説明

ブランクおよびそれを用いた液体用紙容器

【課題】ブランクを安定性して成型が可能で、意匠性や使い易さを有した液体用紙容器を提供することにある。
【解決手段】板紙を基材層とし、熱融着性を有する表面層/基材層/バリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層板で、
該シーラント層を裏面とし、成型して液体用紙容器を形成するブランクにおいて、
トップシール部、頂部、胴部、底部を有し、該胴部が、四本の側面稜罫線を介して四枚の側面板からなる四角筒状の液体用紙容器を、形成するブランクであって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の一部または全部に、二本の稜罫線が相対向して連結された楕円状の凹み部が区画形成されていることを特徴とするブランクである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴部が四角筒状の液体用紙容器に関するものである。該胴部を形成する四本の側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線に、凹み部を形成して、意匠性を高めた液体用紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳、ジュース、清酒、ワインなどの液体用紙容器は、頂部を切妻屋根型に成型された紙容器や、フラットトップ型に成型された紙容器が広く使用されている。
【0003】
これらの液体用紙容器は、図11に示す頂部が切妻屋根型のゲーブルトップ型、図12に示すフラットトップ型であり、紙容器の形状も四角筒状である。また頂部には、開封後の密閉性と注ぎ易さから口栓、キャップを取り付けているものが多い。
【0004】
また現状の液体用紙容器は、収納する内容物の種類が広範囲に亘り、飲料、調味料などの食品の他に、洗剤、柔軟剤やオイルなどにも使用されている。
【0005】
これは液体用紙容器にガスバリア性を付与させたことから、種々の内容物に対応できるようになった為である。しかし内容物の種類が多くなっても、紙容器の形状は、上記のように同一形状であり、内容物の種類によっては、形状が異なる紙容器の要望がある。従来の形状とは異なり、意匠性や使い易さなども備えた形状の液体用紙容器が要望されている。
【0006】
新しい容器の形状として、コーナーインデント壁を有した紙容器で、該紙容器の胴部が第一の側壁、正面壁、後面壁、第二の側壁およびインデント壁を有する直立側壁であって、頂部の切妻屋根を形成する複数の切妻パネルと、それぞれの側壁と、を区分する折り曲げ線を、直線状から湾曲状にした新規形状の提案がある(特許文献1)。
【0007】
図13に示すような紙容器である。カートンを握持し、取り扱い易くするためのコーナーインデント壁を形成する折り曲げ線は、紙容器の高さに亘って形成されるために、頂部と側壁を区分する折り曲げ線とに交差し、また底部と側壁を区分する折り曲げ線とに交差している。このような紙容器を形成する為に、予め形成されたブランクを成型するのに難しい面がある。特にインデント壁を形成する折り曲げ線、湾曲上の折り曲げ線などで、成型、即ち折り曲げができない問題がある。
【0008】
従って、ブランクを安定性して成型が可能で、意匠性を有した紙容器が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2010−527866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ブランクを安定性して成型が可能で、意匠性や使い易さを有した液体用紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、板紙を基材層とし、熱融着性を有する表面層/基材層/バリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層板で、
該シーラント層を裏面とし、成型して液体用紙容器を形成するブランクにおいて、
トップシール部、頂部、胴部、底部を有し、該胴部が、四本の側面稜罫線を介して四枚の側面板からなる四角筒状の液体用紙容器を、形成するブランクであって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の一部または全部に、二本の稜罫線が相対向して連結された楕円状の凹み部が区画形成されていることを特徴とするブランクである。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、前記凹み部が、前記稜罫線の両端が曲率半径30mmの曲線からなり、該凹み部の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であることを特徴とする請求項1記載のブランクである。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、前記稜罫線のスコア比(前記凹み部の折り曲げ強度に対し、稜罫線の折り曲げ強度の割合)が、0.7であることを特徴とする請求項1または2記載のブランクである。
