説明

ブログ処理

本発明は、印刷物を製造するための方法を提案する。好ましくは組版限定大容量印刷プロセスにおいて主製造物(2)又は副製造物の形態で製造される印刷物が、個別化製造物特定情報を含む識別手段を備える。少なくとも二つの更なる下流個別化ステップが実施され、識別手段によって少なくとも二つの更なる下流個別化ステップにおいて追加されるべき情報を、各製造物に関連付けることが可能となる。この新しい受取人専用デジタル印刷物は、好ましくはブログ差込物の形態であり、より好ましくはデジタル印刷を使用して製造されるブログ記事を含む。例えばIDタグ(4、4’)の形態の識別手段は、製造物特定識別情報のみではなく、制御情報(31〜36)を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分に係る印刷物、請求項15の前段部分に係る印刷物を製造する方法、及び、請求項16の前段部分に係る印刷物を製造するためのシステムに関するものである。
【発明の背景】
【0002】
スイス国特許出願第01508/06号には、新規の印刷物と、印刷物を製造するための新規の製製造方法及び新規のシステムとが開示されている。この印刷物は、ウェブログ及びブログ記事を展開したものであり、これらウェブログ及びブログ記事を、旧来からの印刷メディア用のニュースソースとして含むものである。従来の印刷メディアにおけるブログ記事、特に日刊紙における時事ブログ記事の魅力が、前述の出願中により詳細に説明されており、詳細については、当該明細書における記述の全内容を参照する。このように、ブログ記事は、印刷メディアにおいてエージェンシー通信及び通信記者レポートへの追加物又は代替物として、新たな種類の読者を惹きつけ得るものであり、これまで対応できなかった既存の読者の情報需要を満たし得るものであり、或いは、情報需要を初めて喚起することさえもあり得るものである。前述の出願は、個別化した印刷物を、可能な限り廉価に高発行部数で製造することを提案している。
【発明の概要】
【0003】
ここで、本出願は、部分的に個別化した印刷物を製造するために、ブログ記事の利点を印刷物に利用することを意図している。
【0004】
個別化した印刷物は、数十年来にわたり、印刷業界における課題であった。新聞紙の上に住所を単純に印刷することから、ある読者に対して完全に個別の新聞紙を印刷することに至るまで、多様な技術的解決策が提案されてきた。この場合、望ましい個別化は、コストに正の相関を有するものと考えられる。このことは、少なくとも日刊紙及び週刊紙に関しては市場で確立することがいずれも不可能であったあらゆる既知の方法及び装置では、個別化の程度が高まるにつれ、製造物の価格の上昇が避けられないということを意味している。
【0005】
また、他の新聞及び特に電子メディアと競合する際には、この場合もやはり特に日刊紙である従来の印刷メディアを時事的なものにすることへの圧力が強まっている。大容量システムは、現行では1時間当たり最大80000部まで製造することが可能であり、その使用によって、製造コストを低く抑えることが可能となるだけでなく、製造に要する時間が短縮されるので、印刷原稿の締切りを大幅に延長することが可能である。読者は、夜からの「ぎりぎり直前の」出来事が、翌日に新聞において報道されることを期待する。したがって、望ましい個別化を時事的なものにすることへの圧力は更に強い。
【0006】
望ましい個別化により生ずるコストの問題は、長きにわたって知られており、したがって、例えば本出願人によるEP0805756が、デジタル印刷によるフレキシビリティを可能な限り最大限度まで計画的に利用することを基本アイデアとする方法を説明している。実際には、デジタル印刷方法は、「組版」を絶えず新しいものに作成し直すことを伴うので、この方法のフレキシビリティは、本物の組版を使用する印刷方法のフレキシビリティよりも桁違いに高い。EP0805756における「デジタル印刷」という語は、本出願でもそうであるように、固体の組版が紙の上に印刷されるのではなく、代わりに「書込み手段」が、適宜絶えず変更を伴いながら、紙の上に予め規定されたサンプルを書き込むようにデジタル方式で作動される全ての印刷方法を指す。これらの方法の最もよく知られた例は、レーザ方法及びインクジェット方法、並びに種々の熱的方法である。本発明においては、特に明示しない限り、全体において、組版限定の印刷方法(forme−bound printing method)を「従来の印刷」と呼ぶ。また、本出願に関しては、従来の印刷は、特に現行では1時間当たり80000以上の印刷物の量が達成される大容量印刷を意味するものとして理解されることを意図している。
【0007】
EP0805756において提案した方法では、印刷される材料と、最終印刷物を製造するための印刷材料の更なる処理とが、この高いフレキシビリティに系統的に適合されている。この場合には、デジタル印刷方法を使用して、ある程度連続するペーパウェブの表面及び裏面の上に、印刷物の全印刷ページを印刷している。印刷する場合には、ペーパウェブは、適切な印刷装置を通して基本的に連続的に案内され、両面上に、隣接し合う印刷ページの少なくとも一つの各列が印刷される。ペーパウェブは、印刷の前又は後に、印刷すべき又は既に印刷された印刷ページの列のページ間で折り畳まれて、折り畳まれたスタックを形成し、その長手方向に対して横方向に分離され、或いは少なくとも分離が容易な状態とされる(例えば目打ち又は部分的分離)。これにより、最初のページと最後のページとが互いに連結されたままとし得るが、容易に分離可能な、一連の折り畳み連続(fan−folded、fan−fold)印刷物が製造される。EP0805756は、このような印刷物を折り畳み連続形態のままで読者に配布する手法、又は、多様な元来知られている形態の印刷物を製造するようこれらを更に処理する手法を開示している。解決のための有利な提案にもかかわらず、このような個別化された印刷物の製造コストは、同程度であり、特にカラー印刷を利用する場合には、大容量プロセスを使用して従来式に製造される製造物のコストをはるかに上回る。したがって、コストの問題は十分には解消されない。
【0008】
