説明

ブリケット成形装置

【課題】 多量のブリケットを連続して成形することのできるブリケット成形装置を提供すること。
【解決手段】 ブリケット成形装置10に、上端部が材料充填口21bで下端部がブリケット取出口に形成された成形用凹部21aを備えた成形用金型21、材料充填口21bを開閉する上蓋29b、ブリケット取出口を開閉する下蓋25、成形材料を押圧するプランジャ22および駆動装置30を設けた。そして、駆動装置30の作動により、上蓋29b、下蓋25およびプランジャ22が連動して移動して、成形材料を成形用凹部21a内で成形し、ブリケットBにしたのちにブリケット取出口から取り出すようにした。また、ホッパー15から供給される成形材料を成形用凹部21aに充填する材料搬送部26と、ブリケットBをブリケット取出口に移動させる押出部ピン24とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状の金属材料を成形してブリケットにするためのブリケット成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、空缶等の使用済み材料を再生処理してブリケットを製造することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、空き缶を、シュレッダー等によって所定の大きさに砕き、ロータリーキルン等によって加熱処理することにより塗料等の不純物を除去している。そして、粒状に成形したのちに、プレス機を用いて加圧することにより粒状の材料を所定の形状のブリケットに成形している。ブリケットがスチールで構成される場合は主として溶解用の材料として再利用される。また、ブリケットがアルミニウムで構成される場合は、主として鉄や鋼を溶融して所定の加工を施す際に、溶融金属中に含まれる酸素ガスを除去するための脱酸剤として用いられる。
【特許文献1】特開平7−118765号公報
【発明の開示】
【0003】
しかしながら、前述した従来のプレス機を用いたブリケットの製造方法では、ブリケットを連続して成形することができないため効率のよい製造ができないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、その目的は、多量のブリケットを連続して成形することのできるブリケット成形装置を提供することにある。
【0005】
前述した目的を達成するため、本発明に係るブリケット成形装置の構成上の特徴は、粒状の金属材料を成形してブリケットにするためのブリケット成形装置であって、成形用凹部と、成形用凹部の上部に形成された材料充填口と、成形用凹部の下部に形成されたブリケット取出口とを備えた成形金型と、材料充填口を開閉する充填開閉手段と、ブリケット取出口を開閉する取出開閉手段と、成形用凹部に対して略水平方向に進退可能で成形用凹部の内部側に移動することにより成形用凹部内に充填された金属材料を押圧して成形する押圧部と、充填開閉手段と、取出開閉手段と、押圧部とをそれぞれ連動して作動させることにより、材料充填口を介して成形用凹部に充填された金属材料を、成形用凹部で成形してブリケットにしたのちにブリケット取出口からブリケットを取り出す駆動装置とを備えたことにある。
【0006】
このように構成したブリケット成形装置では、成形金型におけるブリケットを成形する成形用凹部に上方から金属材料を取り込むための材料充填口を設けるとともに、成形用凹部から下方へブリケットを取り出すためのブリケット取出口を設けている。そして、材料充填口を開閉する充填開閉手段を設置している。このため、充填開閉手段を作動することにより、材料充填口を開けて成形用凹部内に金属材料を充填したり、材料充填口を閉塞したりできる。また、ブリケット取出口を開閉する取出開閉手段を設置している。
【0007】
さらに、成形用凹部の内部側に移動することにより成形用凹部内に充填された金属材料を成形する押圧部を成形用凹部に対して進退可能に設置している。そして、駆動装置の作動によって、充填開閉手段と、取出開閉手段と、押圧部とがそれぞれ連動して作動するようにしている。このため、材料充填口から成形用凹部内に金属材料を順次充填することにより、成形用凹部内に充填された金属材料を押圧部により成形し、成形されたブリケットをブリケット取出口から取り出す一連の操作を連続的に行うことができる。この結果、多量のブリケットを効率よく成形することができる。この場合の駆動装置としては、充填開閉手段、取出開閉手段および押圧部をそれぞれ作動させる複数の駆動装置で構成してもよいし、充填開閉手段、取出開閉手段および押圧部を移動させることのできる一つの駆動装置で構成してもよい。
