説明

ブラシレスモータ

【課題】ホールセンサにロータマグネットの磁気を効率よく伝達することができるブラシレスモータを提供する。
【解決手段】ホールセンサとロータマグネットからの漏れ磁束をホールセンサに伝達する磁気伝達部材36とで検出部を構成する。検出部を構成する磁気伝達部材36は、ロータマグネット側の拡幅部38と、ホールセンサ側で拡幅部38よりも磁気伝達面積が狭い幅狭部37とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシレスモータでは、ロータの回転を検出するべく、回路基板に設けたホールセンサによってロータのロータマグネットの磁力を検出している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のブラシレスモータでは、ロータのロータマグネットとホールセンサとの間に、前記ロータマグネットの磁気を伝達させる磁気伝達部材(特許文献1では磁束誘導部)を設けている。このため、ホールセンサをロータマグネットに近接配置する必要がなくなり、ホールセンサの位置やホールセンサを搭載する回路基板の位置といった設計の自由度を向上させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−98887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなブラシレスモータでは、磁気伝達部をロータマグネットとホールセンサとの間に設けて磁気伝達部を介してロータマグネットの磁気を前記ホールセンサまで伝達している。しかしながら、単に磁性体の磁気伝達部を設けるだけでは、ロータマグネットの磁気を効率よくホールセンサまで伝達させることが難しい虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ホールセンサにロータマグネットの磁気を効率よく伝達することができるブラシレスモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、巻装された巻線に通電されることで回転磁界を発生させるステータと、
前記ステータと径方向に対向して配置されたロータマグネットを有するロータと、前記ロータマグネットからの漏れ磁束の方向の変化に応じて極性が切り替わるとともに該極性に応じた信号を出力する検出部と、を備えたブラシレスモータであって、前記検出部は、ホールセンサと前記ロータマグネットからの漏れ磁束を前記ホールセンサに伝達する磁気伝達部材とを備え、前記磁気伝達部材は、前記ロータマグネット側の拡幅部と、前記ホールセンサ側で前記拡幅部よりも磁気伝達面積が狭い幅狭部とを備えたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、検出部は、ホールセンサとロータマグネットからの漏れ磁束をホールセンサに伝達する磁気伝達部材とを備え、磁気伝達部材は、ロータマグネット側の拡幅部と、ホールセンサ側で前記拡幅部よりも磁気伝達面積が狭い幅狭部とを備える。このように、ロータマグネット側の拡幅部にてロータマグネットの漏れ磁束(磁気)を、前記拡幅部よりも磁気伝達面積が狭い幅狭部にてホールセンサに伝達することで、ロータマグネットから受けた漏れ磁束をホールセンサに効率よく伝達することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記ロータマグネット側の拡幅部と、前記ホールセンサ側の幅狭部とでT字形状をなすように構成されたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、ロータマグネット側の拡幅部と、ホールセンサ側の幅狭部とでT字形状して簡素な形状の磁気伝達部材でロータマグネットから受けた漏れ磁束をホールセンサに効率よく伝達することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記磁気伝達部材は、前記拡幅部から前記幅狭部にかけて漸次幅が狭くなるように構成されたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、磁気伝達部材は、拡幅部から幅狭部にかけて漸次幅が狭くなる構成であるため、確実に幅狭部の磁気伝達面積を拡幅部よりも狭く(小さく)して、ロータマグネットから受けた漏れ磁束をホールセンサに効率よく伝達することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記磁気伝達部材は、前記ロータマグネットの軸方向端面と軸方向に対向する前記拡幅部と、前記拡幅部から連続して前記ロータマグネットの逆側に屈曲される屈曲部と、前記屈曲部から連続して前記ホールセンサと対向する前記幅狭部とを備えたことをその要旨とする。
【0014】
この発明では、磁気伝達部材は、ロータマグネットの軸方向端面と軸方向に対向する拡幅部と、拡幅部から連続してロータマグネットの逆側に屈曲される屈曲部と、屈曲部から連続してホールセンサと対向する幅狭部とを備えた。このようにロータマグネットと拡幅部が軸方向に対向した構成としてもロータマグネットから受けた漏れ磁束をホールセンサに効率よく伝達することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラシレスモータにおいて、前記磁気伝達部材は、前記ステータを支持するとともに前記ロータの回転軸を支持するセンターピースに支持されることをその要旨とする。
【0016】
この発明では、磁気伝達部材がステータを支持するとともに前記ロータの回転軸を支持するセンターピースにより支持されるため、別途支持部材を設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
