説明

ブレーキブースターライン

【課題】ポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分とを含有するポリアミドブレンド成形材料から製造される部分真空ブレーキブースターラインを提供する。
【解決手段】ポリアミドブレンド成形材料のポリアミドブレンド成分が、(A)40J/gよりも高い融解エンタルピーを示す部分結晶性ポリアミドであって、ポリアミドPA11、PA610、PA612、PA1010、PA106、PA106/10T、PA614およびPA618から成る該ポリアミド25〜65重量%、(B)非晶質ポリアミドおよび/または微晶質ポリアミドである4〜40J/gの融解エンタルピーを有する該ポリアミド0〜25重量%、(C)6個の炭素原子を有するポリアミド1〜55重量%を含有し。さらに(D)非ポリアミドエラストマーまたは非ポリアミドエラストマーの混合物5〜35重量%から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
独立請求項1の前文によると、本発明は、ポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分を有する、ポリアミドブレンド成形材料から製造される部分真空ブレーキブースターラインに関する。とくに、このような成形材料は、工業用途および自動車用途におけるライン、好ましくは真空ライン、特に好ましくはブレーキブースターラインを製造することに適している。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド製のプラスチックパイプは既知であり、該パイプは、例えばブレーキライン、油圧ライン、燃料ライン、冷却ラインおよび空気ラインを目的とする、自動車工学における多種多様な方法で使用されている(DIN73378に記載の「自動車用のポリアミド製パイプ」を参照)。ポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分を有するポリアミドブレンド成形材料は、油圧パイプ、特にクラッチ用ラインの製造に関する欧州特許出願公開第1942296号A1明細書から既知である。
【0003】
自動車工学において使用されるプラスチックパイプまたはラインは、数多くの要求を満たさなければならない。ブレーキブースターラインの場合、該ラインの機能は以下のように記載できる:
【0004】
所望のブレーキ効果を得るために必要な作動力を減少させるために、ブレーキブースターが車両のブレーキにおいて使用されている。特に、ディスクブレーキが使用される場合、ペダル踏力のみを使用して自動車のディスクブレーキを作動させることは、過大な力が必要とされるので、該ブースターは必要である。乗用車および市販の小型車両の大部分に装備されている部分真空ブレーキブースターの場合、補助力は、部分真空と大気圧との圧力差を用いて発生される。トラックなどの市販されている中型自動車〜大型自動車(通常7.94t以上)の場合、制動力は、圧縮空気、すなわち、外力を用いるブレーキシステムを用いることにより発生される。この場合、作動圧は約8barである。これらの空気式のブレーキブースターに加え、油圧式ブレーキブースターおよび電気式ブレーキブースターも既知である。
【0005】
古典的なガソリンエンジンを装備する自動車は、可燃性の燃料と空気の混合物を調製するために、部分負荷の下でスロットルを使用する必要がある。副次的な効果として、部分真空が、吸気装置(インテーク・マニフォールド)に設置されたスロットルバルブの後方で生じる。空気式のブレーキブースターの場合、ブレーキペダルの踏力は、吸気部分真空ポンプまたは真空ポンプの援助により増幅される。例えば、VW社製のTSIエンジンのような、ガソリンを直接噴射する現在のガソリンエンジンの場合は、(基本的にはスロットルバルブを有さない)ディーゼルエンジンの場合と同様に、関連するシステムからスロットルバルブが省略されるので、独立した吸引ポンプまたは部分真空ポンプ(真空ポンプも含む)が必要である。逆止弁が、ブレーキブースターと真空源との間を接続するライン内に設置され、該逆止弁は、全負荷時およびエンジン停止時の部分真空状態を維持するために使用される。この部分真空は、制動力を増加させるブレーキブースターにおいて利用できる外気に対する圧力勾配に相当する。
【0006】
真空または部分真空は、一般に、真空発生装置からブレーキまたはブレーキブースター(BKV)へ、パイプラインを用いて伝達される。あらゆる気象条件および温度条件下において、ブレーキブースターが完全に機能することを確実にするために、とりわけ、ブレーキブースターラインは以下の要求を満たさなければならない:
【0007】
1)可撓性ラインであるブレーキブースターライン「TL52655」(フォルクスワーゲンAG社製)における材料要件:通常温度域(連続的な温度TD≦120℃)、高温度域(連続的な温度TD≦160℃)、充分な強度を示す温度は、少なくとも+150℃まで(ただし短期的に+160℃を越える)。一方、ブレーキブースターラインは、−40℃の温度でも安全に作動しなければならない。さらに、このようなブレーキブースターラインは、オゾンに対する耐性を示し、亀裂を生じることなく、繰り返し変化する気象条件(最大で20〜60サイクル)での耐久性を示さなければならない。
【0008】
2)ブレーキブースター用低圧パイプアッセンブリーに関する世界的な工学標準規格である「GMW14640」(ゼネラルモータース社製):型式A、通常温度域−40℃〜+110℃(最高温度:+120℃まで);型式B、高温度域−40℃〜+140℃(最高温度:+150℃まで)。この条件は、9±0.15×1.5±0.1mm;12±0.15×1.5±0.1mm;および12.5±0.15×1.25±0.1mmの直径を有するラインに関して適用される。
【0009】
3)「DBL6270」(メルセデスベンツ社製)に関する、低圧領域用ポリアミド(PA)製パイプについてのサプライヤー向け指針:
パイプは、+150℃以下の貯蔵温度で1000時間以上の熱劣化試験にさらされ、その後ISO179に従って、23℃と−40℃での耐衝撃性試験に付される。パイプが新しい状態の場合、耐衝撃性試験は23℃、−40℃および−50℃でおこなわれる。破裂圧力試験はDIN53 758に従っておこなわれる。ブレーキブースターラインに関して、DIN73 378およびFMVSS106/74に従い性質の評価を行う。圧縮空気ブレーキシステムの分野におけるパイプに対して、さらにDIN74 324−1およびDIN74 324−2に従う評価を行なう。ブレーキブースターを作動させるための部分真空ラインとしてのパイプに関して、製品規格A1160006699および標準規格FMVSS106を更に適用する(ユニモグ(Unimog)を除く)。
【0010】
また、欧州特許出願公開第1329481号A2明細書および独国特許出願公開第10333005号A1明細書が先行技術として既知である。両文献は、自動車工学、建設工学および医療工学用のラインに関係する。特に、これらの明細書は、ブレーキブースター用の部分真空ラインの製造に関係すると共に、換気用ライン、耐圧ホース、圧縮空気ライン、制御用ライン、冷却用ライン、燃料用ライン、排出用ライン、ウインドシールド洗浄システム用ライン、油圧式クラッチシステム用ライン、パワーステアリング用ライン、空調用ライン、ケーブル若しくはリード線の外装管、または、オイルフィルター若しくは燃料フィルターの射出成形品に関係する。欧州特許出願公開第1329481号A2明細書は、6個〜12個の炭素原子を有する直鎖状の脂肪族ジアミンと、6個〜12個の炭素原子を有する直鎖状の脂肪族または芳香族のジカルボン酸と、エーテル基の酸素1個当たり少なくとも3個の炭素原子および鎖末端に第一級アミノ基を有するポリエーテルジアミンとに基づくポリエーテルアミドを、99.9重量%〜95重量%含有する成形材料を開示する。この成形材料は、異なる化学成分からなるコポリマーを0.1〜5重量%含むことにより100重量%を満たす。
【0011】