【0008】
本発明に係るブリケット成形装置の他の構成上の特徴は、充填開閉手段を、成形金型の上面に沿って移動することにより材料充填口を開閉する上蓋で構成し、取出開閉手段を、成形金型の下面に沿って移動することによりブリケット取出口を開閉する下蓋で構成したことにある。
【0009】
このブリケット成形装置では、成形金型の上面に、材料充填口を開閉する上蓋を設置し、成形金型の下面に、ブリケット取出口を開閉する下蓋を設置している。このため、上蓋を成形金型の上面で移動させることにより、材料充填口を開けて成形用凹部内に金属材料を充填したり、材料充填口を閉塞したりできる。また、下蓋を成形金型の下面で移動させることにより、成形されたブリケットをブリケット取出口から取り出したり、ブリケット取出口を閉塞して成形用凹部内の金属材料が外部に落下することを防止したりすることができる。
【0010】
本発明に係るブリケット成形装置のさらに他の構成上の特徴は、成形金型を、一方の金型に対して他方の金型が略水平方向に相対的に進退可能になり互いの対向面に成形用凹部が形成された一対の金型で構成するとともに、ブリケット取出口を一方の金型に対して他方の金型が離間する方向に移動することにより形成される金型間の隙間で構成し、充填開閉手段を、成形金型の上面に沿って移動することにより材料充填口を開閉する上蓋で構成し、取出開閉手段を、互いに進退可能な前記一対の金型で構成したことにある。
【0011】
このように構成したブリケット成形装置では、成形金型におけるブリケットを成形する成形用凹部の上部に金属材料を取り込むための材料充填口を設けるとともに、成形されたブリケットを下方に取り出すためのブリケット取出口を、一方の金型に対して他方の金型が離間する方向に移動することにより形成される金型間の隙間で構成している。そして、成形金型の上面に、材料充填口を開閉する上蓋を設置している。このため、上蓋を成形金型の上面で移動させることにより、材料充填口を開けて成形用凹部内に金属材料を充填したり、材料充填口を閉塞したりできる。また、一方の金型に対して他方の金型を金型の対向方向に移動することにより金型間を開閉してブリケット取出口を開閉することができる。
【0012】
本発明に係るブリケット成形装置のさらに他の構成上の特徴は、上下に貫通する材料溜部を備え、駆動装置の駆動によって成形金型の上側で略水平方向に往復移動することにより、一方の位置で材料収容部から供給される金属材料を材料溜部で受けるとともに、他方の位置で材料溜部を材料充填口に連通させて材料溜部内の金属材料を成形用凹部に充填する材料搬送部を設けたことにある。これによると、例えば、材料収容部を材料搬送部の上方に設置して材料収容部から落下してくる金属材料を順次材料溜部で受けるようにすると、材料搬送部を往復移動させるだけで、金属材料を一定時間の間隔で断続的に成形用凹部に充填することができる。なお、材料溜部と材料充填口とが連通していないときには、材料溜部の下端開口は所定の部分によって閉塞されるようにする。
【0013】
本発明に係るブリケット成形装置のさらに他の構成上の特徴は、駆動装置の駆動によって、成形金型の成形用凹部を形成する周面における押圧部と対向する面から成形用凹部に対して進退する押出部を設けて、押圧部が成形用凹部から後退し、ブリケット取出口が開いたときに、押出部が成形用凹部内で成形されたブリケットをブリケット取出口に移動させるようにしたことにある。これによると、押圧部の押圧により成形されたブリケットを取り出す際に、押圧部が成形用凹部から後退すると、下蓋と押出部とが、または一対の金型の他方と押出部とが一緒に移動して、ブリケット取出口が開くとともに、成形されたブリケットが押出部によってブリケット取出口側に押し出される。このため、多量のブリケットの成形を連続的に行っても、ブリケットの取出しが確実かつスムーズに行える。
【0014】
本発明に係るブリケット成形装置のさらに他の構成上の特徴は、駆動装置を、複数の駆動部を備えた軸の回転運動を複数の駆動部に対応する変位部の略水平方向に沿った往復運動に変える軸機構と、軸を回転させるモータとで構成したことにある。
【0015】
軸の回転運動を略水平方向に沿った往復運動に変える機構として、クランク軸の回転運動を複数の変位部の略水平方向に沿った往復運動に変えるクランク機構が可能である。この場合、例えば、クランク軸における異なる部分を駆動部としてその複数の駆動部に複数の連結棒等の一端を回転可能に接続する。そして、その連結棒等の他端を変位部とし、各変位部に上蓋、下蓋、押圧部等の往復移動する部材を接続することができる。これによると、上蓋、下蓋、押圧部等をそれぞれタイミングや移動幅を変えて往復移動させることができる。
