ブリスターパックの収納構造

【課題】ノズルに密封シールを施した押出容器と頂部内側にノズルのシールを開封する突起を備えたキャップとを収納するブリスターパックの収納構造において、ノズルにキャップを固定しない状態で収納しても違和感を生じさせないようにすること
【解決手段】キャップの頂部外側に凹部を形成し、この凹部内に押出容器のノズルを臨ませた状態で押出容器とキャップとを一つの収納部に収納した

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ノズルに密封シールを施した押出容器と頂部内側にノズルのシールを開封する突起を備えたキャップとを収納するブリスターパックの収納構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
押出容器のノズルに密封シールが施され、キャップの頂部内側にノズルのシールを開封する突起が形成されている場合、ノズルのシールは消費者が容器の充填物を使用する直前に開封される。そのままキャップをノズルに嵌着させることによって突起をシールに突き入れ、シールを開封するのである。したがって、この押出容器とキャップとは、キャップの装着や包装材への収納時には、キャップの突起がノズルのシールを破壊しないことが絶対条件となる。
【０００３】
このような容器へのキャップの装着に関しては、特許文献１に記載されたものがある。
この公知の技術では、キャップの下縁に沿ってアンダーカットテープを取り付け、そのままキャップをノズルに螺着させる構成が採用され、テープ幅の分だけ高い位置でキャップの螺入が停止させられ、突起はノズルの上方に位置したままとなる。その状態で箱やブリスターパックを外包装として市場に流通させられる訳である。
【０００４】
上記の容器は、容器にキャップを取り付けた外観が維持されているから、見た目には違和感が生じない。テープを除去しキャップを再び螺着させることによって突起がシールを破壊して開封が完了する。キャップを螺着して容器を使用しない時には、突起はノズル内に進入したままとなるから、充填物の漏れや充填物の外気との接触が抑制され、充填物が硬化するのを防止できる利点がある。
しかしながら、このキャップの構成は、ノズルの長さが短い場合には使用することができない不都合がある。
また、ノズルを開封する際には、一旦キャップを取り外し、アンダーカットテープを引き裂き、再びキャップを螺着しなければならないことになるから、迅速な開封は望めない。しかも、引き裂かれたテープは使い道がないからそのままゴミとして捨てられる運命にある。
【特許文献１】特開平６−１３５４５０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、ノズルに密封シールを施した押出容器と頂部内側にノズルのシールを開封する突起を備えたキャップとを収納するブリスターパックの収納構造において、ノズルにキャップを固定しない状態で収納しても違和感を生じさせないようにすることを課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
この技術的課題を解決する第一の技術的手段は、（イ）キャップの頂部外側に凹部を形成し、（ロ）この凹部内に押出容器のノズルを臨ませた状態で押出容器とキャップとを一つの収納部に収納したこと、である。
第二技術的手段は、外力を加えない限りキャップの収納状態を維持する凸部をキャップの収納部内側に設けたことである。
【０００７】
第一の技術的手段において、キャップの頂部外側に凹部が形成されていて、その凹部内に押出容器のノズルを臨ませると、丁度キャップを上下逆向きに嵌めた状態となる。それ故、キャップの突起とノズルのシールとは非接触の状態となり、キャップの突起がノズルのシールを突き破るおそれは全くない。
この状態で押出容器とキャップとが一つの収納部に収納される包装形態となり、外観上はキャップを装着した容器と同じとなるから、そのまま市場に流通させても看者が違和感をもつおそれはほとんどない。
【０００８】
キャップの凹部は、ノズルの進入を許容するだけであって、ノズルとの固定手段を備えたものではない。キャップと押出容器とを分離し、キャップを正位置、すなわち突起をノズルのシールに対向させてノズルに装着すると突起がシールを突き破ることになる。
なお、キャップを装着する場合、螺着方式、押し込んで冠着させる方式のいずれの場合も使用することができる。
【０００９】
第二の技術的手段において、キャップの収納部内側には、外力を加えない限りキャップの収納状態を維持する凸部が設けられているから、ブリスターパックから押出容器を取り出してもキャップが不用意に飛び出すことはない。
収納部内に残っているキャップを取り出して上記と同様の手順によりノズルのシールを開封することになる。
この凸部は、収納部を形成している壁面の一部を内側に膨出させ或いは屈曲させることによって、収納部の開口部側の幅を狭小にし、或いは収納されているキャップを押圧保持する関係を形成するものである。
