説明

ブラック紫外線硬化性インク

【課題】コストを増大させることなく、従来の硬化性ゲルインクに比べて優れた硬化特性を含む相変化インクを提供する。
【解決手段】モノマーまたはオリゴマーの少なくとも1つを含む硬化性インクキャリアと、光開始剤と、ゲル化剤と、カーボンブラック顔料と、2つ以上の着色顔料と、を含む着色剤の混合物と、1つ以上の任意の添加剤とを含むブラック紫外線硬化性ゲルインクであって、前記インクが、約10〜約30の測色値L*、および約−4.0〜約+4.0のa*およびb*を有する、インク。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本実施形態は、室温で固体であり、溶融インクが基材に適用される高温においては溶融状態であることを特徴とする相変化インク組成物に関する。これらの相変化インク組成物は、種々の用途でのインクジェット印刷に使用できる。こうしたインクは、固体インク、ホットメルトインク、または相変化インクと称され得る。したがって、インクジェット印刷における相変化インクの利点は、取り扱い中のインクの潜在的な漏出の防止、広範囲のプリント密度および品質、最小の紙のしわまたは湾曲、およびノズルの目詰まりの危険性なく、ノズルのキャッピングさえもない無期限のノンプリンティングが可能であることである。
【0002】
硬化性相変化インクは、従来の相変化インクプリントプロセス、特にトランスフィックスを使用し、硬化後に機械的堅牢性を増大させるための手段として想定されていた。本実施形態は、UV硬化性相変化インクを対象とする。UV硬化性インクは、一般に、少なくとも1つの硬化性モノマー、着色剤、ワックス、ゲル化剤、架橋剤、およびインクの硬化性構成成分の重合を開始する放射線活性化開始剤または光開始剤を含む。特に、硬化性インクは、紫外線(UV)硬化性液体またはゲルインクである。本実施形態は、コストを増大させることなく、従来の硬化性ゲルインクに比べて優れた硬化特性を含む所望のインク品質を提供する。
【0003】
UV硬化性ゲルインクは、所望の特徴、例えば改善された硬度および引掻耐性および種々の基材に対する改善された接着性を示し得る。UV硬化性ゲルインクはまた、インクのドット展延を制御できる利点を示すことができ、こうしたインクは、多孔質基材を含む基材へ過剰にブリードしない。
【0004】
ブラックインクに関して、優れた着色剤は、その色特性および低コストのためにカーボンブラックである。しかし、カーボンブラックは、光開始剤が開始ラジカルを形成するために吸収する必要がある電磁スペクトルのUV範囲において強く吸収するので、UV硬化用途に対して障害となる。この問題を解決するために、顔料濃度は、UV範囲での吸収に関する障害を低減するように希釈されてもよい。しかし、この希釈は、それ自体が問題、すなわち色飽和度の損失を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、インクは、顔料濃度の希釈に頼ることなく、相当良好に硬化するように、UV領域での吸収が少ないブラックUV硬化性ゲルインクを製造することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に例示される実施形態によれば、以下が提供される。少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーを含む硬化性インクキャリア、光開始剤、ゲル化剤、カーボンブラック顔料および2つ以上の着色顔料を含む着色剤混合物、ならびに1つ以上の任意の添加剤を含むブラック紫外線硬化性ゲルインクであって、約10〜約30の測色値Lおよび約−4.0〜約+4.0の測色値aおよびbを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態のインクに使用されるシアン、マゼンタ、およびイエロー顔料の反射率曲線を例示するグラフである。
【図2A】本実施形態のインクに使用されるオレンジ顔料の反射率曲線を例示するグラフである。
【図2B】本実施形態のインクに使用されるブルー顔料の反射率曲線を例示するグラフである。
【図3】本実施形態のインクに関する硬化速度(毎分あたりのフィート)に対するメチルエチルケトン(MEK)二重摩耗を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
硬化性インク技術は、多くの市場に対して印刷能および顧客基盤を拡大し、印刷用途の多様性は、プリントヘッド技術、プリントプロセスおよびインク材料の有効な集積によって促進される。上記で議論されたように、現在のインク選択肢は、種々の基材に対する印刷について成功しているが、こうしたインク選択肢を使用する際に現れる障害がある。例えば、カーボンブラックは、ブラックUV硬化性ゲルインクのために優れた着色剤であるが、カーボンブラックは、光開始剤が開始ラジカルを形成するために吸収する必要があるような電磁スペクトルのUV範囲において強い吸収があるため硬化の障害になる。本実施形態は、一般に、実質的に改善された硬化特性を有する新規なブラックUV硬化性ゲルインクに関する。
【0009】
実施形態は、2つ以上の他の着色顔料または非ブラック顔料と組み合わせて低レベルのカーボンブラックを含み、結果として、従来のオールカーボンブラック充填のUV硬化性ゲルインクに比べて、優れた硬化を伴うブラックUV硬化性ゲルインクをもたらす。実施形態において、インク中に存在するカーボンブラックの量は、インクの総重量の約3重量%未満である。さらなる実施形態において、インク中に存在するカーボンブラックの量は、インクの総重量の約0.1〜約4重量%または約1〜約3重量%である。顔料は、電磁スペクトルの可視領域においてそれらの吸収プロファイルが合わされて、約380〜約750nm、または約400〜約700nmの光の少なくとも95%を吸収するように選択されるが、ブラック顔料に比べて、光開始剤が吸収するような約250nm〜約380nmの光をほとんど吸収しない。そのようなものとして、本実施形態は、優れた硬化を伴うブラック画像を形成するインクを提供する。
