説明

ブレーキ装置

【課題】回生協調ブレーキやアンチロックブレーキ制御を動作させた際のペダル変動を抑えるブレーキ装置を提供する。
【解決手段】本ブレーキ装置1aは、例えば、アシスト機構9と合成力伝達機構11との間に弾性体40を介在させて構成したので、回生協調ブレーキやアンチロックブレーキ制御を動作させた際のペダル変動を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ装置としては、運転者のペダル操作を電動モータ等のアクチュエータによってアシストして、マスタシリンダ内の液圧を倍力して制動力を発生させる電動倍力装置を採用したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−296963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る電動倍力装置に、回生協調機能及びアンチロックブレーキ機能を有するホイールシリンダ圧制御機構を組み込む場合、回生協調ブレーキやアンチロックブレーキ制御を動作させる際に、ホイールシリンダ圧制御機構よりもマスタシリンダ側の液量剛性が高くなるため、ブースタピストンの位置による液圧(液量)変化が大きく、オーバシュートなどによりブースタピストンの位置決め精度が良くないと、ペダル変動が生じる懸念があった。
【0005】
本発明は、回生協調ブレーキやアンチロックブレーキ制御を動作させた際のペダル変動を抑えるブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、該入力部材の移動に応じて移動可能に配置されたアシスト機構と、外部からの制御により該アシスト機構を進退移動させるアクチュエータと、前記入力部材からの力と前記アシスト機構からの力を受けてこれらの合成された力でマスタシリンダ内に倍力されたブレーキ液圧を発生させる合成力伝達機構と、を備えた倍力機構と、前記マスタシリンダとホイールシリンダとの間に介在して、前記マスタシリンダ内のブレーキ液を前記ホイールシリンダ内に供給し、または前記ホイールシリンダ内のブレーキ液を前記マスタシリンダ内に戻すことにより、前記ホイールシリンダ内のブレーキ液圧を増減するホイールシリンダ圧制御機構と、からなるブレーキ装置であって、前記入力部材と前記合成力伝達機構との間、前記アシスト機構と前記合成力伝達機構との間または前記合成力伝達機構と前記マスタシリンダとの間のいずれか少なくとも1箇所に抵抗力を有するストローク要素を介在させて構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回生協調ブレーキやアンチロックブレーキ制御を動作させた際のペダル変動を抑えるブレーキ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係るブレーキ装置を示す模式図である。
【図2】第1実施形態に係るブレーキ装置の作動状態を示す模式図である。
【図3】マスタシリンダの液量剛性(液量変化に対する液圧変化)を示した図である。
【図4】第2実施形態に係るブレーキ装置を示す模式図である。
【図5】第3実施形態に係るブレーキ装置を示す模式図である。
【図6】第4実施形態に係るブレーキ装置を示す断面図である。
【図7】第5実施形態に係るブレーキ装置を示す模式図である。
【図8】第6実施形態に係るブレーキ装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図8に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態に係るブレーキ装置1aは、図1に示すように、倍力機構としての電動ブースタ2と、マスタシリンダ3と、ホイールシリンダ圧制御機構4とから構成される。
電動ブースタ2は、ブレーキペダル5の操作により進退移動する入力部材6と、該入力部材6の移動に応じて移動可能に配置されたアシスト機構9と、該アシスト機構9を進退移動させるアクチュエータとしてのモータ10と、入力部材6からの力とアシスト機構9からの力とを受けてこれらの合成された力をマスタシリンダ3内に倍力されたブレーキ液圧を発生させる合成力伝達機構11とから構成される。モータ10は、図示しないモータのコントローラからの電流により制御される。なお、コントローラは、後述の図6に示すコントローラCのようにブレーキ装置1aと一体的に設けられることが望ましい。
【0010】
入力部材6は、ブレーキペダル5を一端に有するスイング部材12と、該スイング部材12の他端寄りの位置に回動自在に連結されると共に合成力伝達機構11の構成部材であるリンク部材13の一端部に回動自在に連結される連結部材14とからなる。該連結部材14は、リンク部材13側に接続される第1連結部材15と、スイング部材12側に接続される第2連結部材16とが一体的に接続されて形成される。第1連結部材15はリンク部材13の一端部との接続部位が断面円形状に形成される円形状部17と、該円形状部17からスイング部材12側に延びる入力ロッド部18とからなる。一方、第2連結部材16は、スイング部材12を挟持するように平面視コ字状に形成される。また、スイング部材12の他端にはスイング部材12の回動変位を検知する変位センサ20aが設けられる。
該変位センサ20aの出力はコントローラに送信される。
【0011】