独国特許出願公開第10333005号A1明細書は、6個〜14個の炭素原子を有する直鎖状の脂肪族ジアミンと、6個〜14個の炭素原子を有する直鎖状の脂肪族または芳香族のジカルボン酸と、エーテル基の酸素1個当たり少なくとも3個の炭素原子および鎖末端に第一級アミノ基を有するポリエーテルジアミンとに基づくポリエーテルアミドを97〜80重量%含有する成形材料を開示する。この成形材料は、官能基を含有するゴムを3〜20重量%含むことにより、100重量%を満たす。
【0012】
さらに、製品VESTAMID(登録商標)EX9350ブロックは、先行技術として既知である(VESTAMIDはエボニックデグサ社の登録商標である)。該製品は、パイプライン、例えばブレーキブースターラインなどを製造する場合に押出加工に付される、耐熱性および耐候性を示す耐衝撃性改質ポリアミド612エラストマーである。
【0013】
異なる組成物を有する芳香族/脂肪族ポリアミドの混合物は、M.サントスらにより1996年に刊行された「芳香族/脂肪族ポリアミドブレンドの耐衝撃性:組成と加工条件の効果」(Journal of Applied Polymer Science 第62巻、第1167頁〜第1177頁)により既知である。ポリアミド成分と少なくとも1種の耐衝撃性成分とを有するポリアミドブレンド成形材料が開示され、該ポリアミドブレンド成形材料は以下の成分を含有する:
− モノマー単位当り平均7個の炭素原子を有する非晶質ポリアミド(PA6I/6T);32重量%、
− モノマー単位当り平均6個の炭素原子を有して、ラクタムおよび/またはアミノカルボン酸に基づく、ポリアミド(ナイロン6);48重量%、および
− 無水マレイン酸で官能化されたエチレン/プロピレンエラストマー(EPX);20重量%。
【0014】
ポリアミドブレンド成分と少なくとも1種の耐衝撃性成分とを有するポリアミドブレンド成形材料が、米国特許第5928738号明細書により既知であり、該ポリアミドブレンド成形材料は以下の成分を含有する:
− モノマー単位当り平均9個の炭素原子を有するポリアミド6/12(グリロン社製CF6S);30重量%、
−非晶質ポリアミド6I/6T;10重量%、
− モノマー単位あたり平均6個の炭素原子を有し、ラクタムおよび/またはアミノカルボン酸に基づくポリアミド6;50重量%、および
− エチレン/メタクリル酸エラストマー;10重量%。
【0015】
ポリアミドブレンド成分と少なくとも1種の耐衝撃性成分とを有するポリアミドブレンド成形材料が、米国特許第6416832号明細書により既知であり、該ポリアミドブレンド成形材料は以下の成分を含有する:
− モノマー単位あたり平均8個の炭素原子を有するポリアミド6/12/MXD6;20重量%、
− 非晶質ポリアミド;10重量%,
− モノマー単位当り平均6個の炭素原子を有し、ラクタムおよび/またはアミノカルボン酸に基づくポリアミド6;50重量%、および、
− ポリエチレン(AAEおよびPE)に基づくエラストマー;20重量%。
【0016】
ポリアミドブレンド成分と少なくとも1種の耐衝撃性成分とを有するポリアミドブレンド成形材料が、米国特許出願公開第2005/0009976号A1明細書により既知であり、該ポリアミドブレンド成形材料は以下の成分を含有する:
− モノマー単位当り平均7個の炭素原子を有するポリアミドMXD6;45重量%、
− 非晶質ポリアミド;25重量%、および
− モノマー単位あたり平均6個の炭素原子を有し、ラクタムおよび/またはアミノカルボン酸に基づくポリアミド(PA6−NC2);30重量%。
【0017】
ポリアミドブレンド成分と少なくとも1種の耐衝撃性成分とを有するポリアミドブレンド成形材料が、米国特許出願公開第2007/0089798号A1明細書により既知であり、該ポリアミドブレンド成形材料は以下の成分を含有する:
− モノマー単位当り平均7個の炭素原子を有するポリアミドポリメタキシリレンアジポアミド(MXD6);50重量%、および
− 830MPaの弾性率を示し、モノマー単位あたり平均6個の炭素原子を有する変性ポリアミド6;50重量%。
【0018】
ポリアミド成分と少なくとも1種の耐衝撃性成分とを有するポリアミドブレンド成形材料の生成が、米国特許出願公開第2004/0259996号A1明細書により既知であり、該ポリアミドブレンド成形材料は以下の成分を含有する:
ポリアミドおよびポリエステルアミド、ナノサイズの繊維充填材、ならびに耐衝撃性調整剤。エチレンプロピレンゴム(EPM)と、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が、耐衝撃性調整剤として開示されている。
【0019】
短いサイクル時間を示し、射出成形の間に優れた流動性を示す強化ポリアミド組成物が、特開2001−329165号公報により既知である。該強化ポリアミド組成物は、強固な熱溶着製品または溶媒溶接製品をもたらし、96重量%〜99重量%の結晶質ポリアミドと、少なくとも2種の芳香族モノマー成分を有する、0.1〜4重量%の、部分的に非晶質のコポリアミドと、ポリアミド樹脂100重量部あたり5〜200重量部の無機充填剤とを含有する。
【0020】
ポリアミドに基づく成形材料が、欧州特許出願公開第1942296号A1明細書により既知であり、該成形材料は以下の成分から成る混合物から合成される:
− モノマー単位あたり平均8個の炭素原子を有するポリアミド610;45〜97重量%、
− 非晶質および/または微晶質のポリアミドおよび/またはコポリアミド; 0〜30重量%、
− エチレンおよび/またはプロピレンに基づくコポリマー形態の耐衝撃性成分; 2〜20重量%、および
− 添加剤;1〜10重量。
【0021】
例えば表1の成形材料5に記載されるような、ポリアミド6、ポリアミド12、および耐衝撃性改質剤から成るブレンドはホース材料として適当であることが、米国特許出願公開第2004/0096615号A1明細書における、第「0113」段落の第2段落に開示されている。第「0002」段落の記載によると、該明細書は圧縮空気ブレーキラインとして使用することを開示している。
【0022】
圧縮空気ブレーキラインは、米国特許公開第2009/0065085号明細書にも開示されている。該ブレーキラインは少なくとも3つの層を有している。所望により、接着促進剤の中間層が使用される。第「0061」段落において、ポリアミド612、ポリアミド6、および耐衝撃性改質剤を含有する混合物が、接着促進層を用いる組成物に関する例として明記されている。
【0023】
押出中空体状の多層複合材が、米国特許出願公開第2008/0057246号A1明細書により既知である。関連する多層構造パイプは、好ましくは燃料ラインとして使用される。圧縮空気ブレーキラインは、更に可能な使用例として記載されている。最外層は、ポリアミドエラストマーを有するポリアミド混合物である。表3によると、ポリアミド12、ポリアミド6および耐衝撃性改質剤から成る混合物である、成形材料Z7873が、内部層に使用できる。
【0024】
好ましくはパイプの形状を有し、バイオディーゼルまたはブレーキ液用の使用に適する多層構造が、米国特許出願公開第2009/0269532号明細書により既知である。表1における実施例39において、ポリアミド6、ポリアミド12、および耐衝撃性改質剤を含有するポリアミドブレンド成形材料から成る接着促進剤層を中間層とする、三層構造のパイプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1942296号A1明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1329481号A2明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10333005号A1明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10333005号A1明細書
【特許文献5】米国特許第5928738号明細書
【特許文献6】米国特許第6416832号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0009976号A1明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2007/0089798号A1明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0259996号A1明細書
