピッチで蛇行状に配置されるように、移動手段(図示略)を制御する必要がある。
【0058】
・各歯車26,27間の距離や各歯車26,27の種類を適宜変更してもよい。このようにすれば、除電ブラシ11の幅や糸14のピッチを適宜変更することができる。
さらに、上記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0059】
(イ)前記糸は導電性を有していることを特徴とする請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
このようにすれば、ブラシを除電ブラシとして使用する場合の除電効果を高めることができる。
【0060】
(ロ)前記粘着材は導電性を有していることを特徴とする請求項1〜請求項8及び上記(イ)のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
このようにすれば、ブラシを除電ブラシとして使用する場合の除電効果をより一層高めることができる。
【符号の説明】
【0061】
11…ブラシとしての除電ブラシ、12…離形シートとしての離形紙、13…粘着材としての両面粘着テープ、14…糸、15…保護シートとしてのアルミ箔、24…回転軸、25…回転部材としての回転ドラム、26,27…回転体としての歯車、26a,27a…糸掛け部としての歯。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状の離形シートをその長手方向に沿って搬送し、該離形シートの搬送経路の途中に該搬送経路を横切るように糸を所定ピッチで蛇行するように連続して配置し、該蛇行状に配置した前記糸を粘着材により前記離形シートに粘着させることを特徴とするブラシの製造方法。
【請求項2】
前記離形シートに前記粘着材を粘着させた後に、該粘着材における前記離形シートとは反対側の面に前記糸を粘着させることを特徴とする請求項1に記載のブラシの製造方法。
【請求項3】
前記離形シート上に前記糸を配置した後に、該糸の上から前記粘着材を該離形シート上に粘着させることを特徴とする請求項1に記載のブラシの製造方法。
【請求項4】
前記離形シートを挟んだ両側には前記離形シートの搬送経路を横切る方向に延びる軸を中心に回転する一対の回転体が配置されるとともに、該各回転体には前記糸を巻き掛け可能な複数の糸掛け部が回転方向に沿って等間隔となるようにそれぞれ突設され、
前記糸は前記各回転体の糸掛け部に交互に巻き掛けることで蛇行状に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
【請求項5】
前記離形シートは、前記各回転体間に配置されるとともに前記軸を中心に回転する回転部材に巻き掛けられていることを特徴とする請求項4に記載のブラシの製造方法。
【請求項6】
前記離形シートに前記糸を前記粘着材により粘着させた後に、該粘着材における前記離形シートとは反対側の面に保護シートを粘着させることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
【請求項7】
前記保護シートは導電性を有していることを特徴とする請求項6に記載のブラシの製造方法。
【請求項8】
前記粘着材は前記離形シートにおける短手方向の両端部に粘着され、
前記糸は、前記両粘着材によって前記離形シートに粘着された後に、前記両粘着材間において前記離形シートの長手方向に沿って切断されることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
【請求項1】
長尺帯状の離形シートをその長手方向に沿って搬送し、該離形シートの搬送経路の途中に該搬送経路を横切るように糸を所定ピッチで蛇行するように連続して配置し、該蛇行状に配置した前記糸を粘着材により前記離形シートに粘着させることを特徴とするブラシの製造方法。
【請求項2】
前記離形シートに前記粘着材を粘着させた後に、該粘着材における前記離形シートとは反対側の面に前記糸を粘着させることを特徴とする請求項1に記載のブラシの製造方法。
【請求項3】
前記離形シート上に前記糸を配置した後に、該糸の上から前記粘着材を該離形シート上に粘着させることを特徴とする請求項1に記載のブラシの製造方法。
【請求項4】
前記離形シートを挟んだ両側には前記離形シートの搬送経路を横切る方向に延びる軸を中心に回転する一対の回転体が配置されるとともに、該各回転体には前記糸を巻き掛け可能な複数の糸掛け部が回転方向に沿って等間隔となるようにそれぞれ突設され、
前記糸は前記各回転体の糸掛け部に交互に巻き掛けることで蛇行状に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
【請求項5】
前記離形シートは、前記各回転体間に配置されるとともに前記軸を中心に回転する回転部材に巻き掛けられていることを特徴とする請求項4に記載のブラシの製造方法。
【請求項6】
前記離形シートに前記糸を前記粘着材により粘着させた後に、該粘着材における前記離形シートとは反対側の面に保護シートを粘着させることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
【請求項7】
前記保護シートは導電性を有していることを特徴とする請求項6に記載のブラシの製造方法。
【請求項8】
前記粘着材は前記離形シートにおける短手方向の両端部に粘着され、
前記糸は、前記両粘着材によって前記離形シートに粘着された後に、前記両粘着材間において前記離形シートの長手方向に沿って切断されることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載のブラシの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−49119(P2011−49119A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198744(P2009−198744)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(596024426)槌屋ティスコ株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(596024426)槌屋ティスコ株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
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