【0016】
この結果、材料充填口を開いて金属材料を成形用凹部内に充填するときには、ブリケット取出口を閉じて押圧部を成形用凹部から後退させ、押圧部を成形用凹部の内部側に移動させて金属材料を成形するときには、上蓋で材料充填口を閉塞するとともにブリケット取出口を閉塞し、ブリケット取出口を開けてブリケットを取り出すときには、押圧部を成形用凹部から後退させることができる。また、本発明によると、駆動装置が一つの装置で済むため、ブリケット成形装置の構造が単純になる。なお、駆動装置により作動されるものの例えとして、上蓋、下蓋、押圧部等を挙げているが、充填開閉手段や前記取出開閉手段を構成する他のものについても同様に駆動装置により作動される。また、軸の回転運動を略水平方向に沿った往復運動に変える機構としては、軸に複数の異なるカムを取り付けて構成されるカム機構を用いることも可能である。
【0017】
本発明に係るブリケット成形装置のさらに他の構成上の特徴は、前記成形用凹部のブリケットを形成する部分を、押圧部の押圧方向の反対方向に行くにしたがって断面が広がっていくように形成したことにある。これによると、成形されるブリケットの形状が、押出方向に円錐、三角錐、四角錐等のすそ広がり状になるため、ブリケットの成形用凹部からの取出しが容易になる。この場合、ブリケット取出口は、成形されたブリケットが通過できる形状に形成しておく。また、成形用凹部における最終的にブリケットが形成される部分以外の部分については、特に、押圧部の押圧方向の反対方向に行くにしたがって断面が広がっていくように形成しなくともよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るブリケット成形装置を図面を用いて説明する。図1および図2は同実施形態に係るブリケット成形装置10を示している。ブリケット成形装置10は、前後(図2における左右)よりも左右(図1における左右)に長くなった基台11と、基台11の上面における左側端部の前後両側および中央部の前後両側にそれぞれ設けられた4本の柱等からなる高台12とを備えている。また、基台11上における左端部側部分と右端部との間における前後方向の両端側部分を除いた部分に基台11よりも幅の小さな装置本体設置台13が設置され、装置本体設置台13上の右端側部分を除いた部分に箱状の筐体部14が設置されている。
【0019】
そして、図3ないし図5に示したように、筐体部14上における高台12の内部側に位置する部分に成形部20が設置され、筐体部14上の右側部分と装置本体設置台13の右端側部分とに亘って成形部20を作動させる駆動装置30が設置されている。また、高台12の上部には、本発明の材料収容部としてのホッパー15が設置されている。このホッパー15内には、本発明の金属材料としてのアルミ二ウムの粒状体からなる成形材料(図示せず)が収容されている。
【0020】
成形部20は、成形金型21、本発明の押圧部としての4個のプランジャ22、4個のプランジャ22を成形金型21に対して進退させる移動支持板23、本発明の押出部としての4個の押出ピン24、下蓋25および材料搬送部26等を備えている。成形金型21は、筐体部14の上面左側に設置されており、内部には、図6および図7に示したように、左右に延びる4個の成形用凹部21aが前後に一定間隔を保って平行に形成されている。
【0021】
各成形用凹部21aの右側部分の断面形状は略正方形に形成されているが、各成形用凹部21aにおけるブリケットBが最終的に形成される左側部分の縦断面(成形用凹部21aの延び方向(左右方向)に沿った垂直断面)および水平断面はいずれも、台形の上下の方向を成形用凹部21aの延び方向とするとともに台形の上が左側に位置して台形の下が右側に位置する形状に形成されている。すなわち、成形用凹部21aのブリケットBを最終的に形成する部分は、後で詳説するプランジャ22の押圧方向の反対方向に行くにしたがって断面が広がっていくように形成されている。そして、成形金型21における成形用凹部21aの上部の左右方向の中央には、外部に連通する材料充填口21bが形成され、成形金型21における成形用凹部21a下部の左右方向の略中央部分には、外部に連通するブリケット取出口(図示せず)が形成されている。
【0022】