アシスト機構9は、モータ10の回転軸10aからの回転を直線運動に変換するボールネジ機構24で構成される。該ボールネジ機構24は、両端部に配置された軸受25によりハウジング26に対して回転可能に支持された回転部材27と、ハウジング26に固定された回り止め29によりハウジング26に対して相対回転が規制された直動部材28と、これらの対向面に形成されたねじ溝30、30間に介装された複数のボール31とから構成される。ボールネジ機構24とモータ10の回転軸10aとの間には減速歯車31が配置される。
【0012】
ボールネジ機構24の回転部材27は円筒状に形成される。該回転部材27の内周面にはねじ溝30が形成され、外周面には減速歯車31の外歯31aが噛合する外歯27aが形成される。直動部材28は、ハウジング26に固定される回り止め29に嵌合するプレート部33と、該プレート部33に一体的に接続され外周面にねじ溝30を有するロッド部34とからなる。回転部材27内のねじ溝30と直動部材28のロッド部34のねじ溝30とが複数のボール31を介してねじ嵌合される。モータ10の回転軸10aには歯車35が嵌合されており、該回転軸10aの先端がハウジング26に固定された軸受25により支持される。モータ10の回転軸10aに嵌合された歯車35には減速歯車31が噛合し、該減速歯車31の外歯31aが回転部材27の外歯27aに噛合する。
そして、モータ10が駆動されると、その回転力が減速歯車31を介してボールネジ機構24の回転部材27に伝達される。続いて、ボールネジ機構24では、回転部材27の回転により、各ねじ溝30、30に沿ってボール31が転動することにより、直動部材28が軸方向に移動する。
【0013】
また、直動部材28のプレート部33の、ロッド部34が接続される側と反対側の面には、直動部材28の軸方向の変位を検知する変位センサ20bが当接している。この変位センサ20bの出力はコントローラに送信される。また、直動部材28のプレート部33とハウジング26の一部位との間にはコイルスプリング36が配置されており、該コイルスプリング36により直動部材28は常時変位センサ20b側へ付勢される。一方、直動部材28のロッド部34の先端部には、抵抗力を有するストローク要素としての弾性体40が配置され、該弾性体40の先端に押圧コマ41が当接される。該押圧コマ41は先細りの円柱形状に形成される。該押圧コマ41の先端がリンク部材13の突出部13aの他端寄りに当接している。なお、本実施形態では、弾性体40はコイルスプリングで構成される。
【0014】
合成力伝達機構11を構成するリンク部材13は、中央部分が全体的にアシスト機構9側に突出する突出部13aを有している。リンク部材13の一端部には、スイング部材12に回動自在に連結される連結部材14が、第1連結部材15の円形状部17を介して回動自在に連結される。また、リンク部材13の一端側に、一端がハウジング26に固定されたコイルスプリング42の他端が接続される。該コイルスプリング42によりリンク部材13の一端がアシスト機構9側に付勢される。また、リンク部材13の中央部分の突出部13aには出力部材44のリンク側小径部45が回動自在に連結される。リンク部材13の突出部13aには、出力部材44が連結される部位よりやや他端側(図中上端側)にアシスト機構9の押圧コマ41がアシスト機構9側から当接される。なお、出力部材44は、リンク部材13と回動自在に連結されるリンク側小径部45と、大径部46と、ピストン51の一端面に当接されるピストン側小径部47とが一体的に接続されて構成される。
なお、図2に示すように、リンク部材13の、出力部材44との連結位置から入力部材6の連結部材14との連結位置までの距離L1と、リンク部材13の、出力部材44との連結位置からアシスト機構9の押圧コマ41との当接位置までの距離L2との比L1/L2が電動ブースタのアシスト比となる。
【0015】
マスタシリンダ3は、そのシリンダ本体50が電動ブースタ2のハウジング26に固定される。マスタシリンダ3のシリンダ本体50内にはピストン51が摺動自在に設けられる。シリンダ本体50内の底部とピストン51の他端との間にはコイルスプリング52が設けられ、該コイルスプリング52によりピストン51は常時シリンダ本体50の底部から離れる方向に付勢される。シリンダ本体50内においてピストン51で囲まれた範囲が液圧室53として構成される。該液圧室53に液圧センサ61が連通される。また、ピストン51の一端面に設けた円錐状凹部51aに出力部材44のピストン側小径部47の先端が当接される。シリンダ本体50の周壁の最も開放側にリザーバ用ポート54が形成され、液圧室53はリザーバ用ポート54を介してリザーバ55に連通される。一方、シリンダ本体50の周壁の最も底部側に設けた液圧ポート56が、ホイールシリンダ圧制御機構4に配管57を介して連通される。
【0016】
ホイールシリンダ制御機構4は、各車輪58に備えられたホイールシリンダ59に配管60を介して連通される。該ホイールシリンダ制御機構4は、回生協調ブレーキやアンチロックブレーキの動作時に、シリンダ本体50内のブレーキ液を各ホイールシリンダ59内に供給し、または、各ホイールシリンダ59内のブレーキ液をシリンダ本体50内に戻すことにより、各ホイールシリンダ59内のブレーキ液圧を増減するように制御するものである。各ホイールシリンダ59は、ブレーキ液の供給により制動力を発生して各車輪58を制動するブレーキ機構として機能する。
