説明

プライマー組成物

【課題】取扱性および安全性に優れるとともに、低粘度で作業性に優れ、さらには、接着力向上性にも優れるプライマー組成物を提供すること。
【解決手段】イソシアネート基含有化合物と、溶剤とを含有し、消防法(昭和二十三年七月二十四日法律第百八十六号)付則(平成二一年五月一日法律第三四号)別表第一 備考十、危険物の規則に関する政令(昭和三十四年九月二十六日政令第三百六号)第一条の六(第四類の危険物の試験)、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九および第十に規定された方法により引火点が観測されないプライマー組成物を得る。このようなプライマー組成物は、引火点が観測されないので、取扱性および安全性に優れる。また、このようなプライマー組成物は、低粘度であるため作業性に優れ、さらに、接着力向上性にも優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プライマー組成物、詳しくは、基材と被着体との間に処理されるプライマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材と被着体との接着において、それらの接着性の向上を図るため、基材をプライマー組成物によって前処理することが知られており、そのようなプライマー組成物として、ウレタン系プライマー組成物が、種々知られている。
【0003】
ウレタン系プライマー組成物として、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーと、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの有機溶剤と、触媒とを所定の割合で含むウレタン塗膜防水材用速硬化性プライマー組成物が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−3781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1に記載のウレタン塗膜防水材用速硬化性プライマー組成物などのウレタン系プライマー組成物は、通常、上記した有機溶剤を含有するため、施工環境などにより、引火を惹起する場合があるなど、取扱性および安全性に劣るという不具合がある。
【0006】
また、一般に、プライマー組成物には、処理時における作業性の観点から、低粘度であることが要求されており、さらには、より優れた接着力向上性を確保することが、要求されている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、取扱性および安全性に優れるとともに、低粘度で作業性に優れ、さらには、接着力向上性にも優れるプライマー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明のプライマー組成物は、イソシアネート基含有化合物と、溶剤とを含有し、消防法(昭和二十三年七月二十四日法律第百八十六号)付則(平成二一年五月一日法律第三四号)別表第一 備考十、危険物の規則に関する政令(昭和三十四年九月二十六日政令第三百六号)第一条の六(第四類の危険物の試験)、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九および第十に規定された方法により、引火点が観測されないことを特徴としている。
【0009】
また、本発明のプライマー組成物では、前記溶剤が、1−ブロモプロパンを含有することが好適である。
【0010】
また、本発明のプライマー組成物では、前記溶剤の含有率が、30〜80質量%であることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプライマー組成物は、消防法(昭和二十三年七月二十四日法律第百八十六号)付則(平成二一年五月一日法律第三四号)別表第一 備考十、危険物の規則に関する政令(昭和三十四年九月二十六日政令第三百六号)第一条の六(第四類の危険物の試験)、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九および第十に規定された方法により、引火点が観測されないので、取扱性および安全性に優れる。
【0012】
また、本発明のプライマー組成物は、低粘度であるため作業性に優れ、さらに、接着力向上性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のプライマー組成物は、イソシアネート基含有化合物と、溶剤とを含有している。
【0014】
イソシアネート基含有化合物としては、例えば、モノイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0015】
モノイソシアネート化合物は、イソシアネート基を1つ含有する有機化合物であって、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネートなどが挙げられる。
【0016】
これらモノイソシアネート化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0017】
ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を2つ以上含有する有機化合物であって、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体、イソシアネート基末端プレポリマーなどが挙げられる。
【0018】
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0019】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0020】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0022】
また、脂肪族ポリイソシアネートには、脂環族ポリイソシアネートが含まれる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物))(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(HXDI)などの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0023】
これらポリイソシアネート単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0024】
ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート単量体の多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体)、5量体、7量体など)、アロファネート変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、低分子量ポリオールとの反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、ポリイソシアネート単量体と低分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール変性体(アルコール付加体)など)、ビウレット変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体など)、ウレア変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(上記したポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
【0025】
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300未満、好ましくは、400未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
【0026】
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0027】
さらに、ポリイソシアネート誘導体として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI、多核体含有ジフェニルメタンジイソシアネート)なども挙げられる。
【0028】
これらポリイソシアネート誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0029】
イソシアネート基末端プレポリマーは、少なくとも2つのイソシアネート基を分子末端に有するウレタンプレポリマーであって、ポリイソシアネート(ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体およびイソシアネート基末端プレポリマーから選択されるポリイソシアネート、好ましくは、ポリイソシアネート単量体およびポリイソシアネート誘導体から選択されるポリイソシアネート)と、高分子量ポリオール(および必要により低分子量ポリオール)とを、高分子量ポリオール(および必要により低分子量ポリオール)の水酸基に対するポリイソシアネートの当量比(NCO/OH)が、1より大きくなる割合、好ましくは、1.5〜50の割合でウレタン化反応させることにより、得ることができる。
【0030】
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300以上、好ましくは、400以上の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
【0031】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリプロピレンポリオール(ポリオキシプロピレンポリオール)、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなどのポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
【0032】
ポリプロピレンポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールなどや、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミンなどを開始剤とするプロピレンオキサイドの付加重合物(プロピレンオキサイドと、エチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)が挙げられる。
【0033】
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランや、メチルテトラヒドロフランなどの重合単位に上記した2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0034】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
【0035】
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸(C11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、その他の芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、その他の脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0036】
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、植物由来のポリエステルポリオール、具体的には、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸を、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0037】
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類や、例えば、L−ラクチド、D−ラクチドなどのラクチド類などを開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに上記した2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0038】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0039】
また、ポリウレタンポリオールは、上記により得られたポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基(NCO)に対する水酸基(OH)の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、ポリイソシアネートと反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
【0040】
エポキシポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとの反応により得られるエポキシポリオールが挙げられる。
【0041】
植物油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などのヒドロキシル基含有植物油などが挙げられる。例えば、ひまし油ポリオール、または、ひまし油脂肪酸とポリプロピレンポリオールとの反応により得られるエステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