【００１０】
ブリスターパックに使用する使用する素材としては、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの樹脂からなるフィルムが盛用されているが、本発明においても、これらの樹脂を好適に使用することができる。
【発明の効果】
【００１１】
キャップをノズルに装着しない状態で収納しても違和感が生じることがないから、外観上従来の外包装とほとんどと変わらないものとなる。
シールが開封された後にキャップをノズルに装着すると、突起がノズルの内側に進入するから、充填物の漏れや充填物が外気に接触して硬化するのを抑制することができる。
なお、キャップは凹部側を利用してノズルに固定できないから、シール開封後にキャップの誤った装着、すなわち凹部側を利用した装着が行なわれる心配はなく、確実に突起をノズルの内側に進入させた状態でキャップを装着させることができる。
また、キャップと押出容器とが一つの収納部に収納されていたから、開封後に容器を使用しない時には、ノズルにキャップを装着したままブリスターパックに再収納することができる利点もある。
【００１２】
第二の技術的手段においては、さらに、容器をとり出す際にキャップがブリスターパックの収納部から飛び出すおそれはないから、キャップを見失うこともない。
シール開封後にキャップをノズルに装着したまま押出容器をブリスターパックに再収納する場合にも、キャップ側の凸部の機能は失われず、容器全体の飛び出しを抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
本実施形態におけるブリスターパック１は透明なポリエチレンテレフタレートで形成したものであって、収納部１０を設けた本体２の側縁に谷折線４を介して蓋体５を延設した構成となっており、図１は、本体２と蓋体５を開いた状態の平面図である。
蓋体５は、その周縁を残して中央部に凸面６を形成し、他方、本体２はその周縁を残して中央部に凸面６を受け入れる凹面３が形成してあって、谷折線４で折り曲げて本体２と蓋体５を重合させると、蓋体５がその凸面６を本体の凹面３に嵌入し、その嵌合状態が維持されるようになっている（図２参照）。現実には、重合する周縁を利用してスポット溶着、接着テープ、ステープラーなどの固定手段が重ねて利用される。
なお、本発明に係るプリスターパックは、蓋体を紙などの異なる材質で別体に形成したものを使用することができるのは勿論である。
【００１４】
この実施形態においては、収納部１０は本体２の凹面３にさらに凹部を形成することによって形成されていて、湿気硬化型の接着剤を充填しノズル１６に密封シール（図示せず）を施した押出容器１５、ノズル１６に螺着させるキャップ１７及び接着剤塗布ベラ１４を収納する状態を示している（図１、２参照）。キャップ１７は、その頂部外側にノズル１６の進入を許容する大きさの凹部１８、頂部内側中央にノズル１６のシールを押し破るための突起１９を備えていて、キャップ１７を上下逆向きにし、ノズル１６を凹部１８内に臨ませた状態で収納部１０に収納させている（図３参照）。
【００１５】
収納部１０のキャップ１７の収納位置では、左右の側壁１１、１１の一部を内側へ膨出させて凸部１２、１２を形成し、凸部１２、１２間の距離をキャップ１７の外径よりわずかに小さく設計して、摘んで引き出し或いは収納部の外側から押圧するなど、外力を加えない限りキャップ１７は収納部１０から脱出できないようにしている（図１、２参照）。
【００１６】
図４は、ノズル１６のシールを開封した後、これにキャップ１７を螺着させて収納部１０に再度収納して蓋体５で閉塞した状態を示している。
この状態でも、キャップ１７は凸部１２、１２によって飛び出しが規制される。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本体と蓋体を開けた状態のブリスターパックの平面図
【図２】収納部の凸部位置の一部を断面で示した正面図
【図３】図１Ａ−Ａ’箇所の断面図
【図４】キャップを螺着させた押出容器を収納した状態の側面図
【符号の説明】
【００１８】
１ブリスターパック、２本体、３凹面、４谷折線、５蓋体、６凸面、１０収納部、１１キャップ側収納部の側壁、１２凸部、１５押出容器、１６ノズル、１７キャップ、１８ノズル受け入れ許容凹部、１９シール開封用突起

【特許請求の範囲】
【請求項１】
ノズルに密封シールを施した押出容器と頂部内側にノズルのシールを開封する突起を備えたキャップとを収納するブリスターパックの収納構造において、キャップの頂部外側に凹部を形成し、この凹部内に押出容器のノズルを臨ませた状態で押出容器とキャップとを一つの収納部に収納したブリスターパックの収納構造。
【請求項２】
外力を加えない限りキャップの収納状態を維持する凸部をキャップの収納部内側に設けた請求項１に記載のブリスターパックの収納構造。

【図１】