なお、第1実施形態に係るブレーキ装置1aには、変位センサ20a、20b及び液圧センサ61を含む多種のセンサが備えられている。コントローラ(図示略)はCPU及びRAM等を含むマイクロプロセッサベースの電子制御装置であり、これらの各種センサからの検出信号に基づきモータ10の駆動が制御される。
【0017】
次に、第1の実施形態に係るブレーキ装置1aの作用を図2に基づいて説明する。
[通常制動時] 通常、運転者の制動要求はスイング部材12の他端部に設けた変位センサ20aにて検知され、コントローラが直動部材28の変位を検出する変位センサ20b及びマスタシリンダ3内の液圧を検出する液圧センサ61に基づいてモータ10の駆動を制御する。
すなわち、運転者によりブレーキペダル5が踏み込まれると、入力部材6のスイング部材12が支点を中心に時計回り方向に回動すると共に連結部材14が前進する(図中左方向へ移動する)。続いて、リンク部材13の一端がコイルスプリング42の付勢力に抗して前進する(図中左方向へ移動する)。これと同時に、コントローラによりモータ10が駆動されるため、モータ10の回転軸10aからの回転トルクが減速歯車31を介してアシスト機構9の回転部材27に伝達されて該回転部材27が回転される。その結果、アシスト機構9の直動部材28が前進し、弾性体40が圧縮されると共に押圧コマ41が前進してリンク部材13が全体として前進する(図中左方向に移動する)。そして、リンク部材13が前進すると、出力部材44を介してマスタシリンダ3のピストン51がシリンダ本体50内を前進すると共にリザーバ用ポート54が閉塞され液圧室53の液圧が倍力されて上昇し、液圧室53内の液圧が配管57、ホイールシリンダ圧制御機構4及び配管60を介して各車輪58に設けられたホイールシリンダ59に伝達され、制動力が発生する。
【0018】
一方、ブレーキペダル5の踏み込みを戻すと、コントローラによりモータ10の回転軸10aが逆回転することによりその回転トルクが減速歯車31を介してアシスト機構9の回転部材27に伝達されて該回転部材27が逆回転され、その結果、アシスト機構9の直動部材28が後退する。そして、各ホイールシリンダ59内のピストンシール(図示略)の復元力及びコイルスプリング52の付勢力によりピストン51が後退すると共にコイルスプリング42の付勢力によりリンク部材13が初期位置に後退して、シリンダ本体50内の液圧室53の液圧が低下して制動力が解除される。
【0019】
[フェール時] 制動力発生中に電源が落ちるなどモータ10の制御が不可能になったときには、アシスト機構9の構成である直動部材28のプレート部33とハウジング26との間に設けたコイルスプリング36の付勢力により直動部材28が後退する(図中右方に移動して)が、ブレーキペダル5への踏み込みを維持すれば制動力は維持される。
【0020】
[回生協調ブレーキやアンチロックブレーキ動作時] 回生協調ブレーキやアンチロックブレーキの動作時、ホイールシリンダ圧制御機構4によりマスタシリンダ3のシリンダ本体50内のブレーキ液を各ホイールシリンダ59内に供給したり、各ホイールシリンダ59内のブレーキ液をマスタシリンダ3のシリンダ本体50内に戻すことにより、各ホイールシリンダ59内のブレーキ液圧を増減させる場合、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内からの液量(液圧)変化の挙動が出力部材44に伝達されるが、その挙動はアシスト機構9の押圧コマ41と直動部材28のロッド部34との間に設けた弾性体40によって吸収される。すなわち、該弾性体40の弾性力がホイールシリンダ圧制御機構4から上流側(マスタシリンダ3側)の液量剛性を小さくするために、液量(液圧)変化のスイング部材12への伝達が抑制され、ひいては、ブレーキペダル5の変動を抑制することができる。なお、液量剛性とは図3に示すように、マスタシリンダ3内の液量変化に対する液圧変化のことである。液量剛性が大きいと伝達される挙動が大きくなり、液量剛性が小さいと伝達される挙動が小さくなる。
さらに、マスタシリンダ3内の液量(液圧)の変化を抑制するためにピストン51および直動部材28の軸方向の位置を前後に制御、つまり、モータ10を制御する際にも、モータ10のオーバシュートなどによる直動部材28の位置ズレの影響を小さくでき、ブレーキペダル5の変動を抑制することができる。
【0021】
次に、本発明の第2実施形態に係るブレーキ装置1bを図4に基づいて説明する。
該第2実施形態に係るブレーキ装置1bを説明する際には、第1実施形態に係るブレーキ装置1aとの相違点のみを説明する。
該第2実施形態に係るブレーキ装置1bでは、第1実施形態に係るブレーキ装置1aにおける、アシスト機構9の押圧コマ41と直動部材28のロッド部34との間に配置された弾性体40が取り除かれ、該押圧コマ41と直動部材28のロッド部34とが一体的に接続される。そして、入力部材6を構成する連結部材14の第1連結部材15の円形状部17と、第2連結部材16との間にコイルスプリングで構成される弾性体40が配置される。
【0022】
そして、回生協調ブレーキやアンチロックブレーキの動作時、各ホイールシリンダ59内のブレーキ液圧を増減させる場合、マスタシリンダ3内からの液量(液圧)変化の挙動が出力部材44に伝達されるが、その挙動は入力部材6を構成する連結部材14の第1連結部材15の円形状部17と第2連結部材16との間に設けた弾性体40によって吸収され、ホイールシリンダ圧制御機構4から上流側(マスタシリンダ3側)の液量剛性が小さくなるために、ブレーキペダル5の変動を抑制することができる。
