説明

ブロック共重合体

【課題】新規なブロック共重合体を提供し、特に顔料等の微粒子に対する親和性と耐熱性の高いブロック共重合体を提供することにある。また、このような特性を備えたブロック共重合体を有する高分子分散剤を提供することである。
【解決手段】ブロック共重合体の第1のセグメントとして、イミダゾリウム塩誘導体モノマーが重合してなる下記式(1)で示されるセグメントAを有することを特徴とするブロック共重合体により課題を解決した。


[式(1)中、Rは任意の有機基を示し、Xは対アニオンを示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のブロック共重合体に関し、更に詳しくは、イミダゾリウム塩誘導体モノマーが重合してなる特定のセグメントを有する分散剤用のブロック共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
イミダゾリウム塩誘導体モノマーがランダム共重合してなる共重合体としては種々のものが知られ、また、かかるランダム共重合体は種々の用途に使用され得ることが知られている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウムカチオンがランダム共重合した高分子電解質が記載されており、何れも電池の電解質としての用途に用いられている。また、特許文献3には洗剤添加剤として、特許文献4には水性コポリマー分散液のコポリマーとして、イミダゾリウム塩誘導体モノマーのランダム共重合体が用いられている。
【0003】
しかしながら、上記したものはランダム共重合体であって、イミダゾリウム塩誘導体モノマーがブロック共重合してなる共重合体については知られていなかった。
【0004】
一方、顔料等の微粒子の分散剤としては、これまでにウレタン系分散剤(特許文献5、特許文献6等)、ポリエチレンイミン系分散剤(特許文献7、特許文献8、特許文献9等)、ポリアリルアミン系分散剤(特許文献10等)、アクリルブロック分散剤(特許文献11、特許文献12等)等が知られており工業的に使用されている。これらの中で、アクリルブロック分散剤の顔料吸着部位として4級アンモニウム構造が取り入れられているものが市販されているが、このような市販分散剤や公知のアクリルブロック分散剤は、耐熱性が十分でないという問題点があった。
【0005】
また、特許文献13には、2種類以上の性質の異なる高分子鎖を有する高分子分散剤が記載されているが、イミダゾリウム塩誘導体モノマーのブロック共重合についての記載はなく、また耐熱性は十分でないと考えられる。
【0006】
一方、特許文献14には、顔料分散剤としてのブロック共重合体を、可逆的付加開裂連鎖移動重合法(reversible addition fragmentation chain transfer polymerization)(RAFT重合法、可逆的付加フラグメンテーション連鎖移動重合法とも呼ばれる)で合成する方法が記載されているが、イミダゾリウム塩誘導体モノマーがブロック共重合してなる共重合体についての記載はなく、特許文献14記載の顔料分散剤は顔料親和性と耐熱性を両立させようとしたものでもなかった。
【0007】
近年、顔料等の微粒子の分散剤、帯電防止剤、ポリマー電解質等、種々の用途に新規で優れた重合体の出現が望まれているが、未だ十分な物性を有するものは知られておらず、特に、耐熱性が要求されるインキ分野においては、耐熱性のある高分子分散剤の出現への要求は、ますます高くなってきている。しかしながら、上記した公知技術では、耐熱性のある高分子分散剤は得られず、その結果、顔料親和性と耐熱性との両立は達成できていなかった。
【0008】
【特許文献1】特開平10−083821号公報
【特許文献2】国際公開WO2004/88671号公報
【特許文献3】国際公開WO94/10281号公報
【特許文献4】国際公開WO95/05401号公報
【特許文献5】特開昭60−166318号公報
【特許文献6】特開平02−000612号公報
【特許文献7】国際公開WO94/21368号公報
【特許文献8】特開平11−197485号公報
【特許文献9】特開昭61−174939号公報
【特許文献10】特開平09−169821号公報
【特許文献11】特開平01−229014号公報
【特許文献12】特開平11−001515号公報
【特許文献13】特開2003−236360号公報
【特許文献14】国際公開WO2006/82160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、分散剤用の新規なブロック共重合体を提供することにあり、特に耐熱性の高い分散剤用のブロック共重合体を提供することにある。また、顔料等の微粒子に対する親和性と耐熱性とを両立したブロック共重合体を有する高分子分散剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ブロック共重合体の一方のセグメントに、イミダゾリウム塩誘導体モノマーが重合してなる化学構造を持たせることにより、顔料等の微粒子に対する親和性や耐熱性が向上することを見出した。また、かかる化学構造のブロック共重合体が、可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT重合法)によって良好に得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、ブロック共重合体の第1のセグメントとして、イミダゾリウム塩誘導体モノマーが重合してなる下記式(1)で示されるセグメントAを有し分散剤として用いることを特徴とするブロック共重合体を提供するものである。
【化5】