EP0805756に関して公表された明細書においては、効率の低下及び付随コストの上昇によって、新聞紙及び定期刊行物といった印刷物の望ましい個別化に伴う二つの問題に対処している。また、この特許出願は、版数を望ましく低減すること、及び、印刷物の更なる処理において適切な態様でコピーの個別化を向上することを組み合わせたアプローチを説明しており、また、フレキシビリティを向上し、高度に個別化された印刷物を、本質的には印刷方法を変更することなく製造することを可能とするために、特に更なる処理装置を適切な態様で設計し、制御し、結合するアプローチを説明している。本質的に同一の版として印刷された新聞紙又は定期刊行物を個別化し、以下の更なる処理ステップによって、即ち、受取人に応じて編纂された差込物の差込みであって特にこの目的のために提供されたプリンタによって少なくとも部分的に受取人に専用に印刷することも可能な差込物(例えば個々の送付人の住所が表記される返信用カードなど)、内側又は外側への追加的な個別の印刷(例えば個別の宛名書きなど)、並びに、受取人に応じた個別のパッキング又は受取人に応じて組合せたパッケージでのパッキング(この組合せパッケージについては、例えば他のプリンタを使用して住所シート及び配達受領書を製造する)によって、配布用に準備することが提案されている。また、個々の定期刊行物を、郵便ルートに関して正しいシーケンスにまとめて、組合せパッケージにパッケージングすることが提案されている。しかし、EP0805756は、このような方法用にソフトウェア及び制御技術を洗練することが膨大なものとなることが極めて明らかであることを認識しており、したがって、分散型製造に非常に良好に適した折り畳み連続製造物用の極めて単純な製造方法を提案している。好ましくは、この製造方法は、デジタル印刷データが、例えば電話回線網を介して、オンデマンドで多様な製造場所に多様なソースにより供給されることを伴うものである。
【0009】
この分散が可能となることにもかかわらず、個別化された印刷物を製造するためのこの方法は、同種の多数の他の方法と同様に、今日まで市場において確立することが不可能であった。
【0010】
既知の解決策の場合には、従来の大容量印刷の環境内での望ましい個別化は、その複雑さによってエラーに弱い複雑なシステムをもたらし、及び/又は、故障及びそれに伴うシステムの停止を受けやすい高度な上位制御システムを要することになる。
【0011】
したがって、本発明の一つの目的は、既述の種類の印刷物を製造するための方法及びシステムであって上述の欠点を回避する方法及びシステムを提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、個別化の程度の選択可能性及び高レベルの時事性を可能にする廉価な印刷物を製造するために、既知の大容量方法及びシステムを使用することにある。この目的は、例えばブログ記事と共に拡張的に組み合わされた及び/又はステープルで留められた印刷物を含む、多様な種類の印刷物について実現することが意図されている。
【0013】
また、本発明の一つの目的は、特にブログ記事を伴う製造物を製造するために、部分的に個別化された印刷物を製造する際に、組版限定の大容量印刷プロセス及び非組版限定の印刷プロセスの統合を可能とする方法及びシステムを提供することにある。
【0014】
本発明の更なる目的は、正確な宛名書きと、特に宛名書きすべき印刷物及び宛名書きされた印刷物の正確なシーケンスとを可能にし、したがって機械の更なる高度化を伴うことなく比較的高い効率の容易な及び廉価なその後の配布を可能にする方法及びシステムを提供することである。
【0015】
この目的は、請求項1、請求項15及び請求項16の特徴部分に含まれる特徴によって達成される。
【0016】
本発明による方法は、印刷物に関するものであり、当該印刷物は、例えばロータリを使用する組版限定の印刷等の従来の大容量印刷方法において製造されているものであり、ロータリセクションにおいて、又はロータリセクションとロータリセクションの下流に連結される第1の更なる処理のための装置との間で、識別手段(IM)を付与される。識別手段は、製造物を識別するための情報を保持し、これらの製造物を識別可能なものとする。この識別可能化は、全ての印刷物を識別可能とするレベルで行われると好ましく、以下では個別識別可能化(識別化)と称する。一方、同一の識別情報を有するIMを有する製造物のグループを提供することが可能であり、これは、本出願では、全一化(omnification)と称する。本発明の第1の好ましい実施形態によれば、識別手段は、付随したIDタグを有しており、当該IDタグは、印刷された状態では、機械可読2次元又はマトリクスバーコードとして実装されることが好ましい。種々のタイプのバーコードに関する基本情報が公知であり、例えばhttp://en.wikipedia.org/wiki/Bar_codeで確認することが可能であり、本明細書においては再度繰り返して述べない。Data Matrix Codeのような2次元バーコードを使用して、現在では、タグのサイズに応じて、最大2キロバイトのデータを記憶し、印刷された形態でそれらを表示することが可能である。このコードは、デジタル印刷方法を使用して、印刷物の上に直接的に、又は印刷物に備え付けられることとなる接着ラベルの上に備え付けられ、或いは、電子的に読取り可能な又は読取り/書込み可能な電子メモリとして、好ましくはRFIDタグの形態のタグとして、識別手段(IM)を実装することも可能である。前述の識別手段(IM)を組み合わせたものが、同様に可能である。したがって、例えば、要件に応じて、視覚的に確認可能なマトリクスコードがその可視面上に印刷されたRFIDタグを、製造物情に貼り付けることが可能である。
【0017】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、識別手段(IM)は、印刷物の上に又は印刷物に直接的に備え付けられず、代わりに印刷物に、分離可能に、一時的に直接的な物理的結合をもつ。この場合には、識別手段は、例えば読取り/書込み可能な電子メモリの形態であってよく、好ましくは、例えば差込装置上のポケット及び/又はグラブトランスポータ上のグラブなどの、印刷物に関連する輸送ユニットにおいてはRFIDタグの形態であってよい。
【0018】
更なる好ましい実施形態によれば、識別手段は、もはや物理的結合で印刷物に付随せず、上位制御デバイスにおいて印刷物と関連付けられる。この制御デバイスは、製造プロセスにおける各製造物の位置を、当該製造プロセスで使用されるハンドリングステーションに関して検出し、また同時に好ましくは当該制御デバイスにおける電子識別コードの形態で製造物専用識別手段を関連付ける。
【0019】
印刷物が識別手段(IM)を直接的に備える好ましい実施形態においては、IMは、少なくとも一つの識別(ID)タグを含み、更にこの識別(ID)タグは、複数のシングルビットコード及び少なくとも一つのマルチビットコードから構成される。更なる処理のためのインターフェース上のロータリセクション自体において、又は更なる処理のためのインターフェース上のロータリセクションの直ぐ下流で、第1の下流ハンドリングステーションの上流の任意の速度で、デジタルプリンタを使用して、印刷物の上にIDタグを備え付けることが有利であることが判明している。好ましくは、主製造物が、この様式で識別される。
