説明

ブリスター容器

【課題】カバー部材の舌片と背面部材の舌片とを掛合させることによりカバー部材と背面部材が閉じるブリスター容器において、カバー部材の舌片と背面部材の舌片との掛合の成否が容易にわかるようにする。
【解決手段】ブリスター容器1は、物品30を収容する収容空間12が形成されたカバー部材10と、カバー部材10の背面開口部を閉じる背面部材20とを備え、カバー部材10の縁辺に設けられた舌片15と背面部材20の縁辺に設けられた舌片25とを掛合させることによりカバー部材10と背面部材20とを閉じる。カバー部材10の舌片15と背面部材20の舌片25とを互いに掛合させることなく重ね合わせた場合のそれらの対向面には、それぞれ突起16、26が設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスター容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ブリスター容器は、概略、透明な合成樹脂シートを、収容する物品の外形に沿う形状に成形したカバー部材と、カバー部材の背面開口部を閉じる背面部材とからなる。ブリスター容器には、背面部材をカバー部材とは別体の台紙として構成したものと、カバー部材と背面部材とを一体の樹脂シートで形成し、ヒンジ部を介してカバー部材と背面部材を連設したものがあり、また、カバー部材と背面部材とを別体として構成したものには、カバー部材の折り返し縁に背面部材をスライドさせてこれらを組み立てるものと、カバー部材と背面部材の凹凸を嵌合させて組み立てるもの等があるが、いずれにおいても、カバー部材が背面部材で閉じられた状態を維持するために、シュリンク包装、ステープル止め、接着剤シール、舌片による掛合等の接合方法が利用されている(特許文献1〜3)。
【0003】
このうち、舌片による掛合は、簡便にカバー部材と背面部材の開閉を繰り返すことができ、ステープルの止め針や、剥がしたシュリンクフィルム等のように開封に伴う廃棄物が生じない点で好ましい。
【0004】
【特許文献1】特許3983791号公報
【特許文献2】特開平9-295656号公報
【特許文献3】特開2004-123111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カバー部材と背面部材を共に無色透明な樹脂シートから形成した場合には、カバー部材の舌片と、背面部材の舌片とが掛合しているか、あるいは単に重なっているだけかの見分けがつき難いという問題があった。
【0006】
これに対し、本発明は、カバー部材の舌片と背面部材の舌片とを掛合させることによりカバー部材と背面部材が閉じるブリスター容器において、カバー部材の舌片と背面部材の舌片との掛合の成否が容易にわかるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の目的を達成するため、物品を収容する収容空間が形成されたカバー部材と、カバー部材の背面開口部を閉じる背面部材とを備え、カバー部材の縁辺に設けられた舌片と背面部材の縁辺に設けられた舌片とを掛合させることによりカバー部材と背面部材とが閉じるブリスター容器であって、カバー部材の舌片と背面部材の舌片とを互いに掛合させることなく重ね合わせた場合のそれらの対向面にそれぞれ突起が設けられているブリスター容器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のブリスター容器によれば、カバー部材の舌片と背面部材の舌片とを互いに掛合させることなく重ね合わせた場合のそれらの対向面にそれぞれ突起が設けられているので、カバー部材の舌片と背面部材の舌片とが掛合している場合には、舌片に設けられている突起が掛合部の表面に現れる。反対に、カバー部材の舌片と背面部材の舌片とが掛合していない場合には、掛合部の表面は突起のない滑らかなものとなる。したがって、視覚によっても触感によっても、掛合の成否を容易に判別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
【0010】
図1は、本発明の一実施例のブリスター容器1に物品30を収容した状態の正面図(a)と底面図(b)であり、図2は、そのブリスター容器1のカバー部材10と背面部材20とを開いた状態の平面図である。
【0011】
このブリスター容器1は、カバー部材10と背面部材20とを透明なシート状の合成樹脂から一体成形し、これらがヒンジ部2を介して連設するようにしたものである。カバー部材10は、このブリスター容器1で収容する物品30の外形に沿った凸部11を有するが、この凸部11により形成される物品30の収容空間12とカバー部材の縁部13との間に、ブリスター容器1の長手方向に伸びた余剰空間14も有するように成形されている。この余剰空間14は、ブリスター容器1のデザイン上の要請から、あるいは物品30の景品や物品30の関連商品のサンプル等を付加的に収容する空間を確保するなどの要請で設けられる。
【0012】
一方、背面部材20は、カバー部材10の収容空間12に物品30を収容した状態でカバー部材10の背面開口部を閉じるように、板状に形成されている。
【0013】
また、カバー部材10の収容空間12に物品30を収容し、ヒンジ2でカバー部材10と背面部材20とを折り曲げ、カバー部材10の背面開口部に背面部材20を嵌め入れることにより、カバー部材10と背面部材20とを閉じた場合に、その閉じた状態が維持されるようにするため、ヒンジ部2と反対側のブリスター容器1の縁辺3の両端部には、カバー部材10の舌片15と背面部材20の舌片25とを互いに掛け合わせる掛合部4a、4bが形成されている。
【0014】
各掛合部4a、4bでは、カバー部材10の舌片15がその縁辺3の形成方向の外方に突出している。また、カバー部材の舌片15が縁辺3の形成方向の外方へずれるのを妨げるように、背面部材20の舌片25が、カバー部材10の舌片15の突出方向と交わる方向に突出している。そこで、カバー部材10の舌片15と背面部材20の舌片25の非掛合状態では図3Aのようにこれらの舌片15、25が重なり合うが、掛合状態では図3Bのように、カバー部材10を平面視した場合に、カバー部材10の舌片15が背面部材20の舌片25の下に隠れ、一方、背面部材20を平面視した場合(カバー部材10を背面視した場合)には、背面部材20の舌片25がカバー部材10の舌片15の下に隠れた状態となる。