【0010】
実施形態において、ブラックUV硬化性ゲルインクに使用される顔料は、イエロー顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、オレンジ顔料、ブルー顔料、グリーン顔料、バイオレット顔料、レッド顔料、およびこれらの混合物からなる群から選択できる。本実施形態に使用されるシアン、マゼンタおよびイエロー顔料の反射率曲線を図1に示す。示されるように、イエロー顔料は400〜480nmを吸収し、マゼンタは480〜580nmを吸収し、シアンは580〜700nmを吸収する。実施形態の1つでは、ブラックUV硬化性ゲルインクは、イエロー、シアン、マゼンタおよびカーボンブラック顔料の混合物から形成される。本実施形態はまた、顔料が400〜700nmを吸収する限り、着色顔料または非ブラック顔料とカーボンブラックとの多くの異なる組み合わせを含むことができる。別の実施形態において、ブラックUV硬化性ゲルインクは、オレンジ顔料、例えばPermanent Orange RL01(Clariantから入手可能)およびSpectrapac C(Sun Chemicalから入手可能)およびHostaperm Violet BL(Clariantから入手可能)を用いるReflex Blueを形成する顔料の組み合わせと共に、カーボンブラック顔料から形成される。図2Aおよび2Bはそれぞれ、オレンジ顔料が約400〜約540nm範囲をどの程度吸収し、reflex blue顔料が、約540nm〜約700nmの範囲をどの程度吸収するかを例示する。
【0011】
カーボンブラックおよび2つ以上の他のカラーまたは非ブラック顔料の組み合わせを用いて、本実施形態のUV硬化性ゲルインクは、満足なブラック色およびさらに従来のブラックUV硬化性ゲルインクより優れた堅牢性硬化の両方を達成する。ブラックネスは、色の試験である測色値L*を用いて、主に測定される。例えば、インクのLは、約10〜約30、または約10〜約26、または約12〜約23である。測色値aおよびbは、実施形態において、約−4.0〜約+4.0、または約−2.0〜約+2.0、または約−1.5〜約+1.5である。
【0012】
本実施形態のインク設計は、この手法ではインク使用が少なくて済み、結果としてパイル高さが低いという事実のために、別個のシアン、マゼンタ、およびイエローインクを用いてプロセスブラックを印刷するよりも有利である。
【0013】
着色剤以外に、UV硬化性ゲルインクは、一般に、少なくとも1つの硬化性モノマー、ワックス、ゲル化剤、架橋剤および放射線活性化開始剤または光開始剤を含む。
【0014】
ゲル化剤
少なくとも1つのゲル化剤、すなわちゲル化する薬剤は、少なくとも、所望の温度範囲を有するインク組成物の粘度を増大させるように機能する。例えば、ゲル化剤は、ゲル化剤のゲル点未満の温度、例えばインク組成物が適用される温度未満において、インク組成物中で固体様ゲルを形成する。例えば、インク組成物は、固体様相において粘度が約10〜約10cPs、例えば約103.5〜約106.5cPsの範囲である。
【0015】
インク組成物がゲル状態である温度は、例えば約15℃〜約55℃、例えば約15℃〜約50℃の範囲であるゲルインク組成物は、約60℃〜約90℃、例えば約70℃〜約85℃の温度で液化してもよい。液体状態からゲル状態への適用温度からの冷却時、インク組成物は顕著な粘度増大を生じる。粘度増大は、粘度の少なくとも3倍のオーダー、例えば少なくとも4倍のオーダーの粘度増大である。
【0016】
硬化性相変化インク組成物は、少なくとも1つのゲル化剤を含んでいてもよい。
【0017】
有機ゲル化剤は、インクビヒクルおよびインク組成物の粘度を、所望の温度範囲内で、劇的に増大するように作用する。特に、ゲル化剤は、インク組成物が噴出される特定温度未満の温度にて、インクビヒクル中で半固体ゲルを形成する。
【0018】
したがってゲル化剤の相変化特性を使用して、インクの基材への噴出の後、基材上に噴出されたインク組成物の迅速な粘度増大を生じさせることができる。特に、噴出されたインク液滴は、受容基材、例えば画像受容媒体(例えば、紙)に固定され、すなわちインク組成物のインク噴出温度よりも低い温度にて、インク組成物が液体状態からゲル状態(または半固体状態)への顕著な粘度変化を生じる相変化転移の作用を通して固定される。
【0019】
実施形態において、インク組成物がゲル状態を形成する温度は、インク組成物の噴出温度より低いいずれかの温度、例えばインク組成物の噴出温度より約10℃以上低い温度である。インク組成物が液体状態にある噴出温度からインク組成物がゲル状態に転化するゲル転移温度までの冷却時にインク粘度が迅速に大きく増大する。
【0020】
インク組成物に好適なゲル化剤は、インクビヒクル中のモノマー/オリゴマーを素早くおよび可逆的にゲル化し、例えば約10℃〜約85℃の温度範囲内での狭い相変化転移を実証する例示的なインク組成物のゲル状態は、噴出温度での粘度に比べて、基材温度、例えば約30℃〜約60℃にて、最小102.5mPa・s、例えば103mPa・sの粘度増大を示すべきである。特定実施形態において、ゲル化剤含有インク組成物は、噴出温度より5℃〜10℃低い温度内で迅速に粘度を増大させ、最終的には、噴出粘度の104倍、例えば噴出粘度の約106倍を超える粘度に到達する。する。
【0021】