[式(1)中、Rは任意の有機基を示し、Xは対アニオンを示す。]
【0012】
また、本発明は、ブロック共重合体の第2のセグメントとして、N−置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーが重合してなるセグメントBを有する上記のブロック共重合体を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、上記のセグメントA及び/又はセグメントBが、可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT重合法)により重合して得られたものである上記のブロック共重合体を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、上記のブロック共重合体を含有することを特徴とする分散剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記問題点を解消し、上記課題を解決し、耐熱性の高い分散剤用の新規なブロック共重合体を提供することができる。すなわち、本発明のブロック共重合体は、耐熱性、固体表面への親和性、親水性等に優れるので、それらが要求される分散剤に好適に適用され、その性能を向上させることができる。
【0016】
また、本発明のブロック共重合体を用いれば、微粒子に対する親和性とそれ自身の耐熱性とが両立した高分子分散剤が実現できるため、それを分散時に使用することで、均一分散性と耐熱性を満たした分散液が得られる。本発明の新規なブロック共重合体を用いれば、顔料等の微粒子に対して親和性が高く耐熱性に優れた分散剤が得られるため、カラーレジスト等、耐熱性の要求されるインキ分野に、分散剤として特に好適に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0018】
<セグメントA>
本発明のブロック共重合体は2個以上のセグメント(ブロック)からなるが、その第1のセグメントは、イミダゾリウム塩誘導体モノマーが重合してなる下記式(1)で示される化学構造を有する。下記式(1)で示される構造を有するセグメントを「セグメントA」と略記する。
【化6】

[式(1)中、Rは任意の有機基を示し、Xは対アニオンを示す。]
【0019】
式(1)中、Rは有機基であればその化学構造に特に限定はないが、下記式(5)又は式(6)で示される有機基が好ましい。
【化7】

[式(5)及び式(6)中、Qは水素原子、アルキル基、アリール基、−OR、−COOR又は−CH(OR(ここで、R、R及びRは互いに異なっていてもよいアルキル基又はアリール基を示す)を示し、nは1〜10の整数を示し、mは1〜10の整数を示し、pは1〜6の整数を示す。]
【0020】
式(5)及び式(6)中、Qは水素原子、アルキル基、アリール基、−OR、−COOR又は−CH(OR(ここで、R、R及びRは互いに異なっていてもよいアルキル基又はアリール基を示す)を示すが、Qのアルキル基としては炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4個のアルキル基が特に好ましい。また、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が好ましく、フェニル基が特に好ましい。アリール基の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基が好ましい。
【0021】
−OR、−COOR又は−CH(ORのR、R及びRは、互いに異なっていてもよいアルキル基又はアリール基を示すが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基又はフェニル基等のアリール基が好ましい。R、R及びRのアルキル基又はアリール基は、低級アルキル基等の置換基を有していてもよい。
【0022】
式(5)におけるnは、1〜10の整数を示すが、1〜8の整数が特に好ましい。式(6)におけるmは、1〜10の整数を示すが、1〜3の整数が好ましく、2が特に好ましい。
【0023】
具体的には、上記式(1)におけるRが、下記式(4)で示される群から選ばれる有機基であるものが、合成のし易さ等の点で最も好ましい。下記式(4)における波線で切られた部分は、−(CH−(qは0以上の整数を示す)を示す。q=0の場合は、波線がないのと同じで、波線で切られた結合が単に単結合であることを示す。qは0であることが特に好ましい。
【化8】

【0024】
式(1)におけるXは対アニオンを示し、その化学構造は特に限定はないが、I、Br、Cl、BF、BPh、PF、(CFSO、CFSO、CHSO、又は、下記式(2)で示されるものが、顔料への親和性が高い、耐熱性が良好等の点で好ましい。
【0025】
【化9】

