説明

ブラシ/スクラブ機能を有するパッド

本願は、制御の下で、表面上に液体またはコロイド物質を塗布するために使用される、積層パッド(1)に関する。積層パッドは、少なくとも1つの貯蔵層(4)を備え、貯蔵層は、貫通裁断部(8)が具備され、その弾性特徴によって、不浸透性ポケット層(5)に溶接されると、裁断領域内に上方直立表面を形成するであろう。上方直立表面は、ブラシおよび/またはスクラブあるいは移送デバイスとして作用し、ブラシまたはスクラブは、物質の塗布の前もしくはその間、物質が塗布される表面を処理するために使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の、クリーム状の、ゼラチン状の、気体の、または粉末の物質等、所望の表面において、1用量以上の流体あるいはコロイド物質を送達および塗布するためのデバイスと、所望の表面の表面処理のためのデバイスとに関する。本発明のデバイスは、特に、医薬品、化粧品、衛生用物質、香料、および家庭用清掃物質の送達に該当する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる用途では、所望の表面または地点に物質を塗布するように適合される、デバイスの必要性が存在する。これは、例えば、靴墨、化粧品、保湿クリーム、洗顔クリーム、日焼クリーム、個人的衛生のための種々のゲル製品、例えば、石鹸、洗剤、または類似物質の用途に関与し得る。また、例えば、マニキュア液、光沢剤(varnish remnant)、接着剤(glue remnant)等の種々の液体は、制御条件の下で、適切な場所に適切な量として塗布される必要がある。
【0003】
塗布される物質は、例えば、瓶内に保存可能であって、ユーザは、好適な量の物質をその手に傾注し、次いで、物質を所望の表面上に手動で拡散させる。他の方法の1つは、別個の瓶と、塗布器要素と、を有するものである。次いで、物質は、一定量の物質を吸引する、塗布器要素上に塗布され、ユーザは、塗布器要素を使用して、物質を所望の表面または地点に分散させる。
【0004】
物質を所望の表面上に塗布するためのさらに別の方法は、規定量の物質が供給される、使い捨てまたは単回使用式塗布器の使用である。そのような塗布器は、適切な物質で実質的に完全に注入された使い捨て材料から製造され、容器内に密封される。
【0005】
あらゆる周知のデバイスの共通点は、その手で物質に直接接触させることによって、またはデバイスが漏出および/もしくは乾燥することによって、ユーザの手が汚れてしまうという結果をもたらすことである。さらに、周知のデバイスのいずれも、物質が塗布される表面または地点を処理可能ではない。
【0006】
特許文献1は、より制御された様式で、表面上に生成物を塗布するためのデバイスについて記載している。デバイスは、いくつかの層を備え、層は、塗布される生成物を含有する、貯蔵受容部または貯蔵層を収容する。デバイス内に含有される生成物は、上層の一方が、弁層のように作用し、他方が、塗布器および分配層のように作用する、2つの部品から成る上層を通して、塗布表面に輸送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ノルウェー国特許出願公開第2007 4383号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の目的は、液体またはコロイド物質を含有し、便利、均一、かつ簡単な方法で、所望の表面に分散させるための使い捨て積層パッドを提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、所望の表面上への液体またはコロイド物質の塗布の前またはその間、所望の表面の処理も行う、使い捨て積層パッドを提供することである。
【0010】
さらに、本発明の目的は、パッドを劣化させることなく、長期間にわたって、液体またはコロイド物質を保存可能な使い捨て積層パッドを提供することである。
【0011】
これらの目的は、本発明の実施形態が与えられる、付随の独立請求項に定義される、本発明による、表面上に液体またはコロイド物質を処理および塗布するための使い捨て積層パッドによって達成される。
【0012】
本発明は、所望の表面上に液体またはコロイド物質を塗布する前またはその間、所望の表面を処理するために使用可能な積層パッドに関する。積層パッドは、適切な方法で相互に接続される、いくつかの材料層を備える。積層パッド内の層はそれぞれ、その独自の特有機能を有する。また、積層パッドのための特有の機能は、層のうちの2つ以上を組み合わせることによって得られてもよい。
【0013】
本発明による、積層パッドは、主に、人体用の塗布器として利用されることが意図されるが、また、家庭内で使用されてもよい。
【0014】
液体物質を含有する、典型的積層パッドは、例えば、4つの層から成ってもよく、貯蔵層および接触層が、上層とポケット層との間に配置される。上層およびポケット層は、この場合、実質的に液体不浸透性である材料から製造され、このことは、貯蔵層および接触層は、2つの外側層の間、すなわち、上層とポケット層との間に封入されることを含む。異なる層をともに結合または接合することによって、積層パッドは、積層パッドが搬送、保存、または使用される時、漏出しない、密閉区画を形成するであろう。