【特許文献10】特開2001−329165号公報
【特許文献11】欧州特許出願公開第1942296号A1明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2004/0096615号A1明細書
【特許文献13】米国特許公開第2009/0065085号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2008/0057246号A1明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2009/0269532号明細書
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】DIN73378に記載の「自動車用のポリアミド製パイプ」
【非特許文献2】M.サントスらにより1996年に刊行された「芳香族/脂肪族ポリアミドブレンドの耐衝撃性:組成と加工条件の効果」(Journal of Applied Polymer Science 第62巻、第1167頁〜第1177頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、ポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分を含有するポリアミドブレンド成形材料から生産される代替的なブレーキブースターラインを提供することであり、該代替的なブレーキブースターラインは、先行技術から既知であるブレーキブースターラインに少なくとも匹敵する性質を有する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この目的は、請求項1に記載の部分真空ブレーキブースターラインに係る本発明によってもたらされる。本発明に係る該部分真空ブレーキブースターラインは、ポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分を含有するポリアミドブレンド成形材料から製造され、使用される該ポリアミドブレンド成形材料は、ポリアミドブレンド成分が以下のポリアミドを含有することを特徴とする:
(A)融解エンタルピーが40J/gよりも大きく、モノマー単位当り平均して少なくとも8個の炭素原子を有する、少なくとも1種の部分的に結晶質のポリアミドであって、PA11、PA610、PA612、PA1010、PA106、PA106/10T、PA614およびPA618のポリアミドから成る群から選択される該ポリアミド;25〜65重量%、
(B)少なくとも1種の非晶質ポリアミドおよび/または微晶質ポリアミドであって、
該微晶質ポリアミドが4〜40J/gの範囲で融解エンタルピーを有する該ポリアミド;0〜25重量%、
(C)モノマー単位当り平均して最大で6個の炭素原子を有し、好ましくは融解エンタルピーが40J/gよりも大きい、少なくとも1種のポリアミド;1〜55重量%。
【0029】
更に、本発明による部分真空ブレーキブースターラインを製造するためのポリアミドブレンド成形材料は、耐衝撃性成分が以下の(D)から構成されることを特徴とする:
(D)非ポリアミドエラストマーまたは非ポリアミドエラストマーの混合物;5〜35重量%。
【0030】
重量%に関する全ての記載は、ポリアミドブレンド成形材料の総重量に関連し、必要に応じて添加される常套の添加剤を補充することにより、全体で100重量%となる。
【0031】
更に、本発明による部分真空ブレーキブースターラインは、単層の押出パイプ状の形態を有すると共に、+180℃の温度において、少なくとも50MPaの弾性率を有する。
【0032】
ポリアミドについての、モノマー単位当りの炭素原子の平均数は、使用するモノマー中の炭素原子数の合計を、使用するモノマーの数で除することによって算出される。
【0033】
本発明による更なる特徴および好ましい実施態様は、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明による成形材料で生産された成形体、および比較用の成形材料で生産された成形体について、種々の温度で測定した弾性率の対数グラフである。
【図2】図2は、本発明による成形材料で生産された成形体、および比較用の成形材料で生産された成形体について、150℃で測定した、時間を関数とする相対弾性率のグラフを示す。
【図3】図3は、本発明による成形材料で生産された成形体、および比較用の成形材料で生産された成形体について、時間を関数とする150℃での重量損失率のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の定義は、本発明と関連して記載される。
「ポリアミド」という用語は、以下のものを含むと理解される:
−ホモポリアミド、および
−コポリアミド。
【0036】
「ポリアミドブレンド」という用語は、以下のものを含むと理解される:
− ホモポリアミドとコポリアミドとの混合物(ブレンド)
− ホモポリアミドの混合物、および
− コポリアミドの混合物。
【0037】
「ポリアミド成形材料」という用語は、ポリアミドおよび/またはポリアミドブレンドを含有する成形材料を含むものと理解される。このポリアミド成形材料は添加剤を含有することができる。
【0038】
「構造単位」という用語は、ポリアミド鎖において繰返される最小単位に関し、該ポリアミド鎖は、アミノカルボン酸および/またはジアミン、およびジカルボン酸で構成される。「繰返し単位」という用語は、「構造単位」と同義語である。このような構造単位の選択例を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1において、構造単位は、各種ポリアミドに関する角括弧内に記載され、指数nが付与されている。表1に示されるように、AA/BB型(例えばPA66またはPA612)と称されるポリアミドの構造単位は、いずれの場合も相互に補充する複数のモノマー単位、すなわちジアミンとジカルボン酸のモノマー単位を含有する。
【0041】
「モノマー単位あたりの炭素原子の平均数(φ)」という用語は、使用されるモノマー中の炭素原子の総数を、使用したモノマー数で割ることにより計算される炭素原子数であると理解される。例えば、以下の例が挙げられる:
PA6 φ モノマー単位あたり平均6個の炭素原子[6:1=6]
PA66 φ モノマー単位あたり平均6個の炭素原子[(6+6):2=6]
PA11 φ モノマー単位あたり平均11個の炭素原子[11:1=11]
PA612 φ モノマー単位あたり平均9個の炭素原子[(6+12):2=9]
PA612/1012 φ モノマー単位あたり平均10個の炭素原子
[{(6+12)+(10+12)}:4=10]。
【0042】
モノマー単位あたりの炭素原子の平均(φ)数は、整数でなくてもよい。
【0043】
さらに、ポリアミドは、ジアミン、ジカルボン酸、ラクタムおよびアミノカルボン酸から成る群から選択される直鎖状および/または分枝鎖状の脂肪族および/または脂環式モノマーに基づいて合成される。ジアミン、ジカルボン酸、ラクタムおよびアミノカルボン酸は、それらから合成されたポリアミド中における対応するモノマー単位として見出される、使用可能な4種類のモノマー種である。それは以下のように分類される:
− モノマー単位あたり平均して少なくとも8個の炭素原子を有するポリアミド、例えば、PA11、PA12、PA412、PA414、PA418、PA46/418、PA610、PA612、PA614、PA618、PA106およびPA106/10Tなど、
− 非晶質および/または微晶質ポリアミド(なお、微晶質ポリアミドは4〜40J/gの範囲、特に4〜25J/gの範囲に融解エンタルピーを有する)、例えば、PA MACMI/MACMT/12、PA MACMI/12およびPA PACM12など、および
− モノマー単位あたり平均して最大6個の炭素原子を有するポリアミド、例えばPA6、PA46およびPA66など。
【0044】
ポリアミドを生成するためのモノマーは以下のものから選択できる:
【0045】