【0026】
このうち、Br、Cl、I等が、合成が容易等の点で特に好ましく、BF、BPh、PF、(CFSO、CFSO、CHSO等が、上記に加え、有機溶媒に対する溶解性が高く、顔料等の分散液の塗布適正が良好であり、高分子分散剤として好適である点で特に好ましい。
【0027】
イミダゾリウム塩誘導体モノマーが重合してなる上記式(1)で示されるセグメントAが存在するために、本発明のブロック共重合体は、極めて高い熱安定性(耐熱性)、イオン伝導性、固体表面への親和性等を示すようになる。
【0028】
<セグメントB>
本発明のブロック共重合体は2個以上のセグメント(ブロック)からなるが、第2のセグメントとして、N−置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーが重合してなるセグメントが好ましい。以下、N−置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーが重合してなるセグメントを「セグメントB」と略記する。ここで、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0029】
N−置換(メタ)アクリルアミドモノマーにおける窒素に対する置換基としては特に限定はないが、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が、原料の入手し易さ等の点で特に好ましい。また、窒素に対する置換基の数は、1個(2級アミンとなる)でも2個(3級アミンとなる)でもよい。N−置換メタクリルアミドモノマーよりN−置換アクリルアミドモノマーの方が、後記する可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT重合法)に適している。
【0030】
(メタ)アクリル酸エステルモノマーにおけるエステルは、アルキルエステル、アリールエステル、アリールアルキルエステルの何れでもよいが、アルキルエステルであることが、種々の物性を有するモノマーが入手し易い点から好ましい。また、メタクリル酸エステルモノマーよりアクリル酸エステルモノマーの方が、後記する可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT重合法)に適している。
【0031】
本発明のブロック共重合体は、セグメントAに加えてセグメントBが存在すると、良好な溶媒溶解性、顔料分散安定性、他成分との相溶性等を示すようになる。
【0032】
また、セグメントBは、後記する可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT重合法)により重合して得られたものであることが好ましいが、そうして得られた上記セグメントBを有する重合体が、その末端基のために(末端基に起因して)マクロ連鎖移動剤として作用して、後から加えたイミダゾリウム塩誘導体モノマーを可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合することが好ましい。
【0033】
<セグメントAとセグメントBの、セグメント繰り返し数、それぞれの分子量、それぞれの重合度、全体の含有比率等>
本発明のブロック共重合体はセグメントAを有することが必須である。セグメントA以外のセグメント(ブロック)に関しては特に限定はなく、セグメントA以外のセグメントは1種でも2種以上でもよい。セグメントA以外のセグメントは、上記したセグメントB以外のセグメントでもよいが、上記したセグメントBであることが、上記した点から好ましい。本発明のブロック共重合体がセグメントAとセグメントBを有する場合にも、それ以外のセグメント(第3のセグメント)のブロック共重合を排除するものではない。
【0034】
本発明のブロック共重合体は、セグメント繰り返し数は特に限定はなく、A−B、B−(A−B)、(A−B)−A、B−(A−B)−A(何れもrは1以上の整数)の何れでもよいが、A−B又はr=1であるものが、合成が容易である点、物性を制御し易い等の点から好ましく、A−Bが同様の点から特に好ましい。
【0035】
本発明のブロック共重合体における、セグメントAとセグメントBの含有モル比は特に限定はないが、セグメントB/セグメントA=10/90〜99/1(モル比)が好ましく、20/80〜97/3(モル比)がより好ましく、30/70〜95/5(モル比)が特に好ましい。
【0036】
セグメントAの重合度(モノマーの繰り返し数)は特に限定はないが、3〜100が好ましく、10〜50が特に好ましい。また、セグメントAの数平均分子量も特に限定はないが、100〜10000が好ましく、1000〜5000が特に好ましい。セグメントAの重合度や数平均分子量が大き過ぎたり、セグメントBに対して全体の重合度(含有モル比率)が多過ぎたりすると、溶媒に対する溶解性が十分でなくなる場合がある。一方、セグメントAの重合度や数平均分子量が小さ過ぎたり、セグメントBに対して全体の重合度(含有比率)が少な過ぎたりすると、十分な顔料親和性が得られなくなる場合がある。
【0037】
セグメントBの重合度(モノマーの繰り返し数)も特に限定はないが、20〜300が好ましく、50〜200が特に好ましい。また、セグメントBの数平均分子量も特に限定はないが、2000〜30000が好ましく、5000〜20000が特に好ましい。セグメントBの重合度や数平均分子量が大き過ぎたり、セグメントAに対して全体の重合度(含有モル比率)が多過ぎたりすると、分散性が十分に得られなかったり、インキ等の粘度が高くなり過ぎる場合がある。一方、セグメントBの重合度や数平均分子量が小さ過ぎたり、セグメントAに対して全体の重合度(含有比率)が少な過ぎたりすると、インキ等の安定性が不十分となる場合がある。
【0038】
<重合方法>
本発明のブロック共重合体の合成方法(重合方法)には特に限定はないが、可逆的付加開裂連鎖移動重合法(reversible addition fragmentation chain transfer polymerization)(RAFT重合法、可逆的付加フラグメンテーション連鎖移動重合法とも呼ばれる。以下、「RAFT重合法」と略記する)を用いることによって初めて得られた。本発明のブロック共重合体はRAFT重合法で得ることが好ましい。
【0039】
RAFT重合法とは、RAFT剤とも呼ばれる連鎖移動能力を有する(連鎖移動剤でもある)化合物が、重合開始剤から誘導される重合開始(initiation)ラジカル又は成長(propagating)ラジカルの何れかと反応して、新規のラジカルを形成し、それが重合を再開始する重合法である。RAFT重合法については、国際公開WO98/01478号公報、米国特許第2004024132号明細書、国際公開WO2001/77198号公報、米国特許第6642318号明細書中に詳細に開示されている。
【0040】
本発明のブロック共重合体においては、上記セグメントBはRAFT重合法により重合して得られたものであることが好ましい。上記セグメントAもRAFT重合法により重合して得られたものであることが好ましい。本発明のブロック共重合体はRAFT重合法でなければ得ることが難しい。
【0041】
また、上記セグメントBは、ジチオエステル系連鎖移動剤を用いて重合して得られたものであることが好ましく、下記式(3)で示される連鎖移動剤を用いて重合して得られたものであることが特に好ましい。かかる連鎖移動剤は、いわゆるRAFT剤として作用して、得られたセグメントBの重合体がマクロ連鎖移動剤として、イミダゾリウム塩誘導体モノマーを重合させるために好ましい。かかる連鎖移動剤を用いれば、本発明のブロック共重合体が合成し易い。なお、式(3)で示される連鎖移動剤はザンテート型連鎖移動剤と呼ばれ、この連鎖移動剤を用いた重合過程は、MADIX(Macromolecular Design via the Interchange of Xanthates)と表現されることもある。
【化10】