【0020】
主製造物と、複数の一次副製造物及び/又は広告差込物とを含み、例えば、それら自体が更に差し込まれる(二次)副製造物を含むという複雑さをもって組み合わされた印刷物の場合には、一次副製造物も、IMを備えことが好ましい。しかし、簡明にするために、以下では、本発明の基本アイデアを、日刊紙における主製造物の識別の例を用いてまず説明する。各主製造物の上に、IDタグが、例えばロータリセクションにおいて又はロータリセクションの後に、デジタル印刷ユニット(例えばインクジェットプリンタなど)を用いて、余白区域中に印刷される。IDタグは、フロントページの余白領域中に配置されることが好ましく、いかなる余白の裁ち落としによっても切り離されない。最も簡単な場合では、IDタグは、マルチビットコードを備え、マルチビットコードを、例えば個別の又はグループに関連する製造物番号とし得る。好ましくは、IDタグは、下流の処理ユニット用の一以上の制御情報を含むが、最も簡単な場合では、これらはそれぞれ、1ビットコードの形態である。本出願がIDタグについて言及する場合には、これは、IDタグが3次元ユニットとして印刷されることを意味することを意図しない。可読性が改善され、且つ、後の読取りが容易になるのであれば、機能ユニットを形成するIDタグの部分を、フロントページ上の様々なポイントに配置することが可能である。
【0021】
IDタグ中に含まれる情報は、上位制御システムよりもたらされ、オンラインで又はローカル可読ストレージ媒体を介して、デジタル印刷ユニットに供給され、好ましくはデジタル印刷ユニットにバッファ記憶される。
【0022】
既に前述したように、本発明は、受取人に専用に個別化される印刷物を製造するために使用されることが好ましい。一つの好ましい実施形態によれば、これらは、新聞紙及び定期刊行物などの印刷物であり、例えば差し込み製造物としてのブログ差込物の形態で、受取人に対して個別に編纂されたブログ記事を含むものである。受取人、即ち、新聞紙又は定期刊行物の定期購読者は、自身のために個別に編纂されたブログ差込物を受け取る。ブログ差込物用の記事を選択するための方法及び基準は、個別化電子定期刊行物の分野の当業者には基本的に既知のものであり、或いは、「Daily Me」という専門用語で知られる。定期購読者は、自身のガイドラインに基づいて自身のために記事を編纂するオプションを有する。好ましくは、これは、ユーザポータルへのオンラインアクセスを利用して行われる。作成すべき受取人専用のブログ差込物用のブログ記事を好ましくは自動的に選択する基準となるユーザプロファイルが、生成され、記憶される。個別化される電子新聞を製造するためのオプションは、例えば、R.Speckerによる1997年刊の刊行物である「Chancen und Risiken einer individuellen Informationsvermittlung」(「Opportunities and risks of individual communication of information」)において説明されている。本発明においては、ブログ記事という語は、広義には、広告物及び編集記事をも含み、また、一以上のページについてのレイアウトプロセスにおいて予備印刷段階で編纂されるグラフィカル資料をも含む。
【0023】
判明している受取人用に個別に編纂される印刷物が、非常に魅力的で収益性の高い広告の機会を提供することを、当業者は知っている。したがって、これらの広告の機会を実行し利用することに関する技術的側面については、以下においては掘り下げて考察しない。
【0024】
既に前述したように、ブログ記事は、デジタル印刷されたブログ差込物の形態で、従来式に製造された印刷物であって予め識別化された印刷物に追加されることが好ましい。以下に説明するように、従来式に製造された製造物の識別化によって、受取人特定ブログ差込物の正確な宛名書き及び正確な関連付けが可能となるが、またこれら二つの方法ステップは、逆の順序で実施することも可能である。
【0025】
通常、例えば日刊紙の日刊版などの、印刷物の版の中のある部分のみが、住所を利用して郵便により読者に配布される。日刊版の大部分は、例えばキオスクなどで不特定者に対して販売され、他の部分は、契約によってある地域内の定期購読者に配布される。印刷物の部分的個別化は、直接宛名書きされる新聞紙及び、判明している定期購読者に配布される新聞紙についてのみ適している。他方において、キオスクでの販売は、個別化されない標準の製造物となる。したがって、本発明は、個別化されない標準の製造物と、部分的に個別化される印刷物との製造を一つのプロセスに統合するオプションを提供する。この実施において、本発明は、新聞紙の個別の宛名書き、及び、受取人専用に編纂されるブログ記事の追加、即ち添付を可能にするばかりでなく、受取人専用又は少なくとも地域専用に副製造物を選択して組み合わせ、受取人専用又は地域専用の最終製造物を形成することを可能とする。
【0026】
本発明の他の非常に有利な態様は、従来の印刷プロセス又は供給ステーションなどのハンドリングユニットの下流に結び付けられる、想定されるハンドリングステップのための制御指示を、識別手段に、好ましくはIDタグに導入することであることが判明している。最も簡単な場合には、供給装置の上流に連結された適切な光センサによって、ある特定の供給装置により主製造物の中に副製造物を差し込むことが意図されるか否かに関する制御指示を、主製造物から直接的に読み出すことが可能である。したがって、本発明は、サードパーティプロバイダからのようなワークステーションを、既存の製造システムに統合することを可能とする非常に簡単なインターフェースをもたらす。例えばバーコードの形態などの、光学式可読IDタグの場合には、統合すべきワークステーションは、制御指示によりハンドリングすべき製造物について、上位システムに連結され作動される必要はなく、それぞれの製造物が作業ステップ自体の実行又は省略に関する指示を提供するので、自発的に作動することが可能である。
【0027】