ジカルボン酸は以下の群から選択できる:脂肪族でC-C44の二酸(diacid)、脂環式でC-C36の二酸、芳香族の二酸(好ましくはTPS、IPS、NDS)、ならびにこれらの混合物および組合せ。好ましくは、ジカルボン酸は以下の群から選択される:アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびこれらの混合物、特に好ましくは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、日本酸、シクロヘキサンジカルボン酸(特にシス−および/またはトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸および/またはシス−および/またはトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸(CHDA)、36個または44個の炭素原子を有する二量体脂肪酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸。
【0046】
好ましくは、ジアミンは以下のものから成る群から選択される:分枝鎖状または非分枝鎖状の脂肪族のC-C18のジアミン、脂環式のC-C20のジアミン、芳香族核を有するジアミン、ならびにこれらの混合物および組合せ。直鎖状または分枝鎖状脂肪族ジアミンの例には以下のものが含まれる:1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(MPMD)、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン(OMDA)、1,9−ノナンジアミン(NMDA)、1,10−デカンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン(MODA)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(NDT)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(INDT)、5−メチル−1,9−ノナンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン−テレフタレート(TMDT)、イソホロンジアミン(IPD)および1,18オクタデカンジアミン。
【0047】
脂環式ジアミンとして以下のものを使用できる:例えば、シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス−(アミノメチル)−シクロヘキサン(BAC)、イソホロンジアミン、ノルボナンジアミン、ノルボナンジメチルアミン、ビス(アミノメチル)ノルボナン、4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、2,2−(4,4'−ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)、および3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)。言及されるアリール脂肪族ジアミンは、m−キシリレンジアミン(MXDA)およびp−キシリレンジアミン(PXDA)である。使用される全ての短縮名称および略称は、ISO基準1874−1に対応する(表A.3:非直鎖状で脂肪族のモノマー単位に関連する符号参照)。
【0048】
好ましくは、ラクタムまたはアミノジカルボン酸は、以下のものよりなる群から選択される:カプロラクタム、ラウリンラクタム、アミノカプロン酸、アミノラウリン酸およびアミノウンデカン酸。4個、6個、7個、8個、11個または12個の炭素原子を有するラクタムまたはα,ω−アミノ酸が好ましい。これらのラクタムには、ピロリジン−2−オン(4個の炭素原子)、ε−カプロラクタム(6個の炭素原子)、オエナンセラクタム(7個の炭素原子)、カプリルラクタム(8個の炭素原子)、ラウリンラクタム(12個の炭素原子)が含まれる。または、該α,ω−アミノ酸には、1,4−アミノブタン酸(4個の炭素原子)、1,6−アミノヘキサン酸(6個の炭素原子)、1,7−アミノヘプタン酸(7個の炭素原子)、1,8−アミノオクタン酸(8個の炭素原子)、1,11−アミノウンデカン酸(11個の炭素原子)および1,12−アミノドデカン酸(12個の炭素原子)が含まれる。
【0049】
当業者は、種々のタイプのポリアミド(AA/BB型またはAB型のホモポリアミド、あるいはコポリアミド)を生成させるために、どのようなタイプのモノマーまたはどのようなモノマーを使用するかについて既知である。
【0050】
本発明は、先行技術から明らかにされるものではない。何故ならば、上述の文献は、本発明の特徴に係るポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分を含有するポリアミドブレンド成形材料から製造される部分真空ブレーキブースターラインを提案しないからである。
【0051】
本発明は、実施例に基づく本発明を表す添付図に基づきより詳細に説明されるが、これらに制限されない。図において、
図1は、本発明による成形材料を用いて生産された成形体、および比較用の成形材料で生産された成形体について、種々の温度で測定した弾性率の対数グラフである。
図2は、本発明による成形材料を用いて生産された成形体、および比較用の成形材料で生産された成形体について、150℃で測定した、時間を関数とする相対弾性率を表すグラフである。
図3は、本発明による成形材料を用いて生産された成形体、および比較用の成形材料で生産された成形体について、時間を関数とする150℃での重量損失率を表すグラフである。
【0052】
図1は、温度を関数とする弾性率を示す。BKVラインなどの用途に好ましく使用される比較例1(VB1)は、この図において、−40℃で約2414MPaの弾性率、+23℃で約669MPaの弾性率、+100℃で約200MPaの弾性率、および+180℃で約43MPaの弾性率を示す、線形曲線を示す。
【0053】
本発明に係る実施例V1は、−40℃で約2000MPaの弾性率、+23℃で約1580MPaの弾性率、+180℃で約90MPaの弾性率、および+200℃で約60MPaの弾性率を示す。本発明に係る実施例V1は、比較例VB1と比べて、比較的低温ではより低い弾性率を呈した。その一方、比較例VB1と比べて、本発明に係る実施例V1は、より高温ではより高い弾性率を示すことが明らかになった。
【0054】
図2は、時間を関数とする相対弾性率を示す。全ての例において、0時間では、相対弾性率は100%である。比較例VB1における12時間後の相対弾性率は既に86%まで低下しているが、本発明に係る実施例V1における相対弾性率は97%を越えたままである。48時間後において、比較例VB1における相対弾性率は約80%まで低下しているが、本発明に係る実施例は、依然到達していない。比較例VB1の場合、約750時間以降の全ての例においてほぼ均一な値を示し、該弾性率は約65%の値を示している。一方、本発明に係る実施例V1における相対弾性率は、92%を下回ることがなく、2000時間後の測定では、再び100%の初期値に実質的に到達している。
【0055】
図3は、本発明による成形材料を用いて生産された成形体、または比較用の成形材料で生産された成形体について測定した、時間を関数とする150℃での重量損失率を表す。時間0の場合、全ての例において重量損失率は0%である。比較例VB1における重量損失率は250時間後に既に0.57%である。一方、本発明に係る実施例V1は、最初の250時間において僅か0.11%の損失である。比較例VB1の場合、実質的に連続して重量損失率が増加しており、1500時間後において該損失率は1.34%である。一方、本発明に係る実施例V1の場合、1000時間後では、約0.33%〜0.35%の重量損失率で重量が安定している。
【0056】
図1〜3に基づくと、ポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分を含有するポリアミドブレンド成形材料から製造される、本発明に係る代替的な部分真空ブレーキブースターラインは、先行技術から既知であるブレーキブースターラインと比べ、少なくとも同程度の、多くの場合、より良好な特性値を有することが判る。
【0057】