プランジャ22は、成形金型21に組み込まれた軸体からなっており、後端部が移動支持板23に連結されている。そして、プランジャ22の先端部は、移動支持板23の左右方向への往復移動にともなって成形用凹部21a内を移動し、このプランジャ22の移動にともなう押圧によって成形材料は成形されてブリケットB(図8参照)が得られる。ブリケットBは、プランジャ22の押圧方向へ頭部を向けてかつ頭部を裁断した態様の裁頭四角錐状のものが可能である。なお、図8中、Aはプランジャ22の押圧方向を示す。また、押出ピン24は、成形用凹部21aを形成する周面におけるプランジャ22と対向する面(成形用凹部21aの左側面)から成形用凹部21a内に進退可能に設けられており、成形用凹部21aの内部側に移動することにより、成形用凹部21a内で成形されたブリケットBをブリケット取出口側に移動させる。
【0023】
押出ピン24は、駆動力伝達部27を介して、後述する駆動装置30のクランク軸31に連結されており、クランク軸31の回転にともなって左右に往復移動する。駆動力伝達部27は、クランク軸31側に連結された主軸27aと、押出ピン24側に連結された副軸27bと、主軸27aの往復移動を方向を変えて副軸27bに伝達するレバー部27cとを備えている。レバー部27cは、長手方向の略中央部を支軸27dによって回転可能に支持されている。このため、主軸27aが左側に移動すると押出ピン24は右側に移動し、主軸27aが右側に移動すると押出ピン24は左側に移動する。
【0024】
下蓋25は、成形金型21の下面で左右方向に移動可能になっており、左側に移動することによりブリケット取出口を閉塞し、右側に移動することによりブリケット取出口を開口する。下蓋25は、一対の連結棒25aを介して副軸27bに連結されており、駆動力伝達部27の作動によって押出ピン24と一緒に左右に移動する。このため、押出ピン24が右側に移動してブリケットBをブリケット取出口側に移動させるときに、ブリケット取出口が開口して、ブリケットBはブリケット取出口から下方に落下する。
【0025】
なお、移動支持板23と主軸27aとは、ともにクランク軸31側の所定部分に連結されているが、連結部分が異なっているため互いにタイミングをずらして左右に往復移動する。また、クランク軸31の後部側部分にはカム(図示せず)が取り付けられておりこのカムを介してクランク軸31の回転が主軸27aの左右への往復移動に変わる。主軸27aのカムとは反対側の端部(左端部)には、主軸27aを支持する支持部材との間に付勢手段としてのコイルばね27eが設けられて、主軸27aがカムによって押され、コイルばね27eの弾性付勢力によって押し戻されるようになっている。
【0026】
材料搬送部26は、上下に貫通する孔からなる4個の材料溜部26aが前後に一定間隔で形成された板体で構成されており、移動支持板23に連結されて、プランジャ22とともに、左右に移動する。また、材料搬送部26は、枠状のガイド部28によって移動可能に支持されており、材料搬送部26が移動範囲の左端に位置したときに各材料溜部26aの下端部が位置するガイド部28の下部側部分には材料通過穴28aが形成されている。また、材料搬送部26が移動範囲の右端に位置したときに各材料溜部26aの上端部が位置するガイド部28の上部側部分には、下部側から上部側に向って徐々に直径が大きくなった材料受穴28bが形成されている。
【0027】
そして、各材料通過穴28aの下部側には下方に延びるシュート29がそれぞれ設置され、各シュート29の下端部の下方には、成形金型21の材料充填口21bに連通可能な4個の材料受部29aが設置されている。この材料受部29aは、漏斗状に形成されており、シュート29内を落下してくる成形材料を受ける。また、材料受部29aの下端開口は、板状の上蓋29bによって開閉される。この上蓋29bは、連結部材(図示せず)を介してクランク軸31に連結されており、移動支持板23とタイミングをずらして左右に往復移動することにより、材料受部29aの下端開口と材料充填口21bとの間を連通させたり遮断させたりする。
【0028】
そして、各材料受穴28bの上部には、ホッパー15から延びてくる材料供給管15a(図2では2個しか図示していない。)の下端部がそれぞれ位置している。材料搬送部26は、右側に位置したときに、ホッパー15から材料供給管15a内を通過して落下してくる成形材料を、材料受穴28bを介して受けて材料溜部26a内に収容する。そして、材料搬送部26は、その状態で左側に移動し、材料溜部26aが材料通過穴28aの上端に位置したときに、材料溜部26a内の成形材料は材料通過穴28aを通過してシュート29内に落下する。
【0029】