[式(3)中、RとRは置換基を有していてもよく分岐していてもよい炭素数1〜12個のアルキル基若しくはアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、RとRは互いに異なっていてもよい。]
【0042】
式(3)中、RとRは何れも、置換基を有していてもよく分岐していてもよい炭素数1〜12個のアルキル基若しくはアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。その中でも、RとRは何れも、分岐していてもよい炭素数1〜12個のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基が、RAFT重合が進行し易い点でより好ましい。そのうち、Rについては、炭素数1〜6個のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基が更に好ましい。
【0043】
本発明のブロック共重合体においては、上記セグメントAは、RAFT重合法により重合して得られたものであることが好ましい。その際の連鎖移動剤としては、N−置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーが重合してなるセグメントBを有するマクロ連鎖移動剤が好ましい。すなわち、セグメントAは、上記のように可逆的付加開裂連鎖移動重合法により重合して得られた上記セグメントBを有するマクロ連鎖移動剤を用いて重合して得られたものであることが好ましい。このようにすることによって、本発明のブロック共重合体を好適に得られる。
【0044】
RAFT重合法でイミダゾリウム塩誘導体モノマーと共重合する際、N−置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーが重合してなるセグメントB(を有するマクロ連鎖移動剤)は、イミダゾリウム塩誘導体モノマー(又はセグメントA)と相性が良く、ブロック共重合が進行し易い。モノマーの化学構造によっては、イミダゾリウム塩誘導体モノマーがブロック共重合しないものもある中で、N−置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、正常にイミダゾリウム塩誘導体モノマーがブロック共重合する。
【0045】
本発明のブロック共重合体は、溶液重合、バルク重合、懸濁重合等で得られる。溶液重合のときの溶媒としては、原料モノマーと本発明のブロック共重合体を溶解し、一定値以下の連鎖移動係数を有するものであれば特に限定はないが、ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide、以下「DMF」と略記する)、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール等が好ましく用いられる。
【0046】
重合開始剤は、通常の重合法に用いられるものが使用でき特に限定はないが、アゾビスイソブチロニトリル(Azobisisobutyronitrile、以下「AIBN」と略記する)等のビスアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)等の過酸化物系重合開始剤等が好適に用いられる。
【0047】
重合温度、重合時間、攪拌条件等重合条件;精製溶媒等の精製方法は、公知の方法が用いられる。
【0048】
<分散剤>
本発明のブロック共重合体は、前記セグメントAを有し分散剤として用いることを特徴とする。「分散剤として用いる」とは、本発明のブロック共重合体自身で高分子分散剤として使用することも、本発明のブロック共重合体を含有させた分散剤として使用することも含む。分散の対象は特に限定はないが、着色顔料;白色、灰色、黒色等の無色顔料;有機又は無機の微粒子;フィラー等である。分散剤には、本発明のブロック共重合体の他に、分散助剤、界面活性剤等、通常分散剤に用いられるものが特に限定なく用いられる。本発明のブロック共重合体を含有する分散剤の用途は特に限定はないが、カラーレジスト、インクジェトインキ、グラビアインキ、オフセットインキ等のインキ、塗料、顔料の分散剤、有機・無機フィラー等の微粒子の分散剤、着色樹脂組成物等に特に好適に使用される。
【実施例】
【0049】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
<試薬>
1−ビニルイミダゾール(VIm、1-vinylimidazole)は、カルシウムハイドライド(CaH)で約2時間乾燥させた後、減圧蒸留により精製した。
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM、N-isopropylacrylamide)は、ヘキサンにより再結晶を3回行った。
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、2,2’-azobisisobutyronitrile)は、メタノールにより再結晶を行った。
1,4‐ジオキサン(1,4-dioxane)は、ナトリウムを入れ窒素気流下で約2時間還流した後蒸留した。
DMFは、カルシウムハイドライド(CaH)で約2時間乾燥させた後、減圧蒸留により精製した。
その他の物質は市販品の試薬をそのまま使用した。
【0051】
<測定>
[Nuclear Magnetic Resonance(NMR)の測定]
JEOL製、JNM−ECX400 FT NMRを用い、内部標準テトラメチルシラン(TMS)入りの重クロロホルム中、DMSO−d中、又はmetanol−d中で測定を行った。解析にはJEOL製の解析プログラムDelta version.4.3.4を用いた。ケミカルシフトはDeltaで解析した際の値をそのまま用いた。
【0052】
[Size Exclusion Chromatogram(SEC)測定]
ポンプはTOSOH DP−8020、TOSOH SD−8022、サンプラーにTOSOH AS−8020、検出器はViscotek TDA model−301(RI,Viscosity,RALLS;wavelength=670nm)の構成で測定を行った。
【0053】
分析カラムは直列4本で、TOSOH TSK−GELs (粒径,排除限界):
GMHXL(9μm,4×10)、G4000HXL(5μm,4×10)、
G3000HXL(5μm,6×10)、G2500HXL(5μm,2×10)、 それぞれ長さは30cm。
ガードカラムは、TSK−GuardcolumnHXL−H,4cmである。
【0054】
流液速度は1.0mL/minで、カラムオーブンは40℃に設定して測定を行った。SECの溶媒にはろ過したDMFを用いた。GPCサンプル濃度は、2mg/mL、フィルターを通したものを使用した。
キャリブレーション曲線は、ポリスチレン標準サンプル(Mn=1110000,397000,189000,98900,37200,17100,9490,5870,2500,1050,500)により作成し、サンプルの数平均分子量、分子量分布を計算した。
【0055】
<モノマー合成(1)>
1-Vinyl-(3-propylbenzyl)imidazolium bromide(VPI−Br)の合成
【0056】
【化11】