インク組成物に使用するのに好適なゲル化剤としては、硬化性アミド、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレート構成成分およびポリアミド構成成分を含むゲル化剤、硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂を含む硬化性複合ゲル化剤、これらの混合物などが挙げられる。組成物中にゲル化剤を含むことにより、組成物の粘度が適用後に冷却されるときに迅速に増大するため、基材に過剰に浸透することなく、基材、例えば基材の1つ以上の部分および/または基材上に予め形成された画像の1つ以上の部分の上に組成物を適用で液体の多孔質基材、例えば紙への過剰浸透は、基材の不透明度を不必要に低下させ得る。硬化性ゲル化剤はまた、組成物のモノマーの硬化に関与し得る。
【0022】
組成物に使用するのに好適なゲル化剤は、組成物がシリコーンまたはその他のオイルをその上に有する基材にわたって利用される場合に、湿潤を改善するためにその性質が両親媒性であってもよい。両親媒性とは、分子の極性および非極性部分の両方を有する分子を指す。例えば、ゲル化剤は、長い非極性炭化水素鎖および極性アミド連結を有していてもよい。
【0023】
使用するのに好適なアミドゲル化剤としては、その開示全体が参考として本明細書に組み込まれる米国特許第7,279,587号明細書に記載されるものが挙げられる。
【0024】
米国特許第7,279,587号明細書に記載されるように、アミドゲル化剤は、次式の化合物であってもよい
【化1】

式中、
は、
(i)約1個の炭素原子〜約12個の炭素原子、例えば約1個の炭素原子〜約8個の炭素原子、または約1個の炭素原子〜約5個の炭素原子を有するアルキレン基(アルキレン基は、線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキレン基を含む二価の脂肪族基またはアルキル基であり、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アルキレン基に存在しても、または存在しなくてもよい)、
(ii)約1個の炭素原子〜約15個の炭素原子、例えば約3個の炭素原子〜約10個の炭素原子、または約5個の炭素原子〜約8個の炭素原子を有するアリーレン基(アリーレン基は、置換および非置換アリーレン基を含む二価の芳香族基またはアリール基であり、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アリーレン基に存在しても、または存在しなくてもよい)、
(iii)約6個の炭素原子〜約32個の炭素原子、例えば約6個の炭素原子〜約22個の炭素原子、または約6個の炭素原子〜約12個の炭素原子を有するアリールアルキレン基(アリールアルキレン基は、置換および非置換のアリールアルキレン基を含む二価のアリールアルキル基であり、アリールアルキレン基のアルキル部分は、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アリールアルキレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在しても、または存在しなくてもよい)、あるいは
(iv)約5個の炭素原子〜約32個の炭素原子、例えば約6個の炭素原子〜約22個の炭素原子、または約7個の炭素原子〜約15個の炭素原子を有するアルキルアリーレン基(アルキルアリーレン基は、置換および非置換のアルキルアリーレン基を含む二価のアルキルアリール基であり、アルキルアリーレン基のアルキル部分は、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アルキルアリーレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在しても、または存在しなくてもよい)、
置換されたアルキレン、アリーレン、アリールアルキレンおよびアルキルアリーレン基における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、アゾ基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであることができ、2つ以上の置換基は、共に結合して環を形成できる。
およびR’はそれぞれ互いに独立に以下であり、
(i)約1個の炭素原子〜約54個の炭素原子、例えば約1個の炭素原子〜約48個の炭素原子、または約1個の炭素原子〜約36個の炭素原子を有するアルキレン基、
(ii)約5個の炭素原子〜約15個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約13個の炭素原子、または約5個の炭素原子〜約10個の炭素原子を有するアリーレン基、
(iii)約6個の炭素原子〜約32個の炭素原子、例えば約7個の炭素原子〜約33個の炭素原子、または約8個の炭素原子〜約15個の炭素原子を有するアリールアルキレン基、または
(iv)約6個の炭素原子〜約32個の炭素原子、例えば約6個の炭素原子〜約22個の炭素原子、または約7個の炭素原子〜約15個の炭素原子を有するアルキルアリーレン基、
置換されたアルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、およびアルキルアリーレン基における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2つ以上の置換基は共に結合して環を形成してもよい。
R3およびR3’はそれぞれ互いに独立に以下のいずれかであり、
(a)光開始基、例えば次式の1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンから誘導される基
【化2】

次式の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンから誘導される基
【化3】

次式の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンから誘導される基
【化4】

次式のN,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジメチルエチレンジアミンから誘導される基
【化5】

など、あるいは
(b)次の基、
(i)約2個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約3個の炭素原子〜約60個の炭素原子、または約4個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有するアルキル基(線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキル基を含み、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アルキル基に存在しても、または存在しなくてもよい)、
(ii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子、または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニルなど(置換および非置換アリール基を含み、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アリール基中に存在しても、または存在しなくてもよい)、
(iii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル基、例えばベンジルなど(置換および非置換アリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アリールアルキル基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在しても、または存在しなくてもよい)、
(iv)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有するアルキルアリール基、例えばトリルなど(置換および非置換アルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、線状または分岐状、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アルキルアリール基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在しても、または存在しなくてもよい)、
置換されたアルキル、アリールアルキル、およびアルキルアリール基における置換基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2つ以上の置換基は共に結合して環を形成してもよく、
XおよびX’はそれぞれ互いに独立に、酸素原子または式−NR4−の基であり、式中R4は以下である。
(i)水素原子
(ii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子、または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有する線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキル基を含むアルキル基であって、ヘテロ原子は、アルキル基に存在しても、または存在しなくてもよいアルキル基、
(iii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子、または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有する置換および非置換アリール基を含むアリール基であって、ヘテロ原子はアリール基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアリール基、
(iv)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有する置換および非置換アリールアルキル基を含むアリールアルキル基であって、アリールアルキル基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子は、アリールアルキル基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在しても、または存在しなくてもよいアリールアルキル基、または
(v)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有する置換および非置換アルキルアリール基を含むアルキルアリール基であって、アルキルアリール基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ヘテロ原子は、アルキルアリール基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキルアリール基、
置換されたアルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール基における置換基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2つ以上の置換基は共に結合して環を形成してもよい。
【0025】
上述したように、インクは、いずれかの好適な量、例えばインクの約1重量%〜約30重量%、例えばインクの約2重量%〜約20重量%の量、例えば総インク組成物の約5重量%〜約12重量%でゲル化する薬剤またはゲル化剤を含むことができるが、これらの量はこれらの範囲外であってもよい。
【0026】
インク組成物は、いずれかの好適な量、例えばインク組成物の約1重量%〜約50重量%でゲル化剤を含んでいてもよい。実施形態において、ゲル化剤は、インク組成物の約2重量%〜約20重量%、例えばインク組成物の約3重量%〜約10重量%の量で存在できるが、この値もこの範囲外であることができる。
【0027】
キャリア材料