VW PV3936ガイドラインに従っておこなわれる「ブローバイテスト(blow by test)の結果によると、先行技術に係り実施された試験品(VB1)は表面に亀裂を生じるが、本発明に係る、ポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分を含有するポリアミドブレンド成形材料から製造された試験品(V1)は、その表面上にあらゆる亀裂を生じなかった。
【0058】
ポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分を含有するポリアミドブレンド成形材料から製造される代替的な部分真空ブレーキブースターラインを本発明に従い製造するための成形材料における、ポリアミドブレンド成分の成分Aは、モノマー単位あたり平均して少なくとも8個の炭素原子を有するポリアミドである。これらのポリアミドは、直鎖状および/または分枝鎖状の脂肪族および/または脂環式および/または芳香族モノマーに基づいて構成される。該ポリアミドは、例えば、PA11、PA610、PA612、PA1010、PA106、PA106/10T、PA614およびPA618、またはこれらの混合物などである。
【0059】
成分Aにおいて部分結晶性ポリアミドを使用する場合、この部分結晶性ポリアミドは、40J/gよりも高い融解エンタルピーを示す。
【0060】
成分Bにおいて微晶質のポリアミドまたはコポリアミドが使用される場合、この微晶質のポリアミドおよび/またはコポリアミドは、4〜40J/g、好ましくは4〜25J/gの範囲に融解エンタルピーを有する(示差走査熱量測定法、DSC法を用いて測定される)。好ましくは、このような微晶質のポリアミド/コポリアミドは、更なる成分を用いることなく加工した場合に、透明な成形品をもたらすポリアミドである。
【0061】
微晶質のポリアミドは、脂肪族、脂環式および/または芳香族モノマーから合成され、ホモポリアミドとコポリアミドを含有する。微晶質ポリアミドは、もはや完全な非晶質ではない。しかしながら、これらは、光の波長よりも小さくて目に見えない微晶質構造に基づく結晶を有する。このため、微晶質ポリアミドは、肉眼では透明にみえる。
【0062】
透明なホモポリアミド(例えばPA MACM12およびPA PACM12など)、および透明なコポリアミド(PA12/MACMIおよびPA MACM12/PACM12)、ならびにこれらの混合物またはブレンドは、成分Bに関して特に好ましい。国際特許出願公開第2007/087896号A1明細書において既知であるPA MACMI/MACMT/12が成分Bに関して正に特に好ましい。
【0063】
好ましくは、成分BにおけるポリアミドPA MACMI/MACMT/12は、以下のものから生成される:
− 30〜45重量部のMACMI;
− 30〜45重量部のMACMT、および
− 10〜40重量部のLC12。
【0064】
好ましい実施態様において、成分Bは、脂環式ジアミンおよび/または芳香族核を有するジアミン(例えばMXDAまたはPXDA)に基づくコポリアミドおよび/または微晶質ポリアミドおよび/または非晶質ポリアミドである。好ましくは、このポリアミドは、10個〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸および脂環式ジアミンに基づいて形成される。特に好ましくは、脂環式ジアミンは、更なる置換基を有するか、または有さないMACMおよび/またはPACMおよび/またはIPD(イソホロンジアミン)である。この成分B全体において、いずれの場合も10個〜18個の炭素原子を有する脂肪族のジカルボン酸、例えばMACM12/PACM12等を有する、MACM/PACM型のコポリアミドが特に好ましい。55モルパーセントよりも高く、特に70モルパーセントよりも高いPACM濃度が特に好ましい。MACMを表すISO表記はビス-(4-アミノ-3-メチル-シクロヘキシル)-メタンであり、ラロミン(Laromin)(登録商標)C260型として3-3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンの商品名で商業的に入手できる(CAS No.6864−37−5)。いずれの場合もMACMの用語の後にある数字は、ジアミンMACMと重合する脂肪族で直鎖状のジカルボン酸を示す(C12の場合、例えばDDS、ドデカン二酸を表す)。PACMを表すISO表記は、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)-メタンであり、商品名ジシカン型として4’4-ジアミノジシクロヘキシルメタンとして商業的に入手できる(CAS No.1761−71-3)。
【0065】
既に説明したように、成分Bは、非晶質ポリアミドおよび/またはコポリアミドを二者択一的にまたは共に含有してもよく、この場合、好ましくは4J/g未満の融解エンタルピーを示す(示差走査熱量測定系(DSC)を使用して測定する)。好ましくは、成分Bは、+120℃よりも高く、好ましくは+140℃よりも高く、より好ましくは+150℃よりも高いガラス転移温度を示す。
【0066】
さらに好ましい実施態様において、成分Bは、脂肪族および/または脂環式ジアミンに基づく非晶質ポリアミドおよび/またはコポリアミドである。好ましくはMACMI/12型の非晶質ポリアミドが使用され、この場合、ラウロラクタムの含有量は、好ましくは35モルパーセントより低く、特に20モルパーセントより低い。いずれの場合においても、表記「I」はイソフタル酸を表す。したがって、成分Bは、8個〜18個の炭素原子を有する芳香族のジカルボン酸に基づくポリアミド、または6個〜36個の炭素原子を有する脂肪族のジカルボン酸に基づくポリアミド、あるいはこのようなホモポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物であってもよい。その一方で、ラクタムおよび/またはアミノカルボン酸に基づくポリアミドが好ましく、芳香族ジカルボン酸は、例えばTPS(テレフタル酸)および/またはIPS(イソフタル酸)が関連するものが好ましい。
【0067】
(透明な)ホモポリアミドおよび/またはコポリアミドは、以下のものを含有する群から選択されるポリアミドが有利である:PA6I/6T、PA TMDT、PA NDT/INDT、PA 6I/MACMI/MACMT、PA 6I/PACMT、PA 6I/6T/MACMI、PA MACMI/MACM36およびPA6I;ラクタム含有ポリアミド、例えばPA12/PACMI、PA12/MACMI、PA12/MACMT、PA6/6IおよびPA6/IPDT等、およびこれらのポリアミドの任意の混合物。さらに、以下の系も可能である:PA MACM12、PA MACM18またはPA PACM12、PA MACM12/PACM12、PA MACM18/PACM18、PA6I/PACMI/PACMT、またはこれらから形成される混合物。ポリアミドの名称または略称は、ISO1874-1に従って与えられる(上記各モノマーの詳細を参照)。例えば、いずれの場合も、「I」はイソフタル酸、「T」はテレフタル酸、「TMD」はトリメチルヘキサメチレンジアミン、「IPD」はイソホロンジアミンを表す。
【0068】
さらに、ホモポリアミドおよび/またはコポリアミドが、少なくとも1種のジカルボン酸と、芳香族コアを有する少なくとも1種のジアミン、好ましくはMXD(メタ-キシリレンジアミン)に基づくポリアミドであることが有利であると共に可能であり、ジカルボン酸は芳香族および/または脂肪族であってもよく、好ましくは、ポリアミドは、例えばPA 6I/MXDIである。
【0069】
ポリアミドブレンド成分と耐衝撃性成分を含有するポリアミドブレンド成形材料から製造される代替的な部分真空ブレーキブースターラインを本発明に従い製造するための成形材料における、ポリアミドブレンド成分の成分Cは、モノマー単位当り平均して最大6個の炭素原子を含有するポリアミドであり、例えば、PA6 PA46およびPA66などである。これらのポリアミドは部分的に結晶質である。
【0070】
