説明

ブロック玩具

【課題】従来の組み立て式ブロック玩具は、ブロックに設けられた凹凸部の接合が垂直方向に固定される不自由さや、ボールジョイント方式の組み立てブロックではジョイント部を構成するボール収容部が2個以上のボール部を収容できないという不便さがあった。そこで、単独の連結部に対して少なくとも6個以上のブロックを可動自在に連結可能とすると同時に、柔軟な弾力性に富んだ連結構造とを備えたブロック玩具を簡単な構造で実現することを課題とするものである
【解決手段】伸縮性を有するシリコンゴム系素材で形成された複数の連結用リングと、所定の完成形状を構成する複数種類のブロック成型と、前記ブロック成型の1又は複数の個所に前記連結用リングを着脱自在に挿入するフック部を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て構造における利便性を図ったブロック玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブロック玩具は、ブロックに設けられた凹凸構造を相互に圧入することで固定し、組み立てた複数ブロックの集合体として所定の完成形状を形成するものがある。
また、所定位置にボールジョイントの一方を構成するボール部と、このボール部を保持可能な状態で収容するボール収容部とを備えたブロックにおいて、ボール部とボール収容部との連結によって複数のブロックを連結し所定の完成形状を形成するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−262944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べた従来のブロック玩具は、ブロックに設けられた凹凸部の接合が垂直方向に限定されるため複数ブロックの連結形態において自由度が乏しく、また、硬く圧入された複数ブロックの集合体は柔軟性のない固まりを形成するものであった。
一方、ボールジョイント方式の組み立てブロックでは、ボールジョイント部を中心点としたブロックの可動が可能であるが、ジョイント部を構成するボール収容部には2個以上のボール部を収容できないという不便さがあった。
【0005】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、単独の連結部に対して少なくとも6個以上のブロックを可動自在に連結可能とすると同時に、柔軟な弾力性に富んだ連結構造とを備えたブロック玩具を簡単な構造で実現することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために伸縮性を有するシリコンゴム系素材で形成された複数の連結用リングと、所定の完成形状を構成する複数種類のブロック成型と、前記ブロック成型の1又は複数箇所に前記連結用リングを着脱自在に挿入するフック部を備えたものである。
【0007】
上記の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、少なくとも6個以上のブロック成型が備えた各フック部に対して単独の連結用リングを挿入することで各ブロックを可動自在に連結することができると同時に、各ブロックの連結部においては、連結用リングの伸縮性によって物理的弾力効果を発揮できる。
【発明の効果】
【0008】
上述したように本発明の組み立て式ブロック玩具は、少なくとも6個以上のブロック成型を可動自在に連結できるため、より自由度の高い創造性に富んだ連結形態を形成できると同時に、連結部が物理的弾力性を備えているため、完成形状において柔軟な弾力性を備えたブロック玩具を簡単な構造で提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
伸縮性を有するシリコンゴム系素材で形成された複数の連結用リングと、所定の完成形状を構成する複数種類のブロック成型と、前記ブロック成型の1又は複数の箇所に前記連結用リングを着脱自在に挿入するフック部を備えた組み立て式のブロック玩具。
【実施例】
【0010】
以下、図を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。まず、図1に基づき完成形状を構成する部品の説明を行う。実施例では、犬を模したキャラクターを完成形状としている。
【0011】