したがって、識別手段(IM)は、本発明の方法が組版限定製造の直後に全ての主製造物又は副製造物に付随させるものであり、関連するデジタル印刷ステーション又は識別手段(IM)に記憶させるべき情報を生成するための別の装置を製造物に動作可能に関連付ける情報を含み、少なくとも製造プロセスの最中に、当該デジタル印刷ステーション又は当該別の装置に製造物が機能的に関連付けられるようにする。何度か既に説明した例では、印刷されるIDタグ中に含まれる情報は、各製造物ごとに個々に異なる製造物識別子であり、以前に識別化するものと称したものであり、識別化するものとして含まれており、識別化するものとして読取り可能なものである。ある設備が、100000部の例示の新聞紙の版を製造する場合には、それに応じて100000の個別化製造物識別子が、生成され、印刷される。製造物識別子は、受取人に関連する関連付け情報を既に有していることが好ましく、又は、当該情報は、製造物識別子において読取り可能な形態で更に含められる。或いは、この関連付けは、製造プロセスにおける下流で、後に実施することが可能である。前者の場合には、例えば、個別化製造物識別子は、購読者に既に関連付けされており、好適には、受取人特定の制御情報であって、当該購読者に関連付けられており、且つ、実際の識別の際にそれに応じてIDタグに組み込まれる制御情報を有する。例えば、この受取人専用制御情報は、受取人専用の主製造物の中に副製造物を差し込むための下流の供給装置への指示を含む。例えば、定期購読者Sampleが、自身の定期購読物の一部として自動車、経済及びスポーツの分野からの副製造物をオーダしている場合には、印刷されるIDタグは、正確にこれら三つの副製造物用の関連するポジティブな制御コードを含み、受取人専用「Sample」製造物は、このタグが製造経路を通過する際に、自動車、経済及びスポーツの分野から、副製造物用の供給装置を制御し、供給装置のそれぞれが一つの副製造物を差し込むようにする。一方、全ての他の供給装置は作動されない。このことは、製造された「Sample」の製造物が、Mr. Sampleが必要とする副製造物のみを含むことを意味する。したがって、ネガティブな選択を行うことも可能であり、これは、Mrs. Meierが、自動車又はスポーツセクションを含まない、又は自動車及びスポーツの分野からの副製造物を伴わない新聞紙をオーダすることが可能であることを意味する。上位制御システムの顧客データベースに記憶されるこの顧客オーダに基づいて、これら三つの副製造物に関するネガティブ制御コードが、識別化の際に、すなわち「Meier」IDタグが備え付けられる際に、正確に、印刷される。例えば、変更されない標準の製造物の中に七つの主題特定副製造物が含まれる場合には、Mr. Sampleは、主製造物以外に、自身が必要とする三つの副製造物のみを、すなわち自動車、経済及びスポーツのみを受け取り、他方で、本発明によるシステムは、Mrs. Meierについては、残りの四つの主題特定副製造物に主製造物を組み合わせる。
【0028】
本発明により制御される組合せ作業は、好適には、広義の丁合用の装置により達成することが可能である。広義の丁合は、狭義の丁合と、差込み及び組合せとの双方を意味するように理解されるように意図されている。大容量方法を使用してこのような印刷物を製造するために、例えばFerag AGによる、丁合、差込み及び組合せ用のドラム又は、丁合、差込み及び/又は組合せ用の対応するセクションが知られている。この場合には、丁合は、鞍状支持体を伴い、差込み及び組合せは、複数の追加ステーションを通過して連続的に送られるV字型コンパートメントを伴い、通常、各供給デバイスは、製造される製造物に対して、例えば他のシート又は他の副製造物などの他の構成要素を追加する。丁合は、最も内側に折り畳まれたシートから開始し、差込みは、最も外側の折り畳まれたシート又は主製造物から開始し、組合せは、第1の通常は折り畳まれない構成要素から開始する。丁合、差込み及び組合せの方法は、適宜組み合わせることが可能であることを当業者は認識している。現行では、既知の大容量デバイスは、1時間当たり40000から約80000部を超える製造物の生産能力を達成することが可能である。二つの供給装置又は他のハンドリングステーション間の印刷物のための運搬経路は、例えばFerag AGによる差込み用ドラムにおいては、横送りの各領域を含むことが好ましく、そこに例えばバーコード読取装置の形態であるセンサを設置可能であることが好ましく、ハンドリングすべき製造物は、このセンサを通過して移動され、製造経路上を移動する際に適切な速度で読み取られる。例えば米国特許第5324014号により公知のようなFerag AGによる鞍状ステッチドラムなどの丁合装置の場合には、センサは、二つの供給ステーション間の横送りの領域中で鞍状支持体内に配置される。また、センサは、米国特許第5613669号(Ferag AG)により公知であるように、丁合、差込み又は組合せのための装置から、ある一定距離の位置に配置されてよい。狭義の丁合の場合には、例えば各場合において予め折り畳まれたものの内側に製造物識別子を配置することが適切であることが判明している。差込み用ドラムにおけるハンドリングについては、これは、この場合に応じて、外側に位置するべきである。当業者にとっては、主製造物及び副製造物という語は、前述のタイプの組合せ、丁合及び差込みに関連して明確な意味を有しており、当業者は、製造物の互いに対するそれぞれの相対的位置、製造プロセスにおける製造物の配向、及び製造物の供給の時間的順序を知っている。
【0029】
本発明の重要な利点は、受取人専用の組合せが、上位制御システムからのいかなる直接的な制御指示も用いずに、IDタグ中に含まれる情報のみによって制御されるという点である。これは、非常に大きな度合で上位制御装置への負荷を軽減するばかりでなく、この方法をはるかに強固なものにする。というのも、上位制御装置の全面的な異常が発生した場合でさえも、既に識別化された製造物が正確に組み合わせられるからである。このシステムを更により安定的なものとするために、全ての版についてのIDタグを生成するために必要な全ての情報が、関連ユニットに、例えばロータリセクション中のデジタルプリンタに記憶される。それによって、当該情報が、ローカルに、及び上位制御装置とは無関係に利用可能になる。
【0030】
さらに、双方の例示の製造物を、顧客の要求にしたがって、受取人専用に個別化することが可能である。例えば、特別主題のチャンピオンズリーグ及びプロフェッショナルフットボールの腐敗の例に関する受取人専用のブログ差込物を「Sample」製造物に封入することが可能であり、「Meier」製造物は、中国における環境スキャンダルの話題及び元ソビエト連邦における言語的マイノリティの抑圧の話題に関するブログ差込物を備える。受取人専用の組合せによる製造物の個別化の場合には、主題の選択は、既成の、従来式に製造された副製造物に限定されるのに対して、ブログ差込物を編纂するための主題の選択肢は、ほぼ無限である。ブログ差込物の事前選択は、既に述べたように、好ましくはオンラインポータルを利用して副製造物の選択と同様に定期購読者によって行われ、発行物ごとでも必要な頻度で変更することが可能であり、受取人専用の定期購読者プロファイル中に適宜記憶させることが可能である。