【0042】
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0043】
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基含有アクリレートと、ヒドロキシル基含有アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。
【0044】
ヒドロキシル基含有アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0045】
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどが挙げられる。
【0046】
そして、アクリルポリオールは、これらヒドロキシル基含有アクリレート、および、共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。
【0047】
また、アクリルポリオールには、例えば、シリコーンポリオールやフッ素ポリオールが含まれる。
【0048】
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むシリコーン化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
【0049】
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
【0050】
ビニルモノマー変性ポリオールは、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマーとの反応により得ることができる。
【0051】
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0052】
ウレタン化反応は、公知の方法に準拠することができる。ウレタン化反応における反応温度は、例えば、50〜120℃、好ましくは、50〜100℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜15時間、好ましくは、1〜10時間である。
【0053】
また、ウレタン化反応では、必要により、有機溶媒を配合し、その存在下において、イソシアネート基末端プレポリマーを調製することができる(溶液重合)。
【0054】
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類、さらに、後述する無引火性溶剤などが挙げられる。
【0055】
これら有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0056】
有機溶媒として、好ましくは、無引火性溶剤が挙げられる。
【0057】
溶液重合において、有機溶媒として無引火性溶剤を用いれば、その無引火性溶剤を、そのまま後述する溶剤として用いることができる。
【0058】
なお、溶液重合において、有機溶媒の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
【0059】
また、上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加することができる。
【0060】
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
【0061】
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられる。
【0062】
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
【0063】
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0064】
ウレタン化触媒として、好ましくは、有機金属化合物、より好ましくは、有機錫化合物が挙げられる。
【0065】
さらに、必要により、得られるイソシアネート基末端プレポリマーから遊離の(未反応の)ポリイソシアネートを、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去してもよい。
【0066】
また、イソシアネート基末端プレポリマーを溶液重合により調製する場合において、有機溶媒を用いる場合には、それら有機溶媒を、必要により、上記した公知の除去手段により除去する。とりわけ、無引火性溶剤以外の有機溶媒を用いる場合には、好ましくは、その無引火性溶剤以外の有機溶媒を、上記した公知の除去手段により除去する。
【0067】
イソシアネート基末端プレポリマー(固形分)のイソシアネート基当量は、例えば、85〜2200、好ましくは、150〜1500である。また、イソシアネート基末端プレポリマー(固形分)中の未反応のポリイソシアネートの含有量は、例えば、100質量%以下、好ましくは、95質量%以下、さらに好ましくは、90質量%以下である。
【0068】
なお、イソシアネート基当量は、アミン当量と同義であり、JIS K 1603−1(2007年)のA法またはB法により、求めることができる。未反応のポリイソシアネートの含有量は、例えば、HPLC測定により求めることができる。
【0069】
そして、このようなイソシアネート基末端プレポリマー(固形分)のイソシアネート基の含有量(イソシアネート基含量、NCO%)は、例えば、2〜50質量%、好ましくは、2.8〜28質量%、さらに好ましくは、3〜25質量%であり、また、イソシアネート基の平均官能基数は、例えば、1.2〜5.0、好ましくは、1.5〜4.5である。
【0070】
これらポリイソシアネート化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0071】
これらイソシアネート基含有化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0072】
イソシアネート基含有化合物として、好ましくは、ポリイソシアネート化合物、より好ましくは、イソシアネート基末端プレポリマーが挙げられる。
【0073】
溶剤には、消防法(昭和二十三年七月二十四日法律第百八十六号)付則(平成二一年五月一日法律第三四号)別表第一 備考十、危険物の規則に関する政令(昭和三十四年九月二十六日政令第三百六号)第一条の六(第四類の危険物の試験)、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九および第十に規定された方法により、引火点が観測されない溶剤(無引火性溶剤)が用いられ、そのような無引火性溶剤として、具体的には、例えば、1−ブロモプロパン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、塩化メチレン、ジクロロペンタフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0074】