このとき、上蓋29bが材料充填口21bを閉じてなければ、成形材料は材料受部29aおよび材料充填口21bを通過して各成形用凹部21a内に充填される。また、上蓋29bが材料充填口21bを閉じていれば、成形材料は材料受部29a内に溜まった状態になる。また、成形金型21の下方には、ブリケット取出口から装置本体設置台13の前方側に向って傾斜して延びるブリケット排出管16が設置されており、ブリケット排出管16の下端部の下方には、ブリケット排出管16から出てくるブリケットBを所定の収集場所に搬送するコンベア17が設置されている。
【0030】
駆動装置30は、クランク軸31を含むクランク部と、クランク軸31を回転させるモータ35を含むモータ部とで構成されている。クランク部は、クランク軸31を回転可能に支持する支持部32と、クランク軸31の両端に設けられた一対の駆動プーリ33とで構成されている。クランク軸31は、中心軸に対して偏心した複数のカム部31aを備えており、図9および図10に示したように、クランクロッド34、クランクロッドピン34aおよび移動ブロック34bを介して移動支持板23に連結されている。また、クランク軸31と、主軸27aおよび上蓋29bとの間は、それぞれ異なるカム部に連結部材(図示せず)を介して連結されている。なお、図9および図10は、クランク軸31の説明のために示した概略図で、図10では、プランジャ22の二つを省略する等、他の図面とは異なる部分もある。
【0031】
各連結部材は、クランク軸31の回転を水平方向の往復移動に変えてそれぞれ移動支持板23、主軸27aおよび上蓋29bに伝達する。そして、クランク軸31が軸周りに1回転すると、移動支持板23が左右に往復移動して元の位置に戻り、移動支持板23の移動にともなって、プランジャ22と材料搬送部26も左右に往復移動する。また、押出ピン24と下蓋25は、駆動力伝達部27の作用等によってプランジャ22と材料搬送部26との移動と若干タイミングをずらして左右に往復移動する。そして、上蓋29bもプランジャ22や押出ピン24等と若干タイミングをずらして左右に往復移動する。
【0032】
モータ部は、モータ35と、モータ35の駆動力を駆動プーリ33に伝達する伝達プーリ36とを備えている。モータ35は、回転軸35aを後部側に突出させた状態で、装置本体設置台13の右端部側に設けられた支持台37の上部に設置されている。そして、回転軸35aは、ベルト35bを介して伝達プーリ36に接続されている。伝達プーリ36の中心には支軸36aが固定されており、この支軸36aの両端部は、装置本体設置台13上における支持台37の両側に設けられた一対の軸受38に回転可能に支持されている。
【0033】
伝達プーリ36は、支軸36aの後端側(支持台37の後部)に取付けられており、支軸36aの前端部には、小径の伝達プーリ36bが取付けられている。そして、伝達プーリ36bと一対の駆動プーリ33のうちの前部に位置する駆動プーリ33との間にベルト33aが掛け渡されている。また、このブリケット成形装置10は、CPU、ROM,RAMおよび各種の回路等で構成された制御装置(図示せず)を備えており、ブリケット成形装置10を構成する各装置は、この制御装置によってその作動を制御される。
【0034】
つぎに、このように構成されたブリケット成形装置10を用いて、ブリケットBを成形する場合について説明する。この場合に使用される成形材料は、例えば、加熱工程と造粒工程とを備えた再生処理によって粒状にされるもので、まず、アルミ缶をロータリーキルン等によって加熱した状態で掻き回すことにより、表面に塗布された塗料等の不純物を燃焼して除去するとともに、缶本体と蓋部とを分離させる。そして、不純物が除去されたアルミニウム材を、ハンマー等を備えた造粒機で小さく打ち砕くことによって粒状に形成する。
【0035】
このようにして、使用済みのアルミ缶から得られた成形材料を、まず、ホッパー15内に投入する。つぎに、制御装置の電源をオン状態にして制御装置が備える各操作部を操作することによって、各種の設定を行いブリケット成形装置10を作動させる。これによって、モータ35が作動して、回転軸35aが回転する。回転軸35aの回転は、ベルト35b、伝達プーリ36、支軸36a、伝達プーリ36b、ベルト33aおよび駆動プーリ33を介してクランク軸31に伝達され、クランク軸31が回転する。
【0036】
このクランク軸31の回転によって、移動支持板23と主軸27aとが左右に往復移動するため、プランジャ22、材料搬送部26、押出ピン24および下蓋25もそれぞれ所定のタイミングと移動幅で左右に往復移動する。同時に、上蓋29bも左右に往復移動する。この場合、移動支持板23が後退して材料搬送部26の材料溜部26aがガイド部28の材料受穴28bの真下に位置したときに、ホッパー15から材料供給管15aを通過して落下してくる成形材料が材料溜部26a内に充填される。ついで、移動支持板23が前進して材料搬送部26の材料溜部26aがガイド部28の材料通過穴28aの真上に位置したときに、材料溜部26a内の成形材料は、材料通過穴28aおよびシュート29の内部を通過して材料受部29a内に落下する。