【0057】
ナスフラスコに、1-vinylimidazole(4.82mL,0.0531mol)を入れ、攪拌しながら、3-bromopropylbenzene(13.6mL,0.0918mol)をゆっくり滴下させた。滴下後、40℃、16時間で反応させたところ、粘性を持った黄褐色の液体を確認した。得られた液体を酢酸エチルで数回洗浄し、減圧下、40℃で一晩乾燥させることで、上記化学反応式のVPI−Brを得た。
収量は12.1g(収率=83%)であった。構造はH−NMRと13C−NMRにより確認した。NMRスペクトルを図1に示す。
【0058】
<モノマー合成(2)>
1-Vinyl-(3-ethylheptanoic)imidazolium bromide(VEHI−Br)の合成
【0059】
【化12】

【0060】
ナスフラスコに、1-vinylimidazole(4.82mL,0.0531mol)を入れ、攪拌しながら、ethyl-7-bromoheptanoate(17.9mL,0.0918mol)をゆっくり滴下させた。滴下後、40℃、16時間で反応させたところ、白色の粉末固体を確認した。得られた固体を少量のメタノールに溶解させ、多量の酢酸エチル中に滴下させることで沈殿精製を行った。精製後、減圧下、40℃で一晩乾燥させることで、VEHI−Brを得た。
収量は12.8g(収率=48%)であった。構造はH−NMRと13C−NMRにより確認した。NMRスペクトルを図2に示す。
【0061】
<連鎖移動剤の合成>
O-Ethyl-S-(1-phenylethyl)dithiocarbonateの合成
【0062】
【化13】