【0023】
次に、本発明の第3実施形態に係るブレーキ装置1cを図5に基づいて説明する。
該第3実施形態に係るブレーキ装置1cを説明する際には、第1実施形態に係るブレーキ装置1aとの相違点のみを説明する。
該第3実施形態に係るブレーキ装置1cでは、第1実施形態に係るブレーキ装置1aにおける、アシスト機構9の押圧コマ41と直動部材28のロッド部34との間に配置された弾性体40が取り除かれ、該押圧コマ41と直動部材28のロッド部34とが一体的に接続される。そして、出力部材44を構成するピストン側小径部47と大径部46との間にコイルスプリングとしての弾性体40が配置される。
【0024】
そして、回生協調ブレーキやアンチロックブレーキの動作時、各ホイールシリンダ59内のブレーキ液圧を増減させる場合、マスタシリンダ3内からの液量(液圧)変化の挙動が出力部材44に伝達されるが、その挙動は出力部材44を構成するピストン側小径部47と大径部46との間に設けた弾性体40によって吸収され、ホイールシリンダ圧制御機構4から上流側(マスタシリンダ3側)の液量剛性が小さくなるために、ブレーキペダル5の変動を抑制できる。
【0025】
次に、本発明の第4実施形態に係るブレーキ装置1dを図6に基づいて説明する。
該第4実施形態に係るブレーキ装置1dを説明する際には、第1実施形態に係るブレーキ装置1aとの相違点のみを説明する。
該第4実施形態に係るブレーキ装置1dでは、入力部材6は、ブレーキペダル5からの入力が伝達され軸方向に移動自在な入力ロッド64で構成される。該入力ロッド64は、ハウジング26の円筒部62及び合成力伝達機構11の一構成であるプライマリピストン63の後部に挿入される。
【0026】
合成力伝達機構11は、入力ロッド64の先端部に連結されプライマリピストン63の中間壁65を挿通して延びる第1ピストンである入力ピストン66と、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内からハウジング26の円筒部62の内部まで延び、ボールネジ機構24を構成するネジ軸67の軸方向の移動に追従する第2ピストンであるプライマリピストン63とから構成される。なお、入力ピストン66及びプライマリピストン63の構成は後で詳述する。
モータ10は、ハウジング26に固定されたステータ68と、該ステータ68に対向してベアリング25、25によってハウジング26内に回転可能に支持された中空のロータ69とを備えている。
【0027】
アシスト機構9はボールネジ機構24で構成され、該ボールネジ機構24は、ロータ69の内周部に固定された回転部材27であるナット部材70と、ナット部材70及びハウジング26の円筒部62内のそれぞれに挿入されて軸方向に沿って移動可能で、かつ、軸回りに回転しないように支持された直動部材28である中空のネジ軸67と、これらの対向面に形成されたねじ溝30、30間に介填された複数のボール31とを備えている。
そして、ボールネジ機構24は、ナット部材70の回転により、各ねじ溝30に沿って各ボール31が転動することにより、ネジ軸67が軸方向に移動するようになっている。なお、ネジ軸67の後部内周面には内方に環状突部85が突設される。
【0028】
マスタシリンダ3のシリンダ本体50内には、その開口側に、先端部がカップ状に形成された円筒状のプライマリピストン63が嵌装され、一方その底部側にカップ状に形成されたセカンダリピストン71が嵌装されている。プライマリピストン63の後端部は、マスタシリンダ3の開口部からハウジング26内に突出して円筒部62付近まで延びている。プライマリピストン63及びセカンダリピストン71は、シリンダ本体50内に嵌合されたスリーブ74の両端側に配置された環状のガイド部材72、73によって摺動可能に案内されている。シリンダ本体50内は、プライマリピストン63及びセカンダリピストン71によってプライマリ室75及びセカンダリ室76の2つの液圧室が形成されている。これらプライマリ室75及びセカンダリ室76には、液圧ポート56a、56bがそれぞれ設けられている。該液圧ポート56a、56bは、2系統の液圧回路からなるホイールシリンダ圧制御機構4を介して各車輪58のホイールシリンダ59に接続されている。
【0029】
シリンダ本体50の側壁の上部側には、プライマリ室75及びセカンダリ室76をリザーバ55に接続するためのリザーバ用ポート54a、54bが設けられている。シリンダ本体50の内周面と、プライマリピストン63及びセカンダリピストン71との間は、それぞれ2つのシール部材77a、77b及び78a、78bによってシールされている。シール部材77a、77bは、軸方向に沿ってリザーバ用ポート54aを挟むように配置されている。これらのうちシール部材77aにより、プライマリピストン63が図6に示す非制動位置にあるときに、プライマリ室75がプライマリピストン63の側壁に設けられたポート79を介してリザーバ用ポート54aに連通する。プライマリピストン63が非制動位置から前進したとき、シール部材77aによってプライマリ室75がリザーバ用ポート54aから遮断される。同様に、シール部材78a、78bは、軸方向に沿ってリザーバ用ポート54bを挟むように配置されている。これらのうちシール部材78aにより、セカンダリピストン71が図6に示す非制動位置にあるとき、セカンダリ室76がセカンダリピストン71の側壁に設けられたポート80を介してリザーバ用ポート54bに連通する。セカンダリピストン71が非制動位置から前進したとき、シール部材78aによってセカンダリ室76がリザーバ用ポート54bから遮断される。