【0037】
このとき、材料受部29aの下端開口は、上蓋29bによって閉塞されており、成形材料は材料受部29a内に溜まる。つぎに、再度、移動支持板23が後退したときに、材料供給管15a内を落下してくる成形材料が材料溜部26a内に充填される。また、プランジャ22も移動支持板23とともに後退する。そして、上蓋29bが右側に移動して材料受部29aと材料充填口21bとを連通させると、材料受部29a内の成形材料は、成形用凹部21a内に充填される。ついで、上蓋29bが左側に移動して材料充填口21bを閉塞すると、移動支持板23が前進して、プランジャ22が成形用凹部21a内の成形材料を押圧して成形する。このとき、材料溜部26a内の成形材料は、材料受部29a内に落下する。
【0038】
この間、押出ピン24と下蓋25とは左側に後退した状態に維持されているが、ブリケットBが形成されてプランジャ22が後退すると、押出ピン24と下蓋25とが右側に向って前進する。これによって、ブリケット取出口が開くとともに、ブリケットBが押出ピン24の押圧により右側に移動してブリケット取出口からブリケット排出管16に排出される。そして、ブリケットBは、コンベア17によって収集場所に搬送される。ついで、押出ピン24と下蓋25とは左側に後退し、上蓋29bは右側に移動する。これによって、材料受部29a内の成形材料は、成形用凹部21a内に充填される。このようなブリケット成形装置10の作動が繰り返し行われ、その間順次ブリケットBが成形されていく。
【0039】
このように、このブリケット成形装置10では、駆動装置30の作動によって、プランジャ22、押出ピン24、下蓋25、材料搬送部26および上蓋29bが連動して移動するようにしている。このため、材料搬送部26が搬送してくる成形材料を、材料受部29aを介して材料充填口21bから成形用凹部21a内に充填し、プランジャ22の押圧によりその成形材料を成形し、成形されたブリケットBをブリケット取出口から取り出す一連の操作が連続的に行われるようになる。これによって、多量のブリケットBを効率よく成形することができる。
【0040】
また、本発明における駆動装置30は、クランク部とモータ部とからなる一つの装置で構成されているため、ブリケット成形装置10の構造が単純になるとともに安価につく。さらに、本発明に係るブリケット成形装置10は、押出ピン24を備えているため、多量のブリケットBの成形を連続的に行っても、ブリケットBの取出しが確実かつスムーズに行える。また、成形用凹部21aの左側部分、すなわちブリケットBを最終的に形成する部分を、プランジャ22の押圧方向の反対方向に行くにしたがって断面が広がっていくように形成したため、ブリケットBの成形用凹部21aからの取出しが容易になる。
【0041】
また、前述した実施形態では、ブリケットBを成形するための金属材料をアルミニウムとしているが、この金属材料としては、アルミ二ウムに限らず、スチール等、ブリケットとして使用できるものであれば、どのような金属材料からなる粒状体でも使用することができる。また、前述したブリケット成形装置10では、成形用凹部21a、シュート29等をそれぞれ4個設けているが、これらの数は、さらに多くの複数個にすることもできるし、3個以下にすることもできる。また、前述した実施形態では、一つの駆動装置30でプランジャ22等のすべての往復移動する部材を移動させているが、各プランジャ22等をそれぞれ異なる駆動装置の作動で移動させるようにしてもよいし、特定のもの、例えば、上蓋29bだけを駆動装置30以外の駆動装置によって移動させるようにしてもよい。
【0042】
また、前述した実施形態では、成形用凹部21aの上部に材料充填口21bを形成し、成形金型21の上面に沿って上蓋29bを移動することにより材料充填口21bを開閉するようにして、材料充填口21bを開閉する充填開閉手段を構成している。また、成形用凹部21aの下部にブリケット取出口を形成し、成形金型21の下面に沿って下蓋25を移動することによりブリケット取出口を開閉するようにして、ブリケット取出口を開閉する取出開閉手段を構成している。さて、本発明に係る充填開閉手段及び取出開閉手段は、前述したものに限られるものではない。例えば、取出開閉手段としては、次に説明する他の実施形態に係るブリケット成形装置のものが可能である。