【0031】
受取人/定期購読者の代わりに又は受取人/定期購読者の要求で実施される個別化に加えて、本発明は、製造すべき最終製造物に受取人専用の広告を付与するための基準として、受取人専用の構読者プロファイルを作成するオプション又は、副製造物及び/又はブログの主題の選択を提供する。これは、例えばターゲットグループ専用の大容量の従来式に製造される広告差込物を差込み、完全に同一のポストカード、引換券又は製品サンプルを取り付けることによって、また、ブログ差込物などのデジタル印刷される差込物の場合には、差込物のレイアウト中に受取人専用の広告を組み込むことによって、組合せの領域において実施することが可能である。当業者は、ターゲットグループ向け広告から、完全に個別化された広告に至るまでの、非常に大きな可能性を理解することが可能であり、これは、本発明によるシステムによって実現され、また特に部分的に個別化された印刷物の製造における組版限定大容量印刷プロセス及び非組版限定印刷プロセスの統合によって実現され、本発明を伴わずに専用個別化ケースに対する必要性に基づく調節によりこの可能性を利用することが可能である。
【0032】
本発明による方法が、好ましくは直列の又は部分的に並列の製造経路中で、本発明により部分的に個別化された製造物であって個別化されない標準の製造物と統合される製造物を製造するために使用されるということは、部分的に個別化される製造物であって所在不明となったか又は不正確に組み合わされた製造物への宛名書きにおける問題に対する新しい解決策を提供し、及びその後の我々が提案するような製造物の直接的な又は間接的な識別を実現することも可能であることを意味する。主製造物の識別化の際に、個別化されない標準の主製造物及び部分的に個別化される製造物の順番は、製造経路の終了方向に向けて、宛名書きの前に、それぞれ部分的に個別化される製造物と、一以上の個別化されない標準の製造物との小さな集団がそれぞれ存在することを確実にする順番とすることが好ましい。宛名書きの際にエラーが発生した場合、又は受取人専用に部分的に個別化される製造物が所在不明になった場合には、代わりとして、直後の個別化されない標準の製造物又はそれらのうち一つに宛名書きすることが可能である。
【0033】
ネガティブな顧客反応を回避するために、本発明の他の実施形態は、自身が購読している部分的に個別化される製造物ではなく、個別化されない標準の製造物を受け取ろうとしていることを受取人に通知することを可能とする。定期購読者は、好ましくはデジタル印刷を使用して宛名書きと共に作成される追加のテキストのブロックによって、又は適切なノートの下流での添付によって、通知を受けることが可能である。これは、Ferag AGによるEP1106550、EP1086914及びEP1275607によって公知であるように、MEMOSTICK(登録商標)の下で市場での確立に大きく成功したような装置を使用して、非常に優れた形で実現することが可能である。更にカスタマーロイヤルティを高めるために、誤った製造物に関する情報を含むMEMOSTICK(登録商標)ノートが、それぞれの出版社からの別の印刷物の無料購入用引換証を更に含んでもよい。
【0034】
電子的に読取り可能な又は読取り/書込み可能なタグとして先に説明した識別手段(IM)を用いる本発明のシステムを実装するために、非接触データ伝送及び識別変更に適した、既知の電子書込み装置(eletcronic writer)又は読取り/書込み装置の形態のセンサが使用される。また、これらのシステム要素は、サードパーティプロバイダからのワークステーション又はシステムコンポーネントの統合を容易化する汎用インターフェースである。
【0035】
以下、本発明による方法及びシステムの好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の好ましい実施形態に基づく方法の基本シーケンス及びシステムの設計を示す図である。
【図2】図1に示す方法において使用し得る本発明の好ましい実施形態に基づくIDタグを示す図である。
【図3】印刷された住所と製造エラーに関する情報とを含む本発明の好ましい実施形態に基づく印刷物のフロントページの切取り部分の図である。
【図4】デジタル印刷されたIDタグと製造エラーに関するMEMOSTICK(登録商標)情報とを含む本発明の好ましい実施形態に基づく他の印刷物のフロントページの切取り部分の図である。
【図5】本発明の他の好ましい実施形態に基づく方法の基本シーケンス及びシステムの設計を示す図である。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0037】
図1は、本発明による方法の好ましい実施形態の基本シーケンスを示している。本発明の基本要素は、明瞭にするために、この概要図からは省略されていることを強調しておかねばならない。従来の大容量印刷機1内の及びその直後のプロセスは、本明細書には更に詳細には示さないが、出力製造物、この場合には主製造物2が、運搬手段(更には示さない)によって、又は運搬設備において、運搬ライン3に沿って運搬されることを前提とする。図示した例示の実施形態では、主製造物は、ロータリセクション1の直ぐ下流でIDタグ4を付与されるが、当該IDタグは、例えば大容量インクジェットプリンタなどのデジタル印刷ユニット(図面に図示せず)により印刷される。ロータリセクションを過ぎた各主製造物2は、付随した明確な製造物特定IDタグ4を有する。IDタグ4を作成するための受取人専用情報又は制御指示が、上位制御ユニット5によって供給される。対応の製造物特定IDタグ4を付与された主製造物2、即ち、製造物特定IDタグ4により識別化された主製造物2は、更なる処理のために差込み用ドラム6に供給される。差込み用ドラムにおいては、副製造物が、ロール又は六つの供給装置7〜12といった保管ユニットから供給される。先に説明したように、概略図には示していないが、差込み用ドラム6において供給装置7〜12の上流に連結される横方向運搬ユニットはそれぞれ、IDタグ4からの製造物特定制御情報を取り込むためのセンサを備えている。供給装置は、各主製造物に対して副製造物を差し込む必要があるか否かに関する情報だけを要するので、IDタグにエンコードされる制御情報については、1ビットのコードで十分である。IDタグ4中の制御指示に応じて、六つの供給装置7〜12を通過した後に、多様な部分的に個別化された中間製造物又は最終製造物が製造され得ることは明らかである。六つの副製造物からの選択により、単なる主製造物から、六つのそれぞれ異なる差込み用副製造物を有する主製造物に至るまで、全ての異なる形態が可能になる。図示した供給装置7〜12によって差し込まれる副製造物は、編集内容の一次版又は二次版といった従来式に製造された副製造物であってよく、又は純粋な広告差込物、又はそれら二つの組合せであってよい。一般的に、副製造物は、受取人特定で供給されることが可能であるばかりでなく、まさにその地域を対象とした版の一部に追加された地域特定製造物であってもよい。このような製造物には、新聞紙の地域版部分、及び、ある特定の地域又はある特定の区域の購買力に対してカスタマイズされた広告差込物が含まれる。