1〜6は湾曲した筒型風船状の同一形状で形成されたブロック成型で、完成形状における連結状態に対応してフック部Aがブロック成型ごとに配置されている。ブロック成型1及び2は4箇所にフック部を備えており、ブロック成型3は3箇所、ブロック成型4は1箇所、ブロック成型5及び6は2箇所にそれぞれフック部を備えている。また、ブロック成型6のフック部の内、片方のフック部は延長軸を有している。各ブロック成型の数は、ブロック成型1〜4が各1個ずつ、ブロック成型5及び6が各2個ずつで構成されている。
【0012】
7〜13は固有の形状で形成されたブロック成型で、完成形状においては特定の部位を形成する。実施例では、ブロック成型7は鼻部、ブロック成型9は眼球部、ブロック成型10は胴体部、ブロック成型11は耳部、ブロック成型12は頬部、ブロック成型13は舌部をそれぞれ形成しており、ブロック成型8は吊り下げ用のヒートン金具Bを備えている。ブロック成型7及び8は2箇所にフック部を備えており、ブロック成型9〜13はそれぞれ1箇所にフック部を備えている。各ブロック成型の数は、ブロック成型7、8、10、13が各1個ずつ、ブロック成型9、11、12が各2個ずつで構成されている。
【0013】
14は連結用リングで、伸縮性を有するシリコンゴム系素材で形成されている。また、実施例における全18個のブロック成型の組み立てには、連結用リング14a〜14kの11個を使用する。
【0014】
次に、図2及び図3を使用し連結用リングとフック部の連結構造の説明を行う。図2は、連結用リング14とフック部Aの拡大図であり、図3は、図2におけるD−D線断面図と、フック部Aに連結用リング14が挿入されている状態を示している。また、Cはフック部Aの開口部の長さを示している。開口部Cは連結用リング14の断面直径より適度に狭く形成されており、伸縮性を有する連結用リング14を着脱自在に収容できると同時に自然離脱を防止する作用を有している。
【0015】
次に、図4を使用し単独の連結用リングと複数ブロックとの連結形態の説明を行う。(A)は、連結用リング14の中心軸を視点とした平面図であり、単独の連結用リング14には少なくとも6個のブロック成型5a〜5fを水平状に連結することができる。また、図例ではブロック成型5を図示しているが、ブロック成型1〜6のいずれであってもよい。(B)は、(A)の側面図であるが、連結部を図示するためブロック成型5e、5fの図示は省略している。(C)は、(B)の側面図に3個のブロック成型5g、5h、5iを追加連結した図であり、連結用リング14を中心とした空間には更にブロック成型を追加連結することが可能である。また、各ブロック成型は連結部を中心とした可動が可能であることから、もう一方のフック部の連結対象を広範囲に選択できる。
【0016】
次に図5〜図20を使用して、本発明によるブロック玩具の組み立て工程の説明を行う。
【0017】
図5は、ブロック成型8と2個のブロック成型9を連結した状態を示した俯瞰図である。連結用リング14aはブロック成型8のフック部左側と一方のブロック成型9とを連結し、連結用リング14bは、ブロック成型8のフック部右側ともう一方のブロック成型9とを連結している。
【0018】
図6は、図5の組み立て工程を示した三面図である。
【0019】
図7は、図5の組み立て工程に加えてブロック成型1〜3を連結した状態を示した俯瞰図である。ブロック成型1をブロック成型8の上方左側に、ブロック成型2をブロック成型8の上方右側に、ブロック成型3をブロック成型8の下側にそれぞれ両端のフック部が隣接するように配置し、前面に隣接した各フック部を連結用リング14cで連結し、背面に隣接した各フック部を連結用リング14dで連結している。
【0020】
図8は、図7の組み立て工程を示した三面図である。
【0021】
図9は、図7の組み立て工程に加えてブロック成型10及びブロック成型13を連結した状態を示した俯瞰図である。連結用リング14eは、ブロック成型3の中央下側のフック部と連結し、さらに、ブロック成型10及び13のフック部と連結している。
【0022】
図10は、図9の組み立て工程を示した三面図である。
【0023】
図11は、図9の組み立て工程に加えてブロック成型7及び2個のブロック成型5を連結した状態を示した俯瞰図である。ブロック成型7をブロック成型3とブロック成型13の間に、一方のブロック成型5をブロック成型13の下側に、もう一方のブロック成型5を背面にそれぞれ両端のフック部が隣接するように配置し、右側に隣接した各フック部を連結用リング14fで連結し、左側に隣接した各フック部を連結用リング14gで連結している。
【0024】
図12は、図11の組み立て工程を示した三面図である。
【0025】