好ましくは、本発明に係る部分真空ブレーキブースターラインを製造するためのポリアミドブレンド成形材料は、成分Dがエチレン-α-オレフィンコポリマー、特に好ましくはEPMおよび/またはEPDMエラストマー(それぞれ、エチレン-プロピレンゴムまたはエチレン-プロピレン-ジエンゴムを表す)であることを特徴とする。従って、それは、例えば、20〜96wt%のエチレン、好ましくは25〜85wt%のエチレンを含有する、エチレン−C3-12−α−オレフィンコポリマーに基づくエラストマーであることができる。プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンおよび/または1-ドデセンから成る群から選択されるC3-12−α−オレフィンが特に好ましく、特に好ましくは、エチレン成分は、エチレン-プロピレンゴムおよび/またはLLDPE(鎖状低密度ポリエチレン)および/またはVLDPE(超低密度ポリエチレン)である。
【0071】
二者択一的にまたは付加的に(例えば混合状態)、成分Dは、好ましくは25〜85wt%のエチレンと10wt%以下の非共役ジエンを含有する、非共役ジエンとエチレン-C3-12−α−オレフィンに基づくターポリマーであってもよい。C3-12−α−オレフィンは、特に好ましくは1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンおよび/または1-ドデセンから成る群から選択されるオレフィンであり、および/または非共役ジエンは、ビシクロ(2.2.1)ヘプタジエン、ヘキサジエン-1.4、ジシクロペンタジエン、および/または特に5-エチリデンノルボルネンから成る群から選択される。
【0072】
更に、エチレン-アクリレートコポリマーも成分Dに関する対象となる。エチレン-アクリレートコポリマーの例には以下のものが含まれる:エチレン-メチルアクリレート-グリシジルメタクリレートターポリマー、例えばArkema(FR)社製の商品名「Lotader GMA」として商業的に入手可能である、またはエチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、例えばArkema(FR)社製の商品名「Lotader MAH」として商業的に入手可能である。成分Dに関してさらに可能な形態は、エチレン−ブチレンコポリマー、ニトリルゴム(例えばNBR、H−NBR)、シリコンゴム、EVAおよび国際特許出願公開第2005/033185号A1明細書に記載されているマイクロゲル、および/またはこのような系を含有する混合物(ブレンド)である。
【0073】
好ましくは、成分Dは、主鎖ポリマーと、不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン酸または不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルとの熱反応またはラジカル反応によりもたらされ、ポリアミドと充分に良好な結合性を示す濃度で導入される酸無水物基を含有する。好ましくは、この目的に関する試薬は以下の群から選択される:マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸、アコニット酸、および/またはイタコン酸無水物。好ましくは、0.1〜4.0重量%の不飽和酸無水物が耐衝撃性成分D上にグラフト化され、あるいは、不飽和ジカルボン酸無水物またはその前駆体が別の不飽和モノマーと共にグラフト化される。一般に、グラフト化度は、好ましくは0.1〜1.0%の範囲、特に好ましくは0.3〜0.7%の範囲である。
【0074】
エチレン-プロピレンコポリマーとエチレン-ブチレンコポリマーの混合物も、好ましい成分Dとして可能である。この場合、無水マレイン酸のグラフト化度(MHAグラフト化度)は、0.3〜0.7%の範囲である。このような生成物は三井化学社(日本)製の商品名「Tafmer MC201」として商業的に入手可能である。
【0075】
成分Dに関して上述した可能な系は、混合状態で使用することもできる。
【0076】
市販されている添加剤、例えば、安定剤(例えば、無機および有機のUV安定剤および熱安定剤)、柔軟剤、ラジカル捕獲剤、成核剤、加工助剤、着色剤、難燃剤、充填剤、機能性物質、滑剤、帯電防止剤(例えばカーボンブラック)、補強剤(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、ガラス粒子)および/または顔料、あるいはこれらの組合せまたは混合物などは、必要に応じてポリアミドブレンド成形材料に混合される。ガラス繊維に関しては、円形断面状のものおよび/または偏平(非円形)断面状のものを使用できる。
【0077】
特に好ましい部分真空ブレーキブースターラインは、ポリアミドブレンド成分が以下のポリアミドを含有することを特徴とする:
(A)55〜65wt%のPA610、および
(C)10〜20wt%のPA6。
【0078】
別の好ましい部分真空ブレーキブースターラインは、ポリアミドブレンド成分が以下のポリアミド(A)〜(C)を含有することを特徴とする:
成分(A)としての、少なくとも1種の部分的に結晶質のポリアミド;25〜50wt%、
成分(B)としての、少なくとも1種の非晶質ポリアミドおよび/または微晶質ポリアミド;5〜20wt%、および
成分(C)としての、少なくとも1種のポリアミド;5〜20wt%。
【0079】
例えば、ポリアミドナノ複合材料を製造するための方法が、欧州特許出願公開第1416010号A2明細書により既知であり、この方法によると、有機的に改質された層状珪酸塩を、ポリアミドナノ複合材料の溶融物中に、最大10重量%(好ましくは2.5〜6重量%)の終濃度で添加できる。100nm以下の平均粒径を有する剥離した層状珪酸塩が無機物として使用されている。三層型(2:1)の好ましく使用されるフィロ珪酸塩(層状珪酸塩)は、マイカ(例えば、モスコバイト、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト、マーガライト)、スメクタイト(例えば、モンモリノナイト、ヘクトライト)およびバーミキュライトを含有する。このように有機的に改質された層状珪酸塩は、射出成形部品および押出パイプにおける補強剤として使用できる。
【0080】
それに応じて、好ましい部分真空ブレーキブースターラインは、繊維および有機的に改質された層状珪酸塩を含む群から選択される充填剤をブレンドと混合させて用いることを特徴とし、該繊維は偏平ガラス繊維使用でき、ポリアミドブレンド成形材料は20wt%以下の該偏平ガラス繊維を混合できる。また、該ポリアミドブレンド成形材料は15wt%以下の有機的に改質された層状珪酸塩を混合させることができ、該有機的に改質された層状珪酸塩を、マイカ、スメクタイト、およびバーミキュライトを含む群から選択できる。
【0081】
好ましいポリアミドブレンド成形材料は、平滑パイプおよび波形パイプへと、既知の技術を用いて加工でき、例えば、常套のパイプ押出し法、波形パイプ押出法、または押出ブロー成形法によって、単一層若しくは多層構造に成形できる。本発明によると、ポリアミドブレンド成形材料は、単一層の押出パイプの製造に使用される。
【0082】
押出しにより得られた部分真空ブレーキブースターパイプは、円形ガラス繊維若しくは偏平ガラス繊維および/または層状珪酸塩の代わりあるいは追加的に、更なる充填剤、例えばガラスビーズ、滑石、CaCOまたはカオリン粒子を混合できる。
【実施例】
【0083】
以下の化学系を使用した:
【0084】
成分A=モノマー単位当り平均して少なくとも8個の炭素原子を有する部分的に結晶質のポリアミド:
PA610: ηrel=1.9〜2.25を示すポリアミド610[エムス−ケミAG社製(スイス)]
PA612: ηrel=2.0〜2.25を示すポリアミド612[エムス−ケミAG社製(スイス)]
【0085】
成分B=非晶質および/または微晶質ポリアミド:
PA MACMI/MACMT/12: ηrel=1.5〜1.6を示し、ガラス転移温度(Tg)が+190℃である非晶質ポリアミド[エムス−ケミAG社製(スイス)]
【0086】
成分C=モノマー単位当り平均して最大で6個の炭素原子を有するポリアミド:
PA6: ηrel=3.35〜3.5を示すポリアミド6[エムス−ケミAG社製(スイス)]
PA66:RADIOPOL A45、ラディーチ化学社製(イタリア)(ηrel=2.7を示すポリアミド66)
【0087】
耐衝撃性成分:
成分D=非ポリアミドエラストマー:
非ポリアミドエラストマー: Tafmer MC201、三井化学社製(日本)(無水マレイン酸でグラフト化されたエチレン−ブチレンコポリマーとエチレン−プロピレンコポリマーとの混合物)。
【0088】
いわゆる配合物またはポリアミドブレンド成形材料の製造は、ライストリッツ社製のミクロ27型2軸押出機(d=27mm、L/D=40、10ハウジング)を使用しておこなった。本発明によるポリアミドブレンド成形材料の全成分を、供給装置内(領域1)に投入した。成形材料を、150〜200rpm(1分間当りの回転数)のスクリュー速度、および+100℃〜+300℃の範囲のシリンダー温度、並びに1時間あたり12kgの処理量で調製し粒状にした。別の工程に付す前に、該粒状物を+80℃で24時間乾燥させた。
【0089】
その後、混合物を、アルバーグ社製の万能型の320-210-750(ヒドロニカ)射出成形機を使用して、+220℃〜+280℃のシリンダー温度、および+20℃〜+80℃の成形温度で、所望の試験体に成形した。スクリュー速度は150〜400rpmであった。
【0090】
大きさが9×1.5mm〜12.5×2.1mmである試験用パイプの製造を、少なくとも1個の押出機、パイプ用の押出ダイ、真空タンクを有する較正装置および冷却槽を具備するノキア-メイルファー社製のパイプ押出装置と、それに続く引抜き装置および切断装置を使用して製造した。
【0091】
使用するポリアミド成形材料を、パイプの製造前に+80℃で約8時間乾燥させる。予備乾燥した材料を、漏斗を介して3ゾーンスクリュー内に投入し、+220℃〜+280℃のシリンダー温度(配合物温度:+240℃〜+280℃)で融解させて均質化し、いわゆるパイプ用押出しダイを介して押出した。可塑性の予備成形品は、較正装置内の真空タンク中(全圧:100〜900mbar)で予備成形品を成形する較正装置(例えば、スリーブ較正装置)を介し、引抜き装置を用いて引き出される。成形されたパイプは、引抜き速度に応じてより長い時間若しくはより短い時間をかけて冷却される(冷却区画の長さは5〜20mが好ましい)。所望の冷却後または冷却区画の通過後(冷却槽の温度を+10℃〜+20℃とした)、パイプを巻き取るか切断する。引抜き速度は20〜100m/分である。各組成物を表2〜表4並びに表5および表6に示す。
【0092】
測定を以下の基準に従い、以下の試験対象物についておこなった:
引張弾性率: ISO527試験(引張速度1mm/分);ISO引張棒、規格:ISO/CD3167;A1型、170×20/10×4mm、温度:−40℃、+23℃、+80℃、+100℃、+120℃、+150℃および+200℃(図1参照)
【0093】
引裂強度および引裂点伸び:ISO527試験(牽引速度50mm/分)、ISO引張棒、規格:ISO/CD3167;A1型、170×20/10×4mm、温度:+23℃。
【0094】
シャルピー耐衝撃試験:ISO179/*eU、ISO試験棒、規格:ISO/CD3167、91型、80×10×4mm、温度+23℃
*1=非計装化
*2=計装化
【0095】
ノッチ付シャルピー衝撃試験:ISO179/*eU、ISO試験棒、規格:ISO/CD3167、91型、80×10×4mm、温度+23℃および−30℃;
*1=非計装化
*2=計装化
【0096】
ガラス転移温度(T):ISO規格11357-11-2;粒状物
【0097】
溶融温度(T):ISO規格11357-11-2;粒状物
【0098】
融解エンタルピー(ΔH):ISO規格11357-11-2;粒状物
【0099】
パイプの破裂圧力:DIN73378;+23℃
【0100】
示差走査熱量測定(DSC)を昇温速度20K/分で行った。
【0101】
温度20℃での、0.5重量%のm-クレゾール溶液(すなわち、100mlの溶液中に0.5gのPAが存在する)における、PA610、PA612、非晶質PA、ポリアミドエラストマーおよび配合物に関する相対粘度をDIN EN ISO307に従って測定した。また、1重量%の硫酸溶液(すなわち、100mlの溶液中に1gのPAが存在する)におけるPA6に関する相対粘度DIN EN ISO307に従って測定した。+275℃でのMVR(メルトボリュームフローレイト)をISO1133に従って測定した。
【0102】
940mbarの部分真空を施し、次いで温度を徐々に上昇させることにより、部分真空強度を測定した。パイプが崩壊した時点での温度を測定する。40×10×1mmの寸法を有するサンプルについての剪断弾性曲線を、1.5%の歪み、1Hzの振動数および4K/分の昇温速度条件下にて、Anton Paar社製のPhysica MCR 301を用いて記録した。
【0103】
表において特に指定がない限り、引張試験用のサンプルは乾燥状態で使用した。このため、サンプルを、射出成形後、室温にて少なくとも48時間、乾燥した環境下において貯蔵した。パイプを試験の前に調整した。表2は、比較例VB1、VB2およびVB3に係る成形材料に関する基本データを示す。
【0104】
【表2】

【0105】
VB1は、670MPaの弾性率と、+23℃で測定した場合、23kJ/mのノッチ付きシャルピー衝撃値を示すポリアミド612エラストマーである。相対的に、VB2およびVB3は著しく堅く、弾性率は2340MPaおよび2120MPaであり、また、+23℃で測定した場合、ノッチ付きシャルピー衝撃試験値はVB1より低く、9kJ/mまたは10kJ/mである。
【0106】
表3は、本発明に係る実施例V1、V5およびV6の成形材料に関する基礎データである。
【0107】
【表3】

【0108】
ブレンド組成物を適切に選択することにより、弾性率を1550MPa〜1860MPaの間に設定できることが、本発明に係る実施例V1、V5およびV6の成形材料に関する基礎データより明らかである。-30℃の温度で測定した弾性率は、好ましくは2000MPa以下である。本発明による部分真空ブレーキブースターラインは、-40℃の温度で測定した場合、2400MPa以下、好ましくは2000MPa以下、特に好ましくは1950MPa以下の弾性率を示す。
【0109】
更に、このような部分真空ブレーキブースターラインは、+180℃の温度にて測定した場合、少なくとも50MPa、好ましくは少なくとも75MPa、特に好ましくは少なくとも85MPaの弾性率を示す。
【0110】
弾性率は、VB2およびVB3と比較して大きく減少している。+23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃試験値は、本発明に係るブレンドにより75kJ/m以上に設定され、該値は、比較例VB1-VB3に関する値よりも高い。特に、VB1〜VB3と比較した場合、-30℃の温度で測定したノッチ付きシャルピー衝撃試験値が著しく増加している。
【0111】
ここで、表2および表3において記載されたポリアミドPA MACMI/MACMT/12は、EMS-CHEMIE AG社(EMS-GRIVORY ヨーロッパの事業部門、ドーマット/Ems、スイス)製のGrilamid(登録商標)TR60という商品名で入手できる。
【0112】
これらの成形材料から調製されたパイプまたは試験片に関する更なる測定をおこなった。関連する結果を、表4〜7において説明する。
【0113】
表4は、種々の温度にて、ISO引張棒について測定した弾性率を示す(図1も参照されたい)。
【0114】
【表4】

【0115】
VB1と比較して、該弾性率は、−40℃では低い値を示すが、+180℃では同等またはより高い値を示すことが判る。
【0116】
表5は、+150℃で貯蔵したISO引張棒の熱老化を示し、これらのISO引張棒からもたらされる、破砕時の相対伸長率を示す。
【0117】
【表5】

【0118】
本発明に係る実施例V1の場合、破砕時の伸長率は連続的に減少するが、先行技術(VB1)の場合、該伸長率は96時間および250時間後に1度上昇し、その後急激に減少している。本発明に係る特に好ましい実施例V1は、+150℃で2000時間貯蔵した後においても、破砕時の相対伸長率が40%より高く、この値は、比較例VB1の値の約2倍である。
【0119】
表6は、+150℃で貯蔵したISO引張棒の熱老化を示し、これらのISO引張棒からもたらされる衝撃強さ(シャルピー衝撃値)を示す