インク組成物はまた、キャリア材料または2つ以上のキャリア材料の混合物を放射線(例えば紫外光)硬化性インクの場合、硬化性キャリア材料は、通常、硬化性モノマー、硬化性オリゴマーなどである。ある。硬化性キャリアは、実施形態において、1つ以上のこれらの材料(これらの混合物を含む)を含んでいてもよい。硬化性材料は、通常、25℃で液体である。「硬化性」という用語は、例えば、重合性である構成成分または組み合わせ、すなわち重合(例えばフリーラジカル経路を含む、および/または重合が放射線感受性光開始剤の使用により光開始される重合)を介して硬化され得る材料を指す。したがって、例えば「放射線硬化性」という用語が言及するものは、放射線源(光および熱源を含み、開始剤の存在下または不存在下を含む)に曝される際に硬化するすべての形態をカバーすることが意図される。例としての放射線硬化経路としては、紫外(UV)光、例えば200〜400nmの波長を有する光またはさらにほどんど見えない光を用いる、例えば光開始剤および/または増感剤の存在下での硬化、例えば光開始剤の不存在下でのeビーム放射線を用いる硬化、高温熱開始剤(一般に噴出温度にて主として不活性である)の存在または不存在下での熱硬化を用いる硬化、およびこれらの適切な組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
インクインク組成物の少なくとも1つの硬化性モノマーの例としては、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えばSartomerのSR−9003)、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、イソデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、イソボルニルメタアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートメチルエーテルモノアクリレート、イソデシルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ブチルアクリレート、これらの混合物などが挙げられる。
【0029】
用語「硬化性モノマー」はまた、インク組成物に使用されてもよい、硬化性オリゴマーを包含することを意図する。
【0030】
実施形態において、硬化性モノマーは、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、SartomerのSR−9003)およびジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えばSartomerのSR399LV)の両方を含む。ペンタアクリレートを含むことは、ジアクリレートに比べて、より高い官能性、ひいてはより高い反応性を提供するという点で有利である。ペンタアクリレートの量は、高すぎると、適用温度での組成物の粘度に悪影響を与え得るのでインク組成物中にて限定される必要がある。ペンタアクリレートは、組成物の10重量%以下、例えば0.5〜5重量%を構成する。
【0031】
硬化性モノマーまたはオリゴマーは、実施形態において、インク中に、例えばインクの約20〜約90重量%、例えば約30〜約85重量%、または約40〜約80重量%の量で含まれるが、この量はこれらの範囲外であることができる。実施形態において、場合によりオリゴマーと硬化性モノマーとの混合物は、25℃の粘度が約1〜約50cP、例えば約1〜約40cPまたは約10〜約30cPを有するように選択されるが、この量はこれらの範囲外であることができる。1つの実施形態において、硬化性モノマーおよびオリゴマーの混合物は、25℃の粘度が約20cPである。また、一部の実施形態において、硬化性モノマーまたはオリゴマーが皮膚刺激性でなく、結果として未硬化インク組成物はユーザーにとって刺激性ではないことが望ましい。
【0032】
開始剤
インク組成物はさらに、硬化、例えばUV硬化を開始するための少なくとも1つの光開始剤を含んでいてもよい。放射線放射線放射線、例えばUV光放射線を吸収し、配合物の硬化性構成成分の硬化を開始するいずれか光開始剤が使用されてもよいが、光開始剤は、硬化時に黄色化を実質的に生じないのが好ましい。
【0033】
光開始剤に水素原子を供与し、それによって重合を開始するラジカル種を形成するアミン共力剤、すなわち共開始剤(アミン共力剤はまた、酸素がフリーラジカル重合を阻害するので、配合物中に溶解された酸素を消費でき、その消費が重合速度を増大させる)、例えばエチル−4−ジメチルアミノベンゾエートおよび2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエートも含まれていてもよい。
【0034】
実施形態において、光開始剤パッケージは、少なくとも1つのαヒドロキシケトン光開始剤および少なくとも1つのホスフィノイルタイプの光開始剤を含んでいてもよい。αヒドロキシケトン光開始剤の1つの例は、IRGACURE 127であるが、ホスフィノイルタイプの光開始剤の例はIRGACURE 819であり、両方ともCiba−Geigy Corp.(Tarrytown,N.Y)から入手可能である。αヒドロキシケトン光開始剤とホスフィノイルタイプの光開始剤は、例えば約6〜約1、例えば約5〜約1または約4〜約1であってもよい。
【0035】
開始剤は、いずれかの所望のまたは有効な量でインク中に存在できる。例えば、インク組成物中に含まれる光開始剤の総量は、例えば、インク組成物の約0.5〜約15重量%、例えば約1〜約10重量%であってもいが、この量はこれらの範囲外であることができる。
【0036】
ワックス
インク組成物はまた、少なくとも1つの硬化性ワックスを含む。ワックスは、室温、特に25℃で固体である。このように、ワックスを含むことによりまた、適用温度から組成物を冷却するときにインク組成物の粘度の増大を促進し得る。したがって、ワックスはまた、インク組成物の基材へのブリードを回避する際にゲル化剤を補助し得る。