従って、上記記載の発明によれば、ホールセンサにロータマグネットの磁気を効率よく伝達することができるブラシレスモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態におけるブラシレスモータの断面図である。
【図2】(a)は磁気伝達部材について説明するための正面図であり、(b)は同磁気伝達部材について説明するための側面図である。
【図3】(a)は別例における磁気伝達部材について説明するための正面図であり、(b)は同磁気伝達部材について説明するための側面図である。
【図4】別例におけるブラシレスモータの断面図である。
【図5】(a)は別例における磁気伝達部材について説明するための上面図であり、(b)は同磁気伝達部材について説明するための正面図あり、(c)は同磁気伝達部材について説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のブラシレスモータ10は、ステータ11と、ロータ12とを備える。
【0020】
ステータ11は、ステータコア21と、このステータコア21のティース(図示略)に導線がインシュレータ23を介して巻装されて構成されるコイル22とを備えている。
ステータコア21は、内部に軸方向に貫通する貫通孔21aが形成されている。そして、ステータコア21は、前記貫通孔21aにセンターピース31が嵌挿されてセンターピース31に対して固定されている。
【0021】
そして、ステータコア21は、センターピース31に固定された状態では、ロータ12の径方向内側に配置され、ロータ12(後述するロータマグネット42)と径方向に対向している。
【0022】
ロータ12は、略有底円筒状のヨーク41と、このヨーク41の内周面に固着されてステータ11と径方向に対向配置されるロータマグネット42と、前記ヨーク41の中心部に圧入される回転軸43とから構成される。
【0023】
ヨーク41の底部41a中央には、前記回転軸43を内挿させる貫通孔41bが形成される。
ロータマグネット42は、例えば径方向内側がN極とS極とが周方向において交互に着時され、複数の界磁極を有している。回転軸43は、軸受44を介して前記センターピース31の中心部に回転可能に支持されている。
【0024】
前記ロータ12及びステータ11を支持するセンターピース31は、センターピース本体部32と、ケース部33とを備える。
センターピース本体部32は、軸方向に長尺状の略円筒状をなすように形成される。また、センターピース本体部32の内周面には前記軸受44が嵌着され、センターピース本体部32の外周面には前記ステータ11(ステータコア21)が固定される。このようにして、センターピース本体部32(センターピース31)は、ステータ11を支持するとともに前記ロータ12の回転軸43を支持するようになっている。
【0025】
ケース部33は、前記センターピース本体部32の軸方向一端側に一体形成される略有底円筒状をなすように形成されている。有底筒状のケース部33の底部33aには、ホールセンサ34aが搭載される回路基板34が固定される。また、有底筒状のケース部33の開口部33bには、前記回路基板34が底部33aに固定された状態で、開口部33bを閉塞する前記略円板状のカバー部35が固定され、回路基板34がケース部33及びカバー部35にて収容される。
【0026】
また、ケース部33の底部33aには、前記ホールセンサ34aとの対応位置に貫通孔33cが形成され、この貫通孔33cに磁気伝達部材36が嵌挿されて支持される。なお、本実施形態では磁気伝達部材36及び前記ホールセンサ34aで検出部を構成する。
【0027】
磁気伝達部材36は、図2(a)(b)に示すように、幅狭部37と、拡幅部38とを備える。
幅狭部37は、長尺状をなし、前記貫通孔33cに嵌挿(圧入)されて支持されるとともに、幅狭部37の一端側の端面37aが前記ホールセンサ34aと軸方向に対向するように配置される。
【0028】
一方、拡幅部38は、前記幅狭部37の他端側から前記幅狭部37の長手方向(図1において回転軸43の長手方向)と直交する方向に延出し、磁気伝達部材36がロータ12の径方向視において略T字形状をなすように形成される。
【0029】
図1及び図2に示すように、拡幅部38は、前記ロータマグネット42と径方向に対向する対向面38aを備える。この対向面38aは、前記ホールセンサ34aと対向する幅狭部37の端面37aよりも表面積が広く形成される。このため、この対向面38aによりロータマグネット42からの漏れ磁束(磁気)を多く受けることができるようになっている。
【0030】
次に本実施形態のブラシレスモータ10の動作例(作用)について説明する。
本実施形態のブラシレスモータ10は、ステータ11のコイル22に通電されることで回転磁界が発生され、この回転磁界を受けるロータマグネット42が作用してロータ12(回転軸43)が回転される。
【0031】
そして、ホールセンサ34aは、前記ロータ12の回転時において回転されるロータマグネット42の極性の切り替わりが磁気伝達部材36を介して伝達されるロータマグネット42の漏れ磁束によって検出し、ロータ12の回転位置を検出する。
【0032】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)ホールセンサ34aとロータマグネット42からの漏れ磁束をホールセンサ34aに伝達する磁気伝達部材36とで検出部を構成する。検出部を構成する磁気伝達部材36は、ロータマグネット42側の拡幅部38と、ホールセンサ34a側で拡幅部38よりも磁気伝達面積が狭い幅狭部37とを備える。このように、ロータマグネット42側の拡幅部38にてロータマグネット42の漏れ磁束(磁気)を、拡幅部38よりも磁気伝達面積が狭い幅狭部37にてホールセンサ34aに伝達することで、ロータマグネット42から受けた漏れ磁束をホールセンサ34aに効率よく伝達することができる。
【0033】
(2)ロータマグネット42側の拡幅部38と、ホールセンサ34a側の幅狭部37とでT字形状として簡素な形状の磁気伝達部材36でロータマグネット42から受けた漏れ磁束をホールセンサ34aに効率よく伝達することができる。