【0015】
本発明の請求項4に係る発明は、前記稜罫線の深さが、0.12mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブランクである。
【0016】
本発明の請求項5に係る発明は、前記基材層の坪量が、320g/cmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のブランクである。
【0017】
本発明の請求項6に係る発明は、前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のブランクである。
【0018】
本発明の請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のブランクを用いて成型されたことを特徴とする液体用紙容器である。
【発明の効果】
【0019】
四角筒状の液体用紙容器を形成するブランクに、側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の一部または全部に、二本の稜罫線が相対向して連結された楕円状の凹み部を区画形成することで、従来とは異なる意匠性を有する液体紙容器が可能となった。特に稜罫線の形状および罫線条件を設定することで、的確な折り曲げ性、即ち成型性が可能となった。
【0020】
本発明の請求項1によれば、板紙を基材層とし、熱融着性を有する表面層/基材層/バリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層板で、
該シーラント層を裏面とし、成型して液体用紙容器を形成するブランクにおいて、
トップシール部、頂部、胴部、底部を有し、該胴部が、四本の側面稜罫線を介して四枚の側面板からなる四角筒状の液体用紙容器を、形成するブランクであって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の一部または全部に、二本の稜罫線が相対向して連結された楕円状の凹み部が区画形成されていることを特徴とする。該ブランクを成型することにより、該凹み部は、紙容器に成型されると楕円状に凹んで形成される。従来の紙容器と異なる意匠性を発現させる。また凹み部は握持し易く、使用し易い。
【0021】
本発明の請求項2によれば、前記凹み部が、前記稜罫線の両端が曲率半径30mmの曲線からなり、該凹み部の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であることを特徴とする。稜
罫線は的確に折り曲がり、成型できる。稜罫線の両端を曲率半径30mmの曲線にすることで、罫線刃が入り易くなる。また凹み部の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であると、罫線の深さが安定する。紙容器の角寸とは、側面板の横幅をいう。
【0022】
稜罫線を形成するには、罫線刃が積層体に的確に入り、稜罫線部分がしっかりと折り曲がる必要がある。特に罫線刃の入りが浅いと、稜罫線部分の折り曲げが甘くなる。稜罫線を入れていない部分で折れてしまう問題が生じる。また稜罫線の距離が近い、即ち凹み部の横幅が狭くなると、それぞれの稜罫線が互いに積層体を引っ張り合うことにより、力の打ち消し合いが生じ、結果として稜罫線の深さが浅くなる。よって凹み部の横幅を紙容器の角寸の20%にすることにより稜罫線が安定する。
【0023】
本発明の請求項3によれば、前記稜罫線のスコア比(前記凹み部の折り曲げ強度に対し、稜罫線の折り曲げ強度の割合)が、0.7であることを特徴とする。特に罫線刃の入りが浅いと、稜罫線部分の折り曲げが甘くなり、稜罫線を入れていない部分で折れてしまうなど成型時に問題が生じる。特に成型段階で折り曲げ時に掛かる力が稜罫線に沿って掛からず、稜罫線が入っていない部分で折れてしまう問題がある。スコア比を0.7にすることにより、稜罫線部分での折り曲げ性を向上させることができる。
【0024】
本発明の請求項4によれば、前記稜罫線の深さが、0.12mmであることを特徴とする。この稜罫線の深さは、罫線刃が積層体を押し潰した深さに相当する。稜罫線の深さが0.12mmあれば稜罫線の折り曲げ性がよく、安定して成型ができる。
【0025】
本発明の請求項5によれば、前記基材層の坪量が、320g/cmであることを特徴とする。側面稜罫線の一部または全部に、二本の稜罫線を用いて楕円状の凹み部を区画形成することにより、従来の液体用紙容器とは異なる形状の液体用紙容器とすることができる。従来の液体用紙容器と同等な紙の坪量を用いることで、従来の成型設備をそのまま使用することができる。紙の坪量が320g/cmであれば、本発明の液体用紙容器を安定して形成することができる。