【0037】
硬化性ワックスは、他の構成成分と混和性であり、硬化性モノマーと重合してポリマーを形成するいずれかのワックス構成成分であってもよい。用語ワックスには、例えば、ワックスと一般に称される、種々の天然、改質天然、および合成材料のいずれかが含まれる。
【0038】
硬化性ワックスの好適な例としては、硬化性基を含むまたはそれらで官能化されたワックスが挙げられるが、これらに限定されない硬化性基は、例えばアクリレート、メタクリレート、アルケン、アリルエーテル、エポキシド、オキセタンなどを挙げることができる。これらのワックスは、例えばカルボン酸またはヒドロキシルのような変形性官能基を備えたワックスの反応によって合成できる。本明細書に記載される硬化性ワックスは、開示されたモノマーを用いて硬化されてもよい。
【0039】
硬化性基で官能化されてもよいヒドロキシル末端処理されたポリエチレンワックスの好適な例としては、構造CH3(CH2)n−CH2OHを有する炭素鎖(鎖長nの混合物が存在し、平均鎖長は、約16〜約50の範囲であることができる)と、同様の平均鎖長の線状低分子量ポリエチレンとの混合物が挙げられる。
【0040】
硬化性基で官能化され得るカルボン酸末端処理されたポリエチレンワックスの好適な例としては、構造CH3(CH2)n−COOHを有する炭素鎖(鎖長nの混合物が存在し、平均鎖長は、約16〜約50である)と、同様の平均鎖長の線状低分子量ポリエチレンとの混合物が挙げられる。
【0041】
硬化性ワックスは、例えばインク組成物の約0.1重量%〜約30重量%、例えばインク組成物の約0.5重量%〜約20重量%またはインク組成物の約0.5重量%〜15重量%の量でインク組成物中に含まれることができる。
【0042】
ブラック着色剤
本開示に従うインクに使用するのに好適なブラック着色剤としては、これらに限定されないが、PALIOGEN Black L0084(BASFから市販)、顔料ブラックK801(BASFから市販)、およびカーボンブラック、例えばREGAL 330(商標)(Cabotから市販)、Nipex 150(Degusssaから市販)Carbon Black 5250およびCarbon Black 5750(Columbia Chemicalから市販)など、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
着色剤
本開示に従うインクに使用するのに好適な着色剤としては、これらに限定されないが、PALIOGEN Violet 5100(BASFから市販)、PALIOGEN Violet 5890(BASFから市販)、HELIOGEN Green L8730(BASFから市販)、LITHOL Scarlet D3700(BASFから市販)、SUNFAST Blue 15:4(Sun Chemicalから市販)、Hostaperm Blue B2G−D(Clariantから市販)、Hostaperm Blue B4G(Clariantから市販)、Permanent Red P−F7RK、Hostaperm Violet BL(Clariantから市販)、LITHOL Scarlet 4440(BASFから市販)、Bonred C(Dominion Color Companyから市販)、ORACET Pink RE(BASFから市販)、PALIOGEN Red 3871K(BASFから市販)、SUNFAST Blue15:3(Sun Chemicalから市販)、PALIOGEN Red 3340(BASFから市販)、SUNFAST Carbazole Violet23(Sun Chemicalから市販)、LITHOL Fast Scarlet L4300(BASFから市販)、SUNBRITE Yellow17(Sun Chemicalから市販)、HELIOGEN BLUE L6900、L7020(BASFから市販)、SUNBRITE Yellow 74(Sun Chemicalから市販)、SPECTRAPAC C Orange 16(Sun Chemicalから市販)、HELIOGEN Blue K6902 、K6910(BASFから市販)、SUNFAST Magenta 122(Sun Chemicalから市販)、HELIOGEN Blue D6840,D7080(BASFから市販)、Sudan Blue OS(BASFから市販)、NEOPEN Blue FF4012(BASFから市販)、PV Fast Blue B2GO1(Clariantから市販)、IRGALITE Blue BCA(BASFから市販)、PALIOGEN Blue 6470(BASFから市販)、Sudan Orange G(Aldrichから市販)、Sudan Orange 220(BASFから市販)、PALIOGEN Orange 3040(BASF)、PALIOGEN Yellow 152、1560(BASFから市販)、LITHOL Fast Yellow 0991 K(BASFから市販)、PALIOTOL Yellow 1840(BASFから市販)、NOVOPERM Yellow FGL(Clariantから市販)、Ink Jet Yellow 4G VP2532(Clariantから市販)、Toner Yellow HG(Clariantから市販)、Lumogen Yellow D0790(BASEから市販)、Suco−Yellow L1250(BASFから市販)、Suco−Yellow D1355(BASFから市販)、Suco Fast Yellow D1355、D1351(BASFから市販)、HOSTAPERM PINK E 02(Clariantから市販)、Hansa Brilliant Yellow 5GX03(Clariantから市販)、Permanent Yellow GRL 02(Clariantから市販)、Permanent Rubine L6B 05(Clariantから市販)、FANAL Pink D4830(BASFから市販)、CINQUASIA Magenta(DU PONTから市販)などが挙げられる。