【0015】
図3Aに示すように、各接合部4a、4bでカバー部材10の舌片15と背面部材20の舌片25とを重ねた場合のそれらの対向面には、それぞれ突起16、26が形成されている。突起16、26は、本発明の特徴的な構成であり、その形状と大きさは、成形性及び使用感等の点から、半球状とし、その高さHは1〜2mmとすることが好ましい。この他、突起16、26は、円柱乃至角柱の先端部の角を丸めた形状としても良く、円柱の先端部に半球状部分を一体化させた形状としても良い。
【0016】
図3Bに示すように、掛合部4a、4bにおいてカバー部材10の舌片15と背面部材20の舌片25とが掛合している場合には、突起16、26は、掛合部4a、4bの表面に露出する。このため、ブリスター容器1を平面視した場合に、舌片15、25の掛合状態を視覚的に確認できるだけでなく、感触によっても容易に確認することができる。反対に、図3Aに示すように、これらの舌片15、25が掛合しておらず、単に重なっているだけの場合には、突起16、26が掛合部4a、4bの表面に露出しない。このため、この部分の感触は滑らかとなり、視覚によっても感触によっても掛合が外れていることがわかる。したがって、突起16、26の形成により、ブリスター容器1による物品30の包装作業時、あるいは流通、店頭の各段階で、掛合の成否を容易に確認することが可能となる。
【0017】
このブリスター容器1の製造方法としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート等の各種樹脂シートを用い、真空成形又は圧空成形することにより得ることができる。また、カバー部材10と背面部材20のシート厚は、収容する物品の大きさ、形状等によって適宜定めるが、通常、0.1〜1mm、好ましくは0.3〜0.8mmとする。
【0018】
ブリスター容器1の使用方法としては、カバー部材10の収容空間12に物品30を収容し、ヒンジ部2でカバー部材10と背面部材20とを折り曲げ、カバー部材10の背面開口部を背面部材20で閉じ、掛合部4a、4bでカバー部材10の舌片15と背面部材20の舌片25とを掛合させる。こうしてブリスター容器1で包装した物品30は、流通にのり、店頭に置かれる。
【0019】
本発明は、種々の態様をとることができる。例えば、個々の掛合部4a、4bに設ける突起16、26の数は、複数個としてもよい。
【0020】
また、カバー部材10と背面部材20とがヒンジ部2で連設している態様に限らず、これらを別体として構成してもよい。カバー部材と背面部材とを別体として構成する場合、カバー部材の折り返し縁に背面部材をスライドさせてこれらを組み立てるものとしてもよく、カバー部材と背面部材の凹凸を嵌合させて組み立てるものとしてもよい。カバー部材10の舌片15と背面部材20の舌片25による掛合部4a、4bは、ブリスター容器の一縁辺に限らず、対向する2つの縁辺に設けてもよい。
【0021】
さらに、カバー部材と背面部材とを別体として構成する場合には、背面部材20の形成材料としては、前述の樹脂シートの他、板紙、合成紙、板紙又は合成紙と樹脂シートとの積層材等を用いることができる。この場合、突起26の形成方法としては、真空成形、圧空成形、ヒートエンボス等をあげることができる。
【0022】
また、カバー部材10と背面部材20とを一体に構成する場合、別体に構成する場合のいずれの態様においても、舌片15、25による掛合が無用に外れることを防止するため、掛合部はブリスター容器の縁辺の両端部に設けることが好ましいが、ブリスター容器の形状、用途等によっては、縁辺の中央部のみに設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のブリスター容器は、化粧品、清掃具、日用雑貨品、事務用品、機械部品等の種々の物品の包装容器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ブリスター容器の正面図(a)及び底面図(b)である。
【図2】ブリスター容器を開いた状態の平面図である。
【図3A】掛合部で舌片を掛合させていない状態のブリスター容器の斜視図及び掛合部の断面図である。
【図3B】掛合部で舌片を掛合させた状態のブリスター容器の斜視図及び掛合部の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ブリスター容器
2 ヒンジ部
3 縁辺
4a、4b 掛合部
10 カバー部材
11 凸部
12 収容空間
13 縁部
14 余剰空間
15 カバー部材の舌片
16 カバー部材の突起
20 背面部材
25 背面部材の舌片
26 背面部材の突起
30 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する収容空間が形成されたカバー部材と、カバー部材の背面開口部を閉じる背面部材とを備え、カバー部材の縁辺に設けられた舌片と背面部材の縁辺に設けられた舌片とを掛合させることによりカバー部材と背面部材とが閉じるブリスター容器であって、カバー部材の舌片と背面部材の舌片とを互いに掛合させることなく重ね合わせた場合のそれらの対向面にそれぞれ突起が設けられているブリスター容器。
【請求項2】
カバー部材の舌片と背面部材の舌片による掛合部が、ブリスター容器の少なくとも一縁辺の両端部に形成されている請求項1記載のブリスター容器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2009−298441(P2009−298441A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154421(P2008−154421)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】