【0063】
窒素置換した二口ナスフラスコに、O-Ethylxanthic acid potassium salt(1.78g,11.1mmol)とエタノール20mLを加えて、50℃で攪拌した。ここに、(1-Bromoethyl)benzene(2.06g,11.1mmol)をエタノール5mLで希釈したものを滴下した。滴下後、温度を60℃に上げ、5時間撹拌した。反応物にジエチルエーテル25mLと水20mLを加えて洗浄し、エーテル層を抽出し硫酸マグネシウムで乾燥させた。
【0064】
合成物の精製は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=85/15〜50/50)を用い、薄黄色の液体(1.71g,7.55mmol)を収率68%で得た。目的物の構造は、H−NMRにより確認した。NMRスペクトルを図3に示す。
【0065】
<マクロ連鎖移動剤の合成>
Poly(N-isopropylacrylamide)(Poly(NIPAM))のRAFT重合法による合成
【0066】
【化14】

【0067】
重合管に、NIPAM(0.5118g,4.55mmol)、連鎖移動剤として、O-ethyl-S-(1-phenylethyl)dithiocarbonate(20.50mg,0.0910mmol)、開始剤として、AIBNを7.5mg(0.0455mmol)及び1,4−ジオキサン(1,4-dioxane)4.55mLと攪拌子を入れ、凍結脱気を3回行った後、封管し、80℃で6時間反応させた。
反応後、反応溶液を液体窒素で冷却して反応を止め、室温に戻した後、過剰量のジエチルエーテルで再沈殿を行った。その後、析出したポリマーをろ過回収後、減圧下、40℃で乾燥させ、白色の固体を、収率82%(0.418g)で得た。構造は、H−NMRにより確認した。数平均分子量及び分子量分布は、ポリスチレンで検量線を引いたSECで測定し、Mn=8000、Mw/Mn=1.38であることを確認した。
【0068】
モノマーの転化率は、反応溶液をそのままH−NMRで測定し、モノマーのビニル基のピーク(1H,q,CH=CH−,δ=5.9ppm)とポリマーのピーク(1H,s,CH−(CH,δ=4.0ppm)の積分比により求めた。NMRスペクトルを図4に示す。
【0069】
<ブロック共重合体の合成(1)>
Poly(NIPAM)−b−poly(VPI−Br)の合成
【0070】
【化15】

【0071】
重合管に、前記モノマー合成(1)で合成したVPI−Br(0.267g,0.910mmol)、マクロ連鎖移動剤として、上記で合成したPoly(NIPAM)(0.136g,0.0182mmol)、開始剤として、AIBNを1.5mg(0.00910mmol)及びDMF1.82mLと攪拌子を入れ、凍結脱気を3回行った後、封管し、60℃で24時間反応させた。反応後、反応溶液を液体窒素で冷却して反応を止め、室温に戻した後、過剰量のアセトンで再沈殿を行った。その後、析出したポリマーをろ過回収後、減圧下、40℃で乾燥させ、黄色の固体を収率61%(0.243g)で得た。
【0072】
構造はH−NMRにより確認した。ブロック共重合体の組成は、Poly(NIPAM)側のピーク(6H,t,1.0〜1.3ppm)とPoly(VPI−Br)側のピーク(1H,δ=9.5〜10.6ppm)の積分比を計算することで算出した。NMRスペクトルを図5に示す。
【0073】
数平均分子量は、H−NMRにより算出した組成とマクロ連鎖移動剤の数平均分子量の比から算出した。モノマーの転化率は、反応溶液をそのままH−NMRで測定し、モノマーのビニル基のピーク(1H,q,CH=CH−,δ=5.9ppm)とポリマーのイミダゾール環2位のプロトンのピーク(1H,s,δ=9.5〜10.6ppm)の積分比により求めた。
【0074】
また、理論数平均分子量は以下の方法により求めた。
【数1】