【0030】
プライマリ室75内のプライマリピストン63とセカンダリピストン71との間には、バネアッセンブリ81が介装されている。また、セカンダリ室76内のシリンダ本体50の底部とセカンダリピストン71との間には、圧縮コイルバネである戻しバネ82が介装されている。バネアッセンブリ81は、圧縮コイルバネである戻しバネ91を、伸縮可能な円筒状のリテーナ83によって所定の圧縮状態で保持し、そのバネ力に抗して圧縮可能としたものである。
【0031】
プライマリピストン63は、カップ状の先端部と、円筒状の後部と、内部を軸方向に仕切る中間壁65とを備え、中間壁65に、入力部材6である段付形状の入力ピストン66の小径先端部が摺動可能かつ液密的に挿通されている。入力ピストン66の先端部は、プライマリ室75内に挿入されている。
【0032】
入力ピストン66の後端部には、ハウジング26の円筒部62及びプライマリピストン63の後部に挿入された入力ロッド64の先端部が連結されている。入力ロッド64の後端側は、円筒部62から外部に延出され、その端部には、ブレーキ指示を出すために操作されるスイング部材12のブレーキペダル5が連結される。プライマリピストン63の後端部には、フランジ状のバネ受84が取付けられている。プライマリピストン63のバネ受84の後端面外周と、ボールネジ機構24のネジ軸67の内周面に設けた環状突部85との間にはコイルスプリングで構成される弾性体40が配置される。プライマリピストン63は、圧縮コイルバネである戻しバネ86によって後退方向に付勢されている。入力ピストン66は、プライマリピストン63の中間壁65との間及びバネ受84との間にそれぞれ介装されたバネ部材93、94によって、図1に示す中立位置に弾性的に保持されている。また、ネジ軸67は、戻しバネ90によって後退方向に付勢されている。入力ロッド64の後退位置は、ハウジング26の円筒部62の後端部に設けられたストッパ87によって後退限が規定されている。なお、プライマリピストン63の受圧面積A1と、入力ピストン66の受圧面積A2との比A1/A2が電動ブースタ2のアシスト比である。
【0033】
なお、第4実施形態に係るブレーキ装置1dには、ブレーキペダル5や、入力ピストン66、入力ロッド64の変位を検出するための変位センサ(図示せず)、モータ10のロータ69の回転位置、すなわちプライマリピストン63の位置を検出する回転位置センサ88、プライマリ室75、セカンダリ室76の液圧を検出する液圧センサ61、モータ10の通電電流を検出する電流センサ及びこれらを含む各種センサが設けられている。コントローラCは、CPU及びRAM等を含むマイクロプロセッサベースの電子制御装置であり、これらの各種センサから検出信号に基づき、モータ10の駆動が制御される。
【0034】
次に、第4の実施形態に係るブレーキ装置1dの作用を説明する。
[通常制動時] 運転者によりブレーキペダル5が踏み込まれると、入力ロッド64を介して入力ピストン66が前進される。その時、入力ピストン66の変位を変位センサによって検出し、コントローラCによって入力ピストン66の変位に基づいてモータ10の作動を制御する。すると、ボールネジ機構24を介してプライマリピストン63が前進されて入力ピストン66の変位に追従され、リザーバ用ポート54a、54bが閉塞される。これにより、プライマリ室75に倍力した液圧が発生し、また、この液圧がセカンダリピストン71を介してセカンダリ室76に伝達される。このようにして、マスタシリンダ3で発生したブレーキ液圧は、液圧ポート56a、56bからホイールシリンダ圧制御機構4を介して各車輪58のホイールシリンダ59に伝達され、制動力が発生する。
【0035】
一方、ブレーキの踏み込みを戻すと、入力ピストン66、プライマリピストン63及びセカンダリピストン71が後退して、プライマリ室75及びセカンダリ室76内の液圧が低下して、制動力が解除される。
【0036】
[フェール時] 制動力発生中に電源が落ちるなどモータ10の制御が不可能になったときには、戻しバネ86の付勢力によりプライマリピストン63が後退する(図中右方に移動して)が、ブレーキペダル5への踏み込みを維持すれば、プライマリ室75内の液圧が維持されるので制動力は維持される。
【0037】
[回生協調ブレーキやアンチロックブレーキ動作時] 回生協調ブレーキやアンチロックブレーキの動作時、各ホイールシリンダ59内のブレーキ液圧を増減させる場合、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内からの液量(液圧)変化の挙動は、プライマリピストン63のバネ受84の後端面外周と、ボールネジ機構24のネジ軸67の内周面に設けた環状突部85との間に設けた弾性体40によって吸収される。すなわち、該弾性体40の弾性力がホイールシリンダ圧制御機構4から上流側の液量剛性を小さくするために、液量(液圧)変化のスイング部材12への伝達が抑制されて、ブレーキペダル5の変動を抑制することができる。
【0038】
次に、本発明の第5実施形態に係るブレーキ装置1eを図7に基づいて説明する。
該第5実施形態に係るブレーキ装置1eを説明する際には、第1実施形態に係るブレーキ装置1aとの相違点のみを説明する。