【0026】
本発明の請求項6によれば、前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする。特に酸化し易い内容物には、ガスバリア性が必要である。酸素バリア性、水蒸気バリア性を付加するために、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することができる。また他の無機化合物としては、酸化マグネシウムも使用できる。無機化合物の蒸着層の厚みは5〜300nmの範囲が好ましく、その値は適宜選択すればよい。またアルミニウム箔も使用することができるが、使用済み液体用紙容器をリサイクルする場合、残留アルミニウム箔の問題がある。
【0027】
本発明の請求項7によれば、請求項1〜6のいずれか1項に記載のブランクを用いて成型されたことを特徴とする液体用紙容器である。稜罫線の形状および罫線条件を設定することで、的確な折り曲げ、即ち成型が可能となり安定して液体用紙容器が形成される。液体用紙容器としては、ゲーブルトップ型の紙容器や、またフラットトップ型の紙容器ができる。凹み部を有した意匠性のある液体用紙容器である。また該凹み部は握持し易く使い易い紙容器である。
【0028】
本発明の液体用紙容器は、従来の液体用紙容器とは異なる意匠性を有している。また稜罫線の罫線条件を設定することにより、稜罫線が的確に形成され、折り曲げ性が安定し成型できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のブランク(表面)の一例を示す説明図である。
【図2】図1のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図3】本発明のブランク(表面)の一例を示す説明図である。
【図4】図3のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図5】本発明のブランク(凹み部を複数)の一例を示す説明図である。
【図6】図5のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図7】凹み部での折れ線が生じる時の一例を示す説明図である。
【図8】凹み部の幅の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の積層体の一例を示す断面図である。
【図10】本発明のフラットトップ型の紙容器の一例を示す説明図である。
【図11】従来のゲーブルトップ型の紙容器の一例を示す説明図である。
【図12】従来のフラットトップ型の紙容器の一例を示す説明図である。
【図13】特許文献1に記載の紙容器の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。ゲーブルトップ型紙容器を形成するためのブランクを一例として説明する。
【0031】
図1は、本発明のブランク(表面)の一例を示す説明図である。ブランク10は、背シールパネル21、左パネル22、表パネル23、右パネル24、裏パネル25は、同間隔に形成された縦方向の折り曲げ線Aを介して順次連接され、連接された各パネルの上部、底部をそれぞれの横方向の折れ線Bを介して、トップシール部31、頂部32、胴部33、底部34に区画形成されている。左パネル22、右パネル24の上部にはそれぞれ折り込み板26があり、該折り込み板の上部にそれぞれシール板30が形成されている。また表パネル23、裏パネル25の上部にはそれぞれ屋根板27が形成され、該屋根板の上部にはそれぞれシール板30が形成されている。また背シールパネル21、左パネル22、表パネル23、右パネル24、裏パネル25のそれぞれの下部には、成形されて底部33を形成する底板28が形成されている。四枚の側面板29は、それぞれ四本の側面稜罫線Cを介して形成されている。
【0032】
胴部32を形成する四本の側面稜罫線Cの少なくとも一本側面稜罫線Cの全部に、二本の稜罫線Dからなる楕円状の凹み部40が区画形成されている。
【0033】
また凹み部40の形状は、稜罫線Dの形状が、該稜罫線の両端が曲率半径30mmの曲線からなり、該凹み部の横幅が、前記紙容器の角寸の20%に形成されている。また稜罫線Dの高さは、側面稜罫線Cと同等に形成されている。
【0034】
図2は、図1のブランクを成形したゲーブルトップ型紙容器50の一例を示す説明図である。稜罫線Dの形状が、該稜罫線の両端が曲率半径30mmの曲線からなり、凹み部40の横幅が、紙容器の角寸の20%に形成することにより、安定して成型できる。成型して得られる紙容器は、意匠性を有し、かつ握持し易く、使い易い液体用紙容器である。
【0035】