【0043】
すなわち、図11に示したように、本実施形態のブリケット成形装置40では、成形用凹部41aを形成する成形金型41が、略水平方向で対向して左右に位置し一方に対し他方が進退する2つの金型で構成されている。なお、左右は、図11上における左右を示す。一方の金型である左側の固定型41bは、成形用凹部41aの中のブリケットBが最終的に形成される部分に対応している。他方の金型である右側の移動型41cは、成形用凹部41aの中の残部に対応している。移動型41cには材料充填口41dが形成されている。移動型41cの右方から成形用凹部41a内にプランジャ42が進退し、固定型41bの左方から成形用凹部41a内に押出ピン44が進退する。
【0044】
前述した一の実施形態では、下蓋25が一対の連結棒25aを介して副軸27bに連結されているが、本実施形態では、下蓋がなく、移動型41cが取出開閉手段とされて、図12に示したように、一対の連結棒47aを介して副軸47bに連結されている。移動型41cが移動することにより金型間がブリケット取出口43(図11(c))として開閉される。金型間の開状態(金型の対向端面が離れた状態)では、ブリケット取出口43が形成されて開き、金型間の閉状態(金型の対向端面が当接した状態)ではブリケット取出口43が無くなって閉じられる。駆動力伝達部47の作動によって押出ピン44と一緒に移動型41cが左右に移動する。押出ピン44が右側に移動するとともに移動型41cが右側に移動すればブリケット取出口43が形成されて開き、ブリケット取出口43からブリケットBが落下する。
【0045】
なお、図12に示したように、駆動力伝達部47の主軸47aは、クランク軸51に取り付けられたカム52に押圧されるように配置されており、カム機構を介して伝達されるクランク軸51の回転によって主軸47aが左右に往復移動する。主軸47aのカム52とは反対側の端部(左端部)には、主軸47aを支持する支持部材との間に付勢手段としてのコイルばね47eが設けられており、主軸47aがこの右端部でカム52によって押され、コイルばね47eの弾性付勢力によって押し戻されるようになっている。
【0046】
本実施形態は、移動型41cの移動によりブリケット取出口43が開口するもので、前述した一の実施形態のように下蓋25の移動によりブリケット取出口が開口するものとは異なる。また、プランジャ42を図11(a)の状態から図11(b)の状態へ前進させて金属材料を押圧してブリケットBを形成する。図11(c)に示したように、ブリケットBが形成されてプランジャ42が後退すると、押出ピン44が右側に向かって前進するとともに、移動型41cも右側に向かって移動する。そして、移動型41cと固定型41bとの間が開くと、ブリケット取出口43が形成され、ブリケットBが押出ピン44の押圧によって右側に移動してブリケット取出口43からブリケット排出管(図示せず)に排出される。
【0047】
駆動装置の作動によって、プランジャ42、押出ピン44、移動金型41c、材料搬送部(図示せず)および上蓋49bが連動して移動するようにしている。なお、本実施形態では、移動型41cを移動するようにしたが、右側の金型を固定型とし、左の金型を移動型とすることも可能であり、また、両者の金型を移動することも可能である。一方の金型が他方の金型に対して相対的に移動して金型間にブリケット取出口が形成されるものであればよい。この実施形態に係るブリケット成形装置40のそれ以外の部分の構成は、前述したブリケット成形装置10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。また、この実施形態に係るブリケット成形装置40の作用効果についても前述したブリケット成形装置10と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るブリケット成形装置を示した正面図である。
【図2】図1に示したブリケット成形装置を示した側面図である。
【図3】ブリケット成形装置の成形部と駆動装置とを示した平面図である。
【図4】ブリケット成形装置の成形部と駆動装置とを示した正面図である。
【図5】駆動装置を示した側面図である。
【図6】成形部を正面側から見た状態を示した断面図である。
【図7】成形部を側面側から見た状態を示した断面図である。
【図8】ブリケットを示した斜視図である。
【図9】駆動装置の要部を示した側面図である。
【図10】駆動装置の要部を示した平面図である。
【図11】他の実施形態に係り、(a)は、成形部を正面側から見た状態を示した断面図、(b)は、押圧ピンを前進させた状態を示した(a)に対応する図、(C)は、ブリケットを取り出す状態を示した(a)に対応する図である。