【0075】
<ブロック共重合体の合成(2)>
Poly(NIPAM)−b−poly(VEHI−Br)の合成
【化16】

【0076】
重合管に、前記モノマー合成(2)で合成したVEHI−Br(0.328g,0.910mmol)、マクロ連鎖移動剤として、Poly(NIPAM)(0.136g,0.0182mmol)、開始剤として、AIBNを1.5mg(0.00910mmol)及びDMF1.82mLと攪拌子を入れ、凍結脱気を3回行った後、封管し、60℃で24時間反応させた。反応後、反応溶液を液体窒素で冷却して反応を止め、室温に戻した後、過剰量のジエチルエーテルで再沈殿を行った。その後、析出したポリマーをろ過回収後、減圧下、40℃で乾燥させ、白色の固体を収率69%(0.321g)で得た。
【0077】
構造は、H−NMRにより確認した。NMRスペクトルを図6に示す。モノマーの転化率は、反応溶液をそのままH−NMRで測定し、モノマーのビニル基のピーク(1H,q,CH=CH−,δ=5.9ppm)とポリマーのイミダゾール環2位のプロトンのピーク(1H,s,δ=9.6〜10.5ppm)の積分比により求めた。
【0078】
以上の合成と測定により、本発明のブロック共重合体のうちの2つの例である、Poly(NIPAM)−b−poly(VPI−Br)とPoly(NIPAM)−b−poly(VEHI−Br)について、それらは合成できていることが明らかになり、また、それぞれのブロック共重合体の構造(重合比、末端の構造等)、数平均分子量、分子量分布等が明らかになったので、以下のように、耐熱性と顔料親和性評価のためのブロック共重合体を合成した。
【0079】
実施例1
<ブロック共重合体1の合成>
攪拌子を入れた重合管に、上記で得られたビニルイミダゾリウムモノマー(VPI−Br)2.69g(9.19mmol)、上記で得られたPoly(NIPAM)1.47g(0.184mmol)、AIBNを15.0mg(9.19×10−2mmol)、脱水DMF15mLをそれぞれ加えて溶解させた。脱気、封管後、オイルバスで60℃に加熱、48時間で重合を行った。反応終了後、アセトン/ジエチルエーテル混合溶媒で精製し、
Poly(NIPAM)/Poly(VPI−Br)=35/65 (mol比)
の「ブロック共重合体1」を得た。得られたブロック共重合体1を用いて、耐熱性及び顔料親和性評価を行った。結果を表1に示す。
【0080】
実施例2
<重合体2の合成>
攪拌子を入れた重合管に、上記で得られたビニルイミダゾリウムモノマーVEHI−Br2.65g(7.35mmol)、上記で得られたPoly(NIPAM)1.18g(0.147mmol)、AIBNを12.0mg(7.35×10−2mmol)、脱水ジメチルホルムアミド(DMF)15mLをそれぞれ加えて溶解させた。脱気、封管後、オイルバスで60℃に加熱、20時間で重合を行った。反応終了後、ジエチルエーテルで精製し、
Poly(NIPAM)/Poly(VEHI−Br)=65/35 (mol比)
の「ブロック共重合体2」を得た。得られたブロック共重合体2を用いて、耐熱性及び顔料親和性評価を行った。結果を表1に示す。
【0081】
評価例1
<耐熱性の評価>
熱重量分析計(島津製作所DTG−60A)にて熱重量分析を行った。測定条件は以下の通りである。
試料台 :アルミパン
窒素フロー :50mL/ 分
昇温プログラム:10℃/分 30℃〜600℃
【0082】
ブロック共重合体1、ブロック共重合体2、及び市販の高分子量分散剤Disperbyk2000、Disperbyk2001(何れも、ビックケミージャパン社製の4級アンモニウム型アクリルブロック共重合体)を、上記測定条件にて加熱し、10質量%の重量減が初めて認められる温度により、耐熱性の良否を判定した。「10質量%の重量減が認められる温度」が高い程、耐熱性が良好であることを示す。なお、市販分散剤Disperbyk2000とDisperbyk2001は、ヘキサンで精製後、乾燥したものを耐熱性評価に用いた。
【0083】
評価例2
<顔料親和性の評価>
ブロック共重合体1、ブロック共重合体2、及び市販の高分子量分散剤Disperbyk2000、Disperbyk2001を用いて、プロピレングリコールモノメチルエーテル中で顔料の分散を行い、顔料に対する本発明のブロック共重合体と市販の高分子分散剤(以下、「試料」と略記する)の吸着量を測定し、顔料親和性の評価を行った。
【0084】
すなわち、ピグメントグリーン36(P.G.36)3.9gに対し、試料1.95g、プロピレングリコールモノメチルエーテル24.15gを混合し、ペイントシェイカーを用い、ジルコニアビーズによるビーズ分散を行った(ビーズ径2.0mmのビーズで1時間、更にビーズ径0.3mmのビーズで3時間)。得られた分散液を遠心分離し、沈殿物と上澄み液に分離した。次いで、上澄み液の固形分を測定することにより、配合した試料のうち何質量%が顔料に吸着して共に沈降したかを計算した。吸着量の割合が大きい程、顔料親和性が良好であることを示す。
【0085】
【表1】