【0038】
供給装置7〜12を通過した後に、運搬される製造物は、ブログ供給装置13を通過して送られる。ブログ供給装置13は、既に部分的に個別化された中間製造物に、又は、未だ個別化されていない標準の中間製造物に、ブログ差込物15を供給することが可能である。ブログ差込物15は、好ましくはPostScript又はPDFの形式で、上位制御ユニット5によってデータライン16を介してデジタルプリンタに送られる必要なレイアウト情報又は必要なファイルを、印刷すべきデータと共に用いて、デジタル印刷ユニット14において受取人専用に印刷される。ブログ供給装置13は、バッファ保管部17を備えている。バッファ保管部17では、複数の受取人専用のブログ差込物15が、差込み用に保持されている。上位制御ユニットは、組合せ作業の上流プロセスにおいて部分的に個別化された受取人専用中間製造物に対して、受取人専用のブログ差込物15用の印刷シーケンスを調節し、ブログ差込物15が正確な順番で差込み用に保持されるようにする。この上位制御装置は、主製造物の実際の識別化の際に製造物の順番又はシーケンスを規定し、好ましくはブログ差込物が供給されるべき各主製造物の後に少なくとも一つの個別化されていない標準の中間製造物が続くようにする。したがって、IDタグ中の受取人専用のマルチビットコードは、ブログ供給装置13の上流の運搬方向の一つのセンサによって読み取られる必要があるに過ぎず、図示しないが好ましくはIDタグ中の同一の受取人専用のマルチビットコードが与えられた適切なブログ差込物15を差し込むことが可能となる。適切なブログ差込物は、部分的に個別化される住所特定中間製造物のために保持されるが、この部分的に個別化される住所特定中間製造物が、上流側の製造経路中での異常により所在不明となった場合には、最前位置での出力のためにブログ供給装置に保持されているブログ差込物は、次の個別化されない標準の中間製造物に差し込まれる。上位制御装置5は、供給装置によりこの作業に関して通知を受け、前の個別化されていない標準の中間製造物のマルチビットコードに、差し込まれたブログ差込物からの受取人専用情報を関連付ける。このとき、この個別化されていない標準の中間製造物は、部分的に不正確に個別化された住所特定中間製造物となり、当該中間製造物は、下流の宛名書きユニットにおいてブログ差込物に対して適切な正確な住所を付与される。宛名書きすべき所在不明となった中間製造物を製造物流から置き換えることが可能であり、予備の中間製造物を供給又は保管するためのいかなる追加的な装置も必要ないという点が、本発明による中間製造物シーケンスの実に重要な利点である。不特定者用の個別化されていない標準の中間製造物、及び、製造物流において宛名書きすべき個別化される中間製造物のシーケンスの有利な選択は、交互差込みとも呼ばれるものであり、必要な予備の個別化されない標準の中間製造物を元来備え、更なる住所特定の個別化のために、所在不明となった中間製造物に対してこれらを非常に迅速に提供する。
【0039】
したがって、宛名書きユニットは、正確な順番で宛名書きされるべき全ての副製造物を備え、それにより、宛名書きされた製造物の正確なシーケンスに食い違いが生じない。これにより、宛名書きされた製造物を、いかなる後処理も必要とせずに、後の配布のためにパケットに正確に束ね又は組み合わせることが可能となる。
【0040】
図1及び図5においては、本発明の中間製造物のシーケンスは、宛名書きすべき個別化される中間製造物を製造物流においてBと示すことにより、表示されており、一方、これらの間に配置される個別化されない標準の中間製造物は、如何なる特定のラベルも有していない。
【0041】
本発明によれば、宛名書きすべき個別化される中間製造物Bと、個別化されない標準の中間製造物とのシーケンスは、処理設備の典型的な異常に対してカスタマイズすることが可能である。個別化される製造物が所在不明となることが単に予想される場合には、運搬ライン中で、受取人専用に部分的に個別化される中間製造物の各グループの後に、少なくとも一つの、好ましくは複数の、個別化されない標準の製造物が続くように、製造物のシーケンスが選択される。受取人専用に部分的に個別化される中間製造物のグループは、通例では郵便発送用のパッケージを形成するグループよりも大きくないことが好ましい。好ましくは、受取人専用に部分的に個別化される中間製造物のグループは、最大でも半分の規模である。時間通りに配達されることを可能とするよう宛名書きされた製造物を編集の開始時に印刷することが必ずしも必要でない場合には、受取人専用に部分的に個別化される中間製造物のグループの規模を低く保つことが更に好ましい。繰り返す一連の、受取人専用に部分的に個別化される各中間製造物Bと、少なくとも一つの、好ましくは複数の個別化されない標準の中間製造物とによって、受取人専用に部分的に個別化される、所在不明となった又は不正確な中間製造物Bに対して、個別化されない標準の中間製造物が後に迅速に利用可能となる。
【0042】
印刷の更なる工程の際に不正確な製造物をチャネリングアウトすることは、当業者には既知のものであり、ここでは更に説明する必要はない。受取人専用に部分的に個別化される中間製造物であって所在不明となった中間製造物が比較的大きなグループであるものと予想され得る場合には、個別化されない標準の中間製造物のグループの規模は、それに応じてカスタマイズされる。本発明によれば、先に説明した上位制御装置5による主製造物の識別化によって、製造物の紛失が発生した際に非常フレキシブルな応答が可能となる。例えば、製造物の組合せ作業が、40個の中間製造物の食い違いを生じさせるエラーに見舞われた場合には、制御装置は、例えば図1及び図5に示すように、フィールドバス18を介して、エラー及び影響を受ける製造物の数を検出し、所在不明となった製造物に関して関連する個別化ステップを、製造部1から又は保管部30からの、受取人専用の個別化の対象ではない主製造物の適切な数に、動的に関連付ける。