【0044】
着色剤の量は、広い範囲、例えば約0.1〜約50重量%、または約0.2〜約20重量%で変更でき、着色剤の組み合わせが使用されてもよい。
【0045】
追加添加剤
本実施形態のインクはさらに、それらの既知の目的のために1つ以上の添加剤を含有してもよい。例えば、好適な添加剤としては、分散剤、架橋剤、安定剤、粘度調整剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0046】
酸化防止剤
インク組成物はまた、酸化防止剤を任意に含むことができる。インク組成物の任意の酸化防止剤は、酸化から画像を保護するとともに、インク調製プロセスの加熱部分の間に、酸化からインク構成成分を保護する。存在する場合、任意の酸化防止剤は、インク中、いずれかの所望または有効な量、例えばインクの少なくとも約0.01〜約20重量%、例えばインクの約0.1〜約5重量%、またはインクの約1〜約3重量%の量で存在できるが、この量はこれらの範囲外であることができる。
【0047】
粘度調整剤
インク組成物はまた、任意に粘度調整剤を含有できる。特定実施形態において、粘度制御剤は、脂肪族ケトン、例えばステアロンなど、ポリマー、例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなど、増粘化剤、例えばBYK Chemieから入手可能なものからなる群から選択されてもよい。存在する場合、任意の粘度調整剤は、インク中、いずれかの所望のまたは有効な量、例えばインクの約0.1〜約99重量%、例えばインクの約1〜約30重量%、またはインクの約10〜約15重量%で存在できるが、この量はこれらの範囲外であることができる。
【0048】
分散剤
分散剤は、場合により、このインク配合物に存在してもよい。分散剤の役割は、コーティング材料との相互作用を安定化することによってコーティングされた磁気ナノ粒子の改善された分散安定性をさらに確実にすることである。好適な量の分散剤は、例えばインク重量の約0.1〜約10重量%の量、例えば約0.2〜約5重量%の量で選択できるが、この量はこれらの範囲外であることができる。特定分散剤またはこれらの組み合わせの選択、ならびに使用されるべきそれぞれの量は、当業者の範囲内である。
【0049】
インクの調製
本開示のインク組成物は、いずれかの所望のまたは好適な方法によって調製できる。例えば、硬化性ゲルUVインクの場合、インク成分は、共に混合され、続いて通常、約50℃〜約100℃の温度に加熱できるが、この温度はこの範囲外であることができ、さらに均質インク組成物が得られるまで撹拌し、続いて周囲温度(通常約20℃〜約25℃)にインクを冷却できる。液体インク組成物の場合、インク成分は、簡単に、均質組成物を提供するために撹拌しながら共に混合できるが、加熱は組成物を形成するのを助けるために所望によりまたは必要により使用できる。インク組成物を製造する他の方法は当該技術分野において既知であり、本開示に基づいて明らかになるであろう。
【0050】
インクの印刷
このインクは、一般に、紙、ガラスアート紙、ボンド紙、板紙、クラフト紙、ボール紙、半合成紙またはプラスチックシート、例えばポリエステルまたはポリエチレンシートなどの好適な基材に印刷されてもよいが、これに限定されない。これらの種々の基材は、それらの自然状態、例えばコーティングされていない紙で提供されることができ、またはそれらは改質された形態、例えばコーティングされたまたは処理された紙または板紙、印刷された紙または板紙などで提供されることができる。
【0051】
顔料分散液の調製
顔料分散液を次のように調製した。1リ1リットル磨砕機(Union Process)に、1200グラムのステンレススチールショット(1/8インチ直径)、30グラムの表1に従う乾燥顔料、18グラムのEFKA 4340分散剤ニート(BASF)、および152グラムのSR9003モノマー(Sartomer)を添加した。混合物を、400RPMにて18時間撹拌し、次いで200mL容器に放出した。得られた顔料分散液は、15重量%の顔料濃度を有する。
【表1】

【0052】
比較例
【0053】
インク調製
100グラムのブラックUV硬化性相変化インク組成物を次のように調製した。90℃に加熱された250mLの琥珀ガラス瓶に、アミドゲル化剤、アクリレート化Unilin350ワックス、SR833Sモノマー(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomer(Exton,Pennsylvania)から入手可能))、SR399LV(五官能性アクリレートエステル(Sartomerから入手可能))、IRGACURE 379、819、および127(光開始剤(Ciba Specialty Chemicals(Basel,Switzerland)から入手可能))およびIRGASTAB UV10(安定剤(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能))を添加した。ティングを、固体構成成分が溶解するまで撹拌しながら加熱した。混合物を1時間撹拌しながら加熱し、インクベース調製を完了した。最後に、SR9003(プロポシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(Sartomerから入手可能))中の顔料分散濃縮物を添加し、混合物を10,000RPMにて0.5時間以上均質化した。
【0054】
表2は、3重量%のカーボンブラックを含みコントロールインクであるインク組成物A(「インクA」)の組成物を与える。
【表2】

【0055】
実施例2