これら無引火性溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0075】
溶剤として、好ましくは、1−ブロモプロパンが挙げられる。
【0076】
1−ブロモプロパンを用いれば、とりわけ、プライマー組成物の低粘度化を図ることができ、また、優れた接着力向上性を確保することができる。
【0077】
また、このような溶剤は、市販品として入手でき、そのような市販品としては、例えば、アルベマール社製「アブゾールJG」、マナック社製「n−プロピルブロマイド」、東ソー有機化学社製「n-プロピルブロマイド」(いずれも、1-ブロモプロパン)などが挙げられる。
【0078】
このような溶剤は、例えば、イソシアネート基含有化合物に直接配合および混合することができ、また、例えば、イソシアネート基含有化合物として、溶液重合により調製されるイソシアネート基末端プレポリマーが用いられる場合には、その溶液重合で用いられている溶剤を、そのまま用いることもできる。
【0079】
プライマー組成物において、イソシアネート基含有化合物の含有率(固形分濃度)は、プライマー組成物の総量に対して、例えば、10〜90質量%、好ましくは、20〜70質量%、より好ましくは、25〜70質量%であり、溶剤の含有率は、プライマー組成物の総量に対して、例えば、10〜90質量%、好ましくは、30〜80質量%、30〜75質量%である。
【0080】
溶剤の含有率が上記範囲であれば、プライマー組成物の粘度が調整され、これにより、処理時の作業性に優れるプライマー組成物を得ることができる。
【0081】
プライマー組成物の25℃における粘度(JIS K7117−1(1995年)に準拠)は、例えば、1〜1000mPa・s、好ましくは、2〜800mPa・sである。
【0082】
プライマー組成物の粘度が上記範囲であれば、プライマー組成物を、作業性よく処理することができる。
【0083】
また、このようなプライマー組成物のイソシアネート基含有率(NCO%)(JIS K7301(1995年)に準拠)は、例えば、0.2〜45質量%、好ましくは、0.3〜25質量%である。
【0084】
そして、このようなプライマー組成物は、消防法(昭和二十三年七月二十四日法律第百八十六号)付則(平成二一年五月一日法律第三四号)別表第一 備考十、危険物の規則に関する政令(昭和三十四年九月二十六日政令第三百六号)第一条の六(第四類の危険物の試験)、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九および第十に規定された方法により、引火点が観測されない。
【0085】
具体的には、プライマー組成物は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九に指定された、JIS K2265(1980年)「原油及び石油製品引火点試験方法」四・二・二に規定するタグ密閉式引火点試験器を用いた別表第九の方法で80℃以下で引火点が測定されず、さらに、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第十に指定された、JIS K2265(1980年)「原油及び石油製品引火点試験方法」四・四・二に規定するクリーブランド開放式引火点試験器を用いた別表十の方法で引火点が測定されない。
【0086】
そして、このようなプライマー組成物は、消防法(昭和二十三年七月二十四日法律第百八十六号)付則(平成二一年五月一日法律第三四号)別表第一 備考十、危険物の規則に関する政令(昭和三十四年九月二十六日政令第三百六号)第一条の六(第四類の危険物の試験)、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九および第十に規定された方法により、引火点が観測されないので、取扱性および安全性に優れる。
【0087】
また、このようなプライマー組成物は、低粘度であるため作業性に優れ、さらに、接着力向上性にも優れる。
【0088】
そのため、このようなプライマー組成物は、基材と被着体との接着において、それらの接着性を向上させるために処理されるプライマー組成物として、各種産業分野に用いることができる。
【0089】
具体的には、このようなプライマー組成物は、例えば、プラスチック基材と、そのプラスチック基材に積層されるコート層との間に処理される工業用プライマー組成物や、例えば、スレート(岩石)、コンクリートなどの基材と、その基材上に施工されるグランド材などの舗装材との間に処理される建築用プライマー組成物などとして、好適に用いることができる。
【0090】
なお、プライマー組成物の処理方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。具体的には、まず、基材上にプライマー組成物を塗布し、表面タックがなくなる程度まで硬化(例えば、湿気硬化)させた後、その基材上に、プライマー組成物を介して、被着体を積層する。このような場合において、プライマー組成物の塗布量としては、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【実施例】
【0091】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。
【0092】
実施例1(プライマー組成物aの合成)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、タケネート500(商品名、1,3−キシリレンジイソシアネート、三井化学社製)を395.1g、アクトコールMN−450(商品名、平均分子量約375のポリプロピレンポリオール、三井化学社製)を104.8g、ジブチル錫ジラウレートを0.1g、および、アブゾールJG(商品名、1−ブロモプロパン、アルベマール社製)を500.0g仕込み、65℃で3時間ウレタン化反応させた。NCO%が14.1質量%に達したところで反応を停止させ、プライマー組成物aを得た。
【0093】
得られたプライマー組成物aは、均一な外観を示し、その25℃における粘度は、4mPa・s、引火点は非検出であった。
【0094】
なお、NCO%は、JIS K7301に記載のイソシアネート基含有率試験により測定した。また、粘度は、JIS K7117に記載の方法により測定した。さらに、引火点は、消防法(昭和二十三年七月二十四日法律第百八十六号)付則(平成二一年五月一日法律第三四号)別表第一 備考十、危険物の規則に関する政令(昭和三十四年九月二十六日政令第三百六号)第一条の六(第四類の危険物の試験)、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九および第十に規定された方法により、観測した(以下同様)。
【0095】