【0015】
積層パッドの使用を簡素化するために、他の層から見て外側に向いたポケット層の片側に、保持デバイスが具備されてもよい。保持デバイスは、その最も簡単な形態では、積層パッド使用時、手、指、または器具が挿入され得る、開空洞を形成するために、ポケット層に取着される、カバーである。カバーは、伸縮性不織布材料から製造されてもよい。
【0016】
しかしながら、積層パッド内の内容物が、より粘性物質である場合、または層のうちの1つ以上が、乾燥物質で前もって含浸されている場合、上層を使用する必要はないであろう。
【0017】
また、上層は、密閉構造を提供するために必要ではない場合であっても、使用されてもよい。したがって、これらの場合、上層の目的は、より安価な材料から製造され得る、下層または複数の下層を粉塵および/または外部への曝露から保護することとなるであろう。
【0018】
したがって、「密閉」の程度は、積層パッド内に保存される物質に依存するであろう。
【0019】
保存される液体またはコロイド物質の特性に応じて、積層パッドは、異なる層の結合前、または層がともに結合された後、適切な量の物質で充填されることが可能である。この場合、物質は、例えば、針によって、層のうちの1つ以上を通して、供給される必要がある。
【0020】
いくつかの用途では、貯蔵層内に保存される物質が、漏出、蒸発等しないように、上層を使用することによって、積層パッドを密閉する必要はない。
【0021】
上層を使用する場合、上層は、例えば、溶接によって、下層に結合される。上層は、積層パッドが使用される前に除去される必要があるため、上層は、その外側周縁に沿った領域内に溶接され、溶接強度は、上層の除去を容易にするように調節される。また、積層パッド内の別個の区画を形成するために、異なる層の溶接が達成されてもよく、これは、例えば。積層パッドが、パッドが使用される前に、相互に接触しない、2つ以上の物質を含有する場合、望ましいであろう。したがって、溶接は、異なる物質を分離し、上層の除去は、異なる物質を混合および/または相互に反応させるであろう。
【0022】
ブラシまたはスクラブ機能を創出するために、層のうちの1つ以上に、その表面に沿った裁断部が具備され、裁断部は、層材料を貫通または部分的に貫通可能である。裁断部生成後、層または複数の層が、ポケット層に溶接される。異なる層が製造される材料は、ある(弾性)特性を有するため、ポケット層との接合は、材料層を溶接線に沿って圧縮(「延伸」)させる結果をもたらすであろう。これは、層の圧縮または延伸によって、裁断縁を層の表面から上方に隆起させるであろう。
【0023】
異なる層が、同一パターンで裁断または穿孔されてもよく、層は、この場合、相互上に定置され、次いで、同一動作でともに裁断される。また、層は、異なる裁断パターンを具備してもよい。この場合、各層は、個々に裁断され、層は、溶接前に、ともに置かれる。次いで、層は、裁断線が、相互に対して、角度を形成するように配置される。
【0024】
裁断は、連続線、断続線、湾曲線、またはさらに穿孔として行われてもよい。さらにまた、裁断部の厚さおよび/または長さを変更することも可能である。
【0025】
本発明による積層パッドは、積層パッドの特有の使用に応じて、1つまたはいくつかの異なる層から成ってもよいことを理解されたい。
【0026】
積層パッドの異なる層は、異なる材料から製造されてもよく、さらに、材料は、異なる厚さ、異なる特性等を有してもよい。また、層は、サイズ、形態、および相互につりあって位置付けられる方法が異なってもよい。
【0027】
異なる層の溶接は、超音波、レーザ、熱溶接等によって、行われてもよい。さらに、溶接は、糸(string)または線であってもよく、あるいはスポット溶接であってもよい。
【0028】
裁断は、ナイフ、レーザ、超音波等によって、行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
このように、本発明の性質が、概説されたが、次に、付随の図面を参照し、その好ましい実施形態の例証として示す。
【図1】図1は、本発明による、デバイスの主要構成を示す、分解図である。
【図2】図2は、本発明による、ブラシまたはスクラブ機能の構築を示す。
【図3】図3は、本発明による、デバイスの種々の層間の裁断および溶接接続を示し、デバイスは、断面と、上方から示される。
【図4】図4は、本発明による、完成パッドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明による、使い捨て手持ちサイズ積層パッドの実施形態を示し、積層パッド1は、4つの異なる層2〜5を備える。各層は、その独自の機能を有するが、また、個々の層2〜5のうちの2つ以上を組み合わせることによって、特有の機能を得ることも可能である。
【0031】