【0086】
実施例で得られたブロック共重合体1及びブロック共重合体2は、4級アンモニウム型アクリルブロック共重合体である市販の高分子量分散剤と同程度の顔料親和性を維持しつつ、市販の分散剤よりも高い耐熱性を示した。すなわち、顔料親和性と耐熱性の両立が達成できた。
【0087】
実施例3
実施例1で用いたビニルイミダゾリウムモノマー(VPI−Br)や実施例2で用いたビニルイミダゾリウムモノマーVEHI−Brに代えて、前記式(4)に示したRを有するイミダゾリウム塩誘導体モノマーを用いた以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体を得た。なお、前記式(4)に示した波線で切られた部分は、−(CH−(qは0以上の整数を示す)を示すが、q=0のR、すなわち波線で切られた結合が単に単結合であるRを有するイミダゾリウム塩誘導体モノマーを用いた。
【0088】
耐熱性と顔料親和性を同様にして評価したところ、実施例1で得られたブロック共重合体1とほぼ同様の結果が得られた。
【0089】
実施例4
実施例1で用いたビニルイミダゾリウムモノマー(VPI−Br)の対アニオンであるBrに代えて、Cl、BF、(CFSO又はCFSOとしたブロック共重合体を、実施例1と同様にして得た。耐熱性と顔料親和性を同様に評価したところ、実施例1で得られたブロック共重合体1とほぼ同様の結果が得られた。特に、(CFSO及びCFSOでは、顔料親和性は実施例1のBrと同程度だが、耐熱性が更に良くなる可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のブロック共重合体は、固体表面への親和性、特に耐熱性に優れているので、カラーレジスト、インクジェトインキ、グラビアインキ、オフセットインキ等、特に耐熱性が要求されるインキ分野をはじめ、塗料、顔料の分散剤、有機・無機フィラー等の微粒子の分散剤、着色樹脂組成物等、種々の用途に広く利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】1-Vinyl-(3-propylbenzyl)imidazolium bromide(VPI−Br)のH−NMRと13C−NMRのスペクトルを示す図である。
【図2】1-Vinyl-(3-ethylheptanoic)imidazolium bromide(VEHI−Br)のH−NMRと13C−NMRのスペクトルを示す図である。
【図3】O-Ethyl-S-(1-phenylethyl)dithiocarbonateのH−NMRスペクトルを示す図である。
【図4】マクロ連鎖移動剤であるPoly(N-isopropylacrylamide)(Poly(NIPAM))のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】本発明のブロック共重合体の1例であるPoly(NIPAM)-b-poly(VPI−Br)のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】本発明のブロック共重合体の1例であるPoly(NIPAM)-b-poly(VEHI−Br)のH−NMRスペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック共重合体の第1のセグメントとして、イミダゾリウム塩誘導体モノマーが重合してなる下記式(1)で示されるセグメントAを有し分散剤として用いることを特徴とするブロック共重合体。
【化1】

[式(1)中、Rは任意の有機基を示し、Xは対アニオンを示す。]
【請求項2】
ブロック共重合体の第2のセグメントとして、N−置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーが重合してなるセグメントBを有する請求項1記載のブロック共重合体。
【請求項3】
上記式(1)における対アニオンXが、I、Br、Cl、BF、BPh、PF、(CFSO、CFSO、CHSO、又は、下記式(2)で示されるものである請求項1又は請求項2に記載のブロック共重合体。
【化2】

【請求項4】
上記セグメントBが、可逆的付加開裂連鎖移動重合法により重合して得られたものである請求項2又は請求項3に記載のブロック共重合体。
【請求項5】
上記セグメントBが、下記式(3)で示される連鎖移動剤を用いて重合して得られたものである請求項4記載のブロック重合体。
【化3】

[式(3)中、RとRは置換基を有していてもよく分岐していてもよい炭素数1〜12個のアルキル基若しくはアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、RとRは互いに異なっていてもよい。]
【請求項6】
上記セグメントAが、可逆的付加開裂連鎖移動重合法により重合して得られたものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のブロック共重合体。
【請求項7】
上記セグメントAが、可逆的付加開裂連鎖移動重合法により重合して得られた上記セグメントBを有するマクロ連鎖移動剤を用いて重合して得られたものである請求項6に記載のブロック共重合体。
【請求項8】
上記式(1)におけるRが、下記式(4)で示される群から選ばれる有機基である請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のブロック共重合体。
【化4】

【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載のブロック共重合体を含有することを特徴とする分散剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−111766(P2010−111766A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285472(P2008−285472)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第57回高分子学会年次大会予稿集 第149ページ 発行日:平成20年5月8日
【出願人】(000183923)株式会社DNPファインケミカル (268)
【Fターム(参考)】