実施例2(プライマー組成物bの合成)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、コスモネートM200(商品名、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、三井化学社製)を406.5g、アクトコールMN−450を93.5g、および、アブゾールJGを500.0g仕込み、65℃で3時間ウレタン化反応させた。NCO%が9.5質量%に達したところで反応を停止させ、プライマー組成物bを得た。
【0096】
得られたプライマー組成物bは、均一な外観を示し、その25℃における粘度は20mPa・s、引火点は非検出であった。
【0097】
実施例3(プライマー組成物cの合成)
タケネート500を237.0g、アクトコールMN−450を62.9g、アブゾールJGを700.0gとした以外は、実施例1と同様にして、NCO%が8.5質量%に達するまでウレタン化反応させ、プライマー組成物cを得た。
【0098】
得られたプライマー組成物cは、均一な外観を示し、その25℃における粘度は3mPa・s、引火点は非検出であった。
【0099】
実施例4(プライマー組成物dの合成)
コスモネートM200を243.9g、アクトコールMN−450を56.1g、アブゾールJGを700gとした以外は、実施例2と同様にして、NCO%が5.6質量%に達するまでウレタン化反応させ、プライマー組成物dを得た。
【0100】
得られたプライマー組成物dは、均一な外観を示し、その25℃における粘度は7mPa・s、引火点は非検出であった。
【0101】
実施例5(プライマー組成物eの合成)
タケネート500を513.7g、アクトコールMN−450を136.2g、アブゾールJGを350.0gとした以外は、実施例1と同様にして、NCO%が18.4質量%に達するまでウレタン化反応させ、プライマー組成物eを得た。
【0102】
得られたプライマー組成物eは、均一な外観を示し、その25℃における粘度は8mPa・s、引火点は非検出であった。
【0103】
実施例6(プライマー組成物fの合成)
コスモネートM200を543.3g、アクトコールMN−450を106.7g、アブゾールJGを350gとした以外は、実施例2と同様にして、NCO%が14.3質量%に達するまでウレタン化反応させ、プライマー組成物fを得た。
【0104】
得られたプライマー組成物fは、均一な外観を示し、その25℃における粘度は25mPa・s、引火点は非検出であった。
【0105】
比較例1(プライマー組成物gの合成)
アブゾールJGに代えて、酢酸エチルを用いた以外は、実施例1と同様にして、NCO%が14.1質量%に達するまでウレタン化反応させ、プライマー組成物gを得た。
【0106】
得られたプライマー組成物gは、均一な外観を示し、その25℃における粘度は3mPa・s、引火点は−2℃であった。
【0107】
比較例2(プライマー組成物hの合成)
アブゾールJGに代えて、酢酸エチルを用いた以外は、実施例2と同様にして、NCO%が9.5質量%に達するまでウレタン化反応させ、プライマー組成物hを得た。
【0108】
得られたプライマー組成物hは、均一な外観を示し、その25℃における粘度は16mPa・s、引火点は−3℃であった。
【0109】
各実施例および各比較例において得られたプライマー組成物に含有される溶剤、および、プライマー組成物の物性を、表1に示す。
【0110】
【表1】

評価
各実施例のプライマー組成物は、消防法(昭和二十三年七月二十四日法律第百八十六号)付則(平成二一年五月一日法律第三四号)別表第一 備考十、危険物の規則に関する政令(昭和三十四年九月二十六日政令第三百六号)第一条の六(第四類の危険物の試験)、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九および第十に規定された方法により、引火点が観測されなかったのに対し、各比較例のプライマー組成物は、引火点が観測され、また、その値は、消防法上の危険物第4類第一石油類(1気圧において引火点が21℃未満)に相当した。
【0111】
また、各実施例のプライマー組成物は、25℃において低粘度であることが確認された。
【0112】
使用例1〜4
基材として、厚さ5mmのスレート板(品番フレキシブルシートN、ノザワ社製)を用意した。
【0113】
次いで、スレート板に、実施例1〜2および比較例1〜2で得られたプライマー組成物a、b、gおよびhを、それぞれ、塗布量が150g/mとなるように刷毛で塗布し、23℃において、相対湿度55%下で1時間静置し、乾燥させた。
【0114】
1時間後、指触にて乾燥を確認した後、プライマー組成物上に、被着体(被着層)として、ウレタン系のグランド材(品番ハイプレンP−306/TSR−82M、三井化学社製)を2mm厚みになるように塗布し、23℃、相対湿度55%下で7日間硬化養生し、サンプルを製造した。
【0115】
得られたサンプルを15mm幅に切り取り、25℃、相対湿度55%下において、万能引張測定装置(オリエンテック社製)を用いて、クロスヘッド速度50mm/分で180°剥離試験して、接着強度および剥離状態を観察することにより、接着性を評価した。結果を表2に示す。
【0116】
【表2】

なお、表2において、指触による乾燥の確認においてタック性が確認されなかった場合、指触乾燥性を「良好」とする。
【0117】
また、「被着層破壊100%」とは、基材、プライマー組成物および被着層(プライマー組成物に接する部分)が接着されたまま、基材およびプライマー組成物が破壊されることなく、被着層のみが破壊された状態を示し、これにより、基材と被着層とが良好に接着されていることを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基含有化合物と、溶剤とを含有し、
消防法(昭和二十三年七月二十四日法律第百八十六号)付則(平成二一年五月一日法律第三四号)別表第一 備考十、危険物の規則に関する政令(昭和三十四年九月二十六日政令第三百六号)第一条の六(第四類の危険物の試験)、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年二月十七日自治省令第一号)別表第九および第十に規定された方法により、引火点が観測されないことを特徴とする、プライマー組成物。
【請求項2】
前記溶剤が、1−ブロモプロパンを含有することを特徴とする、請求項1に記載のプライマー組成物。
【請求項3】
前記溶剤の含有率が、30〜80質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のプライマー組成物。

【公開番号】特開2013−1835(P2013−1835A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135208(P2011−135208)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】