【0120】
【表6】

【0121】
貯蔵時間が750時間以下では、全ての試験片(VB1、V1)におけるISO引張棒は破砕しない。本発明に係る成形材料から調製されたISO引張棒(V1)は、+150℃の温度で1000時間以上貯蔵しても破砕しないが、先行技術(VB1)により調製されるISO引張棒は、この負荷に耐えることができない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドブレンド成分と、耐衝撃性成分とを含有するポリアミドブレンド成形材料から製造される部分真空ブレーキブースターラインであって、
(i)該ポリアミドブレンド成形材料の該ポリアミドブレンド成分が以下のポリアミド(A)〜(C)を含有し(ただし、重量%で表される全ての値は、必要に応じて市販の添加剤が添加されるポリアミドブレンド成形材料の総量に基づき、全体で100重量%となる)、
(ii)該耐衝撃性成分が以下の成分(D)から構成され、
(iii)該部分真空ブレーキブースターラインが単層押出パイプ状の形態を有すると共に、+180℃の温度において少なくとも50MPaの弾性率を示すことを特徴とする該部分真空ブレーキブースターライン:
(A)モノマー単位あたり平均して少なくとも8個の炭素原子を有し、40J/gよりも高い融解エンタルピーを示す少なくとも1種の部分結晶性ポリアミドであって、ポリアミドPA11、PA610、PA612、PA1010、PA106、PA106/10T、PA614およびPA618から成る群から選択される該ポリアミド(モノマー単位当りの炭素原子の平均数は、使用されるモノマー中の炭素原子の総数を、使用したモノマー数で割ることにより計算される):25〜65重量%、
(B)少なくとも1種の非晶質ポリアミドおよび/または微晶質ポリアミドであって、該微晶質ポリアミドが4〜40J/gの範囲で融解エンタルピーを有する該ポリアミド:0〜25重量%、
(C)モノマー単位当り平均して最大で6個の炭素原子を有する少なくとも1種のポリアミド:1〜55重量%、
(D)非ポリアミドエラストマーまたは非ポリアミドエラストマーの混合物:5〜35重量%。
【請求項2】
成分(B)の微晶質ポリアミドが4〜25J/gの範囲で融解エンタルピーを有することを特徴とする請求項1に記載の部分真空ブレーキブースターライン。
【請求項3】
ポリアミドブレンド成分が以下のポリアミド(A)〜(C)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の部分真空ブレーキブースターライン:
(A):少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド:25〜50重量%、
(B):少なくとも1種の非晶質ポリアミドおよび/または微晶質ポリアミド:5〜20重量%、および
(C):少なくとも1種のポリアミド5〜20重量%。
【請求項4】
少なくとも1種の非晶質ポリアミドおよび/または微晶質ポリアミド成分(B)が以下のポリアミドを含む群から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の部分真空ブレーキブースターライン:
PA MACMI/MACMT/12、PA MACMI/12およびPA PACM12、PA6I/6T、PA TMDT、PA NDT/INDT、PA 6I/MACMI/MACMT、PA 6I/6T/MACMI、PA MACM12/PACM12、PA MACMI/MACM36、PA6I;PA12/PACMI、PA12/MACMI、PA12/MACMT、PA6I/PACMT、PA6/6I、およびPA6/IPDT:PA MACM12、PA MACM18、PA PACM12、PA MACM12/PACM12、PA MACM18/PACM18、PA6I/PACMI/PACMT;PA6I/MXDI;ならびにこれらのポリアミドの任意の混合物。
【請求項5】
ポリアミドPA MACMI/MACMT/12を以下の成分から調製させることを特徴とする請求項4に記載の部分真空ブレーキブースターライン:
− 30〜45重量部のMACMI、
− 30〜45重量部のMACMT、および
− 10〜40重量部のLC12。
【請求項6】
モノマー単位当り平均して最大で6個の炭素原子を有する、少なくとも1種のポリアミド成分(C)が、ポリアミドPA6、PA46およびPA66を含む群から選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の部分真空ブレーキブースターライン。
【請求項7】
ポリアミドブレンド成分が以下のポリアミドから成ることを特徴とする請求項1に記載の部分真空ブレーキブースターライン:
(A)55〜65重量%のPA610、および
(C)10〜20重量%のPA6。
【請求項8】
少なくとも1種の非ポリアミドエラストマー成分(D)が、以下の群から選択されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の部分真空ブレーキブースターライン:
エチレン−α−オレフィンコポリマー、エチレン−C3−12−α−オレフィンコポリマー、および非共役ジエンを有するエチレン−C3−12−α−オレフィン、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)およびアクリレート。
【請求項9】
エチレン−α−オレフィンコポリマーが、EPエラストマー(エチレン−プロピレンゴム)および/またはEPDMエラストマー(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)であり、エチレン−C3−12−α−オレフィンコポリマーのオレフィンが、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンおよび/または1-ドデセンから成る群から選択され、および
非共役ジエンがビシクロ(2.2.1)ヘプタジエン、ヘキサジエン-1.4、ジシクロペンタジエン、および5-エチリデンノルボルネンから成る群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の部分真空ブレーキブースターライン。
【請求項10】
繊維および有機的に改質された層状珪酸塩を含む群から選択される充填剤を、ブレンドと混合させることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の部分真空ブレーキブースターラインであって、
該繊維として偏平ガラス繊維を使用し、該偏平ガラス繊維を20重量%以下の量で該ポリアミドブレンド成形材料と混合させ、並びに有機的に改質された層状珪酸塩がマイカ、スメクタイト、およびバーミキュライトを含む群から選択され、該有機的に改質された層状珪酸塩を15wt%以下の量で該ポリアミド成形材料と混合させる該部分真空ブレーキブースターライン。
【請求項11】
−30℃の温度で最大2000MPaの弾性率を示すことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の部分真空ブレーキブースターライン。
【請求項12】
−40℃の温度で最大2400MPa、好ましくは最大2000MPa、特に好ましくは最大1950MPaの弾性率を示すことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の部分真空ブレーキブースターライン。
【請求項13】
+180℃の温度で少なくとも75MPa、好ましくは少なくとも85MPaの弾性率を有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の部分真空ブレーキブースターライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−12599(P2012−12599A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−141310(P2011−141310)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(505343930)エムス−パテント アクチエンゲゼルシャフト (10)
【Fターム(参考)】