【0034】
(3)ステータ11を支持するとともにロータ12の回転軸43を支持するセンターピース31により磁気伝達部材36が支持されるため、別途支持部材を設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
【0035】
(4)ロータ12と回路基板34との間にセンターピース31を介在させ、センターピース31の開口部33bを閉塞するカバー部35を設けて回路基板34を密閉させることで、回路基板34を埃や水滴等の異物から保護することが可能となる。
【0036】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、磁気伝達部材36を幅狭部37及び拡幅部38とで略T字形状となるように構成したが、これに限らない。例えば、図3(a)(b)に示すように、ロータマグネット42側の拡幅部53からホールセンサ34a側の幅狭部52にかけて漸次幅が狭くなる構成の磁気伝達部材51を採用してもよい。このような構成においても上記実施形態同様に、幅狭部52のホールセンサ34aと対向する端面52aは、前記ロータマグネット42と対向する対向する拡幅部53の対向面53aよりも表面積が狭い(小さい)構成としている。このような構成とすることで、確実に幅狭部52の磁気伝達面積(表面積)を拡幅部53よりも狭く(小さく)して、ロータマグネット42から受けた漏れ磁束をホールセンサ34aに効率よく伝達することができる。
【0037】
・上記実施形態では、ロータマグネット42と磁気伝達部材36(拡幅部38)とが径方向において対向する構成としたが、これに限らず、例えば図4及び図5に示すようにロータマグネット42の軸方向端面42aと磁気伝達部材55とが軸方向において対向する構成としてもよい。
【0038】
ここで、ロータマグネット42と磁気伝達部材55とが軸方向において対向する構成の場合、例えば磁気伝達部材55を下記のような構成としてもよい。
図5(a)〜(c)に示すように、磁気伝達部材55は、磁気伝達部材55は、幅狭部と、拡幅部57と、該拡幅部57及び幅狭部56を繋ぐ屈曲部58とを備える。このような構成においても上記実施形態同様に、幅狭部56のホールセンサ34aと対向する端面52aは、前記ロータマグネット42と対向する対向する拡幅部53の対向面53aよりも表面積が狭い(小さい)構成としている。また、屈曲部58は、前記拡幅部57から連続し、前記ロータマグネット42とは逆側に略90度屈曲(湾曲)される。このため、幅狭部56の端面56aが軸方向においてホールセンサ34aと対向するように構成される。このように、拡幅部57がロータマグネット42(軸方向端面42a)と軸方向に対向しても屈曲部58によって幅狭部56の端面56aが軸方向を向いて前記ホールセンサ34aと対向させることができる。
【0039】
・上記実施形態では、磁気伝達部材36を貫通孔33cに圧入固定(支持)したが、磁気伝達部材36の固定(支持)方法はこれに限らず、例えばセンターピース31以外の支持部材を別途用いて磁気伝達部材36を固定する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…ブラシレスモータ、11…ステータ、12…ロータ、31…センターピース、34a…ホールセンサ、36,51,55…磁気伝達部材、37,52,56…幅狭部、38,53,57…拡幅部、42…ロータマグネット、42a…軸方向端面、43…回転軸、58…屈曲部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻装された巻線に通電されることで回転磁界を発生させるステータと、
前記ステータと径方向に対向して配置されたロータマグネットを有するロータと、
前記ロータマグネットからの漏れ磁束の方向の変化に応じて極性が切り替わるとともに該極性に応じた信号を出力する検出部と、
を備えたブラシレスモータであって、
前記検出部は、ホールセンサと前記ロータマグネットからの漏れ磁束を前記ホールセンサに伝達する磁気伝達部材とを備え、
前記磁気伝達部材は、前記ロータマグネット側の拡幅部と、前記ホールセンサ側で前記拡幅部よりも磁気伝達面積が狭い幅狭部とを備えたことを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、
前記ロータマグネット側の拡幅部と、前記ホールセンサ側の幅狭部とでT字形状をなすように構成されたことを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項3】
請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、
前記磁気伝達部材は、前記拡幅部から前記幅狭部にかけて漸次幅が狭くなるように構成されたことを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項4】
請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、
前記磁気伝達部材は、前記ロータマグネットの軸方向端面と軸方向に対向する前記拡幅部と、前記拡幅部から連続して前記ロータマグネットの逆側に屈曲される屈曲部と、前記屈曲部から連続して前記ホールセンサと対向する前記幅狭部とを備えたことを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラシレスモータにおいて、
前記磁気伝達部材は、前記ステータを支持するとともに前記ロータの回転軸を支持するセンターピースに支持されることを特徴とするブラシレスモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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