図3は、本発明のブランク(表面)の一例を示す説明図である。胴部33を形成する四本の側面稜罫線Cの少なくとも一本の側面稜罫線の一部に、二本の稜罫線Dからなる楕円状の凹み部40が区画形成されている。
【0036】
図4は、図3のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図であ
る。本発明の液体用紙容器50は、意匠性を有し、かつ握持し易く使い易い紙容器である。特に凹み部40の高さについては、意匠性を有しかつ紙容器を握持する効果を有していれば特に限定しない。適宜、意匠性と稜罫線の成型性を確認して決めればよい。
【0037】
図5は、本発明のブランク(凹み部を複数)の一例を示す説明図である。四本の側面稜罫線Cの中、二本の側面稜罫線Cにそれぞれ凹み部40を形成したものである。
【0038】
図6は、図5のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。二本の側面稜罫線Cに凹み部40を形成したことにより、さらに意匠性を向上させた液体用紙容器になる。
【0039】
図7は、凹み部での折れ線が生じる時の一例を示す説明図である。稜罫線のスコア比とは、凹み部40内の折り曲げ強度に対し、稜罫線Dの折り曲げ強度の割合である。即ち、スコア比が0.7とは、稜罫線Dの折り曲げ強度が、凹み部40内の折り曲げ強度より小さいことを示している。特に稜罫線Dの入りが浅いと、稜罫線D部分の折り曲げ強度が高い状態になっている。このような状態になると、例えば、稜罫線を入れていない部分が折れ線Eとなり成型時に問題が生じる。特に成型段階で折り曲げ時に掛かる力が稜罫線Dに沿って掛からず、稜罫線がない部分で折れ線Eが生じる。よってスコア比が0.7であれば、安定して稜罫線の折り曲げできる。
【0040】
図8は、凹み部40の幅の一例を示す説明図である。二本の稜罫線D同士の距離が近い、即ち凹み部の幅41が狭くなると、それぞれの稜罫線が互いに積層体を引っ張り合うことにより力の打ち消しあいが生じ、結果として稜罫線の深さが浅くなる。よって凹み部の幅41は、紙容器の角寸の20%が必要である。
【0041】
図9は、本発明の積層体の一例を示す断面図である。積層体1は、表面からポリエチレン層2/基材層3/接着層(ポリエチレン層)4/中間層5/接着層(ポリエチレン層)6/シーラント層7から形成されている。中間層5は、ガスバリア性を付加させるために、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる。
【0042】
図10は、本発明のフラットトップ型の紙容器の一例を示す説明図である。本発明の液体用紙容器を、フラットトップ型紙容器60に応用した一例を示す説明図である。従来のフラットトップ型紙容器とは異なる意匠性を有した紙容器になる。
【0043】
以下、本発明を実施するための形態を更に詳細に説明する。
【0044】
ブランク10を構成する積層体1は、基材層3として、坪量が200〜500g/m、密度0.6〜1.1g/cmの板紙を使用できる。基材層の表面に熱融着性を有するポリエチレン層2を形成する。ポリエチレン層2として、15〜30μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせる。ポリエチレンフィルムの貼り合わせは、ポリエチレン樹脂を押出し機にて押出しラミネートすることで可能である。
【0045】
基材層3の裏面に、接着層としてポリエチレン層4を介して無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム5と貼り合わせる。該無機化合物蒸着面を貼り合わせ面として貼り合わせる。次に該ポリエチレンテレフタレートフィルム面5に接着層としてポリエチレン層6を介してシーラント層7を積層する。シーラント層は通常、ポリエチレンフィルムが主体として使用される。
【0046】
積層体1は、表面から順にポリエチレン層2/基材層3/ポリエチレン層4/中間層5
/ポリエチレン層6/シーラント層7である。この積層体1を、通常ロール状またはシート状にする。
【0047】
この積層体1を、容器形状に合わせ、ブランク10を作成するために、折り曲げ線、外形抜きなどを一般的な公知の方法で加工することができる。例えば金属刃などを組み入れたトムソン抜き型を用いて行う方法や、ロータリー刃を有した金属ロールを用いて行う方法が可能である。
【0048】
このブランクを縦方向の折り曲げ線に沿って折り曲げ、組み立て背シールパネルの表面と裏パネルの裏面とを熱シールし、筒状のスリーブ(図には示していない)を作成する。
【0049】
作成された筒状のスリーブを、内容物を充填する充填機において、底部を成型し閉塞して、次に口栓を口栓取り付け孔に融着し、内容物充填、シール部を熱シールして、液体用紙容器ができる。例えば、図1に示す折り込み板26を折り込みながら、頂部を切妻屋根に成型すれば、ゲーベルトップ型紙容器ができる。
【0050】