【0056】
インク調製
本発明のブラックUV硬化性相変化インク組成物は、カーボンブラックだけ代わりに異なる顔料を使用すること以外、比較例と同様に調製した。表3には、1.5重量%のカーボンブラック、0.5重量%のシアン、0.5重量%のマゼンタ、および0.5重量%のイエローを含むインク組成物B(「インクB」)の組成物を示す。
【表3】

【0057】
実施例3(予測実施例)
【0058】
インク調製
この予測実施例において、本発明のブラックUV硬化性相変化インク組成物は、カーボンブラックだけ代わりに異なる顔料を再び使用する以外、比較例と同様に調製される。組成物C(「インクC」)を示す。
【表4】

【0059】
試験結果
【0060】
硬化
インク組成物AおよびBを、改造印刷機を用いてコーティングされていないMYLARシートに印刷し、種々の速度で移動する可動式コンベヤベルトの下で、水銀D−バルブを備えた600W Fusions UV Lighthammer UV硬化ランプを用いて硬化した。硬化フィルムを、硬化を評価するために、綿スワブを用いてメチルエチルケトン(MEK)二重摩耗に供した。表5および図3に、フィルムMEK摩耗耐性特性を要約する。
【0061】
良好な硬化インクは、MEK二重摩耗がすべての速度において150を超えるものであると想定される。3重量%のカーボンブラックを含むコントロールインクは、毎分150フィート以上の速度では硬化しない。表5からわかるように、ブラック顔料が少なく、黒色を得るために追加の添加剤を含むインクBは、すべての速度を通して相当優れた硬化を有する。
【表5】

【0062】

色は、525×450の解像度および24ngの液滴質量を有するDCEG紙上にソリッドパッチプリントを調製して測定した。プリントは、Spectrolino分光計D50光源2°を用いて測定した。黒さは、色の試験であるLを用いて主に測定される。インクAおよびBの両方のLを表6に示し、両方とも十分な「黒」色の範囲内である。aおよびb値は両方ともブラックに必要な−2〜+2の範囲である。
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマーまたはオリゴマーの少なくとも1つを含む硬化性インクキャリアと、
光開始剤と、
ゲル化剤と、
カーボンブラック顔料と、
2つ以上の着色顔料と、を含む
着色剤の混合物と、
1つ以上の任意の添加剤と
を含むブラック紫外線硬化性ゲルインクであって、前記インクが、約10〜約30の測色値L、および約−4.0〜約+4.0のaおよびbを有する、インク。
【請求項2】
前記2つ以上の着色顔料が、シアン、イエロー、マゼンタ、ブルー、オレンジ、バイオレット、レッド、グリーンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のインク。
【請求項3】
約10〜約23の測色値Lおよび約−2.0〜約+2.0の測色値aおよびbを有する、請求項1に記載のインク。
【請求項4】
前記2つ以上の着色顔料が、約400nm〜約700nmの範囲の光の少なくとも95%を吸収する、請求項1に記載のインク。
【請求項5】
硬化性ワックスをさらに含む、請求項1に記載のインク。
【請求項6】
ゲル化剤がアミドゲル化剤である、請求項1に記載のインク。
【請求項7】
前記1つ以上の任意の添加剤が、分散剤、共力剤、安定剤、粘度調整剤、酸化防止剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のインク。
【請求項8】
前記着色剤混合物が、インクの約0.1〜約50重量%の量で存在する、請求項1に記載のインク。
【請求項9】
前記ゲル化剤が、インクの約1重量%〜約30重量%の量で存在する、請求項1に記載のインク。
【請求項10】
ブラック紫外線硬化性ゲルインクであって、
少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーを含む硬化性インクキャリアと、
光開始剤と、
ゲル化剤と、
カーボンブラック顔料と、
2つ以上の着色顔料と、を含む、
着色剤の混合物と、
1つ以上の任意の添加剤と、を含み、前記インクが、約10〜約23の測色値Lおよび約−2.0〜約+2.0の測色値aおよびbを有し、さらにゲル化剤が次からなる群から選択されるインク。
(a)次の一般構造を有するポリアミド、
【化6】

式中、nは1から5の整数であり、
は、(i)アルキレン基、(ii)アリーレン基、(iii)アリールアルキレン基、(iv)アルキルアリーレン基であり、RおよびR’はそれぞれ互いに独立に、(i)アルキレン基、(ii)アリーレン基、(iii)アリールアルキレン基、(iv)アルキルアリーレン基であり、RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、(A)光開始剤基、または(B)(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基、(iv)アルキルアリール基である基であり、XおよびX’は、それぞれ互いに独立に、酸素原子または式NRの基であり、式中Rは、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基、または(v)アルキルアリール基である。
(b)硬化性アミドゲル化剤。
(c)エステル末端処理されたジアミド化合物。
(d)トランス−1,2−シクロヘキサン−ビス(尿素−ウレタン)化合物。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−246478(P2012−246478A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100823(P2012−100823)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】