積層パッド1が、漏出し得る液体または対応する物質を含有する場合、積層パッド1は、保護カバーとして作用する上層2によって、密閉される。上層2は積層パッド1が使用される前に、裂破することによって除去されるべきであり、したがって、上層2は、その周縁に沿った領域において、残りのパッドの層3〜5に取着される。この取着は、多くの異なる方法、例えば、超音波による溶接、熱溶接、接着(gluing)等によって、行なうことが可能である。上層2の除去を容易にするために、上層2は、フラップまたは隅部6とともに形成される。
【0032】
上層2は、実質的に不浸透性材料から製造される。
【0033】
ポケット層5は、積層パッド1の他の外側を形成し、これは、他の層2〜4が、上層2およびポケット層5内に配置されることを意味する。ポケット層5は、上層2のように、輸送、貯蔵、または積層パッド1の使用の間、液体またはコロイド物質の通過を防止しなければならないため、ポケット層5は、液体不浸透性材料から作製される。
【0034】
ポケット層5は、溶接、接着等によって、上覆層2〜4に取着される。
【0035】
ポケット層5は、貯蔵層4から外側に向いた側にあり、保持デバイス7を具備する。保持デバイス7は、積層パッド1使用時、手、指、または器具が挿入され得る、開空洞を形成するために、ポケット層5に取着されるカバーである。カバー7は、例えば、伸縮性および/または不織材料から製造される。
【0036】
本構成によって、示される実施形態では、上層2およびポケット層5が、接触層3と貯蔵層4とを包囲または包含することになる。これは、偶然に開放、乾燥、または劣化することなく、輸送および/または保存可能な積層パッド1を提供するであろう。さらに、ユーザは、積層パッド1の使用の間、積層パッド1が含有する液体またはコロイド物質と接触することはない。これは、物質が皮膚に対して刺激性である場合、特に有利である。
【0037】
貯蔵層4は、ポケット層5の上方に配置される。貯蔵層4は、表面上に塗布される液体またはコロイド物質を含有するため、貯蔵層は、ある厚さを有する。不織材料、例えば、繊維構造から製造され、材料は、塗布される物質を保存するために十分な気孔率を有する。貯蔵層4内に保存される物質の性質に応じて、物質は、異なる層2〜5がともに接続または接合される前に、貯蔵層に供給されるか、または異なる層2〜5がともに接続または接合された後のいずれかに、供給可能である。
【0038】
接触層3は、貯蔵層4から物質が塗布される表面に物質を通過させるため、「通路」層の機能を果たす。接触層3は、例えば、不織材料または穿孔プラスチック材料から製造される。
【0039】
時として、積層パッド1内に含有される物質が塗布される表面を処理する必要がある。本発明によると、ポケット層5、貯蔵層4、および接触層3は、ブラシおよび/またはスクラブユニットをともに提供するように製造される。したがって、本ブラシおよび/またはスクラブは、所望の表面を清掃する、またはそこから粉塵を除去し、その後、液体またはコロイド物質が、表面上に塗布される。
【0040】
また、ブラシおよび/またはスクラブは、移送デバイスとしても作用するであろう。積層パッド1が、例えば、乾燥脱臭粉末を含有する場合、ブラシおよび/またはスクラブは、腋窩における前後の動作によって積層パッド1から腋窩全体に脱臭粉末を「放出(throw)」するであろう。
【0041】
次に、図2を参照すると、ブラシおよび/またはスクラブユニットの構造が示される。上述のように、本実施形態におけるブラシおよび/またはスクラブユニットは、ポケット層5と、貯蔵層4と、接触層3と、から成る。層3〜5はそれぞれ、特定の引張強度を有する材料から製造される。接触層3および貯蔵層4が、同一または異なるパターン8で裁断され、その後、溶接9によって、ポケット層とともに接続される場合、層3〜4内の材料の引張強度および圧縮によって、裁断領域内の材料が隆起する傾向にある。これは、処理および物質が塗布される表面に対向する接触層3の側に、直立表面を提供するであろう。
【0042】
図3は、ブラシおよび/またはスクラブユニットが構築される様子を非常に概略的に示す。最初に、接触層3および貯蔵層4が、所望のパターン8に裁断され、本パターン8は、保存される物質の特徴に依存するであろう。本実施形態における接触層3および貯蔵層4は、裁断が行なわれることによって層3、4が、相互の上に定置されるため、同一パターン8で裁断される。また、本裁断は、例えば、2つの層3、4が、異なる裁断パターンを有することになっている場合、各層3、4に対して、個別に行なうことも可能であることを理解されたい。
【0043】
裁断は、ナイフ、超音波、レーザ等で行なうことが可能である。
【0044】
示される実施形態における裁断パターンは、両層3、4に対して、波状および連続的であるが、任意の形態を有してもよい。さらに、裁断線は、断続的であり、層3、4を通して部分的に裁断される、等であってもよい。
【0045】