基材層の板紙は、ミルク原紙、カード紙などの板紙が使用できる。使用する板紙の坪量は320g/cmが好ましい。
【0051】
表面層のポリエチレン2の表面には、絵柄や文字が印刷できる。印刷方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、インクジェット印刷方式、フレキソ印刷方式など通常の印刷方式を用いることができる。ポリエチレン2の表面をコロナ処理すれば、印刷インキとの密着性を向上させることができる。
【0052】
基材層3と中間層5を貼り合わせる接着層として、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂層が使用できる。これらの樹脂を押出し機により製膜して使用することができる。厚みとしては10〜30μmが好ましい。
【0053】
中間層5には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムなどの基材にアルミニウム箔を貼り合わせたものや、無機化合物を蒸着したものが使用できる。基材の厚みは6〜25μm、アルミニウム箔は5〜15μm、無機化合物の蒸着層の厚みは5〜100nmが好ましい。なお蒸着面の向きは、基材層側、シーラント層側どちらでもよい。
【0054】
シーラント層7は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などが使用可能で単層もしくは多層でもよい。好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)がよい。シーラント層のフィルムは、厚さ30〜100μmが好ましい。
【0055】
中間層5とシーラント層7を貼り合せる接着層として、ポリエチレンの他に、接着剤を介してドライラミネート法でも可能である。接着剤としてポリウレタン系の接着剤が使用できる。
【0056】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0057】
坪量320g/mのミルク原紙の表面に、ポリエチレンを20μm押出しラミネート
した。次に中間層は、酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。酸化珪素の蒸着層の厚みは30nm、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは12μmを用いた。該ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面とシーラント層である直鎖状低密度ポリエチレン60μmをポリウレタン系二液タイプの接着剤を用いてドライラミネート法にて貼り合わせた。シーラント層は、予め押出し法により製膜した。
【0058】
次に板紙の裏面と、酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素蒸着面を、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)を用い、厚さ30μmにてサンドポリ加工してラミネートした。積層体を作成した。
【0059】
作成した積層板を内容量1L、70角(縦方向の折り曲げ線の間隔)のゲーブルトップ型紙容器を形成するためのブランクを作成した。罫線刃は、次の仕様のものを使用した。罫線幅:0.7mm、罫線高さ:23mm、形状:牛乳罫線と同等、溝幅:2.0mm。該罫線刃をトムソン抜き型に組み込み罫線入れを行った。
【0060】
四本の側面稜罫線の中、一本の側面稜罫線の一部に二本の稜罫線が相対向して連結された楕円状の凹み部を形成した。凹み部の高さは、側面稜罫線の高さの90%とし、該側面罫線の中心部位に形成した。稜罫線の両端が曲率半径30mmの曲線とした。また凹み部の幅を角寸の20%にてブランクを形成した。
【0061】
<比較例1>
凹み部の幅を角寸の10%にした以外は、実施例1と同様にブランクを形成した。
【0062】
<比較例2>
凹み部の幅を角寸の30%にした以外は、実施例1と同様にブランクを形成した。
【0063】
<比較例3>
坪量350g/mの板紙を使用し、凹み部の幅を角寸の20%にした以外は、実施例1と同様にブランクを形成した。
【0064】
<比較例4>
凹み部を形成せず、側面稜罫線の深さ0.20mm、以外は実施例1と同様にブランクを形成した。
【0065】
実施例1、比較例1〜4のブランクをスリーブ状に成型し、該スリーブを充填機に挿入し、底部を成型、口栓を取り付け後、トップシール部を成型して、頂部が切妻屋根形状の紙容器を形成した。
【0066】
<評価方法>
・実施例1、比較例1〜4のブランクの稜罫線のスコア比と深さを測定した。尚測定部位は、稜罫線の直線部分で行った。
・成型性については、実施例1、比較例1〜4のブランクをスリ―ブ、紙容器成型時での稜罫線の成型性(折り曲げ性)を評価した。