【図12】他の実施形態に係り、ブリケット成形装置の成形部と駆動装置との要部を示した平面図である。
【符号の説明】
【0049】
10,40…ブリケット成形装置、15…ホッパー、21,41…成形金型、21a,41a…成形用凹部、21b,41d…材料充填口、22,42…プランジャ、23…移動支持板、24,44…押出ピン、25…下蓋、26…材料搬送部、26a…材料溜部、29b,49b…上蓋、30…駆動装置、31,51…クランク軸、35…モータ、B…ブリケット、41b…固定型、41c…移動型、43…ブリケット取出口、52…カム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の金属材料を成形してブリケットにするためのブリケット成形装置であって、
成形用凹部と、前記成形用凹部の上部に形成された材料充填口と、前記成形用凹部の下部に形成されたブリケット取出口とを備えた成形金型と、
前記材料充填口を開閉する充填開閉手段と、
前記ブリケット取出口を開閉する取出開閉手段と、
前記成形用凹部に対して略水平方向に進退可能で前記成形用凹部の内部側に移動することにより前記成形用凹部内に充填された前記金属材料を押圧して成形する押圧部と、
前記充填開閉手段と、前記取出開閉手段と、前記押圧部とをそれぞれ連動して作動させることにより、前記材料充填口を介して前記成形用凹部に充填された前記金属材料を、前記成形用凹部で成形してブリケットにしたのちに前記ブリケット取出口から前記ブリケットを取り出す駆動装置と
を備えたことを特徴とするブリケット成形装置。
【請求項2】
前記充填開閉手段を、前記成形金型の上面に沿って移動することにより前記材料充填口を開閉する上蓋で構成し、前記取出開閉手段を、前記成形金型の下面に沿って移動することにより前記ブリケット取出口を開閉する下蓋で構成した請求項1に記載のブリケット成形装置。
【請求項3】
前記成形金型を、一方の金型に対して他方の金型が略水平方向に相対的に進退可能になり互いの対向面に前記成形用凹部が形成された一対の金型で構成するとともに、前記ブリケット取出口を前記一方の金型に対して前記他方の金型が離間する方向に移動することにより形成される金型間の隙間で構成し、前記充填開閉手段を、前記成形金型の上面に沿って移動することにより前記材料充填口を開閉する上蓋で構成し、前記取出開閉手段を、互いに進退可能な前記一対の金型で構成した請求項1に記載のブリケット成形装置。
【請求項4】
上下に貫通する材料溜部を備え、前記駆動装置の駆動によって前記成形金型の上側で略水平方向に往復移動することにより、一方の位置で材料収容部から供給される前記金属材料を前記材料溜部で受けるとともに、他方の位置で前記材料溜部を前記材料充填口に連通させて前記材料溜部内の前記金属材料を前記成形用凹部に充填する材料搬送部を設けた請求項1ないし3のいずれか一つに記載のブリケット成形装置。
【請求項5】
前記駆動装置の駆動によって、前記成形金型の成形用凹部を形成する周面における前記押圧部と対向する面から前記成形用凹部に対して進退する押出部を設けて、前記押圧部が前記成形用凹部から後退し、前記ブリケット取出口が開いたときに、前記押出部が前記成形用凹部内で成形されたブリケットを前記ブリケット取出口に移動させるようにした請求項1ないし4のいずれか一つに記載のブリケット成形装置。
【請求項6】
前記駆動装置を、複数の駆動部を備えた軸の回転運動を前記複数の駆動部に対応する変位部の略水平方向に沿った往復運動に変える軸機構と、前記軸を回転させるモータとで構成した請求項1ないし5のうちのいずれか一つに記載のブリケット成形装置。
【請求項7】
前記成形用凹部のブリケットを形成する部分を、押圧部の押圧方向の反対方向に行くにしたがって断面が広がっていくように形成した請求項1ないし6のうちのいずれか一つに記載のブリケット成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−119530(P2009−119530A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177531(P2008−177531)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(501395649)株式会社アールニッセイ (5)
【出願人】(501062394)株式会社太陽機械工作所 (1)
【出願人】(507305314)ワールド・ワン株式会社 (2)