【0043】
一つの好ましい実施形態では、主製造物は、保管部30から供給される後までは、識別化されない、即ち、IDタグ4を与えられない。主製造物が、オンラインでロータリセクションから、又はオフラインでストレージユニットからのいずれからもたらされるかにかかわらず、これらを、このように、更なる処理へと供給される順番に識別化することが可能である。
【0044】
図1及び図5に示す有利な実施形態では、MEMOSTICK(登録商標)ユニット21が、宛名書きユニット19の下流に配置され、当該MEMOSTICK(登録商標)ユニットは、部分的に不正確な宛名書きされた最終製造物が、エラーを受領者に知らせる及び必要な場合には補償のフォームを提供するMEMOSTICK(登録商標)ノートを備えることを可能とする。同様に、宛名書きされた最終製造物であって指示されたブログ差込物が添付漏れした最終生成物には、例えば、定期購読者用にエラー情報を付与することが可能である。
【0045】
他の同様の好ましい実施形態においては、不正確な製造物に関するこの情報は、主製造物の上に、又は宛名書きの際に住所用スリーブの上に、追加的に印刷される。
【0046】
次いで、ダイバータ20又は同様の作動をなす要素が、個別化されない標準の最終製造物23から個別に宛名書きされた最終製造物22を分離し、製造物22及び23を二つの別個の製造物流に供給する。これら生成物22及び23は、既知の態様で発送される。他の好ましい実施形態においては、物流を分離させるダイバータは、宛名書きの直後に、又はブログ供給装置の後に配置される。その結果、宛名書きの際に運搬される製造物の速度は、低下するが、宛名書きの際にエラーを修正するための簡易なオプションが消去される。
【0047】
図2は、例えば図1に示す方法において使用し得るようなIDタグ4の一例を示している。タグの左側領域は、六つのシングルビットコード31〜36を示しており、これらビットコード31〜36は、例えば、図1に示す六つの供給装置7〜12を制御することが可能である。上列38中のピクセルは、各供給装置による差込みの実施のためのエンコードを実現することが可能であり、下列39中のピクセルは、各供給装置を不作動状態とする。図2の例においては、副製造物は、供給装置7、9、11、12から、図示したコードを有する主製造物中に差し込まれる。右側の領域において、IDタグ4は、製造物特定情報を含み、更に住所特定情報を含み得るマルチビットコード37を備えている。
【0048】
図3及び図4は、不正確に組み合わされた製造物の例を示しており、受取人は、図3の配達住所24の直ぐ近傍の印刷テキスト25によって、又は図4のIDタグ4’の上方のMEMOSTICK(登録商標)ノート26によって、自身にとって不正確な新聞紙であることを知らされる。
【0049】
本発明の更なる実施形態(図示せず)では、主製造物及び/又は副製造物、並びに特に本発明のブログ差込物が、現行では1分当たりA4で最大250ページ印刷することが可能な大容量デジタル印刷システムを使用して製造される。経験的には、これらの大容量デジタル印刷システムの性能は、数年後には大幅に上昇し、同時に恐らくはコストが低下すると考えられる。
【0050】
図5は、本発明の更なる好ましい実施形態を示しており、ここでは、主製造物2が、ロータリセクション1から、例えばディスクプール中のロール30上にバッファ保管される。ロータリセクションにおけるディスクの変更が、製造の中断をもたらす場合には、先に印刷された主製造物を扱って、更なる処理に供給することが可能である。更なる有利な実施形態(図示せず)によれば、識別は、ロータリセクション中自体、又はロータリセクションの直後には行われないが、代わりにハンドリングの際にのみ、又はその後ハンドリングされた製造物を更なる処理に供給する際にのみ行われる。
【0051】
IDタグ4’が図4に示す主製造物上で読取り可能な状態にある場合には、更なる処理の最中に除去された不正確な製造物は、ハンドスキャナ又は検査ステーションを用いて識別することが可能であり、不正確な製造物に関する製造物情報は、オンラインで制御装置から要求することが可能であり、スキャナ又は他の検査ステーションに表示させることが可能である。これにより、運転作業員に、エラーと、エラーを修正するために必要なステップとを、最も簡易な方法で通知することが可能となる。例えば特定の副製造物が製造物に差し込まれなかった場合には、このエラー情報は制御装置5において検出され、IDタグが検査ステーションにおいて読み込まれると、この情報は検査ステーション上に自動的に表示され、作業者はどの副製造物を追加する必要があるかについて知らされ、それにより不正確な製造物の手動検査が不要となる。
【0052】
また、製造物の上に存在するIDタグは、特にキオスク販売などからの返却物を識別する容易な方法を出版社に提供する。本発明に基づく製造物特定個別化IDタグは、商業用バーコードと混同されてはならない。商業用バーコードは、新聞紙のそれぞれの版を識別するために今日既に使用されているものである。これらの既知のバーコードは、ISO/IEC15420にしたがって規格化され、例えばEAN番号などの有効番号のみを用いて使用されるものである。EAN General Specificationsによれば、新聞紙又は定期刊行物の版番号をエンコードするために、2桁又は5桁の補助コードをEANの直ぐ隣に印刷することが可能である。固有の製品識別子は、既知の商業用バーコードでは不可能である。
【0053】
また、本発明によって、副製造物を識別化することが可能となるので、即ち、例えば副製造物にIDタグを付与することが可能となるので、副製造物上のIDタグは、製造物の正確な組合せを確実にするために、供給の際に検査コードとして使用することが可能である。したがって、この新しいシステムにより、主製造物の上のIDタグを、個々の識別のために使用することが可能となり、上述のように制御コードとして使用することが可能となり、また同時に、副製造物上のIDタグを、検査コードとして使用することが可能である。正確な供給を検査するためには、主製造物及び副製造物の上の対応するごく単純な一列の1ビットコードで十分である。このような検査は、各供給又はハンドリングステーションで直接的に、非常に簡単な手段を使用して実施することが可能であるため、上位制御システムは、非常に大きな度合で負荷を軽減される。この軽減を示すために、図5は、上位制御装置5と各製造物ユニットとの間の全ての連結ラインを、点線で示している。
【0054】