該第5実施形態に係るブレーキ装置1eでは、合成力伝達機構11が、内部をピストン100が軸方向に摺動するサブシリンダ本体101として構成される。該合成力伝達機構11のサブシリンダ本体101とマスタシリンダ3のシリンダ本体50とは並んでハウジング26に固定される。合成力伝達機構11のサブシリンダ本体101内の液圧室102とマスタシリンダ3のシリンダ本体50内の液圧室53とは配管105を介して連通される。該配管105は合成力伝達機構11のサブシリンダ本体101及びマスタシリンダ3のシリンダ本体50の最も底部側のそれぞれに設けた連通孔106、107にそれぞれ接続される。また、マスタシリンダ3のシリンダ本体50の周壁の最も開放側にリザーバ用ポート54が形成され、シリンダ本体50内の液圧室53がリザーバ用ポート54を介してリザーバ55に連通される。一方、合成力伝達機構11のサブシリンダ本体101の周壁の最も底部側に設けた液圧ポート108が、ホイールシリンダ圧制御機構4に配管109を介して連通される。
【0039】
マスタシリンダ3のシリンダ本体50内の底部とピストン51の他端との間、及び合成力伝達機構11のサブシリンダ本体101内の底部とピストン100の他端との間にはそれぞれコイルスプリング52、110が設けられる。また、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内の液圧室53には液圧センサ61が連通される。なお、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内を摺動するピストン51の受圧面積A2と、合成力発生機構11としてのサブシリンダ本体101内を摺動するピストン100の受圧面積A1との比A1/A2が電動ブースタ2のアシスト比である。
【0040】
合成力発生機構11の構成であるサブシリンダ本体101内のピストン100の一端側に、アシスト機構9の押圧コマ41の先端が当接される。一方、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内のピストン51の一端には、他端に貫通孔114を有する位置決め部材115の一端が接続される。位置決め部材115の貫通孔114にアシスト機構9の押圧コマ41と直動部材28のロッド部34との間に配置された弾性体40が配置される。また、位置決め部材115の一端で、ピストン100が接続される側とは反対側に受入コマ116が一体的に接続される。受入コマ116の位置決め部材115側と反対側の面に球状凹部117が形成される。
【0041】
入力部材6の構成である連結部材14は第1連結部材15と第2連結部材16とが一体的に接続されて形成される。第1連結部材15は先端に球状部118を有する入力ロッド119で構成される。該入力ロッド119の途中部位に鍔部120が径方向に突設される。該鍔部120とハウジング26の一部位との間にはコイルスプリング121が配置される。なお、該鍔部120はハウジング26の一部位との当接により第1連結部材15の後退位置が規制される。なお、第2連結部材16は第1実施形態と同様にスイング部材12を挟持するように平面視コ字状に形成される。そして、入力部材6の入力ロッド119先端の球状部118が位置決め部材115の受入コマ116の球状凹部117に挿入される。
【0042】
次に、第5の実施形態に係るブレーキ装置1eの作用を説明する。
[通常制動時] 運転者によりブレーキペダル5が踏み込まれると、スイング部材12が支点を中心に時計回り方向に回動すると共に連結部材14、位置決め部材115及びピストン51がそれぞれ前進して(図中左方向へ移動する)、リザーバ用ポート54を閉塞して、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内の液圧室53が上昇する。これと同時に、コントローラによりモータ10が駆動されるため、モータ10の回転軸10aからの回転トルクが減速歯車31を介してアシスト機構9に伝達され、直動部材28が前進すると共に弾性体40が圧縮すると共に押圧コマ41及びピストン100がそれぞれ前進してサブシリンダ本体101内の液圧室102の液圧が上昇する。そして、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内の液圧室53及び合成力発生機構11のサブシリンダ本体101内の液圧室102の液圧が倍力されて上昇し、該液圧が配管109、ホイールシリンダ圧制御機構4及び配管60を介して各車輪58に設けられたホイールシリンダ59に伝達され、制動力が発生する。
【0043】
一方、ブレーキの踏み込みを戻すと、コントローラによりモータ10の回転軸10aが逆回転することによりその回転トルクが減速歯車31を介してアシスト機構9に伝達されて、アシスト機構9の直動部材28が後退する。そして、マスタシリンダ3のシリンダ本体50及び合成力伝達機構11のサブシリンダ本体101内の各ピストン51、100がそれぞれ後退して、マスタシリンダ3のシリンダ本体50及び合成力伝達機構11のサブシリンダ本体101の各液圧室53、102の液圧が低下して、制動力が解除される。
【0044】