接触層3および貯蔵層4が、予め裁断される場合、3つの層3、4、5は、相互に上覆するように配置され、ともに溶接される(9)。本溶接9は、超音波、熱溶接、レーザ等によって行なわれる。溶接によって、各層内の層材料が、溶接線に沿って延伸され、本延伸は、溶接線9に向かって、材料を「引っ張り」、したがって、裁断縁を上方に隆起させる。示される実施形態では、裁断は、波形に行なわれ、ブラシおよび/またはスクラブユニットにうね状または波状表面を提供するであろう。
【0046】
本発明による、積層パッド1が、図4に示されており、積層パッド1は、ユーザの手、指、器具等が挿入可能な手袋またはミットとして形成される。裁断パターン8は、波状であって、積層パッド1の周縁から内側の特定の距離に配置される。直線端10は、ユーザの手のための開口部を形成し、したがって、裁断または溶接されない。
【0047】
本発明のさらなる修正および代替実施形態は、本説明に照らして、当業者に明白となるであろう。故に、本説明は、例証にすぎないものとして解釈され、本発明の実施方法を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に図示および説明される本発明の形態は、現在好ましい実施形態として捉えられることを理解されたい。部品の形状、サイズおよび配置において、種々の変更が成されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された様式で、表面上に液体またはコロイド物質を塗布するための積層パッド(1)であって、その周縁の周囲の領域において、ポケット層(5)に接続され、前記塗布される液体またはコロイド物質を含有する、少なくとも1つの層(3、4)を備え、前記少なくとも1つの層(3、4)は、引張強度を有する材料から製造され、前記層(3、4)に、その表面に沿って、少なくとも1つの貫通裁断部(8)を提供し、前記層(3、4)を前記ポケット層(5)に溶接(9)することによって、前記裁断部(8)の領域内に直立表面を形成し、それによって、前記積層パッド(1)に、ブラシおよび/またはスクラブ機能を提供することを特徴とする、積層パッド。
【請求項2】
前記ポケット層(5)は、実質的に不浸透性材料から製造されることを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。
【請求項3】
前記積層パッド(1)は、実質的に不浸透性上層(2)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。
【請求項4】
貫通裁断部(8)は、前記少なくとも1つの層(3、4)の表面の一部または全体に、異なるパターンで配置されることを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。
【請求項5】
前記液体またはコロイド物質を含有する貯蔵層(4)は、1つ以上の平面上の繊維構造から成り、前記繊維構造は、前記物質を含有する空洞を形成することを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。
【請求項6】
保持デバイス(7)は、前記ポケット層(5)の外側に取着されることを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。
【請求項7】
前記積層パッド(1)は、付加的層を備え、前記層は、貫通裁断部(8)が具備され、前記層は、さらに相互に溶接されることを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。
【請求項8】
前記異なる層(3、4)の表面に沿った前記貫通裁断部(8)は、連続的、断続的、または穿孔であることを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。
【請求項9】
層(3、4)は、同一または異なる裁断パターンが具備されることを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。
【請求項10】
前記層(2、3、4、5)は、前記同一あるいはは異なるサイズおよび/または形態を有することを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。
【請求項11】
前記異なる層は、弾性特徴を有する材料から製造され、前記弾性特徴は、前記異なる層に対して、同一または異なることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の積層パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−530376(P2011−530376A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522924(P2011−522924)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/NO2009/000282
【国際公開番号】WO2010/019048
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(511034701)
【Fターム(参考)】