【0067】
実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

実施例1では、稜罫線深さ0.12mm、スコア比を0.7となり、稜罫線部の成型性が良好でしっかりと折り曲げができた。
【0069】
比較例1では、稜罫線深さ0.02mm、スコア比0.9となり、稜罫線の入りが浅いため、全く折り曲げができない状態であった。
【0070】
比較例2では、稜罫線深さ0.15mm、スコア比0.6となり、稜罫線の入りが深いが、稜罫線部分で折り曲げができるが、稜罫線の無い部分でも折れてしまう。
【0071】
比較例3では、稜罫線深さ0.05mm、スコア比0.8になり、稜罫線の入りが浅く、稜罫線部分の折り曲げが弱い。
【0072】
比較例4では、凹み部を形成せず、側面稜罫線を形成したもので、側面稜罫線深さ0.20mmのものである。従来の紙容器と同様で成型性は良好であった。
【0073】
実施例1で形成したブランクの成型性は、スリーブ、紙容器の成型とも良好であった。比較例4と同等であった。本発明のブランクは、安定して成型が可能で、成型された液体用紙容器は、従来の液体用紙容器とは異なる意匠性を有している。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の液体用紙容器は、ジュース、スープ、乳製飲料(豆乳、コーヒー牛乳など)、乳製品(ホイップクリームなど)、清類(清酒、焼酎、梅酒など)、コーヒーなどの飲料、食品に使用できる。また非食品としてパーマ液、洗剤、柔軟剤、建材用ワックスなどに使用できる。
【符号の説明】
【0075】
1 積層体
2 ポリエチレン層(表面層)
3 基材層
4 接着層(ポリエチレン層)
5 中間層
6 接着層(ポリエチレン層)
7 シーラント層
10 ブランク
21 背シールパネル
22 左パネル
23 表パネル
24 右パネル
25 裏パネル
26 折り込み板
27 屋根板
28 底板
29 側面板
30 シール板
31 トップシール部
32 頂部
33 胴部
34 底部
35 口栓部
36 キャップ
40 凹み部
41 凹み部の幅
42 引っ張り合う力
50 本発明の液体用紙容器(ゲーブルトップ型)
60 本発明の液体用紙容器(フラットトップ型)
70 特許文献1記載の紙容器
71 コーナーインデント壁
A 縦方向の折り曲げ線
B 横方向の折り曲げ線
C 側面稜罫線
D 稜罫線
E 折れ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙を基材層とし、熱融着性を有する表面層/基材層/バリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層板で、
該シーラント層を裏面とし、成型して液体用紙容器を形成するブランクにおいて、
トップシール部、頂部、胴部、底部を有し、該胴部が、四本の側面稜罫線を介して四枚の側面板からなる四角筒状の液体用紙容器を、形成するブランクであって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の一部または全部に、二本の稜罫線が相対向して連結された楕円状の凹み部が区画形成されていることを特徴とするブランク。
【請求項2】
前記凹み部が、前記稜罫線の両端が曲率半径30mmの曲線からなり、該凹み部の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であることを特徴とする請求項1記載のブランク。
【請求項3】
前記稜罫線のスコア比(前記凹み部の折り曲げ強度に対し、稜罫線の折り曲げ強度の割合)が、0.7であることを特徴とする請求項1または2記載のブランク。
【請求項4】
前記稜罫線の深さが、0.12mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブランク。
【請求項5】
前記基材層の坪量が、320g/cmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のブランク。
【請求項6】
前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のブランク。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のブランクを用いて成型されたことを特徴とする液体用紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−112374(P2013−112374A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260115(P2011−260115)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】