[回生協調ブレーキやアンチロックブレーキ動作時] 回生協調ブレーキやアンチロックブレーキの動作時、各ホイールシリンダ59内のブレーキ液圧を増減させる場合、マスタシリンダ3のシリンダ本体50及び合成力伝達機構11のサブシリンダ本体101からの液量(液圧)変化の挙動はアシスト機構9の押圧コマ41と直動部材28のロッド部34との間に設けた弾性体40によって吸収される。すなわち、該弾性体40の弾性力がホイールシリンダ圧制御機構4から上流側の液量剛性を小さくするために、液量(液圧)変化のスイング部材12への伝達が抑制されて、ブレーキペダル5の変動を抑制することができる。
【0045】
次に、本発明の第6実施形態に係るブレーキ装置1fを図8に基づいて説明する。
該第6実施形態に係るブレーキ装置1fを説明する際には、第5実施形態に係るブレーキ装置1eとの相違点のみを説明する。
該第6実施形態に係るブレーキ装置1fでは、入力部材6の構成である連結部材14の第1連結部材15の入力ロッド119先端の球状部118が当接され、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内に挿入されるプランジャー130が設けられる。
該プランジャー130は、球状凹部131を有する受入コマ132と大径ロッド部133と小径ロッド部134と球状部135とが一体的に接続されて形成される。プランジャー130の受入コマ132の球状凹部131内に入力ロッド119の球状部118が挿入される。
【0046】
マスタシリンダ3のシリンダ本体50には、プランジャー130の大径ロッド部133が液密的に摺動するプランジャー摺動部140と、ピストン145が摺動するピストン摺動部141とが形成される。マスタシリンダ3のシリンダ本体50は、プランジャー摺動部140の周壁でピストン摺動部141側に設けた第1リザーバ用ポート54aを介してリザーバ55と連通すると共に、ピストン摺動部141の周壁で底壁寄りに設けた第2リザーバ用ポート54bを介してリザーバ55と連通する。
マスタシリンダ3のピストン摺動部141を摺動するピストン145は、コイルスプリング52が接続される側とは反対側の面に大径凹部146と小径凹部147とが連続して設けられる。該小径凹部147の底部には球状凹部148が形成される。該ピストン145の小径凹部147の球状凹部148にプランジャー130先端の球状部135が挿入される。そして、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内において、ピストン145の大径凹部146及び小径凹部147と、プランジャー130の大径ロッド部133との間が第1液圧室149として、また、ピストン145とシリンダ本体50の底部との間が第2液圧室150として構成される。マスタシリンダ3のシリンダ本体50内の第2液圧室150には液圧センサ61が連通される。
【0047】
マスタシリンダ3のシリンダ本体50のピストン摺動部141の周壁でプランジャー摺動部140との境目付近に設けられ、第1液圧室149に臨む連通孔151と、合成力伝達機構11としてのサブシリンダ本体101の周壁で最も底部側に設けられ、内部の液圧室102に臨む連通孔152とが配管153を介して接続されて、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内の第1液圧室149と、合成力伝達機構11としてのサブシリンダ本体101の液圧室102とが連通される。また、マスタシリンダ3のシリンダ本体50の周壁の最も底部側に設けられ、第2液圧室150に臨む液圧ポート154が、ホイールシリンダ圧制御機構4に配管154を介して連通される。なお、マスタシリンダ3のシリンダ本体50のプランジャー摺動部140を摺動するプランジャー130の大径ロッド部133の受圧面積A2と、合成力伝達機構11としてのサブシリンダ本体101内を摺動するピストン100の受圧面積A1との比A1/A2が電動ブースタ2のアシスト比である。
【0048】
次に、第6の実施形態に係るブレーキ装置1fの作用を説明する。
[通常制動時] 運転者によりブレーキペダル5が踏み込まれると、スイング部材12が支点を中心に時計回り方向に回動すると共に連結部材14、プランジャー130及びピストン145がそれぞれ前進する(図中左方向へ移動する)。その結果、マスタシリンダ3のシリンダ本体50に設けた第1及び第2リザーバ用ポート54a、54bが閉塞され、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内の第2液圧室150の液圧が上昇する。これと同時に、コントローラによりモータ10が駆動されるため、モータ10の回転軸10aからの回転トルクが減速歯車31を介してアシスト機構9に伝達され、直動部材28が前進して弾性体40が圧縮すると共に押圧コマ41及びピストン100がそれぞれ前進してサブシリンダ本体101内の液圧室102の液圧が上昇する。そして、合成力伝達機構11としてサブシリンダ本体101内の液圧室102からの液圧が配管153を介してマスタシリンダ3のシリンダ本体50の第1液圧室149に流動して該第1液圧室149に倍力した液圧が発生し、該液圧がピストン145を介して第2液圧室150に伝達される。そして、第2液圧室150からの液圧は配管154、ホイールシリンダ圧制御機構4及び配管60を介して各車輪58に設けられたホイールシリンダ59に伝達され、制動力が発生する。
【0049】
一方、ブレーキの踏み込みを戻すと、コントローラによりモータ10の回転軸10aが逆回転することによりその回転トルクが減速歯車31を介してアシスト機構9に伝達されて、アシスト機構9の直動部材28が後退する。そして、マスタシリンダ3のシリンダ本体50及び合成力伝達機構11のサブシリンダ本体101内の各ピストン51、100がそれぞれ後退して、マスタシリンダ3のシリンダ本体51内の第1及び第2液圧室149、150の液圧が低下して、制動力が解除される。