同様に、図5は、供給装置12を使用して、又は、好ましくは処理ドラム又は循環システムである処理ドラム6の下流側に連結される処理装置24によって、製造物Bの中にブログ差込物15を差し込むことが可能であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物を製造する方法であって、
組版限定の大容量印刷プロセスにおいて主製造物(2)又は副製造物の形態で製造される印刷物が、個別化可能な製品専用の情報を含む識別手段(IM)を備え、
少なくとも二つの更なる下流の個別化ステップが実施され、前記識別手段が、前記少なくとも二つの更なる下流の個別化ステップにおいて追加されるべき情報を、各製造物に関連付けることが可能なことを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも二つの更なる下流の個別化ステップがそれぞれ、少なくとも一つのデジタル印刷プロセスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記下流の個別化ステップは、宛名書きをするステップ及び受取人に対して個別に編纂されたブログ記事のデジタル印刷を行うステップを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別手段は、i)印刷物の上に又は印刷物に直接備え付けられる識別手段、ii)着脱自在、一時的、且つ、直接的な物理的近接状態で印刷物に付随する識別手段、並びに、iii)上位制御デバイス中の電子識別コードの形態の識別手段であって、前記識別コードは、ソフトウェアの補助により、製造プロセスにおいて使用されるハンドリングステーションとの関連で前記製造プロセスにおいて各印刷物に対する関連付けを実施する、識別手段を含む群より選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組版限定大容量印刷プロセスの際に、或いは前記組版限定大容量印刷プロセスの直ぐ後に続けて、デジタル印刷方法を使用して、印刷物の上に直接的にIDタグ(4、4’)を印刷する、或いは、IDタグ又は電子的に読取り可能な若しくは読取り/書込み可能な電子メモリを印刷されたラベルを前記印刷物に備え付けることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
製造物に対する各IDタグ(4、4’)が、少なくとも一つのハンドリングデバイス(7〜12)上のセンサにより読取りが可能である製品特定制御情報(31〜36)を含み、したがって少なくとも一つのハンドリングデバイス(7〜12)において当該制御情報により前記製造物のハンドリングを直接的に制御することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
運搬ライン(3)の経路中で、作成すべき製造物が、従来式に製造される副製造物の選択、及び、少なくとも一つの他の受取人専用のデジタル印刷物の封入を含む受取人専用の組み合わせによって、個別化されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つの受取人専用のデジタル印刷物は、好ましくはブログ差込物の形態であるブログ記事を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記運搬ラインの経路中の製造物のシーケンスが、少なくとも複数セクションにおいて、繰り返して連続する、受取人専用に部分的に個別化される各中間製造物と、少なくとも一つの、好ましくは複数の個別化されない標準の中間製造物とを、含むことを特徴とする、前記請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記運搬ラインの経路中の前記製造物のシーケンスは、少なくとも複数セクションにおいて、繰り返して連続する、受取人専用に部分的に個別化される複数の各中間製造物と、少なくとも一つの、好ましくは複数の個別化されない標準の中間製造物とを、含むことを特徴とする、前記請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
受取人専用に部分的に個別化される中間製造物が所在不明となった場合には、実施すべき受取人専用の個別化ステップが、その後に続く個別化されない中間製造物に対して行われ、それによって、前記中間製造物は、部分的に不正確な個別化される受取人専用の中間製造物にされることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記部分的に不正確な個別化される住所特定中間製造物、又は全く同一の最終製造物が、受取人に送られる情報であって不正確な製造物に関連する情報を、好ましくはデジタルオーバープリント又はステッカ又はMEMOSTICK(登録商標)ノートの形態で、含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
好ましくは、前記IDタグ(4、4’)は、機械可読2次元又はマトリクスバーコードの形態であることを特徴とする、請求項6〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記住所特定組合せは、いかなる上位制御システムからの直接制御指示も伴わずに、IDタグ(4、4’)に含まれる情報のみによって制御されることを特徴とする、前記請求項5〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法を実施するためのシステム。
【請求項16】
組版限定大容量印刷プロセスで製造され、製造物専用に個別に組み合わされる少なくとも複数の副製造物と、少なくとも一つの受取人専用のデジタル印刷物とを含む、印刷物。
【請求項17】
前記少なくとも一つの受取人専用のデジタル印刷物は、好ましくはブログ差込物の形態であるブログ記事を含むことを特徴とする、請求項16に記載の印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−506314(P2010−506314A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531706(P2009−531706)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000504
【国際公開番号】WO2008/043195
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(509079503)ヴェーエルハー マーケティング アーゲー (2)
【Fターム(参考)】