図13は、図11の組み立て工程に加えて2個のブロック成型6を連結した状態を示した俯瞰図である。一方のブロック成型6が備えた長軸のフック部を既に設置済みの連結用リング14fと連結し、短軸のフック部とブロック成型2の側面後方のフック部とを連結用リング14hで連結している。また、もう一方のブロック成型6が備えた長軸のフック部を既に設置済みの連結用リング14gと連結し、短軸のフック部とブロック成型1の側面後方のフック部とを連結用リング14iで連結している。
【0026】
図14は、図13の組み立て工程を示した三面図である。
【0027】
図15は、図13の組み立て工程に加えて2個のブロック成型12を連結した状態を示した俯瞰図である。一方のブロック成型12のフック部は、既に設置済みの連結用リング14fと連結しており、もう一方のブロック成型12のフック部は既に設置済みの連結用リング14gと連結している。
【0028】
図16は、図15の組み立て工程を示した三面図である。
【0029】
図17は、図15の組み立て工程に加えて2個のブロック成型11を連結した状態を示した俯瞰図である。連結用リング14jはブロック成型1の側面前方のフック部と、一方のブロック成型11のフック部とを連結しており、連結用リング14kはブロック成型2の側面前方のフック部と、もう一方のブロック成型11のフック部とを連結している。
【0030】
図18は、図17の組み立て工程を示した三面図である。
【0031】
図19は、図17の組み立て工程に加えてブロック成型4を連結し、全18個のブロック成型を組み立てた状態を示した俯瞰図である。ブロック成型4のフック部は、既に設置済みの連結用リング14dと連結している。
【0032】
図20は、図19の組み立て工程を示した三面図である。
【0033】
以上説明したように構成することにより、単独の連結用リングに対して少なくとも6個以上のブロック成型を可動自在に連結できるため、より自由度の高い創造性に富んだ連結形態を形成できると同時に、連結部が物理的弾力性を備えているため、完成形状において柔軟な弾力性を備えたブロック玩具を簡単な構造で提供できる。また、実施例として犬を模したキャラクターを完成形状としたブロック成型群を用いて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限定されるものではなく、フック部の配置やブロック成型の形状を改変することで多種多様な完成形状を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 本発明の一実施例であるブロック玩具の部品構成を示す図
【図2】 同連結用リングとフック部を示す拡大図
【図3】 同連結用リングの図2におけるD−D線断面図とフック部の図
【図4】 同連結用リングと複数ブロックとの連結形態を示す図
【図5】 同ブロック成型8と9を連結した形態を示す俯瞰図
【図6】 同俯瞰図5の形態を示す三面図
【図7】 同ブロック成型1〜3を追加連結した形態を示す俯瞰図
【図8】 同俯瞰図7の形態を示す三面図
【図9】 同ブロック成型10及び13を追加連結した形態を示す俯瞰図
【図10】 同俯瞰図9の形態を示す三面図
【図11】 同ブロック成型7及び5を追加連結した形態を示す俯瞰図
【図12】 同俯瞰図11の形態を示す三面図
【図13】 同ブロック成型6を追加連結した形態を示す俯瞰図
【図14】 同俯瞰図13の形態を示す三面図
【図15】 同ブロック成型12を追加連結した形態を示す俯瞰図
【図16】 同俯瞰図15の形態を示す三面図
【図17】 同ブロック成型11を追加連結した形態を示す俯瞰図
【図18】 同俯瞰図17の形態を示す三面図
【図19】 同ブロック成型4を追加連結した形態を示す俯瞰図
【図20】 同俯瞰図19の形態を示す三面図
【符号の説明】
【0035】
1 ブロック成型
2 ブロック成型
3 ブロック成型
4 ブロック成型
5 ブロック成型
6 ブロック成型
7 ブロック成型
8 ブロック成型
9 ブロック成型
10 ブロック成型
11 ブロック成型
12 ブロック成型
13 ブロック成型
14a〜14k 連結用リング
A フック部
B ヒートン金具
C フック部の開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有するシリコンゴム系素材で形成された複数の連結用リングと、所定の完成形状を構成する複数種類のブロック成型と、前記ブロック成型の1又は複数の箇所に前記連結用リングを着脱自在に挿入するフック部を備えたことを特長とした組み立て式のブロック玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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