【0050】
[回生協調ブレーキやアンチロックブレーキ動作時] 回生協調ブレーキやアンチロックブレーキの動作時、各ホイールシリンダ59内のブレーキ液圧を増減させる場合、マスタシリンダ3のシリンダ本体50内からの液量(液圧)の変化による挙動はアシスト機構9の押圧コマ41と直動部材28のロッド部34との間に設けた弾性体40によって吸収される。すなわち、該弾性体40の弾性力がホイールシリンダ圧制御機構4から上流側の液量剛性を小さくするために、液量(液圧)変化のスイング部材12への伝達が抑制されて、ブレーキペダル5の変動を抑制することができる。
【0051】
なお、第6実施形態に係るブレーキ装置1fでは、アシスト機構9の押圧コマ41と直動部材28のロッド部34との間に弾性体40を配置したが、入力部材6の入力ロッド119の途中に配置してもよいし、プランジャー130の大径ロッド部133でシリンダ本体50外に露出している部位に配置してもよい。
また、第1〜第6実施形態に係るブレーキ装置1a〜1fでは、弾性体40にコイルスプリングが採用されているが、ゴム等の弾性体や油圧や摩擦等のダンパを採用してもよい。
なお、上記第1〜第6実施形態に係るブレーキ装置1a〜1fでは、アクチュエータを回転式の電動モータとした例を示したが、アクチュエータは、外部からの制御命令により駆動されるものであれば良く、例えば、リニアモータや流体圧モータであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1a〜1f ブレーキ装置,2 電動ブースタ(倍力装置),3 マスタシリンダ,4 ホイールシリンダ圧制御機構,5 ブレーキペダル,6 入力部材,9 アシスト機構,10 モータ(アクチュエータ),11 合成力伝達機構,13 リンク部材(リンク機構),24 ボールネジ機構,40 弾性体,50 シリンダ本体,51 ピストン,59 ホイールシリンダ,66 入力ピストン(第1ピストン),63 プライマリピストン(第2ピストン),100 ピストン,101 サブシリンダ本体,130 プランジャー,149 第1液圧室,150 第2液圧室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、該入力部材の移動に応じて移動可能に配置されたアシスト機構と、外部からの制御により該アシスト機構を進退移動させるアクチュエータと、前記入力部材からの力と前記アシスト機構からの力を受けてこれらの合成された力でマスタシリンダ内に倍力されたブレーキ液圧を発生させる合成力伝達機構と、を備えた倍力機構と、
前記マスタシリンダとホイールシリンダとの間に介在して、前記マスタシリンダ内のブレーキ液を前記ホイールシリンダ内に供給し、または前記ホイールシリンダ内のブレーキ液を前記マスタシリンダ内に戻すことにより、前記ホイールシリンダ内のブレーキ液圧を増減するホイールシリンダ圧制御機構と、からなるブレーキ装置であって、
前記入力部材と前記合成力伝達機構との間、前記アシスト機構と前記合成力伝達機構との間または前記合成力伝達機構と前記マスタシリンダとの間のいずれか少なくとも1箇所に抵抗力を有するストローク要素を介在させて構成したことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
前記合成力伝達機構は、前記入力部材からの力と前記アシスト機構からの力を各端部で受けると共に、中央部が前記マスタシリンダのピストンを介して前記マスタシリンダ内にブレーキ液圧を発生させるリンク機構により構成されたことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記合成力伝達機構は、前記入力部材からの力を第1ピストンで受け、前記アシスト機構からの力を第2ピストンで受け、前記第1及び第2ピストンにより前記マスタシリンダ内に倍力されたブレーキ液圧を発生させるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記合成力伝達機構が、前記アシスト機構からの力を受けて液圧を発生させて、該液圧を前記マスタシリンダ内に供給するサブシリンダを有し、
該サブシリンダからの液圧と前記入力部材からの力とによって、前記マスタシリンダ内のピストンを移動させてブレーキ液圧を発生させるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記ホイールシリンダ圧制御機構が前記ホイールシリンダ内のブレーキ液を前記マスタシリンダ内に戻すときに、前記入力部材の変位を抑えるように前記アシスト機構を後退させることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項6】
前記抵抗力を有するストローク要素は、弾性体であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−136151(P2012−136151A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290004(P2010−290004)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】